地上デジタルテレビジョン放送に関する伝送方式の標準規格ARIB STD-B31では、サービス統合地上デジタル放送(ISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial))を規定している(非特許文献1参照)。
ISDB-Tは、放送が行われる1つの物理チャンネルの伝送帯域を13個の帯域(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)(直交周波数分割多重)セグメント)に分割し、セグメントごとに、伝送パラメータや伝送する情報を設定する方式である。この方式によれば、異なる伝送方式の放送を1つの物理チャンネル内で送信することができる。それゆえ、1チャンネルでハイビジョン放送、あるいは複数の標準テレビやデータなどさまざまなサービスを組み合わせて放送することができる。
1セグメント放送は上記枠組みを利用しており、1つの地上デジタルテレビジョンの物理チャンネル帯域内の13セグメントのうち、中央に位置する1セグメントを使って携帯受信機向けの放送を行うものである(非特許文献2参照)。1セグメント放送の変調方式は携帯受信機向けに特化しているため、従来のアナログ放送では実現できなかった高品質の映像および音声が携帯受信機でも受信できるようになっている。
しかしながら、変調方式を特化している1セグメント放送であっても、地上デジタル放送の放送波がほとんど届かない難視聴地帯では、受信することができない。特に、都市部における地下街、ビルの内部、ビルの影などでは、地上デジタル放送の放送波が届きにくく、局所的に難視聴地帯となりうる。そして、このような難視聴地帯が局所的に多数存在することが、1セグメント放送の普及の妨げとなっている。なお、単に、放送局からの放送波の出力を上げたり、新たな中継局を設置するだけでは、難視聴地帯に十分な放送波を届けることができない場合が多い。
そこで、難視聴地帯においても受信可能とする方法として、地上デジタル放送の放送波と同じ内容の放送波を難視聴地帯向けに再送信する方法がある。この再送信のために設置される装置を一般的に「ギャップフィラー」と称する。ギャップフィラーには、地上デジタル放送の放送波と同じ物理チャンネルで再送信を行う方式のものと、地上デジタル放送の放送波とは別の物理チャンネルで再送信を行う方式のものが存在する。
このうち、地上デジタル放送の放送波と同じ物理チャンネルで再送信する方式では、受信装置が再送信波を受信するにあたって、新たに機能を追加する必要がないという利点がある。しかしながら、地上デジタル放送の放送波と同じ物理チャンネルで再送信するため、地上デジタル放送の放送波と再送信波とが干渉しないようにする必要がある。すなわち、ギャップフィラーの設置場所に制約があるという問題がある。
次に、地上デジタル放送の放送波とは別の物理チャンネルで再送信する方式は、上記のような既存の地上デジタル放送の放送波との干渉を考慮しなくてよいため、ギャップフィラーの設置場所に制約が少ないことから、同じ物理チャンネルで再送信する方式と比べて実用性が高い。そして、近年、同一エリア内で放送されている全ての放送事業者の1セグメント放送のみを抽出し、これらを1つに連結した上で別の物理チャンネルで再送信する「連結再送信」という方式が注目を集めている(非特許文献3参照)。
図14を参照しながら、上記の連結再送信方式の概略について説明する。図14は、受信した地上デジタルテレビジョン放送波のそれぞれから、1セグメント放送を抽出し、該抽出した1セグメント放送を1つの再送信波に連結する様子を示す模式図である。
図14では、それぞれ別の物理チャンネルで放送されている地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103とは異なる物理チャンネルで、連結再送信波109を再送信している。また、地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103は、上述したように、それぞれ13個のセグメントから構成されている。
地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103のそれぞれの中央に位置する1つのセグメント104、105、106が1セグメント放送である。連結再送信を行うギャップフィラーは、地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103をそれぞれ受信し、1セグメント放送104、105、106を抽出する。そして、抽出した1セグメント放送104、105、106を基に連結再送信波109を生成する。そして、ギャップフィラーは、連結再送信波109を、地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103の物理チャンネルのいずれとも一致しない物理チャンネルで再送信する。
さらに、連結再送信波109を生成するとき、連結再送信を行うギャップフィラーは、地上デジタルテレビジョン放送波に含まれない1又は複数の独自コンテンツを放送する独自セグメント放送、例えば、連結再送信を行うギャップフィラーが設置されている地下街の店舗情報などを含んだデータ放送を併せて、連結再送信波109を生成してもよい。図14では、1セグメント放送104、105、106に加えて、独自セグメント放送107および108を連結している。
次に、図15を参照しながら、上記の連結再送信を行うギャップフィラー110の構成について説明する。図15は、連結再送信を行うギャップフィラー110の構成を示すブロック図である。図15に示すようにギャップフィラー110は、受信部111、送信部112、記憶部113、制御部114を備えて構成される。
受信部111は、地上デジタルテレビジョン放送波を受信するためのアンテナである。受信部111は、異なる物理チャンネルの放送波をそれぞれ受信し、受信した放送波を後述する放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115cに送信する。
送信部112は、後述するOFDM変調・再送信部117から送信される再送信波を外部に送信するアンテナである。
記憶部113は、制御部114で利用される各種データ、プログラムの実行によって得られたデータなどを記憶するものであり、ROM(Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどで実現される。記憶部113は、独自セグメント放送情報記憶部118を含んでいる。独自セグメント放送情報記憶部118は、再送信波を構成するときに併せて連結する独自セグメント放送に関するデータを記憶する。
制御部114は、記憶部113、受信部111、送信部112の制御を行うとともに、所定の演算処理を行うものである。所定の演算処理としては、例えば、再送信波を連結する処理がある。そのために、制御部114は、放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115c、独自セグメント放送出力部116、OFDM変調・再送信部117を含んでいる。
放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115cはそれぞれ、受信部111から送信される、異なる物理チャンネルの放送波のうちのいずれか1つを受信する。そして、放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115cは、それぞれ受信した放送波から1セグメント放送を抽出し、該抽出した1セグメント放送をOFDM変調・再送信部117に送信する。
なお、ここでは、ギャップフィラー110が3つの放送波受信部、すなわち、放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115cを備える構成としたが、上述した構成に限定されるものではない。すなわち、再送信対象となる1セグメント放送の数に応じた放送波受信部を備える構成とすればよい。
独自セグメント放送出力部116は、独自セグメント放送情報記憶部118に格納されている独自コンテンツを含むセグメント放送を出力し、OFDM変調・再送信部117に送信する。
OFDM変調・再送信部117は、放送波A受信部115a、放送波B受信部115b、放送波C受信部115cから出力された1セグメント放送、および、独自セグメント放送出力部116から出力された独自セグメント放送を入力とする、そして、入力されたセグメント放送を連結して、伝送路符号化、OFDM変調、周波数変換などを施した後、送信部112に送信する。
上述した連結再送信では、1つの物理チャンネルだけで再送信を行うため、チャンネルの使用効率が高くなる。また、固有の物理チャンネルを使用するため、既存の放送事業者との干渉を考慮する必要がない。そのため、ギャップフィラーの設置場所の制約が少なくなる。
また、上述した連結再送信では、独自のセグメント放送、例えば、地下街の店舗情報などを含んだデータ放送などを併せて連結することできる。そのため、例えば、ビルや地下街の管理者にとって、ギャップフィラーを設置することによるインセンティブが明確になり、ギャップフィラーを設置することに拍車がかかることが期待されている。
次に、上述した連結再送信波を受信する受信装置について説明する。既存の1セグメント放送を受信する装置は、上述の13セグメントの中央に位置する1セグメントのみを受信する構成となっているため、この構成のままでは、上述した連結再送信波を受信することができない。したがって、上述した連結再送信波を受信するためには、既存の1セグメント放送を受信する装置において、放送波を受信するための周波数ステップを変更する必要がある(非特許文献3参照)。すなわち、通常は6MHzの周波数で放送波をスキャンするが、上記の連結再送信波を受信するときは、6/14MHzの周波数で連結再送信波をスキャンする。ここで、値を「14」とする理由は、通常、上記13個のセグメント毎に1つのガードバンドが付加されるため、合計14セグメントとなるからである。
以上に示すとおり、既存の1セグメント放送を受信する装置においても、周波数ステップを変更することにより、連結再送信波を受信することができる。しかしながら、受信した連結再送信波を安定した品質で再生することができない場合がある。
例えば、地上デジタルテレビジョン放送波を受信することができる地上から、地上デジタルテレビジョン放送波を受信することができないが、連結再送信波を受信することができる地下に移動した場合、または、該地下から該地上に移動した場合において、連続して放送波を受信するためには、受信装置は、地上デジタルテレビジョン放送波の受信と連結再送信波の受信とを切り替える必要がある。しかしながら、一般的には、連結再送信波の方が地上デジタルテレビジョン放送波よりも時間的に遅れて放送される。そのため、上記切り替え時に映像や音声が途切れたり、切り替え前後で映像や音声がスムーズにつながらなく、利用者が不快に感じたり、また、所定時間分の映像音声が欠落するという問題が生じる。
図16を参照しながら、受信部を複数備える受信装置が、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波へ切り替えるときの受信の様子について説明する。図16は、上記受信装置が、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの受信の様子を示す模式図である。
図16において、放送波121aは、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波122は、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。ここでは、再送信波122は、放送波121aから遅延量Dだけ遅延して再送信されている。
そして、放送波121aおよび再送信波122aはいずれもトランスポートストリーム(Transport Stream)(以下、TSと称する)パケットで構成されており、図16では、所定期間内に送信される複数のTSパケットの集合を、それぞれT1〜T14で表している。すなわち、T1〜T14は、複数のTSパケットの集合である。
そして、図16では、受信装置は、放送波121aについて、パケット集合T1から順にT10までを受信できており、また、再送信波122aについて、パケット集合T4から順にT14までを受信できていることを示している。なお、放送波121aのパケット集合T7からT10までと、再送信波122aのパケット集合T4からT7までとは、それぞれを同時に受信することができていることを示している。
なお、各TSパケットには、受信装置との同期を取ることを目的として、PCR(Program Clock Reference)が挿入されている。受信装置では、自装置の基準クロックであるSTC(System Time Clock)125aをPCRに同期させて、映像音声情報の出力を行う。なお、自装置内での各種処理を行うため、STC125aはPCRよりも若干遅延して同期するのが一般的である。図16の例では、受信する放送波121aまたは再送信波122aに対して、TSパケットの1つの集合に相当する時間だけ遅延した状態で、同期している。
受信装置は、放送波121aのパケット集合T10までを受信することができているため、それまでに受信した放送波121aの映像音声は途切れることなく出力することができる。
次に、受信装置は、放送波121aのパケット集合T11を受信することができなかったので、その時点ですでに受信できている再送信波122aへの切り替えを行う。しかしながら、再送信波122aは放送波121aより遅延量Dだけ遅延しているため、再送信波122aのパケット集合T11は、上記切り替え直後には受信することができない。そして、遅延量Dを経過した後、再送信波122aのパケット集合T11を受信することができる。そのため、パケット集合T10を受信してからパケット集合T11を受信するまでの間、すなわち期間124の間は、STCの進行が止まり、表示すべき映像音声が存在しなくなるため、映像音声が途切れることとなる。
次に、図17を参照しながら、受信部を複数備える受信装置が、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波への切り替えるときの受信の様子について説明する。図17は、上記受信装置が、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波への切り替えるときの受信の様子を示す模式図である。
図17において、放送波121bは、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波122bは、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。図16と同様に、再送信波122bは、放送波121bから遅延量Dだけ遅延して再送信されている。
そして、図16と同様に、放送波121bおよび再送信波122bはいずれもTSパケットで構成されており、図17では、所定期間内に送信される複数のTSパケットの集合をT21〜T40で表している。
そして、図17では、受信装置は、再送信波122bについては、パケット集合T21から順にT31までを受信できており、放送波121bについては、パケット集合T31から順にT40までを受信できていることを示している。なお、再送信波122bのパケット集合T28からT31までと、放送波121bのパケット集合T31からT34までとは、それぞれを同時に受信することができていることを示している。
なお、図16と同様に、受信装置は、自装置のSTC125bを、各TSパケットに挿入されているPCRに、TSパケットの1つの集合に相当する時間だけ遅延させて同期をとっている。
受信装置は、再送信波122bのパケット集合T31までを受信することができているため、それまでに受信した放送波122bの映像音声は途切れることなく出力することができる。
次に、受信装置は、再送信波122bのパケット集合T32を受信することができなかったので、その時点ですでに受信できている放送波121bへの切り替えを行う。しかしながら、放送波121bは再送信波122bよりも遅延量Dだけ先に進んでおり、STC125bが11から15に飛んでしまう。そして、次に受信する放送波121bのパケット集合はT35となるので、T32からT34のパケット集合に含まれる映像音声が欠落することとなり、結果として、スムーズに切り替えを行うことができない。
そこで、上記の問題点を鑑みて、同期していない2つの放送をできるだけスムーズに切り替える方法が開示されている。
例えば、特許文献1では、予め遅れている放送波にあわせて受信することにより、時間的に進んでいる放送波から該遅れている放送波に切り替えても、映像および音声が途切れないようにする方法が開示されている。また、特許文献2では、切り替え時に消音することにより、利用者にとって不快な切り替え時の音声が再生されないようにする方法が開示されている。
社団法人 電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses)、"STD−B31 地上デジタルテレビジョン放送の伝送方式"、Ver1.6、2005年11月
社団法人 電波産業会(Association of Radio Industries and Businesses)、"TR−B14 地上デジタルテレビジョン放送運用規定"、Ver3.0、2006年12月
成清善一、他、"ワンセグを連結して再送信する方法およびそのギャップフィラー装置"、技術報告、映像情報メディア学会、2006年11月、Vol.30、No.60(放送技術)、P.41−44
国際公開第03/30534号パンフレット(公開日:平成15年4月10日)
特開2006−270249号公報(公開日:平成18年10月5日)
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図7に基づいて説明すると以下の通りである。
(デジタル放送受信システムの全体構成)
図2を参照しながら、本実施形態に係るデジタル放送受信システム500について説明する。図2は、本実施形態に係るデジタル放送受信装置100とデジタル放送再送信装置400とを含むデジタル放送受信システム500の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、デジタル放送受信装置100とデジタル放送再送信装置400とは通信可能に接続されている。
デジタル放送受信装置100は、地上デジタル放送送信装置600が送信する、映像、音声、またはその組合せ、および、これらに付随するタイトルやジャンルなどのメタ情報(以下、映像音声情報と称する)を含む地上デジタルテレビジョン放送波と、デジタル放送再送信装置400が1セグメント放送を連結して再送信する連結再送信波とを受信する装置である。そして、デジタル放送受信装置100は、受信した地上デジタルテレビジョン放送波または連結再送信波を基に、表示画面に映像音声情報を表示する。デジタル放送受信装置100は、例えば、携帯電話、ノートPC(Personal Computer)、PDA(personal digital assistant)などである。
次に、デジタル放送再送信装置400は、地上デジタル放送送信装置600から映像音声情報を含む、複数の地上デジタルテレビジョン放送波を受信し、該受信した地上デジタルテレビジョン放送波に含まれる1セグメント放送をそれぞれ抽出する。そして、該抽出した1セグメント放送を連結した連結再送信波を生成し、該連結再送信波を送信する。
また、デジタル放送再送信装置400は、連結再送信波を生成するとき、地上デジタルテレビジョン放送波により放送される映像音声情報とは異なる映像音声情報を含む、1または複数の独自のセグメント放送を連結再送信波の中に含めてもよい。
(デジタル放送受信装置の構成)
次に、図1を参照しながら、デジタル放送受信装置100の構成について説明する。図1は、本実施の一形態に係るデジタル放送受信装置100の構成を示すブロック図である。
デジタル放送受信装置100は、地上デジタル放送送信装置600から送信される地上デジタルテレビジョン放送波と、デジタル放送再送信装置400から送信される連結再送信波とを受信し、該受信した放送を基に映像音声情報を表示する。そのために、デジタル放送受信装置100は、制御部10、記憶部20、入出力制御部30、受信部40、および表示部50を備えて構成される。
制御部10は、記憶部20および入出力制御部30の制御を行うとともに、所定の演算処理を行うものである。所定の演算処理としては、例えば、受信した放送波の復号処理や、表示部50への映像音声情報の出力処理などがある。制御部10の詳細な構成については後述する。
記憶部20は、制御部10で利用される各種データ、プログラムの実行によって得られたデータなどを記憶するものであり、ROM(Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどで実現される。
記憶部20は、遅延量記憶部21を含んでいる。遅延量記憶部21は、放送波を構成するTSパケットに含まれるPCR(Program Clock Reference)と比較したときの、再放送波を構成するTSパケットに含まれるPCRの時間的な遅延量を記憶する。なお、遅延量記憶部21に格納された遅延量は、デジタル放送受信装置100の電源を切ったときでも消失しない。
なお、記憶部20は、必ずしもデジタル放送受信装置100に備えられる必要はなく、外部記憶装置として、書き込み可能かつ読み取り可能な状態でデジタル放送受信装置100に接続される構成でもよい。
受信部40は、地上デジタル放送送信装置600から送信された地上デジタルテレビジョン放送波と、デジタル放送再送信装置400から送信された連結再送信波とを受信するアンテナであり、受信制御部34により制御される。受信部40で受信された地上デジタルテレビジョン放送波および連結再送信波は、受信制御部34へ送られる。
入出力制御部30の受信制御部34は、受信部40を制御し、受信部40から受信した地上デジタルテレビジョン放送波および連結再送信波を、後述する放送波受信部11および再送信波受信部12に送信する。
表示部50は、表示制御部35より送信された情報を表示する。表示部50は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶表示装置)で構成される。表示部50に表示する情報としては、後述する映像音声情報出力部17から出力された映像音声情報などが含まれる。
なお、表示部50は、必ずしもデジタル放送受信装置100に備えられる必要はなく、外部装置としてデジタル放送受信装置100と通信可能に接続される構成でもよい。
入出力制御部30の表示制御部35は、表示部50を制御し、制御部10から指示された情報を表示部50に送信する。
次に、制御部10について詳細に説明する。制御部10は、放送波受信部11と再送信波受信部12と復号部13と遅延量算出部14と遅延量決定部15とSTC生成部16と映像音声情報出力部17とを含んでいる。
放送波受信部11は、受信部40で受信した地上デジタルテレビジョン放送波を受けとる。そして、該受信した放送波に対して、OFDM復調および伝送路復号を行い、その結果得られたTSを復号部13に出力する。
再送信波受信部12は、受信部40で受信した連結再送信波を受けとる。そして、該受信した再送信波に対して、OFDM復調および伝送路復号を行い、その結果得られたTSを復号部13に出力する。
復号部13は、放送波受信部11または再送信波受信部12から送られるTSのいずれか一方を情報源復号し、映像音声情報出力部17に映像音声情報を出力する。
そして、復号部13は、例えば、放送波受信部11から送られるTSを情報源復号している途中に、該TSを受信できなくなったとき、再送信波受信部12から送られるTSを受信している場合には、再送信波受信部12から送られるTSを情報源復号するように切り替える。同様に、復号部13は、再送信波受信部12から送られるTSを情報源復号している途中に、該TSを受信できなくなったとき、放送波受信部11から送られるTSを受信している場合には、放送波受信部11から送られるTSを情報源復号するように切り替える。
また、復号部13は、情報源復号するTSに含まれるPCRを抽出し、STC生成部16に出力する。
遅延量算出部14は、放送波受信部11が出力するTSに含まれるPCRと比べて、再送信波受信部12が出力するTSに含まれるPCRが遅延している量を算出し、該遅延量を遅延量記憶部21に格納する。
遅延量の算出方法としては、例えば、後述する、連結再送信波の中央に位置する1セグメントに組み込まれるパイロット情報480を解析し、パイロット情報480に含まれる遅延量483を遅延量として用いてもよい。ただし、遅延量の算出方法は上述に限定されるものではない。
なお、遅延量記憶部21には、1)過去に算出された遅延量をすべて格納してもよいし、2)遅延量記憶部21の残容量が少ない場合は、過去に記憶されたものから順に削除し、最近算出された遅延量を優先的に格納しておいてもよいし、3)遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち最も数が多い遅延量よりも値が大きい遅延量を定期的に削除してもよいし、4)遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち最も数が多い遅延量よりも値が小さい遅延量を定期的に削除してもよい。
遅延量決定部15は、遅延量記憶部21に格納されている遅延量を基に、デジタル放送受信装置100のSTC(System Time Clock)を、地上デジタルテレビジョン放送に含まれるPCRから遅延させる量(以下、「遅延量T」と称する)を決定する。遅延量Tを決定する方法として、1)遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち最大値を遅延量Tと決定してもよいし、2)遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち、統計的に例外とみなせる値を除いたものの中で最大の値を遅延量Tと決定してもよいし、3)遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち最も数が多い値を遅延量Tと決定してもよい。
なお、遅延量Tの決定方法は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、集計結果から適切な代表値を決定する際に用いられる一般的なアルゴリズムを使用して最大値を決定する構成としてもよい。また、単に、遅延量記憶部21に格納されている遅延量のうち最大の値を遅延量Tと決定する構成としてもよい。その場合、遅延量記憶部21は常に遅延量の最大値だけを格納する構成とし、さらに、遅延量決定部15を備える代わりに、遅延量記憶部21から最大値を取得する構成としてもよい。
STC生成部16は、デジタル放送受信装置100の基準クロックであるSTCを生成する。すなわち、復号部13から出力されるPCRを基準として、通常生成するSTCよりも遅延量決定部15が決定した遅延量Tだけ時間的に遅らせて同期をとったものを、STCとして生成する。
映像音声情報出力部17は、STC生成部16が生成したSTCに従って、復号部13が出力した映像音声情報を表示部50に出力する。
次に、図3を参照しながら、デジタル放送受信装置100が、受信する対象を、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波へ切り替えるときの様子について説明する。図3は、デジタル放送受信装置100が、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
図3において、放送波1210は、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波1220は、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。ここでは、再送信波1220は、放送波1210から遅延量Dだけ遅延して再送信されている。図3において、Dの値は「3」である。
放送波1210および再送信波1220はいずれもTSパケットで構成されており、図3では、所定期間内に送信される複数のTSパケットの集合を、それぞれT1〜T14で表している。すなわち、T1〜T14は、複数のTSパケットの集合である。
そして、図3では、デジタル放送受信装置100は、放送波1210については、パケット集合T1から順にT10までを受信できており、また、再送信波1220については、パケット集合T4から順にT14までを受信できていることを示している。なお、放送波1210のパケット集合T7からT10までと、再送信波1220のパケット集合T4からT7までとは、それぞれを同時に受信することができていることを示している。
なお、各TSパケットには、デジタル放送受信装置100との同期を取る目的でPCRが挿入されている。図3では、パケット集合T1〜T14にそれぞれ値1〜14のPCRが挿入されていることを示している。
以下で、まず、遅延量記憶部21に格納されている遅延量の最大値が「3」である場合について説明する。この場合、遅延量決定部15は遅延量Tが「3」であると決定する。これにより、STC生成部16が、放送波1210を構成するTSに含まれるPCRに対して、通常より「3」だけ時間的に遅延させたSTC1250を生成する。そして、映像音声情報出力部17は上記STC1250に従って、映像音声情報を表示部50に出力することとなる。
次に、デジタル放送受信装置100は、放送波1210のパケット集合T10までを受信することができているため、それまでに受信した放送波1210の映像音声情報は途切れることなく出力することができる。
次に、デジタル放送受信装置100は、放送波1210のパケット集合T11を受信することができなかったので、その時点ですでに受信できている再送信波1220への切り替えを行う。しかしながら、再送信波1220は放送波1210より遅延量Dだけ遅延しているため、再送信波1220のパケット集合T11は、上記切り替え直後には受信することができない。そして、遅延量Dを経過した後、再送信波1220のパケット集合T11を受信することとなる。
ここで、デジタル放送受信装置100の映像音声情報出力部17は、上記遅延させたSTCに従って映像音声情報を表示部50に出力している。そして、Dの値とTの値とはいずれも「3」で等しい。このため、図3に示すように、放送波1210のパケット集合T10に基づく映像音声情報を出力した後に、連続して再送信波1220のパケット集合T11に基づく映像音声情報を出力することができる。以上の結果、映像音声情報が途切れることなく出力することができる。
次に、図4を参照しながら、遅延量記憶部21に格納されている遅延量の最大値が「2」である場合に、デジタル放送受信装置100が、受信する対象を、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波へ切り替えるときの様子について説明する。図4は、遅延量記憶部21に格納されている遅延量の最大値が「2」である場合に、デジタル放送受信装置100が、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、図3にて示した各部材と同一の部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
まず、遅延量記憶部21に格納されている遅延量の最大値が「2」であるから、遅延量決定部15は遅延量Tが「2」であると決定する。これにより、STC生成部16が、放送波1210を構成するTSに含まれるPCRに対して、通常より「2」だけ時間的に遅延させたSTC1251を生成する。そして、映像音声情報出力部17は上記STC1251に従って、映像音声情報を表示部50に出力することとなる。
次に、デジタル放送受信装置100は、放送波1210のパケット集合T10までを受信することができているため、それまでに受信した放送波1210の映像音声は途切れることなく出力することができる。
次に、デジタル放送受信装置100は、放送波1210のパケット集合T11を受信することができなかったので、その時点ですでに受信できている再送信波1220への切り替えを行う。しかしながら、再送信波1220は放送波1210より遅延量Dだけ遅延しているため、再送信波1220のパケット集合T11は、上記切り替え直後には受信することができない。そして、遅延量Dを経過した後、再送信波1220のパケット集合T11を受信することとなる。
ここで、デジタル放送受信装置100の映像音声情報出力部17は、上記遅延させたSTC1251に従って映像音声情報を表示部50に出力している。そして、Dの値はTの値よりも「1」大きい。このため、図4に示すように、放送波1210のパケット集合T10に基づく映像音声情報を出力した後、連続して再送信波1220のパケット集合T11に基づく映像音声情報を出力することができない。すなわち映像音声情報が途切れる期間851が発生する。したがって、この場合は、映像音声情報が一時的に途切れる。
しかしながら、この場合、再送信波1220が、放送波1210から「3」だけ遅延しているので、遅延量算出部14が遅延量記憶部21に遅延量「3」を格納する。したがって、次回、放送波1210から再送信波1220への切り替えがあったとき、遅延量決定部15は遅延量Tが「3」であると決定することとなる。そうすると、次回以降は、放送波1210から再送信波1220に切り替えがあったときは、映像音声情報を途切れることなく出力することができる。
また、デジタル放送受信装置100を再起動するなどして電源を切っても、遅延量記憶部21に格納した遅延量は失われることはない。したがって、再起動するなどした場合であっても、次回以降、放送波1210から再送信波1220への切り替えがあったときは、映像音声情報は途切れることなく出力することができる。
上述のように、遅延量記憶部21に記憶されている遅延量Dの最大値を基にSTCを決定するので、再送信波1220の放送波1210からの遅延量が上記最大値以下であれば、放送波1210から再送信波1220に切り替えるときに、映像音声情報を途切れることなく出力することができる。
また、再送信波1220の放送波1210からの遅延量が上記最大値より大きい値(以下、「X」とする)の場合であっても、遅延量記憶部21に記憶する遅延量Dの最大値がXに更新される。したがって、次回以降の放送波1210から再送信波1220に切り替え時には、Xを基にSTCが決定されているので、再送信波1220の放送波1210からの遅延量がX以下であれば、映像音声情報を途切れることなく出力することができる。
なお、本実施形態のデジタル放送受信装置100は、後述する実施形態に示す時間軸圧縮伸張部を備えていない。したがって、本実施形態によれば、後述する時間軸圧縮伸張部を搭載する能力の無いデジタル放送受信装置であっても、映像音声情報の途切れや欠落を少なくすることができる。
(デジタル放送再送信装置の構成)
次に、図5を参照しながら、デジタル放送再送信装置400の構成について説明する。図5は、本実施の一形態に係るデジタル放送再送信装置400の構成を示すブロック図である。図5に示すようにデジタル放送再送信装置400は、制御部410、記憶部420、入出力制御部430、受信部440、および送信部450を備えて構成される。
制御部410は、記憶部420、および入出力制御部430の制御を行うとともに、所定の演算処理を行うものである。所定の演算処理としては、例えば、受信した地上デジタルテレビジョン放送波から1セグメント放送を抽出する処理や、抽出した1セグメント放送を連結して連結再送信波を生成する処理などがある。制御部410の詳細な構成については後述する。
記憶部420は、制御部410で利用される各種データ、プログラムの実行によって得られたデータなどを記憶するものであり、ROM(Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどで実現される。記憶部420は、独自セグメント放送情報記憶部421を含んでいる。独自セグメント放送情報記憶部421は、連結再送信波を構成するときに1セグメント放送と併せて連結する、独自セグメント放送に関するデータを記憶する。
なお、記憶部420は、必ずしもデジタル放送再送信装置400に備えられる必要はなく、外部記憶装置として、書き込み可能かつ読み取り可能な状態でデジタル放送再送信装置400に接続される構成でもよい。
受信部440は、地上デジタル放送送信装置600から送信された地上デジタルテレビジョン放送波を受信するアンテナであり、受信制御部434により制御される。受信部440で受信された地上デジタルテレビジョン放送波は、受信制御部434へ送られる。
入出力制御部430の受信制御部434は、受信部440を制御し、受信した地上デジタルテレビジョン放送波を、後述する放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413に送信する。
送信部450は、後述するOFDM変調・再送信部416から送信される連結再送信波を外部に送信するアンテナである。
次に、制御部410について詳細に説明する。制御部410は、放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413、パイロット情報生成部414、独自セグメント放送出力部415、OFDM変調・再送信部416を含んでいる。
放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413はそれぞれ、受信部440から送信される、異なる物理チャンネルの放送波のうちのいずれか1つを受信する。そして、放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413は、それぞれ受信した放送波から1セグメント放送を抽出し、該抽出した1セグメント放送をパイロット情報生成部414およびOFDM変調・再送信部416に送信する。
なお、ここでは、放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413の3つの放送波受信部を備える構成としたが、上述した構成に限定されるものではない。すなわち、再送信対象となる1セグメント放送の数に応じた放送波受信部を備える構成とすればよい。
パイロット情報生成部414は、放送波A受信部411または放送波B受信部412または放送波C受信部413から受信した1セグメント放送の信号と、OFDM変調・再送信部416から送信される連結再放送の信号との時間差分を計算し、該差分を遅延量として、放送波と再送信波との対応を記述した「パイロット情報」を生成する。パイロット情報については後述する。
独自セグメント放送出力部415は、独自セグメント放送情報記憶部421に格納されている独自の映像音声情報を含むセグメント放送を出力し、OFDM変調・再送信部416に送信する。
OFDM変調・再送信部416は、放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413が送信した1セグメント放送、および、独自セグメント放送出力部415が送信した独自セグメント放送を入力とする。そして、それらを連結して、伝送路符号化、OFDM変調、周波数変換などを施した後、送信制御部435に送信する。
次に、図6を参照しながら、デジタル放送再送信装置400が再送信する連結再送信波の概略について説明する。図6は、デジタル放送再送信装置400が受信した地上デジタルテレビジョン放送波のそれぞれから、1セグメント放送を抽出し、該抽出した1セグメント放送を基に1つの連結再送信波を送信する様子を示す模式図である。
図6では、それぞれ別の物理チャンネルで放送されている地上デジタルテレビジョン放送波461、462、463とは異なる物理チャンネルで、連結再送信波469を再送信している。また、地上デジタルテレビジョン放送波461、462、463は、上述したように、それぞれ13個のセグメントから構成されている。
地上デジタルテレビジョン放送波461、462、463のそれぞれの中央に位置する1つのセグメント464、465、466が1セグメント放送である。デジタル放送再送信装置400は、地上デジタルテレビジョン放送波101、102、103を、受信部440を経由してそれぞれ放送波A受信部411、放送波B受信部412、放送波C受信部413で受信し、1セグメント放送464、465、466を抽出する。そして、抽出した1セグメント放送464、465、466を基に、OFDM変調・再送信部416が連結再送信波469を生成する。そして、生成した連結再送信波469を、地上デジタルテレビジョン放送波461、462、463の物理チャンネルのいずれとも一致しない物理チャンネルで送信部450から送信する。
さらに、連結再送信波469を生成するとき、独自セグメント放送出力部415により、地上デジタルテレビジョン放送波に含まれない1又は複数の映像音声情報を放送する独自のセグメント放送、例えば、デジタル放送再送信装置400が設置されている地下街の店舗情報などを含んだセグメント放送を、連結再送信波109に加えてもよい。図6では、1セグメント放送464、465、466に加えて、独自のセグメント放送467および468を連結している。
そして、パイロット情報生成部414が、1セグメント放送464、465、466と、OFDM変調・再送信部416で生成される連結再送信波469との差分を遅延量として算出し、パイロット情報480を生成する。そして、OFDM変調・再送信部416が、生成されたパイロット情報480を含むセグメント470を、連結再送信波469の中央に位置する1セグメントに組み込む。
このように、パイロット情報480は、連結再送信波の中央に位置する1セグメントに組み込まれる。そして、連結再送信波を受信しているデジタル放送受信装置100は物理チャンネル内の中央1セグメントを受信するため、受信した連結再送信波からパイロット情報480を容易に取得することができる。
なお、パイロット情報480を含むセグメント470は他のセグメントよりもビット誤りに強い伝送路符号化方式および変調方式で変調してもよい。例えば、通常の1セグメント放送は、変調方式がQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)であり、内符号の符号化率が2/3で送信される。一方、これに対してパイロット情報480を含むセグメント470は、変調方式がDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)であり、内符号の符号化率が1/2で変調するようにしてもよい。これにより、1セグメント放送のセグメントが受信できないような弱電界地域においても、デジタル放送受信装置100が、パイロット情報480を含むセグメント470を受信できる可能性を高めることができる。
(パイロット情報)
次に、図7を参照しながら、パイロット情報480のデータ構造について、詳細に説明する。
図7は、パイロット情報480のデータ構造を模式的に示す図である。図7に示すとおり、パイロット情報480は、セグメント番号481、物理チャンネル番号482、遅延量483を含んでいる。そして、パイロット情報480は、連結再送信波469で送信する1セグメント放送に対応する数だけ、セグメント番号481と物理チャンネル番号482と遅延量483との組を含んでいる。
セグメント番号481は、連結再送信波469を構成する各セグメントを識別する番号を示す。
物理チャンネル番号482は、セグメント番号481に記載の番号のセグメントで再送される1セグメント放送に対応する、地上デジタルテレビジョン放送波の物理チャンネル番号を示す。パイロット情報生成部414が、放送波A受信部411または放送波B受信部412または放送波C受信部413から受信した1セグメント放送の物理チャンネル番号を基に、物理チャンネル番号482を生成する。
遅延量483は、放送波A受信部411または放送波B受信部412または放送波C受信部413から受信した1セグメント放送信号と、OFDM変調・再送信部416から送信される連結再放送信号との時間差分を示す。パイロット情報生成部414が、該時間差分を計算する。
上述のように、パイロット情報480には、地上デジタルテレビジョン放送波におけるセグメントと連結再送信波におけるセグメントとの対応が記述される。このため、デジタル放送受信装置100は、連結再送信波を構成するセグメントを順にスキャンしてサービスIDを比較する必要はなく、連結再送信波の中央に位置するセグメントからパイロット情報480を抽出し、抽出したパイロット情報480を解析することにより、上記対応関係をすばやく検出することができる。
また、パイロット情報480には、地上デジタルテレビジョン放送波と連結再送信波との遅延量483が記載されている。遅延量483により、デジタル放送受信装置100の遅延量算出部14が地上デジタルテレビジョン放送波と連結再送信波との遅延量を容易に求めることができる。
〔参考形態としての実施の形態2〕
実施の形態1におけるデジタル放送受信装置100は、自装置のSTCを、地上デジタルテレビジョン放送に含まれるPCRから所定の遅延をもたせて同期させておき、このSTCに従って映像音声情報を表示することにより、地上デジタルテレビジョン放送より遅れている連結再送信波に切り替えるときに、映像音声情報が途切れないようにしている。
本実施形態では、さらに、他の構成により、地上デジタルテレビジョン放送と連結再送信波との切り替えにおいて、映像音声情報が途切れないようにするデジタル放送受信装置100bについて説明する。デジタル放送受信装置100bでは、自装置のSTCの進行速度を遅くしたり、速くしたりすることにより、表示する映像音声情報が途切れないようにする。
本実施形態について図8から図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
(デジタル放送受信装置の構成)
図8を参照しながら、デジタル放送受信装置100bの構成について説明する。図8は、本実施の一形態に係るデジタル放送受信装置100bの構成を示すブロック図である。
デジタル放送受信装置100bは、デジタル放送受信装置100と同様に、地上デジタル放送送信装置600から送信される地上デジタルテレビジョン放送波と、デジタル放送再送信装置400から送信される連結再送信波とを受信し、該受信した放送を基に映像音声情報を表示する。そのために、デジタル放送受信装置100bは、制御部10b、入出力制御部30、受信部40、および表示部50を備えて構成される。
制御部10bは、放送波受信部11と再送信波受信部12と復号部13bと遅延量算出部14bとSTC生成部16bと映像音声情報出力部17bと時間軸圧縮伸張部18bとを含んでいる。
復号部13bは、放送波受信部11または再送信波受信部12から送られるTSのいずれか一方を情報源復号し、時間軸圧縮伸張部18bに映像音声情報を出力する。
そして、復号部13bは、例えば、放送波受信部11から送られるTSを情報源復号している途中に、該TSを受信できなくなったとき、再送信波受信部12から送られるTSを受信している場合には、再送信波受信部12から送られるTSを情報源復号するように切り替える。同様に、復号部13bは、再送信波受信部12から送られるTSを情報源復号している途中に、該TSを受信できなくなったとき、放送波受信部11から送られるTSを受信している場合には、放送波受信部11から送られるTSを情報源復号するように切り替える。
また、復号部13bは、情報源復号するTSに含まれるPCRを抽出し、STC生成部16bに出力する。
遅延量算出部14bは、放送波受信部11が出力するTSに含まれるPCRと比べて、再送信波受信部12が出力するTSに含まれるPCRが遅延している量を算出し、該遅延量を時間軸圧縮伸張部18bに出力する。
遅延量の算出方法としては、例えば、連結再送信波の中央に位置する1セグメントに組み込まれるパイロット情報480を解析し、パイロット情報480に含まれる遅延量483を遅延量として用いてもよい。ただし、遅延量の算出方法は上述に限定されるものではない。
STC生成部16bは、デジタル放送受信装置100bの基準クロックであるSTCを生成する。すなわち、復号部13bから出力されるPCRと同期をとったSTCを生成する。
映像音声情報出力部17bは、時間軸圧縮伸張部18bが出力した映像音声情報を、時間軸圧縮伸張部18bが変更したSTCに従って表示部50に出力する。
時間軸圧縮伸張部18bは、映像および音声を再生するためSTCの進行速度を変更する。そのために、時間軸圧縮伸張部18bは、STC生成部16bが生成したデジタル放送受信装置100bのSTCの進行速度を予め定められた所定の速度に変更することにより、復号部13bから出力されるPCRとは異なるタイミングのPCRに、STCを徐々に同期させるようにする。
すなわち、時間軸圧縮伸張部18bは、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波に切り替えるときは、時間的に遅延している連結再送信波に含まれるPCRにSTCを同期させるようにするため、STCの進行速度を所定の遅い速度に変更する。一方、時間軸圧縮伸張部18bは、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波に切り替えるときは、時間的に先行している地上デジタルテレビジョン放送波に含まれるPCRにSTCを同期させるようにするため、STCの進行速度を所定の速い速度に変更する。
ここで、STCの進行速度を速くすることによって、映像音声情報出力部17bは映像情報を早送り再生し、また、STCの進行速度を遅くすることによって、映像音声情報出力部17bは映像情報をスロー再生する。このとき、STCの進行速度を変更する度合いが小さければ、映像情報が早送り再生またはスロー再生されていることを、デジタル放送受信装置100bの利用者はほとんど感知することがない。
また、時間軸圧縮伸張部18bは、STCの進行速度の変更に伴い、音声のピッチを変えずに音声の速度を変更する処理を行う。該変更処理には、時間軸圧縮伸張、Time Scale Modification、話速変換といった一般的な技術を用いればよい。例えば、音声信号内の基本周期を探索し、この基本周期単位で間引きや挿入を行う方法を用いる。
ここで、例えば、STCの進行速度の変更にしたがって音声のDA変換を行う基準クロックを変更すると、音声のピッチが変わるので、利用者が違和感を抱く可能性が高い。しかしながら、時間軸圧縮伸張部18bは、音声のピッチを変えずに音声の速度を変更するので、利用者が感知することなく、音声の時間軸圧縮伸張を行うことができる。
このように、時間軸圧縮伸張部18bによると、利用者に感知させることなく、異なるタイミングのPCRに、STCを徐々に同期させることができる。
次に、図9を参照しながら、デジタル放送受信装置100bが、受信する対象を、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波へ切り替えるときの様子について説明する。図9は、デジタル放送受信装置100bが、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、図3にて示した各部材と同一の部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
デジタル放送受信装置100bは、まず放送波1210のパケットを受信している。そして、1パケット集合の遅延をもったSTC1253に従って、映像音声情報を表示しているものとする。この状態では、時間軸圧縮伸張部18bにおいてSTC1253の進行速度を変化させておらず、STC1253は放送波1210に含まれるPCRと同期している。
次に、再送信波1220のパケット集合T4を受信し、放送波1210からの遅延量(すなわちD)を遅延量算出部14bにて算出すると、時間軸圧縮伸張部18bにおいて、再送信波1220に含まれるPCRにSTC1253を同期させるべく、STC1253の進行速度を所定の速度に変更する。
図9では、受信したパケット集合T5のSTC1253の進行速度を2/3倍に変更している。すなわち、3/2倍の時間軸伸張を行っている。ここで、遅延量Dは「3」であるから、3÷(3/2−1)=6のパケット集合に相当する時間だけ、2/3倍でSTC1253を進行させれば、所定時間経過後に、遅延している再送信波1220に含まれるPCRとSTC1253とを同期させることができる。そのため、図9ではT5からT10までの6つのパケット集合に相当する期間901の間、STC1253の進行速度を2/3倍にしている。
なお、STC1253の進行速度を変更する倍率は2/3に限定されるものではないが、利用者が感知しない程度の倍率(すなわち1倍に近い倍率)であることが望ましい。ただし、1倍に近い倍率であるほど時間軸伸張の度合い小さくなるので、再送信波1220に含まれるPCRとSTC1253とを同期させるまでに必要な時間が多くなる。
そして、再送信波1220のPCRとSTC1253が同期するようになったとき、すなわちTS11のパケット集合のPCRに相当するSTC1253からは、STC1253の進行速度を元の速度に変更する。そして、再送信波1220に含まれるPCRにSTC1253を同期させて、映像音声情報の再生を継続する。
なお、上記のように、STC1253の進行速度を変化させることにより時間軸伸張を行う方法では、放送波1210が受信できなくなるまでに、連結再送信波に含まれるPCRとSTC1253とを同期させることができていれば、再送信波1220に切り替える際に、映像音声情報の途切れが発生しない。一方、放送波1210が受信できなくなるまでに、連結再送信波に含まれるPCRとSTC1253とを同期させることができていなければ、再送信波1220に切り替える際に、映像音声情報の途切れが発生する。
ここで、STC1253の進行速度を変化させるときには、いつの時点で放送波1210が受信できなくなるのか不明である。したがって、できるだけ速く遅延量Dを決定し、STC1253の進行速度を変更することが望ましい。したがって、遅延量算出部14bが遅延量を算出する方法として、上述したように、連結再送信波の中央に位置する1セグメントに組み込まれるパイロット情報480を解析し、パイロット情報480に含まれる遅延量483を遅延量Dと決定する方法が、決定までに要する時間が少なく、望ましい。
次に、図10を参照しながら、デジタル放送受信装置100bが、受信する対象を、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波へ切り替えるときの様子について説明する。図10は、デジタル放送受信装置100bが、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、図9にて示した各部材と同一の部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図10において、放送波1211は、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波1221は、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。ここでは、再送信波1221は、放送波1211から遅延量Dだけ遅延して再送信されている。図10において、Dの値は「3」である。
デジタル放送受信装置100bは、まず再送信波1221のパケットを受信している。そして、1パケット集合の遅延をもったSTC1254に従って、映像音声情報を表示しているものとする。この状態では、時間軸圧縮伸張部18bにおいてSTC1254の進行速度を変化させておらず、STC1254は再送信波1221に含まれるPCRと同期している。
次に、放送波1211のパケット集合T4を受信し、再送信波1221が遅延している量(すなわちD)を遅延量算出部14bにて算出すると、時間軸圧縮伸張部18bにおいて、放送波1211に含まれるPCRにSTC1254を同期させるべく、STC1254の進行速度を所定の速度に変更する。
図10では、受信したパケット集合T31のパケット集合のSTC1254の進行速度を5/4倍に変更している。すなわち、4/5倍の時間軸圧縮を行っている。ここで、遅延量Dは「3」であるから、3÷(1−4/5)=15のパケット集合に相当する時間だけ、5/4倍でSTC1254を進行させれば、所定時間経過後に、先行している放送波1211に含まれるPCRとSTC1254とを同期させることができる。そのため、図10ではT31からT45までの15つのパケット集合に相当する期間902の間、STC1254の進行速度を5/4倍にしている。
なお、STC1254の進行速度を変更する倍率は2/3に限定されるものではないが、利用者が感知しない程度の倍率(すなわち1倍に近い倍率)であることが望ましい。ただし、1倍に近い倍率であるほど時間軸伸張の度合い小さくなるので、放送波1211に含まれるPCRとSTC1254とを同期させるまでに必要な時間が多くなる。
そして、放送波1211のPCRとSTC1254が同期するようになったとき、すなわち、T26のパケット集合に相当するSTC1254からは、STC1254の進行速度を元の速度に変更する。そして、放送波1211に含まれるPCRにSTC1254を同期させて、映像音声情報の再生を継続する。
なお、連結再送信波から放送波に切り替える場合は、連結再送信波が受信できなくなるまでに、放送波に含まれるPCRとSTC1254とを同期させることができていなくても、放送波に切り替える際に、映像音声情報の途切れが発生することはない。そのため、放送波が完全に受信できるようになるまで待ってからSTCの進行速度の変更を行ってもよいし、連結再送信波の受信状況が悪化し始めてからSTCの進行速度の変更を行ってもよい。また、STCの進行速度の変更倍率をきわめて1倍に近いものとし、放送波に含まれるPCRとSTCとを同期させるまでに要する時間を長くしてもよい。
以上のように、本実施形態に係るデジタル放送受信装置100bによれば、先行している放送波から遅延している連結再送信波に切り替えるとき、および、連結再送信波から放送波に切り替えるときのいずれにおいても、映像音声情報の途切れや、映像音声情報の欠落が生じない。また、連結再送信波から先行している放送波に切り替えるとき、放送波と同期をとるまでSTCの進行速度を速めるので、放送波を受信してから映像音声情報を再生するまでに所定時間の遅れが生じたままの状態となることはない。
なお、本実施形態では時間軸圧縮伸張を行うにあたり、STCの速度を変更したが、時間軸圧縮伸張を行う方法はこれに限定されるものではない。例えば、STCの進行速度はそのままとし、映像音声情報出力部17bが出力する映像音声情報のタイムスタンプを適宜変換するようにしてもよい。そして、STCをPCRに同期させるにあたっては、所定のオフセット値を増減してSTCの進行速度を変更してもよい。
〔参考形態としての実施の形態3〕
実施の形態1におけるデジタル放送受信装置100および、実施の形態2におけるデジタル放送受信装置100bは、それぞれ2つの受信部を備え、地上デジタルテレビジョン放送および連結再送信波を同時に受信することができた。これに対し、本実施形態では、受信部を1つのみ備えるデジタル放送受信装置100cについて説明する。
本実施形態について図11から図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1および実施の形態2にて示した各部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
(デジタル放送受信装置の構成)
図11を参照しながら、デジタル放送受信装置100cの構成について説明する。図11は、本実施の一形態に係るデジタル放送受信装置100cの構成を示すブロック図である。
デジタル放送受信装置100cは、デジタル放送受信装置100およびデジタル放送受信装置100bと同様に、地上デジタル放送送信装置600から送信される地上デジタルテレビジョン放送波と、デジタル放送再送信装置400から送信される連結再送信波とを受信し、該受信した放送を基に映像音声情報を表示する。そのために、デジタル放送受信装置100cは、制御部10c、入出力制御部30、受信部40、および表示部50を備えて構成される。
制御部10cは、放送波・再送信波受信部11cと復号部13cと遅延量算出部14cとSTC生成部16cと映像音声情報出力部17cと時間軸伸張部18cとを含んでいる。
放送波・再送信波受信部11cは、受信部40で受信した地上デジタルテレビジョン放送波または連結再送信波を受けとる。そして、該受信した放送波または連結再送信波に対して、OFDM復調および伝送路復号を行い、その結果得られたTSを復号部13cに出力する。
復号部13cは、放送波・再送信波受信部11cから送られるTSを情報源復号し、時間軸伸張部18cに映像音声情報を出力する。
また、復号部13cは、情報源復号するTSに含まれるPCRを抽出し、STC生成部16cに出力する。
遅延量算出部14cは、放送波・再送信波受信部11cが出力するTSに含まれるPCRを基に、再送信波の遅延量を算出し、該遅延量を時間軸伸張部18cに出力する。
STC生成部16cは、デジタル放送受信装置100cの基準クロックであるSTCを生成する。すなわち、復号部13cから出力されるPCRを基準として、通常生成するSTCよりも遅延量決定部15が決定した遅延量Tだけ時間的に遅らせて同期をとったものを、STCとして生成する。なお、放送波・再送信波受信部11cが放送波および再送信波を受信できず、そのため、復号部13cから出力されるPCRを受信できなくなった場合、STC生成部16cは、PCRと同期を取らずにSTCを生成してもよい。このとき、再度PCRを受信できるようになった時点で、PCRからの遅れが遅延量Tとは異なっている場合は、再度、遅延量Tだけ時間的に遅らせて同期をとるようにSTCの値を補正してもよい。
映像音声情報出力部17cは、時間軸伸張部18cが出力した映像音声情報を、時間軸伸張部18cが変更したSTC1255に従って表示部50に出力する。
時間軸伸張部18cは、映像および音声を再生するためSTCの進行速度を変更する。そのために、時間軸伸張部18cは、STC生成部16cが生成したデジタル放送受信装置100cのSTCの進行速度を予め定められた所定の速度に変更することにより、復号部13cから出力されるPCRとは異なるタイミングのPCRに、STCを徐々に同期させるようにする。
すなわち、時間軸伸張部18cは、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波に切り替えるときは、時間的に先行している地上デジタルテレビジョン放送波に含まれるPCRにSTCを同期させるようにするため、STCの進行速度を所定の速い速度に変更する。
次に、図12を参照しながら、デジタル放送受信装置100cが、受信する対象を、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波へ切り替えるときの様子について説明する。図12は、デジタル放送受信装置100cが、地上デジタルテレビジョン放送波から連結再送信波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、図3にて示した各部材と同一の部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図12において、放送波1212は、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波1222は、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。ここでは、再送信波1222は、放送波1212から遅延量Dだけ遅延して再送信されている。図12において、Dの値は「3」である。
デジタル放送受信装置100cにおける放送波・再送信波受信部11cは、まず放送波1212のパケットを受信している。そして、4つのパケット集合分の遅延量TをもたせたSTC1255に従って、映像音声情報を表示している。予めTだけ遅延させていることにより、Dの値がTの値以下であれば、映像音声情報の欠落を発生させることなく切り替えを行うことが可能となる。
次に、放送波・再送信波受信部11cは、放送波1212と再送信波1222とを同時に受信することはできないので、図12においては、放送波・再送信波受信部11cは、放送波1212のパケット集合T10までを受信し、その後、受信対象を再送信波1222に切り替えている。その結果、再送信波1222のパケット集合T9から受信している。
そして、デジタル放送受信装置100cは、遅延量TをもたせたSTC1255に従って、映像音声情報を表示しているので、映像音声情報の欠落を発生させることなく切り替えを行うことができる。
次に、図13を参照しながら、デジタル放送受信装置100cが、受信する対象を、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波へ切り替えるときの様子について説明する。図13は、デジタル放送受信装置100cが、連結再送信波から地上デジタルテレビジョン放送波への切り替えるときの様子を示す模式図である。
なお、説明の便宜上、図12にて示した各部材と同一の部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
図13において、放送波1213は、地上デジタルテレビジョン放送波である。再送信波1223は、難視聴地帯で再送信されている連結再送信波である。
放送波・再送信波受信部11cは、放送波1213と再送信波1223とを同時に受信することはできないので、図13においては、放送波・再送信波受信部11cは、再送信波1223のパケット集合T51から順にT56までを受信し、その後、受信対象を再送信波1222に切り替えている。その結果、再送信波1222のパケット集合T61から順にT71までを受信している。この場合、1つの放送波・再送信波受信部11cにて、時間的に先行している地上デジタルテレビジョン放送波に切り替えるので、映像音声情報の欠落を防ぐことはできない。
ここで、STC1256の値が7から10の期間、STC1256を生成するためのPCRを受信していないため、映像音声情報が途切れる可能性がある。しかしながら、上記期間より前に、PCRの値が11であるパケット集合T61を既に受信できていることから、パケット集合T61に対応する映像音声情報を通常より早めに出力することにより、映像音声情報の途切れを短くすることできる。
さらに、STC1256の値が7から10の期間に出力すべき映像音声情報は、該期間より前に既に受信できていることが多い。この場合、PCRに関係なくSTC1256を進行させることにより、既に受信できている映像音声情報を出力することができる。そうすると、実際に映像音声情報の途切れが発生するのは、STC1256の値が7から10の期間ではなく、その後となる。
ここで、説明の便宜上、再送信波1223のパケット集合に含まれるPCRの値と、該パケット集合に対応する映像音声情報を出力するときのSTC1256の値との差が「4」あるものとする。また、実際に映像音声情報の途切れが発生するのが、PCRに関係なくSTC1256を進行させて、STC1256の値が11になるタイミングであるとする。
まず、再送信波1223を受信できなくなった後も、受信済みのパケットで映像音声情報が出力可能である間(すなわち、STC1256の値が10までの間)は、STC1256の進行速度を変更せずに、映像音声情報を出力する。
その後、映像音声情報を出力できなくなったとき、その時点で既に受信している、PCRの値が11であるパケット集合T61に対応する映像音声情報の出力を開始する。このとき、STC1256の値を11とするのではなく、上記PCRの値に4を加えた「15」に補正し、進行させる。
さらに、この段階では、放送波1213のPCRに対するSTC1256の遅延量がTより小さい。それゆえ、時間軸伸張部18cで期間903の間、STC1256の進行速度を所定速度に遅らせる。そして遅延量がTになるまでSTC1256の進行を遅らせたままとする。
なお、この場合でも、映像音声情報を出力できなくなってから、再び映像音声情報を出力するまでの期間852が若干発生する可能性がある。
また、遅延量がTになったあと、次に再送信波に切り替えるときは、図12で説明したように、Dの値がTの値以下である場合は、映像音声情報の途切れは発生しない。
なお、本実施形態では遅延量Tを固定値としたが、実施の形態1で説明したように、Tの値を変化させてもよい。
以上のように、本実施形態に係るデジタル放送受信装置100cによれば、受信部を1つしか持たない簡易な構成であっても、映像音声情報の途切れを最小限に抑えて、デジタテレビジョン放送波と連結再送信波とを切り替えることができる。
(付記事項)
本発明に係るデジタル放送受信装置は、映像音声情報を受信し、また、再生することが可能な装置であれば、例えば、テレビ、PC、携帯電話、PDA、ゲーム機などであってもよい。
また、本発明に係るデジタル放送受信装置またはデジタル放送再送信装置が送受信する映像音声情報は、映像データ、音声データ、またはそれらを組み合わせたものであってもよく、また、特定のフォーマットに限定されるものではない。
最後に、制御部10、10b、10c、410は、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよいし、ハードウェアロジックによって構成してもよい。ソフトウェアによって実現する場合は、デジタル放送受信装置100、デジタル放送受信装置100b、デジタル放送受信装置100c、デジタル放送再送信装置400は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデジタル放送受信装置100、デジタル放送受信装置100b、デジタル放送受信装置100c、デジタル放送再送信装置400の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、デジタル放送受信装置100、デジタル放送受信装置100b、デジタル放送受信装置100c、デジタル放送再送信装置400に供給し、デジタル放送受信装置100、デジタル放送受信装置100b、デジタル放送受信装置100c、デジタル放送再送信装置400内のコンピュータ(またはCPUやMPU(Micro Processing Unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、デジタル放送受信装置100、デジタル放送受信装置100b、デジタル放送受信装置100c、デジタル放送再送信装置400を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394ケーブル、USBケーブル、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本実施の形態に係る放送受信方法は、第1の放送波を受信する第1の受信ステップと、第1の放送波から遅延する第2の放送波を受信する第2の受信ステップと、第1の受信ステップまたは第2の受信ステップにて受信した放送波に含まれる映像音声情報を再生する提示ステップとを含む放送受信方法であって、第1の放送波に含まれる第1の同期信号に基づいて、第2の遅延量だけ遅延させた第2の同期信号を生成する同期信号生成ステップと、上記第2の同期信号に従って、上記映像音声情報を上記表示ステップに再生する映像音声情報出力ステップとを含むとともに、第2の放送波の第1の放送波に対する第1の遅延量を算出する遅延量算出ステップと、上記遅延量算出ステップにて算出した上記第1の遅延量を記憶する遅延量記憶ステップと、上記遅延量記憶ステップにて記憶する上記第1の遅延量を基に、上記第2の遅延量を決定する遅延量決定ステップとを含むことを特徴としている。
さらに、本実施の形態に係る放送受信装置は、上記の構成において、上記遅延量決定手段は、上記遅延量記憶手段が記憶する遅延量のうち最大の遅延量を第2の遅延量と決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、さらに、第2の放送波の第1の放送波に対する過去の遅延量のうちの最大値を基に、受信した放送波に含まれる映像音声情報を第1の放送波から遅延させて再生することができる。
よって、第1の放送波を受信しており、かつ、第2の放送波を受信していないときであっても、過去の第2の放送波の最大の遅延量を基に、あらかじめ遅延した状態で映像音声情報を再生することができる。
したがって、第1の放送波から第2の放送波に切り替えるとき、切り替え後に受信する第2の放送波の遅延量が、過去に受信した第2の放送波の遅延量以下である場合、映像音声情報の途切れが生じないという効果を奏する。
さらに、本実施の形態に係る放送受信装置は、上記の構成において、上記遅延量決定手段は、上記遅延量記憶手段が記憶する遅延量から異常値を除いた遅延量の代表値を、第2の遅延量と決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、さらに、第2の放送波の第1の放送波に対する過去の遅延量のうちの代表値を基に、受信した放送波に含まれる映像音声情報を第1の放送波から遅延させて再生することができる。
よって、過去に受信した第2の放送波の遅延量の中に、値が大きいまたは小さい異常値がある場合や、過去に受信した第2の放送波の遅延量と最近受信した第2の放送波の遅延量とに大きな差がある場合であっても、代表的な遅延量を基に、あらかじめ遅延した状態で映像音声情報を再生することができる。
したがって、映像音声情報を遅延させる量が大きすぎることがなく、また、小さすぎることがない状態で再生することができるとともに、第1の放送波から第2の放送波に切り替えるとき、映像音声情報の途切れをできるだけ少なくすることができるという効果を奏する。
さらに、本実施の形態に係る再送信波のデータ構造は、放送再送信装置が、放送波に含まれる1セグメント情報を抽出し、該抽出した1セグメント情報を1単位に含めて生成する再送信波のデータの構造であって、上記1セグメント情報を格納した再送信波のセグメントの識別情報、当該1セグメント情報が抽出された放送波の物理チャンネルの識別情報、および、当該1セグメント情報が抽出された放送波に対する当該1セグメント情報を格納した再送信波の遅延量を対応付けて格納する領域を含むことを特徴としている。
上記の構成によれば、再送信波に対する各放送波の遅延量を、再送信波の中に含ませることができる。
よって、再送信波に対する各放送波の遅延量を、放送受信装置に対して送信することができる。
したがって、上記遅延量を基に、放送受信装置が再送信波の遅延量を取得することができるという効果を奏する。