上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ装置は、第1導電型基板の表面上に形成され、第1導電型基板側から第1導電型の第1半導体層、第1活性層および第2導電型の第2半導体層の順に積層された第1半導体レーザ素子と、第1導電型の第3半導体層、第2活性層および第2導電型の第4半導体層の順に積層された第2半導体レーザ素子とを備え、第1導電型の第3半導体層側が、融着層を介して第1導電型基板の表面上に接合されることにより、第1導電型の第3半導体層は、第1導電型の第1半導体層と電気的に接続されている。
この発明の第1の局面による半導体レーザ装置では、上記のように、第2半導体レーザ素子の第3半導体層側を、融着層を介して第1導電型基板の表面上に接合することにより、第1導電型の第3半導体層を、第1半導体レーザ素子の第1半導体層と電気的に接続するように構成することによって、第2半導体レーザ素子の第3半導体層は、第1導電型基板と同一の極性を有するので、第1導電型基板と第3半導体層との間に電気的な短絡を防止するための絶縁層などを設ける必要がない。これにより、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とが、アノードコモンまたはカソードコモンで接続された集積型半導体レーザ素子の内部構造を簡素化することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1半導体レーザ素子は、底部が第1導電型基板または第1半導体層まで達する段差部を有し、第2半導体レーザ素子は、段差部の底部に接合されている。このように構成すれば、容易に第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とをアノードコモンまたはカソードコモンの状態で接続することができる。
この場合、好ましくは、第1活性層と第2活性層とは、略同一の面内に所定の距離を隔てて配置されている。このように構成すれば、各半導体レーザ素子の発光領域を、略同一の平面上に配置することができるので、各半導体レーザ素子の出射光を略同一直線上に並べた状態で出射することができる。これにより、この半導体レーザ装置を光ディスク用ピックアップ装置に適用した場合、個々の半導体レーザ素子の出射光を、光ディスクやDVDなどの記録面に対して、略同一の角度(垂直方向)により入射させることができるので、各記録媒体における半導体レーザ素子の光スポット品質がばらつくのを抑制することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1半導体レーザ素子の共振器長と第2半導体レーザ素子の共振器長とは互いに異なる。このように構成すれば、発振波長の異なる半導体レーザ素子同志を組み合わせた場合においても、個々の半導体レーザ素子の動作特性(電流−光出力特性や温度特性など)が考慮された状態で1チップに集積化された集積型半導体レーザ素子が形成される。これにより、半導体レーザ素子の動作特性を最適化させることができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1半導体レーザ素子の表面には、第1導電型基板または第1半導体層と電気的に導通する接続領域が設けられ、第2半導体レーザ素子は、接続領域上に接合されている。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子に第1導電型基板まで達する段差部を設けることなく、容易に第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とをアノードコモンまたはカソードコモンで接続することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1活性層は、砒素およびリンの少なくともいずれかを含む化合物半導体により形成され、第2活性層は、窒化物系化合物半導体により形成されている。このように構成すれば、第1半導体レーザ素子を、赤外光のレーザ光または赤色光のレーザ光を出射する半導体レーザ素子とするとともに、第2半導体レーザ素子を第1半導体レーザ素子とは波長の異なるレーザ光を出射する青紫色半導体レーザ素子として形成することができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子を搭載するための放熱基台をさらに備え、第1半導体レーザ素子および第2半導体レーザ素子は、それぞれ、第2半導体層側および第4半導体層側が放熱基台に対して固定されている。このように構成すれば、レーザ作動時に、レーザ光の発振に伴う半導体レーザ素子の発熱を、第1導電型基板よりも放熱性能が良好な放熱基台を介して効率よく放熱させることができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第3半導体層と融着層との間に形成され、第3半導体層と接する第1電極と、第4半導体層上に形成される第2電極とをさらに備える。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子を第1半導体レーザ素子に貼り合わせる際に、第2半導体レーザ素子の第1電極と融着層との接合性を向上させることができる。さらに、第2半導体レーザ素子が第1半導体レーザ素子に貼り合わされた集積型半導体レーザ素子を放熱基台に接合する際も、第2半導体レーザ素子の第2電極と接着層(融着層)との接合性を向上させることができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第3半導体層と融着層との間に配置され、第3半導体層と接する第1導電型窒化物系半導体基板をさらに備える。このように構成すれば、たとえば、成長用基板として使用される第1導電型窒化物系半導体基板を第3半導体層から剥離することなく第2半導体レーザ素子を形成した状態で第1半導体レーザ素子に貼り合わせることができるので、集積型半導体レーザ素子形成時の歩留まりを向上させることができる。
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第4半導体層上に配置される第2導電型窒化物系半導体基板をさらに備える。このように構成すれば、たとえば、成長用基板として使用される第2導電型窒化物系半導体基板を第4半導体層から剥離することなく第2半導体レーザ素子を形成した状態で第1半導体レーザ素子に貼り合わせることができるので、集積型半導体レーザ素子形成時の製造プロセスを簡素化させることができる。
この発明の第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法は、第1導電型基板の表面上に、第1導電型の第1半導体層、第1活性層および第2導電型の第2半導体層の順に成長させることにより、第1半導体レーザ素子を形成する工程と、成長用基板の表面上に、第1導電型の第3半導体層、第2活性層および第2導電型の第4半導体層を成長させることにより、第2半導体レーザ素子を形成する工程と、第3半導体層側を、融着層を介して第1導電型基板の表面上に接合することにより、第3半導体層と第1半導体層とが電気的に接続された状態で第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせる工程とを備える。
この発明の第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法では、上記のような製造工程を備えることによって、第2半導体レーザ素子の第3半導体層が、第1導電型基板(第1導電型の第1半導体層)と同一の極性を有した状態で導通されるので、第1導電型基板と第3半導体層との間に電気的な短絡を防止するための絶縁層などを設ける必要がなく、内部構造が簡素化された集積型半導体レーザ素子を形成することができる。
上記第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法において、好ましくは、第1半導体レーザ素子の表面に、底部が第1導電型基板または第1半導体層まで達する段差部を形成する工程をさらに備え、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせる工程は、段差部の底部に融着層を介して第3半導体層側を接合することにより、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせる工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子の第3半導体層を、第1半導体レーザ素子の段差部を介して容易に第1導電型基板(第1導電型の第1半導体層)と同一の極性を有した状態で導通させることができる。
上記第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法において、好ましくは、第1半導体レーザ素子の表面に、第1導電型基板または第1半導体層と電気的に導通する接続領域を設ける工程をさらに備え、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせる工程は、接続領域上に融着層を介して第3半導体層側を接合することにより、第1半導体レーザ素子と第2半導体レーザ素子とを貼り合わせる工程を含む。このように構成すれば、第2半導体レーザ素子の第3半導体層が、第1半導体レーザ素子の表面に形成された第1導電型基板または第1半導体層と電気的に導通する接続領域を介して、第1導電型基板(第1導電型の第1半導体層)と同一の極性を有した状態で導通されるので、上記効果と同様に、内部構造が簡素化された集積型半導体レーザ素子を形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した正面図である。図2は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した平面図である。図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ素子部50を備えた半導体レーザ装置100の構造について説明する。
本発明の第1実施形態による半導体レーザ装置100では、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50が、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層1を介してAlNからなる基台(サブマウント)70に固定されている。また、3波長半導体レーザ素子部50は、約780nmの発振波長を有する赤外半導体レーザ素子10と、約650nmの発振波長を有する赤色半導体レーザ素子20とがn型GaAs基板51上に形成されたモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に、約405nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザ素子40が融着層60を介して接合されている。なお、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20は、それぞれ、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、青紫色半導体レーザ素子40は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。また、n型GaAs基板51は、本発明の「第1導電型基板」の一例である。また、基台70は、本発明の「放熱基台」の一例である。
また、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50の赤外半導体レーザ素子10は、n型GaAs基板51に、n型AlGaAsクラッド層11、Al組成の低いAlGaAsからなる量子井戸層とAl組成の高いAlGaAsからなる障壁層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層12、および、p型AlGaAsクラッド層13が形成されている。したがって、赤外半導体レーザ素子10は、Asを含む化合物の半導体層から構成されている。なお、n型AlGaAsクラッド層11、活性層12およびp型AlGaAsクラッド層13は、それぞれ、本発明の「第1導電型の第1半導体層」、「第1活性層」および「第2導電型の第2半導体層」の一例である。
なお、n型AlGaAsクラッド層11と活性層12との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第1半導体層は含んでいてもよい。また、n型AlGaAsクラッド層11の活性層12と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第1半導体層は含んでいてもよい。また、活性層12とp型AlGaAsクラッド層13との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第2半導体層は含んでいてもよい。また、p型AlGaAsクラッド層13の活性層12と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第2半導体層は含んでいてもよい。また、活性層12は、単層または単一量子井戸(SQW)構造などにより構成されてもよい。
また、図1に示すように、p型AlGaAsクラッド層13には、図面に対して垂直な方向であるA方向(図2参照)に延びる約3μmの幅を有するリッジ部13aを形成することによって導波路構造が形成されている。また、図1に示すように、p型AlGaAsクラッド層13のリッジ部13a以外の表面には、SiO2からなる絶縁膜14が形成されている。また、p型AlGaAsクラッド層13のリッジ部13aおよび絶縁膜14の下面上には、p側電極15が形成されている。なお、リッジ部13aとp側電極15との間には、p型AlGaAsクラッド層13よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)などが形成されていてもよい。また、p側電極15は、約10nmの厚みを有するCr層と約2.2μmの厚みを有するAu膜とを積層して形成されている。また、図1に示すように、p側電極15の下面と、基台70上に形成された電極層71の上面とが接合されている。
また、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50の赤色半導体レーザ素子20は、n型GaAs基板51の上面上に、n型AlGaInPクラッド層21、GaInPからなる量子井戸層とAlGaInPからなる障壁層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層22、および、p型AlGaInPクラッド層23が形成されている。したがって、赤色半導体レーザ素子20は、P(リン)を含む化合物の半導体層から構成されている。なお、n型AlGaInPクラッド層21、活性層22およびp型AlGaInPクラッド層23は、それぞれ、本発明の「第1導電型の第1半導体層」、「第1活性層」および「第2導電型の第2半導体層」の一例である。
なお、n型AlGaInPクラッド層21と活性層22との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第1半導体層は含んでいてもよい。また、n型AlGaInPクラッド層21の活性層22と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第1半導体層は含んでいてもよい。また、活性層22とp型AlGaInPクラッド層23との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第2半導体層は含んでいてもよい。また、p型AlGaInPクラッド層23の活性層22と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第2半導体層は含んでいてもよい。また、活性層22は、単層またはSQW構造などにより構成されてもよい。
また、図1に示すように、p型AlGaInPクラッド層23には、図面に対して垂直な方向であるA方向(図2参照)に延びる約2μmの幅を有するリッジ部23aを形成することによって導波路構造が形成されている。また、図1に示すように、p型AlGaInPクラッド層23のリッジ部23a以外の表面には、SiO2からなる絶縁膜24が形成されている。また、p型AlGaInPクラッド層23のリッジ部23aおよび絶縁膜24の下面上には、p側電極25が形成されている。なお、リッジ部23aとp側電極25との間には、p型AlGaInPクラッド層23よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)などが形成されていてもよい。また、p側電極25は、約10nmの厚みを有するCr層と約2.2μmの厚みを有するAu膜とを積層して形成されている。また、図1に示すように、p側電極25の下面と、基台70上に形成された電極層72の上面とが接合されている。
また、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50が形成されたn型GaAs基板51の上面の全面には、n型GaAs基板51からAuGe層、Ni層およびAu層の順に積層されたn側電極52が形成されている。
また、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50の青紫色半導体レーザ素子40は、n型AlGaNクラッド層41、In組成の高いInGaNからなる量子井戸層とIn組成の低いInGaNからなる障壁層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層42、および、p型AlGaNクラッド層43が形成されている。したがって、青紫色半導体レーザ素子40は、窒化物系化合物の半導体層から構成されている。なお、n型AlGaNクラッド層41、活性層42およびp型AlGaNクラッド層43は、それぞれ、本発明の「第1導電型の第3半導体層」、「第2活性層」および「第2導電型の第4半導体層」の一例である。
なお、n型AlGaNクラッド層41と活性層42との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第3半導体層は含んでいてもよい。また、n型AlGaNクラッド層41の活性層42と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第3半導体層は含んでいてもよい。また、活性層42とp型AlGaNクラッド層43との間に、光ガイド層(図示せず)やキャリアブロック層(図示せず)などの他の半導体層を、第4半導体層は含んでいてもよい。また、p型AlGaNクラッド層43の活性層42と反対側に、コンタクト層(図示せず)などの他の半導体層を、第4半導体層は含んでいてもよい。また、活性層42は、単層またはSQW構造などにより構成されてもよい。
また、図1に示すように、n型AlGaNクラッド層41には、図面に対して垂直な方向であるA方向(図2参照)に延びる約1.5μmの幅を有するリッジ部41aを形成することによって導波路構造が形成されている。また、図1に示すように、n型AlGaNクラッド層41のリッジ部41a以外の表面には、SiO2からなる絶縁膜44が形成されている。また、n型AlGaNクラッド層41のリッジ部41aおよび絶縁膜44の上面上には、n側電極45が形成されている。なお、n側電極45は、本発明の「第1電極」の一例である。また、リッジ部41aとn側電極45との間には、n型AlGaNクラッド層41よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)などが形成されていてもよい。また、n側電極45は、約10nmの厚みを有するAl層と約20nmの厚みを有するPd層とを積層するとともに、最表面が約1000nmの厚みを有するAu膜により覆われている。また、図1に示すように、p型AlGaNクラッド層43の下面上には、p型AlGaNクラッド層43からPt層、Pd層およびAu層の順に積層されたp側電極46が形成されている。なお、p側電極46は、本発明の「第2電極」の一例である。また、p型AlGaNクラッド層43とp側電極46との間には、p型AlGaNクラッド層43よりも好ましくはバンドギャップが小さいコンタクト層(図示せず)などが形成されていてもよい。また、図1に示すように、p側電極46の下面と、基台70上に形成された電極層73の上面とが接合されている。
ここで、第1実施形態では、図1に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域には、底部51bがn型GaAs基板51まで達する段差部51aが形成されている。また、段差部51aの底部51bには、電極層53が形成されている。そして、青紫色半導体レーザ素子40は、n型AlGaNクラッド層41が、融着層60を介して段差部51aの底部51bと電気的に接続された状態で、n型GaAs基板51に接合されている。
また、図1に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の部分のうち、段差部51aが形成されない側(素子部の両側端)には、n型GaAs基板51まで達する分離溝部51cが形成されている。この分離溝部51cは、後述する半導体レーザ装置100の製造プロセスにおいて、分離溝部51cに沿って3波長半導体レーザ素子部50をチップ状に素子分割(2次劈開)するために設けられている。
また、第1実施形態では、図1に示すように、赤外半導体レーザ素子10の発光領域(活性層12近傍の領域)および赤色半導体レーザ素子20の発光領域(活性層22近傍の領域)と、青紫色半導体レーザ素子40の発光領域(活性層42近傍の領域)とは、略同一の面内(各半導体層の厚み方向(図1のC方向)であって、n型GaAs基板51の上面からの距離Hが略等しい位置)に所定の距離を隔てて配置されるように構成されている。
また、基台70の上面上には、図1および図2に示すように、電極層71、電極層72および電極層73がそれぞれ形成されている。ここで、電極層71、電極層72および電極層73は、それぞれ電気的に分離されている。電極層71は、赤外半導体レーザ素子10のp側電極15の位置に対応する領域に形成されている。また、電極層72は、赤色半導体レーザ素子20のp側電極25の位置に対応する領域に形成されている。また、電極層73は、青紫色半導体レーザ素子40のp側電極46の位置に対応する領域に形成されている。
また、基台70の下面上の全面には、約100nmの厚みを有するTi層と、約200nmの厚みを有するPt層と、約300nmの厚みを有するAu層からなる下地金属層74が形成されている。この下地金属層74は、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層2を基台70に接着するために設けられている。また、基台70は、導電性接着層2を介して、図示しない銅や鉄などからなる金属製のステムに固定される。
また、図1および図2に示すように、電極層71、電極層72および電極層73は、基台70上において、それぞれ、赤外半導体レーザ素子10、赤色半導体レーザ素子20および青紫色半導体レーザ素子40に対して突出した領域(レーザ素子が電極層の上面に接合されていない領域)を有している。また、赤外半導体レーザ素子10に設けられた電極層71の突出した領域の上面には、Auワイヤ90がワイヤボンディングされるとともに、赤色半導体レーザ素子20に設けられた電極層72の突出した領域の上面には、Auワイヤ91がワイヤボンディングされている。また、図2に示すように、青紫色半導体レーザ素子40に設けられた電極層73の突出した領域の上面には、Auワイヤ92がワイヤボンディングされている。また、図1および図2に示すように、n型GaAs基板51上に設けられたn側電極52の上面の所定領域には、Auワイヤ93がワイヤボンディングされている。また、Auワイヤ90、91および92は、それぞれ、ステム(図示せず)のリード端子(正極端子:図示せず)に接続されるとともに、Auワイヤ93は、ステム(図示せず)のリード端子(負極端子:図示せず)に接続されるために設けられている。これにより、第1実施形態では、半導体レーザ装置100は、各半導体レーザ素子に対して正極側のリード端子から個別に電流を供給することが可能であるとともに、各半導体レーザ素子がカソードコモン(n側共通電極)接続となるように構成されている。
また、3波長半導体レーザ素子部50を構成する赤外半導体レーザ素子10、赤色半導体レーザ素子20および青紫色半導体レーザ素子40には、図2に示すように、共振器の延びる方向(A方向)の両端部に、光出射面10a、20aおよび40aと、光反射面10b、20bおよび40bとが、それぞれ形成されている。なお、第1実施形態では、光出射面10a、20aおよび40a、および光反射面10b、20bおよび40bは、それぞれの共振器面から出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい共振器面が光出射面10a、20aおよび40aであり、相対的にレーザ光の出射強度の小さい共振器面が光反射面10b、20bおよび40bである。また、各半導体レーザ素子の光出射面10a(20aおよび40a)、および、光反射面10b(20bおよび40b)には、製造プロセスにおける端面コート処理により、AlN膜やAl2O3膜などからなる誘電体多層膜(図示せず)が、それぞれ形成されている。
図3〜図11は、図1に示した第1実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図1および図3〜図11を参照して、第1実施形態による半導体レーザ装置100の製造プロセスについて説明する。
第1実施形態による半導体レーザ装置100の製造プロセスでは、まず、「モノリシック2波長半導体レーザ素子部の形成工程」および「青紫色半導体レーザ素子の形成工程」を行い、その後、「半導体レーザ素子の貼り合わせ工程」、「成長用基板の剥離工程」および「電極形成工程」を行うことにより、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部50が形成される。その後、「劈開面形成工程」および「マウント工程」により、単体としての3波長半導体レーザ素子部50が形成される。以下、各工程順に具体的に説明する。
まず、「モノリシック2波長半導体レーザ素子部の形成工程」では、図3に示すように、n型GaAs基板51の上面上に、所定の間隔によって互いに離間状態となるように、赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とを形成する。そして、エッチングにより、段差部51aおよび分離溝部51cを形成する。この段差部51aおよび分離溝部51cは、溝の深さがn型GaAs基板51まで達するように形成する。その後、エッチングにより、p型AlGaAsクラッド層13およびp型AlGaInPクラッド層23には、それぞれ、リッジ部13aおよび23aを形成するとともに、リッジ部13aおよび23a上を除くp型AlGaAsクラッド層13およびp型AlGaInPクラッド層23の上面上に、SiO2からなる絶縁膜14および24をそれぞれ形成する。そして、リッジ部13a(リッジ部23a)および絶縁膜14(絶縁膜24)の上面上に、最表面がAu膜からなるp側電極15および25を、それぞれ真空蒸着法により形成する。
次に、図4に示すように、n型GaAs基板51の段差部51aに、電極層53を真空蒸着法により形成するとともに、電極層53上に融着層60を形成する。このようにして、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30が形成される。
また、「青紫色半導体レーザ素子の形成工程」では、図5に示すように、n型GaN基板80の上面上に、InGaN剥離層81、p型AlGaNクラッド層43、活性層42、および、n型AlGaNクラッド層41を順次積層することにより、青紫色半導体レーザ素子40を形成する。そして、エッチングにより、n型AlGaNクラッド層41の上面上にリッジ部41aを形成した後に、リッジ部41a上を除くn型AlGaNクラッド層41の上面上にSiO2からなる絶縁膜44を形成する。その後、リッジ部41aおよび絶縁膜44の上面上に、最表面がAu膜からなるn側電極45を真空蒸着法により形成する。なお、n型GaN基板80は、本発明の「成長用基板」の一例である。
その後、図6に示すように、エッチングにより、段差部80aを形成する。この段差部80aは、n型GaN基板80まで達するように形成する。このようにして、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子40が形成される。
そして、「半導体レーザ素子の貼り合わせ工程」では、図7に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の段差部51aに設けられた電極層53と、n型GaN基板80上に形成された青紫色半導体レーザ素子40のn側電極45とを対向させながら、融着層60により、温度約295℃、荷重約100Nの条件下で貼り合わせる。
次に、「成長用基板の剥離工程」では、図8に示すように、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、約500mJ/cm2〜約1000mJ/cm2のエネルギ密度に調整した上で、n型GaN基板80の裏面(図8ではn型GaN基板80の上面)からn型GaN基板80に向けて照射する。そして、レーザ光の照射により、内部に積層されたInGaN剥離層81の結晶結合が全面的にまたは局所的に破壊される。これにより、n型GaN基板80を、InGaN剥離層81の破壊領域に沿って、青紫色半導体レーザ素子40から容易に剥離(分離)することができる。なお、剥離後のn型GaN基板80は、表面研磨により段差部80a(図6参照)およびInGaN剥離層81が形成されていた面の凹凸形状を平坦化することによって、再度、青紫色半導体レーザ素子40を形成する際の成長用基板として使用される。なお、n型GaN基板80の剥離によって、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の表面(上面)と青紫色半導体レーザ素子40の表面(上面)とが略揃えられた3波長半導体レーザ素子部50が形成される。
そして、「電極形成工程」では、図9に示すように、「成長用基板の剥離工程」により青紫色半導体レーザ素子40の上面に露出されたp型AlGaNクラッド層43の上面上に、p側電極46を真空蒸着法により形成する。また、エッチングによりモノリシック2波長半導体レーザ素子部30を形成するn型GaAs基板51を所定の厚みまで薄くした後に、n型GaAs基板51の表面(全面)に、n側電極52を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部50が形成される。
なお、第1実施形態では、上記のような製造プロセスにより3波長半導体レーザ素子部50を形成することによって、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41が、段差部51aを介してn型GaAs基板51と同一の極性(n型)を有しながら導通されるので、内部構造が簡素化された3波長半導体レーザ素子部50を形成することができる。
次に、「劈開面形成工程」では、図10に示すように、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部50を、レーザスクライブにより共振器の延びる方向(A方向)と垂直な方向(B方向)に、共振器長のピッチでケガキ線800(2点鎖線)を形成するとともに、ケガキ線800に沿って劈開を行う。これにより、3波長半導体レーザ素子部50は、ウェハ状態からバー状態(図10参照)に分離されるとともに、図2に示すように、共振器の延びる方向(A方向)の両端部に、光出射面10a、20aおよび40aと、光反射面10b、20bおよび40bとがそれぞれ形成される。
その後、3波長半導体レーザ素子部50の共振器面(赤外半導体レーザ素子10の光出射面10aおよび光反射面10b(図2参照)、赤色半導体レーザ素子20の光出射面20aおよび光反射面20b(図2参照)、および、青紫色半導体レーザ素子40の光出射面40aおよび光反射面40b(図2参照))に対して、それぞれ、図示しない誘電体多層膜(酸化膜など)が形成されることにより、端面コート処理が行われる。さらに、図11に示すように、バー状態の3波長半導体レーザ素子部50の分離溝部51c(図10参照)に沿って、共振器の延びる方向(図10のA方向)に上記と同様の方法により素子分割を行う。これにより、チップ化された個々の3波長半導体レーザ素子部50が形成される。
そして、「マウント工程」では、図1に示すように、3波長半導体レーザ素子部50を基台70に対して接合する。そして、窒素雰囲気中において、導電性接着層1が所定の領域(電極層71、電極層72および電極層73の上面)に配置された基台70の上面上に、3波長半導体レーザ素子部50のp側電極14、24および46が、それぞれ、電極層71、72および73と対向するように配置する。そして、3波長半導体レーザ素子部50を、セラミック製のコレット(図示せず)により導電性接着層1を介して基台70に対して押圧することにより、導電性接着層1が溶融する。その後、導電性接着層1の固化とともに、3波長半導体レーザ素子部50が導電性接着層1を介して基台70に固定される。この際、3波長半導体レーザ素子部50の表面が凹凸形状を有していないので、3波長半導体レーザ素子部50は、容易に基台70に接合される。
このようにして、第1実施形態による3波長半導体レーザ素子部50(図1参照)を備えた半導体レーザ装置100(図1参照)が製造される。
第1実施形態では、上記のように、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介してn型GaAs基板51の表面上に接合することにより、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11、および、赤色半導体レーザ素子20のn型AlGaInPクラッド層21とそれぞれ電気的に接続するように構成することによって、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41は、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20を形成するn型GaAs基板51と同一の極性(共通負極)を有するために、n型GaAs基板51とn型AlGaNクラッド層41間に電気的な短絡を防止するための絶縁層などを設ける必要がない。これにより、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とが、カソードコモンで接続された3波長半導体レーザ素子部50の内部構造を簡素化することができる。特に、多波長半導体レーザ素子を光ディスク用ピックアップ装置に適用する場合、一般的に、各半導体レーザ素子をカソードコモン(n側共通電極)として使用するのが望まれるため、第1実施形態における半導体レーザ装置100を、光ディスク用ピックアップ装置に容易に組み込むことができる。
また、第1実施形態では、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20は、底部51bがn型GaAs基板51まで達する段差部51aが形成されているとともに、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して段差部51aの底部51bに接合するように構成することによって、容易に赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とを、カソードコモンの状態で接続することができる。
また、第1実施形態では、赤外半導体レーザ素子10の活性層12、赤色半導体レーザ素子20の活性層22および青紫色半導体レーザ素子40の活性層42を、略同一の面内(各半導体層の厚み方向(図1のC方向)であって、n型GaAs基板51の上面からの距離Hが略等しい位置)に所定の距離を隔てて配置するように構成することによって、各半導体レーザ素子(10、20、40)の発光領域を、略同一の平面上に配置することができるので、各半導体レーザ素子(10、20、40)の出射光を略同一直線上に並べた状態で出射することができる。これにより、この半導体レーザ装置100を光ディスク用ピックアップ装置に適用した場合、個々の半導体レーザ素子の出射光を、光ディスクやDVDなどの記録面に対して、略同一の角度(垂直方向)により入射させることができるので、各記録媒体における半導体レーザ素子の光スポット品質がばらつくのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11、活性層12およびp型AlGaAsクラッド層13、および、赤色半導体レーザ素子20のn型AlGaInPクラッド層21、活性層22およびp型AlGaInPクラッド層23を、砒素およびリンを含む化合物半導体により形成するとともに、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41、活性層42およびp型AlGaNクラッド層43を、窒化物系化合物半導体により形成することによって、3波長半導体レーザ素子部50を、赤外光のレーザ光および赤色光のレーザ光を出射するモノリシック2波長半導体レーザ素子部30と、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30とは波長の異なるレーザ光を出射する青紫色半導体レーザ素子40とから構成することができる。
また、第1実施形態では、3波長半導体レーザ素子部50を構成する赤外半導体レーザ素子10、赤色半導体レーザ素子20および青紫色半導体レーザ素子40を搭載するための基台70を備えるともに、赤外半導体レーザ素子10、赤色半導体レーザ素子20および青紫色半導体レーザ素子40を、それぞれ、p型クラッド層(p型AlGaAsクラッド層13、p型AlGaInPクラッド層23およびp型AlGaNクラッド層43)が基台70に対して固定されるように構成することによって、レーザ作動時に、レーザ光の発振に伴う3波長半導体レーザ素子部50の発熱を、n型GaAs基板51よりも放熱性能が良好な基台70を介して効率よく放熱させることができる。
また、第1実施形態では、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、n型GaAs基板51にAuSn半田からなる融着層60を介して接合されることによりn型GaAs基板51と電気的に接続されるように構成することによって、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41がn型GaAs基板51に接合される際に、融着層60の厚みを調整することにより、青紫色半導体レーザ素子40の活性層42を、赤外半導体レーザ素子10の活性層12および赤色半導体レーザ素子20の活性層22と、容易に、同一平面内に配置することができる。
また、第1実施形態では、青紫色半導体レーザ素子40に、n側電極45およびp側電極46を形成することによって、青紫色半導体レーザ素子40をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わせる際に、n側電極45と融着層60との接合性を向上させることができる。さらに、3波長半導体レーザ素子部50を基台70に接合する際も、p側電極46と導電性接着層1との接合性を向上させることができる。
(第1実施形態の第1変形例)
図12は、本発明の第1実施形態の第1変形例による半導体レーザ装置の構造を示した正面図である。この第1実施形態の第1変形例による半導体レーザ装置150では、上記第1実施形態と異なり、図12に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部31の赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域には、n型GaAs基板51まで達する分離溝部51dが形成されるとともに、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11には、底部11bを有する段差部11aが形成されている。そして、段差部11aの底部11bには、電極層53が形成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40は、n型AlGaNクラッド層41が、融着層60を介して段差部11aの底部11bと電気的に接続された状態で、n型AlGaAsクラッド層11に接合されている。なお、この第1実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ素子部31のその他の構造および製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
この第1変形例では、上記のように、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11に、底部11bを有する段差部11aを形成するとともに、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して段差部11aの底部11bに接合するように構成することによって、上記第1実施形態と同様に、容易に、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とを、カソードコモンで接続することができる。なお、この第1変形例のその他の効果についても、上記第1実施形態と同様である。
なお、上記第1実施形態の第1変形例では、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11に、段差部11aを形成した例について示したが、赤色半導体レーザ素子20のn型AlGaInPクラッド層21に段差部を形成して、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して段差部に接合するように構成してもよい。
(第1実施形態の第2変形例)
図13は、本発明の第1実施形態の第2変形例による半導体レーザ装置の構造を示した正面図である。この第1実施形態の第2変形例による半導体レーザ装置200では、上記第1実施形態と異なり、図13に示すように、n型GaAs基板251上に形成された赤色半導体レーザ素子20に、青紫色半導体レーザ素子40が融着層60により貼り合わされた2波長半導体レーザ素子部250が、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層1を介して基台70に固定されている。なお、n型GaAs基板251は、本発明の「第1導電型基板」の一例である。
なお、この第1実施形態の第2変形例による2波長半導体レーザ素子部250のその他の構造および製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
この第2変形例では、上記のように、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介してn型GaAs基板251上に接合することにより、赤色半導体レーザ素子20のn型AlGaInPクラッド層21と電気的に接続するように構成することによって、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41は、赤色半導体レーザ素子20のn型GaAs基板251と同一の極性(共通負極)を有するために、n型GaAs基板251とn型AlGaNクラッド層41間に電気的な短絡を防止するための絶縁層などを設ける必要がない。これにより、上記第1実施形態と同様に、赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とが、カソードコモンで接続された2波長半導体レーザ素子部250の内部構造を簡素化することができる。なお、この第2変形例のその他の効果についても、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。この第2実施形態による半導体レーザ装置300では、上記第1実施形態と異なり、赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域の表面上に、青紫色半導体レーザ素子40が融着層60を介して貼り合わされた3波長半導体レーザ素子部350が、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層1を介して基台370に固定されている。図14を参照して、この第2実施形態について説明する。なお、基台370は、本発明の「放熱基台」の一例である。
ここで、第2実施形態では、図14に示すように、赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域の内部(穴部351bの内側面)に、半導体層の表面(電極層353)からn型GaAs基板351まで達する導通部352が設けられている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40は、融着層60、電極層353および導通部352を介して、n型GaAs基板351と電気的に接続されるように構成されている。なお、n型GaAs基板351は、本発明の「第1導電型基板」の一例であり、導通部352は、本発明の「接続領域」の一例である。
また、第2実施形態では、図14に示すように、青紫色半導体レーザ素子40が接合される基台370の表面に、エッチングにより凹形状の段差部370bが形成されている。また、段差部370bの底部370cには、電極層73が形成されている。これにより、3波長半導体レーザ素子部350のうちの凸形状を有する青紫色半導体レーザ素子40が、基台370の凹形状の段差部370bに入り込んだ状態で、導電性接着層1を介して基台370に接合されるように構成されている。
なお、この第2実施形態による半導体レーザ装置300のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
図15〜図20は、図14に示した第2実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図14〜図20を参照して、第2実施形態による半導体レーザ装置300の製造プロセスについて説明する。
まず、「モノリシック2波長半導体レーザ素子部の形成工程」では、図15に示すように、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより、n型GaAs基板351の上面上に、赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とが形成される。
ここで、第2実施形態では、図16に示すように、エッチングにより、赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域に、一対の絶縁溝部351aと、穴部351bとを形成するとともに、分離溝部351cを形成する。この一対の絶縁溝部351aおよび穴部351bは、それぞれ、溝および穴の深さがn型GaAs基板351まで達するように形成される。その後、図16に示すように、穴部351bの内側面に、導通部352を真空蒸着法により形成する。
そして、図17に示すように、n型GaAs基板351の導通部352上に、電極層353を真空蒸着法により形成するとともに、電極層353上に融着層60を形成する。これにより、n型GaAs基板351は、導通部352および電極層353を介して融着層60と電気的に接続されることが可能となる。このようにして、モノリシック2波長半導体レーザ素子部330が形成される。
その後、「半導体レーザ素子の貼り合わせ工程」では、図18に示すように、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより形成された青紫色半導体レーザ素子40を、モノリシック2波長半導体レーザ素子部330の電極層353と対向させながら、融着層60により、温度約295℃、荷重約100Nの条件下で貼り合わされる。
そして、「成長用基板の剥離工程」では、図19に示すように、Nd:YAGレーザ光の第2高調波(波長:約532nm)を、n型GaN基板80の裏面(図19ではn型GaN基板80の上面)からn型GaN基板80に向けて照射することにより、n型GaN基板80を、InGaN剥離層81の破壊領域に沿って、青紫色半導体レーザ素子40から剥離(分離)する。
そして、図20に示すように、青紫色半導体レーザ素子40の上面に露出されたp型AlGaNクラッド層43の上面上に、p側電極46を真空蒸着法により形成する。また、エッチングによりモノリシック2波長半導体レーザ素子部330のn型GaAs基板351を所定の厚みまで薄くした後に、n型GaAs基板351の表面(全面)に、n側電極52を真空蒸着法により形成する。このようにして、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部350が形成される。
なお、第2実施形態では、上記のような製造プロセスにより3波長半導体レーザ素子部350を形成することによって、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41が、モノリシック2波長半導体レーザ素子部330の赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20によって挟まれた領域(半導体層)に形成されたn型GaAs基板351と電気的に導通する導通部352を介して、n型GaAs基板351と同一の極性(n型)を有しながら導通されるので、内部構造が簡素化された3波長半導体レーザ素子部350を形成することができる。
なお、「電極形成工程」などのその他の製造プロセスは、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより、3波長半導体レーザ素子部350が形成される。
このようにして、第2実施形態による3波長半導体レーザ素子部350(図14参照)を備えた半導体レーザ装置300(図14参照)が形成される。
第2実施形態では、上記のように、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20によって挟まれた領域(半導体層)の表面に、半導体層に覆われたn型GaAs基板351と電気的に導通する導通部352および電極層353を設けるとともに、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して電極層353に接合するように構成することによって、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20によって挟まれた領域(半導体層)にn型GaAs基板351まで達する段差部などを設けることなく、容易に、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とを、カソードコモンの状態で接続することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の第1変形例)
図21は、本発明の第2実施形態の第1変形例による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。この第2実施形態の第1変形例による半導体レーザ装置400では、上記第2実施形態と異なり、図21に示すように、エッチングなどを行わない平坦な基台470の上面上のうち、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20が接合される領域に、青紫色半導体レーザ素子40の厚み(高さ)に相当する厚みを有する電極層401および電極層402が、それぞれ形成されることによって、基台470に凹形状が形成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40の部分を凸形状とする3波長半導体レーザ素子部350が、基台470に接合されるように構成されている。なお、基台470は、本発明の「放熱基台」の一例である。
なお、この第2実施形態の第1変形例による3波長半導体レーザ素子部350のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
(第2実施形態の第2変形例)
図22は、本発明の第2実施形態の第2変形例による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。この第2実施形態の第2変形例による半導体レーザ装置500では、上記第2実施形態と異なり、図22に示すように、平坦な基台470の上面上のうち、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20が接合される領域に、青紫色半導体レーザ素子40の厚み(高さ)に相当する厚みを有するSiO2からなる絶縁膜501および絶縁膜502が、それぞれ形成されるとともに、絶縁膜501および502の上面に、第2実施形態と同様の厚みを有する電極層71および72が、それぞれ形成されることによって、基台470に凹形状が形成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40の部分を凸形状とする3波長半導体レーザ素子部350が、基台470に接合されるように構成されている。
なお、この第2実施形態の第2変形例による3波長半導体レーザ素子部350のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
(第2実施形態の第3変形例)
図23は、本発明の第2実施形態の第3変形例による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。この第2実施形態の第3変形例による半導体レーザ装置600では、上記第2実施形態と異なり、図23に示すように、平坦な基台470の上面上の全面に、電極層601が形成されるとともに、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20が接合される領域に、青紫色半導体レーザ素子40の厚み(高さ)に相当する厚みを有するSiO2からなる絶縁膜602および絶縁膜603が、それぞれ形成されている。そして、絶縁膜602および603の上面に、第2実施形態と同様の厚みを有する電極層71および72が、それぞれ形成されることによって、基台470に凹形状が形成されている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40の部分を凸形状とする3波長半導体レーザ素子部350が、基台470に接合されるように構成されている。
なお、この第2実施形態の第3変形例による3波長半導体レーザ素子部350のその他の構造は、上記第2実施形態と同様である。
この第2実施形態の第1〜第3変形例では、上記のように構成することによって、上記第2実施形態と同様に、3波長半導体レーザ素子部350の内部構造が簡素化された半導体レーザ装置400、500および600をそれぞれ形成することができる。なお、上記第2実施形態の第1〜第3変形例のその他の効果についても、上記第2実施形態と同様である。
(第2実施形態の第4変形例)
図24は、本発明の第2実施形態の第4変形例による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。この第2実施形態の第4変形例による半導体レーザ装置650では、上記第2実施形態と異なり、図24に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部331の赤外半導体レーザ素子10と赤色半導体レーザ素子20とに挟まれた領域には、n型GaAs基板351まで達する分離溝部351dと、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11まで達する穴部351eとが形成されている。そして、穴部351eの内側面に、半導体層の表面(電極層353)からn型AlGaAsクラッド層11まで達する導通部355が設けられている。これにより、青紫色半導体レーザ素子40は、融着層60、電極層353および導通部355を介して、n型AlGaAsクラッド層11と電気的に接続されるように構成されている。なお、導通部355は、本発明の「接続領域」の一例である。なお、この第2実施形態の第4変形例による3波長半導体レーザ素子部350のその他の構造および製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
この第2実施形態の第4変形例では、上記のように、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20によって挟まれた領域(半導体層)の表面に、赤外半導体レーザ素子10のn型AlGaAsクラッド層11と電気的に導通する導通部355および電極層353を設けるとともに、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して電極層353に接合するように構成することによって、上記第2実施形態と同様に、容易に、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と青紫色半導体レーザ素子40とを、カソードコモンの状態で接続することができる。なお、この第4変形例のその他の効果についても、上記第2実施形態と同様である。
なお、上記第2実施形態の第4変形例では、赤外半導体レーザ素子10に、n型AlGaAsクラッド層11まで達する穴部351eを設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、赤色半導体レーザ素子20に、n型AlGaInPクラッド層21まで達する穴部および導通部を設け、青紫色半導体レーザ素子40のn型AlGaNクラッド層41を、融着層60を介して導通部と電気的に接続するように構成してもよい。
(第3実施形態)
図25は、本発明の第3実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した正面図である。この第3実施形態による半導体レーザ装置700では、上記第1実施形態と異なり、図25に示すように、n型GaAs基板751上に形成された赤色半導体レーザ素子20に、約450nmの発振波長を有する青色半導体レーザ素子710と、約532nmの発振波長を有する緑色半導体レーザ素子720とが融着層60を介して貼り合わされたRGB多波長半導体レーザ素子部750が、AuSn半田などの金属層からなる導電性接着層1を介して基台70に固定されている。なお、n型GaAs基板751は、本発明の「第1導電型基板」の一例であり、青色半導体レーザ素子710および緑色半導体レーザ素子720は、それぞれ、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
また、青色半導体レーザ素子710は、図25に示すように、n型AlGaNクラッド層711と、MQW構造を有する活性層712と、p型AlGaNクラッド層713とから構成されている。また、n型AlGaNクラッド層711には、図面に対して垂直な方向であるA方向(図2参照)に延びるリッジ部711aが形成されている。また、上記構成に加えて、n型AlGaNクラッド層711のリッジ部711a以外の表面には、絶縁膜714が形成されている。また、n型AlGaNクラッド層711のリッジ部711aおよび絶縁膜714の上面上には、n側電極715が形成されている。また、p型AlGaNクラッド層713の下面上には、p側電極716が形成されている。また、図25に示すように、p側電極716の下面と、基台70上に形成された電極層73の上面とが接合されている。なお、n型AlGaNクラッド層711、活性層712およびp型AlGaNクラッド層713は、それぞれ、本発明の「第1導電型の第3半導体層」、「第2活性層」および「第2導電型の第4半導体層」の一例である。また、n側電極715およびp側電極716は、それぞれ、本発明の「第1電極」および「第2電極」の一例である。
また、緑色半導体レーザ素子720は、図25に示すように、n型AlGaNクラッド層721と、MQW構造を有する活性層722と、p型AlGaNクラッド層723とから構成されている。また、n型AlGaNクラッド層721には、図面に対して垂直な方向であるA方向(図2参照)に延びるリッジ部721aが形成されている。また、上記構成に加えて、n型AlGaNクラッド層721のリッジ部721a以外の表面には、絶縁膜724が形成されている。また、n型AlGaNクラッド層721のリッジ部721aおよび絶縁膜724の上面上には、n側電極725が形成されている。また、p型AlGaNクラッド層723の下面上には、p側電極726が形成されている。また、図25に示すように、p側電極726の下面と、基台70上に形成された電極層73の上面とが接合されている。なお、n型AlGaNクラッド層721、活性層722およびp型AlGaNクラッド層723は、それぞれ、本発明の「第1導電型の第3半導体層」、「第2活性層」および「第2導電型の第4半導体層」の一例である。また、n側電極725およびp側電極726は、それぞれ、本発明の「第1電極」および「第2電極」の一例である。
また、図25に示すように、青色半導体レーザ素子710および緑色半導体レーザ素子720は、光出射面710aおよび720aがそれぞれ形成されている。なお、この第3実施形態による半導体レーザ装置700のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
図26〜図28は、図25に示した第3実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図25〜図28を参照して、第3実施形態による半導体レーザ装置700の製造プロセスについて説明する。
まず、図26に示すように、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより、n型GaAs基板751の上面上に、赤色半導体レーザ素子20が形成される。そして、赤色半導体レーザ素子20のリッジ部23aおよび絶縁膜24の上面上に、最表面がAu膜からなるp側電極25を、真空蒸着法により形成する。
その後、図26に示すように、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより形成された青色半導体レーザ素子710を、n型GaAs基板751の段差部751aの底部751bに設けられた電極層53と対向させながら、融着層60により、温度約295℃、荷重約100Nの条件下で貼り合わされる。そして、Nd:YAGレーザ光の第2高調波により、n型GaN基板80を、InGaN剥離層81の破壊領域に沿って、青色半導体レーザ素子710から剥離(分離)する。
また、図27に示すように、上記第1実施形態の製造プロセスと同様の製造プロセスにより形成された緑色半導体レーザ素子720を、n型GaAs基板751の段差部751aに設けられた電極層53と対向させながら、青紫色半導体レーザ素子40と同様に貼り合わせる。そして、Nd:YAGレーザ光の第2高調波により、n型窒化ガリウム(GaN)基板780を、InGaN剥離層781の破壊領域に沿って、緑色半導体レーザ素子720から剥離(分離)する。
そして、図28に示すように、青色半導体レーザ素子710および緑色半導体レーザ素子720の上面に露出されたp型AlGaNクラッド層713および723の上面上に、p側電極716および726を、それぞれ真空蒸着法により形成する。また、エッチングによりn型GaAs基板751を所定の厚みまで薄くした後に、n型GaAs基板751の表面に、n側電極52を真空蒸着法により形成する。
なお、その他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様の製造プロセスである。このようにして、第3実施形態によるRGB多波長半導体レーザ素子部750(図25参照)を備えた半導体レーザ装置700(図25参照)が形成される。なお、第3実施形態の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図29は、本発明の第4実施形態による半導体レーザ装置を構成する3波長半導体レーザ素子部の構造を示した斜視図である。まず、図1および図29を参照して、この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、青紫色半導体レーザ素子440の共振器長が、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の共振器長よりも短く形成される場合について説明する。なお、青紫色半導体レーザ素子440は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
ここで、第4実施形態では、図29に示すように、3波長半導体レーザ素子部450において、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の共振器長L1がそれぞれ約2mmの長さを有する一方、青紫色半導体レーザ素子440の共振器長L2は約1mmの長さを有するように構成されている。また、各半導体レーザ素子は光出射面(光出射面10a、20aおよび440a)が略同一平面に沿って配置されている。したがって、青紫色半導体レーザ素子440の光反射面440bの背後(図面奥側)には、青紫色半導体レーザ素子440が接合されていない段差部51bの領域が残されている。また、3波長半導体レーザ素子部450は、上記第1実施形態と同様に、ジャンクションダウン方式により基台70(図1参照)に固定されている。
なお、第4実施形態による半導体レーザ装置100a(図1参照)のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
図30は、図29に示した第4実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図1、図3〜図11、図29および図30を参照して、第4実施形態による半導体レーザ装置100aの製造プロセスについて説明する。
まず、図3および図4に示した上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(図4参照)を形成する。
次に、図5および図6に示した上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子440(図6参照)を形成する。
ここで、第4実施形態の製造プロセスでは、図30に示すように、n側電極45を形成する工程の前に、エッチングにより段差部80aを形成する。さらに、エッチングにより、青紫色半導体レーザ素子440の所定の位置にリッジ部41aの延びる方向(A方向)に所定の間隔を有しながら、リッジ部41aの延びる方向と略直交する方向(B方向)に延びる複数の溝部47を形成する。この際、n型AlGaNクラッド層41からn型GaN基板80に向かってInGaN剥離層81の部分までがエッチングにより除去されて溝部47を形成するのが好ましい。したがって、溝部47の底部には、n型GaN基板80の表面(上面)が露出する。その後、共振器長L2を有する部分のリッジ部41aおよび絶縁膜44の上面上にn側電極45を形成する。これにより、ウェハに、一対の共振器端面(光出射面440aおよび光反射面440b)を有する青紫色半導体レーザ素子440の部分が複数形成される。
その後、図7に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に共振器端面が形成されたウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子440を貼り合わせる。さらに、図8および図9に示した上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、n型GaN基板80を剥離するとともに、青紫色半導体レーザ素子440の上面に露出したp型AlGaNクラッド層43の上面上にp側電極46を形成する。その後、図10に示した上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部450(図9参照)を劈開してバー状態にする。この際、図29に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の光出射面10aおよび20aと、青紫色半導体レーザ素子440の光出射面440aとが略同一平面に配置されるようにモノリシック2波長半導体レーザ素子部30の部分を劈開する。さらに、図11に示した上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて素子分割を行う。このようにして、図29に示した第4実施形態による3波長半導体レーザ素子部450が複数形成される。なお、第4実施形態による半導体レーザ装置100a(図1参照)のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、上記のように、異なる共振器長L1およびL2を有する複数の半導体レーザ素子を貼り合わせて3波長半導体レーザ素子部450を形成することによって、発振波長の異なる半導体レーザ素子同志を組み合わせた場合においても、個々の半導体レーザ素子の動作特性(電流−光出力特性や温度特性など)が考慮された状態で1チップに集積化された半導体レーザ素子(3波長半導体レーザ素子部450)が形成される。これにより、半導体レーザ素子の動作特性を最適化させることができる。
また、第4実施形態では、青紫色半導体レーザ素子440の共振器長L2を、赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の共振器長L1よりも短く形成することによって、長共振器長化により電流密度の低減や温度特性の改善がなされた赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20と、より短く共振器長を形成して閾値電流の増加やスロープ効率の低下が抑制された青紫色半導体レーザ素子440とを1チップに集積化して3波長半導体レーザ素子部450を形成することができるので、1チップ化されたレーザ素子の動作特性を容易に最適化させることができる。
(第4実施形態の変形例)
図31は、本発明の第4実施形態の変形例による半導体レーザ装置を構成する3波長半導体レーザ素子部の構造を示した斜視図である。図32は、図31に示した第4実施形態の変形例による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。図1、図4、図6、図7、図9、図31および図32を参照して、この第4実施形態の変形例では、上記第4実施形態の製造プロセスと異なり、青紫色半導体レーザ素子440の一方の共振器端面をエッチングにより形成する一方、青紫色半導体レーザ素子440の他方の共振器端面を劈開により形成する場合について説明する。
まず、上記第4実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(図4参照)および青紫色半導体レーザ素子440(図6参照)をそれぞれ形成する。
ここで、第4実施形態の変形例による製造プロセスでは、図32に示すように、n側電極45を形成する工程の前に、エッチングにより段差部80aを形成する。さらに、エッチングにより、青紫色半導体レーザ素子440の所定の位置にリッジ部41aの延びる方向(A方向)に所定の間隔を有しながら、リッジ部41aの延びる方向と略直交する方向(B方向)に延びる複数の溝部47を形成する。これにより、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子440に、一方の共振器端面(たとえば光反射面440b)のみが形成された複数の青紫色半導体レーザ素子440の部分が形成される。その後、リッジ部41aおよび絶縁膜44の上面上にn側電極45を形成する。
その後、図7に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に上述のウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子440を貼り合わせる。この際、融着層60は、青紫色半導体レーザ素子440が接合される領域のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30の電極層53の部分にのみ予め形成される。続いて、上記第4実施形態と同様にn型GaN基板80の剥離を行う。そして、剥離後のp型AlGaNクラッド層43の上面上にp側電極46を形成した後に、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部451(図9参照)を劈開してバー状態にする。この際、図31に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の光出射面10aおよび20aと、青紫色半導体レーザ素子440の光出射面440aとが略同一平面に配置されるように劈開することにより、バー状態の3波長半導体レーザ素子部451を形成する。なお、図32では、青紫色半導体レーザ素子440は、破線で示した劈開位置においてモノリシック2波長半導体レーザ素子部30とともにバー状態に劈開されることにより、青紫色半導体レーザ素子440に光出射面440aが形成される例を示している。
その後、素子分割によりチップ化を行い、図31に示した第4実施形態の変形例による3波長半導体レーザ素子部451が複数形成される。なお、図31に示すように、青紫色半導体レーザ素子440の光反射面440bの背後(図面奥側)には、溝部47(図32参照)を隔てて、p側電極46が形成された半導体層440cが残される。したがって、3波長半導体レーザ素子部451を基台70(図1参照)に接合する際、p側電極46が形成された半導体層440cの部分においても3波長半導体レーザ素子部451が、導電性接着層1(図1参照)を介して基台70に接合される。なお、第4実施形態の変形例による半導体レーザ装置100b(図1参照)のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態の変形例では、上記のように、3波長半導体レーザ素子部451に半導体層440cの部分を設けることによって、青紫色半導体レーザ素子440の共振器長L2が短い場合であっても、3波長半導体レーザ素子部451と基台70との接合面積を確保することができるので、3波長半導体レーザ素子部451と基台70との接合強度を維持することができる。
また、第4実施形態の変形例では、青紫色半導体レーザ素子440の光出射面440aを劈開により形成することによって、エッチングにより形成され微細な凹凸形状を有する光反射面440bと異なり、劈開面からなり平坦性が向上された光出射面440aを形成することができる。これにより、レーザ光を安定して出射させることができる。なお、第4実施形態の変形例のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図33は、本発明の第5実施形態による半導体レーザ装置を構成する3波長半導体レーザ素子部の構造を示した斜視図である。図34は、図33に示した第5実施形態による3波長半導体レーザ素子部を段差を有する基台471の上面に固定した際の1000−1000平面に沿った方向(A方向)の断面における半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。まず、図33および図34を参照して、この第5実施形態では、上記第4実施形態と異なり、予めウェハ状態からバー状態に形成された複数の青紫色半導体レーザ素子441の各々を、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合せることにより3波長半導体レーザ素子部452を形成する場合について説明する。なお、青紫色半導体レーザ素子441は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。なお、図34では、図33に示す3波長半導体レーザ素子部452を段差を有する基台471の上面に固定した半導体レーザ装置900において、1000−1000平面(リッジ部13a以外の部分における3波長半導体レーザ素子部452の共振器方向(A方向)に沿った方向)における半導体レーザ装置900の断面構造を示している。
ここで、第5実施形態では、図33に示すように、3波長半導体レーザ素子部452は、p型GaN基板801を有した状態でバー状態に形成された青紫色半導体レーザ素子441が、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に接合されている。したがって、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の上面の一部の領域は、平面的に見て、青紫色半導体レーザ素子441のB方向に延びるp型GaN基板801により覆われている。なお、p型GaN基板801は、本発明の「第2導電型窒化物系半導体基板」の一例である。
また、図34に示すように、3波長半導体レーザ素子部452は、青紫色半導体レーザ素子441が接合されている部分の厚みt1が、青紫色半導体レーザ素子441が接合されていない部分の厚みt2よりも大きく形成されている。これにより、第5実施形態による半導体レーザ装置900は、3波長半導体レーザ素子部452の下面のA方向の段差形状(図34参照)に対応するように形成された基台471を用いて、3波長半導体レーザ素子部452が基台471と接合されるように構成されている。なお、基台471は、本発明の「放熱基台」の一例である。なお、第5実施形態による半導体レーザ装置900のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
図35〜図37は、図33に示した第5実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図4および図33〜図37を参照して、第5実施形態による半導体レーザ装置900の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(図4参照)を形成する。
次に、図35に示すように、p型GaN基板801の上面上に、p型AlGaNクラッド層43、活性層42およびn型AlGaNクラッド層41を順次積層することにより、青紫色半導体レーザ素子441を形成する。そして、エッチングにより、n型AlGaNクラッド層41の上面上にリッジ部41aを形成した後に、リッジ部41a上を除くn型AlGaNクラッド層41の上面上に絶縁膜44を形成する。その後、リッジ部41aおよび絶縁膜44の上面上にn側電極45を形成する。そして、エッチングにより、p型GaN基板801まで達する段差部801aを形成する。
その後、図36に示すように、p型GaN基板801をエッチングや研磨などにより所定の厚みまで薄くした後、p型GaN基板801の下面上にp側電極46を形成する。これにより、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子441が形成される。
ここで、第5実施形態による製造プロセスでは、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子441を劈開して、バー状態の青紫色半導体レーザ素子441を複数形成する。これにより、バー状態の青紫色半導体レーザ素子441には、一対の共振器端面(光出射面441aおよび光反射面441b(図34参照))が形成される。
その後、図37に示すように、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に、所定の間隔を隔てて、バー状態の青紫色半導体レーザ素子441を貼り合わせる。この際、青紫色半導体レーザ素子441の下面の融着層60は、青紫色半導体レーザ素子441が接合される領域のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30の電極層53の部分にのみ予め形成される。
その後、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の部分のバー状劈開を行うとともに、共振器の延びる方向(図37のA方向)に沿って素子分割を行うことにより、図33に示した半導体レーザ装置900を構成する3波長半導体レーザ素子部452が複数形成される。
最後に、3波長半導体レーザ素子部452の下面のA方向の段差形状(図34参照)に対応するように形成された基台471を用いて、3波長半導体レーザ素子部452を基台471に接合する。なお、第5実施形態による半導体レーザ装置900のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
第5実施形態の製造プロセスでは、上記のように、予めバー状態に形成された複数の青紫色半導体レーザ素子441を、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に所定の間隔を隔てて貼り合わせる工程を備えることによって、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の厚みt2の部分においてウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部452を容易にバー状態に劈開することができる。なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図38は、本発明の第6実施形態による半導体レーザ装置を構成する3波長半導体レーザ素子部の構造を示した斜視図である。図39は、本発明の第6実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。まず、図38および図39を参照して、この第6実施形態では、上記第5実施形態と異なり、青紫色半導体レーザ素子442の支持基板802が、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の上面を覆わない状態でモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わされる場合について説明する。なお、青紫色半導体レーザ素子442は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
第6実施形態による半導体レーザ装置910を構成する3波長半導体レーザ素子部453の青紫色半導体レーザ素子442は、図39に示すように、Geからなる支持基板802の上面上に、電極層53および融着層60を介してp型AlGaNクラッド層43、活性層42およびn型AlGaNクラッド層41が形成されている。また、支持基板802の下面上の所定の領域に、p側電極46に電気的に接続される電極803が形成されている。
ここで、第6実施形態では、図38に示すように、支持基板802に接合された青紫色半導体レーザ素子442が、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の段差部51aのB方向の幅よりも若干小さい幅を有するように形成された状態で、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に接合されている。これにより、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の上面(図38のp側電極15および25)は、全面が露出するように構成されている。
また、半導体レーザ装置910は、図39に示すように、3波長半導体レーザ素子部453が、ジャンクションダウン方式により基台370に固定されている。その際、青紫色半導体レーザ素子442の支持基板802の部分が、基台370に予め形成されている凹部370aの底部に接合されるように構成されている。なお、第6実施形態による半導体レーザ装置910のその他の構造は、上記第5実施形態と同様である。
図40〜図43は、図39に示した第6実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図4および図38〜図43を参照して、第6実施形態による半導体レーザ装置910の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(図4参照)を形成する。
次に、図40に示すように、n型GaN基板80の上面上に、InGaN剥離層81、n型AlGaNクラッド層41、活性層42およびp型AlGaNクラッド層43を順次積層する。そして、エッチングにより、p型AlGaNクラッド層43の上面上にリッジ部43aを形成した後に、リッジ部43a上を除くp型AlGaNクラッド層43の上面上に絶縁膜44を形成する。その後、リッジ部43aおよび絶縁膜44の上面上にp側電極46を形成する。また、エッチングにより、n型GaN基板80まで達する段差部80aを形成する。
その後、図41に示すように、融着層60を介して、予め所定の領域に電極層53が形成されたGeからなる支持基板802をp側電極46の上面上に接合する。続いて、図41に示すように、n型GaN基板80を、レーザ光照射によりInGaN剥離層81の破壊領域に沿って剥離(分離)する。これにより、n型GaN基板80から支持基板802に貼り替えられたウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子442が形成される。
その後、青紫色半導体レーザ素子442をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わせる。この際、融着層60は、青紫色半導体レーザ素子442が接合される領域のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30の電極層53の部分にのみ予め形成される。そして、図42に示すように、研磨により支持基板802を所定の厚みに形成した後、真空蒸着法を用いて、支持基板802の上面上に電極803を形成する。なお、電極803は、リッジ部43aを含むp型AlGaNクラッド層43の位置に対応した支持基板802の上面上に形成される。
また、図42に示すように、支持基板802の所定の位置にスクライブ溝804(太い破線で示す)を形成する。そして、図43に示すように、電極803が形成されていない領域の支持基板802の部分をスクライブ溝804に沿って割ることにより、電極803が形成されていない領域の支持基板802を部分的に除去する。これにより、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の上面が開口される。
その後、素子分割によりチップ化を行い、図38に示した第6実施形態による3波長半導体レーザ素子部453が複数形成される。
また、基台370(図39参照)の所定の領域に凹部370a予め形成しておく。この状態で、上記第1実施形態と同様の製造プロセスにより、3波長半導体レーザ素子部453を基台370に対して接合する。この際、基台370の凹部370aの部分に青紫色半導体レーザ素子442の部分が対応するように接合する。このようにして、図39に示した第6実施形態による半導体レーザ装置910が形成される。なお、第6実施形態による半導体レーザ装置910のその他の製造プロセスは、上記第5実施形態と同様である。
第6実施形態では上記のように、3波長半導体レーザ素子部453を、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の上面の全面が露出するように構成することによって、図33に示した第5実施形態の3波長半導体レーザ素子部452と異なり、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の赤外半導体レーザ素子10および赤色半導体レーザ素子20の上面の全面を基台370に対して接合することができるので、3波長半導体レーザ素子部453と基台370とをより確実に接合することができる。なお、第6実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態と同様である。
(第6実施形態の変形例)
図44は、本発明の第6実施形態の変形例による半導体レーザ装置の構造を示した正面図である。図45および図46は、図44に示した第6実施形態の変形例による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。次に、図40および図44〜図46を参照して、第6実施形態の変形例では、上記第6実施形態の製造プロセスと異なり、一時的な支持基板805上に形成された青紫色半導体レーザ素子443をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わせた後に、一時的な支持基板805を青紫色半導体レーザ素子443から完全に除去する場合について説明する。なお、青紫色半導体レーザ素子443は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
まず、図40に示すように、上記第6実施形態と同様の製造プロセスにより、n型GaN基板80上に青紫色半導体レーザ素子443を形成する。その後、図45に示すように、一時的な支持基板805をp側電極46の上面上に接合する。一時的な支持基板805として、たとえば、ポリエステルなどのフィルムの片面に熱剥離粘着材が形成された熱剥離シートを用い、フィルムの熱剥離粘着材が形成されている面をp側電極46に接着する。続いて、図45に示すように、レーザ光照射によりn型GaN基板80をInGaN剥離層81の破壊領域に沿って剥離(分離)する。これにより、一時的な支持基板805に貼り替えられたウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子443が形成される。
ここで、第6実施形態の変形例による半導体レーザ装置920の製造プロセスでは、図46に示すように、一時的な支持基板805に貼り替えられたウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子443をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わせた後に、加熱により、一時的な支持基板805を青紫色半導体レーザ素子443から全て除去する。この結果、図46に示すようなウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部454が形成される。すなわち、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の表面(上面)と青紫色半導体レーザ素子443の表面(上面)とが略揃えられた3波長半導体レーザ素子部454が形成される。
その後、バー状劈開を行うとともに素子分割を行うことにより、図44に示した半導体レーザ装置920を構成する3波長半導体レーザ素子部454が複数形成される。
最後に、上記第1実施形態と同様の製造プロセスにより、3波長半導体レーザ素子部454を基台70に接合する。この際、3波長半導体レーザ素子部454の表面が凹凸形状を有していないので、3波長半導体レーザ素子部454は、容易に基台70に接合される。なお、第6実施形態の変形例による半導体レーザ装置920のその他の製造プロセスは、上記第1実施形態と同様である。
第6実施形態の変形例による製造プロセスでは、上記のように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わされたウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子443から一時的な支持基板805が除去されるので、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の上方に青紫色半導体レーザ素子443の部分が突出しない略平坦面からなる3波長半導体レーザ素子部454を形成することができる。これにより、3波長半導体レーザ素子部454をジャンクションダウン方式などにより、容易に基台70に対して固定することができる。なお、第6実施形態の変形例のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第7実施形態)
図47は、本発明の第7実施形態による半導体レーザ装置の構造を示した断面図である。図48〜図50は、図47に示した第7実施形態による半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための図である。図47〜図50を参照して、第7実施形態では上記第1〜第6実施形態の製造プロセスと異なり、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子444を共振器の延びる方向に沿って分割した後に、短冊状の個々の青紫色半導体レーザ素子444をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に貼り合わせる場合について説明する。なお、青紫色半導体レーザ素子444は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
本発明の第7実施形態による半導体レーザ装置930では、図47に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30に青紫色半導体レーザ素子444が貼り合わされて形成された3波長半導体レーザ素子部455が、ジャンクションダウン方式により基台370に固定されている。
ここで、第7実施形態では、青紫色半導体レーザ素子444のn型GaN基板80(n側電極45)が融着層60を介してモノリシック2波長半導体レーザ素子部30の段差部51aの底部51bに接合されている。また、青紫色半導体レーザ素子444のp側電極46が、導電性接着層1を介して、基台370に予め形成されている凹部370aの底部に接合されている。なお、n型GaN基板80は、本発明の「第1導電型窒化物系半導体基板」の一例である。なお、第7実施形態による半導体レーザ装置930のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図4、図47〜図50を参照して、第7実施形態による半導体レーザ装置930の製造プロセスについて説明する。
まず、上記第1実施形態と同様の製造プロセスを用いて、ウェハ状態のモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(図4参照)を形成する。
次に、図48に示すように、n型GaN基板80の上面上に、n型AlGaNクラッド層41、活性層42およびp型AlGaNクラッド層43を順次積層する。そして、エッチングにより、p型AlGaNクラッド層43の上面上にリッジ部43aを形成した後に、リッジ部43a上を除くp型AlGaNクラッド層43の上面上に絶縁膜44を形成する。その後、リッジ部43aおよび絶縁膜44の上面上にp側電極46を形成する。また、n型GaN基板80の下面上にn側電極45を形成する。
ここで、第7実施形態の製造プロセスでは、図48に示すように、リッジ部43aの延びる方向(紙面に垂直な方向)に沿って素子分割を行う。なお、図48では、破線で示した位置において上述の素子分割を行う。これにより、図49に示すように、共振器方向(紙面に垂直な方向)に短冊状に形成された青紫色半導体レーザ素子444が複数形成される。
その後、図50に示すように、モノリシック2波長半導体レーザ素子部30の段差部51aに設けられた電極層53と、短冊状の青紫色半導体レーザ素子444のn型GaN基板80とを対向させながら、融着層60を介して貼り合わせる。これにより、ウェハ状態の3波長半導体レーザ素子部455が形成される。
その後、素子分割によりチップ化を行い、図50に示した3波長半導体レーザ素子部455が複数形成される。
また、上記第6実施形態の製造プロセスと同様に、基台370(図47参照)の所定の領域に凹部370a予め形成しておく。この状態で、3波長半導体レーザ素子部455を基台370に接合する。この際、基台370の凹部370aの部分に青紫色半導体レーザ素子444の部分が対応するように接合する。このようにして、図47に示した第7実施形態による半導体レーザ装置930が形成される。
第7実施形態の製造プロセスでは、上記のように、予め共振器の延びる方向に沿って素子分割されて短冊状に形成された複数の青紫色半導体レーザ素子444をモノリシック2波長半導体レーザ素子部30に接合する工程を備えることによって、1枚のn型GaN基板80上に複数形成される青紫色半導体レーザ素子444の取れ数を増加させることができるので、半導体レーザ素子形成時の歩留まりを向上させることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第7実施形態では、多波長半導体レーザ素子部が接合される基台を、AlNからなる基板により構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、基台を、SiC、Si、ダイヤモンドおよび立方晶窒化ホウ素(CBN)などの熱伝導率の良好な絶縁体からなる基板により構成してもよい。
また、上記第2実施形態では、モノリシック2波長半導体レーザ素子部330の半導体層が形成された表面からn型GaAs基板351まで達する穴部351bを設けるとともに、穴部351bの内側面に導通部352を真空蒸着法により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、穴部351bの内部に導電性材料を充填して導通部構造を形成するようにしてもよい。
また、上記第1〜第7実施形態では、多波長レーザ素子部(p−n接合部)が基台(サブマウント)に対して下向きに接合されるジャンクションダウン方式により半導体レーザ装置を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、多波長レーザ素子部が基台に対して上向きに接合されるジャンクションアップ方式により半導体レーザ装置を構成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、2つの半導体レーザ素子部からなるモノリシック2波長半導体レーザ素子部30(330)に対して、1つの青紫色半導体レーザ素子40を貼り合わせることにより3波長半導体レーザ素子部50(350)を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、同一の成長用基板上に2つ以外の複数の半導体レーザ素子部からなる多波長レーザ素子部を形成するとともに、互いに異なる波長のレーザ光を出射する2つ以上の半導体レーザ素子部を貼り合わせることによって、多波長レーザ素子部を構成するようにしてもよい。
また、上記第3実施形態では、n型GaAs基板751上に形成された赤色半導体レーザ素子20に、青色半導体レーザ素子710、緑色半導体レーザ素子720の順に貼り合わせることによりRGB多波長半導体レーザ素子部750を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、緑色半導体レーザ素子、青色半導体レーザ素子の順に貼り合わせることによって、RGB多波長半導体レーザ素子部を構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、n型GaAs基板751上に形成された赤色半導体レーザ素子20に、それぞれ個別に形成された青色半導体レーザ素子710および緑色半導体レーザ素子720を順次貼り合わせることによりRGB多波長半導体レーザ素子部750を構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、同一のGaN基板上に青色半導体レーザ素子および緑色半導体レーザ素子を形成したモノリシック2波長半導体レーザ素子部を赤色半導体レーザ素子に貼り合わせることによって、RGB多波長半導体レーザ素子部を構成してもよい。
また、上記第1〜第7実施形態では、多波長半導体レーザ素子部を構成する各半導体レーザ素子の共振器面(光出射面および光反射面)に形成した誘電体多層膜を、Al元素を含むAlN膜やAl2O3膜などを適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、SiO2、TiO2、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、La2O3、SiN、MgF2、GaNおよびBNや、これらの組成比の異なる材料であるTi3O5やNb2O3などからなる単層または多層膜を適用してもよい。