JP3529072B2 - 光位相変調器及び光変調装置 - Google Patents
光位相変調器及び光変調装置Info
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Description
る多重量子井戸層の屈折率を外部印加電圧で制御して、
光導波路を通過する光の強度、あるいは位相を制御する
光位相変調器及び光変調装置に関する。
有機金属化学気相成長法(MOVPE)など化合物半導
体極薄膜作成技術の進展によって半導体多重量子井戸
(MQW)や超格子構造が登場し、従来のバルク半導体
に比べて著しいオプトエレクトロニクス素子の特性改良
が可能となっている。このうち、MQW構造に電界を印
加してその吸収係数あるいは屈折率を変化させる電界吸
収効果は、バルク半導体に比べ非常に顕著であり、これ
を用いて高速・低電圧駆動な光変調器が実現されてい
る。
二種類の物理量の変化を利用する。そのうち、波長(動
作波長)を吸収係数変化の小さい領域に設定し、そこで
の屈折率の変化を利用するものを位相変調器と称する。
この位相変調器では、可能な限り低い印加電圧(電界)
での大きな屈折率変化を得られることが必要であると同
時に、吸収係数及びその印加電圧による変化が小さいこ
とが必要である。
波長を吸収係数の大きな領域に設定すればよいが、導波
型光変調器の場合、屈折率変化で光の位相を変える前に
光は吸収されてしまう。通常、動作波長は吸収係数及び
その変動を無視できる領域に設定するため、屈折率変化
を稼ぐために、印加電圧が高くならざるを得ない状況が
続いていた。
域から遠いところほど屈折率変化も小さくなるので、位
相変調器の高性能化を達成するためには、動作波長で吸
収係数は小さいが、屈折率変化はより大きくなるとい
う、一見矛盾した問いに対する答えを見出さなければな
らない。
数及びその変動を十分抑制しつつ大きな屈折率変化が得
られる高性能な光位相変調器及び光変調装置を提供する
ことを課題とする。
明の光位相変調器は、InSb,InAs,InAs
P,InSbP又はInAsSbPのいずれか一つの材
料からなる量子井戸層を有する量子井戸構造をコアとす
ることを特徴とする。
相変調器に動作時に印加される電圧の範囲内で、印加電
圧の絶対値の増大とともに、重い正孔に対する価電子帯
の第二量子準位から伝導帯の第一量子準位への電子の遷
移による前記量子井戸構造の光吸収の強度が増加するこ
とを特徴とする。
び第2の光位相変調器と、前記位相変調器にTM偏光か
らなる信号光を入力する手段とを備えたことを特徴とす
る。
が主である。図3にTE偏光した光を変調器に入射させ
た時の吸収係数スペクトルの電圧変化と電圧変化による
吸収係数スペクトルの変化分をプロットしたものを示
す。図3に示すように、三つの主な励起子吸収ピーク
は、重い正孔帯(HH)と軽い正孔帯(LH)からの遷
移を表す。電圧変化ΔFによる吸収係数変化Δαが波長
λの関数として与えられると、波長λ0 で得られる屈折
率変化Δnは以下の「数1」に示す式(1)の関数によ
り決まることとなる。
する。図3から、TE偏光ではHHの第一量子準位から
の励起子吸収(E1 −HH1)の寄与が大きいことが判
るが、吸収係数の変化は正と負の領域が同じ程度であ
り、互いに相殺されてしまうため、前記式(1)から明
らかなように屈折率変化の増大にはあまり寄与しない。
に注目した。図4にTM偏光した光を変調器に入射させ
た時の吸収係数スペクトルの電圧変化と電圧変化による
吸収係数スペクトルの変化分をプロットした。
に替わって、HHの第二量子準位からの励起子吸収(E
1 −HH2 )とLHの第一量子準位から励起子吸収(E
1 −LH1 )との寄与が大きいことがわかる。ここで、
特に重要なことは、E1 −HH2 は電圧印加によってそ
の吸収ピークを増大させることにある。この吸収ピーク
の増大は、重い正孔と軽い正孔との間の相互作用である
バンドミキシング効果によるものである。その結果、図
4に示すように、吸収係数変化のE1 −HH2 のピーク
の増大によって、正の吸収変化分が大きくなり、前記式
(1)から判るように、屈折率変化は吸収係数変化の積
分で与えられるから、この場合屈折率変化をTE偏光に
比べて大きくとることが可能となる。さらに、動作波長
からみて、E1 −HH2 のピークはE1 −HH1 のピー
クよりも遠くにあり、TM偏光でのE1 −HH1 のピー
クはTE偏光でのそれにくらべて2〜3桁小さいため、
電圧印加による吸収係数変動を抑制できる。
戸層材料において、重い正孔と軽い正孔との量子井戸面
に垂直な方向の有効質量の差が大きい材料ほどよい。現
在の量子井戸結晶成長技術は、III 族とV族との化合物
半導体材料の上に成り立っている。理論計算から、III
−V族半導体材料の中で重い正孔と軽い正孔との有効質
量差が著しい化合物半導体は、InP,InAs,In
Sb又はこれら二元化合物の組合せで得られる三元化合
物ないし四元化合物であることが判明した。具体的に
は、InSb,InAs,InAsP,InSbP又は
InAsSbPのいずれか一つの材料から井戸層材料を
選定するのが好ましい。
づけば、今までにない大きな屈折率変化を吸収変動の増
加を抑制しつつ達成できる。
する。
の模式図である。図1に示すように、n−InP基板1
上にはn−InPクラッド層2、ノンドープInSbA
sP/InPからなる多重量子井戸層3、p−InPク
ラッド層4、及びp−InGaAs層5が順次積層され
ている。前記n−InP基板1の裏面にはN側電極6
が、一方前記p−InGaAs層5側にはP側電極7が
各々設けられている。
る電圧を印加するための電圧印加手段(図示せず)に接
続するためのリード線8が接続されている。図示しない
光源(レーザ)からのTM偏光からなる入射光9は、変
調光10として出射される。
sPとInPとをそれぞれ量子井戸層と障壁層とにする
多重量子井戸構造で、分子線エピタキシャル成長法や有
機金属気相成長法などの結晶成長法で作製される。
る位相変調器を用いて、屈折率変化の電圧依存性を実線
で示したものである。なお、比較として従来構造での典
型的な特性も併せて示した。
明の構造の特性は、従来の特性に比べて屈折率変化の増
大が急激に起こり、同じ電圧での屈折率変化は従来に比
べて2〜3倍以上の高い値が得られることが判明した。
これは、前述したようにバンドミキシング効果が本発明
で採用した半導体材料によって増幅された結果である。
孔と軽い正孔の有効質量の差が電界によるバンド構造の
変化により打ち消されてしまうため、バンドミキンシン
グ効果がもはや効かなくなり、屈折率変化の電圧依存性
は図にようなピーク構造を持つことになる。
としは、種々のものがある。例えば、半導体レーザの出
力光を偏波保持ファイバで、図1に示す光変調器まで導
き、入射光がTM偏光となるように、ファイバの出力端
を回転させてもよい。このような手段と、図1に示す光
変調器とを組合せると、容易に入射光の位相を効率よく
変調する光変調装置を組み立てることができる。
たように、本発明によれば、InSb,InAs,In
AsP,InSbP又はInAsSbPのいずれか一つ
の材料で量子井戸層を構成することにより、TM偏光で
の価電子帯第二準位からの吸収ピークの電圧変化を、大
きくとることができるので、従来の変調動作を凌ぐ高性
能な位相変調器及び光変調装置を提供できる。
る。
電圧依存性と従来構造での屈折率変化の電圧依存性の比
較図である。
対応する吸収係数変化の波長スペクトル図である。
対応する吸収係数変化の波長スペクトル図である。
子井戸層 4 p−InPクラッド層 5 p−InGaAs層 6 N側電極 7 P側電極 8 リード線 9 入射光 10 変調光
Claims (3)
- 【請求項1】 InSb,InAs,InAsP,In
SbP又はInAsSbPのいずれか一つの材料からな
る量子井戸層を有する量子井戸構造をコアとすることを
特徴とする光位相変調器。 - 【請求項2】 請求項1記載の光位相変調器において、 前記位相変調器の動作時に印加される電圧の範囲内で、
印加電圧の絶対値の増大とともに、重い正孔に対する価
電子帯の第二量子準位から伝導帯の第一量子準位への電
子の遷移による前記量子井戸構造の光吸収の強度が増加
することを特徴とする光位相変調器。 - 【請求項3】 請求項1及び2記載の光位相変調器と、
前記位相変調器にTM偏光からなる信号光を入力する手
段とを備えたことを特徴とする光変調装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22085896A JP3529072B2 (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 光位相変調器及び光変調装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22085896A JP3529072B2 (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 光位相変調器及び光変調装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1062731A JPH1062731A (ja) | 1998-03-06 |
JP3529072B2 true JP3529072B2 (ja) | 2004-05-24 |
Family
ID=16757656
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22085896A Expired - Lifetime JP3529072B2 (ja) | 1996-08-22 | 1996-08-22 | 光位相変調器及び光変調装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3529072B2 (ja) |
-
1996
- 1996-08-22 JP JP22085896A patent/JP3529072B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1062731A (ja) | 1998-03-06 |
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