JP5227119B2 - 光−熱併用型の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、光−熱併用型の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物に関するものである。
近年、電子素子をパッケージに取り付けたり、電子部品を固定するために硬化性エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。エポキシ樹脂組成物の硬化機構としては、熱硬化型と光硬化型とがある。前者は、接着性は良好であるが、硬化前に粘度がいったん低下するため樹脂組成物が流れ、電子素子等の位置がずれたり、また、硬化時の熱により電子素子等を劣化させうるという問題がある。後者は、常温で硬化が可能であるため、熱による電子素子等の劣化はないが、電子素子等が立体物である点から、光が当たらず、硬化が不十分な部分が残るという問題がある。
そこで、両者を補完すべく、光−熱併用型の硬化性エポキシ樹脂組成物が検討されている(特許文献1、特許文献2参照)。なお、光硬化型には、光カチオン重合開始剤を使用するタイプと光ラジカル重合開始剤を使用するタイプがあり、熱硬化型には、熱アニオン硬化剤を使用するタイプと熱カチオン硬化剤を使用するタイプがある。ここで、光カチオン重合開始剤と熱アニオン硬化剤とを併用すると、光照射により開始種であるカチオンが発生しても、熱アニオン硬化剤により失活し、光による硬化性が不十分となるので、この組み合わせは有効ではないとされてきた。特許文献1及び2でも、具体的に開示された組成物は、光カチオン重合開始剤と熱カチオン硬化剤とを併用したもののみである。
しかしながら、光カチオン重合開始剤と熱カチオン硬化剤を併用した組成物は、電気伝導度の上昇や腐食をもたらし、電子材料の信頼性に悪影響を及ぼしうるという問題があった。これは、硬化物のpHが酸性を示すことが一因として考えられる。一方、光ラジカル重合開始剤を使用する場合は、一般にアクリラート化合物の存在が必要となるため組成に制約があり、加えてアクリラート化合物の重合反応のため体積収縮が大きく、光カチオン重合開始剤を使用した場合に比べて接着力に劣るという問題もあった。
なお、光カチオン重合開始剤とカプセル化され且つポリマーに結合された塩基を組み合わせた組成物も、最近になって提案されているが(特許文献3参照)、この組成物の塩基は、光カチオン重合反応により酸性になった系を中性化する為に用いられているのであって、熱アニオン硬化を開始する機能を有するものではない。
特開平5−335101号公報 特開2004−352821号公報 特表2007−512414号公報
本発明は、光−熱併用型の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物であって、実用的な光による仮硬化性を示し、電子材料の信頼性確保に有効な光−熱併用型の組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の熱アニオン硬化剤を光カチオン重合開始剤と併用することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
(A)エポキシ樹脂100重量部
(B)光カチオン重合開始剤5〜25重量部、並びに
(C)アミン化合物のエポキシアダクト、アミン化合物の尿素アダクト及びアミン化合物のエポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加させた化合物から成る群より選択される少なくとも1種の熱アニオン硬化剤5〜35重量部
を含む、潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物に関する。
本発明によれば、実用的な光による仮硬化性を示し、電子材料の信頼性確保に有効な、光−熱併用型の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物が提供される。
本発明における(A)エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物であれば、特に限定されない。(A)エポキシ樹脂は、常温(25〜40℃)で液状であるか、あるいは常温で固体のものが、液状エポキシ化合物等により溶解され、常温で液状を示すものである。(A)エポキシ樹脂自体が常温で液状であることが好ましい。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレン含有エポキシ樹脂、エーテル系又はポリエーテル系エポキシ樹脂、オキシラン環含有ポリブタジエン、シリコーンエポキシコポリマー樹脂等が例示される。
特に常温で液状であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の重量平均分子量が約400以下のもの;式:
Figure 0005227119
で示されるp−グリシジルオキシフェニルジメチルトリルビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の数平均分子量が約570以下のもの;ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンのような脂環式エポキシ樹脂;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルのようなビフェニル型エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ならびに1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂;ナフタレン環含有エポキシ樹脂が例示される。これらのエポキシ樹脂は、単独でも、2種以上併用してもよい。
また、これらの常温で液体であるエポキシ樹脂に、常温で固体ないし超高粘性のエポキシ樹脂を併用してもよく、そのようなエポキシ樹脂として、高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等が例示される。
常温で固体ないし超高粘性のエポキシ樹脂を液状エポキシ化合物等の希釈剤を用いて溶解して使用する場合、非反応性希釈剤及び反応性希釈剤のいずれをも使用することができるが、反応性希釈剤が好ましい。反応性希釈剤は、1分子中に1個又は2個以上のエポキシ基を有する、常温で比較的低粘度の化合物であり、目的に応じて、エポキシ基以外に、他の重合性官能基、たとえばビニル、アリル等のアルケニル基;又はアクリロイル、メタクリロイル等の不飽和カルボン酸残基を有していてもよい。このような反応性希釈剤としては、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシドのようなモノエポキシド化合物;アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのような他の官能基を有するモノエポキシド化合物;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグルシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物等が例示される。
本発明における(B)光カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によりカチオン開始種を発生させうる化合物であれば、特に限定されない。活性エネルギー線は、γ線、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等が挙げられるが、反応性、安全性及び経済性の点から紫外線が好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、オニウム塩が挙げられ、代表的には、一般式:
Figure 0005227119
又は
Figure 0005227119
(式中、Rは、たがいに同一でも異なっていてもよい、非置換もしくは置換の1価の炭化水素基を表し;E1は、ヨウ素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ジアゾ基又は非置換もしくは環置換のピリジニオ基を表し;E2は、硫黄原子又は窒素原子を表し;Zは、銅、亜鉛、チタン、バナジウム、クロム、アルミニウム、錫、ガリウム、ジルコニウム、インジウム、マンガン、鉄、コバルト及びニッケルから成る群より選択される金属又はホウ素、アンチモン、ヒ素及びリンから成る群より選択されるメタロイドに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換又は非置換フェニル基及び置換又は非置換アルキル基から成る群より選択される1〜6の置換基が結合した対イオンを表し;aは、E1がヨウ素原子のとき2、硫黄原子のとき3、窒素原子又はリン原子のとき4、ジアゾ基又は非置換もしくは環置換のピリジニオ基のとき1であり;bは、E2が硫黄原子のとき1、窒素原子のとき2であり;cは、4又は5の整数である)で示されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩又はピリジニウム塩であり、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
Rとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシルのような直鎖状又は分岐状の、好ましくは炭素数1〜15であるアルキル基;シクロヘキシルのような、好ましくは炭素数3〜10であるシクロアルキル基;フェニル、4−トリル、4−クミル、2,4−キシリル、1−ナフチルのようなアリール基;ベンジル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2−フェニルエチル、1−ナフチルメチルのような、好ましくは炭素数6〜20のアリール基で炭素数1〜15のアルキル基が置換されているアラルキル基;ビニル、アリル、ブテニルのような、好ましくは炭素数2〜10であるアルケニル基;ならびに4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−エトキシフェニル、4−シアノフェニル、4−クロロフェニル、4−アセトキシフェニル、4−プロパノイルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、4−エトキシカルボニルフェニル、4−メトキシベンジル、4−エトキシベンジル、4−t−ブトキシベンジル、4−ニトロベンジル、4−シアノベンジル、4−フェニルチオフェニルのような、好ましくは上記の好ましい炭化水素基から誘導される1価の置換炭化水素基が例示され、優れた硬化性を示すことから、分子中少なくとも1個のRがアリール基又はアラルキル基であることが好ましく、すべてのRがそのような基であることがさらに好ましい。
1は前述のとおりであり、非置換又は環置換のピリジニオ基としては、ピリジニオ基のほか、2−又は4−メチルピリジニオ、2,4−ジメチルピリジニオ、2−又は4−シアノピリジニオ、2−又は4−メトキシカルボニルピリジニオ、2−又は4−エトキシカルボニルピリジニオのような環置換ピリジニウム基が例示される。E1又はE2としては、優れた硬化速度が得られることから、ヨウ素原子又は硫黄原子が好ましい。
Zは前述のとおりであり、好ましくは鉄及び錫から選択される金属又はホウ素、アンチモン、ヒ素及びリンから成る群より選択されるメタロイドに、フッ素原子及び塩素原子から選択されるハロゲン原子、ハロゲン原子置換又は非置換フェニル基及びハロゲン原子置換又は非置換アルキル基から成る群より選択される4〜6の置換基が結合した対イオンであり、更に好ましくは、BF4、PF、(CFCFPF、(CFCFCFPF、AsF6、SbF6、(C654B、(CCFB、(CBF、CBF、(CB、FeCl、SnCl又はSbClである。これらの中でも、短時間の光照射によって優れた硬化性を示すことから、(CFCFPF、(CFCFCFPF、SbF6、B(C654又はPFが好ましい。
このような好ましいオニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム、フェニル(4−トリル)ヨードニウム、フェニル(4−クミル)ヨードニウム、フェニル(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジ(4−トリル)ヨードニウム、4−トリル(4−クミル)ヨードニウム、4−トリル(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジ(4−クミル)ヨードニウム、4−クミル(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムのようなジアリールヨードニウム;フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムのような置換アリール基含有ヨードニウム;フェニルベンジルヨードニウムのようなアラルキル基含有ヨードニウム;トリフェニルスルホニウム、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム、トリトリルスルホニウムのようなトリアリールスルホニウム;トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−エトキシフェニル)スルホニウム、トリス(アセトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムのような置換アリール基含有スルホニウム;メチル(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルスルホニウム、メチル(4−メトキシフェニル)−1−ナフチルメチルスルホニウムのようなベンジル構造含有スルホニウムなどの、ヘキサフルオロアンチモン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸塩、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩が例示され、安全性の見地から、ヘキサフルオロリン酸塩が好ましく、熱安定性の見地から、ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びジフェニル〔4−(フェニルチオ)フェニル〕スルホニウムトリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロホスファートが特に好ましい。
本発明は、上記(B)成分と(C)アミン化合物のエポキシアダクト、アミン化合物の尿素アダクト及びアミン化合物のエポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加させた化合物から成る群より選択される少なくとも1種の熱アニオン硬化剤とを併用することを特徴とする。これにより、活性エネルギー照射によって発生し、カチオン重合を進める活性カチオン種が失活せず、組成物が充分な光硬化性を示すことが可能となる。中でも、光硬化後の仮接着強度の点からアミン化合物のエポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加させた化合物が好ましい。なお、本発明において、「熱アニオン硬化剤」とは、熱により反応するアニオン重合硬化剤を意味する。
アミン化合物としては、エポキシ基と付加反応しうる活性水素を分子内に1個以上有するものであれば、特に限定されない。このようなアミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n−プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物;4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2−メチルアニリン等の芳香族アミン化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ドデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、2,4,5−トリメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾリン、2−メチルイミダゾリン、2−エチルイミダゾリン、2−イソプロピルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ベンジルイミダゾリン、2,4,5−トリメチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物が挙げられる。
エポキシアダクトは、アミン化合物とエポキシ化合物とを反応させることにより得ることができる。また、次いでエポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加反応させることにより、その立体障害から活性カチオン種を表面でブロックすることができる。
エポキシ化合物としては、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシへキサン、1,2−エポキシオクタン、スチレンオキシド、n−ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアセタート、グリシジルブチラート、グリシジルヘキソアート、グリシジルベンゾアート等が挙げられる。
イソシアナート化合物としては、フェニルイソシアナート、p−メチルフェニルイソシアナート、o−メチルフェニルイソシアナート、p−メトキシフェニルイソシアナート、2、4−ジメチルフェニルイソシアナート、o−クロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、メチルイソシアナート、エチルイソシアナート、プロピルイソシアナート、ブチルイソシアナート、ヘキシルイソシアナート等が挙げられる。
尿素アダクトは、アミン化合物とイソシアナート化合物又は尿素化合物とを反応させることにより得ることができる。アミン化合物及びイソシアナート化合物は、上記で例示したものが挙げられる。尿素化合物としては、尿素、チオ尿素等が挙げられる。
(C)成分は、特開昭61−268723号公報、特開昭59−59720号公報に記載されている方法でも製造することができる。また、エポキシアダクトは、例えばアミキュアMY−24、アミキュアPN−23(いずれも味の素ファインテクノ社製、商品名)等として入手可能であり、エポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加反応させたものは、マイクロカプセル化イミダゾールと呼ばれるものも含み、例えばノバキュアHX−3088、ノバキュアHX−3722(いずれも旭化成ケミカルズ社製、商品名)等として入手可能であり、尿素アダクトは、例えばフジキュアFXE−1000、フジキュアFXB−1050(いずれも富士化成工業社製、商品名)等として入手可能である。
本発明の組成物は、光硬化後の仮接着強度が十分であり、かつ最終硬化物においても望ましい接着強度が得られる点から、(A)成分100重量部に対して、(B)成分5〜25重量部であり、(C)成分5〜35重量部である。より好ましくは(B)成分10〜20重量部であり、(C)成分は、10〜30重量部である。
本発明の組成物は、さらに熱アニオン硬化剤の助剤として(D)フェノール樹脂を含有することが好ましい。(D)成分としては、フェノールノボラック樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格を含む)、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。これらには、フェノール部分がアルキル基やアリル基で置換されているものも含み、例えばクレゾールノボラック樹脂、アリル基で置換されたフェノールノボラック樹脂が挙げられる。フェノール部分が置換されているものが、硬化性向上の点から好ましい。
(D)成分は、(A)成分100重量部に対して、1〜80重量部であることが好ましく、より好ましくは1〜40重量部である。
例えば電子映像素子用シール剤のように、遮光性が求められる場合は、本発明の組成物にさらに、(E)着色剤を含有することができる。着色剤としては、カーボンブラック、鉄黒、黒色酸化鉛、Cr−Cu複合酸化物、Cu−Fe−Mn複合酸化物等の黒色顔料;チタン白、ベンガラ、鉄黄、コバルトブルー、クロムグリーン等の無機着色剤;クロモフタール系、キナクリドン系、フタロシアニン系、アゾ系等の有機着色剤が挙げられる。本発明の組成物は、カーボンブラック等の遮光性の成分を配合しても、光−熱併用型であるため、最終的に充分な硬化性が得られる。
(E)成分は、(A)成分100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量部である。
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、カップリング剤、難燃剤等の慣用成分を含有してもよく、また光硬化促進剤として(メタ)アクリラートモノマー、(メタ)アクリラートオリゴマーを含有してもよい。
本発明の組成物は、ニーダー、攪拌混合機、三本ロールミル等を用いて、各成分を均一に混合することによって調製することができる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線照射し、次いで加熱することによって硬化させることができる、潜在性硬化型の組成物である。活性エネルギー線は、γ線、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。光源としては、高圧水銀灯、メタルハライド灯、LED等を使用することができる。例えば、本発明の組成物は、(E)成分を含有しない場合には、直径14mm、高さ8mmのポリエチレン製等の円柱容器に組成物を満たし、上方から照度200mW/cmで10秒間、高圧水銀灯にて紫外線照射した硬化物が、付着した未硬化部分を除き、70μm以上の膜厚を示すといった、十分な硬化性を発揮する。
次いで、加熱により、完全に硬化させることができる。電子素子や電子部品にできる限り熱を加えないようにする点から、加熱の条件は、60〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。
本発明の組成物は、電子素子をパッケージに取り付けたり、電子部品を固定するために使用することができる。特に、活性エネルギー線照射により十分な接着性を発揮するため、CCD等の電子映像素子の取り付けといった厳密に所定の位置に接着することが要求される用途に好適である。
さらに、本発明の組成物によれば、硬化物のpHを中性付近から弱塩基性(pH6〜10)となることが期待でき、高温高湿下でも基板上の導体配線のマイグレーションの発生を防止し、良好な特性を発揮することも期待できる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。表示は、断りのない限り、重量部である。
表1に示す配合で、各成分をミキサーを用いて混合して、実施例及び比較例の試料を得た。各成分は、以下のとおりである。
ビスフェノールAエポキシ樹脂 エポキシ当量 165g/eq
ビスフェノールFエポキシ樹脂 エポキシ当量 160g/eq
ウレタンアクリレートオリゴマー 数平均分子量 13,500
ビスフェノールAエポキシ樹脂アクリル酸付加オリゴマー 数平均分子量 380
マイクロカプセル化イミダゾールA:旭化成ケミカルズ社製ノバキュアHX−3088(マイクロカプセル化イミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂が重量比で1:2の混合物。表1は混合物としての値)
マイクロカプセル化イミダゾールB:旭化成ケミカルズ社製ノバキュアHX−3722(マイクロカプセル化イミダゾールとビスフェノールA型エポキシ樹脂が重量比で1:2の混合物。表1は混合物としての値)
エポキシアダクトアミン:味の素ファインテクノ社製アミキュアMY−24
エポキシアダクトイミダゾール:味の素ファインテクノ社製アミキュアPN−23
フェノール樹脂:明和化成社製MEH−8005
Figure 0005227119
カーボンブラック:平均粒径80nm、比表面積(窒素吸着法)24m/g
得られた実施例及び比較例の試料について、以下の測定を行った。
(1)光硬化深度
武蔵エンジニアリング製UVシリンジ用ヘッドキャップ HC−10U−G(直径14mm、高さ8mm)に、実施例及び比較例の各試料を満たし、紫外線照射(高圧水銀灯、200mW/cm、10秒)を行った。硬化物を容器から取り出し、硬化物に付着した未硬化部分を取り除き、硬化部分の膜厚をダイヤルゲージを用いて測定した。結果を表2に示す。膜厚が大きい程、光による硬化性が良好であることを示す。一般に、着色剤を含有していない場合、70μm以上であることが望ましい。
(2)光硬化接着強度
実施例及び比較例の各試料をガラス片上に2mmφの大きさ、厚み約125μmで孔版印刷した。印刷した試料の上に2mm×2mmのSiチップを配置し、ガラスを介して紫外線照射(高圧水銀灯、200mW/cm、10秒)を行い、卓上万能試験機にてシェア強度を測定した。仮固定の強度としては、固定するものの重量に依存するが、概ね0.3kgf以上が好ましい。結果を表2に示す。
(3)加熱硬化接着強度
実施例及び比較例の各試料をガラス片上に2mmφの大きさ、厚み約125μmで孔版印刷した。印刷した試料の上に2mm×2mmのSiチップを配置し、ガラスを介して紫外線照射(高圧水銀灯、200mW/cm、10秒)を行った後、送風乾燥機又はホットプレートを用いて、表1に記載の条件で加熱硬化させ、卓上万能試験機にてシェア強度を測定した。接着強度としては、6.0kgf以上であることが好ましい。結果を表2に示す。
(4)破壊モード試験
上記(3)加熱硬化接着強度の測定後、破壊面を観察した。結果を表2に示す。
Si凝集破壊は、Siチップが崩壊状態となったことを示す。Si側界面剥離は、Siチップと試料の界面での剥離状態となったことを示す。Si凝集破壊が示された実施例は、加熱硬化接着強度がSiチップの破壊によるものであるため、本来の接着強度は測定値より高いといえる。
(5)硬化物に関するpH試験
清浄なユーピレックス上に実施例及び比較例の各試料を350±100μmの厚みで塗布し、上記(3)と同様の光照射、加熱条件で硬化させ、得られた硬化物を一辺が5mm程度に粉砕した。粉砕物2.5gにイオン交換水25gを加えてテフロン(登録商標)容器に入れ、121±2℃のプレッシャークッカー中で20時間置き、20±3℃まで冷却して得られた抽出液を試験液とした。この試験液を横河電機(株)製PHメーターPH81で測定した。結果を表2に示す。
(6)加熱減量試験
ガラス板上に実施例及び比較例の各試料を350±100μmの厚みで塗布し、上記(3)と同様の光照射条件にて仮硬化させ、さらに120℃で30分間熱硬化させた。その時点の重量を測定し、さらに250℃のホットプレートで1分間、加熱後の重量変化を測定した。重量変化が小さい程、低温での硬化性に優れていることを示す。結果を表2に示す。
光ラジカル重合開始剤と熱アニオン硬化剤との併用型である比較例1は、光硬化性が不十分であり、光ラジカル重合開始剤と熱カチオン硬化剤との併用型である比較例2及び光カチオン開始剤を使用した比較例3は、いずれも光硬化性が不十分であり、かつ加熱による接着強度も不十分である上に、硬化物の抽出水のpHは酸性を示した。一方、実施例1〜7の硬化物は、いずれも充分な光硬化性を示し、かつ加熱により高い接着強度を示した。さらに、実施例1によれば、硬化物の抽出水のpHは弱塩基性であった。
Figure 0005227119
Figure 0005227119
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本発明の組成物は、電子素子をパッケージに取り付けたり、電子部品を固定するために使用することができる。特に、活性エネルギー線照射により十分な接着性を発揮するため、CCD等の電子映像素子の取り付けといった厳密に所定の位置に接着することが要求される用途に好適である。

Claims (7)

  1. (A)エポキシ樹脂100重量部
    (B)光カチオン重合開始剤5〜25重量部、並びに
    (C)ミン化合物のエポキシアダクトの水酸基にイソシアナート化合物を付加させた化合物である、熱アニオン硬化剤5〜35重量部
    を含む、潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物。
  2. (B)成分が、スルホニウム塩及び/又はヨードニウム塩である、請求項1項記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物。
  3. さらに、(D)フェノール樹脂を含む、請求項1又は2記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物。
  4. 直径14mm、高さ8mmの円柱容器に充填し、上方から照度200mW/cmで10秒間の高圧水銀灯による紫外線照射により硬化させた後、硬化物を容器から取り出し、付着した未硬化部分を取り除き、次いで膜厚を測定した場合に、膜厚が70μm以上である、請求項1〜のいずれか1項記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物。
  5. さらに、(E)カーボンブラック、鉄黒、鉄黄、クロムグリーン及びフタロシアニンブルーから成る群より選ばれた1種以上の着色剤を含む、請求項1〜のいずれか1項記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物を用いて固定した電子部品。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載の潜在性硬化型エポキシ樹脂組成物を用いて電子映像素子を取り付けたパッケージ。
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