JP5220976B2 - 分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物 - Google Patents

分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5220976B2
JP5220976B2 JP2002350874A JP2002350874A JP5220976B2 JP 5220976 B2 JP5220976 B2 JP 5220976B2 JP 2002350874 A JP2002350874 A JP 2002350874A JP 2002350874 A JP2002350874 A JP 2002350874A JP 5220976 B2 JP5220976 B2 JP 5220976B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dispersant
weight
lubricating oil
composition
oil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002350874A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003193078A (ja
Inventor
エイ ダブリュ ベル イアン
エマート ジェイコブ
フェローズ レイモンド
ガティアレズ アントニオ
ロブソン ロバート
Original Assignee
インフィニューム インターナショナル リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by インフィニューム インターナショナル リミテッド filed Critical インフィニューム インターナショナル リミテッド
Publication of JP2003193078A publication Critical patent/JP2003193078A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5220976B2 publication Critical patent/JP5220976B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M133/00Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing nitrogen
    • C10M133/52Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing nitrogen having a carbon chain of 30 or more atoms
    • C10M133/56Amides; Imides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M139/00Lubricating compositions characterised by the additive being an organic non-macromolecular compound containing atoms of elements not provided for in groups C10M127/00 - C10M137/00
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10MLUBRICATING COMPOSITIONS; USE OF CHEMICAL SUBSTANCES EITHER ALONE OR AS LUBRICATING INGREDIENTS IN A LUBRICATING COMPOSITION
    • C10M2215/00Organic non-macromolecular compounds containing nitrogen as ingredients in lubricant compositions
    • C10M2215/28Amides; Imides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10NINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS C10M RELATING TO LUBRICATING COMPOSITIONS
    • C10N2030/00Specified physical or chemical properties which is improved by the additive characterising the lubricating composition, e.g. multifunctional additives
    • C10N2030/04Detergent property or dispersant property
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10NINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS C10M RELATING TO LUBRICATING COMPOSITIONS
    • C10N2030/00Specified physical or chemical properties which is improved by the additive characterising the lubricating composition, e.g. multifunctional additives
    • C10N2030/74Noack Volatility
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10NINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS C10M RELATING TO LUBRICATING COMPOSITIONS
    • C10N2040/00Specified use or application for which the lubricating composition is intended
    • C10N2040/25Internal-combustion engines
    • C10N2040/252Diesel engines
    • C10N2040/253Small diesel engines
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10NINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS C10M RELATING TO LUBRICATING COMPOSITIONS
    • C10N2070/00Specific manufacturing methods for lubricant compositions
    • C10N2070/02Concentrating of additives

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、潤滑油組成物用の分散剤及び該分散剤を含有する潤滑油組成物に関する。より詳細には、潤滑油組成物使用の際に形成されるスラッジやワニスを抑制し、ススによる潤滑油組成物の粘度の上昇を抑制することができ、ピストン清浄性を向上させリング固着性を改善することができる分散剤に関する。
発明の背景
ガソリン及びディーゼルエンジン用の潤滑油の性能を改善するために、添加剤を使用することが一般に試みられてきた。添加剤、又は添加剤パッケージは多くの目的のために使うことができ、例えば洗浄力の向上、エンジンの磨耗の低減、熱や酸化に対する潤滑油の安定化、潤滑油の消費の削減、腐蝕の抑制と摩擦損失の低減等である。「分散剤」は、オイル使用中に酸化や他のメカニズムによって形成される不溶物をオイル中に懸濁させておくために用いられるものであり、またスラッジの綿状化や不溶物の沈殿を抑制するために用いられる。分散剤のもう一つの役目はスス粒子の凝集を防ぎ、潤滑油使用時における粘度の上昇を抑えることである。ススの分散性が許容できるレベルにあることを含めて性能の向上したクランクケース潤滑剤が絶えず要求されている。
さらに、クランクケース潤滑剤のユーザー、とりわけOEM供給先の業者は、より厳しい性能基準を満たすことができる潤滑剤を要求している。この性能基準の一つにピストン清浄性がある。ピストン清浄性の厳しいテストとして、VW TDiテスト(VW−PV1452;CEC L−78−T−99)がある。このテストによって測定されるもう一つの性能基準は「ピストン固着」であり、これは圧縮着火式(ディーゼル)内燃機関の動作中におけるピストンリングの固着を指す。
現在使用されているほとんどの分散剤は、(1)ポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステル(例えばポリイソブテニル無水コハク酸)という一般にカルボン酸アシル化剤と呼ばれているものと、(2)求核性反応物(例えばアミン、アルコール、アミノアルコール又はポリオール)との反応生成物である。ポリアルケニル部位一個に対するモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位の割合を、アシル化剤の「官能価」と呼ぶことができる。分散剤の性能を向上させるため、分散剤の主鎖の官能価を上げ、最終的には分散剤一分子に対する求核性部位の平均個数を増やす傾向があった。
米国特許第4234435号には、数平均分子量が1300〜5000のポリアルケンから誘導されたヒドロカルビル置換ジカルボン酸が記載されているが、これはポリアルケン一部位に対して少なくとも1.3個(例えば1.3〜4.5個)の割合でジカルボン酸基を有するものである。
また、カルボン酸アシル化剤とアミン、アルコール、アミノアルコール又はポリオールとの反応生成物をさらに硼素化合物と反応させた分散剤も知られているが、これは、分散剤の磨耗性、腐蝕性、ゴム材料との相性の向上を目的としている。窒素含有分散剤の硼化処理については、米国特許第3087936号及び第3254025号に概要が教示されている。上記に記載の米国特許第4234435号には、高官能価の分散剤に対する任意の硼化処理を含む後処理が開示されている。米国特許第6127321号には、適度なサクシネート化率を有する分散剤を含有した処方が開示されているが、この分散剤を硼化処理することもできる。
平均官能価が約1.0〜1.2の分散剤を一種又は複数使って処方した潤滑油組成物によると、十分なピストン清浄性は得られるが分散性のレベルが不十分であることがわかった。官能価がさらに高い分散剤を一種又は複数で使えば、分散性は向上するがピストン清浄性には悪影響を与える。つまり、分散性が改善され、同時にピストン清浄性にも優れている分散剤又は分散剤混合物を提供できれば有利である。本発明の発明者らは、潤滑油の処方に使用する分散剤組成物の分子量、官能価、及び硼素:窒素の比を同時に制御することによって、ススやスラッジに対する優れた分散性を維持しながらVWTDiテストで測定されるようなリング固着やピストン清浄性を向上させることができることを見出した。
発明の内容
本発明の第一の態様によると、求核性反応物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルである分散剤を一種以上含有する最適な硼化分散剤組成物を提供するもので、組成物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24である。
本発明の第二の態様によると、大量の潤滑粘度のオイルと少量の硼化分散剤組成物とを含む潤滑油組成物を提供するもので、分散剤組成物は、求核性反応物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルである分散剤を一種以上含有し、組成物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24である。
本発明の第三の態様によると、通常液状の実質的に不活性な有機溶剤又は希釈剤を約20〜90重量%と、硼化分散剤組成物を約10〜約90重量%含む添加剤濃縮物を提供するもので、分散剤組成物は求核性反応物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルである分散剤を一種以上含有し、組成物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24である。
さらに本発明は、ディーゼル内燃機関におけるピストン清浄性を改善し、リング固着傾向を低減する方法を提供するもので、この方法は、このようなエンジンを大量の潤滑粘度のオイルと少量の硼化分散剤組成物を含む潤滑油組成物で潤滑するステップを有するもので、硼化分散剤組成物は求核性反応物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルである分散剤を一種以上含有し、組成物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24である。
本発明のこの他の目的、有利性及び特徴は、以下の明細書から明らかになるであろう。
本発明において有用な分散剤とは、潤滑油に添加した際にガソリン及びディーゼルエンジンでの使用における堆積物の形成を減らすのに効果的であることが知られている窒素含有無灰(金属を含まない)分散剤の範囲を含むものである。本発明の無灰分散剤は、油溶性で高分子量の長い主鎖を有し、主鎖には分散させなければならない粒子と会合することができる官能基を含む。通常、このような分散剤は、アミン、アミン−アルコール又はアミドの極性部位がポリマーの主鎖に結合しており、橋かけ基を介して結合されていることが多い。無灰分散剤は、例えば、長鎖の炭化水素置換モノカルボン酸及びポリカルボン酸又はその無水物の油溶性の塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド及びオキサゾリン;長鎖の炭化水素化合物のチオカルボキシレート誘導体;ポリアミン部位が直接結合している長鎖の脂肪族炭化水素化合物;及び長鎖の置換フェノールとホルムアルデヒドとポリアルキレンポリアミンとを縮合して得られるマンニッヒ縮合生成物から選べばよい。
本発明の分散剤組成物は、ポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルから誘導した分散剤を少なくとも一種含有し、その分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個につき約1.3個より多く約1.7個以下、好ましくは約1.3個より多く約1.6個以下、さらに好ましくは約1.3個より多く約1.5個以下の割合で官能基(モノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位)を有する(中間官能価分散剤)。官能価(F)は次式によって求めることができる。
Figure 0005220976
(式中、SAPは鹸化価(即ち、コハク酸含有反応生成物1グラムにおける酸基を完全に中和するのに使われるKOHのミリグラム数で、ASTM D94に従って求める)を表し;Mnは出発原料のオレフィンポリマーの数平均分子量を表し;A.I.はコハク酸含有反応生成物の有効成分パーセント(残りは、未反応のオレフィンポリマー、無水コハク酸、希釈剤)を表す。)
一般に、モノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位の一つ一つが求核性基(アミン、アルコール、アミド又はエステル極性部位)と反応することになり、ポリアルケニル置換カルボン酸アシル化剤における官能基の数によって分散剤最終製品中の求核性基の個数は決まる。
本発明の分散剤におけるポリアルケニル部位の数平均分子量は、少なくとも1800、好ましくは1800〜3000、例えば2000〜2800、さらに好ましくは約2100〜2500、最も好ましいのは約2200〜約2400である。分散剤の正確な分子量の範囲は、分散剤を誘導するのに使用されるポリマーの種類、官能基の数、用いられる求核性基の種類等の非常にたくさんのパラメーターによって変化するので、分散剤の分子量は、通常、ポリアルケニル部位の分子量で表す。
ポリマーの分子量、具体的にはMnは、既知の様々な方法によって求めることができる。簡便な方法の一つとしてゲル透過クロマトグラフィー(GPC)があるが、これによると分子量分布情報も付加的に得ることができる(W.W. Yau、J.J. Kirkland、D.D. Bly "Modern Size Exclusion Liquid Chromatography" John Wiley and Sons, New York, 1979 参照)。分子量を求める際に、とりわけ低分子量ポリマーの分子量を求めるのに有用なもう一つの方法として、蒸気圧浸透圧測定法が挙げられる(ASTMD 3592参照)。
本発明の分散剤組成物に使用される分散剤を形成するのに適したポリアルケニル部位は、分子量分布(MWD)、これは多分散性とも呼ばれるもので数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で求められるが、この分子量分布が狭いことが好ましい。Mw/Mn比が2.2より小さいポリマー、好ましくは2.0より小さいポリマーが最も望ましい。好適なポリマーの多分散性は、約1.5〜2.1、好ましくは約1.6〜約1.8である。
本発明の分散剤を形成するのに用いられる炭化水素化合物またはポリマー類として適したものには、ホモポリマー、インターポリマー又は低分子量の炭化水素化合物が含まれる。このようなポリマーのグループの一つとして、エチレン及び/又は少なくとも一個の式H2C=CHR1で表される炭素数3〜28のα−オレフィンを含むポリマーで、上記式中、R1は炭素原子1〜26個を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基で、このポリマーは炭素−炭素不飽和を含み、末端のエテニリデン不飽和の度合いが高いものが好ましい。好ましくは、このようなポリマーには、エチレンと上記式で表される少なくとも一つのα−オレフィンとからなるインターポリマーで、式中R1が炭素原子1〜18個のアルキル基、より好ましくは炭素原子1〜8個のアルキル基、さらに好ましくは炭素原子1〜2個のアルキル基であるものが含まれる。すなわち、有用なα−オレフィンモノマーとコモノマーとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1、デセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、及びこれらの混合物(例えばプロピレンとブテン−1との混合物等)が挙げられる。このようなポリマーの例としては、プロピレンホモポリマー、ブテン−1ホモポリマー、エチレンープロピレン共重合体、エチレンーブテン−1共重合体、プロピレンーブテン共重合体等が挙げられるが、このポリマーは少なくとも末端及び/又は内部に不飽和を含む。エチレンとプロピレン、及びエチレンとブテン−1の不飽和共重合体が好ましいポリマーである。本発明で使うインターポリマーは、炭素数4〜18の共役ではないジオレフィンコモノマーを少量、例えば0.5〜5モル%含んでいてもよい。しかし、本発明のポリマーはα−オレフィンホモポリマー、α−オレフィンコモノマーのインターポリマー、及びエチレンとα−オレフィンコポリマーのインターポリマーのみを含むことが好ましい。本発明で用いられるポリマーにおけるエチレン含有量は、0〜80モル%が好ましく、さらに好ましくは0〜60%である。プロピレン及び/又はブテン−1がコモノマーとしてエチレンと一緒に用いられる場合、この共重合体におけるエチレン含量は、15〜50%の範囲が最も好ましいが、エチレン含量はこれより多くても少なくてもよい。
これらのポリマーは、α−オレフィンモノマー、α−オレフィンモノマーの混合物、又はエチレンと少なくとも一つの炭素数3〜28のα−オレフィンモノマーの混合物を、少なくとも一種のメタロセン(即ち、シクロペンタジエニル−遷移金属化合物)とアルモキサン化合物とを含む触媒系の存在下で重合させることによって調製される。この方法を使えば、ポリマー鎖の95%以上が末端エテニリデン型の不飽和を有するポリマーを得ることができる。ポリマー鎖が示す末端エテニリデン型の不飽和の割合(%)は、フーリエ変換赤外(FTIR)分光分析、滴定、又はC13核磁気共鳴(NMR)によって求めればよい。後者のインターポリマーは、式POLY−C(R1)=CH2で表されることを特徴とし、式中R1は炭素数1〜26のアルキル基、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、最も好ましくは炭素数1〜2のアルキル基(即ち、メチル基とエチル基)を表し、POLYはポリマー鎖を表す。R1で表されるアルキル基の鎖長さは、重合に用いるために選ばれたコモノマーによって異なる。ポリマー鎖の少量であれば末端エテニル基、即ちビニル不飽和、即ち、POLY−CH=CH2を含むことができ、ポリマーの一部が中間で単不飽和、即ち、POLY−CH=CH(R1)を含むこともでき、式中R1は前記に定義したとおりである。これらの末端不飽和インターポリマーは、既知のメタロセン化学によって調製してもよいし、米国特許第5498809号、第5663130号、第5705577号、第5814715号、第6022929号及び第6030930号記載の方法で調製してもよい。
もう一つの有用なポリマーのグループは、イソブテン、スチレン等のカチオン重合によって得られるポリマーである。このグループの代表的ポリマーには、ブテン含量が約35〜約75重量%でイソブテン含量が約30〜約60重量%であるC4精製ストリームを、三塩化アルミニウム又は三フッ化硼素等のルイス酸触媒の存在下で重合を行うことによって得られるポリイソブテン類が含まれる。ポリ−n−ブテンを調製するためのモノマーの原料として好ましいのは、RaffinateIIのような石油原料油である。この原料油はこの分野で、例えば米国特許第4952739号に開示されている。ポリイソブチレンは本発明中景も好適な主鎖であるが、これはブテンストリームからのカチオン重合(AlCl3又はBF3触媒を使用して)によって容易に入手できるからである。このようなポリイソブチレンは、通常、一つのポリマー鎖につきエチレン性二重結合を鎖に沿って約一個の割合で残留不飽和を含んでいる。推奨される実施例のひとつは、純粋なイソブチレンストリーム又はRaffinate Iストリームから得たポリイソブチレンを利用して、末端ビニリデンオレフィンと一緒にして反応性イソブチレンポリマーを生成することである。これらのポリマーを高反応性ポリイソブチレン(HR−PIB)と呼ぶが、このポリマーは末端ビニリデン含量が少なくとも65%、例えば70%、さらに好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも85%であるとよい。このようなポリマーの製造方法は、例えば米国特許第4152499号に記載されている。HR−PIBは既知であり、商品名「Glissopal」(登録商標)(BASF社製)や「Ultravis」(登録商標)(BP−Amoco社製)として市販されている。
使用できるポリイソブチレンは、通常約1800〜3000の炭化水素鎖を基本構造としている。ポリイソブチレンの製造方法は公知である。ポリイソブチレンは、下記に示すようなハロゲン化(例えば塩素化)、熱による「エン」反応、又は触媒(例えば過酸化物)を使った遊離基グラフトによって官能基化することができる。
炭化水素又はポリマー主鎖は、例えばカルボン酸生成部位(好ましくは酸又は無水物部位)によってポリマー又は炭化水素鎖上の炭素−炭素不飽和の場所において選択的に官能基化する。或いは、上記の三つの方法のいずれかを用いて、又はそれらをどのような順序でもよいが組み合わせて、鎖にそって無作為に官能基化することができる。
高分子炭化水素を不飽和カルボン酸、無水物又はエステル類と反応させる方法及びそのような化合物から誘導体を得る方法については、米国特許第3087936号、第3172892号、第3215707号、第3231587号、第3272746号、第3275554号、第3381022号、第3442808号、第3565804号、第3912764号、第4110349号、第4234435号、第5777025号及び第5891953号、さらにはEP0382450B1、CA−1335895及びGB−A−1440219に開示されている。ポリマー又は炭化水素に官能基を与えるには、例えば、カルボン酸生成部位(好ましくは酸又は無水物)を使って、官能基部位または官能化剤、即ち、酸、無水物、エステル部位等がポリマー又は炭化水素頭上の基本的には炭素−炭素不飽和(エチレン性不飽和又はオレフィン性不飽和とも呼ぶ)の場所に付加される条件のもとで、ハロゲンによる官能基化プロセス(例えば塩素化)又は熱を用いた「エン」反応を用いてポリマー又は炭化水素を反応させればよい。
選択的に官能基化を行うには、不飽和α−オレフィンポリマーをハロゲン化、例えば塩素化又は臭素化することによって達成される。この場合、温度60〜250℃、好ましくは110〜160℃、例えば120〜140℃で、約0.5〜10時間、好ましくは1〜7時間にわたり塩素又は臭素をポリマーに通すことによってポリマー又は炭化水素化合物の重量を基準として塩素又は臭素が約1〜8重量%、好ましくは3〜7重量%になるまで行う。そして、ハロゲン化されたポリマー又は炭化水素(この先主鎖と呼ぶ)は、主鎖に必要な数の官能基を付加するのに十分な単不飽和反応物、例えば、単不飽和カルボン酸反応物と100〜250℃、通常は約180〜235℃で約0.5〜10時間、例えば3〜8時間反応させる。こうして得られた生成物は、ハロゲン化された主鎖1モルにつき単不飽和カルボン酸反応物が所望のモル数含まれることになる。或いは、主鎖と単不飽和カルボン酸反応物とを混合し加熱し、その間に塩素を加熱した混合物に加える。
通常、出発物質のオレフィンポリマーの単不飽和官能基化反応物との反応性は塩素化することによって高まるが、本発明に用いることができるポリマーや炭化水素類のなかで、特に、末端結合が多く反応性も高く推奨されているものにとっては塩素化の必要はない。そのため、主鎖と単不飽和官能基化反応物(例えばカルボン酸反応物)とを高温で接触させ、最初に熱による「エン」反応を起こさせることが好ましい。エン(ene)反応は公知である。
炭化水素又はポリマー主鎖は、様々な方法によって官能基部位をポリマー鎖に沿って無作為に結合させることで官能基化することができる。例えば、ポリマーが液状又は固体のものは、上記のように遊離基開始剤の存在下で単不飽和カルボン酸反応物をグラフトしてもよい。溶液の中で行う場合は、グラフト化は約100〜260℃、好ましくは120〜240℃の範囲の高温で起こる。グラフト化を遊離基で開始する場合は、鉱物系潤滑油溶液中に初期の全オイル溶液を基準に例えばポリマーを1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%含有させて行うとよい。
使用できる遊離基開始剤としては、過酸化物、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物が挙げられ、沸点が約100℃を超えグラフト化の温度範囲で熱分解し遊離基を生じるものが好ましい。これらの遊離基開始剤の代表的なものとしては、アゾブチロニトリル、2,5−ジメチルヘクセ−3−エン−2,5−ビス−ターシャリーブチルパーオキサイド及びジクメンパーオキサイドが挙げられる。開始剤を使用する際は、反応混合物溶液の重量を基準として0.005〜1重量%の範囲の量を一般的に用いる。通常、前記の単不飽和カルボン酸反応物と遊離基開始剤は、重量比で約1.0:1〜30:1の範囲、好ましくは3:1〜6:1の範囲で用いる。グラフト化は、窒素ガスブランケットのような不活性ガス雰囲気下で行うとよい。こうして得たグラフトポリマーは、カルボン酸(又はエステル、無水物)部位がポリマー鎖に沿って無作為に結合し、即ち、ポリマー鎖のなかには当然のことながらグラフト化していないところもあるという特徴を有する。上記の遊離基グラフト重合は、本発明による別のポリマーや炭化水素に使うことができる。
主鎖の官能基化に使われる単不飽和反応物のなかで好ましいものとして、モノカルボン酸及びジカルボン酸化合物、つまり、これらの酸、無水物又は酸エステルが挙げられる。この中には、(i)炭素数4〜10の単不飽和ジカルボン酸で、(a)カルボキシル基がビシニル(vicinyl)で(即ち、隣接する炭素原子に位置する)、(b)その隣接する炭素原子の少なくとも片方、好ましくは両方が単不飽和の一部となっている単不飽和ジカルボン酸;(ii)(i)の誘導体で、例えば(i)の無水物又は炭素数1〜5のアルコールから誘導されたモノエステル又はジエステル等;(iii)炭素−炭素二重結合がカルボキシル基と共役になっている、即ち、−C=C−CO−の構造を有する炭素数3〜10の単不飽和モノカルボン酸;及び(iv)(iii)の誘導体で、例えば炭素数1〜5のアルコールから誘導される(iii)のモノエステル又はジエステル等が含まれる。単不飽和カルボン酸化合物(i)〜(iv)の混合物も使用できる。主鎖と反応すると、単不飽和カルボン酸反応物の単不飽和は飽和される。こうして、例えば、無水マレイン酸は主鎖に置換された無水コハク酸となり、アクリル酸は主鎖に置換されたプロピオン酸になる。このような単不飽和カルボン酸反応物の例としては、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロロマレイン酸、無水クロロマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、及び前記の酸の低級アルキル(炭素数1〜4のアルキル)酸エステル、例えばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、及びフマル酸メチルが挙げられる。
必要な官能価を得るには、単不飽和カルボン酸反応物、好ましくは無水マレイン酸であるが、これを一般的にはポリマー又は炭化水素のモル数を基準としておよそ等モルから約100重量%過剰、好ましくは5〜50重量%過剰の量で使用する。未反応の単不飽和カルボン酸反応物過剰分は、分散剤最終製品から例えばストリップによって、通常は必要に応じて真空下で取り除くことができる。
その後、官能基化された油溶性高分子炭化水素の主鎖を、アミン、アミノ−アルコール、アルコール、金属化合物、又はそれらの混合物等の求核性反応物を使って誘導体化し、対応の誘導体を形成する。官能基化されたポリマーを誘導体化するための有用なアミン化合物としては、少なくとも一種のアミンが挙げられるが、一種以上のさらなるアミン又は他の反応性若しくは極性基を含むことができる。これらのアミン類はヒドロカルビルアミンでもよいし、ヒドロカルビル基に他の基、例えばヒドロキシル基、アルコキシル基、アミド基、ニトリル、イミダゾリン基等が含まれているヒドロカルビル優位なアミンでもよい。とりわけ有用なアミン化合物には、モノアミン及びポリアミンがあるが、例を挙げると、炭素原子の総数が約2〜60個、例えば2〜40個(例として3〜20個)で、分子一個につき窒素原子数が約1〜12個、例えば3〜12個、好ましくは3〜9個、最も好ましくは約6〜約7個であるポリアルケンポリアミンやポリオキシアルキレンポリアミンがある。アミン化合物の混合物を使うことが有利であり、例えば、アルキレンジハライドとアンモニアとを反応させて生成した化合物の混合物である。推奨されるアミンとしては、脂肪族飽和アミンで、この中には例えば、1,2−ジアミノエタン;1,3−ジアミノプロパン;1,4−ジアミノブタン;1,6−ジアミノヘキサン;ジエチレントリアミンのようなポリエチレンアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;及び1,2−プロピレンジアミンやジー(1,2−プロピレン)トリアミンのようなポリプロピレンアミンが含まれる。このようなポリアミンの混合物はPAMという名称で知られており市販されている。とりわけ好ましいポリアミン混合物は、軽留分を蒸留してPAM製品から誘導される混合物である。こうしてできた混合物は「重質」PAM又はHPAMとして知られ市販されている。PAM及び/又はHPAMの特性や属性については、例えば米国特許第4938881号,第4927551号、第5230714号、第5241003号、第5565128号、第5756431号、第5792730号及び第5854186号に記載されている。
その他の有用なアミン化合物としては、1,4−ジ(アミノメチル)シクロヘキサンのような脂環族ジアミン類、及びイミダゾリンのような複素環式窒素化合物類が挙げられる。アミン類の中でもさらに別の有用なグル−プとして、米国特許第4857217号、第4956107号、第4963275号及び第5229022号に開示されているようなポリアミドや同族のアミドアミンがある。さらに、米国特許第4102798号、第4113639号及び第4116876号、並びにUK989409記載のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TAM)も有用である。デンドリマー、星型アミン、及び櫛型構造のアミンも使用できる。同様に、米国特許第5053152号に記載のような縮合アミンも使える。官能基化されたポリマーは、上記の通り、例えば米国特許第4234435号や第5229022号、さらにはEP−A−208560に記載されているような従来の技術を用いてアミン化合物と反応させる。
推奨される分散剤組成物は、少なくとも一種のポリアルケニルコハク酸イミドを含有する組成物で、ポリアルケニルコハク酸イミドはポリアルケニル置換無水コハク酸(例えばPIBSAとする)と、カップリング比が約0.65〜約1.25、好ましくは約0.8〜約1.1、最も好ましくは約0.9〜約1となるポリアミンとの反応生成物である。この開示の文意における「カップリング比」は、ポリアミン反応物中の第一アミン基に対するPIBSA中のスクシニル基の比として定義される。
官能基化された油溶性高分子炭化水素の主鎖は、一価及び多価アルコール等のヒドロキシル化合物、又はフェノール及びナフトールのような芳香族化合物で誘導体化してもよい。好ましい多価アルコールには、アルキレン基が2〜8個の炭素原子を有するアルキレングリコールが含まれる。この他に有用な多価アルコールとしては、グリセロール、グリセロールのモノオレエート、グリセロールのモノステアレート、グリセロールのモノメチルエーテル、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、及びそれらの混合物である。エステル型分散剤も、アリルアルコール、シンナミルアルコール、プロパルギルアルコール、1−シクロヘキサン−3−オール、及びオレイルアルコールのような不飽和アルコールから誘導してもよい。無灰分散剤をつくることができるアルコールのさらに別のグループには、オキシアルキレンやオキシアリーレンのようなエーテルアルコールが含まれる。このようなエーテルアルコールを具体的に言うと、多くて150個のオキシアルキレン基を有し、このオキシアルキレン基のアルキレン基は炭素原子を1〜8個含有する。エステル型分散剤はコハク酸のジエステルでもよいし、酸−エステル、即ち部分的にエステル化されたコハク酸でもよいし、同様に部分的にエステル化された多価アルコール又はフェノール、即ち、遊離アルコール又はフェノール性ヒドロキシル基を有するエステルでもよい。エステル型分散剤は、例えば、米国特許第3381022号に記載されているようないくつかの既知の方法のいずれかによって調製すればよい。
高分子無灰分散剤の別のグループには、マンニッヒ塩基縮合反応生成物がふくまれる。一般に、この生成物は、例えば米国特許第3442808号に開示されているように、約1モルの長鎖のアルキル置換モノヒドロキシベンゼン又はポリヒドロキシベンゼンと、約1〜2.5モルのカルボニル化合物(例えば、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒド)と約0.5〜2モルのポリアルキレンポリアミンとを縮合することによって得られる。このようなマンニッヒ塩基縮合反応生成物は、ベンゼン基上の置換基としてメタロセンを触媒とした重合によるポリマー生成物を含んでいてもよい。又は、米国特許第3442808号記載の方法と同様のやり方で、無水コハク酸に置換されたポリマーを含む化合物と反応させてもよい。メタロセン触媒系を用いて合成される官能基化した、及び/又は誘導体化したオレフィンポリマーの例は上記に示した公報に記載されている。
本発明の分散剤は高分子でないことが好ましい(たとえば、モノコハク酸イミド又はビスコハク酸イミドであることが好ましい)。
本発明の分散剤は、米国特許第3087936号、第3254025号及び第5430105号に概ね教示されているような従来の方法で硼化することができる。分散剤の硼化は、酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼素酸及び硼素酸エステル等の硼素化合物を、アシル化窒素組成物1モルにつき硼素が約0.1〜約20原子比となるように十分な量を供給してアシル窒素含有分散剤を処理することによって簡単に達成される。
分散剤又は他の添加剤を希釈剤中で潤滑油や添加剤濃縮物に添加することはよく行われるが、この場合、添加された重量分のみが有効成分(A.I.)を表す。例えば、分散剤を同じ重量の希釈剤と一緒に添加すれば、この場合の「添加剤」は、50%の有効成分の分散剤ということになる。本明細書で使われている重量%という用語を、分散剤又は他の添加剤、或いは分散剤組成物に適用する場合、それは有効成分の重量をさしている。
硼素は、生成物中脱水硼酸ポリマー(基本的に(HBO23の形)として出現するが、これは分散剤のイミドやジイミドに対してアミン塩として、例えばジイミドのメタ硼酸塩として結合すると考えられる。十分な量の硼素化合物、好ましくは硼酸であるが、これを通常はスラリーの形でアシル窒素化合物に添加し、攪拌しながら約135〜約190℃、例えば140〜170℃で約1〜約5時間にわたり加熱し、その後窒素を取り除くことによって硼化処理を行うことができる。もしくは、ジカルボン酸物質とアミンの反応混合物を加熱した中に硼酸を添加し、その間水を取り出すことによっても硼化処理はできる。この分野で公知の反応の後処理も適用できる。
本発明の分散剤組成物においては、窒素の重量%に対する硼素の重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24、好ましくは約0.07〜約0.20、最も好ましくは約0.10〜約0.15である。窒素の重量%は、分散剤窒素の重量をさす。硼素の方は、硼化した分散剤によって得られる硼素であるが、分散剤以外の硼素供給源から得られるものもよい。本発明の分散剤組成物は、分散剤組成物中の分散剤有効成分の全重量を基準として、例えば、約0.1〜約0.8重量%、好ましくは約0.2〜約0.4重量%の硼素を含有してもよい。
本発明の分散剤組成物は、数平均分子量が少なくとも約1800、好ましくは約1800〜約3000のポリアルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下、好ましくはおよそ1.3より多く約1.6以下、最も好ましくは約1.4〜約1.6の硼化分散剤を一種含んでいればよい。また、本発明の分散剤組成物は、分散剤の混合物を含んでいてもよく、例えば、官能価が1.3以下でB/N比が0.4〜約1.2の第一の硼化分散剤と、数平均分子量が少なくとも約1800、好ましくは約1800〜約3000のポリアルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下、好ましくはおよそ1.3より多く約1.6以下の未硼化の第二の分散剤を含んでいてもよい。分散剤組成物の硼素が、官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下の第一の分散剤からもたらされる場合、該組成物は、官能価が1.3以下でいかなる分子量でもよいもう一つの硼化又は未硼化の付加的分散剤を含有してもよい。或いは、上記の通り、本発明の分散剤組成物は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下の未硼化の分散剤と(これに、官能価が1.3以下の未硼化の分散剤をさらに任意に加えてもよい)、分散剤以外の硼素供給源を含むものでもよい。
分散剤組成物が、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下の分散剤と、官能価が1.2以下の分散剤との混合物を含む場合は、分散剤全重量の少なくとも30%、例えば50%、好ましくは少なくとも約70%を官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下の分散剤にするとよい。高官能価(1.7以上)の分散剤を相当量(例えば、分散剤全重量を基準として10重量%以上、例えば30重量%)用いることは避けたほうがよい。
分散剤以外の硼素の供給源は、硼素化合物を油溶性又は油に対して分散性のある添加剤又は化合物と反応させることによって調製する。硼素化合物とは、酸化硼素、酸化硼素水和物、三酸化硼素、酸フッ化硼素、三臭化硼素、三塩化硼素、ボロン酸、硼酸、四硼酸及びメタ硼酸のような硼素酸、水素化硼素、硼素アミド、及び硼素酸の種々のエステル類が挙げられる。「分散剤以外の硼素の供給源」として適しているものには、いずれの油溶性の硼素含有化合物も含まれるが、潤滑油組成物に優れた特性をあたえることが知られている硼素含有添加剤が一種以上含まれていることが好ましい。そのような硼素含有添加剤としては、例えば、硼化した分散剤粘度指数向上剤、アルカリ金属、混合アルカリ金属又はアルカリ土類金属の硼酸塩、硼化した過塩基性金属洗浄剤、硼化したエポキシド、硼酸エステル及び硼酸エステルアミドが挙げられる。
アルカリ金属やアルカリ土類金属の硼酸塩は、通常水和した粒状の金属硼酸塩であり、これはこの分野では公知である。アルカリ金属硼酸塩には、アルカリ金属とアルカリ土類金属の硼酸塩の混合物が含まれる。これらの金属硼酸塩は市販されている。好適なアルカリ金属やアルカリ土類金属の硼酸塩、またそれらの製造方法を記載した代表的な特許として、米国特許第3997454号、第3819521号、第3853772号、第3907601号、第3997454号及び第4089790号が挙げられる。
硼化アミンは、上記の一種以上の硼素化合物と一種以上の脂肪アミン、例えば、炭素原子4〜18個を有するアミンとを反応させることによって得られる。アミンと硼素化合物を50〜300℃、好ましくは100〜250℃で、アミン:硼素化合物を3:1〜1:3当量の割合で調製すればよい。
硼化脂肪エポキシドは、一般に一種以上の上記の硼素化合物と少なくとも一種のエポキシドとの反応生成物である。エポキシドとは、通常炭素原子を8〜30個、好ましくは10〜24個、より好ましくは12〜20個有する脂肪族エポキシドである。有用な脂肪族エポキシドの例として、ヘプチルエポキシドとオクチルエポキシドがある。エポキシドの混合物も使用でき、例えば、炭素数が14〜16個と14〜18個のエポキシドの混合物が市販されている。硼化脂肪エポキシドについては公知であり、米国特許第4584115号に記載されている。
硼酸エステルは、一種以上の上記の硼素化合物と好適な親油性を有する一種以上のアルコールとを反応させることによって生成される。このアルコールは、通常炭素数が6〜30個、又は8〜24個である。このような硼酸エステルを得る方法はこの分野では公知である。
硼酸エステルは硼化リン脂質にできる。このような化合物について、またその製造方法はEP−A−0684298に記載されている。
硼化過塩基性金属洗浄剤はこの分野では公知であり、この洗浄剤においては、核の中の一部或いは全体の炭酸塩が硼酸塩に置き換わっている。
本発明の実施において有用な潤滑油は、粘度において軽質留出鉱物油から、例えばガソリンエンジンオイル、鉱物系潤滑油、及び重質ディーゼルオイルなどの重質潤滑油の粘度範囲がよい。通常、オイルの粘度範囲は100℃で測定した際に、約2mm2/秒(センチストローク)〜約40mm2/秒、なかでも約4mm2/秒〜約20mm2/秒となる。
天然油としては、動物油と植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)、液状石油系オイル、及びパラフィン、ナフテンさらにはパラフィン−ナフテン混合型の水素化精製された溶媒処理又は酸処理による鉱物油がある。石炭やシェール(ケツ岩)から誘導された潤滑粘度のオイルも有用な基油の役目をする。
合成潤滑油には炭化水素油とハロゲン置換の炭化水素油が挙げられ、例えば重合オレフィンや共重合オレフィン類(例としては、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレン共重合体、塩素化ポリブチレン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン));アルキルベンゼン類(例としては、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポリフェニル類(例としては、ビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフェニルエーテル類、アルキル化した硫化ジフェニル類、及びその誘導体、類似体と同族体がある。
末端のヒドロキシル基がエステル化、エーテル化等で変性されたアルキレンオキシドポリマーやインターポリマー及びそれらの誘導体によって、公知の合成潤滑油のもう一つのグループが構成される。これらの例として、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの重合によって得られるポリオキシアルキレンポリマー、及びポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテルとアリールエーテル(例えば、分子量1000のメチル−ポリイソプロピレングリコールエーテル、又は分子量1000〜1500のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル);並びにそれらのモノカルボン酸エステル及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、炭素数3〜8の脂肪酸エステル混合物、及びテトラエチレングリコールの炭素数13のオキソ酸ジエステルが挙げられる。
合成潤滑油のさらに別の好適なグループとして、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール)とのエステル類がある。このようなエステルの例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二量体の2−エチルヘキシルジエステル、及び1モルのセバシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モルの2−エチルヘキサン酸とを反応させて形成するエステル錯化合物が挙げられる。
合成油として有用なエステルには、炭素数5〜12のモノカルボン酸とポリオールから作られるエステル、並びにネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、及びトリペンタエリトリトールなどのポリオールエステルが含まれる。
ポリアルキル−、ポリアリール−、ポリアルコキシ−、又はポリアリールオキシ−シリコーンオイルやシリケートオイル等の珪素系オイルが、合成潤滑油の有用なもう一つ別のグループを形成している。このようなオイルには、テトラエチルシリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(p−ターシャリーブチル−フェニル)シリケート、ヘキサ−(4−メチル−2−エチルヘキシル)ジシロキサン、ポリ(メチル)シロキサン、及びポリ(メチルフェニル)シロキサンが挙げられる。他の合成潤滑油として、リン含有の酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デシルホスホン酸のジエチルエステル)及び高分子量テトラヒドロフランがある。
未精製オイルも、精製オイルも、また再精製オイルも本発明の潤滑剤に使うことができる。未精製オイルとは、天然又は合成の供給源から格別な精製処理をしないで直接得られるオイルである。例えば、レトルトで乾留して直接得たケツ岩油、蒸留から直接得た石油、又はエステル化から直接得られたエステルオイルを特に処理を加えず使用する場合のエステルオイルが未精製のオイルということになろう。精製オイルは、特性を一つ以上改善するために一つ以上の精製過程で処理を行うことを除けば未精製オイルと同様である。このような精製技術としては、蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、濾過、浸出等たくさんあり、これらはこの分野の当事者には公知である。再精製オイルは精製オイルをつくるのに使用される方法と同様の方法で得られるが、再精製オイルはすでに実際に使われたオイルの精製から始める。このような再精製オイルは回収又は再生オイルとしても知られており、使用済み添加剤やオイル分解生成物の除去技術を用いてしばしば付加的な処理に供される。
潤滑粘度のオイルは、グループI、グループII、グループIII、グループIV、又はグループVのベースストック又は上記のベースストックからなる基油ブレンドを含んでいてもよい。潤滑粘度のオイルにはグループIII、グループIV又はグループVのベースストック、或いはそれらの混合物が好ましいが、ただし、オイル又はオイル調合物の揮発度がNOACKテスト(ASTM D5880)で測定した際に、13.5%以下、好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは8%以下、並びに粘度指数(VI)が少なくとも120、好ましくは少なくとも125、最も好ましくは約130〜140であることが前提となる。
本発明におけるベースストック及び基油の定義は、アメリカ石油協会(API)の刊行物、「Engine Oil Licensing and Certification System」Industry Services Department 14版、1996年12月、付録1、1998年12月に示されているものと同じである。この刊行物によると、ベースストックは以下のように分類されている。
a)グループIのベースストックは、90%未満が飽和化合物を含み、及び/又は硫黄含量が0.03%より多く、表E−1に規定したテスト方法を用いた場合の粘度指数が80以上、120未満となる。
b)グループIIのベースストックは、90%以上が飽和化合物を含み、硫黄含量が0.03%以下、表E−1に規定したテスト方法を用いた場合の粘度指数が80以上、120未満となる。
c)グループIIIのベースストックは、90%以上が飽和化合物を含み、硫黄含量が0.03%以下、表E−1に規定したテスト方法を用いた場合の粘度指数が120以上となる。
d)グループIVのベースストックはポリアルファオレフィン(PAO)。
e)グループVのベースストックは、グループI、グループII、グループIII、又はグループIVに含まれない他のすべてのベースストックを含む。
【表1】表E−1ベースストックの分析方法
Figure 0005220976
本発明の分散剤組成物は、従来のいかなる方法によってでも潤滑油に混合することができる。例えば、本発明の分散剤組成物は、所望の濃度でオイル中に分散又は溶解させることによってオイルに直接添加することができる。このような方法で潤滑油に調合するには、室温又は高温で行うことができる。或いは、本発明の化合物を適当な油溶性の溶媒と基油と調合して濃縮物を作り、濃縮物を潤滑油ベースストックと調合して最終処方の製品を得ることもできる。この濃縮物は、通常、濃縮物の重量をもとに、本発明の組成物(有効成分(AI)基準で)を約10〜約35重量%、好ましくは約20〜約30重量%含有することなり、基油は約40〜80重量%、好ましくは約50〜70重量%含有することになる。十分な分散性を与えるためには、完全に処方された潤滑油組成物は、本発明の分散剤組成物を(AI基準で)約0.5〜約10重量%、好ましくは約1〜約8重量%、最も好ましくは約1.5〜約5重量%含有するとよい。
特定の性能要求を満たすために、さらに添加剤を本発明の組成物に混合してもよい。本発明の潤滑油組成物に加えることができる添加剤の例としては、洗浄剤、金属防錆剤、粘度指数向上剤、腐蝕抑制剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、消泡剤、磨耗防止剤及び流動点降下剤が挙げられる。これらのうちいくつかはさらに詳細に以下で説明する。
金属含有又は灰形成洗浄剤は、堆積するカスを削減又は除去する洗浄剤として、又、酸中和剤又は防錆剤としても機能するので、磨耗や腐蝕を低減させエンジンの寿命を延ばすことができる。通常、洗浄剤は極性の頭に疎水性の長い尾を有する。極性の頭は酸性有機化合物の金属塩を含む。その塩は、実質的に化学量論の金属を含有しているとよく、この場合の塩を一般に正塩又は中性塩と呼び、全塩基価又はTBN(ASTM D2896で測定することができるが)は、0〜80になるであろう。過剰の金属化合物(例えば酸化物又は水酸化物)と酸性ガス(例えば二酸化炭素)とを反応させることによって、大量の金属塩基を混入させてもよい。こうして得られた過塩基性洗浄剤は、中和された洗浄剤を金属塩基(例えばカーボネート)のミセルの外層として含む。このような過塩基性洗浄剤は、TBNが150以上であるとよいが、通常250〜450以上となる。
使用できる洗浄剤としては、油溶性の中性及び過塩基性スルホネート、フェナート、硫化フェナート、チオホスホネート、サリチレート及びナフテネート、並びに油溶性の金属カルボン酸塩、とりわけアルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等のカルボン酸塩が挙げられる。最も一般的に使用される金属としては、カルシウムとマグネシウムで、これら両方が潤滑剤に使用される洗浄剤の中に存在してもよいが、この他、カルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムとの混合物も一般的に使用される。特に都合のよい金属洗浄剤は、TBNが20〜450の中性又は過塩基性スルホン酸カルシウム、TBNが50〜450の中性又は過塩基性カルシウムフェナート及び硫化フェナート、並びにTBNが20〜450の中性又は過塩基性サリチル酸マグネシウム又はカルシウムである。過塩基性であれ中性であれ、またその両方を含んでもよいが、洗浄剤を組み合わせて使用することもできる。推奨される潤滑油組成物においては、本発明の分散剤組成物と過塩基性サリチル酸塩の洗浄剤とを一緒に使用する。また別の推奨される潤滑油組成物では、本発明の分散剤組成物を中性の洗浄剤と一緒に使用する。
スルホネートは、石油の分留から得られるようなアルキル置換芳香族炭化水素化合物をスルホン化したり、又は芳香族炭化水素化合物をアルキル化することによって通常得られるスルホン酸から調達すればよい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ジフェニル、又はクロロベンゼン、クロロトルエン、クロロナフタレン等のハロゲン誘導体をアルキル化して得られたものが挙げられる。アルキル化は触媒の存在下、炭素原子を約3個〜70個を超えて有するアルキル化剤を使って行えばよい。アルカリールスルフォネート(alkaryl sulfonates)は、アルキル置換芳香族部位1つにつき通常約9〜約80個以上、好ましくは約16〜約60個の炭素原子を含む。
油溶性のスルホネート又はアルカリールスルホネートは、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カーボネート、カルボキシレート、硫化物、水硫化物、ニトレート、ボレート、及び金属のエーテルで中和させてもよい。金属化合物の量は最終製品の所望のTBNを考慮して選択されるが、通常、化学量論的に必要とされる量の約100〜220重量%(好ましくは少なくとも125重量%)となる。
フェノールや硫化フェノールの金属塩は、酸化物又は水酸化物などの適当な金属化合物との反応によって生成され、中性又は過塩基性生成物をこの分野で既知の方法で得ればよい。硫化フェノールは、フェノールを硫黄又は硫化水素、一ハロゲン化硫黄又は二ハロゲン化硫黄等の硫黄含有化合物と反応させることによって生成すればよく、二種以上のフェノールが硫黄含有橋かけ基によって連結している化合物の混合物である生成物が形成される。
ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩は、磨耗防止剤及び酸化防止剤として使用されることが多い。この金属はアルカリ金属又はアルカリ土類金属、或いはアルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケル又は銅でもよい。亜鉛塩が最も一般的に潤滑油中で使われ、潤滑油組成物の全重量を基準として0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2重量%の割合で使用される。この亜鉛塩は公知の方法に従って、最初にジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、これは通常一種以上のアルコール又はフェノールとP25との反応により形成されるが、次にこの形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和することによって生成すればよい。例えば、ジチオリン酸は第一アルコールと第二アルコールの混合物を反応させてつくることができる。或いは、一つのジチオリン酸のヒドロカルビル基が全て二級の特性を示し、他のジチオリン酸のヒドロカルビル基が全て一級の特性を示すマルチプルジチオリン酸を生成することもできる。亜鉛塩を作成するには、いかなる塩基又は中性の亜鉛化合物も使用できるが、酸化物、水酸化物及び炭酸塩が最も一般的に使われる。市販の添加剤は、中和反応において塩基性亜鉛化合物が過剰に使用されるため、亜鉛を過剰に含有することが多い。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジヒドロカルビルジチオリン酸の油溶性の塩で下記の式で表されるものがよい。
Figure 0005220976
(式中、R及びR´は同じでも異なっていてもよい炭素数1〜18、好ましくは2〜12のヒドロカルビル基で、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アルカリール基及び脂環族基を含む。)R及びR´で表される基として特に好ましいのは、炭素数2〜8のアルキル基である。基としては、例えば、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、アミル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチルフェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プロペニル、ブテニル基である。油溶性を得るには、ジチオリン酸における炭素原子の総数(即ち、RとR´での合計)は、通常、約5個以上となるであろう。このため、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛には、ジアルキルジチオリン酸亜鉛も含まれる。本発明は、リン酸含有量が約0.02〜約0.12重量%、好ましくは約0.03〜約0.10重量%の潤滑剤組成物と一緒に使うと極めて有用となる。さらに好ましいのは、潤滑油組成物のリン酸含有量が約0.08重量%未満で、例えば約0.05〜約0.08重量%となる。
抗酸化剤又は酸化防止剤は、鉱物油が使用中に劣化する傾向を抑える。酸化劣化が起きていることは、潤滑油中のスラッジ、金属表面のワニス状の堆積物、また粘度の上昇によって知ることができる。このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、好ましくは炭素数5〜12のアルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、ノニルフェノール硫化カルシウム(calcium nonylphenol sulfide)、油溶性フェナート及び硫化フェナート、ホスホ硫化(phosphosulfurized)又は硫化炭化水素又はエステル、リン酸エステル、チオカルバミン酸金属塩、米国特許第4867890号記載の油溶性銅化合物、及びモリブデン含有化合物が挙げられる。
少なくとも二つの芳香族基が窒素に直接結合している芳香族アミン類は、酸化防止用に頻繁に使用される化合物のもう一つのグループを構成している。これらの化合物は少量で使用してもよいが、本発明の推奨する実施例ではこれらの化合物は使っていない。好ましくは、これらの化合物は少量、即ち0.4重量%まででしか使用しないほうがよい。より好ましくは、組成物の他の成分からの不純物程度の量でない限り、その使用をそっくり避けるほうがよい。
少なくとも二個の芳香族基が一個のアミンの窒素に直接結合している一般的な油溶性芳香族アミン類は、炭素原子を6〜16個有する。このアミン類は芳香族基を二個より多く含んでいてもよい。全部で少なくとも三個の芳香族基を有し、その内二個の芳香族基は共有結合又は原子若しくは基(例えば酸素、硫黄原子、又は−CO−、−SO2−、アルキレン基)によって連結されており、二個はアミンの窒素原子一個に直接結合しているような化合物についても、少なくとも二個の芳香族基が窒素に直接結合している芳香族アミン類とみなされる。芳香環は、通常、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、ヒドロキシル基、及びニトロ基から選ばれる一個以上の置換基によって置換されている。少なくとも二個の芳香族基が一個のアミン窒素原子に直接結合している油溶性芳香族アミン類は、いずれのものでも有効成分が0.4重量%を超えないことが好ましい。
粘度向上剤の好適な例としては、ポリイソブチレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、ポリメタクリレート、メタクリレート共重合体、不飽和ジカルボン酸とビニル化合物との共重合体、スチレンとアクリル酸エステルとのインターポリマー、並びに、部分水素化ブタジエンホモポリマー、部分水素化イソプレンホモポリマーだけでなく部分水素化スチレン/イソプレン共重合体、部分水素化スチレン/ブタジエン共重合体、及び部分水素化イソプレン/ブタジエン共重合体が挙げられる。
最終オイル製品に含まれる他の成分と親和性のある摩擦調節剤や燃費向上剤も添加できる。このような添加剤の例としては、高級脂肪酸のグリセリルモノエステル類、例えば、グリセリルモノオレエート;長鎖のポリカルボン酸とジオールとのエステル類、例えば、二量化した不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オキサゾリン化合物類;並びにアルコキシル化したアルキル置換モノアミン類、ジアミン類及びアルキルエーテルアミン類、例えば、エトキシル化牛脂アミン及びエトキシル化牛脂エーテルアミンが挙げられる。推奨される潤滑油組成物としては、本発明の分散剤組成物、基油、及び窒素含有摩擦調整剤が含まれる。
他の公知の摩擦調整剤として油溶性有機モリブデン化合物がある。この有機モリブデン摩擦調整剤も、潤滑油組成物に対して酸化防止と磨耗防止の効果をもたらす。このような油溶性有機モリブデン化合物の例として、ジチオカルバミン酸塩、ジチオリン酸塩、ジチオホスフィン酸塩、キサントゲン酸塩、チオキサントゲン酸塩、硫化物等、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデン、アルキルキサントゲン酸モリブデン、及びアルキルチオキサントゲン酸モリブデンである。
さらに、モリブデン化合物は酸性モリブデン化合物であってもよい。このような化合物はASTMテストD−664又はD−2896の滴定の手法で測定されるように塩基の窒素化合物と反応し通常は6価となる。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び他のアルカリ金属のモリブデン酸塩や、その他のモリブデン塩、例えば、モリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl4、MoO2Br2、Mo23Cl6、酸化モリブデン又は同様の酸性モリブデン化合物が含まれる。
本発明の組成物において有用なモリブデン化合物に、次式の有機モリブデン化合物がある。
Mo(ROCS24 及びMo(RSCS24
(式中、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルコキシアルキル基からなる群から選ばれる通常炭素数1〜30個、好ましくは2〜12個の有機基を、特に好ましくは炭素数2〜12のアルキル基を表す。)なかでもモリブデンのジアルキルジチオカルバミン酸塩が特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物における有用な有機モリブデン化合物のもう一つのグループは、三核モリブデン化合物で、なかでも式Mo3knzで表される化合物及びその混合物である。上記式中、Lは化合物がオイルに溶解または分散されるのに十分な炭素原子数を有する有機基を含む配位子から独立して選ばれ、nは1〜4、kは4〜7、Qは水、アミン、アルコール、ホスフィン、及びエーテル等の中性の電子供与性化合物からなる群から選ばれ、zは0〜5で化学量論ではない値も含む。すべての配位子の有機基を通して、炭素原子の数は全部で少なくとも21個、例えば、少なくとも25個、少なくとも30個、又は少なくとも35個存在するとよい。
配位子は以下のグループからそれぞれ独立して、又はこれらの混合物が選択される。
Figure 0005220976
(式中、X、X1、X2及びYは、酸素と硫黄からなる群から独立して選択され、R1、R2及びRは、水素と有機基からそれぞれ独立して選択され、これらは同じでも異なっていてもよい。)有機基が、アルキル基(例えば、配位子の残りの部分に結合しているアルキル基中の炭素原子が第一または第二炭素原子)、アリール基、置換アリール基、エーテル基のようなヒドロカルビル基であることが好ましい。さらに好ましいのは、各配位子が同じヒドロカルビル基を有していることである。
「ヒドロカルビル」という用語は、本発明の文意においては、その炭素原子が配位子の残りの部分に直接結合している置換基を指し、特性としてヒドロカルビル優位であることを示す。そのような置換基としては以下のものが含まれる。
1.炭化水素置換基。即ち、脂肪族置換基(例えばアルキル基又はアルケニル基)、脂環族置換基(例えばシクロアルキル基又はシクロアルケニル基)、芳香族、脂肪族、脂環族置換の芳香核等、並びに環が配位子の別の部位を通って完結している環状置換基(つまり、ここに示されているいずれか二つの置換基が一緒になって脂環基を形成してもよい)。
2.置換された炭化水素置換基。本発明においては、置換基のヒドロカルビル優位な特性を変えない炭化水素基以外のものを含んでいる置換基である。好適な基(例えば、ハロゲン、とりわけクロルとフルオル、アミノ基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフォキシ基等)については当業者の知るところであろう。
3.ヘテロ置換基。即ち、本発明においては、ヒドロカルビル優位な特性であるが、鎖又は環が炭素原子だけからなるのでなく炭素以外の原子が存在する置換基である。
重要なのは、化合物がオイルに溶解又は分散されるように配位子の有機基が十分な数の炭素原子を含んでいることである。例えば、各基の炭素数は、通常は約1〜約100個、好ましくは約1〜約30個、より好ましくは約4〜約20個であろう。好ましい配位子としては、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキサンテート、及びジアルキルジチオカルバメートがあるが、このなかでジアルキルジチオカルバメートがさらに好ましい。上記の官能基を2個以上含む有機配位子は、配位子として働くこともでき、また一つ以上のコアに結合することもできる。本発明中の化合物を形成させるには、コアの電荷の均衡をとるために最適な電荷を有する配位子を選択することが必要であることは当業者の理解のかぎりであろう。
式Mo3knzで表される化合物は、陰イオンの配位子に囲まれた陽イオンのコアを有し、陽イオンのコアは次のような構造式で表され、
Figure 0005220976
最終電荷は+4となる。従って、これらのコアを溶解するためには、すべての配位子を合わせて電荷の合計が−4でなければならない。一個の陰イオンを有する配位子が4つあることが好ましい。いかなる理論に拘束されるものではないが、二個以上の三核コアが結合しているか、一個以上の配位子によって相互に連結していればよく、また配位子は多座配位子であるとよいと考えられる。このような構造は本発明の範疇に入る。多座配位子が一つのコアと複数の結合を有する場合も含まれる。酸素及び/又はセレンがコアの硫黄に置き換えられていてもよいと考えられる。
油溶性または分散性のある三核モリブデン化合物を生成するには、適当な液体/溶媒中で、(NH42Mo313・n(H2O)(式中、nは0〜2の範囲で化学量論的でない値を含む)のようなモリブデンの供給源を、テトラアルキルチウラムジスルフィドのような好適な配位子の供給源になるものと反応させる。この他にも油溶性または分散性のある三核モリブデン化合物は、適当な溶媒中で、(NH42Mo313・n(H2O)のようなモリブデンの供給源と、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ジアルキルジチオカルバメート又はジアルキルジチオホスフェートのような好適な配位子の供給源と、シアニドイオン、スルフィットイオン又は置換ホスフィンのような硫黄抽出剤との反応で形成することもできる。或いは、[M´]2[Mo376](式中、M´は対イオンを表し、Aは塩素、臭素又は沃素等のハロゲンを表す)のような三核モリブデン−硫黄ハロゲン化塩を、適当な液体/溶媒中でジアルキルジチオカルバメート又はジアルキルジチオホスフェートのような配位子の供給源と反応させて、油溶性または分散性のある三核モリブデン化合物を形成してもよい。適当な液体/溶媒としては、例えば水性又は有機のものがよい。
化合物の油溶性または分散性は、配位子の有機基における炭素数に左右されるようである。本発明の化合物においては、すべての配位子の有機基中に炭素原子が全部で少なくとも21個あるとよい。化合物が潤滑油組成物中に溶解又は分散されるように、選択された配位子の供給源がその有機基において十分な炭素原子数を有していることが好ましい。
ここで使用している「油溶性」又は「分散性」という用語は、化合物又は添加剤がオイルにどんな比率で含有されていても、オイルに可溶性である、溶解される、混和性がある、あるいは懸濁されうるということを必ずしも指すのではない。これらの用語は、例えば、オイルの使用環境の中で化合物や添加剤が意図した効果を十分に発揮できる程度にオイルに溶解又は安定して分散されることを意味しているのである。また、他の添加剤をさらに混入させることによって、必要であれば特定の添加剤の含有量をより増やして混入させることもできる。
モリブデン化合物は有機モリブデン化合物であると好ましい。さらに、モリブデン化合物は、ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン酸モリブデン、ジチオホスフィン酸モリブデン、キサントゲン酸モリブデン、チオキサントゲン酸モリブデン、硫化モリブデン、及びそれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましい。最も好ましいのは、モリブデン化合物がジチオカルバミン酸モリブデンとして存在することである。モリブデン化合物は三核モリブデン化合物でもよい。
潤滑油組成物のもう一つの推奨される実施例においては、本発明の分散剤組成物を油溶性有機モリブデン化合物と一緒に使用するものである。
粘度指数向上分散剤は、粘度指数向上剤と分散剤としての両方の機能をもつ。粘度指数向上分散剤の例としては、例えばポリアミンのようなアミン類と、化合物に粘度指数向上特性を与えるのに十分な長さの鎖をヒドロカルビル置換基が有しているヒドロカルビル置換モノカルボン酸又はジカルボン酸との反応生成物が挙げられる。一般に、粘度指数向上分散剤の例としては、ビニルアルコールの炭素数4〜24の不飽和エステル又は炭素数3〜10の不飽和モノカルボン酸又は炭素数4〜10のジカルボン酸と、炭素数4〜20の不飽和窒素含有モノマーとのポリマー;炭素数2〜20のオレフィンと、アミン又はヒドロキシアミン又はアルコールで中和した炭素数3〜10の不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とのポリマー;或いは、エチレンと炭素数3〜20のオレフィンとのポリマーで、このオレフィンには炭素数4〜20の不飽和窒素含有モノマーをグラフトしてあるか、又はポリマーの主鎖に不飽和酸をグラフトし、グラフトした酸のカルボン酸基をアミン、ヒドロキシアミン又はアルコールと反応させてある。推奨される潤滑油組成物の一つは、本発明の分散剤組成物、基油、及び粘度指数向上分散剤を含有している。
流動点降下剤、または潤滑油流れ向上剤(LOFI)としても知られているが、これは流体が流動し流出し始める最低温度を下げる。このような添加剤はよく知られている。流体の低温流動性を向上させるこの添加剤の代表として、炭素数8〜18のジアルキルフマル酸エステル/酢酸ビニル共重合体、及びポリメタクリレートが挙げられる。気泡を制御するには、ポリシロキサン系の消泡剤、例えばシリコーン油又はジメチルシロキサンで行える。
上記の添加剤のなかには、多様な効果をもたらすことができるものがある。例えば、一つの添加剤が分散剤と酸化防止剤として働くことができる。このアプローチは公知であり本願明細書で詳細に説明する必要はないものとする。
本発明において、配合物の粘度を安定に保つための添加剤を加える必要があるかもしれない。というのは、極性基含有添加剤は調合する前の段階では粘度を好適に低くすることができるが、組成物によっては長い間の保存中にその粘度が上昇するものが認められている。このような粘度上昇をおさえるのに効果的な添加剤としては、本願明細書ですでに開示したように、無灰分散剤の調製の際に使用するモノカルボン酸若しくはジカルボン酸又は無水物との反応によって官能基化した長鎖の炭化水素化合物が含まれる。
潤滑油組成物に上記の添加剤が一種以上含まれる場合、基油の量をそれぞれの添加剤がその所望の機能を果たせるような量にして調合するのが一般的である。このような添加剤をクランクケース潤滑油で使用する場合の添加剤の代表的な有効量を下記に挙げる。列挙されている値は、すべて有効成分の質量%で記載されている。
Figure 0005220976
完全に処方された潤滑油組成物(潤滑粘度のオイルにすべての添加剤が加えられたもの)のNoack揮発度が12を超えない、例えば10を超えないことが好ましく、8を超えないとさらに好ましい。
必須ではないが、添加剤を含有した一種以上の添加剤濃縮物(濃縮物は添加剤パッケージと称する場合もある)を作っておくことが望ましい。これによって、潤滑油組成物を完成するために数種の添加剤をオイルに同時に添加することができる。
最終組成物中、濃縮物を5〜25質量%、好ましくは5〜18質量%、通常10〜15質量%の割合で使用すればよく、残りは潤滑粘度のオイルとなる。
以下の実施例を参照することによって本発明の理解をさらに深めることとする。実施例においては、特に記載がない限り、「部」はすべて「重量部」を示し、実施例には本発明の推奨する実施態様が含まれる。
実施例
VW TDiエンジンテストとは、一連の「ディーゼルのデポジットテスト」の厳しさの度合いを増した最新版のテストである。業界内では潤滑油の性能を調べる非常に厳しいテストとして認知され、このテストに合格すれば、その潤滑油の処方が多くの点において選ばれることになるほどである。
TDiは、4気筒1.9リットル、81kWの乗用車用ディーゼルエンジンである。これは直接噴射系エンジンで、ユニットの出力を上げるために使用するターボチャージャが付いている。この工業用テスト方法は、いわゆるPKサイクルと呼ばれる高温と低温のランニング条件の繰り返しサイクルからなる。ゼロ負荷で30分間のアイドリング期間(K(Kalt)部)、その後に続く全負荷をかけての毎分回転数4150rpmでの150分間(P(power)部)を伴う。この全サイクルが合計で54時間にわたり繰り返される。この54時間の期間中、テストに供されている潤滑油の最初に充填した4.5リットルを満タンにすることはしない。つまり、蒸発、燃焼、そのたの物理的損失となるメカニズムによって失われた分は問わない。
PKサイクルの期間中、油だめのバルクオイルの温度は、低温期間中の約40℃からPower期間の145℃まで上昇する。ピストンの温度はさらに高くなり、上方の二つのピストンリングはおよそ250〜270℃という高温に遭遇していると推定される。これが、エンジンオイル潤滑油が耐久性を必要とする過酷な条件を示すものであり、TDiテストが潤滑油の性能の厳しいテストとして認められている所以でもある。54時間のテストが終了した時点で、エンジンをからにして分解し、ピストンについてはピストンへのカス堆積とピストンリングの固着に関して等級付けを行う。これによって工業用標準オイル(RL206)を基準として評価された結果がでるので、性能を満たしているか否かを定義することができる。
ピストンはDIN評価法にてらしあわせて等級付けするもので、この評価法はカスの堆積している範囲の面積を調べ等級付けするが、堆積しているカスの種類を制限して評価する。三箇所のピストングルーブ(溝)とグルーブ間のピストンランド二箇所を堆積カスについて段階ごとに等級付けし、100の中から段階をつける。この数がおおきくなればなるほど良好であり、100は完全清浄状態を指し、0は堆積物カスで完全に覆われていることを指す。五箇所の等級の平均値がだされることによってピストン清浄度の総合的等級が与えられる。さらに四本のピストンそれぞれのスコアの平均値がだされ、このテストにおける総合的ピストン清浄度がでる。
リングについてもリング固着を評価するが、このリング固着はグルーブにカスが過剰に溜まることによって起こりうる。全ピストンのリングすべてにおける平均値として、また四本のピストンのなかで見られた最も固着の激しいリングを評価結果とする。このテストでは、テスト終了時点でピストンの清浄度の有効な測定結果を出すが、54時間というテストが行われている最中に何がおこっているのかについてはほとんど洞察していない。
カスが堆積していくメカニズムによりしっかりした見通しを与え、性能が影響している部分をより正確に評価するために、VW TDi法は中間時点でのピストンの評価ができるよう変更できる。そのようにするには、エンジンを12時間ごとに止めて中のオイルを空にして、取りはずして評価してから戻し、最初のテスト用オイルをエンジンに戻し入れ運転を再開する。このようにテストを変更してみると、カスはグルーブ1にすぐに堆積していることがわかり(これがリング固着につながる)、また、グルーブ3が54時間のテスト全体にわたって実質的に清浄なままであることは珍しくはないことがわかった。そのため、このテストで観察すべき重要な点はグルーブ2であり、このグルーブ2にはカスがたまるがリング固着問題を引き起こすほどのカスの堆積は被っていない。しかしながら、基本のVW TDiテスト法ではピストンの五箇所全体の結果から平均を出すので、上記の明瞭となった結果が実質的には曖昧にされてしまう。このため、改変したVW TDiテスト法において、エンジンを36時間(基準オイル間での差別化が最高になるテスト時間)動かし、グルーブ2の結果のみを考察する。
前掲のごとく改変したVW TDiテスト法を用いて、本発明の潤滑油組成物を本発明とは合致しない組成物と比較した。テストに供されたすべての組成物には同じグループIIIベースストックオイル市販品を含有させ、分散剤と他の一般的な添加剤を含む添加剤パッケージと粘度調整剤をそれぞれどの組成物にも同じ量で含有させた。添加剤パッケージは、用いられた一種の分散剤(又は複数の分散剤)のみが異なる。これらの高分子分散剤(すべて約2200という同等の分子量(Mn)を有する)の特徴を下記表1にまとめる。
【表3】表1
Figure 0005220976
*別の製造会社の市販品であり、このMWDは不明であり容易に求めることがで きなかったが、2.0より大きいと思われる。
上記の分散剤又はその混合物を使用して、潤滑油を下記表2に示すように処方した。
【表4】表2
Figure 0005220976
上記のデータ(オイル1〜4)から、官能基価を上げてスラッジやワニスの制御及びススに影響される粘度の調整を最適化するために窒素含有量がより高くなると、ピストン清浄性の結果が悪くなることが明らかである。このことは、二番目のグルーブの清浄性(36時間テストにおけるPC Merit G2)と平均点が65に下降するまでオイルが持ちこたえられる時間(Pcav=65までの時間)に及ぼす官能基価の影響によって示される。オイル1〜3とオイル5〜6を比較してみると、分散剤を構成している先駆体ポリマーの分子量分布が狭いと向上があることがわかる。繰り返しになるが、官能基価が高すぎると性能は落ちる。オイル3を基準としてオイル7〜9をみると、適切な官能基価の系を用いて硼化することによって改善が見られること、また硼素/窒素比に驚くほど依存していることがわかる。従って、適度な官能基価にすることを、分子量分布の狭いポリマー又は軽度な硼化のどちらかと組み合わせることができ、窒素の最適化が可能となり、それによってピストンの堆積物カスの抑制を損なうことなくスラッジやワニス、ススによる粘度増加(より高い官能基価に起因)の制御ができる。極めて官能基価が高い分散剤では、ピストン清浄性が容認できないものとなる(オイル4)。
高分子量の未硼化分散剤と過度に硼化した低分子量分散剤(D9)を組み合わせて、オイル(オイル10)を処方した。できあがったオイルは、この分散剤の他は前述の実施例に記載したものと同一であった。
【表5】表3
Figure 0005220976
本発明の分散剤組成物では、ピストンの堆積物カスの制御が向上すると同時にスラッジやワニスの制御、ススによる粘度増加の抑制のための窒素が改善されたことがわかる。
分散剤組成物とは無関係に、基油のNoack揮発度がVW TDiテスト結果に及ぼす影響を示すために、同一の市販のDI添加剤パッケージと粘度調整剤、及びNoack揮発度が13.5%前後の基油を使ってサンプルを調製した。結果を表4に示す。
【表6】表4
Figure 0005220976
本発明の潤滑油組成物には、定義ずみの個々の、即ち、独立した成分が含まれており、これらは混合の前後で化学的に同一であっても変わってもよいということに留意しておかなければならない。つまり、組成物の様々な成分は、任意で用いる成分や従来から用いられている成分だけでなく必須成分も、処方、保存或いは使用の条件下で反応してもよいということがわかる。並びに、本発明がこのような反応の結果により得られる、又は得られた生成物に向けられたものであり、このようなものに関するものであることが理解できる。
ここに記載されているすべての特許、論文及び他の文献の開示は、引用により本願明細書の記載にそっくり含まれるものとする。本発明の原理、推奨される実施例、及び実施の形態についてここまで明細書に記載してきた。出願人は出願人による発明を提出するものであるが、開示されている特定の実施例に限定的に解釈されてはいけない。なぜならば開示した実施例は例示的なものであり限定的なものではないからである。本発明の精神から逸脱することなく当業者による変形や変更が可能である。

Claims (15)

  1. ポリイソブテンコハク酸無水物とポリアミンとの反応生成物である分散剤を一種以上含む硼素含有分散剤組成物であって、該分散剤の少なくとも一種が、数平均分子量が少なくとも1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して1.3個より多く1.7個までの割合でジカルボン酸生成部位を有し、該分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)が0.10〜0.15である分散剤組成物。
  2. ポリアミンが一分子中に平均して6〜7個の窒素原子を有する請求項1記載の分散剤組成物。
  3. 少なくとも一種の分散剤が、ポリアルケニル部位一個に対して1.3個より多く1.6個までの割合でジカルボン酸生成部位を有する請求項1記載の分散剤組成物。
  4. ポリアミンが少なくとも一個の第一アミン部位を有し、少なくとも一種の分散剤が、前記のポリアミンの第一アミン部位一個に対して0.8から1.0個の割合でスクシニル部位を有する請求項1記載の分散剤組成物。
  5. 硼化分散剤以外の硼素供給源によって硼素が該組成物に供給されている請求項1記載の分散剤組成物。
  6. 該硼素供給源が、硼化した分散粘度指数向上剤;アルカリ金属硼酸塩、混合アルカリ金属の硼酸塩、又はアルカリ土類金属硼酸塩;硼化した過塩基性の金属洗浄剤;硼化したエポキシド;硼酸エステル;及び硼酸アミドからなる群から選ばれる請求項記載の分散剤組成物。
  7. 数平均分子量が少なくとも1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して1.3個より多く1.7個までの割合でジカルボン酸生成部位を有する分散剤を、分散剤組成物の少なくとも30重量%含む請求項1記載の分散剤組成物。
  8. 一種以上の分散剤のうち、少なくとも一種の分散剤のポリアルケニル部位は数平均分子量(Mn)が1800〜3000である請求項1記載の分散剤組成物。
  9. 該ポリアルケニル部位の分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜2.0である請求項記載の分散剤組成物。
  10. 多量の潤滑粘度のオイルと少量の請求項1記載の分散剤組成物とを含有する潤滑油組成物であって、潤滑粘度のオイルのNoack揮発度が13.5%以下であり、粘度指数(VI)が少なくとも120である潤滑油組成物。
  11. 潤滑油組成物が、さらにモリブデン含有摩耗防止剤、摩擦調整剤又は酸化防止剤、サリチル酸カルシウム洗浄剤、窒素含有摩擦調整剤、及び多機能型粘度調整剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の補助的添加剤を少量含有している請求項10記載の潤滑油組成物。
  12. 潤滑油組成物中のリン含有量が、潤滑油組成物の全重量を基準として0.08重量%以下である請求項10記載の潤滑油組成物。
  13. 多量の潤滑粘度のオイルと、請求項1記載の分散剤組成物有効成分を潤滑油組成物の全重量を基準として0.5〜7重量%含有する潤滑油組成物。
  14. 液体の不活性な有機溶剤又は希釈剤を40〜90重量%と、請求項1記載の分散剤組成物を含む添加剤有効成分を10〜60重量%含有する添加剤濃縮物。
  15. 作動中の内燃機関のピストンの清浄度を改善する方法であって、該内燃機関を多量の潤滑粘度のオイルと少量の請求項1記載の分散剤組成物とを含有する潤滑油組成物を使って潤滑するステップを含む方法。
JP2002350874A 2001-12-06 2002-12-03 分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物 Expired - Fee Related JP5220976B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10/008,628 US6734148B2 (en) 2001-12-06 2001-12-06 Dispersants and lubricating oil compositions containing same
US10/008628 2001-12-06

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003193078A JP2003193078A (ja) 2003-07-09
JP5220976B2 true JP5220976B2 (ja) 2013-06-26

Family

ID=21732698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002350874A Expired - Fee Related JP5220976B2 (ja) 2001-12-06 2002-12-03 分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物

Country Status (6)

Country Link
US (1) US6734148B2 (ja)
EP (1) EP1318188A1 (ja)
JP (1) JP5220976B2 (ja)
CN (1) CN1261549C (ja)
CA (1) CA2413685C (ja)
SG (1) SG126712A1 (ja)

Families Citing this family (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070184991A1 (en) * 2002-01-31 2007-08-09 Winemiller Mark D Lubricating oil compositions with improved friction properties
US20040038833A1 (en) * 2002-01-31 2004-02-26 Deckman Douglas E. Lubricating oil compositions for internal combustion engines with improved wear performance
JP3785378B2 (ja) * 2002-04-30 2006-06-14 出光興産株式会社 自動変速機用潤滑油組成物
JP4571776B2 (ja) * 2002-11-05 2010-10-27 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 潤滑油組成物
JP2004175953A (ja) * 2002-11-28 2004-06-24 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd ポリイソブチレン−ポリオレフィン共重合体とその製造方法
WO2005012468A1 (en) * 2003-08-01 2005-02-10 The Lubrizol Corporation Mixed dispersants for lubricants
CA2474959C (en) * 2003-08-07 2009-11-10 Infineum International Limited A lubricating oil composition
US7361629B2 (en) * 2004-03-10 2008-04-22 Afton Chemical Corporation Additives for lubricants and fuels
US20070111904A1 (en) * 2005-11-14 2007-05-17 Chevron Oronite Company Llc Low sulfur and low phosphorus lubricating oil composition
CN101020856B (zh) * 2006-02-14 2012-08-29 英菲诺姆国际有限公司 润滑
US20080128184A1 (en) * 2006-11-30 2008-06-05 Loper John T Lubricating oil compositions having improved corrosion and seal protection properties
US8362153B2 (en) * 2006-12-15 2013-01-29 Chevron Oronite Company Llc Polyisobutenyl sulfonates having low polydispersity
US20100256030A1 (en) 2009-04-06 2010-10-07 Hartley Rolfe J Lubricating Oil Composition
EP2290041B1 (en) * 2009-08-24 2012-08-29 Infineum International Limited Use of an ashless borated dispersant
EP2371934B1 (en) 2010-03-31 2017-03-15 Infineum International Limited Lubricating oil composition
US9145340B2 (en) 2012-08-13 2015-09-29 Verdesian Life Sciences, Llc Method of reducing atmospheric ammonia in livestock and poultry containment facilities
US9961922B2 (en) 2012-10-15 2018-05-08 Verdesian Life Sciences, Llc Animal feed and/or water amendments for lowering ammonia concentrations in animal excrement
US9227920B2 (en) * 2012-10-30 2016-01-05 Chevron Oronite Company Llc Friction modifiers and a method of making the same
CN103074125A (zh) * 2013-01-09 2013-05-01 余姚市好啊节能科技有限公司 汽油、柴油特效片
US11254620B2 (en) 2013-08-05 2022-02-22 Verdesian Life Sciences U.S., Llc Micronutrient-enhanced polymeric seed coatings
TW201522390A (zh) 2013-08-27 2015-06-16 特級肥料產品公司 聚陰離子聚合物
WO2015035031A1 (en) 2013-09-05 2015-03-12 Verdesian Life Sciences, Llc Polymer-boric acid compositions
MX2016003613A (es) * 2013-09-19 2016-07-21 Lubrizol Corp Composiciones lubricantes para motores de inyeccion directa.
CA2945823C (en) 2014-05-21 2022-04-26 Verdesian Life Sciences, Llc Polymer soil treatment compositions including humic acids
US10822487B2 (en) 2014-05-22 2020-11-03 Verdesian Life Sciences Llc Polymeric compositions
US9631052B2 (en) * 2014-06-26 2017-04-25 John L. Lombardi Borate esters
AU2016235352B2 (en) 2015-03-25 2020-05-07 The Lubrizol Corporation Lubricant compositions for direct injection engines
US10472584B2 (en) 2015-07-30 2019-11-12 Infineum International Ltd. Dispersant additives and additive concentrates and lubricating oil compositions containing same
US11168280B2 (en) 2015-10-05 2021-11-09 Infineum International Limited Additive concentrates for the formulation of lubricating oil compositions
BR112019022507B1 (pt) * 2017-04-27 2022-12-13 Shell Internationale Research Maatschappij B.V. Uso de um dispersante sem cinzas contendo nitrogênio em uma composição lubrificante
US11098262B2 (en) 2018-04-25 2021-08-24 Afton Chemical Corporation Multifunctional branched polymers with improved low-temperature performance
US11459521B2 (en) 2018-06-05 2022-10-04 Afton Chemical Coporation Lubricant composition and dispersants therefor having a beneficial effect on oxidation stability
US20240301274A1 (en) 2023-03-10 2024-09-12 Infineum International Limited Asphaltene deposition control

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3087936A (en) 1961-08-18 1963-04-30 Lubrizol Corp Reaction product of an aliphatic olefinpolymer-succinic acid producing compound with an amine and reacting the resulting product with a boron compound
US4234435A (en) 1979-02-23 1980-11-18 The Lubrizol Corporation Novel carboxylic acid acylating agents, derivatives thereof, concentrate and lubricant compositions containing the same, and processes for their preparation
US5118432A (en) 1985-07-11 1992-06-02 Exxon Chemical Patents Inc. Dispersant additive mixtures for oleaginous compositions
CA1262721A (en) 1985-07-11 1989-11-07 Jacob Emert Oil soluble dispersant additives useful in oleaginous compositions
CA1333596C (en) * 1986-10-16 1994-12-20 Robert Dean Lundberg High functionality low molecular weight oil soluble dispersant additives useful in oleaginous compositions
GB8628523D0 (en) * 1986-11-28 1987-01-07 Shell Int Research Lubricating composition
US5085788A (en) 1987-11-19 1992-02-04 Exxon Chemical Patents Inc. Oil soluble dispersant additives useful in oleaginous compositions
CA1338288C (en) * 1989-02-07 1996-04-30 Jai Gopal Bansal Method for the production of long chain hydrocarbyl substituted mono- or dicarboxylic acid materials
US5356552A (en) * 1993-03-09 1994-10-18 Chevron Research And Technology Company, A Division Of Chevron U.S.A. Inc. Chlorine-free lubricating oils having modified high molecular weight succinimides
US5716912A (en) * 1996-04-09 1998-02-10 Chevron Chemical Company Polyalkylene succinimides and post-treated derivatives thereof
JP3720947B2 (ja) * 1996-09-18 2005-11-30 東燃ゼネラル石油株式会社 内燃機関用潤滑油組成物
US6008165A (en) 1998-07-31 1999-12-28 The Lubrizol Corporation Alcohol borate esters and borated dispersants to improve bearing corrosion in engine oils
US6015776A (en) * 1998-09-08 2000-01-18 Chevron Chemical Company Polyalkylene polysuccinimides and post-treated derivatives thereof
JP2001031984A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Idemitsu Kosan Co Ltd エンジン油組成物
SG87171A1 (en) * 1999-09-21 2002-03-19 Infineum Int Ltd Lubricating oil compositions

Also Published As

Publication number Publication date
EP1318188A1 (en) 2003-06-11
US20030148897A1 (en) 2003-08-07
CN1261549C (zh) 2006-06-28
CA2413685A1 (en) 2003-06-06
JP2003193078A (ja) 2003-07-09
CA2413685C (en) 2009-10-06
CN1422941A (zh) 2003-06-11
US6734148B2 (en) 2004-05-11
SG126712A1 (en) 2006-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5220976B2 (ja) 分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物
JP5203550B2 (ja) 分散剤及びそれを含む潤滑油組成物
JP5393960B2 (ja) 潤滑油組成物
JP5202803B2 (ja) 潤滑油組成物
JP6732409B2 (ja) 潤滑油組成物
JP5203564B2 (ja) 潤滑油組成物
JP5374842B2 (ja) 潤滑油組成物
JP5658311B2 (ja) Egrを備えるディーゼルエンジン及び潤滑油組成物
JP4871504B2 (ja) 潤滑油組成物
JP2010261046A (ja) 潤滑油組成物
JP7091091B2 (ja) 潤滑油組成物及びそれに関連する改善
JP4722385B2 (ja) 改質清浄剤及び該改質清浄剤を含む潤滑油組成物
JP2004143458A (ja) 潤滑油組成物
KR102651642B1 (ko) 윤활 조성물에서의 관련된 개선
JP2022520492A (ja) ディーゼル微粒子フィルタの性能のための潤滑組成物
EP2290041B1 (en) Use of an ashless borated dispersant
JP2001522929A (ja) ポリα−オレフィンポリマーを使用する分散剤による磨耗コントロール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081104

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090204

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090209

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100927

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101220

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101224

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20110603

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120210

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120215

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20121213

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20121218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130307

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160315

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5220976

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees