JP2003193078A - 分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物 - Google Patents

分散剤及び該分散剤を含む潤滑油組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑油組成物使用の際に形成されるスラッジ
やワニスを抑制し、ススによる潤滑油組成物の粘度の上
昇を抑制することができ、ピストン清浄性を向上させリ
ング固着性を改善することができる分散剤組成物を提供
すること。 【解決手段】 ポリアルケニル置換モノカルボン酸若し
くはジカルボン酸、無水物又はエステルとポリアミンと
の反応生成物である分散剤を一種以上含む硼素含有分散
剤組成物であって、該分散剤の少なくとも一種が、数平
均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位
を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個よ
り多く約1.7個までのモノカルボン酸又はジカルボン
酸生成部位を有し、分散剤組成物の窒素重量%に対する
硼素重量%の比(B/N)が約0.05〜約0.24で
ある分散剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑油組成物用の
分散剤及び該分散剤を含有する潤滑油組成物に関する。
より詳細には、潤滑油組成物使用の際に形成されるスラ
ッジやワニスを抑制し、ススによる潤滑油組成物の粘度
の上昇を抑制することができ、ピストン清浄性を向上さ
せリング固着性を改善することができる分散剤に関す
る。
【0002】
【発明の背景】ガソリン及びディーゼルエンジン用の潤
滑油の性能を改善するために、添加剤を使用することが
一般に試みられてきた。添加剤、又は添加剤パッケージ
は多くの目的のために使うことができ、例えば洗浄力の
向上、エンジンの磨耗の低減、熱や酸化に対する潤滑油
の安定化、潤滑油の消費の削減、腐蝕の抑制と摩擦損失
の低減等である。「分散剤」は、オイル使用中に酸化や
他のメカニズムによって形成される不溶物をオイル中に
懸濁させておくために用いられるものであり、またスラ
ッジの綿状化や不溶物の沈殿を抑制するために用いられ
る。分散剤のもう一つの役目はスス粒子の凝集を防ぎ、
潤滑油使用時における粘度の上昇を抑えることである。
ススの分散性が許容できるレベルにあることを含めて性
能の向上したクランクケース潤滑剤が絶えず要求されて
いる。さらに、クランクケース潤滑剤のユーザー、とり
わけOEM供給先の業者は、より厳しい性能基準を満た
すことができる潤滑剤を要求している。この性能基準の
一つにピストン清浄性がある。ピストン清浄性の厳しい
テストとして、VWTDiテスト(VW−PV145
2;CEC L−78−T−99)がある。このテスト
によって測定されるもう一つの性能基準は「ピストン固
着」であり、これは圧縮着火式(ディーゼル)内燃機関
の動作中におけるピストンリングの固着を指す。
【0003】現在使用されているほとんどの分散剤は、
(1)ポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカ
ルボン酸、無水物又はエステル(例えばポリイソブテニ
ル無水コハク酸)という一般にカルボン酸アシル化剤と
呼ばれているものと、(2)求核性反応物(例えばアミ
ン、アルコール、アミノアルコール又はポリオール)と
の反応生成物である。ポリアルケニル部位一個に対する
モノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位の割合を、ア
シル化剤の「官能価」と呼ぶことができる。分散剤の性
能を向上させるため、分散剤の主鎖の官能価を上げ、最
終的には分散剤一分子に対する求核性部位の平均個数を
増やす傾向があった。米国特許第4234435号に
は、数平均分子量が1300〜5000のポリアルケン
から誘導されたヒドロカルビル置換ジカルボン酸が記載
されているが、これはポリアルケン一部位に対して少な
くとも1.3個(例えば1.3〜4.5個)の割合でジ
カルボン酸基を有するものである。また、カルボン酸ア
シル化剤とアミン、アルコール、アミノアルコール又は
ポリオールとの反応生成物をさらに硼素化合物と反応さ
せた分散剤も知られているが、これは、分散剤の磨耗
性、腐蝕性、ゴム材料との相性の向上を目的としてい
る。窒素含有分散剤の硼化処理については、米国特許第
3087936号及び第3254025号に概要が教示
されている。上記に記載の米国特許第4234435号
には、高官能価の分散剤に対する任意の硼化処理を含む
後処理が開示されている。米国特許第6127321号
には、適度なサクシネート化率を有する分散剤を含有し
た処方が開示されているが、この分散剤を硼化処理する
こともできる。平均官能価が約1.0〜1.2の分散剤
を一種又は複数使って処方した潤滑油組成物によると、
十分なピストン清浄性は得られるが分散性のレベルが不
十分であることがわかった。官能価がさらに高い分散剤
を一種又は複数で使えば、分散性は向上するがピストン
清浄性には悪影響を与える。つまり、分散性が改善さ
れ、同時にピストン清浄性にも優れている分散剤又は分
散剤混合物を提供できれば有利である。本発明の発明者
らは、潤滑油の処方に使用する分散剤組成物の分子量、
官能価、及び硼素:窒素の比を同時に制御することによ
って、ススやスラッジに対する優れた分散性を維持しな
がらVWTDiテストで測定されるようなリング固着や
ピストン清浄性を向上させることができることを見出し
た。
【0004】
【発明の内容】本発明の第一の態様によると、求核性反
応物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカ
ルボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルで
ある分散剤を一種以上含有する最適な硼化分散剤組成物
を提供するもので、組成物中、少なくとも一種の分散剤
は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケ
ニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約
1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカルボン
酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該分散剤
組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B/N)
は約0.05〜約0.24である。本発明の第二の態様
によると、大量の潤滑粘度のオイルと少量の硼化分散剤
組成物とを含む潤滑油組成物を提供するもので、分散剤
組成物は、求核性反応物との反応で誘導体化したポリア
ルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカルボン酸、無
水物又はエステルである分散剤を一種以上含有し、組成
物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均分子量が少な
くとも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリア
ルケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7
個までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部
位を有するもので、該分散剤組成物の窒素重量%に対す
る硼素重量%の比(B/N)は約0.05〜約0.24
である。本発明の第三の態様によると、通常液状の実質
的に不活性な有機溶剤又は希釈剤を約20〜90重量%
と、硼化分散剤組成物を約10〜約90重量%含む添加
剤濃縮物を提供するもので、分散剤組成物は求核性反応
物との反応で誘導体化したポリアルケニル置換モノカル
ボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルであ
る分散剤を一種以上含有し、組成物中、少なくとも一種
の分散剤は、数平均分子量が少なくとも約1800のポ
リアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個に対
して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモノカ
ルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有するもので、該
分散剤組成物の窒素重量%に対する硼素重量%の比(B
/N)は約0.05〜約0.24である。
【0005】さらに本発明は、ディーゼル内燃機関にお
けるピストン清浄性を改善し、リング固着傾向を低減す
る方法を提供するもので、この方法は、このようなエン
ジンを大量の潤滑粘度のオイルと少量の硼化分散剤組成
物を含む潤滑油組成物で潤滑するステップを有するもの
で、硼化分散剤組成物は求核性反応物との反応で誘導体
化したポリアルケニル置換モノカルボン酸若しくはジカ
ルボン酸、無水物又はエステルである分散剤を一種以上
含有し、組成物中、少なくとも一種の分散剤は、数平均
分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位を
有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個より
多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカル
ボン酸生成部位を有するもので、該分散剤組成物の窒素
重量%に対する硼素重量%の比(B/N)は約0.05
〜約0.24である。本発明のこの他の目的、有利性及
び特徴は、以下の明細書から明らかになるであろう。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において有用な分散剤と
は、潤滑油に添加した際にガソリン及びディーゼルエン
ジンでの使用における堆積物の形成を減らすのに効果的
であることが知られている窒素含有無灰(金属を含まな
い)分散剤の範囲を含むものである。本発明の無灰分散
剤は、油溶性で高分子量の長い主鎖を有し、主鎖には分
散させなければならない粒子と会合することができる官
能基を含む。通常、このような分散剤は、アミン、アミ
ン−アルコール又はアミドの極性部位がポリマーの主鎖
に結合しており、橋かけ基を介して結合されていること
が多い。無灰分散剤は、例えば、長鎖の炭化水素置換モ
ノカルボン酸及びポリカルボン酸又はその無水物の油溶
性の塩、エステル、アミノエステル、アミド、イミド及
びオキサゾリン;長鎖の炭化水素化合物のチオカルボキ
シレート誘導体;ポリアミン部位が直接結合している長
鎖の脂肪族炭化水素化合物;及び長鎖の置換フェノール
とホルムアルデヒドとポリアルキレンポリアミンとを縮
合して得られるマンニッヒ縮合生成物から選べばよい。
本発明の分散剤組成物は、ポリアルケニル置換モノカル
ボン酸若しくはジカルボン酸、無水物又はエステルから
誘導した分散剤を少なくとも一種含有し、その分散剤
は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリアルケ
ニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個につき約1.
3個より多く約1.7個以下、好ましくは約1.3個よ
り多く約1.6個以下、さらに好ましくは約1.3個よ
り多く約1.5個以下の割合で官能基(モノカルボン酸
又はジカルボン酸生成部位)を有する(中間官能価分散
剤)。官能価(F)は次式によって求めることができ
る。
【0007】
【数1】 F=(SAPxMn)/((112,220xA.I.)−(SAPx98)) (1) (式中、SAPは鹸化価(即ち、コハク酸含有反応生成
物1グラムにおける酸基を完全に中和するのに使われる
KOHのミリグラム数で、ASTM D94に従って求
める)を表し;Mnは出発原料のオレフィンポリマーの
数平均分子量を表し;A.I.はコハク酸含有反応生成物の
有効成分パーセント(残りは、未反応のオレフィンポリ
マー、無水コハク酸、希釈剤)を表す。)
【0008】一般に、モノカルボン酸又はジカルボン酸
生成部位の一つ一つが求核性基(アミン、アルコール、
アミド又はエステル極性部位)と反応することになり、
ポリアルケニル置換カルボン酸アシル化剤における官能
基の数によって分散剤最終製品中の求核性基の個数は決
まる。本発明の分散剤におけるポリアルケニル部位の数
平均分子量は、少なくとも1800、好ましくは180
0〜3000、例えば2000〜2800、さらに好ま
しくは約2100〜2500、最も好ましいのは約22
00〜約2400である。分散剤の正確な分子量の範囲
は、分散剤を誘導するのに使用されるポリマーの種類、
官能基の数、用いられる求核性基の種類等の非常にたく
さんのパラメーターによって変化するので、分散剤の分
子量は、通常、ポリアルケニル部位の分子量で表す。ポ
リマーの分子量、具体的にはMnは、既知の様々な方法
によって求めることができる。簡便な方法の一つとして
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)があるが、これ
によると分子量分布情報も付加的に得ることができる
(W.W. Yau、J.J. Kirkland、D.D. Bly "Modern Size E
xclusion Liquid Chromatography" JohnWiley and Son
s, New York, 1979 参照)。分子量を求める際に、と
りわけ低分子量ポリマーの分子量を求めるのに有用なも
う一つの方法として、蒸気圧浸透圧測定法が挙げられる
(ASTM D3592参照)。
【0009】本発明の分散剤組成物に使用される分散剤
を形成するのに適したポリアルケニル部位は、分子量分
布(MWD)、これは多分散性とも呼ばれるもので数平
均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比
で求められるが、この分子量分布が狭いことが好まし
い。Mw/Mn比が2.2より小さいポリマー、好まし
くは2.0より小さいポリマーが最も望ましい。好適な
ポリマーの多分散性は、約1.5〜2.1、好ましくは
約1.6〜約1.8である。本発明の分散剤を形成する
のに用いられる炭化水素化合物またはポリマー類として
適したものには、ホモポリマー、インターポリマー又は
低分子量の炭化水素化合物が含まれる。このようなポリ
マーのグループの一つとして、エチレン及び/又は少な
くとも一個の式H2C=CHR1で表される炭素数3〜2
8のα−オレフィンを含むポリマーで、上記式中、R1
は炭素原子1〜26個を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル
基で、このポリマーは炭素−炭素不飽和を含み、末端の
エテニリデン不飽和の度合いが高いものが好ましい。好
ましくは、このようなポリマーには、エチレンと上記式
で表される少なくとも一つのα−オレフィンとからなる
インターポリマーで、式中R1が炭素原子1〜18個の
アルキル基、より好ましくは炭素原子1〜8個のアルキ
ル基、さらに好ましくは炭素原子1〜2個のアルキル基
であるものが含まれる。すなわち、有用なα−オレフィ
ンモノマーとコモノマーとしては、例えば、プロピレ
ン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、4−メ
チルペンテン−1、デセン−1、ドデセン−1、トリデ
セン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキ
サデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、
ノナデセン−1、及びこれらの混合物(例えばプロピレ
ンとブテン−1との混合物等)が挙げられる。このよう
なポリマーの例としては、プロピレンホモポリマー、ブ
テン−1ホモポリマー、エチレンープロピレン共重合
体、エチレンーブテン−1共重合体、プロピレンーブテ
ン共重合体等が挙げられるが、このポリマーは少なくと
も末端及び/又は内部に不飽和を含む。エチレンとプロ
ピレン、及びエチレンとブテン−1の不飽和共重合体が
好ましいポリマーである。本発明で使うインターポリマ
ーは、炭素数4〜18の共役ではないジオレフィンコモ
ノマーを少量、例えば0.5〜5モル%含んでいてもよ
い。しかし、本発明のポリマーはα−オレフィンホモポ
リマー、α−オレフィンコモノマーのインターポリマ
ー、及びエチレンとα−オレフィンコポリマーのインタ
ーポリマーのみを含むことが好ましい。本発明で用いら
れるポリマーにおけるエチレン含有量は、0〜80モル
%が好ましく、さらに好ましくは0〜60%である。プ
ロピレン及び/又はブテン−1がコモノマーとしてエチ
レンと一緒に用いられる場合、この共重合体におけるエ
チレン含量は、15〜50%の範囲が最も好ましいが、
エチレン含量はこれより多くても少なくてもよい。
【0010】これらのポリマーは、α−オレフィンモノ
マー、α−オレフィンモノマーの混合物、又はエチレン
と少なくとも一つの炭素数3〜28のα−オレフィンモ
ノマーの混合物を、少なくとも一種のメタロセン(即
ち、シクロペンタジエニル−遷移金属化合物)とアルモ
キサン化合物とを含む触媒系の存在下で重合させること
によって調製される。この方法を使えば、ポリマー鎖の
95%以上が末端エテニリデン型の不飽和を有するポリ
マーを得ることができる。ポリマー鎖が示す末端エテニ
リデン型の不飽和の割合(%)は、フーリエ変換赤外
(FTIR)分光分析、滴定、又はC13核磁気共鳴(N
MR)によって求めればよい。後者のインターポリマー
は、式POLY−C(R1)=CH2で表されることを特
徴とし、式中R1は炭素数1〜26のアルキル基、好ま
しくは炭素数1〜18のアルキル基、さらに好ましくは
炭素数1〜8のアルキル基、最も好ましくは炭素数1〜
2のアルキル基(即ち、メチル基とエチル基)を表し、
POLYはポリマー鎖を表す。R1で表されるアルキル
基の鎖長さは、重合に用いるために選ばれたコモノマー
によって異なる。ポリマー鎖の少量であれば末端エテニ
ル基、即ちビニル不飽和、即ち、POLY−CH=CH
2を含むことができ、ポリマーの一部が中間で単不飽
和、即ち、POLY−CH=CH(R1)を含むことも
でき、式中R1は前記に定義したとおりである。これら
の末端不飽和インターポリマーは、既知のメタロセン化
学によって調製してもよいし、米国特許第549880
9号、第5663130号、第5705577号、第5
814715号、第6022929号及び第60309
30号記載の方法で調製してもよい。
【0011】もう一つの有用なポリマーのグループは、
イソブテン、スチレン等のカチオン重合によって得られ
るポリマーである。このグループの代表的ポリマーに
は、ブテン含量が約35〜約75重量%でイソブテン含
量が約30〜約60重量%であるC4精製ストリーム
を、三塩化アルミニウム又は三フッ化硼素等のルイス酸
触媒の存在下で重合を行うことによって得られるポリイ
ソブテン類が含まれる。ポリ−n−ブテンを調製するた
めのモノマーの原料として好ましいのは、Raffin
ateIIのような石油原料油である。この原料油はこの
分野で、例えば米国特許第4952739号に開示され
ている。ポリイソブチレンは本発明中最も好適な主鎖で
あるが、これはブテンストリームからのカチオン重合
(AlCl3又はBF3触媒を使用して)によって容易に
入手できるからである。このようなポリイソブチレン
は、通常、一つのポリマー鎖につきエチレン性二重結合
を鎖に沿って約一個の割合で残留不飽和を含んでいる。
推奨される実施例のひとつは、純粋なイソブチレンスト
リーム又はRaffinate Iストリームから得た
ポリイソブチレンを利用して、末端ビニリデンオレフィ
ンと一緒にして反応性イソブチレンポリマーを生成する
ことである。これらのポリマーを高反応性ポリイソブチ
レン(HR−PIB)と呼ぶが、このポリマーは末端ビ
ニリデン含量が少なくとも65%、例えば70%、さら
に好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なく
とも85%であるとよい。このようなポリマーの製造方
法は、例えば米国特許第4152499号に記載されて
いる。HR−PIBは既知であり、商品名「Gliss
opal」(登録商標)(BASF社製)や「Ultr
avis」(登録商標)(BP−Amoco社製)とし
て市販されている。使用できるポリイソブチレンは、通
常約1800〜3000の炭化水素鎖を基本構造として
いる。ポリイソブチレンの製造方法は公知である。ポリ
イソブチレンは、下記に示すようなハロゲン化(例えば
塩素化)、熱による「エン」反応、又は触媒(例えば過
酸化物)を使った遊離基グラフトによって官能基化する
ことができる。
【0012】炭化水素又はポリマー主鎖は、例えばカル
ボン酸生成部位(好ましくは酸又は無水物部位)によっ
てポリマー又は炭化水素鎖上の炭素−炭素不飽和の場所
において選択的に官能基化する。或いは、上記の三つの
方法のいずれかを用いて、又はそれらをどのような順序
でもよいが組み合わせて、鎖にそって無作為に官能基化
することができる。高分子炭化水素を不飽和カルボン
酸、無水物又はエステル類と反応させる方法及びそのよ
うな化合物から誘導体を得る方法については、米国特許
第3087936号、第3172892号、第3215
707号、第3231587号、第3272746号、
第3275554号、第3381022号、第3442
808号、第3565804号、第3912764号、
第4110349号、第4234435号、第5777
025号及び第5891953号、さらにはEP038
2450B1、CA−1335895及びGB−A−1
440219に開示されている。ポリマー又は炭化水素
に官能基を与えるには、例えば、カルボン酸生成部位
(好ましくは酸又は無水物)を使って、官能基部位また
は官能化剤、即ち、酸、無水物、エステル部位等がポリ
マー又は炭化水素鎖上の基本的には炭素−炭素不飽和
(エチレン性不飽和又はオレフィン性不飽和とも呼ぶ)
の場所に付加される条件のもとで、ハロゲンによる官能
基化プロセス(例えば塩素化)又は熱を用いた「エン」
反応を用いてポリマー又は炭化水素を反応させればよ
い。
【0013】選択的に官能基化を行うには、不飽和α−
オレフィンポリマーをハロゲン化、例えば塩素化又は臭
素化することによって達成される。この場合、温度60
〜250℃、好ましくは110〜160℃、例えば12
0〜140℃で、約0.5〜10時間、好ましくは1〜
7時間にわたり塩素又は臭素をポリマーに通すことによ
ってポリマー又は炭化水素化合物の重量を基準として塩
素又は臭素が約1〜8重量%、好ましくは3〜7重量%
になるまで行う。そして、ハロゲン化されたポリマー又
は炭化水素(この先主鎖と呼ぶ)は、主鎖に必要な数の
官能基を付加するのに十分な単不飽和反応物、例えば、
単不飽和カルボン酸反応物と100〜250℃、通常は
約180〜235℃で約0.5〜10時間、例えば3〜
8時間反応させる。こうして得られた生成物は、ハロゲ
ン化された主鎖1モルにつき単不飽和カルボン酸反応物
が所望のモル数含まれることになる。或いは、主鎖と単
不飽和カルボン酸反応物とを混合し加熱し、その間に塩
素を加熱した混合物に加える。通常、出発物質のオレフ
ィンポリマーの単不飽和官能基化反応物との反応性は塩
素化することによって高まるが、本発明に用いることが
できるポリマーや炭化水素類のなかで、特に、末端結合
が多く反応性も高く推奨されているものにとっては塩素
化の必要はない。そのため、主鎖と単不飽和官能基化反
応物(例えばカルボン酸反応物)とを高温で接触させ、
最初に熱による「エン」反応を起こさせることが好まし
い。エン(ene)反応は公知である。
【0014】炭化水素又はポリマー主鎖は、様々な方法
によって官能基部位をポリマー鎖に沿って無作為に結合
させることで官能基化することができる。例えば、ポリ
マーが液状又は固体のものは、上記のように遊離基開始
剤の存在下で単不飽和カルボン酸反応物をグラフトして
もよい。溶液の中で行う場合は、グラフト化は約100
〜260℃、好ましくは120〜240℃の範囲の高温
で起こる。グラフト化を遊離基で開始する場合は、鉱物
系潤滑油溶液中に初期の全オイル溶液を基準に例えばポ
リマーを1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%含
有させて行うとよい。使用できる遊離基開始剤として
は、過酸化物、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物が挙
げられ、沸点が約100℃を超えグラフト化の温度範囲
で熱分解し遊離基を生じるものが好ましい。これらの遊
離基開始剤の代表的なものとしては、アゾブチロニトリ
ル、2,5−ジメチルヘクセ−3−エン−2,5−ビス
−ターシャリーブチルパーオキサイド及びジクメンパー
オキサイドが挙げられる。開始剤を使用する際は、反応
混合物溶液の重量を基準として0.005〜1重量%の
範囲の量を一般的に用いる。通常、前記の単不飽和カル
ボン酸反応物と遊離基開始剤は、重量比で約1.0:1
〜30:1の範囲、好ましくは3:1〜6:1の範囲で
用いる。グラフト化は、窒素ガスブランケットのような
不活性ガス雰囲気下で行うとよい。こうして得たグラフ
トポリマーは、カルボン酸(又はエステル、無水物)部
位がポリマー鎖に沿って無作為に結合し、即ち、ポリマ
ー鎖のなかには当然のことながらグラフト化していない
ところもあるという特徴を有する。上記の遊離基グラフ
ト重合は、本発明による別のポリマーや炭化水素に使う
ことができる。
【0015】主鎖の官能基化に使われる単不飽和反応物
のなかで好ましいものとして、モノカルボン酸及びジカ
ルボン酸化合物、つまり、これらの酸、無水物又は酸エ
ステルが挙げられる。この中には、(i)炭素数4〜1
0の単不飽和ジカルボン酸で、(a)カルボキシル基が
ビシニル(vicinyl)で(即ち、隣接する炭素原子に位
置する)、(b)その隣接する炭素原子の少なくとも片
方、好ましくは両方が単不飽和の一部となっている単不
飽和ジカルボン酸;(ii)(i)の誘導体で、例えば
(i)の無水物又は炭素数1〜5のアルコールから誘導
されたモノエステル又はジエステル等;(iii)炭素−
炭素二重結合がカルボキシル基と共役になっている、即
ち、−C=C−CO−の構造を有する炭素数3〜10の
単不飽和モノカルボン酸;及び(iv)(iii)の誘導体
で、例えば炭素数1〜5のアルコールから誘導される
(iii)のモノエステル又はジエステル等が含まれる。
単不飽和カルボン酸化合物(i)〜(iv)の混合物も使
用できる。主鎖と反応すると、単不飽和カルボン酸反応
物の単不飽和は飽和される。こうして、例えば、無水マ
レイン酸は主鎖に置換された無水コハク酸となり、アク
リル酸は主鎖に置換されたプロピオン酸になる。このよ
うな単不飽和カルボン酸反応物の例としては、フマル
酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、クロロ
マレイン酸、無水クロロマレイン酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、及び前記の酸の低級
アルキル(炭素数1〜4のアルキル)酸エステル、例え
ばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、及びフマル酸メ
チルが挙げられる。必要な官能価を得るには、単不飽和
カルボン酸反応物、好ましくは無水マレイン酸である
が、これを一般的にはポリマー又は炭化水素のモル数を
基準としておよそ等モルから約100重量%過剰、好ま
しくは5〜50重量%過剰の量で使用する。未反応の単
不飽和カルボン酸反応物過剰分は、分散剤最終製品から
例えばストリップによって、通常は必要に応じて真空下
で取り除くことができる。
【0016】その後、官能基化された油溶性高分子炭化
水素の主鎖を、アミン、アミノ−アルコール、アルコー
ル、金属化合物、又はそれらの混合物等の求核性反応物
を使って誘導体化し、対応の誘導体を形成する。官能基
化されたポリマーを誘導体化するための有用なアミン化
合物としては、少なくとも一種のアミンが挙げられる
が、一種以上のさらなるアミン又は他の反応性若しくは
極性基を含むことができる。これらのアミン類はヒドロ
カルビルアミンでもよいし、ヒドロカルビル基に他の
基、例えばヒドロキシル基、アルコキシル基、アミド
基、ニトリル、イミダゾリン基等が含まれているヒドロ
カルビル優位なアミンでもよい。とりわけ有用なアミン
化合物には、モノアミン及びポリアミンがあるが、例を
挙げると、炭素原子の総数が約2〜60個、例えば2〜
40個(例として3〜20個)で、分子一個につき窒素
原子数が約1〜12個、例えば3〜12個、好ましくは
3〜9個、最も好ましくは約6〜約7個であるポリアル
ケンポリアミンやポリオキシアルキレンポリアミンがあ
る。アミン化合物の混合物を使うことが有利であり、例
えば、アルキレンジハライドとアンモニアとを反応させ
て生成した化合物の混合物である。推奨されるアミンと
しては、脂肪族飽和アミンで、この中には例えば、1,
2−ジアミノエタン;1,3−ジアミノプロパン;1,
4−ジアミノブタン;1,6−ジアミノヘキサン;ジエ
チレントリアミンのようなポリエチレンアミン;トリエ
チレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;及び
1,2−プロピレンジアミンやジー(1,2−プロピレ
ン)トリアミンのようなポリプロピレンアミンが含まれ
る。このようなポリアミンの混合物はPAMという名称
で知られており市販されている。とりわけ好ましいポリ
アミン混合物は、軽留分を蒸留してPAM製品から誘導
される混合物である。こうしてできた混合物は「重質」
PAM又はHPAMとして知られ市販されている。PA
M及び/又はHPAMの特性や属性については、例えば
米国特許第4938881号,第4927551号、第
5230714号、第5241003号、第55651
28号、第5756431号、第5792730号及び
第5854186号に記載されている。
【0017】その他の有用なアミン化合物としては、
1,4−ジ(アミノメチル)シクロヘキサンのような脂
環族ジアミン類、及びイミダゾリンのような複素環式窒
素化合物類が挙げられる。アミン類の中でもさらに別の
有用なグループとして、米国特許第4857217号、
第4956107号、第4963275号及び第522
9022号に開示されているようなポリアミドや同族の
アミドアミンがある。さらに、米国特許第410279
8号、第4113639号及び第4116876号、並
びにUK989409記載のトリス(ヒドロキシメチ
ル)アミノメタン(TAM)も有用である。デンドリマ
ー、星型アミン、及び櫛型構造のアミンも使用できる。
同様に、米国特許第5053152号に記載のような縮
合アミンも使える。官能基化されたポリマーは、上記の
通り、例えば米国特許第4234435号や第5229
022号、さらにはEP−A−208560に記載され
ているような従来の技術を用いてアミン化合物と反応さ
せる。推奨される分散剤組成物は、少なくとも一種のポ
リアルケニルコハク酸イミドを含有する組成物で、ポリ
アルケニルコハク酸イミドはポリアルケニル置換無水コ
ハク酸(例えばPIBSAとする)と、カップリング比
が約0.65〜約1.25、好ましくは約0.8〜約
1.1、最も好ましくは約0.9〜約1となるポリアミ
ンとの反応生成物である。この開示の文意における「カ
ップリング比」は、ポリアミン反応物中の第一アミン基
に対するPIBSA中のスクシニル基の比として定義さ
れる。
【0018】官能基化された油溶性高分子炭化水素の主
鎖は、一価及び多価アルコール等のヒドロキシル化合
物、又はフェノール及びナフトールのような芳香族化合
物で誘導体化してもよい。好ましい多価アルコールに
は、アルキレン基が2〜8個の炭素原子を有するアルキ
レングリコールが含まれる。この他に有用な多価アルコ
ールとしては、グリセロール、グリセロールのモノオレ
エート、グリセロールのモノステアレート、グリセロー
ルのモノメチルエーテル、ペンタエリトリトール、ジペ
ンタエリトリトール、及びそれらの混合物である。エス
テル型分散剤も、アリルアルコール、シンナミルアルコ
ール、プロパルギルアルコール、1−シクロヘキサン−
3−オール、及びオレイルアルコールのような不飽和ア
ルコールから誘導してもよい。無灰分散剤をつくること
ができるアルコールのさらに別のグループには、オキシ
アルキレンやオキシアリーレンのようなエーテルアルコ
ールが含まれる。このようなエーテルアルコールを具体
的に言うと、多くて150個のオキシアルキレン基を有
し、このオキシアルキレン基のアルキレン基は炭素原子
を1〜8個含有する。エステル型分散剤はコハク酸のジ
エステルでもよいし、酸−エステル、即ち部分的にエス
テル化されたコハク酸でもよいし、同様に部分的にエス
テル化された多価アルコール又はフェノール、即ち、遊
離アルコール又はフェノール性ヒドロキシル基を有する
エステルでもよい。エステル型分散剤は、例えば、米国
特許第3381022号に記載されているようないくつ
かの既知の方法のいずれかによって調製すればよい。
【0019】高分子無灰分散剤の別のグループには、マ
ンニッヒ塩基縮合反応生成物がふくまれる。一般に、こ
の生成物は、例えば米国特許第3442808号に開示
されているように、約1モルの長鎖のアルキル置換モノ
ヒドロキシベンゼン又はポリヒドロキシベンゼンと、約
1〜2.5モルのカルボニル化合物(例えば、ホルムア
ルデヒドやパラホルムアルデヒド)と約0.5〜2モル
のポリアルキレンポリアミンとを縮合することによって
得られる。このようなマンニッヒ塩基縮合反応生成物
は、ベンゼン基上の置換基としてメタロセンを触媒とし
た重合によるポリマー生成物を含んでいてもよい。又
は、米国特許第3442808号記載の方法と同様のや
り方で、無水コハク酸に置換されたポリマーを含む化合
物と反応させてもよい。メタロセン触媒系を用いて合成
される官能基化した、及び/又は誘導体化したオレフィ
ンポリマーの例は上記に示した公報に記載されている。
本発明の分散剤は高分子でないことが好ましい(たとえ
ば、モノコハク酸イミド又はビスコハク酸イミドである
ことが好ましい)。
【0020】本発明の分散剤は、米国特許第30879
36号、第3254025号及び第5430105号に
概ね教示されているような従来の方法で硼化することが
できる。分散剤の硼化は、酸化硼素、ハロゲン化硼素、
硼素酸及び硼素酸エステル等の硼素化合物を、アシル化
窒素組成物1モルにつき硼素が約0.1〜約20原子比
となるように十分な量を供給してアシル窒素含有分散剤
を処理することによって簡単に達成される。分散剤又は
他の添加剤を希釈剤中で潤滑油や添加剤濃縮物に添加す
ることはよく行われるが、この場合、添加された重量分
のみが有効成分(A.I.)を表す。例えば、分散剤を
同じ重量の希釈剤と一緒に添加すれば、この場合の「添
加剤」は、50%の有効成分の分散剤ということにな
る。本明細書で使われている重量%という用語を、分散
剤又は他の添加剤、或いは分散剤組成物に適用する場
合、それは有効成分の重量をさしている。
【0021】硼素は、生成物中脱水硼酸ポリマー(基本
的に(HBO23の形)として出現するが、これは分散
剤のイミドやジイミドに対してアミン塩として、例えば
ジイミドのメタ硼酸塩として結合すると考えられる。十
分な量の硼素化合物、好ましくは硼酸であるが、これを
通常はスラリーの形でアシル窒素化合物に添加し、攪拌
しながら約135〜約190℃、例えば140〜170
℃で約1〜約5時間にわたり加熱し、その後窒素を取り
除くことによって硼化処理を行うことができる。もしく
は、ジカルボン酸物質とアミンの反応混合物を加熱した
中に硼酸を添加し、その間水を取り出すことによっても
硼化処理はできる。この分野で公知の反応の後処理も適
用できる。本発明の分散剤組成物においては、窒素の重
量%に対する硼素の重量%の比(B/N)は約0.05
〜約0.24、好ましくは約0.07〜約0.20、最
も好ましくは約0.10〜約0.15である。窒素の重
量%は、分散剤窒素の重量をさす。硼素の方は、硼化し
た分散剤によって得られる硼素であるが、分散剤以外の
硼素供給源から得られるものもよい。本発明の分散剤組
成物は、分散剤組成物中の分散剤有効成分の全重量を基
準として、例えば、約0.1〜約0.8重量%、好まし
くは約0.2〜約0.4重量%の硼素を含有してもよ
い。
【0022】本発明の分散剤組成物は、数平均分子量が
少なくとも約1800、好ましくは約1800〜約30
00のポリアルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.
3より多く約1.7以下、好ましくはおよそ1.3より
多く約1.6以下、最も好ましくは約1.4〜約1.6
の硼化分散剤を一種含んでいればよい。また、本発明の
分散剤組成物は、分散剤の混合物を含んでいてもよく、
例えば、官能価が1.3以下でB/N比が0.4〜約
1.2の第一の硼化分散剤と、数平均分子量が少なくと
も約1800、好ましくは約1800〜約3000のポ
リアルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.3より多
く約1.7以下、好ましくはおよそ1.3より多く約
1.6以下の未硼化の第二の分散剤を含んでいてもよ
い。分散剤組成物の硼素が、官能価がおよそ1.3より
多く約1.7以下の第一の分散剤からもたらされる場
合、該組成物は、官能価が1.3以下でいかなる分子量
でもよいもう一つの硼化又は未硼化の付加的分散剤を含
有してもよい。或いは、上記の通り、本発明の分散剤組
成物は、数平均分子量が少なくとも約1800のポリア
ルケニル部位を有し、官能価がおよそ1.3より多く約
1.7以下の未硼化の分散剤と(これに、官能価が1.
3以下の未硼化の分散剤をさらに任意に加えてもよ
い)、分散剤以外の硼素供給源を含むものでもよい。分
散剤組成物が、数平均分子量が少なくとも約1800の
ポリアルケニル部位を有し官能価がおよそ1.3より多
く約1.7以下の分散剤と、官能価が1.2以下の分散
剤との混合物を含む場合は、分散剤全重量の少なくとも
30%、例えば50%、好ましくは少なくとも約70%
を官能価がおよそ1.3より多く約1.7以下の分散剤
にするとよい。高官能価(1.7以上)の分散剤を相当
量(例えば、分散剤全重量を基準として10重量%以
上、例えば30重量%)用いることは避けたほうがよ
い。
【0023】分散剤以外の硼素の供給源は、硼素化合物
を油溶性又は油に対して分散性のある添加剤又は化合物
と反応させることによって調製する。硼素化合物とは、
酸化硼素、酸化硼素水和物、三酸化硼素、酸フッ化硼
素、三臭化硼素、三塩化硼素、ボロン酸、硼酸、四硼酸
及びメタ硼酸のような硼素酸、水素化硼素、硼素アミ
ド、及び硼素酸の種々のエステル類が挙げられる。「分
散剤以外の硼素の供給源」として適しているものには、
いずれの油溶性の硼素含有化合物も含まれるが、潤滑油
組成物に優れた特性をあたえることが知られている硼素
含有添加剤が一種以上含まれていることが好ましい。そ
のような硼素含有添加剤としては、例えば、硼化した分
散剤粘度指数向上剤、アルカリ金属、混合アルカリ金属
又はアルカリ土類金属の硼酸塩、硼化した過塩基性金属
洗浄剤、硼化したエポキシド、硼酸エステル及び硼酸エ
ステルアミドが挙げられる。アルカリ金属やアルカリ土
類金属の硼酸塩は、通常水和した粒状の金属硼酸塩であ
り、これはこの分野では公知である。アルカリ金属硼酸
塩には、アルカリ金属とアルカリ土類金属の硼酸塩の混
合物が含まれる。これらの金属硼酸塩は市販されてい
る。好適なアルカリ金属やアルカリ土類金属の硼酸塩、
またそれらの製造方法を記載した代表的な特許として、
米国特許第3997454号、第3819521号、第
3853772号、第3907601号、第39974
54号及び第4089790号が挙げられる。
【0024】硼化アミンは、上記の一種以上の硼素化合
物と一種以上の脂肪アミン、例えば、炭素原子4〜18
個を有するアミンとを反応させることによって得られ
る。アミンと硼素化合物を50〜300℃、好ましくは
100〜250℃で、アミン:硼素化合物を3:1〜
1:3当量の割合で調製すればよい。硼化脂肪エポキシ
ドは、一般に一種以上の上記の硼素化合物と少なくとも
一種のエポキシドとの反応生成物である。エポキシドと
は、通常炭素原子を8〜30個、好ましくは10〜24
個、より好ましくは12〜20個有する脂肪族エポキシ
ドである。有用な脂肪族エポキシドの例として、ヘプチ
ルエポキシドとオクチルエポキシドがある。エポキシド
の混合物も使用でき、例えば、炭素数が14〜16個と
14〜18個のエポキシドの混合物が市販されている。
硼化脂肪エポキシドについては公知であり、米国特許第
4584115号に記載されている。硼酸エステルは、
一種以上の上記の硼素化合物と好適な親油性を有する一
種以上のアルコールとを反応させることによって生成さ
れる。このアルコールは、通常炭素数が6〜30個、又
は8〜24個である。このような硼酸エステルを得る方
法はこの分野では公知である。硼酸エステルは硼化リン
脂質にできる。このような化合物について、またその製
造方法はEP−A−0684298に記載されている。
硼化過塩基性金属洗浄剤はこの分野では公知であり、こ
の洗浄剤においては、核の中の一部或いは全体の炭酸塩
が硼酸塩に置き換わっている。
【0025】本発明の実施において有用な潤滑油は、粘
度において軽質留出鉱物油から、例えばガソリンエンジ
ンオイル、鉱物系潤滑油、及び重質ディーゼルオイルな
どの重質潤滑油の粘度範囲がよい。通常、オイルの粘度
範囲は100℃で測定した際に、約2mm2/秒(セン
チストローク)〜約40mm2/秒、なかでも約4mm 2
/秒〜約20mm2/秒となる。天然油としては、動物
油と植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)、液状石油
系オイル、及びパラフィン、ナフテンさらにはパラフィ
ン−ナフテン混合型の水素化精製された溶媒処理又は酸
処理による鉱物油がある。石炭やシェール(ケツ岩)か
ら誘導された潤滑粘度のオイルも有用な基油の役目をす
る。合成潤滑油には炭化水素油とハロゲン置換の炭化水
素油が挙げられ、例えば重合オレフィンや共重合オレフ
ィン類(例としては、ポリブチレン、ポリプロピレン、
プロピレン−イソブチレン共重合体、塩素化ポリブチレ
ン、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポ
リ(1−デセン));アルキルベンゼン類(例として
は、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニ
ルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼン);ポ
リフェニル類(例としては、ビフェニル、ターフェニ
ル、アルキル化ポリフェノール);及びアルキル化ジフ
ェニルエーテル類、アルキル化した硫化ジフェニル類、
及びその誘導体、類似体と同族体がある。
【0026】末端のヒドロキシル基がエステル化、エー
テル化等で変性されたアルキレンオキシドポリマーやイ
ンターポリマー及びそれらの誘導体によって、公知の合
成潤滑油のもう一つのグループが構成される。これらの
例として、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの
重合によって得られるポリオキシアルキレンポリマー、
及びポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテル
とアリールエーテル(例えば、分子量1000のメチル
−ポリイソプロピレングリコールエーテル、又は分子量
1000〜1500のポリエチレングリコールのジフェ
ニルエーテル);並びにそれらのモノカルボン酸エステ
ル及びポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、
炭素数3〜8の脂肪酸エステル混合物、及びテトラエチ
レングリコールの炭素数13のオキソ酸ジエステルが挙
げられる。
【0027】合成潤滑油のさらに別の好適なグループと
して、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、ア
ルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、ア
ゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジ
ピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン
酸、アルケニルマロン酸)と種々のアルコール(例えば
ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアル
コール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレ
ングリコール)とのエステル類がある。このようなエス
テルの例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ
(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、
セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、
アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタ
ル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸二
量体の2−エチルヘキシルジエステル、及び1モルのセ
バシン酸と2モルのテトラエチレングリコールと2モル
の2−エチルヘキサン酸とを反応させて形成するエステ
ル錯化合物が挙げられる。合成油として有用なエステル
には、炭素数5〜12のモノカルボン酸とポリオールか
ら作られるエステル、並びにネオペンチルグリコール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペ
ンタエリトリトール、及びトリペンタエリトリトールな
どのポリオールエステルが含まれる。ポリアルキル−、
ポリアリール−、ポリアルコキシ−、又はポリアリール
オキシ−シリコーンオイルやシリケートオイル等の珪素
系オイルが、合成潤滑油の有用なもう一つ別のグループ
を形成している。このようなオイルには、テトラエチル
シリケート、テトライソプロピルシリケート、テトラ−
(2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(4−メ
チル−2−エチルヘキシル)シリケート、テトラ−(p
−ターシャリーブチル−フェニル)シリケート、ヘキサ
−(4−メチル−2−エチルヘキシル)ジシロキサン、
ポリ(メチル)シロキサン、及びポリ(メチルフェニ
ル)シロキサンが挙げられる。他の合成潤滑油として、
リン含有の酸の液体エステル(例えば、リン酸トリクレ
ジル、リン酸トリオクチル、デシルホスホン酸のジエチ
ルエステル)及び高分子量テトラヒドロフランがある。
【0028】未精製オイルも、精製オイルも、また再精
製オイルも本発明の潤滑剤に使うことができる。未精製
オイルとは、天然又は合成の供給源から格別な精製処理
をしないで直接得られるオイルである。例えば、レトル
トで乾留して直接得たケツ岩油、蒸留から直接得た石
油、又はエステル化から直接得られたエステルオイルを
特に処理を加えず使用する場合のエステルオイルが未精
製のオイルということになろう。精製オイルは、特性を
一つ以上改善するために一つ以上の精製過程で処理を行
うことを除けば未精製オイルと同様である。このような
精製技術としては、蒸留、溶媒抽出、酸又は塩基抽出、
濾過、浸出等たくさんあり、これらはこの分野の当事者
には公知である。再精製オイルは精製オイルをつくるの
に使用される方法と同様の方法で得られるが、再精製オ
イルはすでに実際に使われたオイルの精製から始める。
このような再精製オイルは回収又は再生オイルとしても
知られており、使用済み添加剤やオイル分解生成物の除
去技術を用いてしばしば付加的な処理に供される。
【0029】潤滑粘度のオイルは、グループI、グルー
プII、グループIII、グループIV、又はグループVのベ
ースストック又は上記のベースストックからなる基油ブ
レンドを含んでいてもよい。潤滑粘度のオイルにはグル
ープIII、グループIV又はグループVのベースストッ
ク、或いはそれらの混合物が好ましいが、ただし、オイ
ル又はオイル調合物の揮発度がNOACKテスト(AS
TM D5880)で測定した際に、13.5%以下、
好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、
最も好ましくは8%以下、並びに粘度指数(VI)が少な
くとも120、好ましくは少なくとも125、最も好ま
しくは約130〜140であることが前提となる。本発
明におけるベースストック及び基油の定義は、アメリカ
石油協会(API)の刊行物、「Engine Oil
Licensing and Certificat
ion System」Industry Servi
ces Department 14版、1996年1
2月、付録1、1998年12月に示されているものと
同じである。この刊行物によると、ベースストックは以
下のように分類されている。
【0030】a)グループIのベースストックは、90
%未満が飽和化合物を含み、及び/又は硫黄含量が0.
03%より多く、表E―1に規定したテスト方法を用い
た場合の粘度指数が80以上、120未満となる。 b)グループIIのベースストックは、90%以上が飽和
化合物を含み、硫黄含量が0.03%以下、表E―1に
規定したテスト方法を用いた場合の粘度指数が80以
上、120未満となる。 c)グループIIIのベースストックは、90%以上が飽
和化合物を含み、硫黄含量が0.03%以下、表E―1
に規定したテスト方法を用いた場合の粘度指数が120
以上となる。 d)グループIVのベースストックはポリアルファオレフ
ィン(PAO)。 e)グループVのベースストックは、グループI、グル
ープII、グループIII、又はグループIVに含まれない他
のすべてのベースストックを含む。
【0031】
【表1】 表E−1ベースストックの分析方法
【0032】本発明の分散剤組成物は、従来のいかなる
方法によってでも潤滑油に混合することができる。例え
ば、本発明の分散剤組成物は、所望の濃度でオイル中に
分散又は溶解させることによってオイルに直接添加する
ことができる。このような方法で潤滑油に調合するに
は、室温又は高温で行うことができる。或いは、本発明
の化合物を適当な油溶性の溶媒と基油と調合して濃縮物
を作り、濃縮物を潤滑油ベースストックと調合して最終
処方の製品を得ることもできる。この濃縮物は、通常、
濃縮物の重量をもとに、本発明の組成物(有効成分(A
I)基準で)を約10〜約35重量%、好ましくは約2
0〜約30重量%含有することなり、基油は約40〜8
0重量%、好ましくは約50〜70重量%含有すること
になる。十分な分散性を与えるためには、完全に処方さ
れた潤滑油組成物は、本発明の分散剤組成物を(AI基
準で)約0.5〜約10重量%、好ましくは約1〜約8
重量%、最も好ましくは約1.5〜約5重量%含有する
とよい。
【0033】特定の性能要求を満たすために、さらに添
加剤を本発明の組成物に混合してもよい。本発明の潤滑
油組成物に加えることができる添加剤の例としては、洗
浄剤、金属防錆剤、粘度指数向上剤、腐蝕抑制剤、酸化
防止剤、摩擦調整剤、消泡剤、磨耗防止剤及び流動点降
下剤が挙げられる。これらのうちいくつかはさらに詳細
に以下で説明する。金属含有又は灰形成洗浄剤は、堆積
するカスを削減又は除去する洗浄剤として、又、酸中和
剤又は防錆剤としても機能するので、磨耗や腐蝕を低減
させエンジンの寿命を延ばすことができる。通常、洗浄
剤は極性の頭に疎水性の長い尾を有する。極性の頭は酸
性有機化合物の金属塩を含む。その塩は、実質的に化学
量論の金属を含有しているとよく、この場合の塩を一般
に正塩又は中性塩と呼び、全塩基価又はTBN(AST
M D2896で測定することができるが)は、0〜8
0になるであろう。過剰の金属化合物(例えば酸化物又
は水酸化物)と酸性ガス(例えば二酸化炭素)とを反応
させることによって、大量の金属塩基を混入させてもよ
い。こうして得られた過塩基性洗浄剤は、中和された洗
浄剤を金属塩基(例えばカーボネート)のミセルの外層
として含む。このような過塩基性洗浄剤は、TBNが1
50以上であるとよいが、通常250〜450以上とな
る。
【0034】使用できる洗浄剤としては、油溶性の中性
及び過塩基性スルホネート、フェナート、硫化フェナー
ト、チオホスホネート、サリチレート及びナフテネー
ト、並びに油溶性の金属カルボン酸塩、とりわけアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリ
ウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等のカルボ
ン酸塩が挙げられる。最も一般的に使用される金属とし
ては、カルシウムとマグネシウムで、これら両方が潤滑
剤に使用される洗浄剤の中に存在してもよいが、この
他、カルシウム及び/又はマグネシウムとナトリウムと
の混合物も一般的に使用される。特に都合のよい金属洗
浄剤は、TBNが20〜450の中性又は過塩基性スル
ホン酸カルシウム、TBNが50〜450の中性又は過
塩基性カルシウムフェナート及び硫化フェナート、並び
にTBNが20〜450の中性又は過塩基性サリチル酸
マグネシウム又はカルシウムである。過塩基性であれ中
性であれ、またその両方を含んでもよいが、洗浄剤を組
み合わせて使用することもできる。推奨される潤滑油組
成物においては、本発明の分散剤組成物と過塩基性サリ
チル酸塩の洗浄剤とを一緒に使用する。また別の推奨さ
れる潤滑油組成物では、本発明の分散剤組成物を中性の
洗浄剤と一緒に使用する。スルホネートは、石油の分留
から得られるようなアルキル置換芳香族炭化水素化合物
をスルホン化したり、又は芳香族炭化水素化合物をアル
キル化することによって通常得られるスルホン酸から調
達すればよい。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ナフタレン、ジフェニル、又はクロロベンゼン、ク
ロロトルエン、クロロナフタレン等のハロゲン誘導体を
アルキル化して得られたものが挙げられる。アルキル化
は触媒の存在下、炭素原子を約3個〜70個を超えて有
するアルキル化剤を使って行えばよい。アルカリールス
ルフォネート(alkaryl sulfonates)は、アルキル置換
芳香族部位1つにつき通常約9〜約80個以上、好まし
くは約16〜約60個の炭素原子を含む。
【0035】油溶性のスルホネート又はアルカリールス
ルホネートは、酸化物、水酸化物、アルコキシド、カー
ボネート、カルボキシレート、硫化物、水硫化物、ニト
レート、ボレート、及び金属のエーテルで中和させても
よい。金属化合物の量は最終製品の所望のTBNを考慮
して選択されるが、通常、化学量論的に必要とされる量
の約100〜220重量%(好ましくは少なくとも12
5重量%)となる。フェノールや硫化フェノールの金属
塩は、酸化物又は水酸化物などの適当な金属化合物との
反応によって生成され、中性又は過塩基性生成物をこの
分野で既知の方法で得ればよい。硫化フェノールは、フ
ェノールを硫黄又は硫化水素、一ハロゲン化硫黄又は二
ハロゲン化硫黄等の硫黄含有化合物と反応させることに
よって生成すればよく、二種以上のフェノールが硫黄含
有橋かけ基によって連結している化合物の混合物である
生成物が形成される。
【0036】ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属
塩は、磨耗防止剤及び酸化防止剤として使用されること
が多い。この金属はアルカリ金属又はアルカリ土類金
属、或いはアルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガ
ン、ニッケル又は銅でもよい。亜鉛塩が最も一般的に潤
滑油中で使われ、潤滑油組成物の全重量を基準として
0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜2重量%の割
合で使用される。この亜鉛塩は公知の方法に従って、最
初にジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成
し、これは通常一種以上のアルコール又はフェノールと
25との反応により形成されるが、次にこの形成され
たDDPAを亜鉛化合物で中和することによって生成す
ればよい。例えば、ジチオリン酸は第一アルコールと第
二アルコールの混合物を反応させてつくることができ
る。或いは、一つのジチオリン酸のヒドロカルビル基が
全て二級の特性を示し、他のジチオリン酸のヒドロカル
ビル基が全て一級の特性を示すマルチプルジチオリン酸
を生成することもできる。亜鉛塩を作成するには、いか
なる塩基又は中性の亜鉛化合物も使用できるが、酸化
物、水酸化物及び炭酸塩が最も一般的に使われる。市販
の添加剤は、中和反応において塩基性亜鉛化合物が過剰
に使用されるため、亜鉛を過剰に含有することが多い。
好ましいジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛は、ジヒド
ロカルビルジチオリン酸の油溶性の塩で下記の式で表さ
れるものがよい。
【0037】
【化1】 (式中、R及びR´は同じでも異なっていてもよい炭素
数1〜18、好ましくは2〜12のヒドロカルビル基
で、例えばアルキル基、アルケニル基、アリール基、ア
リールアルキル基、アルカリール基及び脂環族基を含
む。)R及びR´で表される基として特に好ましいの
は、炭素数2〜8のアルキル基である。基としては、例
えば、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチ
ル、i−ブチル、sec−ブチル、アミル、n−ヘキシ
ル、i−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、
オクタデシル、2−エチルヘキシル、フェニル、ブチル
フェニル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、プ
ロペニル、ブテニル基である。油溶性を得るには、ジチ
オリン酸における炭素原子の総数(即ち、RとR´での
合計)は、通常、約5個以上となるであろう。このた
め、ジヒドロカルビルジチオリン酸亜鉛には、ジアルキ
ルジチオリン酸亜鉛も含まれる。本発明は、リン酸含有
量が約0.02〜約0.12重量%、好ましくは約0.
03〜約0.10重量%の潤滑剤組成物と一緒に使うと
極めて有用となる。さらに好ましいのは、潤滑油組成物
のリン酸含有量が約0.08重量%未満で、例えば約
0.05〜約0.08重量%となる。
【0038】抗酸化剤又は酸化防止剤は、鉱物油が使用
中に劣化する傾向を抑える。酸化劣化が起きていること
は、潤滑油中のスラッジ、金属表面のワニス状の堆積
物、また粘度の上昇によって知ることができる。このよ
うな酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、好ま
しくは炭素数5〜12のアルキル側鎖を有するアルキル
フェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、ノニル
フェノール硫化カルシウム(calcium nonylphenol sulf
ide)、油溶性フェナート及び硫化フェナート、ホスホ
硫化(phosphosulfurized)又は硫化炭化水素又はエス
テル、リン酸エステル、チオカルバミン酸金属塩、米国
特許第4867890号記載の油溶性銅化合物、及びモ
リブデン含有化合物が挙げられる。少なくとも二つの芳
香族基が窒素に直接結合している芳香族アミン類は、酸
化防止用に頻繁に使用される化合物のもう一つのグルー
プを構成している。これらの化合物は少量で使用しても
よいが、本発明の推奨する実施例ではこれらの化合物は
使っていない。好ましくは、これらの化合物は少量、即
ち0.4重量%まででしか使用しないほうがよい。より
好ましくは、組成物の他の成分からの不純物程度の量で
ない限り、その使用をそっくり避けるほうがよい。
【0039】少なくとも二個の芳香族基が一個のアミン
の窒素に直接結合している一般的な油溶性芳香族アミン
類は、炭素原子を6〜16個有する。このアミン類は芳
香族基を二個より多く含んでいてもよい。全部で少なく
とも三個の芳香族基を有し、その内二個の芳香族基は共
有結合又は原子若しくは基(例えば酸素、硫黄原子、又
は−CO−、−SO2−、アルキレン基)によって連結
されており、二個はアミンの窒素原子一個に直接結合し
ているような化合物についても、少なくとも二個の芳香
族基が窒素に直接結合している芳香族アミン類とみなさ
れる。芳香環は、通常、アルキル基、シクロアルキル
基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アシル基、ア
シルアミノ基、ヒドロキシル基、及びニトロ基から選ば
れる一個以上の置換基によって置換されている。少なく
とも二個の芳香族基が一個のアミン窒素原子に直接結合
している油溶性芳香族アミン類は、いずれのものでも有
効成分が0.4重量%を超えないことが好ましい。
【0040】粘度向上剤の好適な例としては、ポリイソ
ブチレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、ポリメ
タクリレート、メタクリレート共重合体、不飽和ジカル
ボン酸とビニル化合物との共重合体、スチレンとアクリ
ル酸エステルとのインターポリマー、並びに、部分水素
化ブタジエンホモポリマー、部分水素化イソプレンホモ
ポリマーだけでなく部分水素化スチレン/イソプレン共
重合体、部分水素化スチレン/ブタジエン共重合体、及
び部分水素化イソプレン/ブタジエン共重合体が挙げら
れる。
【0041】最終オイル製品に含まれる他の成分と親和
性のある摩擦調節剤や燃費向上剤も添加できる。このよ
うな添加剤の例としては、高級脂肪酸のグリセリルモノ
エステル類、例えば、グリセリルモノオレエート;長鎖
のポリカルボン酸とジオールとのエステル類、例えば、
二量化した不飽和脂肪酸のブタンジオールエステル;オ
キサゾリン化合物類;並びにアルコキシル化したアルキ
ル置換モノアミン類、ジアミン類及びアルキルエーテル
アミン類、例えば、エトキシル化牛脂アミン及びエトキ
シル化牛脂エーテルアミンが挙げられる。推奨される潤
滑油組成物としては、本発明の分散剤組成物、基油、及
び窒素含有摩擦調整剤が含まれる。他の公知の摩擦調整
剤として油溶性有機モリブデン化合物がある。この有機
モリブデン摩擦調整剤も、潤滑油組成物に対して酸化防
止と磨耗防止の効果をもたらす。このような油溶性有機
モリブデン化合物の例として、ジチオカルバミン酸塩、
ジチオリン酸塩、ジチオホスフィン酸塩、キサントゲン
酸塩、チオキサントゲン酸塩、硫化物等、及びそれらの
混合物が挙げられる。特に好ましいのは、ジチオカルバ
ミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸モリブデ
ン、アルキルキサントゲン酸モリブデン、及びアルキル
チオキサントゲン酸モリブデンである。
【0042】さらに、モリブデン化合物は酸性モリブデ
ン化合物であってもよい。このような化合物はASTM
テストD−664又はD−2896の滴定の手法で測定
されるように塩基の窒素化合物と反応し通常は6価とな
る。モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブ
デン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、及び他のア
ルカリ金属のモリブデン酸塩や、その他のモリブデン
塩、例えば、モリブデン酸水素ナトリウム、MoOCl
4、MoO2Br2、Mo23Cl6、酸化モリブデン又は
同様の酸性モリブデン化合物が含まれる。本発明の組成
物において有用なモリブデン化合物に、次式の有機モリ
ブデン化合物がある。
【0043】 Mo(ROCS24 及びMo(RSCS24 (式中、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基及
びアルコキシアルキル基からなる群から選ばれる通常炭
素数1〜30個、好ましくは2〜12個の有機基を、特
に好ましくは炭素数2〜12のアルキル基を表す。)な
かでもモリブデンのジアルキルジチオカルバミン酸塩が
特に好ましい。
【0044】本発明の潤滑油組成物における有用な有機
モリブデン化合物のもう一つのグループは、三核モリブ
デン化合物で、なかでも式Mo3knzで表される化
合物及びその混合物である。上記式中、Lは化合物がオ
イルに溶解または分散されるのに十分な炭素原子数を有
する有機基を含む配位子から独立して選ばれ、nは1〜
4、kは4〜7、Qは水、アミン、アルコール、ホスフ
ィン、及びエーテル等の中性の電子供与性化合物からな
る群から選ばれ、zは0〜5で化学量論ではない値も含
む。すべての配位子の有機基を通して、炭素原子の数は
全部で少なくとも21個、例えば、少なくとも25個、
少なくとも30個、又は少なくとも35個存在するとよ
い。配位子は以下のグループからそれぞれ独立して、又
はこれらの混合物が選択される。
【0045】
【化2】 (式中、X、X1、X2及びYは、酸素と硫黄からなる群
から独立して選択され、R1、R2及びRは、水素と有機
基からそれぞれ独立して選択され、これらは同じでも異
なっていてもよい。)有機基が、アルキル基(例えば、
配位子の残りの部分に結合しているアルキル基中の炭素
原子が第一または第二炭素原子)、アリール基、置換ア
リール基、エーテル基のようなヒドロカルビル基である
ことが好ましい。さらに好ましいのは、各配位子が同じ
ヒドロカルビル基を有していることである。「ヒドロカ
ルビル」という用語は、本発明の文意においては、その
炭素原子が配位子の残りの部分に直接結合している置換
基を指し、特性としてヒドロカルビル優位であることを
示す。そのような置換基としては以下のものが含まれ
る。
【0046】1.炭化水素置換基。即ち、脂肪族置換基
(例えばアルキル基又はアルケニル基)、脂環族置換基
(例えばシクロアルキル基又はシクロアルケニル基)、
芳香族、脂肪族、脂環族置換の芳香核等、並びに環が配
位子の別の部位を通って完結している環状置換基(つま
り、ここに示されているいずれか二つの置換基が一緒に
なって脂環基を形成してもよい)。2.置換された炭化
水素置換基。本発明においては、置換基のヒドロカルビ
ル優位な特性を変えない炭化水素基以外のものを含んで
いる置換基である。好適な基(例えば、ハロゲン、とり
わけクロルとフルオル、アミノ基、アルコキシル基、メ
ルカプト基、アルキルメルカプト基、ニトロ基、ニトロ
ソ基、スルフォキシ基等)については当業者の知るとこ
ろであろう。3.ヘテロ置換基。即ち、本発明において
は、ヒドロカルビル優位な特性であるが、鎖又は環が炭
素原子だけからなるのでなく炭素以外の原子が存在する
置換基である。重要なのは、化合物がオイルに溶解又は
分散されるように配位子の有機基が十分な数の炭素原子
を含んでいることである。例えば、各基の炭素数は、通
常は約1〜約100個、好ましくは約1〜約30個、よ
り好ましくは約4〜約20個であろう。好ましい配位子
としては、ジアルキルジチオホスフェート、アルキルキ
サンテート、及びジアルキルジチオカルバメートがある
が、このなかでジアルキルジチオカルバメートがさらに
好ましい。上記の官能基を2個以上含む有機配位子は、
配位子として働くこともでき、また一つ以上のコアに結
合することもできる。本発明中の化合物を形成させるに
は、コアの電荷の均衡をとるために最適な電荷を有する
配位子を選択することが必要であることは当業者の理解
のかぎりであろう。式Mo3knzで表される化合物
は、陰イオンの配位子に囲まれた陽イオンのコアを有
し、陽イオンのコアは次のような構造式で表され、
【0047】
【化3】 最終電荷は+4となる。従って、これらのコアを溶解す
るためには、すべての配位子を合わせて電荷の合計が−
4でなければならない。一個の陰イオンを有する配位子
が4つあることが好ましい。いかなる理論に拘束される
ものではないが、二個以上の三核コアが結合している
か、一個以上の配位子によって相互に連結していればよ
く、また配位子は多座配位子であるとよいと考えられ
る。このような構造は本発明の範疇に入る。多座配位子
が一つのコアと複数の結合を有する場合も含まれる。酸
素及び/又はセレンがコアの硫黄に置き換えられていて
もよいと考えられる。
【0048】油溶性または分散性のある三核モリブデン
化合物を生成するには、適当な液体/溶媒中で、(NH
42Mo313・n(H2O)(式中、nは0〜2の範囲
で化学量論的でない値を含む)のようなモリブデンの供
給源を、テトラアルキルチウラムジスルフィドのような
好適な配位子の供給源になるものと反応させる。この他
にも油溶性または分散性のある三核モリブデン化合物
は、適当な溶媒中で、(NH42Mo313・n(H
2O)のようなモリブデンの供給源と、テトラアルキル
チウラムジスルフィド、ジアルキルジチオカルバメート
又はジアルキルジチオホスフェートのような好適な配位
子の供給源と、シアニドイオン、スルフィットイオン又
は置換ホスフィンのような硫黄抽出剤との反応で形成す
ることもできる。或いは、[M´]2[Mo376
(式中、M´は対イオンを表し、Aは塩素、臭素又は沃
素等のハロゲンを表す)のような三核モリブデン−硫黄
ハロゲン化塩を、適当な液体/溶媒中でジアルキルジチ
オカルバメート又はジアルキルジチオホスフェートのよ
うな配位子の供給源と反応させて、油溶性または分散性
のある三核モリブデン化合物を形成してもよい。適当な
液体/溶媒としては、例えば水性又は有機のものがよ
い。
【0049】化合物の油溶性または分散性は、配位子の
有機基における炭素数に左右されるようである。本発明
の化合物においては、すべての配位子の有機基中に炭素
原子が全部で少なくとも21個あるとよい。化合物が潤
滑油組成物中に溶解又は分散されるように、選択された
配位子の供給源がその有機基において十分な炭素原子数
を有していることが好ましい。ここで使用している「油
溶性」又は「分散性」という用語は、化合物又は添加剤
がオイルにどんな比率で含有されていても、オイルに可
溶性である、溶解される、混和性がある、あるいは懸濁
されうるということを必ずしも指すのではない。これら
の用語は、例えば、オイルの使用環境の中で化合物や添
加剤が意図した効果を十分に発揮できる程度にオイルに
溶解又は安定して分散されることを意味しているのであ
る。また、他の添加剤をさらに混入させることによっ
て、必要であれば特定の添加剤の含有量をより増やして
混入させることもできる。
【0050】モリブデン化合物は有機モリブデン化合物
であると好ましい。さらに、モリブデン化合物は、ジチ
オカルバミン酸モリブデン(MoDTC)、ジチオリン
酸モリブデン、ジチオホスフィン酸モリブデン、キサン
トゲン酸モリブデン、チオキサントゲン酸モリブデン、
硫化モリブデン、及びそれらの混合物からなる群から選
ばれることが好ましい。最も好ましいのは、モリブデン
化合物がジチオカルバミン酸モリブデンとして存在する
ことである。モリブデン化合物は三核モリブデン化合物
でもよい。潤滑油組成物のもう一つの推奨される実施例
においては、本発明の分散剤組成物を油溶性有機モリブ
デン化合物と一緒に使用するものである。
【0051】粘度指数向上分散剤は、粘度指数向上剤と
分散剤としての両方の機能をもつ。粘度指数向上分散剤
の例としては、例えばポリアミンのようなアミン類と、
化合物に粘度指数向上特性を与えるのに十分な長さの鎖
をヒドロカルビル置換基が有しているヒドロカルビル置
換モノカルボン酸又はジカルボン酸との反応生成物が挙
げられる。一般に、粘度指数向上分散剤の例としては、
ビニルアルコールの炭素数4〜24の不飽和エステル又
は炭素数3〜10の不飽和モノカルボン酸又は炭素数4
〜10のジカルボン酸と、炭素数4〜20の不飽和窒素
含有モノマーとのポリマー;炭素数2〜20のオレフィ
ンと、アミン又はヒドロキシアミン又はアルコールで中
和した炭素数3〜10の不飽和モノカルボン酸又はジカ
ルボン酸とのポリマー;或いは、エチレンと炭素数3〜
20のオレフィンとのポリマーで、このオレフィンには
炭素数4〜20の不飽和窒素含有モノマーをグラフトし
てあるか、又はポリマーの主鎖に不飽和酸をグラフト
し、グラフトした酸のカルボン酸基をアミン、ヒドロキ
シアミン又はアルコールと反応させてある。推奨される
潤滑油組成物の一つは、本発明の分散剤組成物、基油、
及び粘度指数向上分散剤を含有している。流動点降下
剤、または潤滑油流れ向上剤(LOFI)としても知ら
れているが、これは流体が流動し流出し始める最低温度
を下げる。このような添加剤はよく知られている。流体
の低温流動性を向上させるこの添加剤の代表として、炭
素数8〜18のジアルキルフマル酸エステル/酢酸ビニ
ル共重合体、及びポリメタクリレートが挙げられる。気
泡を制御するには、ポリシロキサン系の消泡剤、例えば
シリコーン油又はジメチルシロキサンで行える。
【0052】上記の添加剤のなかには、多様な効果をも
たらすことができるものがある。例えば、一つの添加剤
が分散剤と酸化防止剤として働くことができる。このア
プローチは公知であり本願明細書で詳細に説明する必要
はないものとする。本発明において、配合物の粘度を安
定に保つための添加剤を加える必要があるかもしれな
い。というのは、極性基含有添加剤は調合する前の段階
では粘度を好適に低くすることができるが、組成物によ
っては長い間の保存中にその粘度が上昇するものが認め
られている。このような粘度上昇をおさえるのに効果的
な添加剤としては、本願明細書ですでに開示したよう
に、無灰分散剤の調製の際に使用するモノカルボン酸若
しくはジカルボン酸又は無水物との反応によって官能基
化した長鎖の炭化水素化合物が含まれる。潤滑油組成物
に上記の添加剤が一種以上含まれる場合、基油の量をそ
れぞれの添加剤がその所望の機能を果たせるような量に
して調合するのが一般的である。このような添加剤をク
ランクケース潤滑油で使用する場合の添加剤の代表的な
有効量を下記に挙げる。列挙されている値は、すべて有
効成分の質量%で記載されている。
【0053】
【表2】
【0054】完全に処方された潤滑油組成物(潤滑粘度
のオイルにすべての添加剤が加えられたもの)のNoa
ck揮発度が12を超えない、例えば10を超えないこ
とが好ましく、8を超えないとさらに好ましい。必須で
はないが、添加剤を含有した一種以上の添加剤濃縮物
(濃縮物は添加剤パッケージと称する場合もある)を作
っておくことが望ましい。これによって、潤滑油組成物
を完成するために数種の添加剤をオイルに同時に添加す
ることができる。最終組成物中、濃縮物を5〜25質量
%、好ましくは5〜18質量%、通常10〜15質量%
の割合で使用すればよく、残りは潤滑粘度のオイルとな
る。以下の実施例を参照することによって本発明の理解
をさらに深めることとする。実施例においては、特に記
載がない限り、「部」はすべて「重量部」を示し、実施
例には本発明の推奨する実施態様が含まれる。
【0055】実施例 VW TDiエンジンテストとは、一連の「ディーゼル
のデポジットテスト」の厳しさの度合いを増した最新版
のテストである。業界内では潤滑油の性能を調べる非常
に厳しいテストとして認知され、このテストに合格すれ
ば、その潤滑油の処方が多くの点において選ばれること
になるほどである。TDiは、4気筒1.9リットル、
81kWの乗用車用ディーゼルエンジンである。これは
直接噴射系エンジンで、ユニットの出力を上げるために
使用するターボチャージャが付いている。この工業用テ
スト方法は、いわゆるPKサイクルと呼ばれる高温と低
温のランニング条件の繰り返しサイクルからなる。ゼロ
負荷で30分間のアイドリング期間(K(Kalt)
部)、その後に続く全負荷をかけての毎分回転数415
0rpmでの150分間(P(power)部)を伴
う。この全サイクルが合計で54時間にわたり繰り返さ
れる。この54時間の期間中、テストに供されている潤
滑油の最初に充填した4.5リットルを満タンにするこ
とはしない。つまり、蒸発、燃焼、そのたの物理的損失
となるメカニズムによって失われた分は問わない。
【0056】PKサイクルの期間中、油だめのバルクオ
イルの温度は、低温期間中の約40℃からPower期
間の145℃まで上昇する。ピストンの温度はさらに高
くなり、上方の二つのピストンリングはおよそ250〜
270℃という高温に遭遇していると推定される。これ
が、エンジンオイル潤滑油が耐久性を必要とする過酷な
条件を示すものであり、TDiテストが潤滑油の性能の
厳しいテストとして認められている所以でもある。54
時間のテストが終了した時点で、エンジンをからにして
分解し、ピストンについてはピストンへのカス堆積とピ
ストンリングの固着に関して等級付けを行う。これによ
って工業用標準オイル(RL206)を基準として評価
された結果がでるので、性能を満たしているか否かを定
義することができる。ピストンはDIN評価法にてらし
あわせて等級付けするもので、この評価法はカスの堆積
している範囲の面積を調べ等級付けするが、堆積してい
るカスの種類を制限して評価する。三箇所のピストング
ルーブ(溝)とグルーブ間のピストンランド二箇所を堆
積カスについて段階ごとに等級付けし、100の中から
段階をつける。この数がおおきくなればなるほど良好で
あり、100は完全清浄状態を指し、0は堆積物カスで
完全に覆われていることを指す。五箇所の等級の平均値
がだされることによってピストン清浄度の総合的等級が
与えられる。さらに四本のピストンそれぞれのスコアの
平均値がだされ、このテストにおける総合的ピストン清
浄度がでる。
【0057】リングについてもリング固着を評価する
が、このリング固着はグルーブにカスが過剰に溜まるこ
とによって起こりうる。全ピストンのリングすべてにお
ける平均値として、また四本のピストンのなかで見られ
た最も固着の激しいリングを評価結果とする。このテス
トでは、テスト終了時点でピストンの清浄度の有効な測
定結果を出すが、54時間というテストが行われている
最中に何がおこっているのかについてはほとんど洞察し
ていない。カスが堆積していくメカニズムによりしっか
りした見通しを与え、性能が影響している部分をより正
確に評価するために、VW TDi法は中間時点でのピ
ストンの評価ができるよう変更できる。そのようにする
には、エンジンを12時間ごとに止めて中のオイルを空
にして、取りはずして評価してから戻し、最初のテスト
用オイルをエンジンに戻し入れ運転を再開する。このよ
うにテストを変更してみると、カスはグルーブ1にすぐ
に堆積していることがわかり(これがリング固着につな
がる)、また、グルーブ3が54時間のテスト全体にわ
たって実質的に清浄なままであることは珍しくはないこ
とがわかった。そのため、このテストで観察すべき重要
な点はグルーブ2であり、このグルーブ2にはカスがた
まるがリング固着問題を引き起こすほどのカスの堆積は
被っていない。しかしながら、基本のVW TDiテス
ト法ではピストンの五箇所全体の結果から平均を出すの
で、上記の明瞭となった結果が実質的には曖昧にされて
しまう。このため、改変したVW TDiテスト法にお
いて、エンジンを36時間(基準オイル間での差別化が
最高になるテスト時間)動かし、グルーブ2の結果のみ
を考察する。
【0058】前掲のごとく改変したVW TDiテスト
法を用いて、本発明の潤滑油組成物を本発明とは合致し
ない組成物と比較した。テストに供されたすべての組成
物には同じグループIIIベースストックオイル市販品を
含有させ、分散剤と他の一般的な添加剤を含む添加剤パ
ッケージと粘度調整剤をそれぞれどの組成物にも同じ量
で含有させた。添加剤パッケージは、用いられた一種の
分散剤(又は複数の分散剤)のみが異なる。これらの高
分子分散剤(すべて約2200という同等の分子量(M
n)を有する)の特徴を下記表1にまとめる。
【0059】
【表3】 表1 *別の製造会社の市販品であり、このMWDは不明であ
り容易に求めることができなかったが、2.0より大き
いと思われる。上記の分散剤又はその混合物を使用し
て、潤滑油を下記表2に示すように処方した。
【0060】
【表4】 表2
【0061】上記のデータ(オイル1〜4)から、官能
基価を上げてスラッジやワニスの制御及びススに影響さ
れる粘度の調整を最適化するために窒素含有量がより高
くなると、ピストン清浄性の結果が悪くなることが明ら
かである。このことは、二番目のグルーブの清浄性(3
6時間テストにおけるPC Merit G2)と平均
点が65に下降するまでオイルが持ちこたえられる時間
(Pcav=65までの時間)に及ぼす官能基価の影響
によって示される。オイル1〜3とオイル5〜6を比較
してみると、分散剤を構成している先駆体ポリマーの分
子量分布が狭いと向上があることがわかる。繰り返しに
なるが、官能基価が高すぎると性能は落ちる。オイル3
を基準としてオイル7〜9をみると、適切な官能基価の
系を用いて硼化することによって改善が見られること、
また硼素/窒素比に驚くほど依存していることがわか
る。従って、適度な官能基価にすることを、分子量分布
の狭いポリマー又は軽度な硼化のどちらかと組み合わせ
ることができ、窒素の最適化が可能となり、それによっ
てピストンの堆積物カスの抑制を損なうことなくスラッ
ジやワニス、ススによる粘度増加(より高い官能基価に
起因)の制御ができる。極めて官能基価が高い分散剤で
は、ピストン清浄性が容認できないものとなる(オイル
4)。
【0062】高分子量の未硼化分散剤と過度に硼化した
低分子量分散剤(D9)を組み合わせて、オイル(オイ
ル10)を処方した。できあがったオイルは、この分散
剤の他は前述の実施例に記載したものと同一であった。
【0063】
【表5】 表3
【0064】本発明の分散剤組成物では、ピストンの堆
積物カスの制御が向上すると同時にスラッジやワニスの
制御、ススによる粘度増加の抑制のための窒素が改善さ
れたことがわかる。分散剤組成物とは無関係に、基油の
Noack揮発度がVW TDiテスト結果に及ぼす影
響を示すために、同一の市販のDI添加剤パッケージと
粘度調整剤、及びNoack揮発度が13.5%前後の
基油を使ってサンプルを調製した。結果を表4に示す。
【0065】
【表6】 表4 本発明の潤滑油組成物には、定義ずみの個々の、即ち、
独立した成分が含まれており、これらは混合の前後で化
学的に同一であっても変わってもよいということに留意
しておかなければならない。つまり、組成物の様々な成
分は、任意で用いる成分や従来から用いられている成分
だけでなく必須成分も、処方、保存或いは使用の条件下
で反応してもよいということがわかる。並びに、本発明
がこのような反応の結果により得られる、又は得られた
生成物に向けられたものであり、このようなものに関す
るものであることが理解できる。
【0066】ここに記載されているすべての特許、論文
及び他の文献の開示は、引用により本願明細書の記載に
そっくり含まれるものとする。本発明の原理、推奨され
る実施例、及び実施の形態についてここまで明細書に記
載してきた。出願人は出願人による発明を提出するもの
であるが、開示されている特定の実施例に限定的に解釈
されてはいけない。なぜならば開示した実施例は例示的
なものであり限定的なものではないからである。本発明
の精神から逸脱することなく当業者による変形や変更が
可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 159/22 C10M 159/22 169/04 169/04 // C10N 10:04 C10N 10:04 10:12 10:12 20:00 20:00 A 20:02 20:02 20:04 20:04 30:04 30:04 40:25 40:25 (72)発明者 ジェイコブ エマート アメリカ合衆国 ニューヨーク州 11218 ブルックリン アージール ロード 484 (72)発明者 レイモンド フェローズ イギリス オックスフォードシャー オー エックス18 2エヌアール バンプトン キャレイス ディーン 35 (72)発明者 アントニオ ガティアレズ アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08619 マーサーヴィル ター ヒールズ ロード 22 (72)発明者 ロバート ロブソン イギリス オックスフォードシャー オー エックス14 1ディーエス アービングド ン パーク ロード 4 Fターム(参考) 4H104 BF03C BG10C BH07C BJ05C DA02A DB06C EA02A EA03C EA04A FA02 FA06 LA02 PA41

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルケニル置換モノカルボン酸若し
    くはジカルボン酸、無水物又はエステルとポリアミンと
    の反応生成物である分散剤を一種以上含む硼素含有分散
    剤組成物であって、該分散剤の少なくとも一種が、数平
    均分子量が少なくとも約1800のポリアルケニル部位
    を有し、ポリアルケニル部位一個に対して約1.3個よ
    り多く約1.7個までの割合でモノカルボン酸又はジカ
    ルボン酸生成部位を有し、該分散剤組成物の窒素重量%
    に対する硼素重量%の比(B/N)が約0.05〜約
    0.24である分散剤組成物。
  2. 【請求項2】 B/N比が約0.10〜約0.15であ
    る請求項1記載の分散剤組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアルケニル置換モノカルボン酸若し
    くはジカルボン酸、無水物又はエステルがポリイソブテ
    ン無水コハク酸である請求項1記載の分散剤組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアミンが一分子中に平均して約6〜
    約7個の窒素原子を有する請求項1記載の分散剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 少なくとも一種の分散剤が、ポリアルケ
    ニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.6個ま
    での割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を
    有する請求項1記載の分散剤組成物。
  6. 【請求項6】 ポリアミンが少なくとも一個の第一アミ
    ン部位を有し、少なくとも一種の分散剤が、前記のポリ
    アミンの第一アミン部位一個に対して約0.8から約
    1.0個の割合でスクシニル部位を有する請求項1記載
    の分散剤組成物。
  7. 【請求項7】 ポリアルケニル部位一個に対してモノカ
    ルボン酸又はジカルボン酸生成部位を1.3個未満の割
    合で有する第一の硼化分散剤と、数平均分子量が少なく
    とも約1800のポリアルケニル部位を有し、ポリアル
    ケニル部位一個に対して約1.3個より多く約1.7個
    までの割合でモノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位
    を有する第二の未硼化分散剤とを含む請求項1記載の分
    散剤組成物。
  8. 【請求項8】 硼化分散剤以外の硼素供給源によって硼
    素が該組成物に供給されている請求項1記載の分散剤組
    成物。
  9. 【請求項9】 該硼素供給源が、硼化した分散粘度指数
    向上剤;アルカリ金属硼酸塩、混合アルカリ金属の硼酸
    塩、又はアルカリ土類金属硼酸塩;硼化した過塩基性の
    金属洗浄剤;硼化したエポキシド;硼酸エステル;及び
    硼酸アミドからなる群から選ばれる請求項8記載の分散
    剤組成物。
  10. 【請求項10】 B/N比が約0.4〜約1.2で官能基
    価が1.3未満の第一の硼化分散剤と、数平均分子量が
    少なくとも約1800のポリアルケニル部位を有し、官
    能基価が約1.3より多く約1.7までの第二の未硼化
    分散剤とを含む請求項1記載の分散剤組成物。
  11. 【請求項11】 数平均分子量が少なくとも約1800
    のポリアルケニル部位を有し、ポリアルケニル部位一個
    に対して約1.3個より多く約1.7個までの割合でモ
    ノカルボン酸又はジカルボン酸生成部位を有する分散剤
    を、分散剤組成物の少なくとも30重量%含む請求項1
    記載の分散剤組成物。
  12. 【請求項12】 一種以上の分散剤のうち、少なくとも
    一種の分散剤のポリアルケニル部位は数平均分子量(M
    n)が約1800〜約3000である請求項1記載の分
    散剤組成物。
  13. 【請求項13】 該ポリアルケニル部位の分子量分布
    (Mw/Mn)が約1.5〜約2.0である請求項12
    記載の分散剤組成物。
  14. 【請求項14】 該組成物中の硼素の含有量が、有効分
    散剤の全重量を基準として約0.1〜約0.8重量%で
    ある請求項1記載の分散剤組成物。
  15. 【請求項15】 多量の潤滑粘度のオイルと少量の請求
    項1記載の分散剤組成物とを含有する潤滑油組成物。
  16. 【請求項16】 潤滑粘度のオイルがグループ3オイ
    ル、グループ4オイル、グループ5オイル又はそれらの
    混合物である請求項15記載の潤滑油組成物。
  17. 【請求項17】 潤滑粘度のオイルのNoack揮発度
    が13.5%以下であり、粘度指数(VI)が少なくと
    も120である請求項16記載の潤滑油組成物。
  18. 【請求項18】 該組成物のNoack揮発度が12%
    以下である請求項17記載の潤滑油組成物。
  19. 【請求項19】 潤滑油組成物が、さらにモリブデン含
    有摩耗防止剤、摩擦調整剤又は酸化防止剤、サリチル酸
    カルシウム洗浄剤、窒素含有摩擦調整剤、及び多機能型
    粘度調整剤からなる群から選ばれる少なくとも一種の補
    助的添加剤を少量含有している請求項16記載の潤滑油
    組成物。
  20. 【請求項20】 潤滑油組成物中のリン含有量が、潤滑
    油組成物の全重量を基準として0.08重量%以下であ
    る請求項15記載の潤滑油組成物。
  21. 【請求項21】 多量の潤滑粘度のオイルと、請求項1
    記載の分散剤組成物有効成分を潤滑油組成物の全重量を
    基準として約0.5〜約7重量%含有する潤滑油組成
    物。
  22. 【請求項22】 通常は液体の実質的に不活性な有機溶
    剤又は希釈剤を約40〜90重量%と、請求項1記載の
    分散剤組成物を含む添加剤有効成分を約10〜約60重
    量%含有する添加剤濃縮物。
  23. 【請求項23】 作動中の内燃機関のピストンの清浄度
    を改善する方法であって、該内燃機関を請求項15記載
    の潤滑油組成物を使って潤滑するステップを含む方法。
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