以下に添付図面を参照して、この発明にかかる不正監視システムの好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、この発明にかかる異常検知装置を遊技媒体の貸し出しを制御する遊技媒体貸出装置に適用した例について説明する。
(実施の形態1)
(遊技媒体貸出装置100の外観)
まず、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100の外観について説明する。図1は、遊技媒体貸出装置100の一例を示す外観図である。図1において、遊技媒体貸出装置100は、紙幣投入口101と、ディスプレイ102と、操作ボタン103と、会員カード投入口104と、精算コイン投入口105と、精算コイン返却口106と、アンテナ107と、を備えている。
遊技媒体貸出装置100は、パチンコホールなどの遊技場に設置される遊技機(たとえば、パチンコ遊技機、スロット遊技機)での遊技に使用する遊技球や遊技メダルなどの遊技媒体を貸し出すコンピュータ装置である。この遊技媒体貸出装置100は、たとえば、隣接する遊技機と一対一で設置されており、その遊技機での遊技に使用する遊技媒体の貸し出しを制御する。
また、遊技媒体貸出装置100は、隣接する遊技機に対して何らかの不正行為がおこなわれた場合に、その異常を自動的に検知する機能を有している。ここで、遊技機に対する不正行為とは、たとえば、遊技機の制御を司る主基板や該主基板に実装されているROMなどを不正なもの(いわゆる、裏ロムなど)に交換して、不当に遊技媒体を獲得する行為などである。
紙幣投入口101は、遊技媒体の借り入れ時に投入される紙幣を受け付ける。ディスプレイ102は、紙幣投入口101に投入された紙幣の投入金額や遊技機の異常を示す異常情報を表示する。操作ボタン103は、機能設定に関する各種の入力や遊技者による暗証番号の入力などを受け付ける。
会員カード投入口104は、遊技場の会員に対して発行される会員カードの投入を受け付け、また、投入された会員カードの返却をおこなう。精算コイン投入口105は、たとえば、会員以外の遊技者、いわゆるビジターである遊技者が使用する精算コインの投入を受け付ける。精算コイン返却口106は、遊技終了時などに、残額のある精算コインを返却する。
アンテナ107は、装置本体に配線されており、後述する検出部301(図3参照)に接続されている。このアンテナ107は、遊技機内部の部品に貼付された非接触ICタグ310(図3参照)の近傍に配設され、その非接触ICタグ310からの電波を受信する機能を有している。
(遊技媒体貸出装置100のハードウェア構成)
つぎに、遊技媒体貸出装置100のハードウェア構成について説明する。図2は、遊技媒体貸出装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図2において、遊技媒体貸出装置100は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、音声I/F(インターフェース)204と、スピーカ205と、入力デバイス206と、映像I/F207と、ディスプレイ208と、通信I/F(インターフェース)209と、を備えている。また、各構成部201〜209はバス220によってそれぞれ接続されている。
まず、CPU201は、遊技媒体貸出装置100の全体の制御を司る。ROM202は、ブートプログラム、通信プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。
音声I/F204は、音声出力用のスピーカ205に接続される。スピーカ205からは音声が出力される。このスピーカ205は、たとえば、装置内部に埋設されている。また、入力デバイス206は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、タッチパネル、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。具体的には、図1に示した操作ボタン103に相当する。
映像I/F207は、ディスプレイ208(たとえば、図1に示したディスプレイ102)と接続される。映像I/F207は、具体的には、たとえば、ディスプレイ208全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ208を表示制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ208には、アイコン、カーソル、メニュー、ウィンドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ208は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。通信I/F209は、ネットワークに接続され、CPU201とのインターフェースとして機能する。
(遊技媒体貸出装置100の機能的構成)
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100の機能的構成について説明する。図3は、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100の機能的構成を示すブロック図である。図3において、遊技媒体貸出装置100は、アンテナ107と、検出部301と、判断部302と、出力部303と、表示部304と、非接触ICタグ310と、から構成されている。
遊技媒体貸出装置100は、遊技媒体の貸し出しに関する信号を遊技機Mに送信する機能を有する。遊技機Mは、パチンコホールなどの遊技場に設置されるパチンコ遊技機やスロット遊技機などの電子機器である。また、遊技媒体とは、遊技機Mにおける遊技に使用する遊技球や遊技メダルなどである。
遊技者は、図1に示した遊技媒体貸出装置100の紙幣投入口101に紙幣を投入することで、投入金額に応じた遊技媒体を借り入れることができる。たとえば、紙幣投入口101に1万円紙幣を投入した場合、1万円分の遊技媒体の貸し出しが許可される。具体的には、遊技機M側に設けられた貸出ボタン(不図示)を押下するごとに予め定められた金額分、たとえば500円分の遊技媒体を貸し出す信号が遊技媒体貸出装置100から遊技機Mに送信される。これにより、遊技者は、遊技機Mにおいて、投入した金額の範囲内、すなわち、最大で1万円分の遊技媒体を借り入れることができ、その遊技媒体を使用して遊技をおこなうことができる。
検出部301は、遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310の所定範囲内に配設されたアンテナ107を用いて、非接触ICタグ310から遊技機M固有の識別情報を検出する機能を有する。非接触ICタグ310は、電磁誘導または電波を利用して非接触通信をおこなうICタグであり、たとえば、RFID(Radio Frequency Identification)タグである。
この非接触ICタグ310は、たとえば、遊技機Mの制御を司る主基板、該主基板に実装されているROM、該主基板を被覆する基板ケースなどに貼付される。また、非接触ICタグ310には、遊技機M固有の識別情報が記録されている。非接触ICタグ310は、この識別情報を外部に発信する機能を有している。識別情報は、非接触ICタグ310に一意的に割り当てられた情報であり、たとえば、遊技機Mを識別するための遊技機ID、遊技場を識別するための遊技場ID、および遊技機Mの製造業者を特定するための業者IDなどを含んでいる。
アンテナ107は、検出部301に配線されており、その配線の長さに応じて任意の位置に配設可能な構成となっている。このアンテナ107は、遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310の通信範囲内に配設され、その非接触ICタグ310からの電波(識別情報)を受信することとなる。
具体的には、たとえば、遊技機Mを遊技場内に設置する際(いわゆる、新台入替時)に、遊技場の管理者などにより、不正行為がおこなわれる恐れのある遊技機Mの部品に非接触ICタグ310を貼付し、さらに、その非接触ICタグ310の通信範囲内にアンテナ107を配設する。これにより、検出部301は、アンテナ107を用いて、非接触ICタグ310から識別情報を検出することができる。
なお、非接触ICタグ310は、遊技機Mの製造業者などにより、出荷時に予め所定の箇所に貼付されていてもよい。この場合、遊技機Mを遊技場に設置する際に、既に貼付されている非接触ICタグ310の通信範囲内にアンテナ107を配設することとなる。
判断部302は、検出部301によって検出された識別情報、および遊技機Mと関連付けて予め設定されている設定情報に基づいて、識別情報の正当性を判断する機能を有する。この設定情報は、遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310に記録されている識別情報と関連付けて、予め設定されている情報であり、ROM202やRAM203などのメモリに記憶されている。
具体的には、設定情報は、検出部301によって検出される識別情報の正当性を判断可能な情報であればよく、たとえば、正当な識別情報(正規の非接触ICタグ310に記録されている識別情報)を含む情報である。より具体的には、たとえば、識別情報に含まれている遊技機ID、遊技場IDおよび業者IDと同一の遊技機ID、遊技場IDおよび業者IDなどを含む情報である。
判断部302は、この設定情報をメモリから読み出して、検出部301によって検出された識別情報と設定情報との同一性を照合することにより、その識別情報の正当性を判断する。具体的には、たとえば、識別情報および設定情報に、遊技機Mを識別するための遊技機IDがそれぞれ含まれている場合、判断部302は、それらの遊技機IDを照合することにより、識別情報の正当性を判断する。
より具体的には、検出部301によって検出された識別情報に含まれる遊技機IDと、予め設定されている設定情報に含まれる遊技機IDとを比較し、一致した場合に、識別情報が正当であると判断する。一方、非接触ICタグ310が不正に交換されるなどして、識別情報に含まれる遊技機IDと設定情報に含まれる遊技機IDとが一致しなかった場合に、識別情報が不当であると判断する。
出力部303は、判断部302によって識別情報が不当であると判断された場合、遊技機Mの異常を示す異常情報を出力する機能を有する。遊技機Mの異常を示す異常情報とは、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを外部に報知するための情報である。この異常情報は、たとえば、テンプレートとして予めメモリに記憶されている。
また、異常情報には、遊技場内における遊技機Mと他の遊技機Mとを区別(遊技場内での位置など)するための遊技台番号をあらわす情報や、判断部302によって識別情報が不当であると判断された時期(日時)を特定するための情報などが含まれていてもよい。
具体的には、出力部303は、識別情報が不当であると判断された場合に、異常情報をメモリから読み出して、その異常情報を出力する。このとき、メモリに記憶されている遊技台番号をあらわす情報を異常情報に付加することとしてもよく、また、識別情報が不当であると判断された日時情報をタイムスタンプとして異常情報に付加することとしてもよい。
また、判断部302は、検出部301による識別情報の検出が不能となったか否かを判断する機能を有する。具体的には、たとえば、不正な遊技者により、アンテナ107が取り外されたり、遊技機Mに設けられている非接触ICタグ310が剥がされたり、アンテナ107の配線が切断された場合などに、検出不能と判断する。
このとき、判断部302は、検出部301による識別情報の検出が所定期間継続(たとえば、数秒間)して不能となった場合に、識別情報の検出不能を判断することとしてもよい。これにより、何らかの通信障害が発生して、一時的に識別情報が検出不能となった場合であっても、識別情報の検出が不能となったと判断しないこととなる。
出力部303は、判断部302によって検出不能と判断された場合、遊技機Mの異常を示す異常情報を出力することとしてもよい。すなわち、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた結果、検出部301による識別情報の検出が不能となった場合に、遊技機Mの異常を示す異常情報を出力することとなる。このとき、出力部303は、判断部302によって識別情報が読み取り不能であると判断された時期を特定するための情報を含む異常情報を出力することとしてもよい。
表示部304は、表示画面を有する。この表示画面は、たとえば、図1に示したディスプレイ102である。また、出力部303は、表示部304を制御して、遊技機Mの異常を示す異常情報を表示画面に表示する機能を有する。
出力部303による出力形式は、ランプ(不図示)による点灯または点滅、ディスプレイ102での画面表示、外部のプリンタでの印刷出力、メモリへのデータ出力(保存)、外部のコンピュータ装置への送信のいずれであってもよい。より具体的には、たとえば、遊技機Mの異常を示す異常情報を遊技場の管理者の携帯電話端末に送信してもよく、また、警備会社の端末装置に送信することとしてもよい。さらに、遊技機Mに付設されたテレビ画面に異常情報を表示することとしてもよく、また、遊技機M上部などに設置され、遊技機Mの大当たり回数や回転数などを表示するデータカウンターに異常情報を表示することとしてもよい。
ここで、ディスプレイ102に表示される出力画面について説明する。図4は、ディスプレイに表示される出力画面の一例を示す説明図(その1)である。図4において、ディスプレイ102には、遊技台番号「007」の遊技機Mが異常であることを示す異常情報400が表示されている。
具体的には、遊技場内に設置されている遊技台番号「007」の遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを示すメッセージ「異常発生!」と、その発生日時「4月12日16時03分」と、が表示されている。
このように、検出部301によって検出された識別情報(非接触ICタグ310に記録されている識別情報)が不当であった場合、あるいは、その識別情報が検出不能となった場合には、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあると判断して、遊技機Mの異常を示す異常情報をディスプレイ102に表示することができる。
なお、判断部302による判断処理は、所定の時間間隔でおこなわれてもよく、また、予め設定された時刻(たとえば、営業開始時刻、営業終了時刻など)におこなわれることとしてもよい。さらに、遊技場の管理者などの操作入力により、任意のタイミングでおこなうこととしてもよい。
また、判断部302による判断処理がおこなわれる時間間隔が短ければ短いほど、不正行為の迅速な発見につながる。このため、非接触ICタグ310による識別情報の発信、検出部301による識別情報の検出、および判断部302による正当性の判断を繰り返し実行し続けることにより、不正行為の監視を常時おこなうこととしてもよい。
また、識別情報および設定情報の内容は、任意に更新可能としてもよい。具体的には、たとえば、新台入替時などに、識別情報および設定情報の内容を最新のものに更新することができる。これらの内容は、たとえば、遊技場の管理者によって任意に更新可能とすることとしてもよく、また、遊技場の従業員による不正行為を考慮して、遊技機Mの製造業者などによる更新のみを可能とすることとしてもよい。
また、判断部302によって識別情報が不当であると判断された場合、あるいは、識別情報の検出が不能であると判断された場合、遊技機Mでの遊技を不能とすることとしてもよい。具体的には、たとえば、遊技媒体貸出装置100と遊技機Mとが正常に接続されていない場合に遊技機Mにおける遊技媒体(遊技球)の発射を強制的に不能とする機能を利用して、遊技機Mでの遊技を禁止することとしてもよい。
このように、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがある場合に、その遊技機Mでの遊技を不能とすることにより、不正な遊技者による不当な遊技媒体の獲得を未然に防ぐことができ、不正行為による被害の拡大を抑えることができる。
なお、本実施の形態1では、異常検知装置を遊技媒体貸出装置100に適用することとしたが、遊技機Mの周辺に設置される呼び出しランプやデータカウンターなどを搭載する周辺機器に適用することとしてもよい。
(遊技媒体貸出装置100の異常検知処理手順)
つぎに、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100の異常検知処理手順について説明する。図5は、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100の異常検知処理手順を示すシーケンス図である。
図5において、まず、遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310により、遊技機M固有の識別情報を外部に発信する(ステップS501)。このあと、検出部301により、非接触ICタグ310の所定範囲内に配設されたアンテナ107を用いて、非接触ICタグ310から遊技機M固有の識別情報を検出する(ステップS502)。
つぎに、判断部302により、検出部301による識別情報の検出が不能となったか否かを判断する(ステップS503)。ここで、識別情報が検出された場合(ステップS503:No)、判断部302により、検出部301によって検出された識別情報、および遊技機Mと関連付けて予め設定されている設定情報に基づいて、識別情報が正当であるか否かを判断する(ステップS504)。
このとき、識別情報が不当であると判断された場合(ステップS504:No)、出力部303により、遊技機Mの異常を示す異常情報を出力する(ステップS505)。一方、ステップS504において、識別情報が正当であると判断された場合(ステップS504:Yes)、ステップS502に戻り、一連の処理を繰り返す。また、ステップS503において、識別情報が検出されなかった場合(ステップS503:Yes)、出力部303により、遊技機Mの異常を示す異常情報を出力する(ステップS505)。
以上説明した、この発明の実施の形態1にかかる遊技媒体貸出装置100によれば、非接触ICタグ310からの識別情報を検出して、その識別情報の正当性を判断することにより、遊技機Mに対する不正行為を監視することができる。具体的には、検出された識別情報が不当であった場合、あるいは、識別情報の検出が不能となった場合に、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあると判断して、遊技機Mの異常を示す異常情報をディスプレイ102に表示することができる。
また、異常情報に含まれる時期情報から、遊技機Mに対して不正行為がおこなわれた恐れがある日時を特定することができる。これにより、不正行為が営業中におこなわれたのか、あるいは、営業終了後におこなわれたのかを判断することができ、不正行為をおこなった人物の特定などに役立てることができる。
このように、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを自動的に判断して、その遊技機Mの異常を報知することにより、不正行為の迅速な発見を実現することができる。さらに、不正行為がおこなわれたか否かの目視チェックをおこなう際に、遊技機Mのフロントドアを開放して各種部品に貼付された封印紙を確認するなどの面倒な作業が不要となるため、従業員の作業負担を軽減させることができる。
また、遊技者の遊技を中断させて不正行為がおこなわれたか否かの確認をおこなう必要がないため、遊技者に不快感を与えることがなく、さらには、不正行為が発生したその時点で異常情報の報知がおこなわれるため、不正な遊技者による不当な遊技媒体の獲得を未然に防ぐことができ、不正行為による被害の拡大を抑えることができる。
また、遊技機Mの異常を検知する機能を、遊技媒体の貸し出しに関する信号を遊技機Mに送信する遊技媒体貸出装置100に持たせる構成となっているため、不正行為を監視するための装置を新設する必要がなく、不正監視にかかる設備投資を抑えることができるとともに、遊技場内における省スペース化を図ることができる。
具体的には、たとえば、遊技場内に既設されている遊技媒体の貸し出しをおこなう装置に非接触ICタグ310からの識別情報を受信するアンテナ107を設け、さらに、上述した異常情報検知処理を実行する異常情報検知プログラムをメモリに記録することにより、遊技媒体貸出装置100の機能を実現することができる。
(実施の形態2)
(不正監視システム600のシステム構成)
つぎに、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600のシステム構成について説明する。実施の形態2では、遊技場(たとえば、パチンコホール)の売上情報を管理するコンピュータ装置を利用して、遊技場内に設置されている遊技機Mに対する不正行為を監視する。
図6は、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600のシステム構成図である。図6において、不正監視システム600は、遊技場A内に設置されている複数の遊技機M−1〜M−nと、複数の遊技媒体貸出装置610−1〜610−nと、監視装置620と、監視サーバ630とがインターネット、LANおよびWANなどのネットワークを介して接続されている。
遊技機M−1〜M−nは、遊技場A内に設置されているパチンコ遊技機やスロット遊技機などの電子機器である。遊技媒体貸出装置610−1〜610−nは、それぞれ隣接する遊技機M−1〜M−nと接続されており、遊技機M−1〜M−nでの遊技に使用する遊技球や遊技メダルなどの遊技媒体を貸し出すコンピュータ装置である。具体的には、たとえば、遊技機M−1と遊技媒体貸出装置610−1とが直接接続されており、遊技機M−1での遊技機に使用する遊技媒体の貸し出しに関する信号を遊技媒体貸出装置610−1から遊技機M−1に送信している。
監視装置620は、設定情報管理DB(データベース)621を備え、遊技場A内に設置されている遊技機M−1〜M−nに対する不正行為を監視するとともに、遊技機M−1〜M−nの売上情報を管理するコンピュータ装置である。この監視装置620は、たとえば、遊技場Aの管理室などに設置される。遊技場Aの管理者は、監視装置620に送信されてくる異常情報をもとに遊技機M−1〜M−nの不正を監視する。
監視サーバ630は、複数の遊技場(図6では、遊技場A)に関する不正を監視するとともに、それら遊技場の売上情報を管理するコンピュータ装置である。この監視サーバ630は、たとえば、遊技場Aの会計などを監督し、その適法性、妥当性などを判断する第三者機関に設置される。第三者機関のユーザは、監視サーバ630に送信されてくる異常情報をもとに遊技場Aに関する不正を監視する。
なお、遊技媒体貸出装置610−1〜610−n、監視装置620および監視サーバ630のハードウェア構成は、実施の形態1で説明した遊技媒体貸出装置100のハードウェア構成(図2参照)と同様のため、図示および説明を省略する。
(設定情報管理DB621の記憶内容)
つぎに、図6に示した設定情報管理DB621について説明する。図7は、設定情報管理DB621の記憶内容を示す説明図である。図7において、設定情報管理DB621は、遊技場Aに設置されている遊技機M−1〜M−nごとに、遊技台番号および遊技機IDを含む設定情報700−1〜700−nを保持している。
遊技台番号は、各遊技機M−1〜M−nを区別するための情報であり、たとえば、遊技場A内での各遊技機M−1〜M−nの位置を特定するための情報である。遊技機IDは、監視サーバ630から割り当てられる各遊技機M−1〜M−nを識別するための情報であり、各遊技機M−1〜M−n固有の情報である。
ここで、遊技機M−2を例に挙げると、設定情報700−2は、遊技台番号「A002」および遊技機ID「123002」を有している。すなわち、遊技場A内での遊技機M−2の位置を特定するための情報が「A002」で、遊技機M−2を識別するための情報が「123002」である。
(不正監視システム600の機能的構成)
つぎに、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600の機能的構成について説明する。図8は、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600の機能的構成を示すブロック図である。
図8において、不正監視システム600は、遊技機Mと、遊技媒体貸出装置610と、監視装置620と、監視サーバ630と、から構成されている。以下、不正監視システム600によって、遊技場A内に設置されている遊技機M−1〜M−nの不正を監視する場合を例に挙げて説明する。なお、実施の形態1において説明した箇所と重複する箇所については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
まず、遊技媒体貸出装置610(図6に示した遊技媒体貸出装置610−1〜610−n)の機能的構成について説明する。遊技媒体貸出装置610は、アンテナ107と、非接触ICタグ310と、検出部301と、判断部302と、受信部811と、送信部812と、から構成されている。
検出部301は、遊技機M(図6に示した遊技機M−1〜M−n)に設けられた非接触ICタグ310の所定範囲内に配設されたアンテナ107を用いて、非接触ICタグ310から遊技機固有の識別情報を検出する機能を有する。
受信部811は、遊技機Mに割り当てられた設定情報を監視装置620から受信する機能を有する。この設定情報は、遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310に記録されている識別情報と関連付けて、遊技機Mに割り当てられた情報であり、ROM202やRAM203などのメモリに保持される。
具体的には、たとえば、遊技機M−1と直接接続されている遊技媒体貸出装置610−1には、設定情報700−1(図7参照)が監視装置620から送信され、遊技機M−2と直接接続されている遊技媒体貸出装置610−2には、設定情報700−2(図7参照)が監視装置620から送信されることとなる。
判断部302は、検出部301によって検出された識別情報、および受信部811によって受信された設定情報に基づいて、識別情報の正当性を判断する機能を有する。具体的には、判断部302は、メモリから設定情報を読み出して、その設定情報と識別情報との同一性を照合することにより、その識別情報の正当性を判断する。
より具体的には、たとえば、遊技場A内に設置されている遊技機M−2を例に挙げると、識別情報に含まれている遊技機IDが設定情報700−2に含まれている遊技機ID「123002」と一致した場合には、その識別情報が正当であると判断する。一方、識別情報に含まれている遊技機IDが、たとえば、「123009」であり、設定情報700−2に含まれている遊技機ID「123002」と一致しなかった場合には、その識別情報が不当であると判断する。
送信部812は、判断部302によって識別情報が不当であると判断された場合、遊技機Mの異常を示す異常情報を監視装置620に送信する機能を有する。異常情報は、たとえば、遊技機Mを特定するための遊技台番号(または/および遊技機ID)と、遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを示す情報とを含む情報である。
つぎに、監視装置620の機能的構成について説明する。監視装置620は、設定情報管理DB621と、受信部821と、送信部822と、出力部823と、表示部824と、通知部825と、から構成されている。受信部821は、監視サーバ630から遊技場A内に設置されている各遊技機M固有の設定情報を受信する機能を有する。具体的には、受信部821は、遊技場A内に設置されている各遊技機M−1〜M−nに割り当てられた設定情報700−1〜700−nを監視サーバ630から受信し、それら設定情報700−1〜700−nを設定情報管理DB621に保持する。
送信部822は、受信部821によって受信された設定情報を遊技機Mに送信する機能を有する。具体的には、送信部822は、設定情報700−1〜700−nを設定情報管理DB621から読み出して、各設定情報700−1〜700−nをそれぞれ対応する遊技機M−1〜M−nと接続されている各遊技媒体貸出装置610−1〜610−nに送信する。
より具体的には、たとえば、送信部822は、各設定情報700−1〜700−nと関連付けられている、各遊技媒体貸出装置610−1〜610−nのアドレス情報を参照することにより、各設定情報700−1〜700−nをそれぞれ対応する遊技媒体貸出装置610−1〜610−nに送信することとしてもよい。
このように、監視装置620によって設定情報700−1〜700−nを一括して各遊技媒体貸出装置610−1〜610−nに送信することにより、各遊技媒体貸出装置610−1〜610−nへの設定情報700−1〜700−nの設定にかかる作業負担を軽減させることができる。さらに、第三者機関(監視サーバ630)から提供される設定情報700−1〜700−nを用いることにより、遊技場Aの管理者や従業員などによる不正行為を防ぐことができる。
また、受信部821は、遊技媒体貸出装置610から異常情報を受信する機能を有する。出力部823は、受信部821によって受信された異常情報を出力する機能を有する。具体的には、たとえば、出力部823は、表示画面(図2に示したディスプレイ212)を有する表示部824を制御して、遊技機Mの異常を示す異常情報を表示する。
なお、出力部823による出力形式は、ディスプレイ212での画面表示の他に、外部のプリンタでの印刷出力、メモリへのデータ出力(保存)、外部のコンピュータ装置への送信のいずれであってもよい。ここで、ディスプレイ212に表示される表示画面について説明する。
図9は、ディスプレイに表示される出力画面の一例を示す説明図(その2)である。図9において、ディスプレイ212には、遊技場Aに設置されている遊技機M−1〜M−nに関する遊技機情報一覧900が表示されている。具体的には、遊技機情報一覧900には、各遊技機M−1〜M−nの遊技台番号および遊技機IDと関連付けて、各遊技機M−1〜M−nの異常に関する遊技機情報900−1〜900−nが表示されている。
たとえば、遊技機M−1について、遊技台番号「A001」および遊技機ID「123001」と関連付けて、不正行為がおこなわれた恐れがないことを示す遊技機情報910−1が表示されている。また、遊技機M−2について、遊技台番号「A002」および遊技機ID「123002」と関連付けて、不正行為がおこなわれた恐れがあることを示すメッセージおよびその不正行為がおこなわれた恐れがある発生日時(2007年4月12日16時03分)を示す遊技機情報910−2(異常情報に相当)が表示されている。
なお、遊技機情報一覧900は、遊技媒体貸出装置610から送信される遊技機M−1〜M−nの異常情報に応じて、その都度内容が更新されることとなる。たとえば、遊技機M−1の異常を示す異常情報を遊技媒体貸出装置610−1から受信すると、遊技機情報910−1の内容が更新され、不正行為がおこなわれた恐れがあることを示すメッセージおよびその不正行為がおこなわれた恐れがある発生日時が表示されることとなる。
これにより、遊技場Aの管理者は、遊技機M−2に対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを認識することができる。このように、各遊技機M−1〜M−nに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがある場合、直ちに遊技場Aの管理者にその旨を示す異常情報を報知することにより、迅速な不正行為の発見を実現することができる。
通知部825は、受信部821によって受信された異常情報を監視サーバ630に通知する機能を有する。具体的には、たとえば、通知部825は、識別情報が不当であると判断された遊技機Mを特定するための情報、およびその遊技機Mが設置されている遊技場Aを特定するための情報を含む異常情報を監視サーバ630に通知する。
遊技機Mを特定するための情報、およびその遊技機Mが設置されている遊技場Aを特定するための情報とは、たとえば、遊技機IDおよび遊技場IDであり、受信部821によって受信された異常情報に予め含まれていてもよく、監視装置620の磁気ディスクや光ディスクなどの記録媒体(不図示)から読み出して、受信された異常情報に付加することとしてもよい。
監視サーバ630は、監視装置620からの異常情報を受信して、その異常情報を出力する機能を有している。これにより、第三者機関のユーザは、遊技場Aに設置されている遊技機M−2に対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがあることを認識することができる。このように、第三者機関のユーザが遊技場Aに関する不正を監視することにより、遊技場Aの管理者などによる不正行為の迅速な発見を実現することができる。
(不正監視システム600の監視処理手順)
つぎに、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600の監視処理手順について説明する。図10は、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600の監視処理手順を示すシーケンス図である。図10において、まず、監視サーバ630により、遊技場Aに設置されている各遊技機M−1〜M−n固有の設定情報700−1〜700−nを監視装置620に送信する(ステップS1001)。
このあと、監視装置620の受信部821により、各遊技機M−1〜M−n固有の設定情報700−1〜700−nを監視サーバ630から受信して(ステップS1002)、それら設定情報700−1〜700−nを設定情報管理DB621に保持する。
つぎに、送信部822により、各設定情報700−1〜700−nを設定情報管理DB621から読み出して、それら設定情報700−1〜700−nを対応する遊技媒体貸出装置610−1〜610−nに送信する(ステップS1003)。
このあと、遊技媒体貸出装置610(遊技媒体貸出装置610−1〜610−n)の受信部811により、自装置と接続された遊技機Mに対応する設定情報700−1〜700−nを監視装置620から受信する(ステップS1004)。
つぎに、検出部301により、装置本体と接続された遊技機Mに設けられた非接触ICタグ310の所定範囲内に配設されたアンテナ107を用いて、非接触ICタグ310から遊技機M固有の識別情報を検出する(ステップS1005)。
つぎに、判断部302により、検出部301による識別情報の検出が不能となったか否かを判断する(ステップS1006)。ここで、識別情報が検出された場合(ステップS1006:No)、判断部302により、検出部301によって検出された識別情報、およびステップS1004において受信された設定情報700−1〜700−nに基づいて、識別情報が正当であるか否かを判断する(ステップS1007)。
このとき、識別情報が不当であると判断された場合(ステップS1007:No)、送信部812により、遊技機Mの異常を示す異常情報を監視装置620に送信して(ステップS1008)する。また、ステップS1007において、識別情報が正当であると判断された場合(ステップS1007:Yes)、ステップS1005に戻り、一連の処理を繰り返す。
また、ステップS1006において、識別情報が検出されなかった場合(ステップS1006:Yes)、送信部812により、遊技機Mの異常を示す異常情報を監視装置620に送信する(ステップS1008)。このあと、監視装置620の受信部821により、遊技機Mの異常を示す異常情報を遊技媒体貸出装置610から受信して(ステップS1009)、出力部823により、その異常情報を出力する(ステップS1010)。
そして、通知部825により、ステップS1009において受信された異常情報を監視サーバ630に通知する(ステップS1011)。このあと、監視サーバ630により、遊技機Mの異常を示す異常情報を監視装置620から受信し(ステップS1012)、最後に、その異常情報を出力する(ステップS1013)。
以上説明した、この発明の実施の形態2にかかる不正監視システム600によれば、遊技場Aに設置されている遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれた恐れがある場合に、直ちにその遊技機Mの異常を示す異常情報を遊技場Aの管理者に報知することができる。
また、遊技場Aに設置されている複数の遊技機M−1〜M−nの不正を監視装置620によって一括して監視することができる。これにより、遊技場Aの従業員などによる目視チェックにかかる作業負担を軽減することができるとともに、不正行為のチェック漏れを低減させることができる。
また、遊技場Aの売上情報を管理するコンピュータ装置を利用して、遊技場A内に設置されている遊技機M−1〜M−nに対する不正行為を監視することができるため、不正行為を監視するコンピュータ装置を新設する必要がなく、不正監視にかかる設備投資を抑えることができる。
さらに、遊技場の会計を監督している第三者機関に、異常情報を報知することができる。これにより、第三者機関のユーザは、たとえば、遊技場A内に設置されている遊技機Mに対して何らかの不正行為がおこなわれたことを認識することができる。このように、信頼できる第三者機関に、遊技場Aに関する不正を監視させることにより、遊技場Aの管理者や従業員などによる不正行為を考慮した包括的な不正監視システムを実現することができる。
以上説明したように、この発明にかかる不正監視システムによれば、不正行為の発生を認識して、直ちにその旨を報知することにより、不正行為の早期発見を実現し、不正による被害の拡大防止および不正行為の抑制を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した異常検知方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。