JP5219252B2 - コンクリート構造体の施工方法 - Google Patents
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RC造では、数mの極厚の鉄筋コンクリート躯体で線源を遮蔽し、放射線の強度の高い部分と低い部分とで、躯体の厚みが大きく異なっている。
しかしながら、躯体の厚みが大きく変化する部分では、コンクリートの乾燥距離が異なるため、クラックが生じやすく、放射線を完全に遮蔽できないおそれがあった。ここで、乾燥距離とは、コンクリート中の水分が移動して外部に蒸散する距離である。
また、遮蔽材で形成されたプレキャスト部材を内目地に予め設けたので、施工手間を低減できる。
また、本発明によれば、遮蔽材で形成されたプレキャスト部材を建て込んで、その後、このプレキャスト部材を囲んでコンクリートを打設して、コンクリート躯体を形成する。これにより、クラックが内目地の近傍に集中して発生しても、この内目地には遮蔽材で形成されたプレキャスト部材が予め設けられているから、このクラックが発生した内目地部分の遮蔽能力を維持して、遮蔽欠損を防止できる。
また、遮蔽材で形成されたプレキャスト部材を内目地に予め設けたので、施工手間を低減できる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート構造体の施工方法が適用されたコンクリート躯体としての構造物1の平断面図である。
構造物1は、線源から放射される放射線を遮蔽するものであり、第1の壁部11と、第1の壁部11に連続して形成された第2の壁部12と、を備える。
第2の壁部12の第1の壁部11との接続部分、つまり、構造物1の壁厚が変化する部分には、表面に外目地121が形成されている。
また、第2の壁部12の外目地121の近傍には、内部空間が内目地122として形成されている。なお、本実施形態では、内目地122を断面円形状としたが、これに限らない。
そこで、図3に示すように、外目地121にコーキング124を打設する。
鉄筋131を設けたのは、遮蔽部13の引張強度を向上させるためである。
一方、内目地122の型枠として波型トタン板を用いた場合、ホウ素含有コンクリートの水分を保持して遮蔽性能を高めることができるうえに、ホウ素含有コンクリートが硬化して収縮しても、内目地122との噛み合いを良好にできる。
なお、内目地122と遮蔽部13との問に隙間が生じて遮蔽欠損となる可能性があるが、波型トタン板を用いた場合には、散乱効果により、遮蔽欠損を防止できる。
すなわち、上層階がない場合には、図5に示すように、屋上階2の床面21から内目地122に至る貫通孔132を設け、この貫通孔132を通してホウ素含有コンクリートを注入すればよい。
一方、上層階がある場合には、図6に示すように、上層階3の内壁面31から内目地122に至る貫通孔133を設け、この貫通孔133を通してホウ素含有コンクリートを注入すればよい。
(1)構造物1の内目地122や外目地121にクラック123を誘発して、クラック123を内目地122の近傍に集中して発生させる。その後、この内目地122にホウ素含有コンクリートを注入する。これにより、このクラック123が発生した内目地122の遮蔽能力を維持して、遮蔽欠損を防止できる。
本実施形態では、遮蔽部13Aを形成した後に構造物1Aを構築した点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、本実施形態では、まず、鉄筋131を配筋して遮蔽材としてのホウ素含有コンクリートを打設することにより、プレキャスト部材としての遮蔽部13Aを形成する。そして、図7に示すように、この遮蔽部13Aを建て込む。その後、図8に示すように、この遮蔽部13Aを囲んで型枠を建て込み、コンクリートを打設して、遮蔽部13A近傍の表面に外目地121が形成された構造物1Aを形成する。
(2)ホウ素含有コンクリートで形成された遮蔽部13Aを建て込む。その後、この遮蔽部13Aを囲んでコンクリートを打設して、構造物1Aを形成する。これにより、クラックが内目地122の近傍に集中して発生しても、この内目地122にはホウ素含有コンクリートで形成された遮蔽部13Aが予め設けられているから、このクラックが発生した内目地122の遮蔽能力を維持して、遮蔽欠損を防止できる。
また、ホウ素含有コンクリートで形成された遮蔽部13Aを内目地122に予め設けたので、施工手間を低減できる。
ホウ素含有コンクリートの遮蔽性能について、計算プログラムを用いて1次元の計算を行った。
実施例として、ホウ素を5%含有したホウ素含有コンクリートを用いて、30cmの厚さのコンクリート躯体を形成し、中性子の線源としてCf−252を設けて、放射線漏洩率を計算した。
また、比較例として、ホウ素を含有していないコンクリートを用いて、50cmの厚さのコンクリート躯体を形成し、中性子の線源としてCf−252を設けて、放射線漏洩率を計算した。
図9に示すように、ホウ素含有コンクリートを用いた場合、ホウ素を含有しないコンクリートを用いた場合に比べて、コンクリート躯体の厚みが少ないにもかかわらず、同程度の遮蔽性能を確保できることが判る。
121 外目地
122 内目地
123 クラック
13A 遮蔽部(プレキャスト部材)
Claims (2)
- 線源から放射される放射線を遮蔽するコンクリート構造体の厚みが変化する部分の施工方法であって、
表面に外目地が形成されかつ前記外目地の近傍に内目地として内部空間が形成されたコンクリート躯体を打設する手順と、
前記内目地および前記外目地のうち少なくとも一方にクラックが発生すると、前記内目地に鉄筋を配筋して放射線を遮蔽するホウ素含有コンクリートを注入する手順と、を備えることを特徴とするコンクリート構造体の施工方法。 - 線源から放射される放射線を遮蔽するコンクリート構造体の厚みが変化する部分の施工方法であって、
鉄筋を配筋して放射線を遮蔽するホウ素含有コンクリートを打設することでプレキャスト部材を形成し、当該このプレキャスト部材を建て込む手順と、
前記プレキャスト部材を囲みかつ前記プレキャスト部材近傍の表面に外目地が形成されたコンクリート躯体を打設する手順と、を備えることを特徴とするコンクリート構造体の施工方法。
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