JP5227879B2 - 選択可能な光沢コーティングシステム - Google Patents

Description

本開示は、一般的にインクジェットプリンタに関し、特にコーティングインクを用いたインクジェットプリンタに関する。

一般的に、インクジェット印刷機またはプリンタは、画像受容表面、たとえば、画像基材上へと液滴を噴出し、または液体インクを噴射する少なくとも１つのプリントヘッドを含む。相転移インクジェットプリンタは常温で固体相であるが、高温で液体相に転移する相転移インクすなわち固形インクを用いる。融解したインクを次に、加熱された画像基材上へとプリントヘッドアセンブリによって、液滴として噴出することができる。いくつかのプリンタでは、画像受容表面は記録媒体であり、この場合にはインクを画像基材上へと直接噴出する。別のプリンタでは、画像受容表面は中間転写表面であり、この中間転写表面上にインクを噴出し次いで記録媒体に転写する。

インクジェットプリンタ技術が直面する問題の１つは、画像、ページまたは印刷ジョブの全部または一部の光沢レベルを制御することである。光沢とは表面の反射特性の測定値である。高光沢とは、表面反射がミラー状または鏡状であり、反射角が表面を照らす光の入射角とほぼ一致することを示す。低光沢とは、表面が散乱反射を生じ、入射光は反射時に幅広い角度範囲に拡散されることを示す。光沢レベルは着色剤のタイプと印刷された画像を形成するために使用される媒体のタイプの両方の影響を受けうる。印刷された画像の光沢レベルを制御することは困難となる場合がある。なぜなら、噴出されたインクが未印刷の媒体が有する光沢レベルと異なる光沢レベルを有するからである。さらに、画像を形成するために媒体上へと噴出されるインクの濃度のばらつきは画像の光沢レベルのばらつきに対応することになりうる。印刷された画像にわたる光沢レベルのこれらのばらつきは顧客には受け入れがたい。

印刷された画像の光沢レベルを制御するのに使用されてきた方法の１つは無色のコーティング材料で印刷された媒体全体をコートすることであり、このコーティング材料は印刷された媒体上に保護層を提供するとともに印刷された媒体に実質的に均一な光沢を提供するように設計される。多くのタイプのコーティング材料を使用することができる。たとえば、標準的プリントヘッドを用いて噴射することができるコーティングインクが開発されている。これらのコーティングインクの組成を調整して、印刷された画像に実質的にいずれの光沢レベルをも、たとえば、高光沢、無光沢、サテン等を提供することができる。

いくつかの場合には、顧客は特定の光沢レベルを印刷される画像、ページまたは印刷ジョブの全部または一部に選択し印刷できることを望む場合がある。各種光沢レベル、たとえば、高光沢、半光沢、無光沢等はそれぞれ、各種印刷仕様に望まれる特徴を有しうる。たとえば、高光沢レベルを有するカラー画像は、比較的低光沢レベルを有するカラー画像より生き生きとした色味を有しうる。同様に、低光沢レベルを有する印字は高光沢レベルを有する印字より読みやすい場合がある。印刷された媒体全体にわたって光沢レベルを選択的に変更することによって、印刷された媒体のそれぞれの領域は質が向上しおよび／または対照的となり、審美的に目立つ結果を生じうる。

しかし、最も以前から周知のプリンタは印刷された画像に単一の光沢仕上げ、たとえば、高光沢仕上げしか提供することができない。複数の光沢仕上げを印刷された画像に提供することができるいくつかのプリンタが開発されている。しかし、これらのシステムで複数の光沢レベルを提供するために、典型的に、所望の光沢レベル毎に別個のコーティングインクを備えている。異なる光沢レベルを有するコーティングインクは典型的に現場以外の場所で典型的に製造されるので、各所望の光沢コーティングインクの補給をその実際の使用に先んじて注文しておかねばならない場合がある。さらに、顧客は必要以上の量の異なる光沢インクを業者に注文しておかねばならない場合がある。

本発明の実施の形態では、インクジェット画像形成装置を提供する。インクジェット画像形成装置は、画像受容表面と、複数の着色インク補給源（各着色インク補給源は異なる色のインクを補給するように構成される）と、少なくとも１つの着色インク補給源に操作可能に接続されるプリントヘッド（このプリントヘッドは、少なくとも１つの着色インク補給源から受け取った着色インクを画像受容表面上へと放出するように配置される）とを備える。また、画像形成装置は、第１の光沢レベルを有する高光沢コーティングインクを補給するための高光沢コーティングインク補給源と、第２の光沢レベルを有する低光沢コーティングインクを補給するための低光沢コーティングインク補給源とを有する。コーティングモジュールは、高光沢コーティングインクと低光沢コーティングインクをそれぞれ高光沢コーティングインク補給源と低光沢コーティングインク補給源から受け取るように構成される。コーティングモジュールは、高光沢コーティングインクを画像受容表面上へと放出するように構成される第１のインクジェットノズル群と、低光沢コーティングインクを画像受容表面上へと放出するように構成される第２のインクジェットノズル群とを含む。コーティングモジュールは、高光沢コーティングインクを画像受容表面上へと噴出するように構成される第１のインクジェットノズル群と、低光沢コーティングインクを画像受容表面上へと噴出するように構成される第２のインクジェットノズル群とを含む。コントローラは第１および第２のインクジェットノズル群を選択的に駆動させて、高光沢および低光沢コーティングインクを画像受容表面上へと網版パターンに従って配置し、画像受容表面上に光沢コーティングを形成するように構成される。網版パターンは、画像受容表面上に配置される高光沢コーティングインクについての網版濃度と低光沢コーティングインクについての網版濃度を指定したものである。高および低光沢コーティングインクの網版濃度は光沢コーティングについての光沢レベルに対応する。

前述の態様および本開示の他の特徴を、添付の図面と関連付けて以下の記載で説明する。

図１は、コーティングシステムを含む相転移画像形成装置のブロック図である。 図２は、図１のコーティングシステムのある実施の形態のブロック図である。 図３は、図１のコーティングシステムの別の実施の形態のブロック図である。 図４Ａは、高光沢コーティングを生じる例示の網版セルである。 図４Ｂは、低光沢コーティングを生じる例示の網版セルである。 図４Ｃは、中光沢コーティングを生じる例示の網版セルである。 図５Ａは、中光沢コーティングを生じる別の例示の網版セルである。 図５Ｂは、中光沢コーティングを生じる別の例示の網版セルである。

ここで使用されるように、「光沢」という用語は一般的に、他の方向に比べて鏡方向により多くの光を反射する表面能力のことを言う。光沢レベルは、表面の鏡面反射の程度の測定値である。光沢レベルは常套の光沢計、たとえば、ガードナー（Ｇａｒｄｎｅｒ）光沢計を用いて測定されてもよい。光沢計は表面に対して特定の角度の光をあて反射の程度を測定する。測定される表面のタイプが使用される光沢計の角度を決める。光沢レベルを測定するために表面にあてる光の典型的な入射角には２０度、３０度、４５度、６０度、７５度および８０度等がある。

図１は相転移（または固形インク型）インクジェット画像形成装置１０の実施の形態を図示しており、この装置は複数の選択可能な光沢コーティングを、印刷された画像に提供することができる。特に、例示の画像形成装置は印刷ステーション１２を含み、これは印刷媒体上へとインクを放出して画像を形成するための２つのプリントヘッドモジュール２４、２６を有する。印刷ステーション１２はまた、顧客が選択可能なコーティングを印刷された媒体に提供するためのコーティングシステム１００を含む。以下により詳細に説明するように、コーティングシステム１００は、それぞれ高光沢コーティングと低光沢コーティングを提供するための高光沢インクと低光沢インクを含む。コーティングシステム１００は、所望の光沢レベルを製造するために、高光沢と低光沢インクをディザリングまたは網版印刷することによって選択可能な中光沢レベルコーティングを製造するように構成される。

印刷ステーション１２は、給紙モジュール１４と仕上げモジュール１６の間に配置される。印刷ステーション１２には、業界で周知のように、給紙モジュール１４から印刷媒体が送られる。たとえば、給紙モジュール１４は複数の印刷媒体源、たとえば、トレイ３０を含んでもよい。各給紙トレイ３０は異なる性質、たとえば、粗さ、コート、重量等を有する印刷媒体を含んでもよい。プリントヘッドモジュールが印刷できるなら、印刷媒体は実質的にいかなるタイプの媒体でも、たとえば、高品質ボンド紙、低品質「コピー」紙、オーバーヘッドプロジェクタの透明シート、高光沢紙等でもよい。別の実施の形態では、プリンタ１０は巻き取り紙プリンタであってもよく、巻き取り紙は給紙モジュール１４にあり、印刷ステーションを通過して仕上げモジュール１６で回収される。巻き取り紙は給紙ローラから巻き取りローラまたは他の引っ張り装置によって仕上げモジュール１６内に引き込まれてもよい。

印刷媒体輸送システムは、給紙モジュール１４、印刷ステーション１２および仕上げモジュール１６を連結する。印刷媒体輸送システムは、画像形成装置１０を通過する印刷媒体の移動を案内するための媒体通路３８のネットワークを含む。印刷媒体輸送システムは駆動部材、たとえば、ローラ対、球状ニップ、エアジェット等を有してもよい。輸送システムはさらに、駆動部材用の関連モータ、ベルト、案内ロッド、フレーム等（図示せず）を含んでもよく、駆動部材と組み合わせて、選択された通路に沿って選択された速度で印刷媒体を運搬するのを補助する。例示の実施の形態では、源１４からの印刷媒体を、トレイ３０に共通の通路によって印刷ステーション１２へと誘導する。印刷媒体上に、媒体通路３８に沿って配置された印刷ステーション１２のプリントヘッドモジュールによって、印刷する。また通路３８は印刷された媒体をフィニッシャー１６に搬送する。

また、印刷ステーション１２は放出されたインクの液滴または画像を巻き取り紙に定着させるための定着アセンブリ４４を含んでもよい。定着アセンブリ４４は、画像を媒体に定着することができれば、業界で周知のいずれの好適なタイプの装置または機械でもよい。定着アセンブリのタイプは画像形成装置に使用されるインクのタイプに依存する。たとえば、固形インクの実施の形態では、定着アセンブリは一対の定着ローラ（図示せず）を有してもよく、これらは互いにニップを形成するように配置され、このニップを通過して媒体は供給される。媒体上のインク液滴は、ニップが形成する圧力によって、媒体に押し付けられ、媒体上に広げられる。水性インクでは、定着アセンブリは、インクを媒体に定着させるために、印刷されたインクに熱を加えるためのドライヤまたはヒータを含んでもよい。ＵＶ硬化性インクを用いた実施の形態では、定着アセンブリは印刷されたインクに紫外線を供給するためのＵＶランプを含んでもよい。

引き続き図１を参照すると、印刷ステーション１２は画像データに従って印刷媒体にインクを放出するための複数のプリントヘッドモジュール２４、２６を含む。図１の実施の形態では、印刷ステーションは、固形インク印刷法を実行して印刷媒体上へと画像を印刷するように構成される。したがって、印刷ステーションのプリントヘッドモジュールは相転移インクまたは固形インクプリントヘッドモジュールとして構成される。媒体は印刷ゾーン１８を通過して移動するので、各プリントヘッドモジュールは、印刷媒体上へと直接インク液滴を放出するために、媒体通路に適切に隣接して支持される。別の実施の形態では、プリントヘッドアセンブリは中間転写部材（図示せず）、たとえば、ドラムまたはベルト上へと液滴を放出し、次いで媒体に転写するように構成されてもよい。

インクは固形インク補給部４８からプリントヘッドモジュールへと補給される。相転移インク画像形成装置１０は多色装置であるので、インク補給部４８は複数の固形インク源５０、５４、５８、６０を含み、その各々はプリントヘッドモジュール２４、２６へと異なる色のインクを補給するようにそれぞれ構成される。ある実施の形態では、固形インク補給部の各固形インク源５０、５４、５８、６０は、特定色の固形インクスティックを装填し供給し融解するための専用チャネルを含有する。特に、各インクチャネル５０、５４、５８、６０は、インクを固体状態インクから液体状態へと融解し次いでこの液体インクをプリントヘッドモジュールへと補給するために、適当な着色固形インクスティックを融解制御アセンブリまたは装置（図示せず）へと案内する。

各プリントヘッドモジュール２４、２６は固形インク補給部から少なくとも１色のインクを受け取り、そのインクを媒体上へと放出するように構成される。したがって、各プリントヘッドモジュール２４、２６は、固形インク補給部から受け取ったインクを噴出するために、複数のインクジェットノズルを有する少なくとも１つのプリントヘッドを備える。インクはインクジェットノズルからいずれの好適な方法で噴出されてもよい。ある実施の形態では、各インクジェットは薄い隔膜に接着された圧電変換機を含み、隔膜は電気信号によって変換機を拡大させることにより圧力チャンバーからインクを排出させることができる。コントローラ２０は、画像データに従って駆動信号を発生し、プリントヘッドモジュールのインクジェットに、インクジェットからインクを放出させ、印刷媒体上に画像を形成させるように構成されてもよい。

図１の実施の形態では、ＣＭＹＫプリントヘッドモジュール２４と拡張色域プリントヘッドモジュール２６を図示する。ＣＭＹＫプリントヘッドモジュールは、業界で周知のように、ＣＭＹＫの各色用のプリントヘッド、すなわち、シアンインク放出用プリントヘッド、マゼンタインク放出用プリントヘッド、イエローインク放出用プリントヘッドおよびブラックインク放出用プリントヘッドを含む。同様に拡張色域プリントヘッドモジュールは、拡張色域における各色用のプリントヘッド、たとえば、ライトシアンインク放出用プリントヘッド、ライトマゼンタインク放出用プリントヘッド、オレンジインク放出用プリントヘッドおよびグリーンインク放出用プリントヘッドを含む。ＣＭＹＫプリントヘッドモジュールおよび拡張色域プリントヘッドモジュールはインクの色毎に別個のプリントヘッドを有するように記載したが、別の構成が考えられる。たとえば、各プリントヘッドモジュールは、固形インク補給部から受け取ったインクを色毎に噴出するための専用のインクジェットノズルアレイを有する、すなわち、シアンインク噴出用ノズルアレイ、マゼンタインク噴出用ノズルアレイ等を有する単一のプリントヘッドを含んでもよい。場合によっては、画像形成装置で使用されるインクの色毎に別個のプリントヘッドモジュールであってもよい。たとえば、シアンプリントヘッドモジュール、マゼンタプリントヘッドモジュール、イエロープリントヘッドモジュール等であってもよい。

プリントヘッドモジュールに使用されるプリントヘッドはいずれの好適な構成、たとえば、ページ幅アレイ、部分的ページ幅アレイおよびキャリッジタイププリントヘッドを有してもよい。たとえば、プリントヘッドモジュールは、プリントヘッドモジュールに関してインクの色毎に少なくとも１つのページ幅アレイプリントヘッドを有してもよい。別の実施の形態では、プリントヘッドモジュールは、プリントヘッドに関して色毎に複数の部分幅アレイプリントヘッドを有してもよい。複数の部分幅アレイプリントヘッドは、画像形成装置の媒体通路にわたって端から端まで直線にまたはジグザグ状態に配置される。また別の実施の形態では、プリントヘッドモジュールはキャリッジまたは同様の支持構造上に取り付けられてもよく、プリントヘッドモジュールのプリントヘッドを媒体に関して移動できるようにしてもよい。当業者が決定することができるようなプリントヘッドモジュールのプリントヘッドには複数の可能な配列および構成が可能であり、これは本開示の範囲内と考えられる。

機械またはプリンタ１０の各種サブシステム、成分および機能の操作および制御はコントローラ２０の支援を受けて実行される。コントローラ２０はたとえば、ハードウエア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそのいずれかの組み合わせとして実行されてもよい。コントローラはユーザインターフェイス２２および電子記憶装置（図示せず）を含む。電子記憶装置はコントローラに必要なデータ、たとえば、画像データ、成分制御プロトコール等を記憶することができる。電子記憶装置は不揮発メモリ、たとえば、読み取り専用メモリ（ＲＯＭ）またはプログラム可能な不揮発メモリ、たとえば、ＥＥＰＲＯＭまたはフラッシュメモリであってもよい。もちろん、電子記憶装置はインクジェットプリンタ内に搭載されてもよく、外部に配置されてもよい。ユーザインターフェイス２２によって、オペレータは、画像形成装置の各種オペレータに調節可能な機能および保守活動を制御し監視することができる。オペレータはユーザインターフェイスの適当なキーを操作し、印刷操作のパラメータを調節してもよい。ユーザインターフェイスは、オペレータインターフェイスをシステムに提供するならば、タッチスクリーンでもいずれの他の好適な制御パネルでもよい。

操作時に、コントローラ２０は画像データ源から画像データを受け取る。画像データ源は、多くの異なる源、たとえば、電子画像データを生じるのに好適なスキャナ、デジタル複写機、ファクシミリ装置、または電子画像データを記憶および／または送信するのに好適な装置、たとえば、ネットワークのクライアントまたはサーバ、またはインターネットのいずれの１つでもよい。画像データを受け取ると、コントローラ２０は駆動信号を発生してプリントヘッドモジュールのインクジェットを駆動させ、印刷媒体上へとインクを噴出させて画像源から受け取った画像データに従う画像を製造する。

画像をプリントヘッドモジュールによって印刷媒体上に形成したら、印刷された媒体は媒体通路に沿って移動するので、印刷された媒体を後のコーティングシステム１００に進める。ここでコーティングシステム１００は、選択可能な光沢コーティングを、印刷された媒体の全部または一部に塗布するように構成される。コーティングシステム１００は、高光沢コーティング、低光沢コーティング、および少なくとも１つの中光沢コーティングを、印刷媒体または印刷媒体の局部に塗布するように構成される。

図１および２を参照すると、コーティングシステムは光沢コントローラ１２０、コーティングインク補給源１０４およびコーティングモジュール１０２を有する。コーティングインク補給源１０４は少なくとも２つの無色のコーティングインクをコーティングモジュールに補給するように構成され、各コーティングインクは異なる光沢レベルを印刷される画像に提供するように構成される。図１および２の実施の形態では、コーティングインク補給源１０４は、高光沢コーティングインク１０８と低光沢コーティングインク１１０を補給するように構成される。コーティングモジュールは、高光沢インク放出用の複数のインクジェットノズル１１４と低光沢インク放出用の複数のインクジェットノズル１１８を有するプリントヘッド１１２を含む。コーティングシステムで使用されるプリントヘッドは、着色インクを噴出するのに使用されるプリントヘッドと同様または同じタイプであってもよい。別の実施の形態では、コーティングシステムは高、低および中光沢コーティングインクのそれぞれを噴出するための別個のプリントヘッドを含んでもよい。たとえば、図３はコーティングシステムの別の実施の形態を示しており、これは高光沢プリントヘッド１６０と低光沢プリントヘッド１６４を含む。光沢コントローラ１２０は駆動信号を発生し、コーティングシステム１００のプリントヘッドのインクジェットを駆動させて高光沢および／または低光沢コーティングインクをインクジェットから噴出し、印刷媒体上にコーティングを形成するように構成される。

高および低光沢コーティングインクは、所望の光沢レベルを提供することができるいずれの好適な組成を有してもよい。塗布では、必須ではないが、コーティングインクは着色インク用に使用されるプリントヘッドと同じタイプのプリントヘッドを用いて印刷されてもよい。ある実施の形態では、コーティングインクは硬化性インク、たとえば、ＵＶ硬化性インクまたはハイブリッドＵＶ硬化性インクを含有する。しかし、固形インク、水性インク等を含む、いずれの好適なタイプのインクを用いてもよい。低光沢コーティングインクが、業界で周知のように、つや消し剤または曇り剤を含み、低光沢コーティングインクの光沢レベルを低減してもよいことを除けば、高および低光沢コーティングインクはそれぞれ実質的に同じ組成を有してもよい。つや消し剤、たとえば、シリカ、バライト、珪藻土、および重金属石鹸は不規則性な形状の微細粉砕された粒子であり、入射光線を拡散することによって硬化したコーティングの表面外観を曇らせる傾向にある。

コーティングシステム１００は、高光沢コーティング、低光沢コーティングおよび少なくとも１つの中光沢コーティングを、印刷された媒体または印刷された媒体の局部に、コーティングシステムで備えられた高光沢および低光沢コーティングインクのみを用いて塗布するように構成される。高光沢コーティングインクは印刷された画像、ページ、ジョブ等の全部または一部に艶のある仕上がりを提供する。低光沢コーティングインクは印刷された画像、ページ、ジョブ等の全部または一部に低光沢の、たとえば、無光沢仕上がりを提供する。高および低光沢レベルはいずれの好適なレベルであってもよい。たとえば、ある実施の形態では、高光沢レベルは約８０〜９５光沢単位（ｇｌｏｓｓ ｕｎｉｔ）であってもよく、一方、低光沢レベルは約０〜２０光沢単位であってもよいが、各コーティングインクについての光沢レベルはいずれの好適なレベルであってもよい。「中光沢」という用語は、ここで使用されるように、一般的に高光沢コーティングインクと低光沢コーティングインクによってそれぞれ与えられる高光沢レベルと低光沢レベルの間のいずれかの光沢レベルと言うことができる。たとえば、ある実施の形態では、中光沢レベルは約２０〜８０光沢単位の間のいずれかの値でありうる。

コーティングシステムは高、低および中光沢コーティングを高光沢および低光沢コーティングインクをディザリングまたは網版印刷することによって塗布するように構成される。印刷媒体の画像受容表面は格子状パターンの潜在的液滴位置が決められ、これはしばしばピクセルと呼ばれる。網版印刷は、高光沢インクか低光沢インクのいずれかの液滴を画像受容表面上または画像受容表面の局部上の各ピクセル位置に選択的に配置することによって、中光沢コーティングに導くことができる。低光沢インクに対して高光沢インクを受け取るピクセルのパーセンテージまたは割合は、コーティングの見かけ上の光沢レベルを決定する。

ある実施の形態では、光沢コントローラ１２０は網版技術を実行するように構成され、網版セルのアレイに従って所望の光沢レベルを有する光沢コーティングを生じる。各網版セルは固定サイズを有してもよく、アドレス可能なポイントのマトリックス、すなわちピクセルで規定され、ピクセルをデジタル方式で選択的に「オン」または「オフ」にして各種網版パターンを形成してもよい。「ポイント」という用語は、この説明で使用されるように、２次元マトリックスにおいて、アドレス可能な、たとえば、１対のマトリックス座標による位置を言う。光沢コントローラは、プリントヘッドのインクジェットノズルを駆動させて、網版セルにおいて「オン」されたポイント上へと高光沢コーティングインクの液滴またはドットを配置するように、および網版セルにおいて「オフ」された位置上へと低光沢コーティングインクの液滴またはドットを配置するように構成される。

図４Ａ〜４Ｃは光沢コーティングを網版印刷するのに使用される網版セルの実施の形態を図示する。網版セルは全網版光沢画像の一部を形成し、複数のアドレス可能なポイントまたはピクセルを含む。図４Ａ〜４Ｃの網版セルは、この説明の目的のために、正方形の４×４のポイントマトリックスで記載される。しかし、網版セルの構造には、特定の印刷仕様の要求により決定されるように、いくつかの変更を施してもよい。たとえば、網版セルのアドレス性を変更してセル内で有効なポイントの数を増減してもよい。さらに、セルは図４Ａ〜４Ｃに図示される正方形以外のいずれの好適な形状、たとえば、長方形を有してもよい。

図４Ａおよび４Ｂはそれぞれ高光沢コーティングと低光沢コーティングを生じるために使用されうる例示の網版セルを図示する。高光沢コーティングを画像受容表面またはその表面の局部に塗布するために、図４Ａの網版セル内の各ポイント、またはピクセルを「１」に設定して（すなわち、「オン」にして）、実質的に１００％の被写域または濃度の高光沢コーティングインクを画像受容表面の所望領域に塗布する。同様に、低光沢コーティングを画像受容表面またはその表面の局部に塗布するために、図４Ｂの網版セル内の各ポイント、またはピクセルを「０」に設定して（すなわち、「オフ」にして）、実質的に１００％の被写域または濃度の低光沢コーティングインクを画像受容表面の所望領域に塗布する。

光沢レベルの変更は、網版セル内のポイントを選択的に「オン」か「オフ」にして、高光沢と低光沢のポイントの網版パターンを生じるようにすることによって達成される。高光沢ポイントおよび低光沢ポイントのパターンは、コーティングインクの高光沢レベルと低光沢レベルの間の中光沢レベルの印象を人の目に与えるように、空間的に配列されうる。オンおよび／またはオフされるポイントの割合またはパーセンテージは、網版セルの見かけ上の光沢レベルに対応する。たとえば、図４Ｃは、約５０％の高光沢インクと５０％の低光沢インクからなる中光沢コーティングを生じさせるために使用されうる網版セルを図示する。図４Ｃに見られるように、網版セルのポイントはチェッカー盤パターンにおいて「１」と「０」の互い違いとなる。

網版セルの見かけ上の光沢レベルを増加させるためには、高光沢液滴またはドットを受け取るべき網版セル内のポイントのパーセンテージまたは割合を、低光沢液滴またはドットを受け取るべき網版セル内のポイントのパーセンテージまたは割合を減少させるにつれて増加させればよい。同様に、網版セルの見かけ上の光沢レベルを減少させるためには、高光沢液滴またはドットを受け取るべき網版セル内のポイントのパーセンテージまたは割合を、低光沢液滴またはドットを受け取るべき網版セル内のポイントのパーセンテージまたは割合を増加させるにつれて減少させればよい。たとえば、ここで図５Ａおよび５Ｂを参照すると、異なる２つの中光沢コーティングを生じるように設計された網版セルが図示される。図５Ａは、約７５％の高光沢インクと２５％の低光沢インクからなる中光沢コーティングを生じさせるために使用されうる網版セルを図示し、図５Ｂは、約２５％の高光沢インクと７５％の低光沢インクからなる中光沢コーティングを生じさせるために使用されうる網版セルを図示する。したがって、当業者が決定することができるように、高光沢コーティングインクと低光沢コーティングインクを網版印刷して、網版セル内の高および低光沢コーティングインクの相対的パーセンテージに対応する複数の中光沢レベルを製造することができる。

操作時に光沢コントローラは、画像受容表面の全部または局部についての光沢レベルを識別する光沢データを、入力として受け取るように構成される。光沢データは、表面の選択領域をコートするのに単一の光沢レベルを用いたものであってもよく、光沢データは、画像受容表面の異なる領域をコートするのに異なる光沢レベルを用いたものであってもよい。光沢データはいずれの常套の方法で受け取りまたは入力されてもよい。たとえば、光沢データは画像データ源からの画像データ内に含まれてもよい。場合によっては、光沢データは画像形成装置のユーザインターフェイス２２を介して選択可能であってもよい。たとえば、ユーザインターフェイスは、押しボタン、メニュ、リスト等を備えてもよく、これによってユーザはコーティングに望ましい光沢レベルを選択することができる。さらに、ユーザインターフェイスは、ユーザが特定の光沢レベルを受ける領域を選択しまたは目立たせることができるように構成されてもよい。光沢レベルは、各光沢インクのパーセンテージまたは濃度によって識別されうる。たとえば、高光沢コーティングを選択するためには、ユーザは「１００％高光沢」を選択すればよい。同様に、中光沢コーティングを選択するためには、ユーザは「５０％高光沢５０％低光沢」を選択すればよい。

光沢コントローラは、光沢データに対応した光沢レベルを生じさせるために、光沢データを適当な網版パターンに変換するように構成される。たとえば、光沢コントローラはデータ構造を取得するために光沢データを索引キーとして使用し、所望の光沢レベルに関する適当な網版パターンを検索してもよい。網版パターンを、中光沢の所望レベル毎にいずれの好適な方法で導き出してもよい。たとえば、網版パターンは、テストパッチを印刷し、得られた光沢レベル出力を試験し、結果をメモリに記憶することによって、実験的に決定されてもよい。所望光沢レベルについて適当な網版パターンが決定されたら、光沢コントローラはプリントヘッドの適当なインクジェットノズルを駆動させ、網版パターンに従って高光沢および／または低光沢コーティングインクを噴出する。

コーティングシステムが選択可能な光沢コーティングを画像受容表面に塗布したら、光沢計をコーティングシステムの下流の媒体通路に隣接して配置することによって、コーティングの光沢レベルを測定してもよい。たとえば、図１を参照すると、画像形成装置１０は光沢計１５４を含み、これはコーティングシステム１００の下流の媒体通路に隣接して配置され印刷された媒体の光沢レベルを測定する。測定された光沢レベルを目的光沢レベルと比較して、目的光沢レベルからの光沢レベルの偏差を検出してもよい。目的光沢レベルと実際に印刷された光沢レベル間の差に基づいて、光沢コントローラ１２０は動的にコーティングシステムのパラメータを調節して、一貫性のある出力を維持してもよい。

図２を参照すると、コーティングシステムのコーティングモジュール１０２および／またはコーティングインク補給部１０８、１１０は画像形成装置の外部での保管のために、および／または各成分の交換または取り替えを可能にするために取り外すことができてもよい。コーティングモジュール１０２およびコーティングインク補給部１０８、１１０を取り外し可能または取り替え可能に構成することによって、画像形成装置が提供することができる光沢レベルの範囲を、画像形成装置の大きさまたは複雑さを増すことなく、増やすことができる。コーティングモジュールの取り外しおよび／または取り替えを容易にするために、コーティングモジュールの格納庫１７０は、いずれの好適な方法で画像形成装置の印刷ステーションに取り外し可能に接続されるように構成されてもよい。同様に、コーティングインク補給部１０８、１１０は、印刷ステーションに取り外し可能に接続されるように構成されてもよい。印刷ステーションはモジュール位置決めまたはスロットを含んでもよく、これはコーティングモジュールおよび／またはコーティングインク補給部を印刷ステーション内の操作位置に取り外し可能に固定するように構成される。それぞれのコーティングモジュールまたはインク源についてのハウジングまたは支持体は、必要に応じてユニットが交換または取り替えできるように、同様に寸法合わせされてもよい。

コーティングモジュールを画像形成装置から取り外す場合には、モジュールをクリーニングユニット（図示せず）に入れてもよく、クリーニングユニットはモジュールからインクを掃除するように構成されうる。プリンタユーザは、新しい清潔なコーティングモジュールを画像形成装置に取り付け、特定の光沢レベル用にこれをプログラムしてもよく、この間先のモジュールを洗浄掃除する。クリーニングユニットの構成はいずれの好適な構成を有してもよく、プリントヘッドを通じて汲み上げる溶剤を有していてもよい。洗浄すれば、コーティングモジュールは同じ光沢レベルコーティングまたは異なる光沢レベルコーティングを塗布するのに使用されてもよい。

上記コーティングシステムは、高光沢（すなわち艶あり）から低光沢（すなわち無光沢またはつや消し）までのいずれの所望レベルの光沢をも実質的に有する複数選択可能な光沢コーティングを提供するのに有効である。さらに、各種光沢レベルを製造する能力は、光沢画像または光沢のマークを印刷物に埋め込むことを可能にし、これをセキュリティや真正証明の手段として、または装飾的または審美的目的で使用することができる。選択可能な光沢コーティング法を、光沢コーティングにおいてデジタルアドレス可能な画像を製造することや、ページ全体にわたって画像に耐久性および保護性を与えながら特定領域のみに高または低光沢コーティングを塗布することにまで広げてもよい。コーティングシステムは上記高光沢および低光沢コーティングインクよりも多くの光沢コーティングインクを使用するように構成されてもよい。たとえば、４個の異なる光沢レベルインクを使用するなら、４個の異なる光沢レベルがピクセルに基づいて印刷媒体に塗布され、コーティングの光沢レベルにより連続諧調を生じさせることができる。

１０ 画像形成装置、２４，２６ プリントヘッドモジュール、５０，５４，５８，６０ 固形インク源、１０２ コーティングモジュール、１０４ コーティングインク補給源、１０８ 高光沢コーティングインク、１１０ 低光沢コーティングインク、１１４ 高光沢インク放出用の複数のインクジェットノズル、１１８ 低光沢インク放出用の複数のインクジェットノズル、１２０ 光沢コントローラ。

Claims (4)

1. 画像受容表面と、
   それぞれが異なる色のインクを補給するように構成される複数の着色インク補給源と、
   少なくとも１つの着色インク補給源に操作可能に接続され、少なくとも１つの着色インク補給源から受け取った着色インクを画像受容表面へと放出するように配置されるプリントヘッドと、
   第１の光沢レベルを有する高光沢コーティングインクを収容する高光沢コーティングインク補給源と、第１の光沢レベルよりも低い光沢レベルである第２の光沢レベルを有する低光沢コーティングインクを収容する低光沢コーティングインク補給源と、
   高光沢コーティングインク補給源および低光沢コーティングインク補給源からの高光沢コーティングインクと低光沢コーティングインクとをそれぞれ受け取るように構成されるコーティングモジュールと、を備え、
   コーティングモジュールは、
   高光沢コーティングインクを画像受容表面上へと噴出するように構成される第１のインクジェットノズル群、および、低光沢コーティングインクを画像受容表面上へと噴出するように構成される第２のインクジェットノズル群と、
   第１および第２のインクジェットノズル群についての駆動信号を発生して、各網版パターンが光沢コーティングについての異なる光沢レベルに対応する複数の網版パターン内の少なくとも１つの網版パターンに従って、画像受容表面の少なくとも一部の上に光沢コーティングを形成するように構成されるコントローラと、を含み、
   前記網版パターンは複数ピクセルからなる網版セルを有し、前記網版セル内の各ピクセルに高光沢コーティングインクか低光沢コーティングインクのいずれかが塗布され、前記網版セル内の全ピクセル内に占める高光沢コーティングインクが塗布されたピクセルと低光沢コーティングインクが塗布されたピクセルとの割合から前記網版セルの光沢レベルが設定される、インクジェット画像形成装置。
2. 請求項１に記載のインクジェット画像形成装置において、
   画像受容表面は複数のピクセルを有し、少なくとも１つの網版パターンは、高光沢コーティングインクを受け取る画像受容表面の少なくとも一部のピクセルと低光沢コーティングインクを受け取る画像受容表面の少なくとも一部のピクセルとを識別するように構成されることを特徴とするインクジェット画像形成装置。
3. 請求項２に記載のインクジェット画像形成装置において、
   網版パターン内のピクセル総数と比べた、高光沢コーティングインクを受け取る少なくとも１つの網版パターン内のピクセルの数は、高光沢コーティングインクについての網版濃度に対応し、ピクセル総数と比べた、低光沢コーティングインクを受け取る網版パターン内のピクセルの数は、低光沢コーティングインクについての網版濃度に対応し、高光沢および低光沢コーティングインクの網版濃度は網版についての光沢レベルに対応することを特徴とするインクジェット画像形成装置。
4. 請求項３に記載のインクジェット画像形成装置において、
   複数の網版パターンは、
   高光沢コーティングを生じる高光沢網版パターンであって、複数のピクセル内の各ピクセルが高光沢コーティングインクを受け取ることを示す高光沢網版パターンと、
   低光沢コーティングを生じる低光沢網版パターンであって、複数のピクセル内の各ピクセルが低光沢コーティングインクを受け取ることを示す低光沢網版パターンと、
   第１と第２の光沢レベルの中間の光沢レベルを有する少なくとも１つの中光沢コーティングを生じる少なくとも１つの中光沢網版パターンであって、少なくとも１つの中光沢網版パターンが高光沢コーティングインクについての網版濃度と低光沢コーティングインクについての網版濃度とを識別して少なくとも１つの中光沢コーティングを形成する中光沢網版パターンと、
   を含むことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
   

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