JP3720947B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用潤滑油組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、内燃機関のピストンリング溝などに生成するデポジットの抑制及び耐摩耗性などに優れ、特にディーゼルエンジン油やガソリンエンジン油などとして好適な内燃機関用潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内燃機関においては、主としてピストンリングとシリンダライナ、クランク軸や連接棒(コネクティングロッド)の軸受、カムとバルブリフタを含む動弁機構など、各種摺動部分の潤滑のほか、エンジン内の冷却や燃焼生成物の清浄分散、さらには錆や腐食を防止するなどの目的で、潤滑油が用いられている。
このように、内燃機関用潤滑油には多様な性能が要求され、しかも近年、内燃機関の高性能化、高出力化、運転条件の過酷化などに伴い、高度な性能が要求されてきている。したがって、内燃機関用潤滑油には、このような要求性能を満たすために、例えば、摩耗防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、酸化防止剤などの種々の添加剤が配合されている。
これまで、内燃機関用潤滑油、特にディーゼルエンジン用潤滑油には、清浄分散剤として、金属清浄剤と無灰分散剤とが併用されている。金属清浄剤としては、一般にアルカリ金属やアルカリ土類金属のフェネート、スルフォネート、サリシレート、ホスフォネート及びこれらの過塩基化物などが使用されている。一方、無灰分散剤としては、一般にポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸イミド、ポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸アミド、ポリアルケニル又はポリアルキルベンジルアミン及びこれらのホウ素処理物などが使用されている。
ところで、近年、自動車の高速化に伴い高性能エンジンが要求されるようになり、特にディーゼルエンジンにおいては、そのピストン周辺部はもとより各摺動部は、従来のディーゼルエンジンに比べてかなり高温となっている。したがって、ピストン周辺部に対しては使用される潤滑油の清浄性の向上(デポジットの抑制)と各摺動部に対しても高温での耐摩耗性の向上が必要である。
従来、ディーゼルエンジン用潤滑油としては、例えば、鉱油や合成油にカルシウムフェネート、マグネシウムスルフォネート及びアルケニルコハク酸イミドを添加した組成である固形不純物凝集性ディーゼルエンジン油(特公平3−29839号公報)、基油に無灰分散剤、硫化アルキルフェノール及び有機硫黄化合物を含有させたヘビーデューティーディーゼル潤滑油(特開平1−163294号公報)などが提案されている。
しかしながら、これらの添加剤の組み合せでは、それぞれの所望の目的は達成されているものの、前記したようなピストン周辺部における清浄性及び各摺動部における高温での耐摩耗性を十分満足させることができないという課題がある。さらに、最近、エンジン清浄性及び耐デポジット性を発現させることのできる低灰分のディーゼルエンジン用潤滑油組成物が提案されている(特開平7−102273号公報)。この潤滑油組成物は、ホウ素系無灰分散剤5〜20重量%、及び塩基価(過塩素酸法)が0〜200mgKOH/gのスルフォネート類、フェネート類及びサリチレート類の中から選ばれた少なくとも1種の金属清浄剤0.01〜30重量%を含有するものであって、組成物中の硫酸灰分量が1.0重量%以下で、かつホウ素含有量が0.1重量%以上のものである。しかしながら、この潤滑油組成物においては、ホウ素系無灰分散剤の含有量が多すぎるため窒素量が増え、シールゴム、低温粘度特性などに悪影響を及ぼすとともに、コスト面でも不利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、内燃機関のピストンリング溝などのピストン周辺部に生成するデポジットの抑制に優れるとともに、各摺動部における耐摩耗性に優れ、かつシールゴムなどに対する悪影響も少なく、低温特性、蒸発特性も優れ、しかもコスト面で有利であって、特にディーゼルエンジン油やガソリンエンジン油などとして好適な内燃機関用潤滑油組成物を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する内燃機関用潤滑油組成物を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の粘度を有する基油に対し、特定の分子量及び分子量分布を有するホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び/又はホウ素含有コハク酸イミド系化合物を、窒素の量が所定の低い範囲になるように配合し、かつ過塩基性金属フェネートを、所定の割合で配合してなる特定の塩基価を有する組成物が、その目的に適合しうることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)100℃における動粘度が3.0〜12.0mm2/sであり、重質油の配合割合が潤滑油基油基準で5重量%以上である基油に、組成物全量基準で、(A)数平均分子量(Mn)600〜3,200、重量平均分子量(Mw)900〜3,500及びMw/Mn比が1.1〜1.4のホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び/又はホウ素含有コハク酸イミド化合物を、窒素の量として0.02〜0.15重量%となるよう配合し、かつ、(B)塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性金属フェネート1.0〜5.0重量%を配合し、過塩基性金属フェネート由来の塩基価が5〜17mgKOH/gであることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物、を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)(A)成分がホウ素含有コハク酸イミド系化合物であり、組成物全体の中でホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素量が0.005〜0.1重量%である第(1)項記載の内燃機関用潤滑油組成物、及び、
(3)さらに塩基価50mgKOH/g以下の中性金属スルフォネートを0.5〜3.0重量%配合した第(1)項又は第(2)項記載の内燃機関用潤滑油組成物、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の潤滑油組成物においては、基油として、100℃における動粘度が3.0〜12.0mm2/sの範囲にあるものを用いることが必要である。この動粘度が上記範囲を逸脱するものでは、耐デポジット性及び耐摩耗性に優れる潤滑油組成物が得られにくく、本発明の目的が達せられない。
本発明の潤滑油組成物に用いられる基油としては、特に限定されるものではなく、鉱油系基油、合成系基油のいずれか、または、これらの混合系基油を挙げることができる。
鉱油系基油としては、例えば、パラフィン系、中間基系またはナフテン系原油の常圧蒸溜残渣の減圧蒸溜により得られる潤滑油留分を溶剤精製、水素化分解、水素化処理、水素化精製、接触脱蝋、溶剤脱蝋、白土処理等の精製工程により処理して得られる鉱油、減圧蒸溜残渣を溶剤脱瀝に供したのち、脱瀝油を上記の精製工程により処理して得られる鉱油、または、ワックス分の異性化により得られる鉱油等またはこれらの混合油を用いることができる。上記の溶剤精製においては、フェノール、フルフラール、N−メチル−ピロリドン等の芳香族抽出溶剤が用いられ、また、溶剤脱蝋の溶剤としては、液化プロパン、MEK/トルエン等が用いられる。
一方、合成系基油としては、例えば、ポリα−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、アルキルベンゼン、トリメチロールプロパンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のポリオールエステル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールエステル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、シリコーン油等を挙げることができる。これらの基油はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組合せて用いることもできる。
本発明では基油を100℃における動粘度により、以下のごとく分類する。すなわち、100℃における動粘度が2.0mm2/s〜4.5mm2/s未満である基を軽質油、4.5mm2/s〜11.0mm2/s未満である基油を中質油、11.0mm2/s〜2,500.0mm2/sである基油を重質油とする。
本発明の潤滑油組成物においては、重質油の配合割合は潤滑油基油基準で5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは16重量%以上である。
【0006】
本発明の潤滑油組成物においては、(A)成分としてホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び/又はホウ素含有コハク酸イミド系化合物が用いられる。ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物としては、例えば、一般式[1]
【化1】
Figure 0003720947
で表されるモノポリアルケニル若しくはポリアルキルコハク酸イミド、又は、一般式[2]
【化2】
Figure 0003720947
で表されるビスポリアルケニル若しくはポリアルキルコハク酸イミドなどが挙げられる。また、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物としては、例えば、一般式[1]で表されるモノポリアルケニル若しくはポリアルキルコハク酸イミドをホウ素化合物で処理したもの、又は、一般式[2]で表されるビスポリアルケニル若しくはポリアルキルコハク酸イミドをホウ素化合物で処理したものなどが挙げられる。
一般式[1]及び[2]において、R1、R3及びR4は、それぞれ炭素数2〜8程度のα−オレフィンのオリゴマー残基又はその水素化物であって、R3及びR4はたがいに同一でも異なっていてもよい。また、R2、R5及びR6は、それぞれ炭素数2〜4のアルキレン基であり、R5及びR6はたがいに同一でも異なっていてもよい。mは1〜10の整数、nは0〜10の整数である。
【0007】
本発明においては、(A)成分のホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物として、一般式[1]で表されるモノ型の化合物を用いてもよいし、一般式[2]で表されるビス型の化合物を用いてもよく、またこれらの混合物を用いてもよい。また、(A)成分のホウ素含有コハク酸イミド系化合物として、一般式[1]で表されるモノ型のホウ素処理物を用いてもよいし、一般式[2]で表されるビス型のホウ素処理物を用いてもよく、またこれらの混合物を用いてもよい。
また、本発明においては、この(A)成分のホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及びホウ素含有コハク酸イミド系化合物は、数平均分子量(Mn)が600〜3,200、重量平均分子量(Mw)が900〜3,500の範囲にあり、かつMw/Mn比が1.1〜1.4の範囲にあることが必要である。このMn、Mw及びMw/Mn比が上記範囲を逸脱するものでは、耐デポジット性及び耐摩耗性に優れる潤滑油組成物が得られにくく、本発明の目的が達せられない。
特に、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物のビス型で高分子量(Mwが約1,500〜3,500、特に2,500〜3,300)のものが、デポジット量の抑制効果の観点から好ましい。
一般式[1]及び[2]で表されるポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸イミドは、通常ポリオレフィンと無水マレイン酸との反応で得られるポリアルケニルコハク酸無水物又はその水素化物であるポリアルキルコハク酸無水物を、ポリアルキレンポリアミンと反応させることによって製造することができる。前記のポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸イミドのモノ体及びビス体は、ポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸無水物とポリアルキレンポリアミンとの反応比率を変えることにより製造することができる。
【0008】
ポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸イミドの製造において、原料として用いられるポリオレフィンとしては、炭素数2〜8程度のα−オレフィンを重合して得られたものの中から、最終製品のホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及びホウ素含有コハク酸イミド系化合物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びMw/Mn比が前記範囲になるように、適宜選ばれ使用される。また、ポリオレフィンを形成するα−オレフィンは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリオレフィンとしては、特にポリブテンが好適である。
一方、ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリブチレンポリアミンなどが挙げられるが、これらの中でポリエチレンポリアミンが好適である。
また、ポリアルケニル又はポリアルキルコハク酸イミドのホウ素処理物は、常法により製造することができる。このホウ素処理物中のホウ素の含有量は、通常0.1〜5重量%の範囲であり、好ましい含有量は0.1〜2重量%の範囲である。
なお、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及びホウ素含有コハク酸イミド系化合物数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定し、ポリスチレン換算の値として求めることができる。
【0009】
また、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物とホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物は混合して用いてもよい。その混合割合は、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物が25重量%以上で、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物が75重量%以下であることが好ましい。ホウ素含有コハク酸イミド系化合物の混合割合が25重量%未満ではスラッジの分散性が不十分となる場合があり、また、耐摩耗性に悪影響を与える場合があり、本発明の目的が十分に達せられない場合がある。
本発明の潤滑油組成物においては、組成物全量に基づき、(A)成分を、窒素の量として0.02〜0.15重量%であるよう含有することが必要で、好ましくは0.05〜0.13重量%である。この窒素の含有量が0.02重量%未満であると、スラッジの分散性が不十分で本発明の目的が達せられないし、0.15重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろシールゴムなどに悪影響を及ぼすおそれが生じると共に低温粘度が悪化し、また経済的にも不利となる。
【0010】
次に、本発明の潤滑油組成物においては、(B)成分である塩基価が100mgKOH/g以上の過塩基性金属フェネートが用いられる。過塩基性金属フェネートの塩基価が100mgKOH/g未満であると、耐デポジット性及び酸化防止作用に優れる潤滑油組成物が得られず、本発明の目的が達せられない。効果の点から、この過塩基性金属フェネートの好ましい塩基価は100〜450mgKOH/gの範囲であり、特に120〜350mgKOH/gの範囲が好適である。
このような過塩基性金属フェネートとしては、塩基価が上記範囲にあればよく、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキルフェノールやアルキルフェノール硫化物のアルカリ土類金属塩、及び、このものをアルカリ土類金属水酸化物又は酸化物と二酸化炭素とにより、さらに過塩基化したものなどが好適である。ここで、アルカリ土類金属塩としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などが挙げられ、特にカルシウム塩が好適である。
本発明においては、(B)成分の過塩基性金属フェネートは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、またその含有量は、組成物全量に基づき、1.0〜5.0重量%の範囲で選ばれる。この含有量が1.0重量%未満であると、耐デポジット性及び酸化防止作用に優れる潤滑油組成物が得られず、本発明の目的が達せられないし、5.0重量%を超えると、その量の割には効果の向上がみられず、むしろ耐デポジット性が低下するとともに、灰分が増加し、燃焼室内に堆積して、燃焼性に悪影響を及ぼす。
【0011】
本発明の潤滑油組成物においては、所望により、耐デポジット性をさらに向上させるために、上記(B)成分と共に、塩基価50mgKOH/g以下の中性金属スルフォネートを配合してもよい。この中性金属スルフォネートは、耐デポジット性を向上させ、加えて、さび止め性を更に向上させる。この中性金属スルフォネートの塩基価が50mgKOH/gを超えるものでは、中性金属スルフォネートを配合した効果が十分に発揮されない。
中性金属スルフォネートとしては、塩基価が上記範囲にあるものが好ましく、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、アルキル置換された芳香族化合物スルホン化物のカルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などが挙げられるが、これらの中で、特にカルシウム塩が好適である。
本発明においては、中性金属スルフォネートは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、またその含有量は、組成物全量に基づき、0.5〜3.0重量%の範囲であることが好ましい。中性金属スルフォネートの配合量が0.5重量%未満では、中性金属スルフォネートを配合した効果が十分に発揮されず、3.0重量%を超えるとその量の割には効果の向上がみられず、むしろ耐デポジット性が低下するとともに、灰分が多くなり、燃焼室内に堆積して燃焼性に悪影響を与える。
このようにして調製された本発明の潤滑油組成物は、過塩基性金属フェネート由来の塩基価が5〜17mgKOH/gの範囲にあることが必要である。特に8〜13mgKOH/gの範囲にあることが、デポジット抑制の観点から好ましい。この塩基価が上記範囲を逸脱すると耐デポジット性及び酸化防止作用が低下し、本発明の目的が達せられない。
なお、本発明において、過塩基性金属フェネート及び中性金属スルフォネートの塩基価は、いずれも塩酸法(JIS K 2501に準拠)により測定することができる。
【0012】
本発明の潤滑油組成物において、潤滑油基油中の重質油の配合割合が5重量%以上であり、(A)成分としてホウ素含有コハク酸イミド系化合物を配合した場合には、重質油配合割合が5〜25重量%であり、中質油配合割合が10〜40重量%であり、軽質油配合割合が35〜74重量%であることが特に好ましい。重質油、中質油及び軽質油のそれぞれが、上記の割合に配合されていると、潤滑油組成物は、耐デポジット性及び耐摩耗性に加えて、低温粘度及び蒸発特性においても特に優れたものとなる。
本発明の潤滑油組成物において、(A)成分がホウ素含有コハク酸イミド系化合物である場合には、組成物全体の中でホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素量が0.005〜0.1重量%であることが好ましい。ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素量が0.005重量%以上であると、スラッジの分散効果が十分に発揮される。ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素量が0.1重量%を超えると、その量の割には効果の向上がみられず、シールゴムや低温粘度特性などに悪影響を及ぼす。
【0013】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、従来内燃機関用潤滑油に慣用されている他の添加成分、例えば、摩耗防止剤、摩擦調整剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを適宜添加することができる。
摩耗防止剤としては、例えば、ジチオリン酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Znなど)、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、亜リン酸エステルのアミン塩などを挙げることができ、これらは、通常、0.05〜5重量%の割合で使用される。中でもジチオリン酸亜鉛が好ましく、下記一般式[3]で表される。
【化3】
Figure 0003720947
上記一般式[3]において、R7、R8は水素原子又は炭素数1〜26の炭化水素基であり、炭化水素基としては、炭素数1〜26の第1級(プライマリー)又は第2級(セカンダリー)アルキル基;炭素数2〜26のアルケニル基;炭素数3〜26のシクロアルキル基;炭素数3〜26のアリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基;又はエステル結合、エーテル結合、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を含む炭化水素基である。好ましくは炭素数2〜12のアルキル基、炭素数8〜18のシクロアルキル基、炭素数8〜18のアルキルアリール基であり、各々、互いに同一であっても異なってもよい。
また、第1級ジチオリン酸亜鉛と第2級ジチオリン酸亜鉛の混合物が好ましく、その配合割合は、20:80〜80:20(重量比)であることが好ましい。組成物全体の中でジチオリン酸亜鉛由来のリン量が0.05〜0.20重量%であることが好ましい。組成物全体の中でジチオリン酸亜鉛由来のリン量が0.05重量%未満であると、高温かつ低速回転の運転条件で満足できる摩耗防止性が得られ難くなるおそれがある。組成物全体の中でジチオリン酸亜鉛由来のリン量が0.20重量%を超えると、その量の割には耐摩耗性効果の向上が認められない。
【0014】
摩擦調整剤としては、例えば、モリブデン系、アミン系、リン酸エステル系などがあり、これらは通常0.05〜5重量%の割合で使用される。
酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらは、通常0.05〜2重量%の割合で使用される。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系、オレフィンコポリマー系(ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系)などが挙げられる。特に、分散型のオレフィンコポリマー(エチレン−プロピレン共重合体)で油中のポリマー量が0.1〜1重量%のものがデポジット量抑制効果の観点から好ましい。
流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えば、アルケニルコハク酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、チアジアゾールなどが、消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ポリアクリレートなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、デポジット生成量、低温粘度及び蒸発損失は、次に示す方法に従って求めた。
1.デポジット生成量
ディーゼルエンジン内における潤滑油の使用状態を模擬し、供試油に市販カーボンブラック6重量%を混合したものを、1.0g/hrの速度でマイクロシリンジ先端より加熱アルミニウム製パネル上に滴下する。油は斜傾したパネル上で炭化してデポジットを生成する。パネル斜傾角:8度、パネル温度:310℃の条件で3時間試験後、生成したデポジット中に残存する油分を石油エーテルにて抽出し、試験前後のパネル重量差により、デポジット生成量を求める。図1に、デポジット生成量評価装置の概略図を示す。
2.低温粘度
JIS K 2010「コールド・クラッキング・シミュレーターを用いた−40℃から0℃のエンジン油の見掛け粘度試験方法」に準拠して、−20℃において測定した。
3.蒸発損失
JPI−5S−41−93「エンジン油蒸発性試験方法」に準拠して測定した。
また、基油及び添加剤として、以下に示すものを用いた。
(1)基油
BO−1;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)86重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)14重量%との混合物、100℃動粘度:5.1mm2/s
BO−2;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)80重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)20重量%との混合物、100℃動粘度:5.3mm2/s
BO−3;溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)84重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)16重量%との混合物、100℃動粘度:5.4mm2/s
BO−4;水素化分解鉱油基油100N(100℃動粘度:4.1mm2/s)86重量%と水素化分解鉱油基油650N(100℃動粘度:13.0mm2/s)14重量%との混合物、100℃動粘度:5.0mm2/s
BO−5;溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)80重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)20重量%との混合物、100℃動粘度:5.6mm2/s
BO−6;溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)75重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)25重量%との混合物、100℃動粘度:5.9mm2/s
BO−7;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)68重量%と溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)16重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)16重量%との混合物、100℃動粘度:5.2mm2/s
BO−8;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)64重量%と溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)16重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)20重量%との混合物、100℃動粘度:5.4mm2/s
BO−9;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)63重量%と溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)12重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)25重量%との混合物、100℃動粘度:5.6mm2/s
BO−10;溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)25重量%とワックス異性化油(100℃動粘度:4.5mm2/s)75重量%との混合物、100℃動粘度:5.6mm2/s
BO−11;溶剤精製鉱油基油100N(100℃動粘度:4.4mm2/s)90重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)10重量%との混合物、100℃動粘度:4.7mm2/s
BO−12;水素化分解鉱油基油100N(100℃動粘度:4.1mm2/s)95重量%とエチレンプロピレンコポリマー(100℃動粘度:600mm2/s)5重量%との混合物、100℃動粘度:4.8mm2/s
BO−13;溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)96重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)4重量%との混合物、100℃動粘度:4.7mm2/s
(2)コハク酸イミド系化合物
A−1;ホウ素0.2重量%含有コハク酸イミド系化合物、Mn:2,380、Mw:2,990、Mw/Mn:1.26
A−2;ホウ素0.3重量%含有コハク酸イミド系化合物、Mn:3,050、Mw:3,300、Mw/Mn:1.08
A−3;ホウ素0.1重量%含有コハク酸イミド系化合物、Mn:2,310、Mw:4,670、Mw/Mn:2.02
A−4;ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物、Mn:1,480、Mw:1,820、Mw/Mn:1.23
A−5;ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物、Mn:1,750、Mw:2,100、Mw/Mn:1.20
A−6;ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物、Mn:2,650、Mw:2,800、Mw/Mn:1.06
A−7;ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物、Mn:3,030、Mw:5,290、Mw/Mn:1.75
A−8;ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物、Mn:920、Mw:1,100、Mw/Mn:1.20
(3)金属フェネート、金属スルフォネート
B−1;カルシウムフェネート、塩基価:280mgKOH/g
B−2;カルシウムスルフォネート、塩基価:20mgKOH/g
B−3;カルシウムスルフォネート、塩基価:300mgKOH/g
B−4;カルシウムフェネート、塩基価:50mgKOH/g
実施例1
溶剤精製鉱油基油100N(100℃における動粘度:4.4mm2/s)86重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃における動粘度:13.3mm2/s)14重量%との混合物で、100℃における動粘度が5.1mm2/sである潤滑油基油(BO−1)に、無灰分散剤としてホウ素0.2重量%を含有し、Mn:2,380、Mw:2,990、Mw/Mn:1.26であるコハク酸イミド系化合物(A−1)を6.0重量%、金属清浄剤として塩基価が280mgKOH/gであるカルシウムフェネート(B−1)を3.6重量%配合し、さらに摩耗防止剤として炭素数4〜8の第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛と炭素数3〜6の第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛の50:50(重量比)混合物を1.2重量%、酸化防止剤としてジフェニルアミンを0.5重量%、粘度指数向上剤としてエチレン−プロピレン共重合体を5.0重量%(油中ポリマー量0.5重量%)、流動点降下剤としてポリメタクリレートを0.2重量%及び消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.01重量%配合して、内燃機関用潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の金属清浄剤由来の塩基価は10.0mgKOH/gであり、窒素含有量は0.06重量%であり、ホウ素含有量は0.01重量%であり、リン含有量は0.12重量%であった。
この内燃機関用潤滑油組成物のデポジット生成量は121mgであり、低温粘度は2,800mp・sであった。
実施例2〜12、21〜24
実施例1と同様にして、第1表に示す種類の基油を用い、第1表に示す種類と量のホウ素含有コハク酸イミド系化合物、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び過塩基性金属フェネート、中性金属スルフォネートを配合し、かつ摩耗防止剤として炭素数4〜8の第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛と炭素数3〜6の第2級ジアルキルジチオリン亜鉛の50:50(重量比)混合物を1.2重量%、酸化防止剤としてジフェニルアミンを0.5重量%、粘度指数向上剤としてエチレン−プロピレン共重合体を5.0重量%(油中ポリマー量0.5重量%)、流動点降下剤としてポリメタクリレートを0.2重量%及び消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.01重量%配合して、14種類の内燃機関用潤滑油組成物を調製した。
これらの潤滑油組成物の各添加剤由来の塩基価(金属清浄剤由来)、窒素含有量、ホウ素含有量、リン含有量、デポジット生成量及び低温粘度を求めた。その結果を第1表に示す。
実施例13
溶剤精製鉱油基油150N(100℃動粘度:4.7mm2/s)84重量%と溶剤精製鉱油基油650N(100℃動粘度:13.3mm2/s)16重量%との混合物で、100℃動粘度が5.4mm2/sである潤滑油基油(BO−3)に、無灰分散剤として、Mn:1,750、Mw:2,100、Mw/Mn:1.20であるホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物(A−5)を10.0重量%、金属清浄剤として塩基価が280mgKOH/gであるカルシウムフェネート(B−1)を3.6重量%配合し、さらに摩耗防止剤として炭素数4〜8の第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛と炭素数3〜6の第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛の50:50(重量比)混合物を1.2重量%、酸化防止剤としてジフェニルアミンを0.5重量%、粘度指数向上剤としてエチレン−プロピレン共重合体を5.0重量%(油中ポリマー量0.5重量%)、流動点降下剤としてポリメタクリレートを0.2重量%及び消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.01重量%配合して、内燃機関用潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物の金属清浄剤由来の塩基価は10.0mgKOH/gであり、窒素含有量は0.1重量%であった。
この内燃機関用潤滑油組成物のデポジット生成量は、90mgであり、低温粘度は3,800mp・s、蒸発損失(NOACK)は14.1mass%であった。
実施例14〜20
実施例13と同様にして、第1表に示す種類の基油を用い、第1表に示す種類と量のホウ素含有コハク酸イミド系化合物、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び過塩基性金属フェネート、中性金属スルフォネートを配合し、かつ摩耗防止剤として炭素数4〜8の第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛と炭素数3〜6の第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛の50:50(重量比)混合物を1.2重量%、酸化防止剤としてジフェニルアミンを0.5重量%、粘度指数向上剤としてエチレン−プロピレン共重合体を5.0重量%(油中ポリマー量0.5重量%)、流動点降下剤としてポリメタクリレートを0.2重量%及び消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.01重量%配合して、7種類の内燃機関用潤滑油組成物を調製した。
これらの潤滑油組成物の各添加剤由来の塩基価(金属清浄剤由来)、窒素含有量、ホウ素含有量、リン含有量、デポジット生成量、低温粘度及び蒸発損失を求めた。その結果を第1表に示す。
【0016】
【表1】
Figure 0003720947
【0017】
【表2】
Figure 0003720947
【0018】
【表3】
Figure 0003720947
【0019】
【表4】
Figure 0003720947
【0020】
[注]
1)過塩基性金属フェネート、中性金属スルフォネート由来の塩基価
2)ホウ素含有コハク酸イミド系化合物、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物由来の窒素含有量
3)ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素含有量
比較例1〜19
実施例1と同様にして、第2表に示す種類の基油を用い、第2表に示す種類と量のホウ素含有コハク酸イミド、ホウ素を含有しないコハク酸イミド及び過塩基性金属フェネート、中性金属スルフォネートを配合し、さらに摩耗防止剤として炭素数4〜8の第1級ジアルキルジチオリン酸亜鉛と炭素数3〜6の第2級ジアルキルジチオリン酸亜鉛の50:50(重量比)混合物を1.2重量%、酸化防止剤としてジフェニルアミンを0.5重量%、粘度指数向上剤としてエチレン−プロピレン共重合体を5.0重量%、流動点降下剤としてポリメタクリレートを0.2重量%及び消泡剤としてジメチルポリシロキサンを0.01重量%配合して、22種類の内燃機関用潤滑油組成物を調製した。
これらの潤滑油組成物の各添加剤由来の塩基価(金属清浄剤由来)、窒素含有量、ホウ素含有量及びデポジット生成量を求めた。その結果を第2表に示す。
【0021】
【表5】
Figure 0003720947
【0022】
【表6】
Figure 0003720947
【0023】
【表7】
Figure 0003720947
【0024】
【表8】
Figure 0003720947
【0025】
[注]
1)金属フェネート、金属スルフォネート由来の塩基価
2)ホウ素含有コハク酸イミド系化合物、ホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物由来の窒素含有量
3)ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来のホウ素含有量
第1表の結果から、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、いずれもデポジット生成量が約30〜150mg程度で少なく、特に実施例13〜20については低温粘度及び蒸発損失にも優れていることが分かる。
これに対し、第2表に見られるように、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来の窒素含有量が少なすぎる比較例1及びMw/Mnが小さく、窒素含有量が多すぎる比較例2の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。ホウ素含有コハク酸イミド系化合物のMwが大きすぎる比較例3、Mn、Mw及びMw/Mnが大きすぎる比較例4の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。組成物の塩基価が小さすぎる比較例5及び組成物の塩基価が大きすぎる比較例6の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。過塩基性金属フェネートの代わりに金属スルフォネートを配合した比較例7及び比較例8の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。重質油(基油)が16重量%以上の場合、ホウ素含有コハク酸イミド系化合物由来の窒素含有量が少なすぎる比較例9の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。金属フェネートの塩基価が小さすぎる比較例10の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。コハク酸イミド系化合物のMn、Mw及びMw/Mnが大きすぎる比較例11〜15の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。コハク酸イミド系化合物のMw/Mnが小さすぎる比較例16の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。コハク酸イミド系化合物のMn、Mw及びMw/Mnが大きすぎる比較例17及び比較例18の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。重質油の配合割合が少ない比較例19の潤滑油組成物は、デポジット生成量が多い。
【0026】
【発明の効果】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、内燃機関のピストンリング溝などのピストン周辺部に生成するデポジットの抑制に優れるとともに、各摺動部における耐摩耗性に優れ、低温粘度が低く、蒸発損失にも優れ、ホウ素含有コハク酸イミド、ホウ素を含有しないコハク酸イミド由来の窒素含有量が少ないので、シールゴムなどへの悪影響が少なく、しかもコスト面で有利であり、特にディーゼルエンジン油やガソリンエンジン油などとして、好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、デポジット生成量評価装置の概略図である。

Claims (1)

  1. 100℃における動粘度が3.0〜12.0mm2/sであり、重質油の配合割合が潤滑油基油基準で5重量%以上である基油に、組成物全量基準で、(A)数平均分子量(Mn)600〜3,200、重量平均分子量(Mw)900〜3,500及びMw/Mn比が1.1〜1.4のホウ素を含有しないコハク酸イミド系化合物及び/又はホウ素含有コハク酸イミド化合物を、窒素の量として0.02〜0.15重量%となるよう配合し、かつ、(B)塩基価100mgKOH/g以上の過塩基性金属フェネート1.0〜5.0重量%を配合し、過塩基性金属フェネート由来の塩基価が5〜17mgKOH/gであることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
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