JP5131832B2 - コンクリート構造 - Google Patents
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Description
RC造では、数mの極厚の鉄筋コンクリート躯体で線源を遮蔽し、放射線の強度の高い部分と低い部分とで、躯体の厚みを変化させる。
しかしながら、躯体の厚みが大きく変化する部分では、コンクリートの乾燥距離が異なるため、クラックが生じやすく、放射線を完全に遮蔽できないおそれがあった。ここで、乾燥距離とは、コンクリート中の水分が移動して外部に蒸散する距離である。
しかしながら、鉛は単価が高く、しかも、遮蔽体は鉛板のみであるため、鉛を大量に使用することになり、結果的にコスト高となる。また、鉛板を軽鉄下地に取り付ける作業に時間がかかり、工期が長くなる、という問題があった。
鋼板コンクリート造は、鋼板をコンクリートの型枠として使用し、鋼板でコンクリートを覆う構造である。これにより、乾燥距離の長さが異なっても、全て鋼板で覆われているため、乾燥を防止できる。
しかしながら、現実には、コストが高くなるため、コンクリートの全面を鋼板で覆うことは難しい。このように、コンクリート鋼板構造では、コンクリートの全面を鋼板で覆うとコストが高くなるので、鋼板を全面に貼れないため、結果的に、RC造と同様の原因でクラックが生じやすくなる、という問題がある。
また、コンクリートに線材や波形線材を混入することで、クラックの拡大を防止するとともに、クラックの発生位置を分散させて、躯体を貫通する大きなクラックの発生を防止する手法が提案されている(特許文献2参照)。
また、特許文献1に示された手法では、ひび割れ体をコンクリート型枠内に設置するために、このひび割れ体を保持する専用の治具を用意して、この治具をセットする必要がある。その結果、施工手間がかかってしまい、コストが上昇する。
また、特許文献2に示された手法では、大きなクラックの発生を抑制できるが、クラックの発生自体を抑制することはできない。
この発明によれば、鋼板の端部のうち少なくとも一方を、第2のコンクリート躯体の表面に沿って適宜延出させたり、第2のコンクリート躯体の内部に向かって適宜延出させたりすることにより、第1コンクリート躯体と第2コンクリート躯体との接合部分のコンクリートの乾燥距離を略同一にする。よって、乾燥収縮が不均一になるのを防止でき、乾燥距離の相違に起因するクラックの発生を抑制できる。また、従来のように特殊な治具を用いることもなく、鋼板を延出させるだけでよいので、低コストである。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート構造が適用された構造物1の平面図である。
構造物1は、放射線源Xから放射される放射線を遮蔽するものであり、放射線源Xを三方向から囲む略C字形状の第1のコンクリート躯体としての第1の壁部11と、第1の壁部11に連続して形成されて放射線源Xを残る一方向から囲む略L字形状の第2のコンクリート躯体としての第2の壁部12と、を備える。
以降、第1の壁部11と第2の壁部12との接続部分、つまり、構造物1の壁厚が変化する部分は、2箇所あり、図1中上側に位置するものを、壁厚変化部13とし、図1中下側に位置するものを、壁厚変化部14とする。
また、壁厚変化部14の点141の乾燥距離は、この点141から外側鋼板21の壁厚変化部14側の端部までの距離、あるいは、この点141から内側鋼板22の壁厚変化部14側の端部までの距離であり、この距離はL1に略等しくなっている。
(1)外側鋼板21および内側鋼板22の端部を、第2の壁部12の表面に沿って適宜延出させることにより、第1の壁部11と第2の壁部12との接合部分の乾燥距離を略同一にして、乾燥収縮が不均一になるのを防止できる。よって、乾燥距離の相違に起因するクラックの発生を抑制できる。また、従来のように特殊な治具を用いることもなく、鋼板21、22を延出させるだけでよいので、低コストである。
図2は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート構造が適用された構造物1Aの平面図である。
本実施形態では、外側鋼板21Aおよび内側鋼板22Aの延出方向が、第1実施形態と異なる。
すなわち、外側鋼板21Aの壁厚変化部14側の端部は、直線状に延びて、第2の壁部12の内部に向かって寸法d1だけ延出している。また、内側鋼板22Aの両端部は、直線状に延びて、第2の壁部12の側の内部に向かって寸法d1だけ延出している。
12 第2の壁部(第2のコンクリート躯体)
21 外側鋼板
22 内側鋼板
Claims (1)
- 放射線源を三方向から囲む平面視で略C字形状のコンクリート躯体である第1の壁部と、当該第1の壁部の内側表面および外側表面に設けられた一対の金属板と、前記第1の壁部よりも壁厚が大きく前記第1の壁部に2箇所の壁厚変化部で接続して形成されて前記放射線源を残る一方から囲むコンクリート躯体である第2の壁部と、を備え、
前記一対の金属板は、それぞれ、前記第2の壁部の表面に沿って同じ寸法だけ延出しており、
前記第1の壁部の乾燥距離である、前記第1の壁部と前記第2の壁部との接続面である前記壁厚変化部の点から前記一対の金属板の前記第2の壁部側に延出した部分のそれぞれの先端までの直線距離が、前記第2の壁部の乾燥距離である当該第2の壁部の壁厚の半分に略等しくなるように、
前記金属板の延出長さは、前記第2の壁部の壁厚の半分から、当該第2の壁部の壁厚の半分から前記第1の壁部の壁厚を引いた寸法までの間であることを特徴とするコンクリート構造。
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