JP6704259B2 - 鉄筋コンクリート造の遮蔽壁 - Google Patents

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Description

本発明は、放射線利用施設において放射線を遮断するための鉄筋コンクリート造の遮蔽壁に関する。
放射線利用施設では、放射線遮蔽要求に応じて、放射線利用設備の周囲を囲う躯体(遮蔽壁)の厚さを決定するのが一般的である。
現場打ちコンクリートにより遮蔽壁を形成する場合、壁厚が80cm以上のいわゆるマスコンクリート(極厚コンクリート壁)になることが多い(例えば、特許文献1参照)。
特許第4612586号公報
マスコンクリートとは、「建築工事標準仕様書・同解説、JASS5、鉄筋コンクリート工事2009」では、最小断面寸法が壁状部材で80cm以上、マット状部材・柱部材で100cm以上が目安として定義されている。また、現行の技術基準類とは、「マスコンクリートの温度ひびわれ制御設計・施工指針(案」・同解説」日本建築学会や、「2007年制定、コンクリート標準示方書、設計編」土木学会などである。現行の設計指針では、厚さ方向に80cm以上の壁状部材がマスコンクリートに該当するが、今後、コンクリートの材料特性が向上すれば、壁厚の限界値が80cmを上回る値に変更される可能性はある。
マスコンクリートは、配合設計時に温度応力解析をする等の事前の検討が必要なだけでなく、コンクリートの水和反応による温度の管理や、乾燥収縮に伴う密実度管理、ひびわれ抑制など、一般的なコンクリートにおける管理よりも多くの品質管理項目が要求され、品質の確保に十分な配慮が必要である。そのため、極厚コンクリート壁である遮蔽壁を構築する場合には、品質管理によって、工期が長期化する傾向にある。また、極厚コンクリート壁を採用すると、建物の利用可能空間が狭まってしまう。
そのため、本発明は、現行の技術基準類で規定されるマスコンクリートに該当しないようにすることで品質を確保するとともに複雑な管理を不要にして、工期短縮化を可能とした鉄筋コンクリート造の遮蔽壁を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁は、壁厚方向に間隔をあけて並設された、プレキャストコンクリート板からなるプレキャスト壁部と、前記プレキャスト壁部の間に形成された、現場打ちコンクリートからなる現場打ち壁部とを備える鉄筋コンクリート造の遮蔽壁であって、前記現場打ち壁部のコンクリートがマスコンクリートに該当しないように、前記プレキャスト壁部の数と、前記プレキャスト壁部同士の間隔が設定されていることを特徴としている。
かかる鉄筋コンクリート造の遮蔽壁によれば、現場打ちコンクリートにより形成する現場打ち壁部の部材厚がマスコンクリートに該当しないように設定されているので、収縮量やひびわれの発生を抑制して品質を確保するとともに、マスコンクリートにより形成される場合の事前検討や品質管理項目を省略することができる。そのため、遮蔽壁の品質を確保しながら工期短縮化を図ることができる。また、プレキャストコンクリート板を現場打ちコンクリートの型枠として利用したり、プレキャスト壁部と現場打ち部とを層状に重ねることで、プレキャストコンクリート板が水和熱を吸収して温度上昇を抑制できるので、現場打ちコンクリートの収縮を低減し、ひび割れの発生を防ぐ。また、プレキャストコンクリート板(プレキャスト壁部)の配筋を密にし、現場打ちコンクリート(現場打ち壁部)の配筋を粗にすれば、現場打ち壁部に密実なコンクリートを打設しやすく、遮蔽性能の向上にもつながる。
対向する前記プレキャスト壁部同士の間には間隔保持材を配置することで、現場打ちコンクリートを打設する際のプレキャストコンクリート板同士の間隔を保持することができ
る。前記間隔保持材は、形鋼または鋼管により構成され、当該間隔保持材の両端は前記プレキャスト壁部の内側面に固定される平らな面がある山形鋼、溝形鋼、角形鋼管を使用する場合は、下方の面が傾斜する状態に配すれば、現場打ちコンクリート打設時に空気溜まりができず、密実になって好適である。
前記プレキャストコンクリート板には、高強度コンクリートにより形成されたものや、ガドリニウムおよびホウ素の少なくとも一方が添加されたセメント系遮蔽材(モルタル)により形成されものを使用することができる。かかる鉄筋コンクリート造の遮蔽壁によれば、放射線の遮断性能に優れたプレキャスト壁部が形成されるため、遮蔽壁全体の壁厚を薄くすることが可能となる。
前記プレキャスト壁部を、複数のプレキャストコンクリート板同士をつなぎ合わせることにより形成する場合には、前記プレキャストコンクリート板同士の目地が、対向する他の前記プレキャストコンクリート板同士の目地と、壁厚方向で重ならない位置に配置する。また、前記プレキャスト壁部は、前記遮蔽壁の両側面に並設される。かかる鉄筋コンクリート造の遮蔽壁によれば、対向するプレキャスト壁部の目地が直線的に連続すること防止することで、放射線が通過しやすいルートが形成されることを防止できる。



本発明の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁によれば、プレキャスト部材であるプレキャストコンクリート板を使用して、現場打ちコンクリート部分(現場打ち壁部)の厚さを小さくすることで、マスコンクリートにおいて要求される施工品質管理項目を削減し、ひいては、工期短縮化を図ることが可能となる。また、本発明の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁によれば、プレキャストコンクリート板における放射線の遮蔽性能を高めることで遮蔽壁全体の壁厚を薄くし、建物の利用可能空間の自由度を高めることができる。
第一の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の遮蔽壁を示す斜視図である。 図1に示す鉄筋コンクリート造の遮蔽壁の水平断面図である。 (a)〜(c)は間隔保持材の断面図である。 中性子吸収材の混入有無によるコンクリート体別の放射線量と壁厚さの関係の算定結果のグラフである。 低放射化材の混入有無によるコンクリート体別の蓄積放射線量と径年数の関係の算定結果のグラフである。 第二の実施形態に係る鉄筋コンクリート造の遮蔽壁の水平断面図である。
<第一の実施形態>
本実施形態では、重粒子線施設における放射線利用設備の周囲を囲う鉄筋コンクリート造の遮蔽壁について説明する。
第一の実施形態の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁1(以下、単に「遮蔽壁1」という)は、図1に示すように、壁厚方向に間隔をあけて並設された複数のプレキャスト壁部2,2,2と、プレキャスト壁部2,2同士の間に形成されたコンクリート硬化体からなる現場打ち壁部3とを備えている。
プレキャスト壁部2は、プレキャストコンクリート板により形成されていて、本実施形態では、遮蔽壁1の壁厚方向に間隔をあけて3つ並設されている。本実施形態では、建屋外側および建屋内側(放射線利用設備側)の両側面(遮蔽壁1の内側面と外側面)と、これらの中間部とにプレキャスト壁部2が形成されている。対向するプレキャスト壁部2同士の間隔は80cm未満である。なお、遮蔽壁1のプレキャスト壁部2の数およびプレキャスト壁部2同士の間隔は限定されるものではなく、放射線遮蔽要求に応じて決定される遮蔽壁1の全幅の大きさに応じて、現場打ち壁部3のコンクリートがマスコンクリートに該当しないように、適宜決定すればよい。
図2に示すように、プレキャスト壁部2同士の間には、間隔保持材4が配設されている。間隙保持材4の全長は、80cm未満である。
間隔保持材4は、棒状部材41と、棒状部材41の両端に溶接された平鋼板42,42とにより構成されている。本実施形態の棒状部材41は、図3(a)に示すように、円形断面の鋼管により構成されている。なお、棒状部材41を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、図3(b)、(c)に示すように、山形鋼等の形鋼や角形鋼管であってもよい。
平鋼板42は、棒状部材41の外形状よりも大きな面積を有しており、棒状部材41に溶接されている。なお、平鋼板42は、棒状部材41のいずれか一方の端部のみに接合されていてもよい。すなわち、間隔保持材4は、一方端または両方端に平鋼板42が接合された山型鋼材または鋼管からなる棒状部材41を備えている。
棒状部材41は、プレキャスト壁部2の壁面に対して直交しており、平鋼板42は、ボルト43によりプレキャスト壁部2に固定されている。
間隔保持材4の配置や数は限定されるものではないが、1枚のプレキャストコンクリート板(以下、「PC板21,22,23」という)に対して、下方側と上方側に少なくとも各1か所ずつ、計2個所以上に設置し、PC板21,22,23の位置決めを行う必要がある。
また、PC板21,22,23同士の間に設置される間隔保持材4の棒状部材41が円形鋼管または角形鋼管の場合、図2に示すように、一方のPC板21,23に接続された第一棒状部材41aの鋼管径が、他方のPC板23,22に接続された第二棒状部材41bの鋼管径より小さい。間隔保持材4は、第一棒状部材41aが第二棒状部材41bに挿入されていて、PC板21,22,23同士を所定の間隔を確保する。間隔保持材4の棒状部材41が山形鋼材の場合、一方のPC板21,23に接続された第一棒状部材41aを、他方のPC板23,22に接続された上下の第二棒状部材41b,41bの間に挿入することで、PC板21,22,23同士の所定の間隔を確保する。
各プレキャスト壁部2は、複数のプレキャストコンクリート板をつなぎ合わされた壁状部材である。
建屋外側に配設されたプレキャスト壁部2を構成するプレキャストコンクリート板(以下、「第一PC板21」という)は、高強度コンクリートにより構成されている。本実施形態の第一PC板21は、設計基準強度Fc=80N/mm程度の高強度コンクリートにより構成することで、放射線が通過し難い密実度を確保する。なお、第一PC板21は、コンクリートの設計基準強度を限定するのもではないが、高強度コンクリートがコンクリート自身の中性化反応を抑制する点からも好ましい。
第一PC板21は、図1に示すように、水平方向または鉛直方向に連結するPC板21同士の連結部分において、目地が設けられ、かつ対抗するPC板の段差位置とずれた位置に段差が設けられている。第一PC板21同士の接合部(目地24)では、端部の段差部分が重ね合わされている。このようにすると、遮蔽壁1の厚さ方向に沿って直線的な隙間が形成されることがない。具体的には、PC板21同士の接合部は、一方のPC板21の小口面にセメントペーストを塗布し、そのセメントペースト面に他方のPC板21を設置して、隙間が形成されないようにする。
建屋内側に配設されたプレキャスト壁部2を構成するプレキャストコンクリート板(以下、「第二PC板22」という)は、中性子吸収材が添加されたコンクリートにより形成されている。本実施形態では、中性子吸収材として、骨材の一部にガドリニウムを使用する。なお、中性子吸収材は、ガドリニウムに限定されるものではなく、例えば、ホウ素であってもよい。また、中性子吸収材として、ガドリニウムおよびホウの両方を使用してもよい。また、第二PC板22は、中性子吸収材に代えて低放射化材が添加されたコンクリートにより形成されたものであってもよいし、中性子吸収材と低放射化材との両方が添加されたコンクリートにより形成されたものであってもよい。低放射化材としては、例えば、石灰石を骨材の一部に使用する。
第二PC板22の端部には段差が形成されている。第二PC板22同士の接合部(目地24)では、端部の段差部分が重ね合わされている。このようにすると、遮蔽壁1の厚さ方向に沿って直線的な隙間が形成されることがない。
第二PC板22を構成するセメント系遮蔽材(粗骨材を含まない)の配合は限定されるものではないが、例えば、表1に示す酸化ガドリニウム含有モルタル配合表に準ずることが好ましい。表1の配合では、ガドリニウムとして、酸化ガドリニウムを使用している。
Figure 0006704259
遮水壁1の壁厚方向中央部(第一PC板21と第二PC板22(表層PC板21,22同士)の間)に配設されたプレキャスト壁部2を構成するプレキャストコンクリート板(以下、「第三PC板23」という)は、高含水コンクリートにより構成されている。本実施形態の第三PC板(内部PC板)23は、骨材として蛇紋岩が用いられた、含水率が7%以上のコンクリートにより形成されている。なお、第三PC板23を構成するコンクリートの配合や添加材等は限定されるものではない。例えば、第一PC板21または第二PC板23と同じプレキャストコンクリート板を採用してもよい。また、第三PC板23の含水率は限定されない。
第三PC板23の端部には段差が形成されている。第三PC板23同士の接合部(目地24)では、端部の段差部分が重ね合わされている。このようにすると、遮蔽壁1の厚さ方向に沿って直線的な隙間が形成されることがない。また、第三PC板23(内部PC板)同士の目地24は、対向する他のブレキャスト壁部2を構成する第一PC板21(表層PC板21)同士の目地24および第二PC板22(表層PC板22)同士の目地24と壁厚方向で重ならない位置に配置されている。
なお、本実施形態では、各プレキャスト壁部2に異なる材質のプレキャストコンクリート板を使用したが、3つのプレキャスト壁部2には、全て同じプレキャストコンクリート板を使用してもよいし、一つのみが異なるプレキャストコンクリート板が使用されていてもよい。
現場打ち壁部3は、対向するプレキャスト壁部2,2の間に形成されたコンクリート硬化体からなる。
現場打ち壁部3を構築する際には、プレキャスト壁部2,2を型枠として利用し、プレキャスト壁部2,2の間にコンクリートを打設する。本実施形態では、現場打ち壁部3の形成に使用するコンクリート(フレッシュコンクリート)に、いわゆる普通コンクリートを使用する。なお、現場打ち壁部3を構成するコンクリートの配合等は適宜決定すればよい。
遮蔽壁1の構築は、まず、所定の間隔をあけて3つのプレキャスト壁部2,2,2を並設する。プレキャスト壁部2は、プレキャストコンクリート板を繋ぎ合せることにより形成する。また、プレキャスト壁部2同士は、間隔保持材4により連結する。
次に、プレキャスト壁部2同士の間にコンクリートを打設して現場打ち壁部3を形成する。
本実施形態の遮蔽壁1の効果は次の通りである。
プレキャスト壁部2を複数形成して、現場打ちコンクリートにより形成する部分(現場打ち壁部3)を分割しているため、各現場打ち壁部3の部材厚を80cm未満にすることができる。そのため、マスコンクリートにより形成される場合に必要な施工品質管理項目を省略することができ、ひいては、遮蔽壁1の施工時の作業性に優れ、工期短縮化を図ることができる。また、プレキャストコンクリート板21,22,23により形成されたプレキャスト壁部2を現場打ちコンクリートの型枠として利用しているので、別途型枠を設置する場合に比べて作業の手間および費用を省略することができる。
また、遮蔽壁1では、対向するプレキャスト壁部2同士の間に間隔保持材4が配置されているため、現場打ち壁部3の施工時(コンクリート打設時)にプレキャストコンクリート板21,22,23の位置がずれること等を防止することができる。また、間隔保持材4を使用することでプレキャストコンクリート板21,22,23の位置決めも容易になる。本実施形態では、間隔保持材4の棒状部材41として、円形断面の鋼管を使用しているため、現場打ち壁部3のコンクリート打設時に、間隔保持材4の下面に空気溜まりが形成されることが防止されており、その結果、密実な現場打ち壁部3を形成することができる。なお、棒状部材41として、平らな面がある山形鋼、溝形鋼や角形鋼管等を使用する場合には、図3(b)、(c)に示すように、角が下向きになるように下方の面を傾斜させた状態で棒状部材41を取り付けることで、棒状部材41の下面に空気溜まりが形成されないようにするとよい。
第一PC板21が緻密で高耐力な高強度コンクリートにより形成されているため、放射線の遮断性能が高く、かつ、躯体として十分な強度を確保することもできる。また、耐久性に優れた第一PC板21を外面に設けることで、遮蔽壁1の耐久性を高め、劣化の防止を図ることができる。
第二PC板22が、中性子吸収材(ガドリニウム)が配合されたコンクリート(中性子吸収型コンクリート)により形成されているため、放射線の遮断性が高い。
図4に、従来の一般的なコンクリート体と中性子吸収型コンクリート体による放射線量(縦軸)と壁厚さ(横軸)の関係の算定結果を示す。図4より、放射線量は、壁厚さが増すに伴い減衰される結果である。中性子吸収型コンクリート体は、一般的なコンクリート体に比べて、壁厚さ60cmの場合では1/10程度まで減衰する傾向であった。
図5は、粗骨材、細骨材に低放射化材(石灰石)を使用したコンクリート体別の蓄積放射線量と径年数の関係の算定結果である。ここで、図中の○△印は低放射化材を混入した普通強度コンクリートで、●▲印は低放射化材を混入した中性子吸収型コンクリートである。また、○●印の試験体(末尾がCo60のコンクリート)は、△▲印の試験体(末尾がEu152のコンクリート)に比べて、石灰石の混入量が多いコンクリートを使用している。低放射化材を混入した中性子吸収型コンクリート(図中●▲印)は、低放射化材を混入した普通強度コンクリート(図中○△印)に比べて、其々のコンクリート種別ごとに、蓄積放射線量が1/10程度まで減衰する傾向であった。つまり、中性子吸収材を、高い品質管理のもと、工場生産時に添加することで、安定した品質の遮蔽性能を確保することができる。
第三PC板23が、高含水コンクリートにより形成されているため、放射線(中性子)による遮蔽機能が高められている。高含水コンクリートとは、本明細書では含水率(含水量/絶乾質量×100)が一般的なコンクリートの場合の5%程度を上回る7%程度の含水量を含むコンクリートと定義する。
また、第三PC板23は、放射線(γ線)に対する遮蔽性能を高めるために、一般的なコンクリートの比重2.3を上回る高比重3.2程度とすることが望ましい。その高比重コンクリートは、酸化鉄鉱石や電気炉酸化スラグなどの重量骨材を使用して製作する。
また、低放射化効果のあるプレキャスト壁部2が配置されているため、遮蔽壁1の全壁厚を小さくすることが可能となる。
隣接するプレキャストコンクリート板同士の目地24同士が壁厚方向で重ならないように(直線的に連続しないように)形成されているため、放射線が通過しやすいルートが形成されることを防止できる。
なお、プレキャスト壁部2に壁躯体として必要な鉄筋量の鉄筋を配筋(密に配筋)しておけば、現場打ち壁部3の鉄筋量を低減することができる。こうすれば、現場での配筋作業の省力化を図ることができ、工期短縮を図ることができるとともに、現場打ち壁部3に密実なコンクリートを打設しやすくなる。
<第二の実施形態>
第二の実施形態の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁1(以下、単に「遮蔽壁1」という)は、図6に示すように、プレキャスト壁部2と現場打ち壁部3とを備えている。
プレキャスト壁部2は、遮蔽壁1の壁厚方向に間隔をあけて3つ並設されている。本実施形態では、建屋外側および建屋内側(放射線利用設備側)の両側面と、これらの中間部にプレキャスト壁部2が形成されている。対向するプレキャスト壁部2同士の間隔は80cm未満である。なお、遮蔽壁1のプレキャスト壁部2の数は限定されるものではなく、放射線遮蔽要求に応じて決定される遮蔽壁1の全幅に応じて適宜決定すればよい。
プレキャスト壁部2同士は、間隔保持材4を介して連結されている。
間隔保持材4は、棒状部材41と棒状部材41とプレキャスト壁部2との接合部に設けられた治具44とにより構成されている。
本実施形態の棒状部材41は円形断面の鋼管により構成されている。なお、棒状部材41を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、山形鋼や角形鋼管であってもよい。棒状部材41は、各プレキャスト壁部2に形成された貫通孔21aを貫通している。棒状部材41は、プレキャスト壁部2の表面に設けられた治具44を介してプレキャスト壁部2に固定されている。
治具44は、貫通孔21aを挟むように、プレキャスト壁部2の両面に配設されている。治具44は、プレキャスト壁部2に固定されている。棒状部材41は治具44に固定されている。なお、棒状部材41の治具44への固定方法は限定されるものではない。本実施形態の治具44は、平板により形成されている。プレキャスト壁部2を挟む治具44,44は、治具44,44およびプレキャスト壁部2を貫通したボルト43によりプレキャスト壁部2に固定されている。
各プレキャスト壁部2は、複数のプレキャストコンクリート板(以下、「PC板」という)20をつなぎ合わせることにより壁状に形成されている。
本実施形態のプレキャスト壁部2を構成するPC板20は、設計基準強度Fc=80N/mm程度の高強度コンクリートにより構成されている。なお、PC板20を構成するコンクリートの設計基準強度Fcは限定されないが、高強度コンクリートにより構成することが遮蔽性能の面から好ましい。また、PC板20の配合等は適宜設定すればよい。
PC板20の端部には段差が形成されている。PC板20同士の接合部(目地24)では、端部の段差部分を重ね合わされている。また、対向するプレキャスト壁部2の目地24同士は、壁厚方向で重ならない位置に配置されている。
プレキャスト壁部2の現場打ち壁部3側面には中性子吸収材を含有するシート状成形体25が貼設されている。本実施形態では、中性子吸収材として、ガドリニウム含有粉体を使用する。なお、中性子吸収材はガドリニウム含有粉体に限定されるものではなく、例えば、ホウ素含有粉体であってもよい。また、中性子吸収材として、ガドリニウム含有粉体またはホウ素含有粉体を含有するシート状成形体25を使用してもよい。本実施形態では、シート状成形体25を接着剤によりプレキャスト壁部2の表面に貼着している。なお、シート状成形体25の設置方法は限定されるものではなく、例えば、コンクリート打設時に一体成形してもよい。また、各シート状成形体25同士は、一定の重ね幅を確保して重ね貼りにて一体化し、放射線が隙間を貫通して進行しないようにする。
現場打ち壁部3は、対向するプレキャスト壁部2,2の間に形成されたコンクリート硬化体からなる。
現場打ち壁部3を構築する際には、プレキャスト壁部2,2を型枠として利用する。本実施形態では、現場打ち壁部3の形成に使用するコンクリート(フレッシュコンクリート)に、いわゆる普通コンクリートを使用する。なお、現場打ち壁部3を構成するコンクリートの配合等は適宜決定すればよい。
本実施形態の遮蔽壁1によれば、中性子吸収材を含有するシート状成形体25が設けられているため、放射線の遮断性が高い。
また、プレキャスト壁部2が高強度コンクリートからなるPC板20により形成されているため、放射線の遮断性能が高く、かつ、躯体として十分な強度を確保することができる。また、高耐力なため、コンクリートの劣化を防止することもできる。なお、本実施形態では、全てのプレキャスト壁部2が高強度コンクリートにより形成されている場合について説明したが、プレキャスト壁部2を構成するコンクリートは高強度コンクリートに限定されるものではない。
また、間隔保持材4の棒状部材41がプレキャスト壁部2を貫通しているため、この固定度が高く、現場打ち壁部3の施工時の安定性が高い。
この他の第二の実施形態の遮蔽壁1の作用効果は、第一の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
前記各実施形態では、3つのプレキャスト壁部2が並設されている場合について説明したが、プレキャスト壁部2の数は限定されるものではなく、例えば2つ、あるいは4つ以上など、壁厚に応じてその数を設定すればよい。
前記各実施形態では、対向するプレキャスト壁部2が間隔保持材4を介して連結されている場合について説明したが、プレキャスト壁部2同士は、必ずしも間隔保持材4を介して連結されている必要はない。例えば、建物外側のプレキャスト壁部2と中央のプレキャスト壁部2とを間隔保持材4により連結して構造体としての耐力を確保している場合には、建物内側のプレキャスト壁部2と中央のプレキャスト壁部2とは連結しなくてもよい。
各PC板20の端部(目地部)の形状は限定されるものではない。
また、PC板は、必ずしも高強度で作成する必要はなく、現場打ちコンクリートと同等か、あるいは、必要な遮蔽性能を満たせば現場打ちコンクリートよりも低強度の場合もあり得る。
1 遮蔽壁(鉄筋コンクリート造の遮蔽壁)
2 プレキャスト壁部
20 PC板(プレキャストコンクリート板)
21 第一PC板(表層PC板)
22 第二PC板(表層PC板)
23 第三PC板(内部PC板)
24 目地
25 シート状成形体
3 現場打ち壁部
4 間隔保持材
41 棒状部材
42 平板

Claims (3)

  1. 壁厚方向に間隔をあけて並設された、プレキャストコンクリート板からなるプレキャスト壁部と、
    前記プレキャスト壁部の間に形成された、現場打ちコンクリートからなる現場打ち壁部と、を備える鉄筋コンクリート造の遮蔽壁であって、
    前記現場打ち壁部のコンクリートがマスコンクリートに該当しないように、前記プレキャスト壁部の数と、前記プレキャスト壁部同士の間隔が設定されており、
    対向する前記プレキャスト壁部同士の間には、形鋼または鋼管からなる棒状部材と、前記棒状部材の両端に溶接された平鋼板とで構成される間隔保持材が配置されており、
    前記平鋼板は、前記プレキャスト壁部の内側面に固定されていることを特徴とする、鉄筋コンクリート造の遮蔽壁。
  2. 前記プレキャスト壁部は、前記遮蔽壁の両側面に並設されており、
    全ての前記プレキャストコンクリート板は、ガドリニウムおよびホウ素の少なくとも一方が添加されたセメント系遮蔽材により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁。
  3. 前記プレキャスト壁部が、複数のプレキャストコンクリート板により形成されており、
    前記プレキャストコンクリート板同士は、互いにつなぎ合わされていて、
    前記プレキャストコンクリート板同士の目地が、対向する他の前記プレキャストコンクリート板同士の目地と、壁厚方向で重ならない位置に配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鉄筋コンクリート造の遮蔽壁。
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