本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、ディジタルテレビジョン放送に対応した信号(以下、「放送信号」という)を送信する放送システムに関する。放送信号では、複数の無線チャンネルに対して周波数多重がなされていることがあるが、ここでは、説明を明瞭にするためにひとつの無線チャンネルだけを説明の対象にする。また、無線チャンネルは、複数のセグメントによって形成されている。なお、ひとつの無線チャンネルに含まれたひとつのセグメントは、1セグメント放送として使用可能であるので、当該セグメントを受信するだけでも、番組が視聴される。放送事業者以外の団体等が放送信号を送信することによって自主番組を放送する場合に、放送エリアを拡大するために、複数の送信装置が設置される。
一方、複数の団体が放送システムを共有する場合に、団体によって自主番組を放送したいエリアが異なることもある。その際、各送信装置から、異なった自主番組が送信される。また、自主番組と、当該自主番組が配置されるセグメントとの関係が、固定されてる場合、ユーザが移動することによって放送エリアが変わると、使用されているセグメントも変わる。その結果、ユーザは、放送エリアが変わるごとに、セグメントを設定しなければならなくなる。これによって、ユーザの利便性が悪化するだけではなく、自主番組が受信されなくなる可能性も増加する。これに対応するために、次の処理が実行される。なお、以下の説明において、セグメントに配置したデータを「セグメント成分」とよぶ。
本発明の実施例では、管理装置と複数の送信装置のそれぞれとがネットワークを介して接続されている。管理装置は、複数の自主番組が含まれたTS(Transport Stream)信号を生成する。ここで、TS信号は、セグメントごとに自主番組の内容を変えながら、複数のセグメント成分にて形成されたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号(以下、「変調信号」という)に配置可能なように生成される。管理装置は、ネットワークを介して、複数の送信装置へTS信号を送信する。各送信装置は、ネットワークを介してTS信号を受信すると、TS信号をもとに変調信号を生成する。ここで、変調信号は、周波数領域のOFDM信号に相当し、複数の送信装置において共通である。
また、各送信装置には、放送すべき自主番組に関する情報、つまりOFDM信号の中から放送すべきセグメント成分に関する情報がそれぞれ設定される。各送信装置は、OFDM信号のうち、放送すべきセグメント成分が共通のセグメントに配置されるように、セグメント成分を組みかえる。例えば、共通のセグメントが、変調信号の中心のセグメントと規定されている場合に、放送すべきセグメント成分が中心のセグメントでなければ、送信装置は、両者のセグメント成分を組みかえることによって、放送すべきセグメント成分を中心のセグメントに配置させる。
送信装置は、セグメント成分の組み替えを実行した変調信号(以下、これも「変調信号」ということがある)を時間領域に変換し、さらに中間周波数帯および無線周波数帯へ順に変換することによって、送信信号を生成する。複数の送信装置のそれぞれは、送信信号を放送する。なお、複数の送信装置は、互いの干渉が小さくなるような位置に設置されている。受信装置は、どの放送エリアに存在するかに関係なく、送信信号の中心部分の帯域に配置されたセグメント成分を受信すれば、各送信装置から放送されている自主番組を再生できる。
なお、デジタルラジオ放送に対して、ひとつのセグメント成分を3つのセグメント成分と読み替えることによって、本実施例はデジタルラジオ放送に適用される。さらに、セグメントの概念を有するシステムに対して、少なくともひとつのセグメント成分であって、かつ復調可能な数のセグメント成分を抽出することによって、本実施例は当該システムに適用される。以下では、説明を明瞭にするためのこれらの変形例の説明を省略する。
図1は、本発明の実施例に係る放送システム100の構成を示す。放送システム100は、管理装置10、送信装置12と総称される第1送信装置12a、第2送信装置12b、第N送信装置12n、受信装置14、ネットワーク16を含む。また、第1送信装置12aは、第1送信用アンテナ20aを含み、第2送信装置12bは、第2送信用アンテナ20bを含み、第N送信装置12nは、第N送信用アンテナ20nを含む。ここで、第1送信用アンテナ20a、第2送信用アンテナ20b、第N送信用アンテナ20nは、送信用アンテナ20と総称される。また、受信装置14は、受信用アンテナ22を含む。
管理装置10は、複数のセグメント成分に対応したデジタルデータをTS信号の形式にて生成する。TS信号は、複数のセグメント成分が周波数領域にて多重されたOFDM信号の生成ために使用されるが、ここでは、当該OFDM信号をまず説明する。OFDM信号は、ディジタルテレビジョン放送に対応した形式を有する。また、ディジタルテレビジョン放送とは、例えば、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)、DVB(Digital Video Broadcasting)にて規定されたシステムである。ISDB−TにおけるOFDM信号には、429KHz幅のセグメントが13個含まれている。本実施例におけるOFDM信号は、後述のごとく、ISDB−T等と異なり、セグメントごとに異なった自主番組が配置されている。つまり、セグメントごとにワンセグメント放送が実現されている。
管理装置10は、複数の送信装置12のそれぞれが放送すべきセグメント成分に関する情報をテーブルとしてまとめる。また、管理装置10は、テーブルが含まれた制御信号を生成する。管理装置10は、ネットワーク16に接続される。ネットワーク16は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や無線LANによって形成されており、IPネットワークに相当する。管理装置10は、IPネットワークに対応したパケット信号に、TS信号や制御信号を格納させる。また、管理装置10は、ネットワーク16を介して、複数の送信装置12へパケット信号を送信する。
複数の送信装置12のそれぞれは、ネットワーク16を介して管理装置10からのパケット信号を受信する。送信装置12は、パケット信号から、TS信号および制御信号を抽出する。送信装置12は、TS信号をもとに、複数のセグメント成分が周波数領域にて多重された変調信号を生成する。なお、変調信号は、周波数領域のOFDM信号に相当し、複数のセグメントのそれぞれに自主番組が配置されている。ここで、変調信号では、変調方式としてQPSKが使用されている。各送信装置12は、制御信号から、自らが放送すべきセグメント成分を特定する。このようなセグメント成分が配置されたセグメントを第1セグメントという。
また、変調信号の帯域のうち、放送に使用すべきセグメントとして、第2セグメントが予め定められている。例えば、第2セグメントは、変調信号に含まれた複数のセグメントのうち、中心部分のセグメントに相当する。送信装置12は、第1セグメントと第2セグメントとが異なっている場合に、第1セグメントに配置されたセグメント成分が第2セグメントに配置されるように、変調信号内において複数のセグメント成分の配置を組みかえる。具体的には、第1セグメントに配置されたセグメント成分を第2セグメントへ移動させ、第2セグメントに配置されたセグメント成分を第1セグメントへ移動させる。このような処理によって、複数の送信装置12のそれぞれに対して、放送すべきセグメント成分が異なっていても、複数の送信装置12にわたって、第2セグメントが共通に規定されている。
送信装置12は、変調信号に対して、ベースバンドから中間周波数帯への周波数変換を実行し、周波数変換した変調信号に対して、さらに無線周波数帯への周波数変換を実行する。送信装置12は、無線周波数帯へ変換した変調信号(以下、「送信信号」という)を放送する。ここでは、ベースバンド帯、中間周波数帯、無線周波数帯にかかわらず、第1セグメントに対応した部分、第2セグメントに対応した部分を第1セグメント、第2セグメントとそれぞれよぶ。また、以下では、説明を明瞭にするために、複数の送信装置12から放送される送信信号間の干渉は、受信装置14の受信特性に影響ないものとする。
受信装置14は、受信用アンテナ22を介して、送信装置12からの送信信号を受信する。また、受信装置14は、送信信号を復調することによって、自主番組を再生する。また、受信装置14は、図示しないモニタに自主番組を表示する。ここで、受信装置14は、ユーザに携帯されて移動しており、第1送信装置12aの周囲において、第1送信装置12aからの送信信号を受信し、第2送信装置12bの周囲において、第2送信装置12bからの送信信号を受信する。なお、各送信装置12からの送信信号のうち、受信すべきセグメント成分は、いずれも第2セグメントに配置されているので、受信装置14は、どこに存在しているかに関係なく、第2セグメントのセグメント成分を復調すればよい。
図2は、管理装置10の構成を示す。管理装置10は、記憶部30、TS信号生成部32、制御信号生成部40、通信部42、制御部36を含む。記憶部30は、複数種類の自主番組を記憶する。ここで、自主番組は、動画像データであり、かつデジタルデータとして形成されている。なお、このような動画像データやデジタルデータには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。TS信号生成部32は、記憶部30から複数種類の自主番組を抽出し、それらからTS信号を逐次生成する。TS信号には公知の技術が使用されればよいが、ここでは、複数種類の自主番組のそれぞれが、互いに異なったセグメントに配置されるように、TS信号が生成される。TS信号生成部32は、TS信号を通信部42へ出力する。
制御信号生成部40は、複数の送信装置12と、各送信装置12において放送すべきセグメント成分との対応が示されたテーブルを保持する。テーブルの詳細は後述する。なお、各送信装置12において放送すべきセグメント成分は、セグメントを識別可能な識別番号によって示される。このようなテーブルは、ユーザによって予め生成されている。制御信号生成部40は、テーブルが含まれた制御信号を生成し、制御信号を通信部42へ出力する。
通信部42は、有線LANシステムや無線LANシステムに対応した通信機能を有する。なお、有線LANシステムや無線LANシステムとして公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。通信部42は、TS信号生成部32からTS信号を受けつけるとともに、制御信号生成部40から制御信号を受けつける。局部発信部54は、IPネットワークに対応したパケット信号に、TS信号や制御信号を格納する。通信部42は、図示しないネットワーク16に接続されており、ネットワーク16を介して、複数の送信装置12へパケット信号を送信する。制御部36は、管理装置10全体の動作を制御する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図3は、送信装置12の構成を示す。送信装置12は、通信部70、送信部72、送信用アンテナ20、抽出部62、特定部64、設定部52、局部発信部54、制御部60を含む。送信部72は、マッピング部74、組み替え部76、IFFT部78、直交変調部80、周波数変換部56、BPF部58を含む。図1のごとく、放送システム100には、複数の送信装置12が含まれている。
通信部70は、図示しない通信部42と同様の機能を有する。通信部70は、図示しないネットワーク16に接続されており、ネットワーク16を介して管理装置10からのパケット信号を受信する。通信部70は、パケット信号に格納されたTS信号や制御信号を抽出する。前述のごとく、TS信号は、複数のセグメント成分に対応したデータに相当する。
抽出部62は、通信部70において抽出したTS信号および制御信号から、制御信号を抽出する。また、抽出部62は、抽出した制御信号を復調することによって、制御信号に格納されたテーブルを取得する。図4は、抽出部62において抽出される制御信号のデータ構造を示す。図示のごとく、送信装置名欄210、使用セグメント欄212が含まれる。送信装置名欄210には、各送信装置12の名称が示されている。使用セグメント欄212には、各送信装置12が送信すべきセグメント番号が示される。セグメント番号は、複数のセグメント成分のそれぞれを特定するために付与された番号である。図3に戻る。抽出部62は、取得したテーブルを特定部64へ出力する。
特定部64は、抽出部62からのテーブルを受けつける。特定部64は、自らの送信装置12の名称を予め記憶しており、図4の送信装置名欄210を検索することによって、自らの送信装置12の名称を特定する。また、特定部64は、特定した送信装置12の名称に対応したセグメント番号を特定する。特定部64は、特定したセグメント番号を設定部52へ出力する。
マッピング部74は、通信部70からTS信号を受けつける。マッピング部74は、TS信号に含まれた複数種類の自主番組を互いに異なったセグメントに配置させる。また、マッピング部74は、複数のセグメント成分を変調する。マッピング部74は、変調に使用すべき変調方式として、QPSKを使用する。変調結果が、周波数領域のOFDM信号に相当する。つまり、マッピング部74は、TS信号をもとに、複数のセグメント成分が周波数領域にて多重された変調信号を生成する。マッピング部74は、変調信号を組み替え部76へ逐次出力する。
組み替え部76は、マッピング部74からの変調信号を入力するとともに、設定部52からの組み替え指示も入力する。なお、組み替え指示は、前述の特定部64において特定されたセグメント番号に対応した指示である。組み替え部76は、変調信号のうち、特定部64において特定された第1セグメントが、予め定められた一部の第2セグメントと異なっている場合に、第1セグメントでのセグメント成分が第2セグメントに配置されるように、変調信号内において複数のセグメント成分の配置を組みかえる。ここでは、このような組み替え処理を図面を使用しながら説明する。
図5(a)−(c)は、組み替え部76での処理の概要を示す。図5(a)は、マッピング部74からの変調信号を示した図である。これは、変調信号のスペクトラムに相当する。図の左側が低周波数側に相当し、図の右側が高周波数側に相当する。また、ひとつの変調信号は、前述のごとく、13個のセグメントに分割されており、前述のセグメント番号が、低周波数側から順番に、「11」、「9」、「7」、・・・、「10」、「12」のように付与されている。また、各セグメントに、別の自主番組が配置されている。これは、各セグメント番号に対応したセグメント成分が、各セグメントに配置されていることである。ここで、第2セグメントは、セグメント番号「0」、つまり変調信号の中心部分のセグメントであるとする。
また、図5(a)において、組み替え指示が、セグメント番号「5」を示している場合を想定する。これは、第1セグメントが、セグメント番号「5」に相当する場合である。マッピング部74は、セグメント番号「5」に含まれたセグメント成分とセグメント番号「0」に含まれたセグメント成分とを組み替える。つまり、図5(b)のごとく、図5(a)のセグメント番号「5」に含まれたセグメント成分が、セグメント番号「0」に配置される。図5(b)は、このようなセグメント成分を「5’」として示す。一方、図5(a)のセグメント番号「0」に含まれたセグメント成分が、セグメント番号「5」に配置される。図5(b)は、このようなセグメント成分を「0’」として示す。
また、図5(a)において、組み替え指示が、セグメント番号「6」を示している場合、組み替え部76での処理結果が、図5(c)に示される。図示のごとく、もともとセグメント番号「6」に配置されたセグメント成分「6’」がセグメント番号「0」に配置され、もともとセグメント番号「0」に配置されたセグメント成分「0’」がセグメント番号「6」に配置される。以上の説明において、セグメント成分を組み替えることは、自主番組を組み替えることに相当する。図3に戻る。ここでは、セグメント成分を組み替えた変調信号もまた、「変調信号」という。なお、セグメント成分を組み替える際に、SP信号の位相不連続が生じる場合、組み替え部76は、位相が連続になるような処理を実行してもよい。また、このような場合に、組み替え部76は、SP信号を組み替えの対象から除外してもよい。組み替え部76は、変調信号をIFFT部78へ出力する。
設定部52は、特定部64から、特定されたセグメント番号を受けつける。設定部52は、特定されたセグメント番号をもとに、組み替え指示を生成する。具体的に説明すると、設定部52は、特定されたセグメント番号のセグメント成分をセグメント番号「0」へ移動させ、セグメント番号「0」のセグメント成分を、特定されたセグメント番号へ移動させる旨の指示を生成する。設定部52は、組み替え指示を組み替え部76へ出力する。
IFFT部78は、組み替え部76からの変調信号、つまり周波数領域のOFDM信号を受けつける。IFFT部78は、周波数領域のOFDM信号に対してIFFTを実行することによって、時間領域のOFDM信号を生成する。ここで、周波数領域のOFDM信号および時間領域のOFDM信号は、ディジタルテレビジョン放送において定められたOFDM信号に相当する。IFFT部78は、時間領域のOFDM信号を直交変調部80へ逐次出力する。
直交変調部80は、IFFT部78からの時間領域のOFDM信号を直交変調することによって、中間周波数帯のOFDM信号を生成する。直交変調として公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。直交変調部80は、中間周波数帯のOFDM信号を出力部44へ出力する。
局部発信部54は、予め定められた周波数の局部発振信号を周波数変換部56へ出力する。周波数変換部56は、局部発信部54からの局部発振信号を入力するとともに、直交変調部80からの中間周波数帯のOFDM信号を入力する。また、周波数変換部56は、局部発振信号によって、中間周波数帯のOFDM信号を無線周波数帯へ周波数変換する。周波数変換部56は、無線周波数帯のOFDM信号をBPF部58へ出力する。
BPF部58は、周波数変換部56から無線周波数帯のOFDM信号を受けつける。また、BPF部58は、無線周波数帯のOFDM信号のうち、帯域外の成分を減衰させることによって、送信信号を生成する。送信用アンテナ20は、送信信号を放送する。なお、周波数変換部56とBPF部58との間に、パワーアンプが備えられていてもよいが、パワーアンプは公知の技術であるので、ここでは説明を省略する。制御部60は、送信装置12全体の動作を制御する。
以上の構成による放送システム100の動作を説明する。ユーザは、複数の送信装置12のそれぞれに対して、放送すべきセグメント成分を特定し、それらの情報が含まれたテーブルを管理装置10に記憶させる。管理装置10は、テーブルが含まれた制御信号を生成する。また、管理装置10は、複数の自主番組のそれぞれに対応づけながら、複数のセグメント成分が含まれたTS信号を生成する。管理装置10は、制御信号やTS信号をパケット信号に格納して、パケット信号を送信する。複数の送信装置12のそれぞれは、パケット信号を受信する。送信装置12は、パケット信号から、TS信号および制御信号を抽出する。また、送信装置12は、制御信号をもとに、放送すべきセグメント成分を特定する。
送信装置12は、TS信号に含まれた複数の自主番組のそれぞれを別のセグメントに配置することによって、変調信号を生成する。また、送信装置12は、変調信号のうち、放送すべきセグメント成分が、セグメント番号「0」に配置されるように、放送すべきセグメント成分とセグメント番号「0」のセグメント成分とを組み替える。送信装置12は、組み替えた変調信号をもとに送信信号を生成し、送信信号を放送する。受信装置14は、ユーザに携帯されており、複数の放送エリアをまたいで移動している。複数の放送エリアのそれぞれにおいて、セグメント番号「0」に所望の自主番組が配置されているので、受信装置14は、セグメント番号「0」のみを固定的に再生することによって、自主番組を再生できる。
次に、本発明の変形例を説明する。実施例に係る送信装置12は、マッピングを実行した後に、セグメント成分を組み替えてから、IFFTを実行している。変形例に係る送信装置12は、TS信号の段階において、将来的にセグメント成分になりうるデータを入れ替える。ここで、入替は、IFFT部78に入力される周波数領域のOFDM信号の構成が、組み替え部76における組み替え結果と同様になるようになされる。変形例に係る放送システム100、管理装置10の構成は、図1、図2とそれぞれ同様のタイプである。
図6は、本発明の変形例に係る送信装置12の構成を示す。送信装置12は、図3に示された送信装置12と比較して、組み替え部76を含まず、TS信号入替部90を含む。TS信号入替部90は、通信部70からTS信号を入力するとともに、設定部52からの組み替え指示も入力する。TS信号入替部90は、TS信号内において、TS信号に含まれたデータを入れ替える。具体的に説明すると、TS信号入替部90は、組み替え指示において特定されたセグメント成分が、将来的にセグメント番号「0」になるように、TS信号内のデータを入れ替える。TS信号入替部90は、入替後のTS信号をマッピング部74へ出力する。
次に、本発明の別の変形例を説明する。別の変形例に係る送信装置12は、TS信号のうち、送信すべきセグメント成分に対応したデータのみを抽出した後に、マッピングを実行する。その結果、周波数領域のOFDM信号は、ワンセグメント放送に対応した信号になる。別の変形例に係る放送システム100、管理装置10の構成は、図1、図2とそれぞれ同様のタイプである。
図7は、本発明の別の変形例に係る送信装置の構成を示す。送信装置12は、図3に示された送信装置12と比較して、組み替え部76を含まず、TS信号フィルタ部92を含む。TS信号フィルタ部92は、通信部70からTS信号を入力するとともに、設定部52からの組み替え指示も入力する。TS信号フィルタ部92は、TS信号のうち、組み替え指示において特定されたセグメント成分に対応したデータのみを抽出する。その結果、TS信号には、ひとつのセグメントに対応したデータが含まれる。TS信号フィルタ部92は、抽出結果としてのTS信号をマッピング部74へ出力する。また、マッピング部74、IFFT部78は、図3と同様の処理を実行するが、処理対象となるデータ数がひとつのセグメント分になる。ここでは、セグメント番号「0」のセグメント成分だけになる。
本発明の実施例によれば、出力すべきひとつのセグメント成分を配置した第1セグメントが、予め定められた第2セグメントとずれている場合に、第1セグメントと第2セグメントとを組み替えるので、第1成分がどこであっても、第2セグメントで受信させることができる。また、デジタル信号処理にて、セグメント成分を入れ替えるだけであるので、処理を簡易にできる。また、第1成分がどこであっても、第2セグメントで受信させるので、送信装置に関係なく、固定のセグメントを放送に使用できる。また、送信装置に関係なく、固定のセグメントが放送に使用されるので、固定のセグメントにて受信装置に放送を受信させることができる。
また、固定のセグメントにて受信装置に放送を受信させるので、受信装置でのセグメントの設定を容易にできる。また、複数の送信装置にわたって、第2セグメントが共通に規定されているので、放送エリアごとに異なった自主番組が放送されている場合であっても、受信装置のセグメントの設定を容易できる。また、受信装置でのセグメントの設定が容易にされるので、自主番組が受信される機会を増加できる。また、制御信号において、複数の送信装置のそれぞれに対して、出力すべきひとつのセグメント成分を指示するので、セグメント成分を自由に指定できる。また、管理装置が、出力すべきひとつのセグメント成分を指示するので、複数の送信装置のそれぞれに対する制御を容易にできる。また、TS信号の段階において、データを入れ替えるので、送信装置の構成の自由度を向上できる。また、TS信号から、ひとつのセグメント成分に対応したデータを抽出して処理を進めるので、処理量を低減できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の実施例において、放送システム100から放送される番組は、自主番組であるとされている。しかしながらこれに限らず例えば、放送される番組は自主番組でなく、放送事業者による番組であってもよい。本変形例によれば、放送システム100によって所望の番組を放送できる。
本発明の実施例において、TS信号生成部32は、記憶部30に記憶された自主番組のデジタルデータをもとにTS信号を生成している。しかしながらこれに限らず例えば、TS信号生成部32によるこのような処理は省略されてもよい。その際、記憶部30には、TS信号が記憶される。通信部42は、記憶部30に記憶されたTS信号を受けつける。本変形例によれば、管理装置10の構成の自由度を向上できる。
本発明の実施例において、マッピング部74は、QPSKによる変調を実行している。しかしながらこれに限らず例えば、QPSK以外の変調方式として、16QAM、64QAM等が使用されてもよく、変調方式が可変に設定されてもよい。なお、変調方式を可変に設定するために公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。本変形例によれば、放送システム100の構成の自由度を向上できる。
本発明の実施例において、各自主番組は、ひとつのセグメントに配置されている。しかしながらこれに限らず例えば、自主番組が複数のセグメントに配置されていてもよい。その際、セグメント番号「0」、「1」、「2」のごとく、第2セグメントから連続して帯域が拡大するように、使用すべきセグメントの優先順位が設定される。送信装置12は、優先順位の高いセグメントを優先的に使用するように組み替えを実行する。本変形例によれば、自主番組の帯域が拡大する場合であっても、自主番組を放送できる。
本発明の実施例において、管理装置10は、複数の送信装置12に関する情報をまとめるようにテーブルを生成し、テーブルを複数の送信装置12へ送信している。しかしながらこれに限らず例えば、管理装置10は、各送信装置12に対して、テーブルをそれぞれ作成し、テーブルに対応した送信装置12のみへ当該テーブルを出力してもよい。本変形例によれば、テーブルのフォーマットの自由度を向上できる。
10 管理装置、 12 送信装置、 14 受信装置、 16 ネットワーク、 20 送信用アンテナ、 22 受信用アンテナ、 30 記憶部、 32 TS信号生成部、 36 制御部、 40 制御信号生成部、 42 通信部、 52 設定部、 54 局部発信部、 56 周波数変換部、 58 BPF部、 60 制御部、 62 抽出部、 64 特定部、 70 通信部、 72 送信部、 74 マッピング部、 76 組み替え部、 78 IFFT部、 80 直交変調部、 100 放送システム。