JP5221966B2 - 回転電機用コイルアッセンブリ、回転電機用ステータ、及び回転電機 - Google Patents
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Description
ゆえに、コアレスタイプの回転電機は、サーボ用途等の可変速ドライブに利用されている。
特に、小型偏平モータ用のステータコイルは、薄型・小型化のためにパターンコイルによって構成されるが(例えば、特許文献1)、例えば数10kW以上の大出力用モータのステータコイルとして用いようとすると、導体抵抗を小さくすることができないため、大電流を流すことができず、充分な出力の向上を図ることができない。
また、本発明は、コイル表面に熱伝導率の高い金属部材を近接または密着させることで、伝熱性能を向上させて冷却性能の向上を図ることを第2の課題とする。
また、磁束伝達部材を備えたことで、磁束は磁束伝達部材を通ってロータに伝達される。このため、導体を厚くしても磁気エアギャップを低減することができ、有効磁束量を増大させて、トルク特性を向上させることができる。さらに、磁束伝達部材を介して磁束を伝えることができるため、直接導体と鎖交する磁束が減少し、導体に生じる渦電流損を著しく低減することができる。また、導体に形成された磁束伝達部材スロットに磁束伝達部材を挿入し、樹脂モールド等で一体化することで、コイルの剛性を向上させることができる。
また、熱伝達部材をコイルの表面に密着して設けたことで、コイルが発生する熱を効率よく伝達することができ、冷却性能を向上することができる。
また、磁束伝達部材と熱伝達部材とを備えたことで、磁束は磁束伝達部材を通して伝達し、コイルで発生する熱は熱伝達部材を通して伝達することができるため、それぞれの部材に要求される特性に適合した材質を選択することが可能となる。
また、磁束伝達部材を熱伝達部材の表面から突出させて、磁束伝達部材からロータまでの距離を熱伝達部材からロータまでの距離よりも短くすることで、磁束が熱伝達部材を通らずに、磁束伝達部材を通ってロータに伝達されるようにすることができる。このため、熱伝達部材を通る磁束を低減することができ、渦電流の発生を抑制することができる。
また、熱伝達部材に流れる誘導電流を遮断する誘導電流遮断スリットを備えたことで、誘導電流の発生による損失を低減することができる。
また、磁束伝達部材と熱伝達部材とを備えたことで、磁束は磁束伝達部材を通して伝達し、コイルで発生する熱は熱伝達部材を通して伝達することができるため、それぞれの部材に要求される特性に適合した材質を選択することが可能となる。
かかる構成によれば、磁束が熱伝達部材を通らずに、透磁率の高い磁束伝達部材を通ってロータに伝達されるようにすることができる。このため、熱伝達部材を通る磁束を低減することができ、渦電流の発生を抑制することができる。
かかる構成によれば、コイルセグメントの周縁部に隣接するように冷却流路を備えたことで、ステータの厚みを増大させることなく、コイルで発生する熱を効率よく速やかに下げることができる。
また、絶縁部材は、前記熱伝達部材で伝達される熱を前記冷却流路の方向に伝達するように配置されていることで、熱伝達効率を高めて、コイルで発生する熱をより効率よく速やかに下げることができる。
かかる構成によれば、磁束伝達部材と熱伝導率の良好な導電性材料(例えば、銅、アルミニウム、及びそれらの合金等)からなる熱伝達部材とを備えたことで、良好な冷却効率を確保しながら、磁束は磁束伝達部材を通して伝達し、コイルで発生する熱は熱伝達部材を通して効率よく伝達することができる。
また、第2に、損失を抑制しながら、かつ、コイルの冷却性能の向上を図ることができる。
図4は第1のコイルプレートと第2のコイルプレート重ね方を説明するための平面図であり、(a)は重ねる前の状態を示し、(b)は重ねた状態を示す。図5はコイルの断面図であり、(a)は磁束伝達部材を挿入しない状態を示し、(b)は磁束伝達部材と熱伝達部材を備えた状態を示す。図6(a)はコイルの平面図であり、(b)は仮想的にU相コイルループを取り出した状態を示す平面図である。
図7はU相コイルループにおける電流の流れを説明するために円周方向を横長に表示した模式図であり、(a)は第1のコイルプレートループの流れを示し、(b)は第2のコイルプレートループの流れを示す。
モータ100は、軸方向の長さを小さくしたアキシャルディスク型モータであり、例えば車両のホイール内に収納されるインホイールモータ等に好適に適用される。
回転電機用コイルアッセンブリであるコイルアッセンブリ8は、図3(b)に示すように、コイル5と、磁束伝達部材53と、を備えて構成されている。
具体的には、コイルセグメント3aは、外周縁側から径方向に形成された接合部3a1と、斜め方向に形成された傾斜部3a2と、径方向に形成された中央直線部3a3と、斜め方向に形成された傾斜部3a4と、内周縁に径方向に形成された接合部3a5と、からなる導体パターンを備えている。
また、磁束伝達部材スロット32は、スリット31の一部を幅広に形成して構成され、コイルセグメント3aの中央直線部3a3に隣接する位置に設けられている。そして、磁束伝達部材スロット32は、磁束伝達部材53を安定して保持できるように、磁束伝達部材53の形状に適合した溝(スロット)で構成されている。なお、磁束伝達部材53の形状として、矩形形状、扇形状など種々の形状を採用することができる。
しかし、第2のコイルプレート4のコイルセグメント4aは、第1のコイルプレート3のコイルセグメント3aに対して左右対称になるように、外周縁から内周縁にかけて図上、右上から左下へ向かって折れ線状にパターン形成されている。
具体的には、コイルセグメント4aは、第1のコイルプレート3と同様に、外周縁側から径方向に形成された接合部4a1と、斜め方向に形成された傾斜部4a2と、径方向に形成された中央直線部4a3と、斜め方向に形成された傾斜部4a4と、内周縁に径方向に形成された接合部4a5と、からなる導体パターンを備えている。
また、磁束伝達部材スロット42は、スリット41の一部を幅広に形成して構成され、コイルセグメント4aの中央直線部4a3に隣接する位置に設けられている。
具体的には、第1のコイルプレート3のコイルセグメント3aと第2のコイルプレート4のコイルセグメント4aは、図5(a)に示すように、外周縁側の接合部3a1,4a1と内周縁側の接合部3a5,4a5で接合されて、中央直線部3a3,4a3にはスペース54が設けられている。
第1のコイルプレート3および第2のコイルプレート4の配線パターンは、エッチングにより形成されている。すなわち、第1のコイルプレート3は、厚み0.1mmの銅板にエッチング処理を施して配線パターンを設けたコイルプレート基礎部材を形成し、これを37枚重ねて拡散接合により一体化して3.7mm厚にしたものである。第2のコイルプレート4においても同様である。
コイル5は、さらに拡散接合により、それぞれ一体化された第1のコイルプレート3と第2のコイルプレート4とを積層して製作したものである。
以下、3相のコイルループCU,CV,CWのうち1相を仮想的に取り出したU相コイルループCU(図6(b))について説明し、他の相の説明は省略する。
第1のコイルプレートループCU1および第2のコイルプレートループCU2は、それぞれのコイルループを構成するターン部T1,T2が交互に連続するように折り重なって配置されている。
すなわち、第1のコイルプレートループCU1では、内周縁側のターン部T1から外周縁側のターン部T1、そしてさらに内周縁側のターン部T1というように螺旋状にターン部T1でターンしながら一周して環状のコイルループを形成する。同様に、第2のコイルプレートループCU2では、内周縁側のターン部T2から外周縁側のターン部T2、そしてさらに内周縁側のターン部T2というように螺旋状にターン部T2でターンしながら一周して環状のコイルループを形成する。
第1のコイルプレートループCU1は、図7(a)に示すように、内周縁側の給電端子A1から電流Iが通電されると、時計回り(矢印R方向)に外周縁側のターン部T1から内周縁側のターン部T1のように螺旋状に流れながら第1のコイルプレートループCU1を一周して給電端子A1の隣のターン部T1aまで到達し、もう一度時計回りに第1のコイルプレートループCU1を一周してさらに隣のターン部T1b,T1cまで次々に第1のコイルプレートループCU1を合計4周して、出力端子A2から電流Iが出力される。
熱伝達部材6は、図8(a)に示すように、内周縁部が周方向に連続し外周縁部から内周縁部まで延びるように形成された誘導電流遮断スリットであるスリット61を備えた櫛歯形状をなしている。また、熱伝達部材6は、コイル5の表面に接着等により密着して設けられている。
また、磁束伝達部材53と熱伝達部材6とを備えたことで、磁束は透磁率の高い磁束伝達部材53を通して伝達し、コイル5で発生する熱は熱伝達部材6を通して伝達することができるため、それぞれの部材に要求される特性に適合した材質を選択することが可能となる。
このため、熱伝達部材6を通る磁束を低減することができ、熱伝達部材6に熱伝導率の良好な導電性材料(例えば、銅、アルミニウム、及びそれらの合金等)を使用しても渦電流の発生を抑制することができる。
この誘導電流i1,i2が流れると熱伝達部材6が損失を生じて発熱し、トルク特性の低下を招くため、スリット61は、熱伝達部材6に流れる誘導電流i1,i2の流れを遮断するように形成されている。
すなわち、図4(a)では、熱伝達部材6の外周縁部側を流れる誘導電流i1,i2を遮断するようにスリット61を外周縁部から内周縁部まで延びるように磁束伝達部材53の方向に沿って形成されている。そして、各スリット61内に磁束伝達部材53が収容され、各磁束伝達部材がそれぞれ隔離されている。
また、誘導電流遮断スリットであるスリット61′は、図8(b)に示すように、外周側から内周縁部まで、そして内周側から外周縁部までのように交互に形成して熱伝達部材6′が波型に連続するようにしてもよい。
要するに、誘導電流遮断スリットは、極(N,S)が移動しながら熱伝達部材6,6′に流れる誘導電流i1,i2を遮断することができるように形成されていればよい。
要するに、磁束が熱伝達部材6を通らずに、磁束伝達部材53を通ってロータ120に伝達されるように構成し、かかる構成は、磁束伝達部材53からロータ120(図1)までの距離と熱伝達部材6からマグネット121までの距離との関係、および磁束伝達部材53と熱伝達部材6の透磁率の関係を総合的に考慮して実現される。
このため、熱伝達部材6は、図示しない絶縁部材を介してコイル5の表面に密着されていることが望ましい。かかる構成によれば、熱伝達部材6で伝達される熱をウォータジャケット22内に流通する冷却流路の方向に効果的に伝達することができる。また、コイル5と熱伝達部材6が絶縁されることで、熱伝達部材6をコイル5の表面に密着させることができ、熱伝達部材6の導電性の有無に因らずそれぞれの部材に要求される特性に適合した材質を選択することが可能となる。絶縁部材は絶縁シートのみでも良いが、グラファイトシートと絶縁シートの複層品にし、絶縁シートをコイル側に設ける事で、熱を特定方向に伝達しやすい性質を有し、熱伝達部材6と共にコイル5が発生する熱をウォータジャケット22の方向に伝達する。
参照する図において、図9は磁束伝達部材を通って磁束が伝達される様子を示す斜視図であり、図10は磁束伝達部材と磁気エアギャップとの関係を説明するための平面断面図である。図11は磁束伝達部材による無負荷損失の低減効果を示すグラフであり、図12は磁束伝達部材による有効磁束量の増大する割合を示すグラフである。図13は磁束伝達部材の突き出し量と渦電流損失の関係を示すグラフである。
そして、各相のコイルセグメント3a,4aにおける中央直線部3a3,4a3では電流Iは同じ方向(外周方向または内周方向)に流れて、電流Iによる磁束の向きも一致し、磁界が相互に強めあうように合成される。
具体的には、磁束伝達部材53を挟んで逆極(N極とS極)が対向するようにマグネット121,121を配置すると、マグネット121,121は厚さ方向に磁化されるため、磁束は図示左側のマグネット121から右側のマグネット121を通って、図示しない隣のマグネットに渡り磁束ループを形成する。
このため、コイルセグメント3a,4aの厚みt1を厚くすることで磁気エアギャップδが大きくなってもそれ以上に磁束伝達部材53の長さLを長くすれば、実質的な磁気エアギャップ(δ−L)を低減することができ、有効磁束量を増大させて、トルク特性を向上させることができる。このため、ステータ1は、数10kW以上の大出力用モータのステータに適用することが可能となる。
また、コイルセグメント3a,4a(導体)に形成されたスリットに磁束伝達部材53を挿入し、樹脂モールド等で一体化することで、コイルの剛性を向上させることができる。
したがって、図12に示すように、磁束伝達部材53を磁束伝達部材スロット32,42に挿入したことで、磁束伝達部材53が磁化されることに起因する磁束伝達部材鉄損と、コイル渦電流損を合算した無負荷損失は、磁束伝達部材53がない場合に比べて1/5程度まで低減できる。
具体的には、磁束量Up比は、磁束伝達部材53の厚さt2が大きくなれば漸次増大し、ギャップδ1が大きくなれば減少する。
例えば、本実施形態においては、モータ100のステータ1に適用場合について説明したが、これに限定されるものではなく、発電機のステータであっても同様に構成することもできる。
2 冷却装置
3 第1のコイルプレート
3a コイルセグメント
4 第2のコイルプレート
4a コイルセグメント
5 コイル
6,6′ 熱伝達部材
8 コイルアッセンブリ(回転電機用コイルアッセンブリ)
21 冷媒流路
22 ウォータジャケット
31 スリット
32 磁束伝達部材スロット
42 磁束伝達部材スロット
51 スリット
52 磁束伝達部材スロット
53 磁束伝達部材
61,61′ スリット(誘導電流遮断スリット)
Claims (8)
- 回転電機のステータに用いられる回転電機用コイルアッセンブリであって、
導電体からなるコイルセグメントがスリットを介して隣接するように配線パターンが形成された第1のコイルプレート及び第2のコイルプレートと、
前記スリットの一部を幅広に形成した磁束伝達部材スロットと、
この磁束伝達部材スロットが重なるように前記第1のコイルプレートと第2のコイルプレートがコイルループを形成するよう組み合わされたコイルと、
このコイルの前記磁束伝達部材スロットに挿入された磁束伝達部材と、
前記コイルの外表面に密着して設けられ前記コイルが発生する熱を伝達する熱伝達部材と、を備え、
前記熱伝達部材は、前記磁束伝達部材を通る磁束の変化により当該熱伝達部材に流れる誘導電流を遮断する位置に誘導電流遮断スリットを備え、
前記磁束伝達部材は、前記誘導電流遮断スリットを貫通して前記熱伝達部材の表面から前記回転電機のロータに近づく方向に突出して挿入されていることを特徴とする回転電機用コイルアッセンブリ。 - 前記第1のコイルプレート及び第2のコイルプレートは、エッチングにより配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機用コイルアッセンブリ。
- 前記第1のコイルプレート及び第2のコイルプレートは、複数枚のコイルプレート基礎部材を積層し、それらを一体化することで形成され、前記コイルプレート基礎部材を拡散接合により一体化することで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機用コイルアッセンブリ。
- 前記熱伝達部材の透磁率は、前記磁束伝達部材の透磁率よりも低いことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機用コイルアッセンブリ。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機用コイルアッセンブリを含む回転電機用ステータであって、
前記コイルセグメントの周縁部に隣接して冷媒が流通する冷却流路を備え、
前記熱伝達部材を介して、前記冷却流路の方向へ前記コイルが発生する熱を伝達するように構成されていることを特徴とする回転電機用ステータ。 - 前記コイルの前記表面と前記熱伝達部材とは絶縁部材を介して密着し、
前記絶縁部材は、熱を特定方向に伝達しやすい性質を有し、前記コイルで発生する熱を前記冷却流路の方向に伝達するように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の回転電機用ステータ。 - 前記熱伝達部材は、導電性材料からなることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の回転電機用ステータ。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機用コイルアッセンブリ、または請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機用ステータを含む回転電機であって、
前記ステータの両面に対向する位置に2つのロータを備え、前記ロータは永久磁石を有しており、前記永久磁石は前記ステータを各々逆極性となるように前記ステータを挟んで配置されたことを特徴とする回転電機。
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