JP5283116B2 - コンクリート躯体の構造 - Google Patents
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Description
RC造では、数mの極厚の鉄筋コンクリート躯体で線源を遮蔽し、放射線の強度の高い部分と低い部分とで、躯体の厚みが大きく異なっている。
ところで、躯体の厚みが大きく変化する部分では、コンクリートの収縮速度が異なるうえに、周囲の躯体から拘束されるため、クラックが生じやすく、放射線を完全に遮蔽できないおそれがあった。
この手法によれば、クラックが目地材に沿って発生するので、クラックの発生位置を分散できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリート躯体の構造が適用された構造物1の部分断面図である。
構造物1は、線源から放射される放射線を遮蔽するものであり、第1のコンクリート躯体としての壁部11と、壁部11に連続して形成されて壁部11よりも厚い第2のコンクリート躯体としての床部12と、を備える。これら壁部11および床部12は、周囲の躯体に拘束されている。
目地材13の断面形状は、正弦波の波形であり、目地材13の材質は、例えば、中性子に対して遮蔽効果が高いポリエチレンおよび塩化ビニル、または、γ線に対して遮蔽効果が高い鉄やタングステンである。また、目地材13の材質は、これらの材料を層状に重ね合わせて遮蔽効果を高めた複合材でもよい。なお、コンクリートの乾燥収縮時に目地材13のコンクリートとの付着面がコンクリートに対して滑るように、付着性の低い材料を選定することが好ましい。
また、目地材13の両端側の壁部11の表面には、目地111、112が形成されている。
床部12のコンクリートを打設し、その後、この床部12のコンクリートが硬化する前に、壁部11が設けられる部分に目地材13を設置する。そして、目地材13の上に鉄筋などの重りを載せるか、または、目地材13にコンクリート釘を打ち込むことにより、この目地材13が浮き上がってくるのを防止する。
床部12のコンクリートが硬化した後、壁主筋113を配筋して、型枠を建て込み、この型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、型枠を取り外す。
図2中、目地材13の山の高さをHとし、山のピッチをLとする。また、目地材13の屈曲点の個数を屈曲回数とすると、この目地材13の屈曲回数は3回となる。
目地材13の高さHは、粗骨材の最大粒径の略1/2以上であることが好ましい。また、目地材13のピッチLは、粗骨材の最大粒径以上であることが好ましい。
その理由は、高さHが小さいと、放射線の散乱による遮蔽効果が十分に得られず、遮蔽欠損となるおそれがあるためである。一方、高さHが小さくピッチLが短いと、コンクリートの骨材が谷の部分に入らず、空隙ができてしまい、遮蔽欠損となるおそれがあるためである。
目地材の遮蔽性能について、放射線は散乱により減衰するため、反射係数を用いて簡易計算を行った。
実施例として、屈曲回数が1回および3回となるコンクリート躯体を想定し、放射線減衰率を計算した。また、比較例として、放射線の射出方向に沿って直線状に透過してしまうコンクリート躯体を想定し、放射線減衰率を計算した。
図3に示すように、目地材を屈曲させた場合、目地材を屈曲させない場合に比べて、遮蔽性能を向上できることが判る。また、屈曲回数を3回とすることで、屈曲回数を1回とした場合に比べて、約4桁も遮蔽性能を向上できることが判る。したがって、減衰率を2桁以上に設定する場合、安全率を考慮すると、屈曲回数を3回以上とすることが好ましい。
(1)壁部11と床部12との接合部分に、放射線の射出方向に沿って波打つ断面波形状の目地材13を設けた。これにより、断面波形状の目地材13に沿ってクラックが誘発されるので、クラック114が発生しても、線源からの放射線はこの波打った目地材13で散乱されるから、遮蔽欠損が生じるのを防止できる。
例えば、本実施形態では、目地材13の設置箇所を壁部11と床部12との接合部分としたが、これに限らず、目地材13の設置箇所は、壁部の中央など適宜決められてよい。
また、本実施形態では、目地材13を、床部12と壁部11との接続部分のように厚み異なる2つのコンクリート躯体の接続部分に取り付けたが、これに限らず、厚みが変化しない1つのコンクリート躯体の内部に設けてもよい。
11 壁部(第1のコンクリート躯体)
12 床部(第2のコンクリート躯体)
13 目地材
Claims (1)
- 線源から放射される放射線を遮蔽するコンクリート躯体の構造であって、
第1のコンクリート躯体と、当該第1のコンクリート躯体に連続して形成されて前記第1のコンクリート躯体より厚みが大きくかつ前記第1のコンクリート躯体を拘束する第2のコンクリート躯体と、を備え、
前記第1のコンクリート躯体と前記第2のコンクリート躯体との接合部分には、目地材が設けられ、
前記目地材は、放射線の射出方向に沿って波打つ断面波形形状であり、
前記目地材の波形の屈曲回数は、3回以上であり、
前記目地材の山の高さは、粗骨材の最大粒径の略1/2以上であり、かつ、前記目地材のピッチは、粗骨材の最大粒径以上であることを特徴とするコンクリート躯体の構造。
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