JP5223650B2 - クランクシャフト - Google Patents
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Description
また、一方で燃費向上を目的としたクランクシャフトの軽量化のため、前記ピン及びジャーナルに隣接して形成された肩部を削る方法が行われている。この場合、クランクシャフトの軸心を挟み、前記肩部と対向して位置するカウンタウェイトも削ることができるため、軽量化の効果は高くなる。
また、前記焼入れ時にトップ部の加熱出力をボトム部の加熱出力に比べて低く抑える構成とするには、設備コストの増加に繋がる。また、この構成のみでは、局所的に体積の小さい肩部の溶融は避けられない。このため、クランクシャフトの形状を調整することによって、マルテンサイト層の深さを均一にする構成が求められていた。
図1は本発明の第一実施形態に係るクランクシャフトを示した図である。
図2はクランクシャフトの肩部に係る第一実施例を示した拡大図である。
図3は肩部の幅Wと高さHとの関係を示した図である。
図4(a)はクランクシャフトの肩部に係る第二実施例を示した拡大図、(b)は同じく第三実施例を示した拡大図である。
図5は本発明の第二実施形態に係るクランクシャフトを示した図である。
まず始めに、本発明の第一実施形態に係るクランクシャフト10について、図1を用いて説明をする。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における右側を右側方、左側を左側方として説明する。
図1に示す如く、クランクシャフト10は直列4気筒エンジンに用いられるものであり、鍛造加工によって一体的に形成されている。そして、クランクシャフト10の軸心に沿って配列された五箇所のジャーナル31・31・・・と、該ジャーナル31・31・・・の左側、右側、又は、左右両側に隣接して四箇所ずつ連設された、アーム11・11・・・、及び、アーム12・12・・・と、互いに対向して配置された一対のアーム11とアーム12との間にそれぞれ架設された四箇所のピン21・21・・・と、を備えている。
本明細書では、前記アーム11・11・・・、及びアーム12・12・・・の左右幅が徐々に小さくなる部分を肩部とする。特に、前記ピン21・21・・・の左右両側を挟持する部分を肩部SP・SP・・・、前記ジャーナル31・31・・・の左右両側を挟持する部分を肩部SJ・SJ・・・とする。
なお、前記ピン21・21・・・、肩部SP・SP・・、及び、肩部SJ・SJ・・・・の個数は、本実施形態に限定されるものではない。即ち、クランクシャフトがn箇所のピン、及び、前記ピンと前記ジャーナルとを連結するアームに形成されるm箇所のカウンタウェイトを有する場合、前記肩部は、前記ピンの両側の2n箇所、及び、ジャーナルの両側のうちカウンタウェイトが形成されていない部分の(2n−m)箇所に形成されるのである。ただし、mは2nより小さい数である。
次に、本発明に係るクランクシャフト10における、肩部SP・SP・・・(以下、肩部SP)の第一実施例の形状について、図2を用いて説明する。なお、以下は肩部SPについて記載するものであるが、肩部SJ・SJ・・・の形状についても同様に構成されているため、肩部SJ・SJ・・・の説明は省略する。
また、W≦6且つH≦3のとき、クランクシャフト10の軽量化によって0.05%以上の燃費向上効果を得ることができることを明らかにした。
次に、クランクシャフト10の肩部SPに係る第二実施例及び第三実施例について、図4(a)、(b)を用いて説明をする。
第二実施例に係るクランクシャフトは、図4(a)に示すように、アーム111の肩部SPの上端点は、ピン121と、の間に形成されたフィレットR部121aの上端点P4と一致して形成されている。即ち、肩部SPの高さHは0となるため、前記の如く、上端点P4からクランクシャフトの軸心方向に向かって伸ばした直線と肩部SPの外周面との交点P5と、前記上端点P4との距離である幅Wが6mm以下となるように肩部SPを形成することにより、軽量化を実現することができ、さらに焼入れの際に前記肩部SPの溶融を防ぐことができるのである。
なお、アーム111の肩部SPの上端点が、ピン121と、の間に形成されたフィレットR部121aの上端点P4よりも少し高い位置にある場合は、肩部SPの高さHはH>0となるため、1.7mm<W≦6mmとなるように肩部SPを形成する必要がある。
また、このようにH<0の場合は前記の方法で幅Wを規定することができないため、例えば、前記ピン221の上端221bからクランクシャフト10の軸心方向に向かって伸ばした直線と前記肩部SPの外周面との交点P8における接線Tを引き、前記上端点P6からクランクシャフトの軸心方向に向かって伸ばした直線と前記接線Tとの交点を交点P9としたときの、該交点P9と前記上端点P6との距離を、幅Wとするのである。
上記のように、本実施例においては上端点P7が上端点P6よりも低い位置になるように肩部SPが形成されており、H<0となるため、前記幅Wが6mm以下となるように肩部SPを形成することにより、軽量化を実現することができ、さらに焼入れの際に前記肩部SPの溶融を防ぐことができるのである。
次に、本発明の第二実施形態に係るクランクシャフト50について、図5を用いて説明をする。なお、以下に説明する実施形態において、既出の実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
図5に示す如く、クランクシャフト50は、クランクシャフト50の軸心に沿って配列された五箇所のジャーナル31・31・・・と、該ジャーナル31・31・・・の左側、右側、又は、左右両側に隣接して八箇所に連設された、アーム11・11・・・と、互いに対向して配置された一対のアーム11・11の間にそれぞれ架設された四箇所のピン21・21・・・と、を備えている。
なお、前記ピン21・21・・・、肩部SP・SP・・の個数は、本実施形態に限定されるものではない。即ち、クランクシャフトがn箇所のピン、及び、前記ピンと前記ジャーナルとを連結するアームに形成される2n箇所のカウンタウェイトを有する場合、前記肩部は、前記ピンの両側の2n箇所に形成されるのである。
11 アーム
11a カウンタウェイト
12 アーム
21 ピン
21T トップ部
21B ボトム部
31 ジャーナル
SP 肩部
SJ 肩部
Claims (3)
- ピン又は/及びジャーナルに隣接して肩部が形成されたクランクシャフトであって、
前記肩部の高さHは、前記肩部と、前記ピン又は/及びジャーナルと、の間に形成されたフィレットR部の上端点を基準とした、前記肩部の上端点までの相対的な高度差であり、
前記肩部の幅Wは、H≧0の場合は、前記フィレットR部の上端点からクランクシャフトの軸心方向に向かって伸ばした直線と前記肩部の外周面との交点と、前記フィレットR部の上端点との距離であり、H<0の場合は、前記ピン又は/及びジャーナルの上端からクランクシャフトの軸心方向に向かって伸ばした直線と前記肩部の外周面との交点における接線を引き、前記フィレットR部の上端点からクランクシャフトの軸心方向に向かって伸ばした直線と前記接線との交点をとったときの、該交点と前記フィレットR部の上端点との距離であり、
前記肩部の、幅W及び高さHの寸法(mm)が、
W≦1.7、且つ、H≦0となるように規定される、
又は、1.7<W≦6、且つ、H≦1.74W−2.958、且つ、H≦3となるように規定される、
ことを特徴とする、クランクシャフト。 - 前記クランクシャフトがn箇所のピン、及び、前記ピンと前記ジャーナルとを連結するアームに形成されるm箇所のカウンタウェイトを有する場合、
前記肩部は、前記ピンの両側の2n箇所、及び、ジャーナルの両側のうちカウンタウェイトが形成されていない部分の(2n−m)箇所に形成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のクランクシャフト。 - 前記クランクシャフトがn箇所のピン、及び、前記ピンと前記ジャーナルとを連結するアームに形成される2n箇所のカウンタウェイトを有する場合、
前記肩部は、前記ピンの両側の2n箇所に形成される、
ことを特徴とする、請求項1に記載のクランクシャフト。
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