以下、本発明に係る部品供給装置の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1及び2に、本実施形態における部品供給装置1が示されている。該部品供給装置1は、部品Pを送り出すパーツフィーダ2と、該パーツフィーダ2から送り出された部品Pを次工程に供給するリニア式パーツフィーダ3と、パーツフィーダ2及びリニア式パーツフィーダ3を設置することができるステージ4とを備える。
ここで、部品供給装置1によって供給される部品Pは、図3に示すように、高さHよりも幅Bが大きく、更に幅Bよりも長さLが大きい直方体で、板状の微小部品Pである。この部品Pは、例えば半導体素子等のように、表面に電極P1が形成されたものを例示することができる。ここでは、長さ方向(長手方向)が搬送方向に向き、且つ、電極P1が上方側となっている姿勢を正規姿勢とする。尚、部品Pの各寸法としては、長さLが0.6mm〜4.5mm程度であり、幅Bが0.3mm〜3.2mm程度であり、高さHが0.2mm〜2.5mm程度を例示することができる。
パーツフィーダ2は、有底筒状の送出部21と、該送出部21を振動させ得る、例えば圧電式振動部等の送出用振動部22とを備える。送出部21には、図1に示すように、その内周に沿って螺旋状の送出溝211が形成されている。送出部21の底部中央に部品Pを投入して、送出用振動部22にて送出部21に振動を与えると、部品Pが送出溝211に沿って搬送され、該送出溝211から1つずつ順にリニア式パーツフィーダ3へ送り出される。
リニア式パーツフィーダ3は、ステージ4上に設置される防振台31と、該防振台31上に設置される搬送供給用振動部32と、該搬送供給用振動部32から与えられる振動によって、送出部21から送り出された部品Pを姿勢調整しつつ搬送方向に整列させて搬送する搬送部40と、搬送部40から搬送された部品Pの姿勢を保持しつつ、前記搬送供給用振動部32から与えられる振動によって該部品Pを搬送して次工程に供給する供給部50とを備える。
本実施形態では、部品供給装置1は、搬送部40による搬送途中に正規姿勢に姿勢調整されなかった部品Pが存在する場合、或いは、次工程においてトラブルなどが生じ、次工程に部品Pを供給しないようにする場合に、部品Pを、戻し部51に形成されている戻し溝52から送出部21に戻すことができる。
搬送部40は、図1及び4に示すように、送出部21の下流端部に接続可能な一端部40aから供給部50の上流端部に接続可能な他端部40bまで一纏りとなるように一体化して構成されている。本実施形態では、搬送部40は、送出部21の下流端部から供給部50の上流端部まで亘る一つの帯板部材で構成されている。よって、搬送部40は、一端部40aから他端部40bまで分割されていない。
尚、搬送部40は、上流側となる一端部40aが送出部21の下流端部に接続され、下流側となる他端部40bが供給部50の上流端部に接続されるように構成されている。また、搬送部40の上面部には、一端部40aから他端部40bに亘って水平な平坦部40cと、該平坦部40cに隣接して、搬送部40の幅方向外方側ほど下面側に傾斜した傾斜部40dとが形成されている。
より詳細に説明すると、搬送部40は、前記送出部21から送り出された部品Pを受け取って搬送する受部41と、該受部41により受け取られて搬送された部品Pの姿勢を整えつつ搬送する初期姿勢調整部42と、該初期姿勢調整部42により姿勢調整されて搬送された部品Pを、搬送方向に沿って整列させつつ搬送する第一整列部43と、該第一整列部43にて整列された部品Pの姿勢を整えつつ搬送する整列後姿勢調整部44と、該整列後姿勢調整部44により姿勢調整されて搬送された部品Pを、搬送方向に沿って整列させつつ搬送する第二整列部45と、該第二整列部45にて整列された部品Pの姿勢を保持しつつ搬送する保持部46とが、搬送方向上流側から下流側へ順に並んだ状態で一体化して構成されている。
また、搬送部40には、送出部21から送り出された部品Pを、その姿勢を正規姿勢に整えると共に搬送方向に整列させた状態で保持しつつ供給部50まで搬送するための搬送溝60が形成されている。換言すると、送出部21から送出された部品Pは、搬送部40に形成されている搬送溝60内に収容され、前記搬送供給用振動部32からの振動によって搬送溝60に沿って搬送部40の一端部40a側(上流側)から他端部40b側(下流側)へ搬送され、その搬送途中で、姿勢調整されると共に搬送方向に整列させられ、その姿勢が保持される。
この搬送溝60は、搬送部40の上面部に形成されている。具体的には、搬送溝60は、搬送部40の上面部に形成されている傾斜部40dに上方開口となるように形成されており、搬送部40の一端部40aから他端部40b全域に亘って形成されている。尚、搬送溝60は、搬送部40の傾斜部40dに溝を彫ることで得られる。
より詳細には、搬送溝60は、図4に示すように、前記受部41に設けられ、送出溝211から送出された部品Pを受け取って搬送するための受溝61と、前記初期姿勢調整部42に設けられ、受溝61により受け取られて搬送された部品Pの姿勢を整えつつ搬送するための初期姿勢調整溝62と、前記第一整列部43に設けられ、初期姿勢調整溝62により姿勢調整されて搬送された部品Pを搬送方向に沿って整列させつつ搬送するためのU型溝としての第一整列溝63と、前記整列後姿勢調整部44に設けられ、第一整列溝63にて整列された部品Pの姿勢を整えつつ搬送するためのV型溝としての整列後姿勢調整溝64と、前記第二整列部45に設けられ、整列後姿勢調整溝64により姿勢調整されて搬送された部品Pを搬送方向に沿って整列させつつ搬送するためのU型溝としての第二整列溝65と、前記保持部46に設けられ、第二整列溝65にて整列された部品Pの姿勢を保持しつつ搬送するためのV型溝としての保持溝66とが、搬送方向上流側から下流側へ順に並んで連続して搬送部40の一端部40aから他端部40bに亘る一体の溝として構成されている。
尚、詳細は後述するが、初期姿勢調整溝62と整列後姿勢調整溝64と保持溝66とは、部品Pの一稜線Aを支持可能な上方開口した断面略V字状の溝であり、第一整列溝63と第二整列溝65とは、部品Pの隣り合う平行な稜線A,Aを支持可能な上方開口した断面略U字状の溝である。そして、初期姿勢調整溝62及び第一整列溝63と、整列後姿勢調整溝64及び第二整列溝65とは、それぞれ、搬送方向上流側から下流側へ向けて断面略V字状の溝から断面略U字状の溝へ徐々に切換るVU切換部67を介して連続しており、第一整列溝63及び整列後姿勢調整溝64と、第二整列溝65及び保持溝66とは、それぞれ、搬送方向上流側から下流側へ向けて断面略U字状の溝(U型溝)から断面略V字状の溝(V型溝)へ徐々に切換るUV切換部68を介して連続している。従って、搬送溝60は、断面略U字状の溝と断面略V字状の溝とが搬送方向に沿って段差なく滑らかに交互に連続した溝となっている。これらに関する詳細な説明は後述する。
受溝61は、図5(a)乃至(c)に示すように、搬送方向上流側が上方開口した断面略U字状であり、下流側になるにつれて徐々に上方開口した断面略V字状となるように構成されている。具体的には、受溝61は、上方開口した断面略U字状のU受溝611を備え、該U受溝611の下流側に連続して上方開口した断面略V字状のV受溝612を備えてなる。
U受溝611は、図5(a)に示すように、その底面である受面6111が湾曲した曲面で構成されており、その幅方向中央部(底点611P)を通り受面6111に垂直な基準線611Cが上下方向に沿うように形成されている。即ち、前記基準線611Cは、搬送部40の傾斜部40dに対し、傾斜部40dの傾斜方向上方側に傾いている。
また、U受溝611は、搬送部40の長手方向に沿って形成されており、その上下方向の深さは、図6に示すように、搬送方向下流側(搬送部40の他端部40b側)ほど浅くなるように構成されている。本実施形態では、U受溝611の深さは、上流側から下流側に至る途中までは所定の勾配で、そこから下流側までは前記勾配よりも急な勾配で多段的に浅くなっている。尚、U受溝611の深さは、上流側から下流側に至るまで一定の勾配で浅くなるようにしてもよい。
尚、本実施形態では、U受溝611には、湾曲した曲面である緩衝面691を有すると共に基準線69CがU受溝611の基準線611Cに平行となるように形成される緩衝溝69が、前記傾斜部40dの傾斜方向上方側に併設されている。これにより、前記送出溝211から送出される部品PがU受溝611の側面に衝突して破損や損傷等するのを防止することができる。
また、V受溝612は、図5(c)に示すように、水平方向に対して所定角度傾斜した第一受斜面6121と、該第一受斜面6121の下端部に接続され、水平方向に対して第一受斜面6121の傾斜方向とは反対方向に傾斜して第一受斜面6121と共にV字形状をなす第二受斜面6122とを備えてなる。ここで、第一受斜面6121の傾斜方向は、搬送部40の傾斜部40dの傾斜方向と同じ方向である。このようにすることで、V受溝612上を搬送される部品Pを該V受溝612から飛び出したりしないように確実に支持することができる。このV受溝612は、第一受斜面6121と第二受斜面6122との交差部(V形状の尖端部、又は支持点612P)を通り上下方向に延びる直線を基準線612Cとする。また、V受溝612は、搬送部40の長手方向に沿うように形成されている。即ち、V受溝612はU受溝611と平行に形成されている。
尚、第二受斜面6122の水平面に対する傾斜角度は、第一受斜面6121の水平面に対する傾斜角度よりも大きい角度となっており、本実施形態では、第一受斜面6121の水平面に対する傾斜角度は35°であり、第二受斜面6122の水平面に対する傾斜角度は55°である。また、V受溝612の溝深さは、図6に示すように、ほぼ一定深さであり、U受溝611の上流側における溝深さ(U受溝611の最も深い部分の深さ)とほぼ同じ或いは若干浅くなっている。更に、V受溝612の溝幅は、U受溝611の溝幅よりも小さくなっており、従って、V受溝612はU受溝611によって覆われ得る。
尚、本実施形態では、第一受斜面6121に幅方向を沿わせて搬送される部品Pが第一受斜面6121の傾斜方向にガタつくのを規制するための受規制面6123が、V受溝612の第一受斜面6121の上端部から上方へ延設されている。
かかるU受溝611とV受溝612とは、U受溝611の基準線611CがV受溝612の基準線612Cに対して前記第一受斜面6121側に位置ずれし、且つ、U受溝611が上流側でV受溝612が下流側となるように連続している。要するに、受溝61は、U受溝611の深さが上流側から下流側へ次第に浅くなることでU受溝611からV受溝612へ徐々に切換るように構成されている。具体的には、受溝61は、上流端部ではU受溝611全体が形成されており(図5(a))、そこから下流側ほどU受溝611の深さが徐々に浅くなり、それに伴って、U受溝611の下方側で且つU受溝611の基準線611Cより前記傾斜部40dの傾斜方向下方側にV受溝612が次第に形成され(図5(b))、U受溝611が消滅した(U受溝611の深さがなくなった)時点でV受溝612全体が形成される(図5(c))ように構成されている。尚、U受溝611の基準線611CのV受溝612の基準線612Cに対する位置ずれ量は、適宜設定することができるが、U受溝611の基準線611Cが第一受斜面6121の略中央部を通る程度の位置ずれ量とするのが好ましい。
初期姿勢調整溝62は、その断面形状が前記V受溝612の断面形状と同じ形状である。具体的には、初期姿勢調整溝62は、図7(a)に示すように、その断面形状が上方開口した略V字状であり、水平方向に対して所定角度傾斜した第一初期斜面621と、該第一初期斜面621の下端部に接続され、水平方向に対して第一初期斜面621の傾斜方向とは反対方向に傾斜して第一初期斜面621と共にV字形状をなす第二初期斜面622とを備えてなる。ここで、第一初期斜面621の傾斜方向は、搬送部40の傾斜部40dの傾斜方向と同じ方向である。
この初期姿勢調整溝62は、第一初期斜面621と第二初期斜面622との交差部(V形状の尖端部、又は支持点62P)を通り上下方向に延びる直線を基準線62Cとする。また、初期姿勢調整溝62は、搬送部40の長手方向に沿うように形成されている。尚、第二初期斜面622の水平面に対する傾斜角度は、第一初期斜面621の水平面に対する傾斜角度よりも大きい角度となっており、本実施形態では、第一初期斜面621の水平面に対する傾斜角度は35°であり、第二初期斜面622の水平面に対する傾斜角度は55°である。
また、第二初期斜面622の下流側には、図7(b)に示すように、該第二初期斜面622の水平面に対する傾斜角度よりも小さい傾斜角度である第三初期斜面623が連続している。この第三初期斜面623は、第一初期斜面621の下端部に接続されており、水平方向に対して第一初期斜面621の傾斜方向とは反対方向に第一初期斜面621の傾斜角度と同じ角度で傾斜している。
尚、本実施形態では、搬送される部品Pが第一初期斜面621の傾斜方向にガタつくのを規制するための初期規制面624が、初期姿勢調整溝62の第一初期斜面621の上端部から上方へ延設されている。また、初期姿勢調整溝62には、搬送される部品Pの表裏の姿勢が正規姿勢でない、つまり、部品Pの電極P1が上方側となっていない場合に、その姿勢を表裏反転させる姿勢変換手段70が設けられている。具体的には、第一初期斜面621の第三初期斜面623よりも上流側の所定位置には、下方側から上方側へ向けてエアを噴出するためのエア噴出部が設けられている。
このエア噴出部によって、幅方向を第一初期斜面621の傾斜方向に沿わせて該第一初期斜面621上を搬送されている部品Pにエアを噴きつけると、当該部品Pは、支持点62Pを支点として表裏反転して第二初期斜面622に移り姿勢変換される。尚、部品Pの表裏方向の姿勢は、図1に示すように、各種センサーなどの姿勢検査手段80にて検査することができる。即ち、エア噴出部は、姿勢検査手段80の検査結果に基づいてエアを噴出する。
かかる初期姿勢調整溝62は、前記受溝61の下流側に連続している。具体的には、初期姿勢調整溝62は、その基準線62CとV受溝612の基準線612Cとが一致し且つ互いの支持点612P,62Pが一致した状態で、V受溝612の下流側に連続している。従って、第一受斜面6121及び第一初期斜面621と第二受斜面6122及び第二初期斜面622とは、それぞれ同一面となっており、初期姿勢調整溝62と受溝61とは、段差なく滑らかに直線状に連続している。
U型溝としての第一整列溝63は、図7(b)、(c)及び図8(a)、(b)に示すように、その断面形状が上方開口した略U字状であり、U形状の底面である第一整列面630が湾曲した曲面で構成されている。
第一整列溝63は、上流側から下流側へ徐々に溝深さが深くなる上流側第一溝631と、ほぼ一定の溝深さである主第一溝632と、上流側から下流側へ徐々に溝深さが浅くなる下流側第一溝633とを備える。尚、主第一溝632の溝深さは、初期姿勢調整溝62の溝深さとほぼ同じ或いは若干深くなっている。また、下流側第一溝633の溝深さは、上流側から下流側に至るまで一定の勾配で浅くなるのではなく、上流側から下流側に至る途中までは所定の勾配にて浅くなり、そこから下流側までは前記勾配よりも急な勾配にて浅くなっている。更に、上流側第一溝631、主第一溝632及び下流側第一溝633のそれぞれの溝幅は、互いに等しく、前記受溝61のU受溝611の溝幅と同等の幅である。従って、第一整列溝63は、初期姿勢調整溝62全体を覆うことが可能である。
上流側第一溝631は、図4、図7(b)、(c)及び図9に示すように、その幅方向中央部(底点631P)を通り上下方向に延びる基準線631Cが初期姿勢調整溝62の基準線62Cと一致した状態で、搬送部40の長手方向に沿って形成されている。よって、初期姿勢調整溝62と上流側第一溝631とは一直線状に連続している。主第一溝632は、図4、図7(c)、図8(a)及び図9に示すように、上流側第一溝631の下流側に連続して搬送部40の長手方向に対してその幅方向に傾いた方向に沿って形成されている。具体的には、主第一溝632は、下流側ほど前記傾斜部40dの傾斜方向上方側となるように形成されており、下流端部での基準線632C(下流端部において、幅方向中央部(底点632P)を通り上下方向に延びる直線)が上流端部での基準線632C(上流端部において、幅方向中央部(底点632P)を通り上下方向に延びる直線)よりも傾斜部40dの傾斜方向に対して上方側に位置ずれしている。下流側第一溝633は、図4、図8(a)、(b)及び図9に示すように、主第一溝632の下流側に連続して搬送部40の長手方向に沿って形成されている。よって、下流側第一溝633の基準線633C(幅方向中央部(底点633P)を通り上下方向に延びる直線)は、上流側第一溝631の基準線631Cよりも傾斜部40dの傾斜方向の上方側に位置ずれしている。
かかる第一整列溝63は、初期姿勢調整溝62の下流側にVU切換部67を介して連続している。具体的には、図4及び図7(a)乃至(c)に示すように、初期姿勢調整溝62と第一整列溝63とは、初期姿勢調整溝62の下流端部(具体的には、第三初期斜面623が形成されている部分)と第一整列溝63の上流側第一溝631とが重なってVU切換部67を形成しており、該VU切換部67において、上流側第一溝631が初期姿勢調整溝62に対して徐々に深くなって、断面V字状の初期姿勢調整溝62から断面U字状の第一整列溝63に切り換る。
V型溝としての整列後姿勢調整溝64は、図8(c)に示すように、その断面形状が上方開口した略V字状であり、水平方向に対して所定角度傾斜した第一斜面としての第一整列後斜面641と、該第一整列後斜面641の下端部に接続され、水平方向に対して第一整列後斜面641の傾斜方向とは反対方向に傾斜して第一整列後斜面641と共にV字形状をなす第二斜面としての第二整列後斜面642とを備えてなる。ここで、第一整列後斜面641の傾斜方向は、搬送部40の傾斜部40dの傾斜方向と同じ方向である。
この整列後姿勢調整溝64は、第一整列後斜面641と第二整列後斜面642との交差部(V形状の尖端部、又は支持点64P)を通り上下方向に延びる直線を基準線64Cとする。この基準線64Cの搬送部40幅方向の位置は、初期姿勢調整溝62の基準線62Cの搬送部40幅方向の位置と一致している。従って、初期姿勢調整溝62と整列後姿勢調整溝64とは、一直線上に並んでいる。また、整列後姿勢調整溝64は、搬送部40の長手方向に沿うように形成されている。
本実施形態では、第二整列後斜面642の水平面に対する傾斜角度θ2は、第一整列後斜面641の水平面に対する傾斜角度θ1よりも大きい角度となっており、具体的には、第一整列後斜面641の水平面に対する傾斜角度θ1は35°であり、第二整列後斜面642の水平面に対する傾斜角度θ2は55°である。また、第二整列後斜面642の下流側には、該第二整列後斜面642の水平面に対する傾斜角度θ2よりも小さい傾斜角度である第三整列後斜面643(図示しない)が連続している。この第三整列後斜面643は、第一整列後斜面641の下端部に接続されており、水平方向に対して第一整列後斜面641の傾斜方向とは反対方向に第一整列後斜面641の傾斜角度θ1と同じ角度で傾斜している。
尚、本実施形態では、搬送される部品Pが第一整列後斜面641の傾斜方向にガタつくのを規制するための整列後規制面644が、整列後姿勢調整溝64の第一整列後斜面641の上端部から上方へ延設されている。また、整列後姿勢調整溝64には、搬送される部品Pの表裏の姿勢が正規姿勢でない、つまり、部品Pの電極P1が上方側となっていない場合に、その姿勢を表裏反転させる姿勢変換手段70が設けられている。具体的には、第一整列後斜面641の第三整列後斜面643よりも上流側の所定位置には、下方側から上方側へ向けてエアを噴出するためのエア噴出部が設けられている。このエア噴出部によって、幅方向を第一整列後斜面641の傾斜方向に沿わせて該第一整列後斜面641上を搬送されている部品Pにエアを噴きつけると、当該部品Pは、支持点64Pを支点として表裏反転して第二整列後斜面642に移り姿勢変換される。尚、部品Pの表裏方向の姿勢は、図1に示すように、各種センサーなどの姿勢検査手段80にて検査することができる。即ち、エア噴出部は、姿勢検査手段80の検査結果に基づいてエアを噴出する。
かかる整列後姿勢調整溝64は、第一整列溝63の下流側にUV切換部68を介して連続している。具体的には、図4及び図8(a)乃至(c)に示すように、第一整列溝63と整列後姿勢調整溝64とは、下流側第一溝633と整列後姿勢調整溝64とが、下流側第一溝633の基準線633Cが整列後姿勢調整溝64の基準線64Cに対して前記第一整列後斜面641側に位置ずれした状態で重なってUV切換部68を形成しており、該UV切換部68において、下流側第一溝633が整列後姿勢調整溝64に対して徐々に浅くなって、断面U字状の下流側第一溝633(第一整列溝63)から断面V字状の整列後姿勢調整溝64に切り換る。尚、下流側第一溝633の基準線633Cと整列後姿勢調整溝64の基準線64Cとの位置ずれ量は、適宜設定することができるが、下流側第一溝633の基準線633Cが第一整列後斜面641の略中央部を通る程度の位置ずれ量とするのが好ましい。
尚、整列後姿勢調整溝64の下流側にVU切換部67を介して連続するU型溝としての第二整列溝65は、前記第一整列溝63と同様の構成であり、第二整列溝65の下流側にUV切換部68を介して連続するV型溝としての保持溝66は、前記整列後姿勢調整溝64と同様の構成であるので、その説明を省略する。
続いて、かかる部品供給装置1での部品Pの供給について説明する。まず、送出部21に投入された部品Pは、送出用振動部22からの振動によって、整列されながら送出溝211上を搬送され、該送出溝211から1つずつ搬送部40の搬送溝60へ送出される。
送出溝211から送り出された部品Pは、受部41の受溝61で受け取られ、搬送供給用振動部32からの振動によって受溝61上を下流側へ搬送される。具体的には、送出溝211から送り出された部品Pは、U受溝611の受面6111にて受け取られ、該受面6111上を搬送される。ここで、受面6111は、湾曲した曲面であるので、部品Pは、底面側の隣り合う平行な稜線A,Aが受面6111に当接して支持された平姿勢で受溝61上を搬送される(図5(a))。尚、送出溝211から送り出される部品PがU受溝611の側面側に飛び出した場合には、当該部品Pは緩衝溝69にて受け取られて緩衝面691に沿ってU受溝611に移動するので、部品Pが破損や損傷等するのを防止することができる。その後、部品Pは、U受溝611からV受溝612への切り換りに応じてU受溝611の受面6111からV受溝612の第一受斜面6121へ移動し(図5(b))、第一受斜面6121と第二受斜面6122と受規制面6123とによって、その姿勢が保持されると共にガタつきが抑制された状態で搬送される(図5(c))。このとき、部品Pは、一稜線Aが支持点612Pにて支持され、下面が第一受斜面6121に側面が第二受斜面6122にそれぞれ支持された斜め姿勢でV受溝612上を搬送される。
次に、部品Pは、V受溝612から初期姿勢調整部42の初期姿勢調整溝62に移って、該初期姿勢調整溝62上を斜め姿勢で搬送される。この搬送途中で、部品Pは姿勢検査手段80にて姿勢を検査され、その姿勢が電極P1が上方側となる正規姿勢でない場合には、エア噴出部が部品Pにエアを噴きつけ、該部品Pは支持点62Pを中心に姿勢が表裏反転させられ、下面が第二受斜面6122に側面が第一受斜面6121にそれぞれ支持される(図7(a))。
次に、部品Pは、初期姿勢調整溝62からVU切換部67を介して第一整列部43の第一整列溝63に搬送される。具体的には、まず、下面が第二受斜面6122に支持されている部品Pは、第二受斜面6122と第三受斜面とが接続しているところで、その下面の支持が第二受斜面6122から第三受斜面に代わり、下面が第一受斜面6121に支持されている部品Pの支持角度と同程度の支持角度で支持される。これにより、部品Pは、斜め姿勢から平姿勢へと円滑且つ確実に変化する。そして、斜め姿勢で初期姿勢調整溝62上を搬送される部品Pは、VU切換部67による初期姿勢調整溝62から第一整列溝63の上流側第一溝631への切り換りに応じて、第一初期斜面621又は第二初期斜面622から上流側第一溝631を経て主第一溝632の第一整列面630へ移動して平姿勢で搬送される(図7(a)乃至(c))。これにより、下面が第一受斜面6121に支持されている部品Pと、下面が第三受斜面に支持されている部品Pとは、第一整列面630上で搬送方向に一列に整列する。
次に、部品Pは、第一整列溝63からUV切換部68を介して整列後姿勢調整部44の整列後姿勢調整溝64に搬送される。具体的には、主第一溝632上を下流側第一溝633まで搬送されてきた部品Pは、UV切換部68による第一整列溝63から整列後姿勢調整溝64への切り換りに応じて、第一整列面630から下流側第一溝633を経て第一整列後斜面641へ移動して斜め姿勢で搬送される(図8(a)乃至(c))。
次に、部品Pは、整列後姿勢調整溝64上を斜め姿勢で搬送され、その搬送途中で姿勢検査手段80により姿勢検査の結果に基づいて姿勢が表裏反転(姿勢調整)され、その後、整列後姿勢調整溝64からVU切換部67を介して第二整列部45の第二整列溝65に搬送される。尚、整列後姿勢調整溝64上での部品Pの姿勢調整は、初期姿勢調整溝62上での部品Pの姿勢調整(図7(a))と同様であり、また、整列後姿勢調整溝64上を搬送される部品PのVU切換部67を介しての第二整列溝65への搬送については、初期姿勢調整溝62上を搬送される部品PのVU切換部67を介しての第一整列溝63への搬送(図7(a)乃至(c))と同様である。
次に、部品Pは、第二整列溝65上を平姿勢で一列に整列した状態で搬送され、第二整列溝65からUV切換部68を介して保持部46の保持溝66に搬送される。そして、保持溝66において、部品Pは、その姿勢が保持された状態で、供給部50の供給溝へ搬送される。尚、第二整列溝65上を搬送される部品PのUV切換部68を介しての保持溝66への搬送については、第一整列部43上を搬送される部品PのUV切換部68を介しての整列後姿勢調整溝64への搬送(図8(a)乃至(c))と同様である。
最後に、供給溝上を搬送される部品Pは、搬送供給振動部による振動によって、供給溝から次工程へ供給される。尚、正規姿勢となっていない部品Pについては、戻し部51の戻し溝52に搬送され、該戻し溝52上を搬送されて送り部へ戻される。
以上の構成の部品供給装置1にあっては、受部41と初期姿勢調整部42と第一整列部43と整列後姿勢調整部44と第二整列部45と保持部46とが、搬送部40を形成すべく一体化されており、該一体化された搬送部40に搬送溝60が形成されているので、搬送部40の取り付けや取り外しを容易に行うことができ、搬送溝60の位置合わせを特に必要としないこととすることができる結果、部品供給装置1の組立てやセッティング、メンテナンスなどの作業を簡単にすることができる。
また、第一整列溝63と整列後姿勢調整溝64との切換部であるUV切換部68が、第一整列溝63の深さを徐々に浅くすることで第一整列溝63から整列後姿勢調整溝64へ徐々に切換るように構成されているので、搬送溝60の溝深さを、下流側ほど深くすることなくほぼ一定の深さとすることができる。よって、搬送部40の厚さ等の溝深さ方向(上下方向)の寸法が大きくなるのを抑制することができ、従って、搬送溝60を形成するための加工を容易にすることができると共に大型化を抑制することができる。
更に、UV切換部68において、下流側第一溝633の基準線633Cを、整列後姿勢調整溝64の基準線64Cに対して、整列後姿勢調整溝64の第一整列後斜面641側に位置ずれさせているので、下流側第一溝633の深さが徐々に浅くなるに従って、下流側第一溝633の下方側で且つ下流側第一溝633の基準線633Cより前記傾斜部40dの傾斜方向下方側に整列後姿勢調整溝64が次第に形成されることとなり、従って、下流側第一溝633上を搬送される部品Pを、その幅方向が整列後姿勢調整溝64の第一整列後斜面641に沿った一律な姿勢で確実に搬送することができる。
また更に、整列後姿勢調整溝64の第二整列後斜面642の水平面に対する傾斜角度θ2が、第一整列後斜面641の水平面に対する傾斜角度θ1よりも大きい角度となっているので、整列後姿勢調整溝64にて搬送される部品Pの姿勢を確実に保持することができる。
尚、本実施形態では、部品Pを、初期姿勢調整溝62と第一整列溝63とで姿勢調整して搬送方向に整列させた後に、更に、整列後姿勢調整溝64と第二整列溝65とで姿勢調整して搬送方向に整列させる場合について説明したが、これに限らず、例えば、第一整列溝63の下流側にUV切換部68を介して保持溝66を連続させ、部品Pを、初期姿勢調整溝62と第一整列溝63とで姿勢調整して搬送方向に整列させた後に、該姿勢を保持して搬送する場合であってもよい。但し、部品Pを、初期姿勢調整溝62と第一整列溝63とで姿勢調整して搬送方向に整列させた後に、更に、整列後姿勢調整溝64と第二整列溝65とで姿勢調整して搬送方向に整列させることで、より確実に搬送される部品Pの姿勢を正規姿勢とすることができる。
また、本実施形態では、搬送溝60が搬送部40に一つだけ設けられている場合について説明したが、これに限らず、複数の搬送溝60を搬送部40に設けた場合であってもよい。或いは、搬送溝60がその途中で枝分かれしている場合であってもよい。
更に、本実施形態では、搬送部40が一つだけ設けられている場合について説明したが、これに限らず、例えば複数の搬送部40をその幅方向に併設した場合であってもよい。
また更に、本実施形態では、搬送部40が送出部21の下流端部から供給部50の上流端部まで亘る一つの部材に搬送溝60を形成してなる場合について説明したが、これに限らず、例えば、搬送部40は、送出部21の下流端部から供給部50の上流端部まで亘る一つの部材に搬送溝60を形成して複数に分割し、それらを一纏りとしたものとする場合であってもよい。
また、本実施形態では、搬送溝60が搬送部40に溝を掘って形成される場合について説明したが、これに限らず、搬送溝60は、複数の板部材を搬送溝60となる隙間を形成するように配置することにより形成することもできる。
1…部品供給装置、2…パーツフィーダ、3…リニア式パーツフィーダ、4…ステージ、21…送出部、22…送出用振動部、31…防振台、32…搬送供給用振動部、40…搬送部、40a…搬送部の一端部、40b…搬送部の他端部、40c…平坦部、40d…傾斜部、41…受部、42…初期姿勢調整部、43…第一整列部、44…整列後姿勢調整部、45…第二整列部、46…保持部、50…供給部、51…戻し部、52…戻し溝、60…搬送溝、61…受溝、62…初期姿勢調整溝、62C…初期姿勢調整溝の基準線、62P…初期姿勢調整溝の支持点、63…第一整列溝、64…整列後姿勢調整溝、64C…整列後姿勢調整の溝基準線、64P…整列後姿勢調整溝の支持点、65…第二整列溝、66…保持溝、67…VU切換部、68…UV切換部、69…緩衝溝、69C…緩衝溝の基準線、70…姿勢変換手段、80…姿勢検査手段、211…送出溝、611…U受溝、611C…U受溝の基準線、611P…U受溝の底点、612…V受溝、612C…V受溝の基準線、612P…V受溝の支持点、621…第一初期斜面、622…第二初期斜面、623…第三初期斜面、624…初期規制面、630…第一整列面、631…上流側第一溝、631C…上流側第一溝の基準線、631P…上流側第一溝の底点
632…主第一溝、632C…主第一溝の基準線、632P…主第一溝の底点
633…下流側第一溝、633C…下流側第一溝の基準線、633P…下流側第一溝の底点、641…第一整列後斜面、642…第二整列後斜面、643…第三整列後斜面、644…整列後規制面、691…緩衝面、6111…受面、6121…第一受斜面、6122…第二受斜面、6123…受規制面、A…稜線、P…部品、P1…電極、θ1…第一整列後斜面の傾斜角度、θ2…第二整列後斜面の傾斜角度