JP2017089183A - グラウト工法による岩盤層の山留め構造の構築方法及び山留め構造 - Google Patents

グラウト工法による岩盤層の山留め構造の構築方法及び山留め構造 Download PDF

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雄一 甲村
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Abstract

【課題】グラウチング技術を用い、施工性で優れるオープンカットで山留めを実現する工法及び山留め構造を提供する。
【解決手段】岩盤層の掘削予定箇所の周囲のうち流れ盤側の岩盤層部分に山留め構造を構築する工法であって、(A)上記岩盤層部分のうち当該岩盤層部分と掘削予定箇所との間の仮想掘削面に近い部分に、上方から見て当該仮想掘削面と平行に、複数の略垂直な空孔からなる第1孔列を穿設する工程(B)これら第1孔列の各空孔内へ硬化材料を注入して第1硬化壁部を形成する工程(C)上記岩盤層部分のうち仮想掘削面から遠い部分に、上方から見て仮想掘削面と平行に複数の略垂直な空孔からなる第2孔列を穿設する工程(D)上記第2孔列に硬化材料を注入して、上記第1硬化壁部と連続する第2硬化壁部を形成する工程を含み、工程(C)の前或いは後に工程(B)を行い、第1硬化壁部が固まった後に工程(D)を行い、山留め壁を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、グラウト工法による岩盤層の山留め構造の構築方法及び山留め構造に関する。
亀裂を含む岩盤層を掘削して掘削箇所の両側を山留めする場合には、亀裂の向きによって掘削箇所の一方が流れ盤Sdに、他方が受け盤Soになることがある(図7参照)。ここで流れ盤とは、一般に斜面崩壊方向への亀裂の傾斜角度が、亀裂部の内部摩擦角よりも大きいものをいう。流れ盤側では亀裂に沿って岩盤の一部が滑り掘削面の崩落が生じ易いので、これを回避する工夫が必要である。従来の山留め構築工法として次のことが知られている。
(A)図7(A)に示す如く岩盤の掘削箇所の受け盤側及び流れ盤側をそれぞれ垂直に切って、相互に向かい合う切断面に、これら両面の間に設置した複数の切梁の両端を突き当てて固定する山留め切梁工法。
(B)図7(B)に示す如く岩盤の掘削箇所の受け盤側を垂直に切ってロックボルトを施すとともに、流れ盤側は崩落を生じにくいように傾斜を付けて切断し、グラウンドアンカーを施すオープンカット工法。
ロックボルトを用いた山留めについては、下記の非特許文献1が出版されており、設計法は確立している。
図7(A)に示した受け盤の岩盤においては、岩盤中に存在する亀裂が斜面の崩壊方向とは逆方向に卓越している。この場合、図示するように切土面表層付近の崩壊を防ぐためロックボルト+吹付モルタルで表面を保護し、ロックボルト打設範囲を疑似擁壁とみなして、内的安定(疑似擁壁内のすべり)および外的安定(疑似擁壁の滑動、転倒および支持力)が確保できるように設計を行えばよい。
ちなみに、疑似擁壁の安定性評価法(滑動、転倒および支持力)に関しては、下記の非特許文献2に記載されており、安定性評価法は確立されている。
また山留めに隣接する技術分野には次の技術が知られている。
(C)斜面において落石を防止する技術として、グラウチングにより岩石間を固化・接着する技術が公開されている(特許文献1)。
(D)岩盤の浅い部分にグラウチングを行う岩盤補強技術が公開されている(特許文献2)。
特許2694379号 特公平6−74717
「切土補強土工法設計・施工要領」:東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社 2007 年 「道路土工切土工・斜面安定工指針」:日本道路協会、2009年 「切土補強土工法設計・施工要領」:東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、2007年
上述の(A)のように、切梁を設置して掘削する場合には、オープンカットのような大規模な作業空間の確保ができず、施工性の点で問題を生じる。さらに、受盤側と流れ盤側で土圧が大きく異なるため、このような偏土圧に対する対策も必要となる。
上述の(B)のようにオープンカットを行う場合、流れ盤側(図面右側)は法を付けて掘削するため、掘削岩盤量が増加してコストが増加するとともに、アンカーを設置するためさらにコストが増加し、不経済な山留めとなる。
このオープンカット工法の問題点を、より詳しく説明すると、次の通りである。
図7(A)に示した受け盤の岩盤においては、岩盤中に存在する亀裂が斜面の崩壊方向とは逆方向に卓越している。この場合、図示例のように切土面表層付近の崩壊を防ぐためロックボルト+吹付モルタルで表面を保護し、ロックボルト打設範囲を疑似擁壁とみなして、内的安定(疑似擁壁内のすべり)および外的安定(疑似擁壁の滑動、転倒および支持力)が確保できるように設計を行えばよい。このうち、外的安定については、岩盤を対象としているため滑動に対する抵抗および岩盤の支持力は比較的大きい。よって滑動や支持力は満足できる場合が多い。このため、転倒に対して安定するように疑似擁壁の奥行Lを決める必要がある。上述の受け盤の場合、疑似擁壁に作用する主働土圧は、流れ盤に比べて小さい。よって、転倒モーメントは小さな値であるため、疑似擁壁の奥行Lは比較的小さな値で良いことになる。
他方、流れ盤の場合は、疑似擁壁に作用する主働土圧が大きく、転倒モーメントが大きいため疑似擁壁の奥行Lを大きな値とする必要がある。ロックボルトの長さは上述の非特許文献3によると5mが限界である。これは5mを超えると施工性や経済性の観点で、グラウンドアンカー工法に劣るためである。
また、流れ盤岩盤では岩盤内の亀裂が斜面崩壊方向に存在するため、疑似擁壁の内的安定(すべり)を確保するためロックボルトに作用する軸力も大きくなる。
よって、流れ盤岩盤ではロックボルトでの対応は難しく、図7(B)に示すようなアンカーを利用した山留めとなる。この場合、グラウンドアンカーの軸力が大きいため、掘削表面にはコンクリート工や腹起しが必要となり不経済な山留めとなる。
次に特許文献1は、自然斜面における不安定な部分にグラウチングを行うものである。 岩盤を掘削する過程で生じる斜面をグラウチングにより改良し、鉛直に掘削することで疑似擁壁を構築して、グラウチングした部分を山留めとして利用することは開示されていない。鉛直に掘削することにより、従来の法切り+バックアンカーに比べて掘削岩盤数量が減少するため、合理的で経済的な山留めが可能となる。
特許文献2は、岩盤の浅い部分にグラウチングを行う岩盤補強技術に過ぎず、岩盤の深い部分まで改良して山留め壁を構築する技術とは異なる。
本願発明の目的は、グラウチング技術を用い、施工性で優れるオープンカットで山留めを実現する工法及び山留め構造を提供することである。
第1の手段は、岩盤層の掘削予定箇所の周囲のうち流れ盤側の岩盤層部分に山留め構造を構築する工法であって、
(A)上記岩盤層部分のうち当該岩盤層部分と掘削予定箇所との間の仮想掘削面に近い部分に、上方から見て当該仮想掘削面と平行に、複数の略垂直な空孔からなる第1孔列を穿設する工程
(B)これら第1孔列の各空孔内へ硬化材料を注入して第1硬化壁部を形成する工程
(C)上記岩盤層部分のうち仮想掘削面から遠い部分に、上方から見て当該仮想掘削面と平行に複数の略垂直な空孔からなる第2孔列を穿設する工程
(D)上記第2孔列に硬化材料を注入して、上記第1硬化壁部と連続する第2硬化壁部を形成する工程
を含み、
上記工程(C)の前或いは後に工程(B)を行い、第1硬化壁部が固まった後に工程(D)を行うものとし、
少なくとも上記第1硬化壁部と第2硬化壁部とにより岩盤層の山留め構造である山留め壁が構成されることを特徴とする。
本手段は、掘削箇所の亀裂を有する岩盤において、掘削箇所1の山留め壁4をグラウチング技術を用いて構築する工法を提案する。山留め壁4は複数列の硬化壁部を順次相互に連続させて形成される。その際に図2に示す仮想掘削面Eiに近い側から順番に硬化壁部を構成するものとする。亀裂を有する岩盤にボーリング孔を穿設して、セメントミルクを流し込むと、亀裂を介して拡散すると考えられる。掘削箇所に近い側に硬化壁部を構築することで、この硬化壁部が掘削箇所から遠い側に穿設したボーリング孔より注入されたセメントミルクを掘削箇所の側へ流れることを堰き止める役割を果たすので、効率的に山留め壁を構築できる。
本願明細書において、「空孔」とは硬化材料を注入可能な孔という意味である。
また本手段において各工程の記載の順序は直ちに工程を実施する順序を意味しておらず、各工程の中身に応じて判断されるべきである。
なお、空孔に関して「略垂直」と記載したのは、ボーリング孔を垂直に施工しようとしても施工誤差を生じるため厳密には垂直にならないこと、また、意図的に垂直から若干の角度をつけて山留め壁を構成しても、本発明の考え方が適用できることによるためである。
後述のグラウチング用孔に関しても同様である。
「工程(C)の前或いは後に工程(B)を行い」と記載したのは、工程(B)→工程(C)の順序又は工程(C)→工程(B)の順序のどちらでもよいという趣旨である。3層以上の硬化壁部を構成するときも同様に解釈されるべきである。
第2の手段は、岩盤層の掘削部の周囲の亀裂を含む岩盤層部分に構成された山留め構造であって、
上記岩盤層部分のうち当該岩盤層部分と掘削部との間の掘削面に近い部分に、上方から見て当該掘削面と平行に並列された、複数の略垂直な第1グラウチング用孔と、
これら第1グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第1硬化壁部と、
上記岩盤層部分のうち掘削面から遠い部分に、上方から見て当該掘削面と平行に並列させた、複数の略垂直な第2グラウチング用孔と、
これら第2グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第2硬化壁部とを具備し、
上記第1硬化壁部と上記第2硬化壁部とが相互に連結しなる山留め壁が上記岩盤層構造の亀裂を縦断するように形成してなることを特徴とする。
本手段は、図1に示すようにグラウチング工法を用いて複数の硬化壁部を連続形成してなる山留め構造を提案している。この山留め構造は第1の手段で述べた方法で構築することができる。硬化壁部は、岩盤層の亀裂を縦断するように垂直方向に形成されるので、亀裂を介する硬化材料の拡散を抑制できる。
本明細書において「クラウチング用孔」とは、グラウチング作業で硬化材料を注入するための孔をいう。グラウチング作業後の埋め戻しによる中実な構造を除外しない。岩盤に硬化材料を注入して硬化させた硬化壁部と区別できれば足りる。
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ上記岩盤層部分が流れ盤である。
本手段は、図1に示すように掘削箇所のうち流れ盤Sdの側に山留め壁4を構築させることを提案している。流れ盤Sdでは掘削箇所側(下方流域側)に向かって下がるように亀裂Fが傾斜しているので、これら亀裂を介して硬化材料が拡散し易い。硬化壁部を流れ盤の下側から順次形成されるので、第1硬化壁部6aが第2孔列への硬化材料の注入の際に止水壁として機能し、硬化材料の拡散を抑制する。
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、
上記岩盤層部分のうち第2グラウチング用孔よりもさらに掘削面から遠い部分に掘削面と平行に並列させた、複数の第3グラウチング用孔と、
これら第3グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第3硬化壁部と、
を具備し、
第3硬化壁部が第2硬化壁部に連結しており、
かつ第1グラウチング用孔の孔列と第2グラウチング用孔の孔列との距離に比べて、第2グラウチング用孔の孔列と第3グラウチング用孔の孔列の距離を大としたことを特徴とする。
本手段は、図3に示すように山留め壁4を、少なくとも第1硬化壁部4aと第2硬化壁部4bと第3硬化壁部4cとの3層構造としている。これにより、山留め壁4の滑動を有効に防止できる。また第1グラウチング用孔の孔列と第2グラウチング用孔の孔列との距離g1に比べて、第2グラウチング用孔の孔列と第3グラウチング用孔の孔列の距離g2を大とすることを提案している。これにより山留め壁の水平方向の厚みが大となり、山留め壁の回転を有効に防止できる。
第1の手段に係る発明によれば、掘削予定箇所の周囲の岩盤層をグラウト工法により山留め壁である擬似擁壁としたから、内的安定性が確保できる。
また流れ盤の仮想掘削面に近い側に先に第1硬化壁部を形成するから、第2硬化壁部を形成する際にグラウチング範囲が平均化される。
第2の手段に係る発明によれば、グラウチング孔を2列としたので、滑動および転倒を防止できる。
第1硬化壁部と上記第2硬化壁部とが相互に連結してなる山留め壁が上記岩盤層構造の亀裂を縦断するように形成してなるから、亀裂を通じた水・土砂・硬化材料の拡散を効果的に防止できる。
第3の手段に係る発明によれば、掘削部側へ崩れ易い滑動および転倒が厳しい条件となる流れ盤対象として擬似擁壁である山留め壁を経済的に構築できる。
流れ盤の下側から順次硬化壁部を形成するので、二番目の孔列への硬化材料の注入段階で一番目の硬化壁部が止水壁として機能し、グラウチング範囲が平均化される。
第4の手段に係る発明によれば、第3グラウチング用孔の孔列を設けたから、滑動を有効に防止できる。
また第1グラウチング用孔の孔列と第2グラウチング用孔の孔列との距離に比べて、第2グラウチング用孔の孔列と第3グラウチング用孔の孔列の距離を大としたから、山留め壁の滑動および転倒を有効に防止できる。
本発明の第1実施形態に係る山留め構造の縦断面図である。 図1の山留め構造の構築方法の一部の工程を示すものであり、 同図[1p]は第1孔列を穿設する工程の平面図を、同図[1s]は当該工程の側面図を示しており、 同図[2p]は第1孔列を介して硬化材料を注入する工程の平面図を、同図[2s]は当該工程の側面図を示しており、 同図[3p]は第2孔列を穿設する工程の平面図を、同図[3s]は当該工程の側面図を示しており、 同図[4p]は第2孔列を介して硬化材料を注入する工程の平面図を、同図[4s]は当該工程の側面図を示している。 図1の山留め構造の構築方法の残りの工程を示すものであり、 同図[5p]は第3孔列を穿設する工程の平面図を、同図[5s]は当該工程の側面図を示しており、 同図[6p]は第3孔列を介して硬化材料を注入する工程の平面図を、同図[6s]は当該工程の側面図を示しており、 同図[7p]は第1硬化壁部の強度低下部を掘削する工程の平面図を、同図[7s]は当該工程の側面図を示している。 グラウチング作業(硬化材料の注入作業)時の硬化材料の拡散方向と水頭との関係を模式的に示す説明図である。 山留め壁の設計条件を示す説明図であり、同図(A)は滑りを生じない条件を、同図(B)は転倒を生じない条件を、また同図(C)は支持力を確保するための条件をそれぞれ示している。 山留め壁の設計条件のうち崩落しない条件(内的安定性)に関する説明図である。 従来の山留め技術の説明図であり、同図(A)は向かい合う掘削面の間に横梁を設けた構造、同図(B)は、流れ盤側に傾斜(法)を付けてアンカーボルトで固定した構造をそれぞれ示している。
図1から図6は、本発明の山留め構造の第1実施形態を示している。
図1において、Gは、亀裂Fを含む岩盤層を、1は掘削箇所を、Soは受け盤を、Sdは流れ盤をそれぞれ示している。
掘削箇所1の受け盤So側には、任意の従来工法による山留め(図示例では吹付けモルタル100を施工後アンカーボルト102を施工したもの)が施されている。掘削箇所の流れ盤Sd側には本発明の山留め構造が構築されている。
本発明の山留め構造は、上記流れ盤Sdに垂直な山留め壁4を構成してなるものであり、この山留め壁4はグラウチング工法で構築できる。山留め壁4は、掘削箇所1の掘削作業を始める前に、図2の[1P]に示すように仮想掘削面Ei(掘削作業後に掘削面Eとなる箇所をいうものとする)に沿って構築するとよい。
上記山留め壁4は、上記仮想掘削面Eiに沿って延びる複数の硬化壁部4a、4b、4c…をグラウチング技術によって順次連続形成してなる。図2〜図3では説明の便宜上から各硬化壁部を明確に区分して作図しているが、実際の硬化壁部は相互に結合されかつ合体して一個の山留め壁4をなしている。
山留め壁4は略垂直とすることが好適である。なお、「略垂直」という言葉を用いる理由は、たとえグラウチング用孔を垂直に穿設しようと掘削機の先端部が岩盤の抵抗によって横方向へ(例えば岩盤の亀裂の傾斜方向へ)流れること等、現場の条件により、例えば1%程度は傾斜することがよくあるからである。
本発明においては、岩盤層Gの亀裂を縦断するように硬化壁部4a、4b…を形成し、これら硬化壁部が垂直層状に重なって山留め壁4を形成している。図1に例示する山留め壁4は、4層構造となっているが、2層以上の構造であればよい。
各硬化壁部4a、4b、4c…は、仮想掘削面Eiの方向に配列した複数のグラウチング用孔6…を有する。本明細書では、各硬化壁部が有する一連のグラウチング用孔を“孔列”と呼ぶものとする。各グラウチング用孔6は、ボーリング孔として従来公知の方法で岩盤層Gに穿設するとよい。これらボーリング孔にセメントミルクなどの硬化材料(以下「グラウト」という)を注入し、孔の周囲の亀裂部を硬化させて硬化壁部4a、4b、4c…を形成するとよい。
以下の説明において、各硬化壁部及び孔列を、仮想掘削面Eiに近い方から番号を付して区別するものとする。
本発明の山留め構造の構築方法を図2〜図3の図示例に基づいて説明する。
なお、図2及び図3の上半分は各段階の平面図を、下半分は各段階の側方から見た断面図をそれぞれ示している。
(A)第1孔列を穿設する工程(図2の[1P]及び[1S]参照)
図2の部分図[1P]に示す仮想掘削面Eiに沿って、第1孔列6a…を、ボーリング用掘削機などを用いて穿設する。
(B)第1硬化壁部4aを形成する工程(図2の[2P]及び[2S]参照)
第1硬化壁部4a内にグラウトを注入して第1硬化壁部4aを形成させる。
流れ盤Sdにおいては、亀裂Fが掘削予定箇所へ下るように傾斜しているため、グラウトは斜め下方へ大きく広がる。本明細書において、この斜め下方側を“下方流域”といい、斜め上方側を“上方流域”というものとする。これにより下方流域側には強度低下部5ができる。この強度低下部は後に掘削するものとする。
グラウトが下方流域側へ広がる傾向を考慮して第1硬化壁部4aを形成するのに必要な量のグラウトを投入する。これに関しては図4の説明において解説する。
グラウトは、低コストであるセメントミルクを用いることが最も好適であるが、従来グラウチング工法に用いられる材料(グラウト)を使用することを否定するものではない。従来シリカ系グラウトとしては、セメント系反応剤を含む水ガラス系、シリカゾル、活性シリカコロイド、超微粒子複合シリカなどが知られている。本実施形態ではセメントミルクを用いるものとする。
(C)第2孔列を穿設する工程(図2の[3P]及び[3S]参照)
第1孔列6a…から、掘削予定の箇所と反対側に一定距離g1を離して第2孔列6b…を穿設する。なお、工期の短縮という観点からは、図示例のように第1孔列にグラウトを注入して第1硬化壁部が硬化するのを待つ間に第2孔列の穿設作業を行うことが好適であるが、第2孔列の穿設作業の後に第1孔列へのグラウトの注入作業を行っても構わない。
(D)第2硬化壁部4bを形成する工程(図2の[4P]及び[4S]参照)
第1硬化壁部4aが一応固まる程度の養生期間を経過した後に、第2硬化壁部4b内にグラウトを注入して第1硬化壁部4aを形成させる。グラウトは亀裂に沿って流れ盤Sdの下方流域側へ流れるが第1硬化壁部4aが遮水壁として流れを堰き止めるので、グラウトの拡散は制限される。これにより2列目の孔列では上方流域側に比較的広い範囲でグラウチングができる。
よって、下方流域側及び上方流域側のグラウチング範囲が平均化され、強度のばらつきが小さくなり、合理的なグラウチングが可能となる。
なお、第2硬化壁部4bを形成したところで山留め壁4の構築を終了してもよいが、本実施形態ではさらに外側の硬化壁部を形成する。
(E)第3孔列を穿設する工程(図3の[5P]及び[5S]参照)
第2孔列6b…から、掘削予定の箇所と反対側に一定距離g2を離して第3孔列6c…を穿設する。前述の通り、2列目の孔列6bでのグラウチングの際に上方流域側へグラウトが広がっているため、2列目と3列目との間隔g2は1列目と2列目との間隔g1よりも大きくとることができる。これにより山留め壁4の幅が大きくなり、転倒も生じにくくなる。
(F)第3硬化壁部4cを形成する工程(図3の[6P]及び[6S]参照)
第3孔列6c内にグラウトを注入して第3硬化壁部4cを形成する。
山留め壁4に第3硬化壁部4cが加わることで、山留め壁4の面と岩盤層との摩擦力が大となり、滑動しにくくなる。
必要により第4硬化壁部以上の硬化壁部を設けてもよい。この場合の孔列間の間隙は上記のg2と同じでよい。グラウチング範囲が平均化されるという条件は第4孔列より上方流域側でも同じだからである。それ以外の事柄についても、以上の説明に準じて作業を行えばよい。
(G)第1硬化壁部4aの強度低下部を掘削する工程(図3の[7P]及び[7S]参照)
第1硬化壁部4aの下方流域側を掘削する作業において、第1硬化壁部4aの強度低下部5を合わせて削除する。
図4は、グラウチング時のグラウトの拡散方向と水頭との関係を模式的に示している。一般にグラウチングにおいては地中でのグラウトと岩盤層との抵抗を考慮して、どれくらいの注入圧力(圧力水頭)を加えると、地中でグラウトがどの程度の範囲に広がるかを考慮して圧力水頭を決定する。本発明のように亀裂が傾斜している岩盤層を対象とする場合には、グラウトが拡散する方向に応じてさらに位置水頭の変化を考慮する必要がある。
以下、仮想の実施例を想定して説明する。
仮にグラウトが注入位置(ボーリング孔)から水平方向に5m(=ΔX)の範囲まで到達させようとするものとし、亀裂Fの傾斜角度を45度と仮定する(ΔX=ΔY)。
ボーリング孔へのグラウト注入圧力を2.5kg/cm(水頭換算で25m=H)と仮定すると、グラウト上端での水頭はHU=H−ΔY=H−ΔX=20mとなり、またグラウト下端の水頭はHL=H+ΔY=H+ΔX=Δ30mになる。すなわち、1.5 倍の差を生じる。このようにグラウトの到達距離が流れの方向により異なることを念頭に入れて、グラウトの注入圧力を決定する。
以下、山留め壁4の外的安定性及び内的安定性について説明する。
図5は、本発明の山留め壁4の外的安定性に関する説明図である。グラウチングによって構成した山留め壁4の背面には土圧が作用するため、これが擬似擁壁として機能するためには、滑動しない、転倒しない、十分な支持力が確保できるという3つの3安定性を確認する必要がある。本明細書ではこれらを外的安定性という。
滑動に関しては、少なくとも滑動力よりも抵抗力が大きいことが必要である。具体的には、下記の数式1を利用して滑動に対する安全率Fsが常時で1.5、地震時には1.2を下回っていないということを確認する。
[数式1]
Fs=[滑動に対する抵抗力]/[滑動力]
=[ΣV×μ+c×B]/ΣH
但し、ΣVは、図5(A)に示す山留め壁の下面における全鉛直荷重、ΣHは、山留め壁の下面における全水平荷重、μは、山留め壁と岩盤層との摩擦係数(=tanφ、φは岩盤の内部摩擦角)、cは、山留め壁と岩盤層との間の粘着力、Bは山留め壁部の幅である。なお、山留め壁の下面の各部位の水平荷重(H)は、疑似擁壁に作用する背面岩盤からの主働土圧の合力で求められる。
転倒に関しては、図5(B)に示すように、少なくとも、山留め壁の転倒の中心Oから山留め壁の下面上での合力の作用点Rまでの水平方向の距離dを、転倒を妨げる向き(図中中心Oよりも右側)にとることが出来なければならない。
換言すれば、少なくとも下記の数式2の右辺の分子が正の値になる必要がある。具体的には、同図に示す通り、擬似擁壁のつま先に設定された転倒の中心Oに対して山留め壁を転倒させる向きに作用させるモーメント(転倒モーメントという)ΣMoに対して、転倒に抵抗する向きに作用するモーメント(抵抗モーメントという)Mrが大きいことを確かめる。さらに安全率が常時1.5以上であることが望ましい。
[数式2]
d=[ΣMr−ΣMo]/ΣV
=[ΣV×a−ΣH×b]/ΣV
但し、
ΣVは山留め壁の下面における全鉛直荷重、
は山留め壁に作用する荷重の鉛直成分
は転倒の中心OとVの作用点との水平距離
は山留め壁に作用する荷重の水平成分
は転倒の中心OとHの作用点との垂直距離
数式2を用いて転倒の中心Oから山留め壁4の下面上での土圧と擁壁自重の合力の作用点Rまでの距離dを算出し、山留め壁4の下面の中心点から作用点Rまでの偏心距離eを求める。このときにeの絶対値がB/6以下であることを確かめる。但し、Bは山留め壁の下面の幅である。
支持力に関しては、山留め壁の幅方向両端における地盤反力度q及びqを求める。
ここで合力作用点が山留め壁の下面幅1/3の中にあるときには地盤反力度はそれぞれ次のように求める。
=(ΣV/B)×[1+(6e/B)]
=(ΣV/B)×[1−(6e/B)]
また合力作用点が山留め壁の下面幅1/3の外であって当該下面幅の2/3の中にある場合には、地盤反力度は次のように求める。
=(2ΣV)/3d
そしてq及びqがqa=qu/Fs以下であることを確認する。
但し、qaは地盤の許容支持力度、quは地盤の極限支持力度、Fsは地盤の支持力に対する安全率である。
図6は、山留め壁の内的安定性についての説明図である。
内的安定性とは、擬似擁壁である山留め壁4の背面の土圧および擁壁自重により、山留め壁自体がすべり破壊をしないための条件である。
具体的には、図6に示すように山留め壁4内に適当な節理面(滑り面J)を設定して、滑り面の上の岩盤部分(滑り地塊10という)に対して滑り面Jにおいてで作用する滑り力Q及び滑り抵抗力Sをそれぞれ計算し、Q<Sでなければならない。滑り面は種々のものを仮定し、安全率が最も小さい値を示す滑り面で、安定することを確認する。安全率は常時1.5に設定するとよい。
滑り力Qは、次のように与えられる。
Q=W×sinθ (kN/m)
但し、θは滑り面が水平に対してなる角度、Wは奥行き1.0m当たりの滑り地塊10の重量である。
図6に示すように滑り地塊10の上下高さをh、岩盤地表面に表れる滑り地塊10の幅をaとすると、
W=a×h×(1/2)×1.0×γt(kN/m)
と計算すればよい。但しは地塊の単位体積重量である。
抵抗力Sは以下のように求められる。
S=c・L+W×cosθ×tanφ
但し、cは山留め壁の粘着力、Lは仮定したすべり線の長さ、φは山留め壁の内部摩擦角である。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例に過ぎず、本発明の技術的な意義に反しない限り、本発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いられるべきではない。
1…掘削箇所 2…山留め構造 4…山留め壁 4a、4b、4c…硬化壁部
5…強度低下部
6…グラウチング用孔 6a…第1孔列 6b…第2孔列 6c…第3孔列
10…滑り地塊
100…吹付けモルタル 102…アンカーボルト
E…掘削面 Ei…仮想掘削面 F…亀裂
G…岩盤層 g1、g2…孔列間の間隙 J…滑り面(節理面)
P…掘削予定箇所 Q…滑り抵抗力
S…滑り力 So…受け盤 Sd…流れ盤
θ…水平面に対する亀裂の傾斜角度

Claims (4)

  1. 岩盤層の掘削予定箇所の周囲のうち流れ盤側の岩盤層部分に山留め構造を構築する工法であって、
    (A)上記岩盤層部分のうち当該岩盤層部分と掘削予定箇所との間の仮想掘削面に近い部分に、上方から見て当該仮想掘削面と平行に、複数の略垂直な空孔からなる第1孔列を穿設する工程
    (B)これら第1孔列の各空孔内へ硬化材料を注入して第1硬化壁部を形成する工程
    (C)上記岩盤層部分のうち仮想掘削面から遠い部分に、上方から見て当該仮想掘削面と平行に複数の略垂直な空孔からなる第2孔列を穿設する工程
    (D)上記第2孔列に硬化材料を注入して、上記第1硬化壁部と連続する第2硬化壁部を形成する工程
    を含み、
    上記工程(C)の前或いは後に工程(B)を行い、第1硬化壁部が固まった後に工程(D)を行うものとし、
    少なくとも上記第1硬化壁部と第2硬化壁部とにより岩盤層の山留め構造である山留め壁が構成されることを特徴とする、
    グラウト工法による岩盤層の山留め構造の構築方法。
  2. 岩盤層の掘削部の周囲の亀裂を含む岩盤層部分に構成された山留め構造であって、
    上記岩盤層部分のうち当該岩盤層部分と掘削部との間の掘削面に近い部分に、上方から見て当該掘削面と平行に並列された、複数の略垂直な第1グラウチング用孔と、
    これら第1グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第1硬化壁部と、
    上記岩盤層部分のうち掘削面から遠い部分に、上方から見て当該掘削面と平行に並列させた、複数の略垂直な第2グラウチング用孔と、
    これら第2グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第2硬化壁部とを具備し、
    上記第1硬化壁部と上記第2硬化壁部とが相互に連結しなる山留め壁が上記岩盤層構造の亀裂を縦断するように形成してなることを特徴とする山留め構造。
  3. 上記岩盤層部分が流れ盤であることを特徴とする、請求項2に記載の山留め構造。
  4. 上記岩盤層部分のうち第2グラウチング用孔よりもさらに掘削面から遠い部分に掘削面と平行に並列させた、複数の第3グラウチング用孔と、
    これら第3グラウチング用孔の周囲を囲み硬化材料で硬化された第3硬化壁部と、
    を具備し、
    第3硬化壁部が第2硬化壁部に連結しており、
    かつ第1グラウチング用孔の孔列と第2グラウチング用孔の孔列との距離に比べて、第2グラウチング用孔の孔列と第3グラウチング用孔の孔列の距離を大としたことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の山留め構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108999198A (zh) * 2018-09-06 2018-12-14 蔡荪萍 一种新型模袋土钉桩施工工艺
CN111622233A (zh) * 2020-05-29 2020-09-04 中铁大桥局第七工程有限公司 一种基坑围护装置
CN111705812A (zh) * 2020-07-03 2020-09-25 中建七局安装工程有限公司 可回收装配式基坑支护施工方法

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