JP2011058922A - 中性子線遮蔽構造体及び放射線源設置部屋 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射線源2が設置される部屋の壁構造部材及び天井構造部材のいずれか又は両方に用いられる中性子線遮蔽構造体1であって、放射線源2に近い側に位置する一方側コンクリート部3と、当該一方側コンクリート部3よりも放射線源から遠い側に位置して一方側コンクリート部3と対向する他方側コンクリート部4と、一方側コンクリート部3と他方側コンクリート部4との間に挟まれるように設けられたボロン含有シート5とを備えた。
【選択図】図1
Description
従来、放射線源が設置された部屋を区画するコンクリート部の外面にボロンを含有したシートを設けた構成の中性子線遮蔽構造体(例えば、特許文献1参照)や、放射線源が設置された部屋を区画する内側コンクリートの外面にボロンを含有した外側コンクリートが設けられた構成の中性子線遮蔽構造体(例えば、特許文献2参照)が知られている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、放射線源が設置された部屋を備えていた建物の解体において、放射性廃棄物の量を少なくでき、放射性廃棄物の処理コストを低減できる中性子線遮蔽構造体などを提供する。
一方側コンクリート部のコンクリートが低放射化コンクリートにより形成されたので、上記中性子線遮蔽構造体の全てのコンクリート部の放射化を抑制でき、建物解体後の放射性廃棄物の量をより減らせるため、放射性廃棄物の処理にかかるコストをより低減できる。
一方側コンクリート部がプレキャストコンクリート板により形成されたので、プレキャストコンクリート板の一方の板表面にボロン含有シートを設けた構成の複合プレキャストコンクリート板を打込型枠として使用でき、中性子線遮蔽構造体からなる壁構造部材を容易に構築できる。
ボロン含有シートは、ボロン含有樹脂が製作後のプレキャストコンクリート板の板表面上に流し込まれて硬化したことによりプレキャストコンクリート板の板表面に設けられたので、複合プレキャストコンクリート板を容易に製作できるようになる。
本発明に係る中性子線遮蔽構造体は、放射線源が設置される部屋の壁構造部材及び天井構造部材のいずれか又は両方に用いられる中性子線遮蔽構造体であって、放射線源に近い側に位置するボロン含有シートと、当該ボロン含有シートよりも放射線源から遠い側に位置するコンクリート部とを備え、ボロン含有シートがコンクリート部の放射線源側の面に設けられたので、放射線源から放射される中性子線が低いエネルギーの中性子線である場合、当該低いエネルギーの中性子線をボロン含有シートで吸収でき、コンクリート部の放射化を抑制できるので、放射線源が設置された部屋を備えていた建物の解体において、放射性廃棄物の量を少なくでき、放射性廃棄物の処理コストを低減できる。
本発明に係る放射線源設置部屋は、放射線源に近い側に位置する一方側コンクリート部と、一方側コンクリート部よりも放射線源から遠い側に位置して一方側コンクリート部と対向する他方側コンクリート部と、一方側コンクリート部と他方側コンクリート部との間に挟まれるように設けられたボロン含有シートとを備えた中性子線遮蔽構造体、又は、放射線源に近い側に位置するボロン含有シートと、ボロン含有シートよりも放射線源から遠い側に位置するコンクリート部とを備え、ボロン含有シートがコンクリート部の放射線源側の面に設けられた中性子線遮蔽構造体を用いて、放射線源を覆うように形成されたので、部屋の床構造部材のコンクリートの放射化も抑制できるようになり、建物解体後の放射性廃棄物の量をより減らせるため、放射性廃棄物の処理にかかるコストを低減できる。
中性子線遮蔽構造体1は、放射線源2に近い側に位置する一方側コンクリート部3と、一方側コンクリート部3よりも放射線源2から遠い側に位置して一方側コンクリート部3と対向する他方側コンクリート部4と、一方側コンクリート部3と他方側コンクリート部4との間に挟まれるように設けられたボロン含有シート5とを備える。
他方側コンクリート部4は、普通コンクリートと図外の鉄筋とによる鉄筋コンクリート構造により形成される。
普通コンクリートは、川砂,海砂,山砂,砕石,砕砂などから得られる骨材と、セメントと、水とを混練して形成される。
ボロン含有シート5は中性子線吸収層として機能する。ボロン含有シート5は、例えば、メタクリル酸メチル樹脂などの樹脂中にB4Cを添加することで形成できる。例えば、樹脂とB4Cとの配合比を1:0.75としたB4C混入樹脂を深さ3mm〜5mm程度の容器内に流し込んで硬化させることによって3mm〜5mm程度の厚さ寸法に形成されたボロン含有シート5を用いればよい。
図3に示すように、中性子線aの減速層として機能させる一方側コンクリート部3のコンクリートを低放射化コンクリート31により形成する。つまり、一方側コンクリート部3を低放射化コンクリート部とする。低放射化コンクリート31とは、骨材として放射化しにくい高純度の骨材(例えば、ナトリウムやコバルトなどの不純物の少ない石灰石など)を用いて形成されたコンクリートである。
一方側コンクリート部3を低放射化コンクリート部とすることで、一方側コンクリート部3の放射化も抑制できるようになる。従って、この場合、中性子線遮蔽構造体1の全てコンクリート部の放射化を抑制でき、建物解体後の放射性廃棄物の量をより減らせるため、放射性廃棄物の処理にかかるコストをより低減できる。
一方側コンクリート部3をプレキャストコンクリート板(以下、PCa板という)35により形成する。つまり、図4に示すように、一方側コンクリート部3として、工場で製作したPCa板35を用い、PCa板35の一方の板表面35aにボロン含有シート5を設けた構成の複合PCa板36を打込型枠37として使用し、この打込型枠37のボロン含有シート5の外側に当該ボロン含有シート5と間隔を隔ててコンクリート型枠38を設置する。そして、ボロン含有シート5とコンクリート型枠38との間に他方側コンクリート4を形成するために鉄筋を組んだ後に普通コンクリート39を打設する。この普通コンクリート39が固化して他方側コンクリート部4が形成された後にコンクリート型枠38を撤去することで、一方側コンクリート部3と他方側コンクリート部4との間にボロン含有シート5が挟まれた構造の中性子線遮蔽構造体1からなる壁構造部材11を構築できる。
実施の形態3によれば、PCa板35の一方の板表面35aにボロン含有シート5を設けた構成の複合PCa板36を打込型枠37として使用できるので、中性子線遮蔽構造体1からなる壁構造部材11を容易に構築できる。
一方側コンクリート部3を形成するPCa板35の板表面40上にボロン含有樹脂46を流し込んでボロン含有樹脂46を硬化させることで、PCa板35の板表面40にボロン含有シート5が設けられた構成の複合PCa板36を用いてもよい。
複合PCa板36は、例えば、図5(a);(b)に示すように、工場において、製作後のPCa板35の板表面40の周囲を取り囲むように板表面40と垂直な4つの側面から型枠41を立ち上げ、PCa板35の板表面40の周囲を取り囲む型枠41と板表面40とで区画されたシート形成空間45にボロン含有樹脂46を流し込んでボロン含有樹脂46を硬化させることによって形成できる。
一方側コンクリート部3を形成するPCa板35の板表面40にボロン含有シート5を設ける際に、PCa板35の板表面40にボロン含有シート5を接着剤により接着して設ける場合に比べて、実施の形態4によれば、複合PCa板36を容易に製作できる。
図6に示すように、放射線源2が設置される部屋10の壁構造部材11及び天井構造部材12として、コンクリート部50とコンクリート部50の一方の面51に設けられたボロン含有シート5とにより形成された中性子線遮蔽構造体1Aを用いてもよい。
即ち、図7に示すように、当該中性子線遮蔽構造体1Aのボロン含有シート5の表面52を放射線源2側に向けて中性子線遮蔽構造体1Aを設置し、中性子線遮蔽構造体1Aを放射線源2が設置される部屋10の壁構造部材11及び天井構造部材12として用いる。
コンクリート部50は、普通コンクリートと図外の鉄筋とによる鉄筋コンクリート構造により形成される。
中性子線遮蔽構造体1の他方側コンクリート部4のコンクリートや、中性子線遮蔽構造体1Aのコンクリート部50のコンクリートを低放射化コンクリートにより形成してもよい。この場合、中性子線遮蔽構造体1;1Aにおける全てのコンクリートの放射化を抑制でき、建物解体後の放射性廃棄物の量をより減らせるため、放射性廃棄物の処理にかかるコストをより低減できる。
上述した中性子線遮蔽構造体1や中性子線遮蔽構造体1Aを、放射線源2を覆う部屋10の壁構造部材11にのみ、あるいは、天井構造部材12にのみ使用してもよい。
上述した中性子線遮蔽構造体1や中性子線遮蔽構造体1Aを用いて放射線源2を覆う部屋10を形成する。即ち、図8に示すように、放射線源2を覆う部屋10(放射線源設置部屋)の壁構造部材11、天井構造部材12、床構造部材13の全てを、中性子線遮蔽構造体1や中性子線遮蔽構造体1Aを用いて構築する。
この場合、部屋10の床構造部材13のコンクリートの放射化も抑制できるようになり、建物解体後の放射性廃棄物の量をより減らせるため、放射性廃棄物の処理にかかるコストを低減できる。
4 他方側コンクリー部、5 ボロン含有シート、10 部屋、11 壁構造部材、
12 天井構造部材、13 床構造部材、31 低放射化コンクリート、
35 PCa板、36 複合PCa板、50 コンクリート部。
Claims (6)
- 放射線源が設置される部屋の壁構造部材及び天井構造部材のいずれか又は両方に用いられる中性子線遮蔽構造体であって、放射線源に近い側に位置する一方側コンクリート部と、当該一方側コンクリート部よりも放射線源から遠い側に位置して一方側コンクリート部と対向する他方側コンクリート部と、一方側コンクリート部と他方側コンクリート部との間に挟まれるように設けられたボロン含有シートとを備えたことを特徴とする中性子線遮蔽構造体。
- 一方側コンクリート部のコンクリートが低放射化コンクリートにより形成されたことを特徴とする請求項1に記載の中性子線遮蔽構造体。
- 一方側コンクリート部がプレキャストコンクリート板により形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中性子線遮蔽構造体。
- ボロン含有シートは、ボロン含有樹脂が製作後のプレキャストコンクリート板の板表面上に流し込まれて硬化したことによりプレキャストコンクリート板の板表面に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の中性子線遮蔽構造体。
- 放射線源が設置される部屋の壁構造部材及び天井構造部材のいずれか又は両方に用いられる中性子線遮蔽構造体であって、放射線源に近い側に位置するボロン含有シートと、当該ボロン含有シートよりも放射線源から遠い側に位置するコンクリート部とを備え、ボロン含有シートがコンクリート部の放射線源側の面に設けられたことを特徴とする中性子線遮蔽構造体。
- 放射線源に近い側に位置する一方側コンクリート部と、一方側コンクリート部よりも放射線源から遠い側に位置して一方側コンクリート部と対向する他方側コンクリート部と、一方側コンクリート部と他方側コンクリート部との間に挟まれるように設けられたボロン含有シートとを備えた中性子線遮蔽構造体、又は、放射線源に近い側に位置するボロン含有シートと、ボロン含有シートよりも放射線源から遠い側に位置するコンクリート部とを備え、ボロン含有シートがコンクリート部の放射線源側の面に設けられた中性子線遮蔽構造体を用いて、放射線源を覆うように形成されたことを特徴とする放射線源設置部屋。
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