JP6006611B2 - 半導体光変調素子 - Google Patents

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Description

本発明は半導体光変調素子に関し、より詳しくは、高速かつ光・電気的に低損失な動作が可能な半導体光変調素子に関する。
高速大容量光通信システムに使用されるトランスミッタは、通常、レーザダイオード(LD)光源と外部変調器を組み合わせて光信号を発生させる方式を取る。この種の目的に使用される典型的な外部変調器は、LiNbO(LN)伝搬路で製作されるLN光変調器である。電気光学効果による屈折率の変調がその動作の基本であり、単純な光位相変調器のほかに、マッハ・ツェンダー干渉計を組んだ光強度変調器(MZ光変調器)などがある。
最近、小型化や低ドリフト動作の面でLN光変調器よりも有利な半導体光変調器が注目されている。特にLDと同一材料で作製可能な半導体光変調器は大容量集積素子を小型かつモノリシックに集積できる点で優れている。
一般に、半導体は絶縁体と導体の両性質を併せているため、電界印加を必要とする光変調器などの電気光学素子として機能させるためにはLN(絶縁体)とは異なる光伝搬路構造を採用しなければならない。すなわち、半導体は導体としての性質(低抵抗)を有するため電圧印加に伴い素子中に電流が多く流れてしまう結果、所望の領域で所望の電界強度が得られにくいといった特徴を有する。
上記課題を克服すべく、半導体光変調デバイスにおいてはヘテロpn接合を用いたp−i−n又はn−p−i−n型等の層構造を光伝搬路に採用している。これらヘテロ接合界面付近では強い光の閉じ込めと共に、逆バイアス下では高電界の印加が可能となるため、低駆動電圧の光変調器や光スイッチ等を実現することができる。
一方で、InP系の光デバイスではp型ドープ層(p層)による電気的・光学的損失がn型ドープ層(n層)に比べて大きいことが知られており、p層を用いた光デバイスでは高速動作等の観点で課題が残る。そこで、p層を用いない光変調デバイスとして図7に示すようなn−SI−i−n構造の光変調器が提案され、更なる高速変調・低駆動電圧動作が可能となった(例えば特許文献1)。この光変調素子は、SI−InP基板601上に、n型InPクラッド層602、コア層604、半導体層(SI層)605、n型InPクラッド層606が積層されている。n型InPクラッド層602上にはn型InGaAsコンタクト層603を介して接地電極608a、608bが形成され、n型InPクラッド層606上には、n型InGaAsコンタクト層607を介して信号電極609が形成されている。
この従来のn−SI−i−n構造の光変調器では、ノンドープのコア層(i層)604に強い電界を印加させるために半絶縁性のSI層605をキャリアブロック層としてコア層の直上に積層した構造を用いている。なおSI層605の形成にはドーパントとして一般にFeやRuといった深いアクセプター準位を形成するドーパントを用いる。さらに耐圧特性向上にはこれらドーパントを高濃度にドーピングする必要があり、例えば、ノンドープInPクラッド層に1×1017cm−3程度のFeを高濃度にドーピングすることで15V/μm以上の耐圧を確保することができる。
また、図8(a)に、上記条件で作製したSI層を含むn−SI−n構造にDC電圧を印加した際のバンド構造を示し、図8(b)に、上記条件で作製したSI層を含むn−SI−n構造に電圧を印加した際の電界強度分布の周波数特性(それぞれ計算結果)を示す。図8(b)に示すようにFeを高濃度にドーピングした場合、SI−n層のヘテロ界面付近に強い電界が集中分布するため同じくヘテロ界面付近に閉じ込められた伝搬光との強い相互作用により、非常に高効率な光変調動作等が可能となる。
特許第4036878号公報
しかし、上記SI層をキャリアブロック層として用いる場合には以下で示す現象に起因したSI層内における電圧印加による電界強度分布の変動によって、低周波領域(特にMHz帯付近)での光変調特性を劣化させてしまう結果、実運用レベルの光変調器実現が困難とされている。
低周波領域における現象の一つ目として、深い準位を介したキャリア(電子)の捕獲・放出過程が挙げられる。通常、n型、p型半導体はそれぞれ浅いドナー準位及び浅いアクセプター準位を形成するため、そこでのキャリア捕獲・放出過程は非常に速く、光変調動作に悪影響を与えない。一方で、Fe、Ru等のドーパントは深いアクセプター準位を形成するため、そこでのキャリア捕獲・放出時間はkHzオーダーと非常に遅い。そのため、kHz帯付近を境にSI層でのキャリア捕獲分布及び電界強度分布が変動し、結果としてSI層における伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)が変動することによる光変調信号のパターンシフト効果を助長してしまう。
低周波領域における現象の二つ目としては、ホール移動度(ホールドリフト速度)が挙げられる。上記電子キャリア変動の場合と同様に、電圧印加に伴うSI層中のホールキャリア変動はSI層中の電界強度分布を変動させる主な要因となる。特にホールのドリフト速度はMHzオーダーとなる場合が多いため、MHz帯付近を境に上記一つ目の問題同様の周波数特性劣化が引き起こされる。
上記問題の中でも特に光変調器として駆動する場合に無視できない要因は、MHzを超えて変調特性に影響を及ぼすホールドリフトの存在であり、図9に示す光変調におけるパターンシフト効果を誘発させる主要因となる。そのため、いかにホールドリフトの影響を抑制するかが最大の課題となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、電気的・光学的に低損失なn−SI−i−n構造の特長を維持したまま、ホールドリフト及び深い準位を介したキャリア捕獲放出過程の影響を抑制することで、パターンシフト効果の生じない光変調信号を生成する半導体光変調素子を提供することを目的とする。さらに、n−SI−n構造特有の対称性を応用することで、MZ光変調におけるシングル電極駆動プッシュ・プル動作を簡便構造によって実現することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、半導体光変調素子であって、少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗値を有し、直流から10GHzの変調周波数範囲において、半導体コア層中心での電界強度が直流電圧印加時に最大となるように電子トラップのドーピング濃度が設定された半絶縁性コア層と、前記半絶縁性コア層を挟み込むように配置された少なくとも導電性を有するn型半導体クラッド層と、前記n型半導体クラッド層上に配置され、前記半絶縁性コア層を介して電気的に接続された第1の電極及び第2の電極とを備え、前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とは、伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が規定される領域内に当該半絶縁性コア層の中心が含まれるように光を閉じ込めることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、半導体光変調素子であって、少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗値を有し、ホールキャリア濃度が電子キャリア濃度の1000倍を超えない範囲で、浅いドナー及び電子トラップとして機能するドーパントをコドープされた半絶縁性コア層と、前記半絶縁性コア層を挟み込むように配置された少なくとも導電性を有するn型半導体クラッド層と、前記n型半導体クラッド層上に配置され、前記半絶縁性コア層を介して電気的に接続された第1の電極及び第2の電極とを備え、前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とは、伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が規定される領域内に当該半絶縁性コア層の中心が含まれるように光を閉じ込めることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の半導体光変調素子において、前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とはマッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路を構成し、且つ前記第1及び第2の電極のいずれかに電気信号を入力するプッシュ・プル光変調動作によって駆動することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の半導体光変調素子において、前記第1及び第2の電極は、前記マッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路の2つのアーム伝搬路の内側及び外側のクラッド層上にそれぞれ配置されたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の半導体光変調素子において、前記第1及び第2の電極は、前記マッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路の2つのアーム伝搬路上のクラッド層上にそれぞれ配置されたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体光変調素子において、前記第1の電極及び第2の電極と前記n型半導体クラッド層との間にコンタクト層を有することを特徴とする。
本発明によれば、p型クラッド層を排除することで光・電気損失が低減される結果、光変調デバイスの高速化が可能となるだけでなく、ホールドリフト等に起因した電界強度分布変動の影響を抑制することでDCから高周波帯の広帯域にかけてパターンシフト効果が生じない光変調特性を得ることができる。
また対称的なn−SI−n構造では順方向・逆方向バイアスの概念がないため、印加する電界方向に依らずコア層内に高電界を印加することができることから、例えば、不要に高いバイアス電圧を印加することなく、簡便な電極構造によってMZ光変調におけるシングル駆動プッシュ・プル動作が期待できる。
一定(例えば8×1016cm−3)の電子トラップ濃度に対して、浅いドナーとなる不純物原子(Si)をコドープした場合における、浅いドナーのドープ量に対するSI層中でのキャリア濃度の解析計算結果を示す図である。 (a)は、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造のDC電圧印加時のバンド構造を示す図であり、(b)は、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造における電圧印加時の電界強度分布の周波数依存性を示す図である。 (a)〜(e)は、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造において、半導体中の電子濃度を1×1015cm−3と低く設定した上で、電子トラップ濃度を変化させた場合のバンド構造の電子トラップ濃度依存性を示す図である。 (a)は、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造を用いた第1の半導体光変調素子の上面図であり、(b)は、その断面図である。 (a)は、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造を用いた第2の半導体光変調素子の上面図であり、(b)は、その断面である。 (a)は、本発明の実施形態2に係るn−SI−n構造のDC電圧印加時のバンド構造を示す図であり、(b)は、本発明の実施形態2に係るn−SI−n構造における電圧印加時の電界強度分布の周波数依存性を示す図である。 従来のn−SI−i−n構造の光変調器の断面図である。 (a)は、従来のSI層を含むn−SI−n構造にDC電圧を印加した際のバンド構造を示す図であり、(b)は、従来のSI層を含むn−SI−n構造に電圧を印加した際の電界強度分布の周波数特性を示す図である。 光変調におけるパターンシフト効果を示す図である。
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体光変調素子は、1×10Ω・cm以上の抵抗値が確保される範囲において、半絶縁性(SI)コア層の中心付近で電圧降下が効率的に生じるように電子濃度及び電子トラップドーパントの濃度が調節されたSIコア層をn型クラッド層で挟んだn−SI−n型ヘテロ構造を光変調領域に形成し、伝搬光をSI層の中心付近に閉じ込めることで、ホールドリフト及び深い準位を介したキャリア捕獲放出過程の影響を抑制することとした。
以下、本発明についてより詳しく説明する。SI層として耐圧を確保するためのキャリアブロック層形成においては、主としてSI層中の浅いドナー密度(電子濃度に対応)及び深いアクセプター密度(電子トラップ濃度に対応)が耐圧特性を決定している。
図1に、一定(例えば8×1016cm−3)の電子トラップ濃度に対して、浅いドナーとなる不純物原子(Si)をコドープした場合における、浅いドナーのドープ量(横軸)に対するSI層中でのキャリア濃度(縦軸)の解析計算結果を示す。この図1では、浅いドナーのドープ量を、浅いドナーを単独でドーピングした時の電子濃度で表している。通常、SI層を形成する際には高耐圧特性を重視するため、低い電子濃度の半導体(例えば電子濃度が1×1015cm−3)に対し、電子トラップとして機能するドーパント(Fe又はRu等)を高濃度(例えば8×1016cm−3)にドーピングするため、SI層中では電子濃度に対してホール濃度の割合が支配的となる。
図8(b)に、ホール濃度の割合が支配的なSI層を含むn−SI−n型ヘテロ構造における電界強度分布の周波数特性(それぞれ計算結果)を示す。電子トラップ濃度を増加させることでSI層中のホールキャリア濃度が増加することから、上記のような高濃度電子トラップの下ではSI層はp型半導体に近い振る舞い(層全体に電界が一様に分布せず、ヘテロ界面に強い電界が集中する)を示す。
ここで、SI層をコア層又はその一部とみなして高効率かつパターンシフト効果が生じない光変調デバイスを作製する場合には以下の点に留意する必要がある。
一点目は、伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)が大きいこと。二点目は、DCから高周波(GHz以上)の広帯域にわたって上記オーバーラップの変動が小さいことが挙げられる。
従来のn−SI−i−n構造光変調デバイスでは、図8(a)、(b)に示す高耐圧を重視したSI層を採用し、且つ図中に示したヘテロ界面付近(SI層端)に伝搬光を閉じ込めている。なお、n−SI−i−n構造におけるi層は空乏層としてのみ振舞うため、SI層の挙動に着目する場合には、n−SI−i−n構造をn−SI−n構造と簡略化させて説明したとしても差し支えない。よって以下ではn−SI−i−n構造をn−SI−n構造とみなして説明する。
この従来のn−SI−n構造の場合、DC電圧印加時における伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)が大きいため、結果として高効率な光変調動作を得ることができる。すなわち、上記一点目の要求は満たしている。
しかし、変調周波数が高くなるに従い上述したキャリア変動が周波数応答に追従できなくなって、キャリア変動の影響は小さくなるため、SI層全体に一様な電界が分布するようになる。これにより、SI層端での電界強度が相対的に減少するため、結果として上記オーバーラップが大きく低下してしまい、上記二点目の要求を満たさなくなる。これにより、光変調信号のパターンシフト(分散)効果などが助長されてしまう。
一方、SI層中のドーピング特性を変化させた場合のバンド構造及び電界強度分布の周波数依存性を計算により求めると図2(a)、(b)、図6(a)、(b)のようになる。
(実施形態1)
図2(a)に、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造のDC電圧印加時のバンド構造を示し、図2(b)に、本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造における電圧印加時の電界強度分布の周波数依存性を示す。このn−SI−n構造は、低い電子濃度の半導体コア層(例えば電子濃度が1×1015cm−3)に、1×10Ω・cm以上の抵抗値が確保される範囲において低濃度の電子トラップドーパント(例えば1×1016cm−3)をドーピングしたものである。
これらは前述した従来のn−SI−n構造の高耐圧重視のSI層に比べ、SI層中のホール濃度が低く、p型半導体に近い振る舞いは示さないため、SI層全体に一様な強度の電界が分布する。さらに周波数増加に伴うSI層中の電界強度分布の変動も小さく、SI層の中心付近、すなわち、伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が規定される領域内に当該半絶縁性コア層の中心が含まれる範囲に伝搬光を閉じ込めた場合において、周波数増加に伴う伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)の変動は図8(b)に示す従来のものより抑えられる。
図4(a)に本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造を用いた第1の半導体光変調素子の上面図を示し、図4(b)にその断面図を示す。この第1の半導体光変調素子では、基板水平方向にn−SI−n構造を形成している。結晶成長は、結晶再成長プロセスに適した有機金属気相成長(MOVPE)法によって行い、基板結晶は(110)面方位の半絶縁性SI−InP基板101を用いる。なお、(110)面基板では基板表面にIII族原子及びV族原子が均等に露出しており、これが結晶成長における表面モホロジーの劣化を引き起こすといった報告がある。そのため、本実施形態においては(110)面から(111)B面方向へ3°傾けた基板を用いることで基板表面におけるV族原子の割合を増やし、表面モホロジーの良好な結晶成長膜を得た。
コア層のバンドギャップ波長は動作光波長で電気光学効果が有効に作用しかつ光吸収が問題とならないように決定している。例えば、1.55μm帯の光変調器とする場合には、コア層を発光波長が1.2μmのInGaAsP層によって形成するが、無論、当該波長領域で吸収の生じない、発光波長が1.4μm以下のInGaAsP又はInGaAlAs等を用いても問題ないことは明らかである。
光変調領域におけるバルクのコア層は少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗値が確保されるように電子トラップ濃度の下限を設定し、また直流から10GHzの変調周波数において、コア層中心での電界強度が直流電圧印加時に最大値となる範囲で電子トラップ濃度の上限を設定する。図2に対応したSI層がその代表例である。ここで、図2に示した本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造において、半導体中の電子濃度を1×1015cm−3と低く設定した上で、電子トラップ濃度を変化させた場合のバンド構造の電子トラップ濃度依存性を図3(a)〜(e)に示す。なお、図3(a)のバンド構造でのSI層の抵抗率は、5Ω・m程度であり、図3(b)のバンド構造でのSI層の抵抗率は、7×10Ω・m程度であった。これらより、電子トラップ濃度が2×1015cm−3以下ではSI層の抵抗が低く耐圧が不十分であり、電子トラップ濃度が5×1016cm−3以上ではSI層中心での電界強度(バンドの傾き)が小さくなっていることがわかる。よって、半導体中の電子濃度が1×1015cm−3の場合、上記範囲を満足する電子トラップ濃度としては、例えば5×1015cm−3以上2×1016cm−3以下の範囲となる。
なお、MOVPE装置において寄生的に生成される不純物キャリア(電子濃度)は通常1×1015cm−3から1×1016cm−3程度と一様に定まらないため、それに伴う上記範囲を満足する電子トラップ濃度も5×1015cm−3以上1×1017cm−3未満程度の範囲で変動するが、何れの場合においても本発明の有用性は失われない。このときの半導体コア層中のホールキャリア濃度は、電子キャリア濃度の1000倍を超えない範囲にある。
また、バルクのコア層以外にも例えば半絶縁性を有する量子井戸構造や量子ドット構造のコア層を用いたとしても本発明に係る有用性は失われないことは明らかである。
上記SIコア層を形成後、光変調素子を光伝搬路103として機能させるべく、
Figure 0006006611
方向に伝搬路形状が模られた、例えばSiOマスクを用いてドライエッチングによりSI−InP基板が露出するまでエッチング加工し、メサ構造を作製する。光変調領域におけるコア層の両側面には、コア層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する、例えばn型InPなどのクラッド層102、及びn型InGaAsなどの電極コンタクト層104が結晶再成長によって形成されている。これらクラッド層102のドーピング濃度は、コア層で効率良く電圧降下が生じるように5×1017cm−3以上とすることが望ましい。例えば、n型InPクラッド層102のドーピング濃度を1×1018cm−3とし、n型InGaAs電極コンタクト層104のドーピング濃度をそれぞれ5×1018cm−3とする。また、電気的絶縁を確保すべく、光変調領域以外のn型クラッド層102及びコンタクト層104をドライエッチングにより除去し、望ましくは再度、当該領域をコア層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する、例えばSI−InPなどのクラッド層102を結晶再成長によって形成する。
なお、電極コンタクト用に積層される層は十分な伝導性が確保できれば問題ないため、n型不純物がドーピングされる半導体は上記InGaAsに限定されず例えば、InGaAsPなどを用いてもよい。
上記n−SI−n層を形成後、n型InGaAs電極コンタクト層上に例えばTiを介したAu電極を形成する。なお、光変調素子に用いられる信号電極は進行波型電極構造であることが望ましいが、この他にも例えば集中定数型及び共振型の電極構造でもよい。
SI−InP基板101上に形成された上記SIコア層を光電子伝搬路103として機能させるためには、図4(b)に示すような断面のメサ構造を含む、例えば2つのMMIカプラ107a、107bを搭載したMZ伝搬路構造とする。2つのMZアーム伝搬路103a、103bの間に信号電極106を設け、その外側に接地電極105a、105bを設け、信号電極106にRF電気信号を入力する。
なお、伝搬光は光電子伝搬路103であるSIコア層の中心付近に閉じこめる必要があり、望ましくは伝搬光の光強度ピーク位置が図2(b)に示すSIコア層の中心位置と一致するように光を閉じ込める必要がある。
そこで本実施形態では図4(b)に示した通り、SIコア層103をn型InPクラッド層102で挟んだn−SI−n対称構造を採用し、SIコア層103に入射させた伝搬光の光強度ピーク位置をSIコア層103の中心位置と一致させた。なおこれら位置が完全に一致しない場合においても、ある範囲までの不一致であれば本発明の有用性は失われない。すなわち、例えば本実施例での伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が1μmである場合、SIコア層中心位置から光強度ピーク位置が±0.5μmまでの不一致であれば有用性がある。
また、n−SI−n構造はpin構造等とは異なり、正負電圧何れを印加した場合においてもSIコア層103において電圧降下が生じる。MZアーム伝搬路103a、103bにはそれぞれ逆方向の電界が信号電極106によって印加されるため、例えば、電界方向に依って屈折率の増減が変化する電気光学効果(ポッケルス効果)によりMZ光変調器として駆動させることでシングル電極によるプッシュ・プル光変調動作が可能となる。
このように本発明によれば、pクラッド層排除による光変調デバイスの高速化が期待されるだけでなく、深いアクセプターとなるFeの過剰なドーピング回避、及びSI層中心への光閉じ込めによってパターンシフト効果が抑制された光変調動作を得ることができる。
図5(a)に本発明の実施形態1に係るn−SI−n構造を用いた第2の半導体光変調素子の上面図を示し、図5(b)にその断面を示す。この第2の半導体光変調素子では、基板垂直方向にn−SI−n構造を形成している。SI−InP基板201上にn型InPクラッド層202、SI−InGaAsPコア層203、n型InPクラッド層204、n型InGaAsコンタクト層205を積層する。SI−InGaAsPコア層203を光電子伝搬路203として機能させるために、2つのMMIカプラ210a、210bを搭載したMZ伝搬路構造とする。2つのMZアーム伝搬路203a、203bは、SI−InGaAsPコア層203、n型InPクラッド層204、n型InGaAsコンタクト層205をエッチングして分離したもので、n型InPクラッド層202によって接続されている。このMZアーム伝搬路203a、203b上には、n型InGaAsコンタクト層205を介して接地電極206、RF電気信号を入力する信号電極207がそれぞれ形成されている。
InPなどのIII−V族化合物半導体は閃亜鉛鉱型結晶であり実施形態1で用いた(110)面基板以外にも図5に示すような(100)面、(111)面基板又はこれらと等価な面を有する面方位基板を用いた場合や、基板垂直方向にn−SI−n構造を形成し電界を印加した場合においても上述したn−SI−n構造の特長が損なわれることはない。
ここで基板材料はInP以外にも同構造を有する、例えばGaAs、GaP、ZnS、ZnSeを用いた場合においてもその有用性は変わらないことは明らかである。
なお、第1および第2の半導体光変調素子は、コア層を1.55μm波長帯に対応するものとしたが、1.3μm波長帯に対応するものとしてもよい。
また例えば基板材料にGaAsを用いれば0.6〜1.3μm波長帯にも対応できる。
(実施形態2)
図6(a)に、本発明の実施形態2に係るn−SI−n構造のDC電圧印加時のバンド構造を示し、図6(b)に、本発明の実施形態2に係るn−SI−n構造における電圧印加時の電界強度分布の周波数依存性を示す。半導体コア層中に1×10Ω・cm以上の抵抗値が確保される電子トラップドーパント(例えば8×1016cm−3)に加えて、浅いドナーとして機能する不純物ドーパントを、それを単独でドープした場合の電子濃度が例えば2×1016cm−3となるドープ量でコドープした場合の図である。浅いドナーと深いアクセプターをコドープすることで実施形態1におけるn層からSI層への空乏層の広がりが抑制され、且つ耐圧が確保されることでDC電圧印加時においても一様な電界強度分布を得ることができる。
その結果、周波数増加に伴う、電界強度分布変動は小さくなり、実施形態1と同様、SI層の中心(対称)に伝搬光を閉じ込めた場合には周波数増加に伴う伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)の変動は図8(b)に示す従来のものより抑えられる。
実施形態2では図6(b)に示すように、SI層中心への光閉じ込めに加えて、SIコア層内での電界強度分布をより均一化させることで周波数増加に伴う伝搬光の光強度分布と電圧印加により生じる電界分布との重なり具合(オーバーラップ)の変動が実施形態1よりもさらに抑制される。
実施形態2に係るn−SI−n構造は、実施形態1と同様に、図4、5に示す第1および第2の半導体光変調素子を構成することができるが、以下では実施形態1と異なるSIコア層の例示的構成についてのみ説明する。
光変調領域であるバルクのコア層にはキャリアブロックとして機能する(活性化する)範囲で高濃度のFeをドーピング(例えば8×1016cm−3)すると同時に、少なくとも駆動電圧範囲内において耐圧が確保される範囲で、浅いドナーとなる不純物ドーパント(Si)を高濃度にドーピング(コドープ)させる。すなわち、例えばFeドーピング濃度を8×1016cm−3とした場合には、Siのドーピング濃度はSi単独でドープした場合の電子濃度が2×1016cm−3となるドーピング濃度となる。このときの半導体コア層中のホールキャリア濃度は、電子キャリア濃度の1000倍を超えない範囲にある(図1参照)。
なお、コア層の組成に依ってドーピングされるFe濃度の上限も異なるため、それに応じてSiのドーピング濃度が変動したとしても本発明の有用性は失われないことは明らかである。
また、バルクのコア層以外にも例えば上記コドープ層を有する量子井戸構造や量子ドット構造のコア層を用いたとしても本発明に係る有用性は失われないことは明らかである。
101、201、601 SI−InP基板
102、202、204、602、606 n型InPクラッド層
103、203 光電子伝搬路
104、205、603、607 n型InGaAs電極コンタクト層
105、206、608 接地電極
106、207、609 信号電極
107、210 MMIカプラ
604 コア層
605 SI層

Claims (6)

  1. 少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗値を有し、直流から10GHzの変調周波数範囲において、半導体コア層中心での電界強度が直流電圧印加時に最大となるように電子トラップのドーピング濃度が設定された半絶縁性コア層と、
    前記半絶縁性コア層を挟み込むように配置された少なくとも導電性を有するn型半導体クラッド層と、
    前記n型半導体クラッド層上に配置され、前記半絶縁性コア層を介して電気的に接続された第1の電極及び第2の電極と
    を備え、前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とは、伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が規定される領域内に当該半絶縁性コア層の中心が含まれるように光を閉じ込めることを特徴とする半導体光変調素子。
  2. 少なくとも1×10Ω・cm以上の抵抗値を有し、ホールキャリア濃度が電子キャリア濃度の1000倍を超えない範囲で、浅いドナー及び電子トラップとして機能するドーパントをコドープされた半絶縁性コア層と、
    前記半絶縁性コア層を挟み込むように配置された少なくとも導電性を有するn型半導体クラッド層と、
    前記n型半導体クラッド層上に配置され、前記半絶縁性コア層を介して電気的に接続された第1の電極及び第2の電極と
    を備え、前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とは、伝搬光の光強度分布曲線の半値全幅が規定される領域内に当該半絶縁性コア層の中心が含まれるように光を閉じ込めることを特徴とする半導体光変調素子。
  3. 前記半絶縁性コア層と前記n型半導体クラッド層とはマッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路を構成し、且つ前記第1及び第2の電極のいずれかに電気信号を入力するプッシュ・プル光変調動作によって駆動することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体光変調素子。
  4. 前記第1及び第2の電極は、前記マッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路の2つのアーム伝搬路の内側及び外側のクラッド層上にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体光変調素子。
  5. 前記第1及び第2の電極は、前記マッハ・ツェンダー干渉型光伝搬路の2つのアーム伝搬路上のクラッド層上にそれぞれ配置されたことを特徴とする請求項3に記載の半導体光変調素子。
  6. 前記第1の電極及び第2の電極と前記n型半導体クラッド層との間にコンタクト層を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体光変調素子。
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