JP5221474B2 - 押し出し桁の後方支持装置及び押し出し架設方法 - Google Patents
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Description
この橋桁を押し出す方法には、例えば、特許文献1に記載されているように、押し出す力の反力を集中させる反力集中式押し出し方法と反力を分散させる反力分散式押し出し方法との二つの方法が主に用いられている。
図8に示すように、桁製作ヤード105で新たに製作される新設ブロック101は、既にコンクリートが打設され硬化している既設ブロック102と連続するようにコンクリートが打設され、一体とされる。そして、コンクリートが硬化した後、この新設ブロック101の底部の型枠103を取り外すときに、新設ブロック部分の重量を支持するために、支承体を設ける必要がある。一般に、反力分散式押し出し工法では、鉛直ジャッキと水平ジャッキと移動支承とを有する桁送り出し装置104が支承体として用いられる。また、反力集中式押し出し工法では滑り支承が支承体とされる。
また、上記のように一部の型枠のみが解体可能となった構造の製作や一部の型枠を解体して支承体を設置する工程には多くの作業を要する。
本請求項に係る後方支持装置は、後端用鉛直ジャッキが桁送り出し装置の鉛直ジャッキの駆動と連動して新設ブロックを上下に変位させるので、新設ブロックと既設ブロックとが連続した橋桁の支持位置に不等変位が生じるのを抑制することができる。したがって、橋桁に大きな不静定力が発生するのを防止し、安全に橋桁を押し出すことができる。
図1は、本願発明に係る後方支持装置を用いて橋桁を架設する状態を示す概略側面図である。
この橋桁1は、プレストレストコンクリートで形成されるものであり、橋台Aとこれに対向するもう一つの橋台(図示しない)との間に複数の橋脚Pを設け、これらの上に押し出し架設工法により架設される。
押し出し工法は、鉄道線路、交通量の多い道路、又は河川等、上方での作業を極力低減する必要がある位置を跨ぐように橋桁を架設する場合に適した工法であり、橋桁1は架設位置の後方に設けられた桁製作ヤード4で製作される。
本実施の形態では、桁製作ヤード4は橋台Aの後方に設けられた仮支柱6に隣接して設けられており、桁製作ヤード4の後方には鉄筋等を組み立てる後方ヤード5が設けられている。
手延べ桁7又は既に形成された既設ブロック2を桁製作ヤード4の前方側に支持する。そして、桁製作ヤード4上で上記手延べ桁7又は既設ブロック2に連続して一体となるように新設ブロック3のコンクリートを打設する。コンクリートが硬化した新設ブロック3の後方を後方支持装置20で支持する。そして、手延べ桁7又は既設ブロック2と新設ブロック3とが連続した橋桁1を桁送り出し装置10によって前方に押し出し、桁製作ヤード4の前方まで移動する。その後、順次に新設ブロックを連続するように打ち足す工程、橋桁1を押し出す工程を繰り返す。
橋桁1の押し出しは、仮支柱6、橋台A、及び橋脚P上に配置された桁送り出し装置10によって行われ、所定の架設位置まで移動して押し出しを完了する。
なお、本実施形態では、橋桁1は上床版1a、下床版1b及びウェブ1cのすべてがコンクリートで構成された箱桁となっているが、上下方向の折り曲げ線で波形に折り曲げた波形鋼板をウェブに用いるものであってもよい。
この桁送り出し装置10による橋桁10を押し出す方法は、以下の通りである。
鉛直ジャッキ11で橋桁1を持ち上げて、移動支承13を押し出し方向の後方側に移動し[図3(a)]、鉛直ジャッキ11を降下させて橋桁1を移動支承13の上に載置する[図3(b)]。この状態で水平ジャッキ14を駆動し、移動支承13を台座12の上で滑動して橋桁1を前方に押し出す[図3(c)]。その後、鉛直ジャッキ11で桁を持ち上げ[図3(d)]、移動支承13を後方に移動し[図3(a)]、再び橋桁1をこの移動支承13に載置する。このような工程を繰り返し、橋桁1を前方へ押し出す。
なお、上記工程は、橋台A、橋脚P及び仮支柱6上に配置された各桁送り出し装置10において同時に行われ、橋桁1の全体が前方に移動するものである。
図4は、本願発明の一実施形態である後方支持装置の概略側面図であり、図5はこの後方支持装置を用いて橋桁を押し出す状態を示す概略図である。
上記後方支持装置20は、桁製作ヤード上で形成された新設ブロック3の後部に取り付けられる後方突出ガーダー21と、新設ブロック3の後方に設けられて後方突出ガーダー21を支持する支持体24とで主要部が構成されている。
なお、符号22は、後方突出ガーダー21と新設ブロック3との間に配置され、後方突出ガーダー21と支持体24との高さを調整する高さ調整材である。
また、枠体25の下部は後端用鉛直ジャッキ27を介して支持されており、新設ブロック3の後部を上方に押し上げ、又は下降させることができるものとなっている。
この後端用鉛直ジャッキ27は、橋台A、橋脚P及び仮支柱6の上に配置された桁送り出し装置10の鉛直ジャッキ11の駆動と連動するようになっている。これにより、橋桁1を前方に押し出すときの橋桁1を鉛直ジャッキ11で支持した状態では、後端用鉛直ジャッキ27も支持体24を上方に押し上げ、既設ブロック2と新設ブロック3との上下方向の変位をほぼ同じに維持する。また、桁送り出し装置10の鉛直ジャッキ11を下降して橋桁1を移動支承13上に載置するときには、後端用鉛直ジャッキ27も下降して、後方突出ガーダー21と橋桁1の既設ブロック2との上下方向の変位をほぼ等しく調整する。したがって、橋桁1に大きな曲げモーメント及びせん断力が生じるのが防止される。
まず、桁製作ヤード4上で、既設ブロック2の後端に連続して新設ブロック3のコンクリートを打設するための型枠30を組み立てる。なお、最初の施工ブロックを製作するときには手延べ桁7と連続するようにコンクリートを打設する。また、手延べ桁が施工ブロックの上面に取り付けられる、いわゆる上載せタイプであるときには最初の施工ブロックは独立した状態でコンクリートを打設して製作する。
なお、この時点では既設ブロック2は桁送り出し装置10の移動支承13上に支持されており、この既設ブロック2の高さに合わせて連続する新設ブロック3の型枠が形成される。
また、図4に示すように、コンクリートが打設された新設ブロック3の後方に支持体24を設置し、この支持体24の上に上方ローラ25を取り付ける。一方、新設ブロック3上には、高さ調整材22を配置し、この高さ調整材22と支持体24の上方ローラ25上に架け渡すように後方突出ガーダー21を配置する。後方突出ガーダー21及び高さ調整材22は、下端部が新設ブロック3のコンクリート内に予め埋め込まれた複数の鋼棒23によって固着される。これにより、後方突出ガーダー21は新設ブロック2の上面に固定され、後方突出ガーダー21の突き出した部分を支持体24で支持することにより、新設ブロック3の後方部の重量を支持することが可能となる。
図2(b)に示すように、外型枠30aは上床版1aの張り出し部を支える支柱33を下降させ、回動軸31を中心に回動させることによって外型枠30aをコンクリートから後退させる。内型枠30cも、鉛直面の型枠を後退させるとともに全体を下降させて脱型する。外型枠30a及び内型枠30cの脱型は、プレストレスの導入及び支持体24と後方突出ガーダー21との設置より前に行うこともできる。
底型枠30bは、支持体24と後方突出ガーダー21とを設けた後、仮設基礎37上のジャッキ32の操作により架台34を下降させて脱型する。架台34が下降することにより、新設ブロック3の重量が後方突出ガーダー21を介して支持体24に負荷され、新設ブロック3の後部が支持される。また、新設ブロック3の前部は既設ブロック2と連続し、既設ブロック2は仮支柱6、橋台A及び橋脚P上の桁送り出し装置10で支持される。
上記のように後方突出ガーダー21の支持体24による支持が解除されると、後方突出ガーダー21は新設ブロック3から取り外すことができる。
水平反力集中方式では、橋桁は常に滑り支承上に支持された状態で押し出されるため、支持体に後端用鉛直ジャッキを設ける必要はない。つまり、新設ブロックのコンクリートが硬化した後、底型枠を下降させて新設ブロックの後部を支持体で支持させると、滑り支承上に支持された既設ブロックとともに新設ブロックを前方に押し出すことができる。
この実施の形態は、後方支持装置を除いて、第1の実施形態と同様であるので、橋桁の構成等については同じ符号をつけるとともに説明を省略する。
図7(a)は、本願発明の第2の実施形態である後方支持装置を示す概略側面図であり、図7(b)は、図7(a)中のA−A線における断面図である。
この後方支持装置40は、桁製作ヤード上で形成された新設ブロック3の上面に固定される後方突出ガーダー41と、この後方突出ガーダー41に取り付けられ、新設ブロック3の後方で後方突出ガーダー41を支持して新設ブロック3ともに前方へ走行移動する支持体44と、を備えている。支持体44は、後方突出ガーダー41を支持する支柱45と、この支柱45の上部に設けられ、後方突出ガーダー41を支持して上下に駆動可能な後端用鉛直ジャッキ46と、支柱45の下端に取り付けられ、桁製作ヤード上を走行するための下部ローラ47と、後端用鉛直ジャッキ46による支持位置を調整する高さ調整部材48と、支柱45が転倒しないように拘束する拘束部材49と、で主要部が構成されている。
なお、この後方突出ガーダー41は、支持体44に結合されるものであり、第1の実施形態の後方突出ガーダー21と比較して、後方への突出長が短くなっている。
上記支持体44は、断面が箱桁となった橋桁1のウェブ1cと対向する位置を避けて配置されており、ウェブ1cに配置された緊張材(図示せず)の緊張作業を阻害しないように設けるのが望ましい。
上記後端用鉛直ジャッキ46は、既設ブロックを支持する桁送り出し装置10の鉛直ジャッキ11と連動するものとなっている。したがって、この後端用鉛直ジャッキ46を上昇させることにより、高さ調整部材48を介して後方突出ガーダー41及びこの後方突出ガーダーが固定された新設ブロック3を上昇させることができるものである。
支柱45の下端に設けられた下部ローラ48は、取り付けピン50により支柱45と接合されており、桁製作ヤード上を安定して走行し、橋桁の軸線方向への移動が可能となっている。
桁製作ヤード上で、第1の実施の形態と同様に、既設ブロックの後端に連続して新設ブロック3を形成するための型枠30を組み立てる。この型枠30は、図2に示した第1の実施の形態とほぼ同様の構成を備えるものであるが、下部ローラ47が走行する部分には、例えば型鋼52を用いて強固な構造とするのが望ましい。
その後、組み立てられた型枠30にコンクリートを打設し、硬化後にプレストレスを導入する。また、支持体44が取り付けられた後方突出ガーダー41を新設ブロックの後端部上に載置し、新設ブロック3のコンクリート内に下端部が定着されている鋼棒43によって後方突出ガーダー41を新設ブロックの上面で固定する。これにより、新設ブロック3の後部の重量は支持体44によって支持可能となる。
10:桁送り出し装置、 11:鉛直ジャッキ、 12:台座、 13:移動支承、 14:水平ジャッキ、
20:後方支持装置、 21:後方突出ガーダー、 22:高さ調整材、 23:鋼棒、 24:支持体、 25:枠体、 26:上部ローラ、 27:後端用鉛直ジャッキ、
30:型枠、 30a:外型枠、 30b:底型枠、 30c:内型枠、 31:回動軸、 32:ジャッキ、 33:支柱、 34:架台、 35:レール、 37:仮設基礎、
40:後方支持装置、 41:後方突出ガーダー、 43:鋼棒、 44:支持体、 45:支柱、 46:後端用鉛直ジャッキ、 47:下部ローラ、 48:高さ調整部材、 49:拘束部材、 50:取り付けピン、 51:連結部材、
101:新設ブロック、 102:既設ブロック、 103:底部の型枠、 104:桁押し出し装置、 105:桁製作ヤード
Claims (7)
- 既に形成されて桁製作ヤードの前方側で支持される既設ブロックと、前記桁製作ヤード上で前記既設ブロックと連続するようにコンクリートを打設して形成された新設ブロックとからなる橋桁を、前方へ押し出して所定の位置に架設する押し出し架設方法で用いられ、
前記新設ブロックの上面に固定され、該新設ブロックの後方へ突き出した後方突出ガーダーと、
前記新設ブロックの後端面より後方に設けられ、前記後方突出ガーダーが前記新設ブロックとともに前方へ移動することが可能となるように該後方突出ガーダーを支持する支持体と、を備えることを特徴とする押し出し桁の後方支持装置。 - 前記橋桁は、上下方向に駆動されて前記橋桁を支持することができる鉛直ジャッキと、台座上で前方及び後方への往復移動が可能に設けられ、前記橋桁を支持して前方へ移動する移動支承と、該移動支承を駆動する水平ジャッキとを備える桁送り出し装置に支持されて、前方に押し出されるものであり、
前記支持体は、後端用鉛直ジャッキを介して前記後方突出ガーダーを支持するものであり、
該後端用鉛直ジャッキは、前記桁送り出し装置の前記鉛直ジャッキの駆動に連動して上下方向に駆動されるものであることを特徴とする請求項1に記載の押し出し桁の後方支持装置。 - 前記支持体は、上部に上部ローラが備えられており、
該上部ローラを介して前記後方突出ガーダーを支持するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の押し出し桁の後方支持装置。 - 既に形成されて桁製作ヤードの前方側で支持される既設ブロックと、前記桁製作ヤード上で前記既設ブロックと連続するようにコンクリートを打設して形成された新設ブロックとからなる橋桁を、前方へ押し出して所定の位置に架設する押し出し架設方法で用いられ、
前記新設ブロックの上面に固定され、該新設ブロックの後方へ突き出した後方突出ガーダーと、
前記新設ブロックの後端面より後方に設けられ、前記橋桁の前方への移動にともない、前記後方突出ガーダーを支持した状態で該後方突出ガーダーとともに前進移動する支持体と、を備えたことを特徴とする押し出し桁の後方支持装置。 - 前記支持体は、下部に下部ローラが備えられており、
該下部ローラが前記桁製作ヤード上を走行するものであることを特徴とする請求項4に記載の押し出し桁の後方支持装置。 - 既に形成されて桁製作ヤードの前方側で支持される既設ブロックと連続するようにコンクリートを打設して新設ブロックを形成し、該新設ブロックと前記既設ブロックとが一体となった橋桁を形成する工程と、
前記新設ブロックの上面に、後方突出ガーダーを該新設ブロックの後方へ突き出した状態で固定する工程と、
前記新設ブロックの後端面より後方に、前記新設ブロックとともに前記後方突出ガーダーが前方へ移動可能となるように該後方突出ガーダーを支持する支持体を設ける工程と、
前記新設ブロックの後部を前記後方突出ガーダーを介して前記支持体で支持するとともに、前記既設ブロックを支持した状態で、前記橋桁を前方に押し出す工程とを含むことを特徴とする押し出し架設方法。 - 既に形成されて桁製作ヤードの前方側で支持される既設ブロックと連続するようにコンクリートを打設して新設ブロックを形成し、該新設ブロックと前記既設ブロックとが一体となった橋桁を形成する工程と、
前記新設ブロックの上面に、後方突出ガーダーを該新設ブロックの後方へ突き出した状態で固定する工程と、
前記新設ブロックの後端面より後方に、前記後方突出ガーダーを支持して前記製作ヤード上を走行可能な支持体を設ける工程と、
前記後方突出ガーダー及びこれを支持する支持体とともに、前記橋桁を前方に押し出す工程とを含むことを特徴とする押し出し架設方法。
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