JP5227351B2 - 光変調器 - Google Patents

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本発明は、光変調器に関し、より詳細には、n−i−n構造の光変調器に関する。
高速光通信システムや光情報処理システムにおけるキーデバイスの1つとして光変調器がある。光変調器の例としては、LiNbO3(LN)等の誘電体を用いたものと、InPやGaAsの半導体を用いたものとが用いられている。LiNbO3変調器は現在広く用いられているが、LiNbO3材料は導電性が無いため、印加電圧はシグナル電極とグラウンド電極の間でかけられる。電極間の距離は10数μm程度になり、光の変調に必要な屈折率の変化を得るには、3から5V程度の高い駆動電圧と20〜40mm程度の電極長が必要となる。また、DCドリフトや温度ドリフトによって駆動条件が変化してしまうため、駆動条件の制御機構が必要となっている。半導体を材料とする光変調器の代表的な形としては、バルク半導体のフランツケルディッシュ効果(Franz−Keldysh Effect)や多重量子井戸構造における量子閉じ込めシュタルク効果(Quantum Confined Stark Effect:QCSE)のように電界を印加することにより吸収端が長波長側へシフトする効果を利用した電界吸収型光変調器(EA変調器)と、電界を印加することにより屈折率が変化する電気光学効果(ポッケルス効果)を利用した電気光学変調器(EO変調器)がある。
電界吸収型光変調器は、消費電力が小さく、小型であり、LiNbO3変調器にみられるような直流電圧によるドリフトも生じないことから有望と考えられている。しかし、電界吸収型光変調器では変調時に波長チャーピングが生じ、これによるファイバ伝送後の波形劣化が問題となっている。つまり波長チャーピングにより、変調後の光信号スペクトルは変調前に比べて広がることになる。この光信号を光ファイバで伝送すると、ファイバ媒質の分散の効果による波形劣化が起こり、伝送特性に好ましくない影響を及ぼす。この現象はビットレートが高いほど、また、伝送距離が長いほど顕著となる。
一方、電気光学変調器としては、屈折率を変化させることにより光の位相を変調させる位相変調器と、位相変調器を組み合わせてマッハツェンダ干渉系を構成し光の強度変調や位相変調を行うマッハツェンダ変調器などが用いられる。この光変調器では原理的にチャーピングを零にすることができ、超高速・長距離通信用変調器として期待がもたれている。半導体のマッハツェンダ変調器の例としては第1に、p−i−n構造を有した集中定数型の変調器(非特許文献1参照)が挙げられる。光はp型とn型の半導体層にはさまれた層厚0.4μm程度のノンドープ層領域を導波し、電圧はこのノンドープ層間に印加されるため、LiNbO3変調器に比べ、屈折率変調を高効率で受ける。このため位相変調部の長さが600μmと、LiNbO3の20〜40mmに比べ非常に短くすることができる。しかし、集中定数型ではp型半導体部分での光損失が大きい(全挿入損失13dB)こと、CR時定数による速度制限のため10Gb/s以上の動作が困難であることが問題となる。
また、ショットキー電極による進行波電極型の変調器(非特許文献2参照)なども盛んに研究されている。ショットキー電極を用いるとp−i−n構造ではp型電極の導波損失とp−i−n構造の容量成分による光と電界の速度不整合により困難であった進行波電極構造が実現できる。この場合半導体はノンドープ層またはSI(Semi−Insulating、半絶縁)層を用いるので集中定数型で挙げたような欠点は回避できるが、電極間の距離は9μm程度となり光導波層での電界密度が小さくなるため屈折率の変調効率が小さく、位相変調部が10mmと集中定数型ほどの小型化ができないこと、動作電圧が高くなること(Vπ=28V)が問題として挙げられる。
このような問題を解決するため、またこれらの半導体マッハツェンダ変調器より更に低電圧化、小型化、高速化を目指すため、n−i−n構造の半導体光変調器が検討されている。n−i−n構造の半導体光変調器においても、電圧の印加は光が閉じ込められている厚さ1μm程度のn型電極層間で行なわれるため、LiNbO3変調器やショットキー電極による半導体光変調器に比べ、光の導波する領域に対して高密度な電界印加が可能である。このため、位相変調部の長さが3mm程度で、駆動電圧が3V以下の、小型で低駆動電圧の光変調器が実現されている。
n−i−n構造の半導体光変調器の例として、次に挙げるものが知られている。1つは、InP系導波路を有するn−i−n構造の光変調器である(特許文献1参照)。図1(特許文献1の図1に対応)にその構造を示す。当該光変調器は、SI(半絶縁性)−InP基板11上にn−InPクラッド層12、光導波層13、SI−InPクラッド層14、n−InPクラッド層15が順次積層された構造体を、エッチングプロセスによりメサ状に加工した光導波路構造10を有する。n−InPクラッド層15の上にシグナル電極16が、n−InPクラッド層12の上面にグランド電極17が配置されている。シグナル電極層であるn−InPクラッド層15と、グランド電極層であるn−InPクラッド層12とを共にn型とすることで、低損失・低電圧駆動の光変調器が作製可能となっている。クラッド層の一部にSI−InP層を用いて電子の流れを阻止し、電圧印加を可能にする。特許文献2には、p型半導体層を電子阻止層として用いる構造が記載されており、特許文献3には、p型InAlAs層を電子阻止層として用いるものが記載されている(特許文献3図2及び3)。
2つ目の例は、GaN/InGaN/GaN導波路を有するn−i−n型の光変調器である(特許文献4参照)。図2(特許文献4の図4に対応)にその構造を示す。当該光変調器は、(0001)面サファイア基板31上に、低温成長GaNバッファ層32、n−GaNクラッド層33a〜33c、i(ノンドープ)−InGaN光導波層34、絶縁型GaN層35、およびn−GaNクラッド層33dが、順次積層されている。エッチングプロセスにより、i−InGaN光導波層34の下までエッチングを行い、ハイメサ導波路構造の光導波路を作製している。コア層であるi−InGaN光導波層34の上に絶縁型GaN層35が配置され、電子ブロック層として機能している。
国際公開第04/081638号パンフレット 特開2005−99387号公報 国際公開第06/095776号パンフレット 特開2006−251089号公報
C. Rolland et al., ‘‘10 Gbit/s, 1.56μm multiquantum well InP/InGaAsP Mach-Zehnder optical modulator,’’ Electron. Lett., vol. 29, no. 5, pp. 471-472, 1993. R. Spickermann et al., ‘‘GaAs/AlGaAs electro-optic modulator with bandwidth >40 GHz,’’ Electron. Lett., vol. 31, no. 11, pp. 915-916, 1995.
しかしながら、InP系導波路は、材料の屈折率が高く光のモードフィールドが2μm程度と小さくなるため、モードフィールド径が8μm程度であるファイバや、4μm〜8μm程度の範囲でモードフィールド径が調整可能なPLC(Planar Lightwave Circuit)との接続時にレンズによるモードフィールドの拡大、又はスポットサイズ変換機構が必要となる。したがって、InP系導波路を有する光変調器は結合損失が大きい。レンズの使用は収差による損失に加え、既存レンズを使用することによるモードフィールド径の不一致による損失が低減しきれない上、部品点数や作製工程が増えるという問題がある。スポットサイズ変換機構は作製工程が煩雑である上、実装トレランスを増加させるが損失が大きい。加えて、InP系導波路は材料が脆く、ファイバやPLCとの突き合わせ(バットジョイント)結合が困難である。
一方、GaN/InGaN/GaN導波路を有するGaN系光変調器にも問題がある。GaN/InGaN/GaNは、格子定数のミスマッチが大きい。また、InGaNは熱的に不安定であり成長が困難である。加えて、絶縁型GaNを電子のブロック層として用いる場合は、層厚を一定値以上の厚さにする必要がある。このため、光の閉じ込め構造と電界の印加構造の両方を設計する必要のある光変調器においては、素子構造の自由度が制限される要因となっていた。さらに、光導波路に印加される電界は絶縁型GaN層内でも絶縁性に応じた電界降下を起こすため、結晶内の残留ドナー濃度やドーピング濃度の制御を厳密にしなければ、光変調器の特性が作製毎に変わり、素子特性の安定性に問題がある。
さらに、従来のInP系及びGaN系のn−i−n構造半導体光変調器は、電子ブロック層として、それぞれSI−InP層又はp型InAlAs層及び絶縁型GaN層を用いている。これらはその隣接する層の電子のエネルギー準位に対して電子ブロック層の電子のエネルギー準位が高いため、電圧印加時の電子の通過を抑え、光導波領域に電圧を印加することを可能としている。しかし、これら電子ブロック層の正孔(ホール)のエネルギー準位は隣接する層の正孔のエネルギー準位よりも低い。このようなエネルギー準位の形態はタイプIIと呼ばれる。タイプIIのエネルギー準位を持つ電子ブロック層には、正孔が蓄積し排出されにくい特徴がある。光導波路を伝播する光や外部からの光が半導体に吸収されると、生成した正孔は電子ブロック層内に蓄積し、エネルギー準位を変化させてしまう。このため、光変調器に入力光のパワー依存性が現れたり、周波数応答特性の劣化などの特性の劣化をもたらす。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも特性の安定した、窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の第1の態様は、窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器において、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層を有し、Al濃度x’’が、x’’>0を満たすことを特徴とする。
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層のAl濃度x’’が不等式0.2<x’’<0.4を満たすことを特徴とする。
また、本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層の層厚tが不等式0.01μm<t<0.06μmを満たすことを特徴とする。
また、本発明の第4の態様は、第3の態様において、基板上に形成された第1のn型電極層と、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層と、i−GaN光導波層と、第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層と、前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層と、第2のn型電極層と
を順次積層した構造を有し、前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層および前記第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層のAl濃度は、共に前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層のAl濃度よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の第5の態様は、第4の態様において、導波路構造がハイメサ導波路構造又はリッジ導波路構造であることを特徴とする。
また、本発明の第6の態様は、第4の態様において、前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層のAl濃度xおよび前記第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層のAl濃度x’が共に0.07未満であることを特徴とする。
また、本発明の第7の態様は、第6の態様において、前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層および前記第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層の層厚が共に0.5μmより大きいことを特徴とする。
また、本発明の第8の態様は、第3の態様において、基板上に形成された第1のn型電極層と、第1のi−GaNクラッド層と、i−InGaN光導波層と、第2のi−GaNクラッド層と、前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層と、第2のn型電極層とを順次積層した構造を有することを特徴とする。
また、本発明の第9の態様は、第8の態様において、導波路構造がハイメサ導波路構造またはリッジ導波路構造であることを特徴とする。
また、本発明の第10の態様は、第8の態様において、前記基板はGaNで構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器において、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層を用いることにより、電圧印加時の電子の通過を抑えると共に、正孔の蓄積が起こらない電子ブロック層を形成することができる。これによって、光変調器に入力光のパワー依存性が現れることや、周波数応答特性の劣化などの特性の劣化を防ぎ、特性の安定したn−i−n構造の光変調器を提供することができる。
従来のInP系光変調器の導波路断面構造を説明するための図である。 従来のGaN系光変調器の導波路断面構造を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る光変調器の導波路断面構造を説明するための図である。 (a)は、第1の実施形態による光変調器のバンドダイアグラムを示す図であり、(b)は、従来のInP系光変調器のバンドダイアグラムを示す図である。 第2の実施形態に係る光変調器を説明するための図である。 第3の実施形態に係る光変調器を説明するための図である。 第6の実施形態に係る光変調器の導波路断面構造を説明するための図である。 第7の実施形態に係る光変調器の形態を示す図である。
(本発明の概要)
本発明は、上述の問題を解決するために、窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器において、電子ブロック層としてAlGaNを用いる。AlNはInNに比べGaNとの格子定数が近く、熱的にもInNに比べて安定であるため、AlGaN混晶はInGaNの結晶成長よりも容易である。AlNとGaNの結合長の違いは3%程度であるが、InNとGaNの結合長は11%程度異なる。また、InNは融点が1373KとGaN(>2000K)やAlN(3273K)と比べて低いため、多層構造を形成する際Inの脱離が起こり、高品質な結晶を得ることが困難になる。電子ブロック層としてAlGaNを用いることにより、窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器を容易に実現でき、かつ光変調器に入力光のパワー依存性が現れることや、周波数特性の劣化などを防ぎ、特性の安定化を図ることができる。以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図3に、第1の実施形態に係る窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器を示す。「窒化物半導体」とは一般に、B、Al、Ga、In等のIII族元素のうち少なくとも1つ以上の元素と、V族元素である窒素との化合物であり、一般式Al1-a-b-caGabIncN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦c≦1)で表されるが、本発明では、a=0の窒化物半導体が用いられる。また、「n−i−n構造」とは、シグナル電極層及びグラウンド電極層がn型にドーピングされ、両電極層に挟まれたi型(ノンドープ)層に電圧を印加することができるようにした半導体層構造を言う。電圧を印加した際に、一方のn型層から他方のn型層に電流が流れるのを防止するため、電子の障壁層となる電子ブロック層をn型層とi型層の間に設ける。
光変調器300は、サファイア基板301上に、低温成長GaNバッファ層302、第1のn−GaN電極層303、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304、i−GaN光導波層305、第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307、第2のn−GaN電極層308が順次積層されている。エッチングプロセスにより第1のn−GaN電極層303に至るまでエッチングを行い、ハイメサ導波路構造の光導波路320を作製している。第1のn−GaN電極層303の上には電極309、第2のn−GaN電極層308の上には電極310が形成される。BCB311は、第2のn−GaN電極層308上の電極310の電極形成を容易にさせるための基板平坦化膜、および光導波路320の保護膜である。電極形成に問題が無く、光導波路320の保護膜をSiO2やSiNなどの非晶質膜で代用する場合、または保護膜を必要としない場合には必要ではない。電極310にはマイナス電圧を印加するので、図中の矢印はマイナス電界の印加方向を示している。
ここで、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304のAl濃度x及び第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306のAl濃度x’は、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307のAl濃度x’’よりも小さい。たとえば、x=x’=0.05、x’’=0.3とすることができる。i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307は、第1及び第2のクラッド層304、306に対してAl濃度x’’が大きいため、第2のn−GaN電極層308に対して充分に大きい電子のエネルギー準位を持つ。このエネルギー準位の差によって電子の障壁層として作用し、光導波路への電圧の印加を可能にしている。たとえばi−GaNに対する電子のエネルギー準位の差はx’’=0.3で、0.5eV程度のエネルギー準位差を得ることができる。第2のn−GaN電極層308はn型化で伝導帯のエネルギー準位が下がり、伝導帯オフセットは拡大するので、電子ブロック層のエネルギー障壁はより高くなり、数ボルト以上の高い印加電圧が可能となる。一方、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304のAl濃度x及び第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306のAl濃度x’は電子ブロック層に対してAl濃度が小さく、GaNとの格子定数の差が小さいため、厚い結晶成長が可能となる。このため、光導波路のコア層であるi−GaN層305の上下に充分な層厚をもったi−AlGaN層を形成することができ、コア層への光の閉じ込めを可能にするという効果を持つ。
光導波路320は、コア層であるi−GaN光導波層305を、屈折率の小さい第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304及び第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306で挟んで光閉じ込めを行うAlGaN/GaN/AlGaN光導波路であり、当該光導波路に印加される電圧により光の位相変調が実現される。
Al濃度x=0.05、i−GaN光導波層305の厚さ0.6μm、メサ幅4μmのとき、neff=2.30、Δn=1.57%であり、モードフィールド径が1/ex 2〜6.8μm、1/ey 2〜7.2μmとなる。したがって、InP系の光変調器と比較して、ファイバやPLCとの結合トレランスが大きくなり、接続が容易になる。
耐電圧特性に優れたi−Alx''Ga1-x''N層を用いることで、電子のブロック層を薄くすることができ、従来のGaN系光変調器よりも素子構造設計の自由度が増加すると共に、電子ブロック層内での電圧降下も小さく抑えることができる。
従来と同じく、p−i−n構造を用いた光変調器では、p型半導体は光の吸収が大きく光の伝播損失が増加すること、p型半導体は電気の導電率が低く高周波電気信号の減衰が起こるため高速光変調が困難であるという問題があるのに対し、p型半導体層を用いないn−i−n構造の光変調器は低光伝播損失、高速駆動の光変調器が実現できる。また、GaN系材料はp型層の成長およびp型層の導電率の制御が困難であるのに対し、n−i−n構造の光変調器はGaNのp型層を用いていないため作製が容易である。
なお、第1のn−GaN電極層303及び第2のn−GaN電極層308は、n−AlGaN層としてもよい。このときn−AlGaN電極層のAl濃度はi−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307のAl濃度x’’に比べ充分に低く、電子のエネルギー準位の差が充分にとれて、電子の通過を抑えることが可能となっている必要がある。例えば、第1及び第2のi−AlGaNクラッド層304、306と同程度のAl濃度を持ち、n型にドーピングされたn−AlGaN層を用いることができる。電極層をAlGaN層とすると、GaN層を電極層に用いる場合と比べて、i−GaN光導波層305に閉じ込められた光が、コア層と同じ屈折率を持つGaN電極層に染み出すことを防止できる。これにより、ガウシアンビーム形状に近く光ファイバやPLCとのモード整合性が良い、低損失な光結合が可能な光変調器を実現できる。
また、i−GaN光導波層305は、i−AlGaN/GaN多重量子井戸構造(MQW)としてもよい。基板には、GaN、SiCを用いてもよい。
図4(a)に、本実施形態による光変調器のバンドダイアグラムを、図4(b)に、従来のInP系光変調器のバンドダイアグラムを示す(特許文献3図3等参照)。図4(a)では、x=x’=0.05、x’’=0.3として示したが、これらの数値に限定することを意図したものではない。
図4(b)のp−In1-xAlxAs電子ブロック層を用いたInP系光変調器では、電子ブロック層へのホールの蓄積により、電子ブロック障壁の高さが変動してしまう。したがって、変調光や外部光の吸収により動作が不安定になる。
一方、本実施形態に係るGaN系光変調器では、電子のブロック層に絶縁型GaNよりもポテンシャルギャップが大きく、制御も容易なAlを含むAlGaNを使用する。GaN/AlGaN界面ではホールの蓄積が起こらないため、フォトトランジスタ効果も発生しない。また、GaN系材料はInP系やGaAs系材料に比べてバンドギャップが大きく、吸収する光波長は可視光から紫外光領域のものとなるため、光通信で用いられる近赤外光領域の波長の光に対しては光吸収が無く、信号光による吸収キャリアが発生しない。
i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層のAl濃度x’’は、不等式0.2<x’’<0.4を満たすのが望ましい。Al濃度が0.4以上では格子定数ミスマッチが大きくなり、結晶性が劣化する。また、Al濃度0.2以下では電極層をn−GaN電極層とした場合のGaNとの伝導帯オフセットが小さくなり、耐電圧が小さくなる。不等式0.2<x’’<0.4の範囲では、GaNとの伝導帯オフセットが0.2eV<ΔEc<0.8eVである。Al濃度0.2以上とすることで、電極層との電子のエネルギー準位の差は0.2eV以上とることができ、電子の障壁層として機能する。n−GaNはn型化で伝導帯のエネルギー準位が下がり、伝導帯オフセットは拡大するので、電子ブロック層のエネルギー障壁はより高くなり、数ボルト以上の高い印加電圧が可能となる。
(第2の実施形態)
図5を参照して、本発明の第2の実施形態に係る光変調器を説明する。本実施形態の光変調器は、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307の層厚tが、不等式0.01μm<t<0.06μmの関係を満たす。i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層307では、格子定数ミスマッチが大きく結晶内の歪が大きいため、層厚tが0.06μm以上では上に成長するn型電極層308の結晶性が劣化してしまう。逆に、層厚tが0.01μm以下ではトンネル効果により電子がブロック層307を透過してしまう。
(第3の実施形態)
図6を参照して、本発明の第3の実施形態に係る光変調器を説明する。本実施形態の光変調器は、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304及び第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306のAl濃度が0.07以下である。図6は、第1の電極層303を構成するn−GaN(1×1017cm-3)上のAlGaN臨界膜厚のAlNモル分率依存性を示すグラフである。Al濃度が0.07より大きいと臨界膜厚が薄くなり、クラッド層を薄くする必要があるため、クラッド層より外でのフィールドが増加し、その結果、光結合損失が増加してしまう。Al濃度xが0.005<x<0.07の範囲で、AlxGa1-xNとGaNとの屈折率差Δnが 0.15%<Δn<2.11%である。Δnが0.15%以下の領域では、屈折率差が小さいために光の閉じ込めが弱く、光のモードフィールド径が光ファイバやPLCのモードフィールド径以上に拡がるため、結合損失が増加する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係る光変調器は、第1のi−AlxGa1-xNクラッド層304及び第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層306の層厚が0.5μm以上である。第1及び第2のクラッド層が0.5μmより薄いと、クラッド層より外でのフィールドが増加し、光結合損失が増加してしまう。クラッド層厚を0.5μm以上にするためには、図6に示した臨界膜厚とAl濃度の関係より、Al濃度を0.07以下とする必要がある。上記構成により、光導波路320のコア層であるi−GaN光導波層305の上下に充分な層厚をもったi−AlGaNクラッド層を形成することができ、コア層への光の良好な閉じ込めを可能にしている。
(第5の実施形態)
第5の実施形態に係る光変調器は、基板上にエピタキシャル成長された窒化物半導体の合計膜厚Tが不等式3μm<T<8μmを満たす。3μm以下では屈折率差が必要で高Al濃度が必要であるため、結晶性が劣化する。T>8μmにしてもモードフィールド径約8μmのファイバとの結合損失を小さくする効果はでない。
(第6の実施形態)
図7に、第6の実施形態に係る光変調器を示す。光変調器700は、GaN基板701上に、低温成長GaNバッファ層702、第1のn−GaN電極層703、第1のi−GaNクラッド層704、i−InGaN光導波層705、第2のi−GaNクラッド層706、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層707、第2のn−GaN電極層708が順次積層されている。エッチングプロセスにより第1のn−GaN電極層703に至るまでエッチングを行い、ハイメサ導波路構造の光導波路720を作製している。第1のn−GaN電極層703の上には電極709、第2のn−GaN電極層708の上には電極710が形成される。たとえば、i−InyGa1-yN光導波層705のIn濃度yを0.035とするとGaNとの屈折率差Δnは1.4%程度となる。
InGaNは熱的に不安定であり成長が困難であるため、結晶成長の問題を解決できれば、i−InGaNをコア層、GaNをクラッド層とするGaN/InGaN/GaN構造において電子ブロック層をi−Alx''Ga1-x''Nとすることにより、モードフィールド径の拡大が容易である。基板701をGaNとすると、基板701もクラッド層として機能するため、エピ厚が薄くできて作製が容易になる。
なお、i−InGaN光導波層705は、i−InGaN/GaN多重量子井戸構造(MQW)としてもよい。基板には、サファイア、SiCを用いてもよい。
(第7の実施形態)
図8(a)及び(b)に、第7の実施形態に係る光変調器モジュールを示す。図8(a)及び(b)の光変調器モジュールはそれぞれ、第1〜第7の実施形態のいずれかに係るGaN系光変調器を備えるマッハツェンダ干渉計及びネスト型マッハツェンダ干渉計である。このように、第1〜第7の実施形態のいずれかに係るGaN系光変調器を組み込むことにより、機能光デバイスを実現することができる。
300 光変調器
301 基板
302 低温成長GaNバッファ層
303 第1のn−GaN電極層(「第1のn型電極層」に対応)
304 第1のi−AlxGa1-xNクラッド層
305 i−GaN光導波層
306 第2のi−AlxGa1-x'Nクラッド層
307 i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層
308 第2のn−GaN電極層(「第2のn型電極層」に対応)
309 電極
310 電極
320 光導波路
700 光変調器
701 基板
702 低温成長GaNバッファ層
703 第1のn−GaN電極層
704 第1のi−GaNクラッド層
705 i−InGaN光導波層
706 第2のi−GaNクラッド層
707 i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層
708 第2のn−GaN電極層
709 電極
710 電極
720 光導波路

Claims (10)

  1. 窒化物半導体で構成されたn−i−n構造の光変調器において、i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層を有し、Al濃度x’’が、x’’>0を満たすことを特徴とする光変調器。
  2. 前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層のAl濃度x’’は、不等式0.2<x’’<0.4を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層の層厚tは、不等式0.01μm<t<0.06μmを満たすことを特徴とする請求項2に記載の光変調器。
  4. 基板上に形成された第1のn型電極層と、
    第1のi−AlxGa1-xNクラッド層と、
    i−GaN光導波層と、
    第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層と、
    前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層と、
    第2のn型電極層と
    を順次積層した構造を有し、
    前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層および前記第2のi−Alx'Ga1-x'Nクラッド層のAl濃度は、共に前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層のAl濃度よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の光変調器。
  5. 導波路構造がハイメサ導波路構造又はリッジ導波路構造であることを特徴とする請求項4に記載の光変調器。
  6. 前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層のAl濃度xおよび前記第2のi−AlxGa1-x'Nクラッド層のAl濃度x’は、共に0.07未満であることを特徴とする請求項4に記載の光変調器。
  7. 前記第1のi−AlxGa1-xNクラッド層および前記第2のi−AlxGa1-x'Nクラッド層の層厚は、共に0.5μmより大きいことを特徴とする請求項6に記載の光変調器。
  8. 基板上に形成された第1のn型電極層と、
    第1のi−GaNクラッド層と、
    i−InGaN光導波層と、
    第2のi−GaNクラッド層と、
    前記i−Alx''Ga1-x''N電子ブロック層と、
    第2のn型電極層と
    を順次積層した構造を有することを特徴とする請求項3に記載の光変調器。
  9. 導波路構造がハイメサ導波路構造またはリッジ導波路構造であることを特徴とする請求項8に記載の光変調器。
  10. 前記基板はGaNで構成されていることを特徴とする請求項8に記載の光変調器。
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