JP2005268022A - 有機電界発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対の電極間に、互いに隣接する発光層とブロック層とを少なくとも含む有機層を有する有機電界発光素子であって、発光層がリン光発光材料を含有し、ブロック層が非縮環型芳香族化合物を含有する有機電界発光素子。
【選択図】 なし
Description
(1)一対の電極間に、互いに隣接する発光層とブロック層とを少なくとも含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層がリン光発光材料を含有し、前記ブロック層が非縮環型芳香族化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
(2)前記有機層が、少なくとも、発光層、ブロック層、及び電子輸送層をこの順に含むことを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子。
(3)前記有機層が、少なくとも、発光層、ブロック層、及び正孔輸送層をこの順に含み、前記発光層が電子輸送性ホストを含有することを特徴とする上記(1)に記載の有機電界発光素子。
(4)前記電子輸送性ホストが、トリアジン単位を有する化合物であることを特徴とする上記(3)に記載の有機電界発光素子。
(5)前記非縮環型芳香族化合物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
ブロック層は、発光層内で正孔と電子が結合することにより生じた励起子が、陰極側または陽極側に流れ出てくるのを防止する機能を有する励起子ブロック層である。すなわち、ブロック層を発光層に隣接させることにより、発光層からの励起子エネルギーの移動を抑制し、発光材料が無輻射的な消光反応を起こすことを抑えることができ、その結果、発光効率を向上させることができる。
また、ブロック層に非縮環型芳香族化合物を用いることで、駆動耐久性を向上させることができる。これは、励起子をブロックすることにより、陰極側または陽極側の有機材料が励起子により劣化するのを防止できるためと推定している。
また、一対の電極は陽極と陰極とからなり、通常、陽極は基板上に設ける。また、少なくとも一方の電極は透明であって、通常、陽極が透明である。
図2の素子は、発光層と電子輸送層との間に(正孔)ブロック層を有する。発光が発光層の陰極側界面近傍で主に起こる場合に、この構成が好適である。一方、図3の素子は、発光層と正孔輸送層との間に(電子)ブロック層を有する。発光が発光層の陽極側界面近傍で主に起こる場合に、この構成が好適である。
また、非縮環型芳香族化合物を含む本発明のブロック層とは別に、さらに非縮環型芳香族化合物を含まないブロック層を設けることもできる。
また、本発明の素子の各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
なお、本発明の素子の構成は、以上に説明したものに限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
本発明のブロック層に用いる有機化合物の3重項最低励起準位T1のエネルギーは59kcal/mol以上であることが好ましく、61kcal/mol以上であることがより好ましく、65kcal/mol以上であることが特に好ましい。
これにより、ブロック層の有機化合物が、発光層に含まれるリン光発光材料より高いT1エネルギーを有することになり、発光材料からの励起子エネルギーの移動が抑制され、発光材料が無輻射的な消光反応を起こさないので、高い発光効率が実現できる。例えば、緑色リン光発光材料のT1エネルギーは59kcal/mol前後である。本発明では、該有機化合物として非縮環型芳香族化合物を用いているので、発光効率だけでなく駆動耐久性が向上する。
Ar11、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15が表すアリール基及びヘテロアリール基は単環構造を有することが好ましい。
アリール基の例としてはフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、トリフェニレニル基、ベンゾアンスリル基、ベンゾフェナンスリル基等が挙げられる。中でもフェニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナンスリル基が好ましく、フェニル基及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
ヘテロアリール基の例としてはピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、アクリジル基、フェナントリジル基、フタラジル基、フェナンスロリル基、トリアジル基等が挙げられる。中でもピリジル基及びトリアジル基が好ましい。
Ar11、Ar12、Ar13、Ar14及びAr15は置換基を有していてもよく、該置換基の例としては後述する置換基群Aに挙げる基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等)、ヘテロアリールオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ基、ピラジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、キノリルオキシ基等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ基、2−ベンズイミゾリルチオ基、2−ベンズオキサゾリルチオ基、2−ベンズチアゾリルチオ基等)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル基、トシル基等)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基等)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基等)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基等)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子として窒素原子、酸素原子、硫黄原子等を含み、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、カルバゾリル基、アゼピニル基等)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等)等。
これらの置換基の各基は更にこれらの置換基により置換されていてもよい。
ブロック層の膜厚は20nm以下が好ましく、1〜10nm以下がよい好ましく、1〜5nmが特に好ましい。
リン光発光材料とは遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体である。遷移金属原子は特に限定しないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金であり、より好ましくはレニウム、イリジウム、白金である。ランタノイド原子はランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムである。これらのランタノイド原子の中ではネオジム、ユーロピウム、ガドリニウムが好ましい。
本発明に用いるリン光発光材料として特に好ましい金属錯体はフェニルピリジン類を配位子とするイリジウムもしくは白金の錯体である。
電子輸送性ホストとは、正孔輸送性と電子輸送性との相対比較において電子輸送性が勝る有機化合物を意味する。このような性質を有する化合物としては、イオン化ポテンシャルが6.3eV以上かつ電子親和力が3.0eV以上の化合物、又は、単環もしくは縮環した6員の含窒素ヘテロ環を有する非錯体有機化合物が好ましい。単環もしくは縮環した6員の含窒素ヘテロ環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、テトラジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、キノリジン、フラタジン、イミダゾピリジン、プリン、アクリジン、フェナジン等が挙げられる。これらのうちピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾピリジンはT1エネルギーが大きいため好ましい。さらにトリアジン、イミダゾピリジンはより好ましい。電子輸送性ホストとしては、トリアジン単位(トリアジン環)を有する化合物が特に好ましい。
これらは置換基を有していてもよい。
−基板−
本発明で使用する基板は、有機層から発せられる光を散乱または減衰させないことが好ましい。その具体例としては、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、形状としては板状である。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は無色透明であっても有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱または減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面または裏面(透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板には、更に必要に応じてハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
陽極としては、通常、有機層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、又はこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
発光素子における陽極の形成位置としては特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該陽極は、基板における一方の表面の全体に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極は、該陽極側から発光を取り出すためには透明であることが好ましく、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、この場合、陽極は無色透明であっても、有色透明であってもよい。
なお、陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
陰極としては、通常、有機層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途・目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10重量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等によって行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
電極と有機層とを積層して得られる発光積層体における陰極の形成位置としては特に制限はなく、有機層上の全体に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は一種の電子注入層と見ることもできる。該誘電体層は例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成することができる。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚みに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
−−有機層の形成−−
有機層の各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に成膜することができる。
発光層は、電界印加時に陽極側から正孔を受け取り、陰極側から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
発光層はリン光発光材料を含み、ホストを含んでもよい。ホストを含む場合、リン光発光材料はドーパントと呼ばれることがある。発光層は単層構造であってもよいし、異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
正孔輸送層は、陽極から正孔を受け取り発光層に輸送する機能を有する。正孔輸送材料は単一であっても複数種の混合であってもよい。
電子輸送層は陰極から電子を受け取り発光層に輸送する機能を有する。具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等の電子輸送材料を含有する。これら電子輸送材料のうち、発光層に隣接する層に用いる化合物のT1エネルギーは59kcal/mol以上であることが好ましい。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
1.リン光発光性有機電界発光素子の作成
(1)比較用素子(TC−1)の作成(図4)
0.5mm厚み、2.5cm角のITOガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO)上に真空蒸着法にて以下の層を順次蒸着した。
なお、本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(正孔輸送層)
NPD:膜厚20nm
(発光層)
CBP=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚30nm
(ホールブロック層)
BAlq:膜厚12nm(BAlqは縮環型芳香族化合物に相当するため比較例である。)
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
このものを、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止し、比較用素子(TC−1)を得た。
層構成を下記のように変更する以外は試験素子(TC−1)と同様の方法で本発明の試験素子(TC−2〜7)を作成した。
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(正孔輸送層)
NPD:膜厚20nm
(発光層)
CBP=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚30nm
(ブロック層)
表1に記載の化合物:表1に記載の膜厚
(ホールブロック層)
BAlq:表1に記載の膜厚
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
試験素子(TC−1)の発光層のCBPを電子輸送性ホスト(ETH−1)に替える以外は試験素子(TC−1)と同様の方法で比較用試験素子(TC−8)を作成した。
層構成を下記のように変更する以外は試験素子(TC−2)と同様の方法で本発明の試験素子(TC−9〜11)を作成した。
銅フタロシアニン:膜厚10nm
(正孔輸送層)
NPD:表2に記載の膜厚
(ブロック層)
表2に記載の化合物:表2に記載の膜厚
(発光層)
CBP=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚30nm
(ホールブロック層)
BAlq:10nm
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
有機電界発光素子(TC−1〜11)を以下の方法で評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を素子に印加し発光させて、輝度、発光スペクトル及び電流値を測定した。輝度が200Cd/m2時の発光スペクトル及び電流値から、発光の外部量子効率を算出した。
次に、この発光素子を初期輝度1000Cd/m2の条件で定電流の連続駆動試験をおこない、輝度が500Cd/m2になった時間を輝度半減時間(T1/2)と定義し、駆動耐久性の尺度とした。これらの結果を表1、表2に示した。なお、全ての素子において緑色の発光が観測された。
(1)イオン化ポテンシャル
ガラス基板上に測定しようとする有機物を50nmの厚みになるように蒸着した。この膜を常温常圧下理研計器製、紫外線光電子分析装置AC−1(理研計器株式会社製)によりイオン化ポテンシャルを測定した。ETH−1に関しては有意の信号が得られず、イオン化ポテンシャルが6.3eV以上であることが判明した。ただし、測定値を確定する事はできなかった。CBPについてはイオン化ポテンシャルの値が6.0eVであり、前記オーガニックエレクトロニクス第4巻81頁(2003年、エルゼビア刊行)と比べて0.1eVの隔たりがあるが、これは測定法の相違、もしくは誤差と考えられる。
イオン化ポテンシャル測定に用いた膜の紫外可視吸収スペクトルを測定し、吸収スペクトルの長波長端のエネルギーから励起エネルギーを求めた。励起エネルギーと前記イオン化ポテンシャルの値から電子親和力を算出した。イオン化ポテンシャルの測定値を確定することができなかったETH−1に対しては、電子親和力を求めることはできなかった。また、励起エネルギーを確定することができなかった化合物に対しては、電子親和力を求めることはできなかった。
イオン化ポテンシャル測定に用いた膜のリン光スペクトルを77Kにて測定し、得られたリン光スペクトルの短波長端の値からT1エネルギーより求めた。リン光の微弱なNPDについてはT1エネルギーを求めることはできなかったが、オーガニックエレクトロニクス第4巻81頁(2003年、エルゼビア刊行)には2.3eV(53kcal/mol)との記載があるので、本発明で問題となる59kcal/molよりはT1エネルギーが小さい化合物であると考えられる。
本実施例に用いた化合物のイオン化ポテンシャル、電子親和力、T1エネルギーを表3に示す。
また表2の結果から、電子輸送性ホストを用いた場合も、本発明の素子(TC−9〜11)は比較例(TC−8)に対しても発光効率が高く、駆動耐久性が高いことが分かる。
Claims (8)
- 一対の電極間に、互いに隣接する発光層とブロック層とを少なくとも含む有機層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層がリン光発光材料を含有し、前記ブロック層が非縮環型芳香族化合物を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
- 前記有機層が、少なくとも、発光層、ブロック層、及び電子輸送層をこの順に含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記有機層が、少なくとも、発光層、ブロック層、及び正孔輸送層をこの順に含み、前記発光層が電子輸送性ホストを含有することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子。
- 前記電子輸送性ホストが、トリアジン単位を有する化合物であることを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子。
- 前記非縮環型芳香族化合物の3重項最低励起準位T1のエネルギーが59kcal/mol以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の有機電界発光素子。
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