JP5216104B2 - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光素子に関し、特に電荷輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する有機化合物を利用した複数の有機材料層を備えた有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。
一般に、有機EL素子は、複数の有機材料層を積層した構造を有している。有機材料層には、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層等の正孔輸送能を持つ材料からなる層や、電子輸送層、電子注入層等の電子輸送能を持つ材料からなる層等が含まれる。
発光層並びに電子或いは正孔の輸送層の積層体の有機EL膜に電界が印加されると、陽極からは正孔が、陰極からは電子が注入され、これらが発光層において再結合し励起子が形成され、基底状態に戻るとき発光する。発光効率を向上させるためには、電子等のキャリアを効率よく界面に輸送することが重要で、有機EL素子でも電荷輸送性を有する有機化合物を利用した多層構造を有している。
発光層が有機化合物から構成される有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、低電圧駆動であることが知られているが、発光ダイオード等に比べると一般的に駆動電圧が高い。特に発光の量子効率が高いといわれる燐光発光有機EL素子においては、蛍光発光有機EL素子に比して駆動電圧が高く、問題となっている。
一般に駆動電圧を下げるには、有機EL素子の各層の膜厚を薄くすることで対応が可能となるが、その場合には電極間での通電に伴う不良が増え、歩留まりが低下してしまう。これを解決する技術として、これまで電荷輸送内に高濃度にドーピング材料を添加、混合する技術を使用し、薄膜の導電性を向上させる方法がある(特許文献1参照)。
特開平10−270172号
しかしながら、ドーパント材の高温蒸着による成膜コストや、ドーパント材の分解や、不透明化(電荷移動錯体の形成による)、高電圧駆動、短寿命等の問題点がある。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、駆動電圧を下げることが可能で有機EL素子の有機半導体層膜厚を厚くすることもできる高耐熱性の有機EL素子を提供することを目的とする。
本発明による有機電界発光素子は、対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置されかつ発光層を含む複数の有機半導体層を備えた有機電界発光素子であって、
前記有機半導体層の少なくとも1層は、芳香族性多員環骨格に少なくとも3つの芳香族置換基が配置されかつ半経験的分子軌道計算法で求めた前記芳香族性多員環骨格の環平面と、少なくとも3つの前記芳香族置換基の環平面との二面角が70〜90°である嵩高な有機半導体化合物を、含むことを特徴とする。
また、本発明による有機電界発光素子は、対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置されかつ発光層を含む複数の有機半導体層を備えた有機電界発光素子であって、
前記有機半導体層の少なくとも1層は、芳香族性多員環骨格に少なくとも3つの芳香族置換基が配置され、かつ半経験的分子軌道計算法で求めた前記芳香族性多員環骨格の環平面と、少なくとも3つの前記芳香族置換基の環平面との二面角が70〜90°である嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層又はその隣接する層に無機フッ化物又は無機酸化物を含むことを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子は、低電圧において高輝度・高効率で長寿命に発光させることが可能となる。従って、本発明による有機電界発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
本発明による実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す概略部分断面図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 本発明による実施例6の素子2の有機発光素子の正面図である。 本発明による実施例6の素子3の有機発光素子の正面図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。 電荷輸送材分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道の描画を示す図である。
以下に本発明による実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本実施形態の有機EL素子の一例は、図1に示すように、ガラス等の透明基板1上にて、順に、透明な陽極2、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7及び金属からなる陰極8が積層されて得られるものである。正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6及び電子注入層7は有機半導体層である。すなわち、有機EL素子において、対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置された複数の有機半導体層が正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を包含する。これら有機半導体層などの構成要素について後に詳述する。
図1に示す陽極2/正孔注入層3/正孔輸送層4/発光層5/電子輸送層6/電子注入層7/陰極8/の構成の他に、図2に示すように、陽極2/正孔注入層3/発光層5/電子輸送層6/電子注入層7/陰極8/の構成や、図3に示すように、陽極2/正孔輸送層4/発光層5/電子輸送層6/電子注入層7/陰極8/の構成や、図4に示すように、陽極2/発光層5/電子輸送層6/電子注入層7/陰極8/の構成も本発明に含まれる。
また、図5に示すように、陽極2/正孔注入層3/正孔輸送層4/発光層兼電子輸送層51/電子注入層7/陰極8/の構成も本発明に含まれる。これら積層構成に限定されることなく、正孔ブロック層及び/又はバファ層(図示せず)などを挿入した構成も本発明に含まれる。
−−基板並びに陽極及び陰極−−
基板1のガラスの他としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィン、ポリ(メタ)アクリレートなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂等の透明又は半透明材料の他に、シリコンやAlなどの不透明な材料を用いることができる。
陽極2及び陰極8の電極材料としては、Ti、Al、Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えばインジウムすず酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化亜鉛、酸化錫などのいずれかを主組成としたものを用いることができる。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。
陽極2には陰極8より仕事関数の大きな導電性材料が選択される。さらに、陽極及び陰極は、発光の取り出し側となる場合は、透明又は半透明となるように材料、膜厚を選択する。特に陽極及び陰極のうちどちらか、もしくはその両方が、有機発光材料から得られる発光波長において少なくとも10%以上の透過率を持つ材料を選択することが好ましい。
電子注入層7には有機EL素子の電子注入効率を向上させるため、仕事関数が低いアルカリ金属やアルカリ土類金属、それらの化合物(CsF、CsCO、LiO、LiF)等が無機電子注入層に用いることもできる。
また、電子注入層の主成分の電子輸送性有機化合物へ混合される電子供与性材料は、Li等のアルカリ金属、Mg等のアルカリ土類金属又はそれらの化合物であれば特に限定はない。特に、仕事関数が4.0eV以下の金属が好適に使用でき、具体例としてCs、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Mg、Sm、Gd、Yb、又はそれらの化合物等が挙げられる。
−−有機半導体層−−
正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6及び電子注入層7の主成分を構成する有機半導体層は、電荷輸送性(正孔及び/又は電子の移動性)を有する有機化合物を利用する。
発光層5として用いられる燐光性の有機化合物としては、イリジウム錯体であるBis (3,5-difluoro-2- (2-pyridyl) phenyl- (2-carboxypyridyl) iridium III、Tris (2-phenylpyridine) iridium(III)、Bis (2-phenylbenzothiazolato) (acetylacetonate) iridium(III)、オスミウム錯体であるOsmium(II) bis(3-trifluoromethyl -5-(2-pyridyl) -pyrazolate)dimethylphenylphosphine、希土類化合物のTris (dibenzoylmethane) phenanthroline europium(III)、白金錯体である2,3,7,8,12,13,17,18-Octaethyl-21H, 23H- porphine,platinum(II)等を挙げることができる。
また、発光層や電子注入層の主成分の電子輸送性を有する有機化合物としては、p−テルフェニルやクアテルフェニル等の多環化合物およびそれらの誘導体、ナフタレン、テトラセン、ピレン、コロネン、クリセン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ナフタセン、フェナントレン等の縮合多環炭化水素化合物及びそれらの誘導体、フェナントロリン、バソフェナントロリン、フェナントリジン、アクリジン、キノリン、キノキサリン、フェナジン等の縮合複素環化合物およびそれらの誘導体や、フルオロセイン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、オキシン、アミノキノリン、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、キナクリドン、ルブレン等およびそれらの誘導体等を挙げることができる。
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、金属キレート錯体化合物、特に金属キレート化オキサノイド化合物では、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス[ベンゾ(f)−8−キノリノラト]亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル−フェノラト)アルミニウム、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム等の8−キノリノラト或いはその誘導体を配位子として少なくとも一つ有する金属錯体も挙げることができる。
また、電子輸送性を有する有機化合物として、オキサジアゾール類、トリアジン類、スチルベン誘導体およびジスチリルアリーレン誘導体、スチリル誘導体、ジオレフィン誘導体も好適に使用され得る。
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として使用できる有機化合物として、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ベンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアゾール、4,4’−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4’−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]スチルベン、2,5−ビス(5.7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−(α,α−ジメチルベンジル)−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4’−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−{2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル}ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト(1,2−d)オキサゾール等のベンゾオキサゾール系、2,2’−(p−フェニレンジピニレン)−ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系、2−{2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル〕ビニル}ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等も挙げられる。
さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等も挙げられる。
また、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、2,5−ビス(4−メチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス(4−エチルスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ナフチル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス(4−メトキシスチリル)ピラジン、2,5−ビス[2−(4−ビフェニル)ビニル]ピラジン、2,5−ビス[2−(1−ピレニル)ビニル]ピラジン等が挙げられる。
その他、さらに、電子輸送性を有する有機化合物として、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4’−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、9,10−アントラセンジイルジメチリディン、4,4’−(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4’−(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、従来有機EL素子の作製に使用されている公知のものを適宜用いることができる。
一方、正孔輸送性を有する有機化合物として、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン、N−フェニルカルバゾール、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)−フェニルメタン、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[4(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノ−ビフェニル、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノ−ビフェニルN−フェニルカルバゾール、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(3−アセナフテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、1,5−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ナフタレン、4,4’−ビス[N−(9−アントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’’−ビス[N−(1−アントリル)−N−フェニル−アミノ]p−ターフェニル、4,4’−ビス[N−(2−フェナントリル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(8−フルオランテニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ピレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(2−ペリレニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、4,4’−ビス[N−(1−コロネニル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス(ジ−p−トリルアミノ)ナフタレン、2,6−ビス[ジ−(1−ナフチル)アミノ]ナフタレン、2,6−ビス[N−(1−ナフチル)−N−(2−ナフチル)アミノ]ナフタレン、4.4’’−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]ターフェニル、4.4’−ビス{N−フェニル−N−[4−(1−ナフチル)フェニル]アミノ}ビフェニル、4,4’−ビス[N−フェニル−N−(2−ピレニル)−アミノ]ビフェニル、2,6−ビス[N,N−ジ(2−ナフチル)アミノ]フルオレン、4,4’’−ビス(N,N−ジ−p−トリルアミノ)ターフェニル、ビス(N−1−ナフチル)(N−2−ナフチル)アミン等が挙げられる。
さらに、正孔注入層、正孔輸送層、正孔輸送性発光層として、上述の有機化合物をポリマ中に分散したものや、ポリマ化したものも使用できる。ポリパラフェニレンビニレンやその誘導体等のいわゆるπ共役ポリマ、ポリ(N−ビニルカルバゾール)に代表される正孔輸送性非共役ポリマ、ポリシラン類のシグマ共役ポリマも用いることができる。
正孔注入層としては、特に限定はないが、銅フタロシアニン(CuPc:Copper Phthalocyanine)等の金属フタロシアニン類および無金属フタロシアニン類、カーボン膜、ポリアニリン等の導電性ポリマが好適に使用できる。
−−多員環構造の嵩高な有機半導体化合物−−
発明者は、特異的に嵩高い芳香族置換基を有する分子構造(嵩高な有機半導体化合物)を電荷輸送材料に用いて低駆動電圧化させることに着目して、更に電荷注入又は輸送層内に低濃度で無機化合物を混合することで特性改善(高温保存、駆動寿命)を行うため、芳香族性多員環骨格に対してほぼ垂直に近い芳香族置換基が配置された嵩高な有機化合物に注目して、高温保存実験などを実行した。多員環構造縮合多環芳香族の材料を探索するため、材料としては、上述の電荷輸送性(正孔及び/又は電子の移動性)を有する有機化合物の中で、芳香族性多員環骨格に少なくとも3つの芳香族置換基が配置され、半経験的分子軌道計算法で求めた芳香族性多員環骨格の環平面と、少なくとも3つの芳香族置換基の環平面との二面角が70〜90°であるものが好ましいことを知見した。
構造最適化(二面角)は、半経験的分子軌道計算法プログラムであるモーパック(MOPAC Ver.6)を用いて、AM1法や、これより水素結合に重みをおいて計算するPM3法で行った。入力データの初期座標において、例えば、ベンゼン環骨格まわり、C−C結合は1.4Å、C−H結合は1.1Å、結合角は120°とし、構造最適化を行った。分子軌道計算法は、シュレディンガー方程式を解くことによって、分子全体に広がる電子空間軌道関数である分子軌道によって分子状態を記述する方法である。その近似方法として経験的分子軌道計算法、非経験的分子軌道計算法、半経験的分子軌道計算法は知られている。半経験的分子軌道計算法では、ハートリーフォック方程式を解く際に経験的パラメータを使用して、分子の電子状態を計算するもので、非経験的分子軌道計算法に比べ計算量が大幅に減少するため、大きな分子を取り扱うのに有利である。
嵩高な有機半導体化合物としては、芳香族性多員環骨格に少なくとも3つの芳香族置換基が配置され、かつ半経験的分子軌道計算法で求めた芳香族性多員環骨格の環平面と、少なくとも3つの芳香族置換基の環平面との二面角が70〜90°である嵩高な有機半導体化合物であれば特に限定されないが、芳香族性多員環骨格の環平面に対して70〜90°の二面角を有する芳香族置換基の環平面の面積の和が、芳香族性多員環骨格の環平面の面積より大きいことが好ましい。
嵩高な有機半導体化合物としては、例えば下記一般式(1)に示す芳香族性多員環骨格がボラジン環骨格であるボラジン化合物がある。
式(1)中、Nは窒素、Bはホウ素、Rは水素、アリール基、ヘテロアリール基、オリゴアリール基またはオリゴヘテロアリール基を示し、Rは全てが異なっていても同一でもよく、少なくとも3つ以上のRは水素ではない。Rの好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基である。
具体的には、上記嵩高な有機半導体化合物として下記式に示すボラジン化合物がある。
下記化合物1のB,B’,B’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリフェニルボラジンの分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図6に示す。
下記化合物2のB,B’,B’’−トリ(9−フェナントリル)−N,N’,N’’−トリフェニルボラジンのモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図7に示す。
下記化合物3のB,B’,B’’−トリ(2−ナフチル)−N,N’,N’’−トリフェニルボラジンのモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図8に示す。
また、上記嵩高な有機半導体化合物としては、例えば下記一般式(2)に示す芳香族性多員環骨格がベンゼン環骨格であるベンゼン化合物がある。
式(2)中、Rは水素、アリール基、ヘテロアリール基、オリゴアリール基またはオリゴヘテロアリール基を示し、Rは全てが異なっていても同一でもよく、少なくとも3つ以上のRは水素ではない。Rの好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、より好ましくは、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基である。
具体的には、上記嵩高な有機半導体化合物として下記式に示すベンゼン化合物がある。
下記化合物4のヘキサフェニルベンゼンのモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図9に示す。
この他に下記化合物5、6に示す1,2,4,5−テトラフェニルベンゼン(二面角:約80度)、1,3,5−トリ(9−アントラセニル)ベンゼン(二面角:約80度)や、下記化合物7〜12に示すベンゼン化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。






また、上記嵩高な有機半導体化合物として、一般式(2)のベンゼン化合物の中心骨格をピリジン環等の芳香族複素環に置き換えた下記化合物13〜15で示される化合物等も挙げられる。




その他、上記嵩高な有機半導体化合物として、一般式(2)のベンゼン化合物の中心骨格をナフタレン等の縮合芳香族環に置き換えた下記化合物16、17で示されるオクタフェニルナフタレンや2,3,6,7−テトラフェニルナフタレン(二面角:約80度)等も挙げられる。
また、嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層又はその隣接する層に無機フッ化物又は無機酸化物を含むことがより好ましい。
好ましい無機フッ化物としては、AlF、MgF等が挙げられ、無機酸化物としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物等が挙げられる。
嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層に無機フッ化物又は無機酸化物を含む場合は、2.5〜40体積%で混合することが好ましく、より好ましくは5〜40体積%である。
また、嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層の隣接層に無機フッ化物又は無機酸化物を含む層を形成する場合は、用途や目的に応じ素子全体の厚さや他の層の材料との電荷バランス等とも関係するので、特に限定されるものではないが、無機フッ化物又は無機酸化物を含む隣接層の膜厚を1〜60nmの範囲とすることが好ましい。
無機フッ化物又は無機酸化物を含む層と隣接、又はこれらの無機化合物を嵩高な有機半導体化合物に含むことで、透明電極との密着力が向上し、駆動下における発熱や高温保存下で発生する界面での剥離や結晶化を抑制することができ、結果として電荷輸送を阻害するトラップ発生を抑制し、駆動電圧の上昇を抑え、高い信頼性の有機電界発光素子を構築することができる。
以下、本発明を実施例により、更に詳しく説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
−−実験例1:(正孔注入層に嵩高な有機半導体化合物を使用した素子の性能評価)−−
以下に示す複数の有機EL素子を作製し、寿命特性を測定、評価した。
−−素子1-1(ref)−−
陽極として透明電極ITOを形成したガラス基板上に、真空蒸着により順に、正孔注入層として銅フタロシアニン(CuPc)を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPB(N,N’-bis-(1-naphenyl)-N,N’-diphenyl-benzidene)を38nmの厚さで形成し、その上に、発光層兼電子輸送層としてAlq3(tris(8-hydroxy-quinolinato)aluminum)を60nmの厚さで形成し、その上に、電子注入層LiO(10nm厚)及び陰極Al(80nm厚)を形成した、これを基準の素子とした。
−−素子1-2(比較例1)−−
正孔注入層として二面角が70〜90°の芳香族置換基を有さないTPT−1(N,N’-bis-(4-diphenylamino-4-biphenyl)-N,N’-diphenylbenzidine)を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子1-3(比較例2)−−
正孔注入層及び正孔輸送層として二面角が70〜90°の芳香族置換基を有さないNPBを32nm及び38nm(合計70nm)の厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子1-4(比較例3)−−
正孔注入層として下式の構造の中心骨格に芳香族性多員環骨格を有さないシクロペンタジエン化合物を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。この1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエンのモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図14に示す。
−−素子1-5(実施例1)−−
正孔注入層としてベンゼン化合物のヘキサフェニルベンゼン(化合物4)を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子1-6(実施例2)−−
正孔注入層としてボラジン化合物のB,B’,B’’−トリフェニル−N,N’,N’’−トリフェニルボラジン(化合物1)を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1と同様な素子を形成した。
素子1-1〜素子1-6の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極
素子1-1:ITO/CuPc/NPB/Alq3/LiO/Al
素子1-2:ITO/TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子1-3:ITO/NPB/NPB/Alq3/LiO/Al
素子1-4:ITO/シクロペンタジエン化合物/NPB/Alq3/LiO/Al
素子1-5:ITO/化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子1-6:ITO/化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al。
素子1-1〜素子1-6について、高温保存環境(85℃、100℃、100時間)の下で、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧、初期輝度、駆動電圧変化及び輝度変化を測定した。
実験結果を下記表1に示す。なお、高温保存判定では+0.5V以下の変化であれば○、他×と示した。駆動寿命は輝度劣化度合いが素子1-1(ref)と同等以上である場合○、他×と示した。HILは正孔注入層をHTLは正孔輸送層を示す。
また、各素子の正孔注入層に使用した材料の物性を表2示す。
結果から、正孔注入層に化合物4及び化合物1を含む素子は他の正孔注入層を含む素子に比べ低駆動電圧であることが期待できる。一般的に陽極(ITO)からホール注入するためには、HOMOが5eV付近のホール注入層を選定し、且つ移動度は高いほうが良いとされており、CuPcが最も駆動電圧が低減されると考えられるが、表1及び表2から化合物4及び化合物1そのような材料に該当しないにもかかわらず、CuPcに比較して低電圧駆動が可能であることが分かる。特に比較例3から、HOMOが深いシクロペンタジエン骨格の化合物は芳香族性に乏しく、低電圧化しないことが分かる。また、ベンゼン化合物及びボラジン化合物の嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層が正孔輸送層又は正孔注入層として発光層と陽極の間に配置できることが分かる。
−−実験例2:(正孔注入層として嵩高な有機半導体化合物の層と無機化合物の層を積層した素子の性能評価)−−
正孔注入層に、無機化合物(無機フッ化物、無機酸化物)層と嵩高な有機半導体化合物(化合物1又は化合物4)を含む層が積層された以下に示す素子を作製し、寿命特性を測定し、評価した。
実験例1と同様に、素子1-1を基準とした。
−−素子2-2(比較例4)−−
正孔注入層としてMoOを32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-3(素子1-5:実施例1と同等)−−
正孔注入層として化合物4を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-4(素子1-6:実施例2と同等)−−
正孔注入層として化合物1を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-5(実施例3)−−
正孔注入層としてMoOを3nmの厚さで、化合物4を32nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-6(実施例4)−−
正孔注入層としてAlFを1.5nmの厚さで、化合物4を30.5nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-7(実施例5)−−
正孔注入層としてMoOを3nmの厚さで、化合物1を32nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-8(実施例6)−−
正孔注入層としてAlFを1.5nmの厚さで、化合物1を30.5nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-9(比較例5)−−
正孔注入層としてMoOを3nmの厚さで、TPT−1を32nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子2-10(比較例6)−−
正孔注入層としてAlFを1.5nmの厚さで、TPT−1を30.5nmの厚さで順に形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
素子1-1、素子2-2〜素子2-10の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極
素子1-1:ITO/CuPc/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-2:ITO/MoO/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-3:ITO/化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-4:ITO/化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-5:ITO/MoO・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-6:ITO/AlF・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-7:ITO/MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-8:ITO/AlF・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-9:ITO/MoO・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子2-10:ITO/AlF・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al。
素子1-1、素子2-2〜素子2-10について、高温保存環境(85℃、100℃、100時間)の下で、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧、初期輝度、駆動電圧変化及び輝度変化を測定した。
実験結果を下記表3に示す。なお、高温保存判定では+0.5V以下の変化であれば○、他×と示した。駆動寿命は輝度劣化度合いが素子1と同等以上である場合○、他×と示した。HIL1、HIL2は正孔注入層をHTLは正孔輸送層を示す。
本実験結果から、正孔注入層として極薄膜の無機フッ化物AlF層又は無機酸化物MoO層とボラジン化合物層又はベンゼン化合物層が積層されている積層系素子は、ボラジン化合物又はベンゼン化合物の正孔注入層単体で使用するよりも若干駆動電圧が上昇するものの、素子1-1のCuPcより低電圧駆動が可能であり、かつ高温保存、駆動寿命で劣化抑制し、素子1-1と同等であることが分かる。この結果は、正孔注入層としての無機化合物の積層により密着力が向上し、高温保存、駆動寿命を確保したと考えられる。
また、AlFを用いた素子の場合、MoOを用いた素子より低電圧化傾向にあることが分かる。
−−実験例3:(正孔注入層として嵩高な有機半導体化合物と無機化合物の混合した層を使用した素子の性能評価)−−
正孔注入層を、無機化合物(無機フッ化物、無機酸化物)とボラジン化合物(化合物1)又はベンゼン化合物(化合物4)が混合されている層とした以下に示す素子を作製し、寿命特性を測定、評価した。
実験例1と同様に、素子1-1を基準とした。
−−素子3-2(素子1-5:実施例1と同等)−−
正孔注入層として化合物4を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-3(素子1-6:実施例2と同等)−−
正孔注入層として化合物1を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-4(実施例7)−−
正孔注入層としてTPT−1を50vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1と同様な素子を形成した。
−−素子3-5(実施例8)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-6(実施例9)−−
正孔注入層としてMoOを10vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-7(実施例10)−−
正孔注入層としてMoOを20vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-8(実施例11)−−
正孔注入層としてMoOを40vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-9(実施例12)−−
正孔注入層としてAlFを5vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-10(実施例13)−−
正孔注入層としてAlFを10vol%混合した化合物4の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-11(実施例14)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-12(実施例15)−−
正孔注入層としてMoOを10vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-13(実施例16)−−
正孔注入層としてMoOを25vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-14(実施例17)−−
正孔注入層としてAlFを2.5vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-15(実施例18)−−
正孔注入層としてAlFを5vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-16(実施例19)−−
正孔注入層としてAlFを10vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-17(比較例7)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-18(比較例8)−−
正孔注入層としてMoOを10vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-19(比較例9)−−
正孔注入層としてMoOを20vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-20(比較例10)−−
正孔注入層としてMoOを40vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-21(比較例11)−−
正孔注入層としてAlFを5vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-22(比較例12)−−
正孔注入層としてAlFを10vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-23(比較例13)−−
正孔注入層としてAlFを20vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子3-24(比較例14)−−
正孔注入層としてAlFを40vol%混合したTPT−1の混合層を32nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
素子1-1、素子3-2〜素子3-24の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/無機化合物混合正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極
素子1-1:ITO/CuPc/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-2:ITO/化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-3:ITO/化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-4:ITO/50vol%TPT−1化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-5:ITO/5vol%MoO・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-6:ITO/10vol%MoO・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-7:ITO/20vol%MoO・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-8:ITO/40vol%MoO・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-9:ITO/5vol%AlF・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-10:ITO/10vol%AlF・化合物4/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-11:ITO/5vol%MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-12:ITO/10vol%MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-13:ITO/25vol%MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-14:ITO/2.5vol%AlF・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-15:ITO/5vol%AlF・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-16:ITO/10vol%AlF・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-17:ITO/5vol%MoO・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-18:ITO/10vol%MoO・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-19:ITO/20vol%MoO・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-20:ITO/40vol%MoO・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-21:ITO/5vol%AlF・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-22:ITO/10vol%AlF・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-23:ITO/20vol%AlF・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子3-24:ITO/40vol%AlF・TPT−1/NPB/Alq3/LiO/Al。
素子1-1、素子3-2〜素子3-24について、高温保存環境(85℃、100℃、100時間)の下で、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧、初期輝度、駆動電圧変化及び輝度変化を測定した。
実験結果を下記表4に示す。なお、高温保存判定では+0.5V以下の変化であれば○、他×と示した。駆動寿命は輝度劣化度合いが素子1と同等以上である場合○、他×と示した。HILは正孔注入層をHTLは正孔輸送層を示す。
本実験結果から、正孔注入層としてMoOとボラジン化合物又はベンゼン化合物の混合されている混合系素子は、実験例2の結果と同様に、初期駆動電圧について素子1-1に対し低電圧化可能であり、高温保存、駆動寿命共に劣化抑制し、素子1-1と同等であることが分かる。
また、AlFとボラジン化合物又はベンゼン化合物の混合系素子はMoOの混合系素子より若干低駆動電圧化傾向にあることが分かる。
−−実験例4:(正孔注入層の膜厚依存性評価)−−
ボラジン化合物(化合物1)又は5%−MoO:ボラジン化合物(化合物1)を正孔注入層とし、膜厚を0〜60nmの範囲で変化させた素子を作製し、駆動特性を測定して、駆動特性における正孔注入層膜厚依存性を調べた。
実験例1の素子1-3の素子(正孔注入層無しの素子)を比較例とした。
−−素子4-2(実施例20)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物1の混合層を10nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを60nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子4-3(素子3-13:実施例14と同等)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子4-4(実施例21)−−
正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物1の混合層を60nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを10nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子4-5(実施例22)−−
正孔注入層として化合物1を10nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを60nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子4-6(素子1-6:実施例2と同等)−−
正孔注入層として化合物1を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子4-7(実施例23)−−
正孔注入層として化合物1を60nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを10nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
素子1-3、素子4-2〜素子4-7の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/正孔注入層(厚0〜60nm)/正孔輸送層(厚10〜70nm)/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極
素子1-3:ITO/−/NPB(厚70nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-2:ITO/5vol%MoO・化合物1(厚10nm)/NPB(厚60nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-3:ITO/5vol%MoO・化合物1(厚32nm)/NPB(厚38nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-4:ITO/5vol%MoO・化合物1(厚60nm)/NPB(厚10nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-5:ITO/化合物1(厚10nm)/NPB(厚60nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-6:ITO/化合物1(厚32nm)/NPB(厚38nm)/Alq3/LiO/Al
素子4-7:ITO/化合物1(厚60nm)/NPB(厚10nm)/Alq3/LiO/Al。
素子1-3、素子4-2〜素子4-7について、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧、初期輝度を測定した。
実験結果を下記表5及び表6に示す。HILは正孔注入層をHTLは正孔輸送層を示す。

本実験結果から、ボラジン化合物を正孔注入層に単独で用いた場合、初期駆動電圧の低電圧化が可能であるが、膜厚増加に伴い駆動電圧が若干上昇する傾向がある。しかしながら、MoOを混合することにより膜厚増加に伴う駆動電圧上昇を回避できる傾向にあることが分かる。
−−実験例5:(初期駆動電圧の陽極の種類依存性評価)−−
正孔注入層に接触する陽極について、陽極材料をITOとAgを有する以下に示す素子を作製し、駆動特性を測定、評価した。
−−素子5-1(素子1-6:実施例2と同等)−−
陽極として透明電極ITOを形成したガラス基板上に、真空蒸着により順に、正孔注入層として化合物1を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成し、その上に、発光層兼電子輸送層としてAlq3を60nmの厚さで形成し、その上に、電子注入層LiO及び陰極Alを形成した。
−−素子5-2(実施例24)−−
陽極としてAg電極を形成した以外、素子5-1と同様な素子を形成した。
−−素子5-3(素子3-13:実施例14と同等)−−
陽極として透明電極ITOを形成したガラス基板上に、真空蒸着により順に、正孔注入層としてMoOを5vol%混合した化合物1の混合層を32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子5-1と同様な素子を形成した。
−−素子5-4(実施例25)−−
陽極としてAg電極を形成した以外、素子5-3と同様な素子を形成した。
−−素子5-5(素子1-3:比較例2と同等)−−
陽極として透明電極ITOを形成したガラス基板上に、真空蒸着により順に、正孔注入層としてNPBを32nmの厚さで形成し、その上に、正孔輸送層としてNPBを38nmの厚さで形成した以外、素子5-1と同様な素子を形成した。
−−素子5-6(比較例15)−−
陽極としてAg電極を形成した以外、素子5-5と同様な素子を形成した。
素子5-1〜素子5-6の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層兼電子輸送層/電子注入層/陰極
素子5-1:ITO/化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子5-2:Ag/化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子5-3:ITO/5vol%MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子5-4:Ag/5vol%MoO・化合物1/NPB/Alq3/LiO/Al
素子5-5:ITO/NPB/NPB/Alq3/LiO/Al
素子5-6:Ag/NPB/NPB/Alq3/LiO/Al。
素子5-1〜素子5-6について、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧を測定した。
実験結果を下記表7に示す。HILは正孔注入層をHTLは正孔輸送層を示す。
本実験結果から、ボラジン化合物を正孔注入層に使用した素子の場合、低電圧駆動が可能ではあるが、電極種の影響を受けることが分かる。一方、MoOを混合した正孔注入層を有する素子は初期駆動特性が電極種に大きく依存しないことが分かる。
−−実験例6:(嵩高な有機半導体化合物を電子輸送層に使用した素子の性能評価)−−
嵩高な有機半導体化合物のベンゼン化合物を電子輸送層に含有する以下に示す素子を作製し、駆動特性を測定、評価した。
実験例1の素子1-1を基準の素子とした。
−−素子6-2(実施例26)−−
発光層としてAlq3を30nmの厚さで形成し、その上に、電子輸送層として化合物4を30nmの厚さで形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
−−素子6-3(実施例27)−−
発光層層としてAlq3を30nmの厚さで形成し、その上に、電子輸送層として化合物4を25nmの厚さで、その上に、Alq3を5nmの厚さで積層形成した以外、素子1-1と同様な素子を形成した。
素子1-1、素子6-2〜素子6-3の素子構造は、以下のとおりである。
素子No.:陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
素子1-1:ITO/CuPc/NPB/Alq3/−/LiO/Al
素子6-2:ITO/CuPc/NPB/Alq3/化合物4/LiO/Al
素子6-3:ITO/CuPc/NPB/Alq3/化合物4/Alq3積層/LiO/Al。
素子1-1、素子6-2〜素子6-3について、所定電流密度条件でそれぞれ駆動し、初期駆動電圧、初期輝度を測定し、外観観察した。
実験結果を下記表8並びに図10(素子6-2)及び図11(素子6-3)に示す。EMLは発光層をETLは電子輸送層を示す。
本実験結果から、Alq3/ベンゼン化合物/Alq3の積層を有する素子が良好に発光したことを確認でき、電子輸送層としてはベンゼン化合物を電子輸送性材料で挟むことで使用可能であることが分かる。ベンゼン化合物やボラジン化合物などの嵩高な有機半導体化合物は電子輸送性材料でサンドイッチすることで電子輸送性を発現することが期待できる。嵩高な有機半導体化合物を含む有機半導体層が電子輸送層又は電子注入層として発光層と陽極の間に配置できることが分かる。
以上の実験例から、嵩高な有機半導体化合物のベンゼン化合物、ボラジン化合物について、MOPAC計算に基づく3次元構造(置換基と中心骨格の二面角について)のシミュレーションを基に検討した。
下記化学式に示すNPB(比較例2)及びTPT−1(比較例1)の化合物は、多環系の環集合体であって、中心骨格と二面角を有する置換基は、そもそも存在しないが、部分的にも置換基と中心骨格の二面角が70°を超える場合がほとんどない。これらの分子のモーパック(MOPAC)による分子軌道(MO)の描画を図12及び図13に示す。

また、シクロペンタジエン誘導体(比較例3)は、そもそも中心骨格が芳香族性を有さないし、図14に示すように、環の平面性も大きく崩れる。
よって、電荷輸送材としての嵩高な有機半導体化合物における芳香族性多員環骨格が芳香族性を有し、環平面に対する芳香族置換基の環平面の二面角が70〜90°となるように芳香族置換基が配置されていることが好ましいことが分かる。さらに、嵩高な有機半導体化合物は、フェニルなど芳香族置換基の面積の和が、ボラジン環骨格やベンゼン環骨格など芳香族性多員環骨格の環平面の面積以上の大きさであることが好ましいことが分かる。
すなわち、中心骨格の環平面に対して70°〜90°に芳香族置換基が配列しているボラジン化合物やベンゼン化合物を含む素子(少なくとも正孔注入材料として)の駆動電圧は、一般的に議論されるHOMO(最高被占分子軌道)及び移動度に依存せず、電荷移動度が遅く、深いHOMOを有するにもかかわらず、低電圧化可能である。これらの結果は、詳細な原理は不明であるが、接触界面において、ベンゼン化合物及びボラジン化合物の芳香族置換基が界面に対して配向しているため、配向分極による誘電率緩和により、駆動電圧低下を阻害する界面トラップ量減少、又は正孔注入障壁が緩和し正孔注入特性が向上したものと推察される。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
51 発光層兼電子輸送層

Claims (9)

  1. 対向する1対の陽極及び陰極の間に積層配置されかつ発光層を含む複数の有機半導体層を備え、かつ、前記発光層及び前記陽極の間には前記陽極側から正孔注入層及び正孔輸送層が積層された有機電界発光素子であって、
    前記正孔注入層は、下記一般式(1)に示すボラジン化合物
    {式(1)中、Nは窒素を示し、Bはホウ素を示し、Rはフェニル基、ナフチル基またはピリジル基を示し、Rは全てが異なっていても同一でもよい}を含むこと、
    前記正孔注入層又はその前記陽極側に隣接する層に無機フッ化物又は無機酸化物を含むこと、
    前記正孔輸送層はアリールアミン化合物からなること、を特徴とする有機電界発光素子。
  2. 前記ボラジン化合物が、下記化合物1式に示すボラジン化合物
    であることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体素子。
  3. 前記無機フッ化物はAlF又はMgFであることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子。
  4. 前記無機フッ化物は2.5〜40体積%で混合されていることを特徴とする請求項3記載の有機電界発光素子。
  5. 前記無機フッ化物は5〜40体積%で混合されていることを特徴とする請求項4記載の有機電界発光素子。
  6. 前記無機酸化物はモリブデン酸化物又はバナジウム酸化物であることを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子
  7. 前記無機酸化物は2.5〜40体積%で混合されていることを特徴とする請求項6記載の有機電界発光素子。
  8. 前記無機酸化物は5〜40体積%で混合されていることを特徴とする請求項7記載の有機電界発光素子。
  9. 前記陽極及び陰極の少なくとも一方は半透明又は透明であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の有機電界発光素子。
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