JP5223426B2 - 磁気特性に優れた表面処理鋼材及びその製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた表面処理鋼材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高けい素含有層を表面に有する磁気特性に優れた鉄鋼材料とその製造方法に関するものである。
鋼中のけい素は、鋼の強度を増す等の優れた特性を持つため、鉄鋼材料の添加元素として有益に用いられている。その中でも、特に、高けい素含有鋼は、電磁特性に優れるため、モーターやトランス等の電磁材料として幅広く用いられている。けい素の添加は、鋼の電気抵抗を高め、全鉄損を低下させる効果がある。したがって、高けい素含有鋼のけい素量が増えるほど鉄損が低減され、けい素量が6.5%で磁歪がゼロとなり、最大透磁率がピークとなり、理想的な電磁特性を示すことが従来から知られている。
現在、主に高けい素含有鋼板は圧延法によって製造されるが、加工性が悪いため、けい素量で3.5%程度までを含有する鋼板しか製造されていない。これは圧延時の加工で割れが入り、生産が難しいためである。これを克服するために、Siの成分比率を上げることなく磁気特性を高めるために、圧延方法を種々工夫する等の方法が提案されている(特許文献1)。一方で、圧延法に代わる種々の方法が提案されている。例えば、四塩化けい素ガス中で化学気相蒸着し、加熱拡散させることで高けい素含有鋼板を作る方法が提案されている(特許文献2、3)。この方法では圧延時に割れが入る恐れはない。また、蒸着法ではなく、溶融めっき法もしくは溶融塩電解法で、AlもしくはAl-Mnめっきを施し、電磁特性の優れた鋼板を製造する方法も提案されている(特許文献4、5)。この方法は、加工時の割れがなく、また、皮膜の成長速度も速く、経済的にも優れた方法と言える。
特開2005-256019号公報 特開昭62-227032号公報 特開昭62-227033号公報 特開平7-258863号公報 特許第2827890号公報 電気鍍金研究会編、めっき教本、137頁、日刊工業新聞社 (昭和61年)
しかしながら、例えば、特許文献1の方法は、本質的な解決方法ではなく、しかも経済的とは言えない。また、特許文献2、3の方法は、一般に、皮膜の成長速度が遅く、工業的に不可能ではないにせよ、経済的な方法とは考えられていない。特許文献4、5の溶融めっき法もしくは溶融塩電解法でAlもしくはAl-Mnめっきを施す方法は、けい素鋼板の特性と比べると、代替法としての限界が見られ、6.5%Si鋼と比べて劣ると言わざるを得ない。この方法を単純にけい素鋼板に適用することも考えられるが、溶融めっき法でけい素をめっきしようとすると、Alと比べて高いめっき浴温にしなくてはならず、また、けい素の酸化が激しく、実用的な方法とは言えない。
本発明は、上述の問題に鑑みて、特別な高温を必要とせず、かつ成膜速度の速い経済的な製造方法により、磁気特性に優れた表面処理鋼材を提供しようとするものである。
本発明者らは、代替元素によらずSi濃度の高い鉄鋼材料の製造技術に係り、種々の検討を行った。けい素は、前述のように融点が高く、酸化性も高く、また通常の水溶液からの電気めっきも不可能な元素である。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の(1)〜(7)を要旨とする発明に至った。これは、けい素を主成分とする金属微粒子を分散させた鉄系めっきを金属材料上に形成することで、優れた磁気特性を示す金属材料になることを見出したことによるものである。
(1) 質量%で、C:0.001%以上0.010%以下、Si:0.01%以上3.0%以下、Mn:1.5%以下、Al:0.001%以上3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材の少なくとも一部の表面に鉄族系金属を主成分とするSi含有金属層を有する表面処理鋼材であって、該Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度がSi:0.009%以上3.3%以下で、該Si含有金属層の最大Si含有量が、質量%で、3.5%超10%以下となる濃度勾配を有することを特徴とする磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(2) 質量%で、C:0.001%以上0.010%以下、Si:0.01%以上3.5%以下、Mn:1.5%以下、Al:0.001%以上3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材の少なくとも一部の表面に鉄族系金属を主成分とするSi含有金属層を有する表面処理鋼材であって、該Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度がSi:0.009%以上3.5%以下で、該Si含有金属層の最大Si含有量が、質量%で、3.5%超10%以下となる濃度勾配を有することを特徴とする磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(3) 前記Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度が母材Si含有量の±10%以内であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(4)鉄族系金属の含有量が50質量%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(5) 前記Si含有金属層が、質量%で、Al:0.01%超10.0%以下、Mn:0.01%超3.0%以下の少なくとも1種類を含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の磁気特性に優れた表面処理金属材。
(6) 前記Si含有金属層の厚さが、10μm以上200μm以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(7) 前記Si含有金属層が、被覆形成後、加熱拡散処理された皮膜であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
(8) Siを主成分とする微粒子とFe、Ni、Coの内少なくとも1種類の微粒子との混合物を溶射法によって、鉄鋼材料の少なくとも一部の表面にSi含有金属層を形成する方法であって、前記微粒子の混合割合を変化させることで前記Si含有金属層に濃度勾配を形成することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載された磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
(9) Fe2+、Ni2+、Co2+イオンの内の少なくとも1種類を含む水溶液中にSiを主成分とする微粒子を懸濁させためっき浴を用いて、鉄鋼材料の少なくとも一部の表面に、Si微粒子が分散したSi含有金属層を電気めっきで形成する方法であって、該めっき浴中のSi微粒子濃度を変化させることで前記Si含有層に濃度勾配を形成することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載された磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
(10) 前記Si含有金属層を形成後、さらに1000℃以上1200℃以下の温度で加熱拡散処理することを特徴とする(8)又は(9)に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
本発明によれば、磁気特性に優れた鋼材を圧延法や蒸着法によらずに、効率よく提供することができる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明で述べる鉄族系元素を主体とするSi含有金属層とは、鉄、ニッケル、コバルトの内、いずれか1種類もしくは2種類以上が合計の質量%で含有元素中最大であり、かつSiを所定の質量%含有する層のことである。電磁鋼板として利用する場合には、鉄、ニッケル、コバルトは電磁特性の優れた元素である。また、それらの合金とすることも構わないが、磁気特性を効果的に生じさせるためにはこれら3種類の元素を合計で50質量%以上含有することが望ましい。
次に、濃度勾配を有するSi含有金属層について説明する。この層は表面部分のSi濃度と鋼材との界面部分のSi濃度が異なっていて、内部のSi濃度が変化している、いわゆる傾斜構造を有している金属層のことである。Si濃度勾配のパターンは特に規定するものではないが、鋼材との密着性を高める観点から界面部分のSi濃度を母材Si含有量の±10%以内とし、表面方向に濃度が増加させることが望ましい。Si濃度の変化に伴い金属層の物性が変化するため、Si濃度の異なる層が接する不連続な界面が存在すると、この界面から剥離、割れ等が発生する恐れがあるが、Si濃度を連続的に変化させることにより、物性も連続的に変化、結果として剥離や割れが生じ難くなるためである。
次に、本発明に用いられるけい素を主成分とする微粒子について説明する。この微粒子は、不可避的に表面に存在する酸化物等はあるものの、それ以外は酸素、窒素等との化合物を形成していない元素からなる微粒子のことである。その元素が、本発明ではけい素を主成分とするものである。なお、「けい素を主成分とする」とは、微粒子中で、けい素が構成元素中で最大含有量を持つことであり、好ましくは50質量%以上を占めることをいう。
このような微粒子は、金属層中に最大でSi換算の質量%が3.5%超〜10%の範囲存在させなくてはならない。磁気特性、特に鉄損は、鋼中のけい素含有量が6.5%で最小となるが、その後、上昇に転じ、10%を越えるとSi含有量が3.5%のときの鉄損と変わらないか、劣るようになるため、10%超添加することは無意味である。3.5%以下のけい素含有量では、圧延法で製造が容易であり、本発明の効果が現れない。
Si含有金属層の厚さは10μm〜200μmの範囲とすることが好ましい。磁気特性を示すためには、Si含有金属層が10μm未満では効果が期待できないことが多い。密着性を確保する傾斜層の効果も10μm以下では発現しにくい。また、高Si含有鋼が優れた電磁特性を示す1kHz以上の高周波数域では、200μm超の厚みで効果が飽和するためである。最大Si濃度を持つ領域の厚さは全含有金属層厚さの10%〜80%の範囲にあることが望ましい。10%未満では効果を発現し難く、80%を超えると傾斜層の効果が下がり密着性に劣るためである。50%以下とすることでより安定した密着性がえられることから、10%〜50%の範囲がより好適である。
Si含有金属層中に存在するけい素の定量は、断面のEPMA分析等で可能である。けい素と酸素や窒素の分布を比較することで、化合物を形成していないけい素か酸化けい素等の化合物かを同定することもできる。また、圧延された鋼板とSi含有層の組織の違いから、Si含有金属層に存在するか鋼板に存在するかの識別も容易である。
このようなけい素を主体とする微粒子を含む金属層が鉄鋼材料の少なくとも一部の表面に存在することにより、磁気特性が向上するものである。
上記のSi含有金属層を、傾斜構造を壊さない範囲で、加熱処理することは、界面の密着性を高め、Si含有金属層の欠陥を除去することができるためより望ましいことである。この加熱処理は、表面に酸化層を形成させないため、不活性もしくは還元性雰囲気で行われることが好ましい。加熱温度は、1000℃以上であれば効率的に進めることが可能である。温度が高いほど効率が高まるが、経済性、汎用性から1200℃を上限とする。加熱時間は金属層の厚みにもよるが、傾斜構造を壊さない範囲であれば特に規定は無い。ただし、10分以下の処理で目的とする界面の密着性向上やSi含有金属層の欠陥除去は達成できる事から、経済性、生産性の観点から、加熱時間は10分以下とすることが望ましい。
基材となる鉄鋼材料は、組成が、質量%で、C:0.001%以上0.010%以下、Si:0.01%以上3.5%以下、Al:0.001%以上3.0%以下、Mn:1.5%以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鉄鋼材料、特に鋼材であれば、より良い磁気特性を示すことが期待できる。
Cは、鋼板の強度向上等に有効な元素であり、0.001%以上の添加が望ましいが、0.01%を超えると鉄損に悪影響を示す。
Siは、電気抵抗を上げ磁気特性に効果的であるため、0.1%以上の添加が望ましいが、3.5%を超えると加工性に劣る。Al等他の添加元素の影響も考慮すると安定した製造性・加工性を確保するためには3.0%以下がより好ましい。
Alも、Si同様磁気特性に有効な元素であり、0.001%以上の添加が望ましいが、鋼を鋳造する時や圧延時に悪影響を示すので、上限を3.0%とする。
Mnも、Si、Alと同様に電気抵抗を上げるために有効であるが、経済性の観点から上限を1.5%とした。
鉄鋼材料に施されるSi含有金属層の形成方法は、種々考えられるが、溶射法により形成するか、電気めっき法によりめっき中に分散させるのが好適である。
溶射法は、粉末もしくは線材状の物質を高温の溶射フレーム中に送給、溶融し、高速で吹き付けることで被膜を形成するプロセスであり、溶射フレームによって、フレーム溶射、プラズマ溶射、HVOF等、種々あるが、いずれの方法でも構わない。本発明のSi含有金属層を形成する場合には、Siを主成分とする微粒子と鉄族元素微粒子の混合粉を、もしくは微粒子を別々に溶射フレーム中へ送給し、溶融吹き付けることで目的とするSi含有金属層が形成できる。Siは線材とすることが難しいので、線材を利用することは不適当といえる。微粒子の送給量は、初期段階で実際の混合量を測定することで、目的とする濃度勾配に合った送給比率で溶射フレーム中に導入する。SiとFeの融点はいずれも1400℃以上で、大きく違わないが、比重が大きく違うので、送給には注意が必要である。
溶射法、めっき法、いずれの方法でも、Si微粒子の製造方法は特に規定しない。けい素もしくはけい素合金のインゴットを粉砕して分級する方法が、経済的かつ一般的である。微粒子のサイズは、Si含有層に存在させる場合には、Si含有層厚より小さいことが必要となる。磁気特性を示すためには小さいサイズの方が効果的で、直径10μm以下の粉末が50%以上(平均粒径が5μm程度を示す)を占めることが適当である。さらに望ましくは、直径5μm以下の粉末が50%以上を占めることである。
電気めっき法で形成する場合には、上記のけい素を主成分とする微粒子をめっき液中に懸濁させてめっき浴とする。鉄めっきの場合のめっき液成分は、例えば、非特許文献1に記載されるような、硫酸鉄もしくは塩化鉄を用いる通常の方法で構わない。目的によっては、鉄、ニッケル、コバルト以外の元素、例えば、亜鉛と鉄との合金めっき浴とすることも可能である。亜鉛は、耐食性等に寄与することが期待できる。懸濁させる微粒子の量は予め取り込まれる量を測定し、目的とする含有量の合った量を懸濁させる。粉末を効率よくめっき皮膜中に取り込むために、めっき液に界面活性剤を加えることは好ましい。しかし、界面活性剤を過度に加えると、めっきそのものの効率の低下や、鉄比率の高いめっき液の場合、表面性状の悪化等の問題を生じることもあるので、界面活性剤の添加量はめっき液1L当たり0.01g以上、5g以下にすることが望ましい。
上記のような、めっき液を用いて、金属材料に電気めっきする方法は、従来から行われている電気めっきの方法で構わない。Si含有量の制御は、めっき液中のSi微粒子量を変化させることによって達成されるため、めっき浴中のSi微粒子の濃度をめっき時間中に増加させる、もしくはSi濃度勾配に合っためっき浴を複数用意して順番にめっきすることで目的とする濃度勾配を持つSi含有金属層を得ることが可能である。
上記方法で、Si含有層を形成した後、加熱拡散処理することは、例えば、連続ライン中での、合金化炉のような加熱でも、めっき後のコイル毎に加熱するバッチ焼鈍でも構わない。冷却速度は特に規定しない。強度、加工性等求められる特性によって、任意の冷却速度を選ぶことが可能である。
AlやMnも磁気特性向上効果がある元素として知られており、上記Si金属層にAlを0.01質量%超10.0質量%以下、Mnを0.01質量%超3.0質量%以下の少なくとも1種類を含ませることにより、磁気特性の向上が可能である。金属層中Al及びMnの濃度勾配は特に規定しないが、鋼板中の成分と濃度が異なる場合は、好ましくは鋼板界面では鋼板成分と同等の濃度を有し、表面に向かって所定の濃度に変化していくことが望ましい。
AlやMnを含有させる手段として、溶射法の場合、Siを主成分とする微粒子と鉄族元素微粒子の混合粉にAlもしくはMnの微粒子を混合させても、Siもしくは鉄系元素とAlもしくはMnの合金粉を用いることで金属層を形成できる。電気めっき法の場合はAlもしくはMnの微粒子を分散させる、鉄系元素とMnの合金めっき浴にすることで形成が可能である。
このようにして製造された表面処理金属材料は、その後、周知の後処理、例えば、化成処理、絶縁被膜の形成等を行うことができる。
本発明の表面処理金属材は、無方向性電磁鋼板と同等、もしくはそれを凌ぐ特性を持つ材料としてモーター等に使用することができる。
(実施例1)
質量%で、C:0.015%、Si:0.05%、Mn:0.2%、Al:0.03%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる板厚0.1mmの冷間圧延鋼板を用いて、これを脱脂、酸洗後、下記に示すめっき条件での電気めっき法により、Si微粒子分散Feめっきを冷間圧延鋼板の表面に施した。
<めっき条件>
陽極:SS400
浴組成:FeSO4・7H2O 250g/L FeCl2・4H2O 35g/L NH4Cl 20g/L
(pHを3.0〜3.5に調整) 界面活性剤(第一製薬工業製;シャロールDC-902P)0.05g/L
添加微粒子:Si微粒子(純度:99.8%、平均粒径0.8μm)
微粒子添加量は、当初1g/Lの液を使用し、徐々に微粒子を添加していき、めっき終了時に25〜50g/Lになるようにした。
めっき浴温:35℃
電流密度: 5A/dm2〜50A/dm2
通電時間:3〜600sec
浴の攪拌:板速度が60m/minに相当するように攪拌
上記条件で電気めっきすることにより、Si微粒子を分散させたFeめっきを形成した。めっき厚は、電流密度もしくは通電時間で制御した。Si濃度の変化状況は、断面をEPMAによって測定することで、全ての鋼材のSi濃度が基材濃度から所定とする最大濃度に連続的に変化していることを確認した。めっき後の鋼板を、JIS-C-2550(2000)に示された方法で、1kg当りの鉄損(W1/10k)を測定した。
密着性は1T曲げ試験を行い、剥離の有無によって判定した。
◎:剥離なし、
○:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の5%未満、
△:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%未満、
×:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%以上
表1に示すNo.12〜No.16は、Si含有金属層形成後、N2-10%H2雰囲気で1200℃、5分間加熱処理を行い、その後、上記特性評価した。
Figure 0005223426
結果を表1に示す。これより、本発明に従って、めっき皮膜を形成することで鉄損が大幅に下がり、優れた電磁特性を示す電磁鋼板が製造できることが分かる。
(実施例2)
質量%で、C:0.015%、Si:0.05%、Mn:0.2%、Al:0.03%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる板厚0.8mmの冷間圧延鋼板を用いて、これを脱脂、酸洗後、下記に示す溶射条件での減圧プラズマ溶射法により、Si含有Fe層を冷間圧延鋼板の表面に施した。
<溶射条件>
溶射条件:
入力電力=80kW、プラズマガス流量;Ar=120L/min,He=45L/min、粒子送給用ガス=Ar;15L/min、雰囲気圧力=10kPa、溶射距離=400mm
溶射粉末:
Si微粒子(純度:99.8%、平均粒径5.0μm、粉砕粉)、Fe微粒子(純度:99.0%、平均粒径5.0μm、ガスアトマイズ粉)
溶射方法:
プラズマアーク中を鋼板が往復することで溶射被膜を形成した。最初、Fe粒子のみを溶射し、徐々にSi粒子を目的とする濃度になるまで添加することで厚さ方向にSi濃度が変化したSi含有層を形成した。
上記条件で減圧プラズマ溶射することにより、Siを含有した金属層を形成した。Si含有金属層厚は、溶射時間で制御した。Si濃度の変化状況は断面をEPMAによって測定することで、全ての鋼材のSi濃度が基材濃度から所定とする最大濃度に連続的に変化していることを確認した。めっき後の鋼板を、JIS-C-2550(2000)に示された方法で、1kg当りの鉄損(W1/10k)を測定した。
密着性は1T曲げ試験を行い剥離の有無によって判定した。
◎:剥離なし、
○:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の5%未満、
△:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%未満、
×:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%以上
表2に示すNo.33〜No.39は、その後、N2-10%H2雰囲気で1200℃、10分間加熱処理を行い、その後、上記特性評価した。
Figure 0005223426
結果を表2に示す。これより、本発明に従って、溶射皮膜を形成することで鉄損が大幅に下がり、優れた電磁特性を示す電磁鋼板が製造できることが分かる。
(実施例3)
質量%で、C:0.015%、Si:0.05%、Mn:0.2%、Al:0.03%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる板厚0.8mmの冷間圧延鋼板を用いて、これを脱脂、酸洗後、下記に示す溶射条件での減圧プラズマ溶射法により、Si含有Fe層を冷間圧延鋼板の表面に施した。
<溶射条件>
溶射条件:
入力電力=80kW、プラズマガス流量;Ar=120L/min,He=45L/min、粒子送給用ガス=Ar;15L/min、雰囲気圧力=10kPa、溶射距離=400mm
溶射粉末:
Si微粒子(純度:99.8%、平均粒径5.0μm、粉砕粉)、Fe微粒子(純度:99.0%、平均粒径5.0μm、ガスアトマイズ粉)、Al微粒子(純度:99.0%、平均粒径10.0μm、ガスアトマイズ粉)、MnSi合金微粒子(純度:95.0%、平均粒径5.0μm、粉砕粉)
溶射方法:
プラズマアーク中を鋼板が往復することで溶射被膜を形成した。最初、Fe粒子のみを溶射し、徐々にSi粒子とAl粒子、またはMnSi粒子を目的とする濃度になるまで添加することで厚さ方向にSi、Al、Mn濃度が変化したSi含有層を形成した。なお、Siの最小濃度は0.05%にした。溶射厚は30μmとした。
上記条件で減圧プラズマ溶射することにより、Si、Al、Mnを含有した金属層を形成した。Si含有金属層厚は、溶射時間で制御した。Si、Al、Mn濃度の変化状況は断面をEPMAによって測定することで、全ての鋼材のSi、Al、Mn濃度が基材濃度から所定とする最大濃度に連続的に変化していることを確認した。めっき後の鋼板を、JIS-C-2550(2000)に示された方法で、1kg当りの鉄損(W1/10k)を測定した。
密着性は1T曲げ試験を行い剥離の有無によって判定した。
◎:剥離なし、
○:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の5%未満、
△:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%未満、
×:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%以上
Figure 0005223426
結果を表3に示す。これより、本発明に従って、溶射皮膜を形成することで鉄損が大幅に下がり、優れた電磁特性を示す電磁鋼板が製造できることが分かる。
(実施例4)
質量%で、C:0.015%、Si:3.5%、Mn:0.2%、Al:0.03%を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる板厚0.8mmの冷間圧延鋼板を用いて、これを脱脂、酸洗後、下記に示す溶射条件での減圧プラズマ溶射法により、Si含有Fe層を冷間圧延鋼板の表面に施した。
<溶射条件>
溶射条件:
入力電力=80kW、プラズマガス流量;Ar=120L/min,He=45L/min、粒子送給用ガス=Ar;15L/min、雰囲気圧力=10kPa、溶射距離=400mm
溶射粉末:
Si微粒子(純度:99.8%、平均粒径5.0μm、粉砕粉)、Fe微粒子(純度:99.0%、平均粒径5.0μm、ガスアトマイズ粉)
溶射方法:
プラズマアーク中を鋼板が往復することで溶射被膜を形成した。最初、Fe粒子のみを溶射し、徐々にSi粒子を目的とする濃度になるまで添加することで厚さ方向にSi濃度が変化したSi含有層を形成した。
上記条件で減圧プラズマ溶射することにより、Siを含有した金属層を形成した。Si含有金属層厚は、溶射時間で制御した。Si濃度の変化状況は断面をEPMAによって測定することで、全ての鋼材のSi濃度が基材濃度から所定とする最大濃度に連続的に変化していることを確認した。めっき後の鋼板を、JIS-C-2550(2000)に示された方法で、1kg当りの鉄損(W1/10k)を測定した。
密着性は1T曲げ試験を行い剥離の有無によって判定した。
◎:剥離なし、
○:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の5%未満、
△:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%未満、
×:剥離があり、剥離面積が曲げた部分の20%以上
表4に示すNo.65〜No.67は、その後、N2-10%H2雰囲気で1200℃、10分間加熱処理を行い、その後、上記特性評価した。
Figure 0005223426
結果を表4に示す。これより、本発明に従って、溶射皮膜を形成することで鉄損が大幅に下がり、優れた電磁特性を示す電磁鋼板が製造できることが分かる。

Claims (10)

  1. 質量%で、C:0.001%以上0.010%以下、Si:0.01%以上3.0%以下、Mn:1.5%以下、Al:0.001%以上3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材の少なくとも一部の表面に鉄族系金属を主成分とするSi含有金属層を有する表面処理鋼材であって、該Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度がSi:0.009%以上3.3%以下、該Si含有金属層の最大Si含有量が質量%で、3.5%超10%以下となる濃度勾配を有することを特徴とする磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  2. 質量%で、C:0.001%以上0.010%以下、Si:0.01%以上3.5%以下、Mn:1.5%以下、Al:0.001%以上3.0%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材の少なくとも一部の表面に鉄族系金属を主成分とするSi含有金属層を有する表面処理鋼材であって、該Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度がSi:0.009%以上3.5%以下、該Si含有金属層の最大Si含有量が質量%で3.5%超10%以下となる濃度勾配を有することを特徴とする磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  3. 前記Si含有金属層の鋼材との界面部分のSi濃度が母材Si含有量の±10%以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  4. 前記鉄族系金属の含有量が50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  5. 前記Si含有金属層が、質量%で、Al:0.01%超10.0%以下、Mn:0.01%超3.0%以下の少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気特性に優れた表面処理金属材。
  6. 前記Si含有金属層の厚さが、10μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  7. 前記Si含有金属層が、被覆形成後、加熱拡散処理された皮膜であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材。
  8. Siを主成分とする微粒子とFe、Ni、Coの内少なくとも1種類の微粒子との混合物を溶射法によって、鉄鋼材料の少なくとも一部の表面にSi含有金属層を形成する方法であって、前記微粒子の混合割合を変化させることで前記Si含有金属層に濃度勾配を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載された磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
  9. Fe2+、Ni2+、Co2+イオンの内の少なくとも1種類を含む水溶液中にSiを主成分とする微粒子を懸濁させためっき浴を用いて、鉄鋼材料の少なくとも一部の表面に、Si微粒子が分散したSi含有金属層を電気めっきで形成する方法であって、該めっき浴中のSi微粒子濃度を変化させることで前記Si含有層に濃度勾配を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載された磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
  10. 前記Si含有金属層を形成後、さらに1000℃以上1200℃以下の温度で加熱拡散処理することを特徴とする請求項8又は9に記載の磁気特性に優れた表面処理鋼材の製造方法。
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