JP2005285410A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率が高く、駆動耐久性にも優れた有機電界発光素子を提供すること。
【解決手段】一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が、正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値と電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値との中間の値である、および/または、緩衝層材料の電子親和力の値が、前記正孔輸送性ホストの電子親和力の値と前記電子輸送性ホストの電子親和力の値との中間の値である有機電界発光素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は有機電界発光素子に関する。
有機電界発光素子は、少なくとも発光層を含む有機化合物層と、これを挟む一対の電極から構成されている。両電極間に電界が印加されると、陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、発光する。
有機電界発光素子の重要な課題の一つに発光効率の向上がある。特許文献1には、発光層を多層構成とし、陽極側の発光層に正孔輸送材料を用いた素子、陰極側の発光層に電子輸送材料を用いた素子、又はこれらを併用する素子が、発光効率の優れる素子として開示されている。しかし、特許文献1には、本発明で開示する正孔輸送性発光層、緩衝層、及び電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子の構造の記載も示唆もない。また有機電界発光素子の層中の材料のイオン化ポテンシャルや電子親和力の値に関する記載も示唆もない。
また、特許文献2には、特定構造を有する芳香族炭化水素(本発明の一般式(1)で表される芳香族炭化水素に相当)をホスト材料に用いた有機電界発光素子が、高い発光効率を有する燐光発光性の素子として開示されている。しかし、特許文献2には、本発明で開示する有機電界発光素子の構造の記載も示唆もない。また有機電界発光素子の層中の材料のイオン化ポテンシャルや電子親和力の値に関する記載も示唆もない。
有機電界発光素子の別の重要課題として駆動耐久性の向上もあり、発光効率向上と駆動耐久性の向上を両立する有機電界発光素子が求められている。
特開2001−319779号公報 特開2003−27048号公報
本発明は、発光効率が高く、駆動耐久性にも優れた有機電界発光素子を提供することを目的とする。
上記課題は、下記(1)〜(9)の有機電界発光素子により解決される。
(1)一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
前記緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が、前記正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルと前記電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルとの中間の値である有機電界発光素子。
(2)一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
前記緩衝層材料の電子親和力の値が、前記正孔輸送性ホストの電子親和力の値と前記電子輸送性ホストの電子親和力の値との中間の値である有機電界発光素子。
(3)一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
前記緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が、前記正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値と前記電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値との中間の値であり、かつ前記緩衝層材料の電子親和力の値が、前記正孔輸送性ホストの電子親和力の値と前記電子輸送性ホストの電子親和力の値との中間の値である有機電界発光素子。
(4)正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値が5.8eV以下であって、緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が5.3eV乃至6.9eVであって、電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャル値が6.3eV以上である上記(1)に記載の有機電界発光素子。
(5)正孔輸送性ホストの電子親和力の値が2.6eV以下であって、緩衝層材料の電子親和力の値が2.0eV乃至3.5eVであって、電子輸送性ホストの電子親和力の値が3.1eV以上である上記(2)に記載の有機電界発光素子。
(6)正孔輸送性ホストの、イオン化ポテンシャルの値が5.8eV以下、かつ、電子親和力の値が2.6eV以下であって、緩衝層材料の、イオン化ポテンシャルの値が5.3eV乃至6.9eV、かつ、電子親和力の値が2.0eV乃至3.5eVであって、電子輸送性ホストの、イオン化ポテンシャル値が6.3eV以上、かつ、電子親和力の値が3.1eV以上である上記(3)に記載の有機電界発光素子。
(7)緩衝層が、酸素原子及び窒素原子を含まない芳香族炭化水素を含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
(8)緩衝層が、下記一般式(1)で表される芳香族炭化水素を含有する上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
Figure 2005285410
一般式(1)中、R1〜R6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
(9)正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値と電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値との差が0.5eV以上であり、かつ正孔輸送性ホストの電子親和力の値と電子輸送性ホストの電子親和力の値との差が0.5eV以上である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の有機電界発光素子。
本発明によれば、発光効率と駆動耐久性を両立し、双方の性能に優れる有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の有機電界発光素子(以下、本発明の素子、発光素子とも称する。)は、正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、緩衝層、及び電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する。このように、発光層を少なくとも3層の異種組成の複数層構成とすることにより、発光効率と駆動耐久性の双方に優れた有機電界発光素子が得られる。
発光層を異種組成の複数層、例えば、陽極側から、正孔輸送性発光層(正孔輸送性ホストを含む発光層)と電子輸送性発光層(電子輸送性ホストを含む発光層)の2層構成とすると発光効率が向上する。このことは、前記特許文献1にも記載されている。
本発明者らの検討では、発光層が上記2層構成となる有機電界発光素子において、下記(1)及び(2)の条件を同時に満たす素子の発光効率が特に高いことが判明した。
(1)正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャル(Ip)の差が大きい。
(2)正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストの電子親和力(Ea)の差が大きい。
その一方で、このような構成をとると、駆動耐久性が悪化することも判明した。この原因は、正孔輸送性発光層と電子輸送性発光層とのエネルギーギャップが大きいために、この界面に電荷が滞留して材料に大きな負荷がかかるためであると推定している。
本発明の有機電界発光素子では、正孔輸送性発光層と電子輸送性発光層との間に、特定のポテンシャル条件を満足する材料からなる緩衝層を設けることにより、発光効率を低下させることなく駆動耐久性を改良した。すなわち、緩衝層材料のIpを正孔輸送性ホストのIpと電子輸送性ホストのIpとの中間の値とする(緩衝層材料のIpが下記(3)を満たす)、および/または、緩衝層材料のEaを正孔輸送性ホストのEaと電子輸送性ホストのEaとの中間の値とする(緩衝層材料のEaが下記(4)を満たす)ことにより、正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとのエネルギーギャップによる材料にかかる負荷を該緩衝層材料により緩和させることができ、高い発光効率を維持したまま駆動耐久性を向上させることができる。
(3)正孔輸送性ホストのIp<緩衝層材料のIp<電子輸送性ホストのIp
(4)正孔輸送性ホストのEa<緩衝層材料のEa<電子輸送性ホストのEa
緩衝層材料(好ましくは緩衝作用をもつ材料)が上記(3)および(4)の両方を満たすことが好ましい。
具体的には、正孔輸送性ホストのIpは5.8eV以下が好ましく、5.6eV以下がより好ましく、5.4eV以下が特に好ましい。正孔輸送性ホストのEaは2.6eV以下が好ましく、2.4eV以下がより好ましく、2.2eV以下が特に好ましい。
電子輸送性ホストのIpは6.3eV以上が好ましく、6.4eV以上がより好ましく、6.5eV以上が特に好ましい。電子輸送性ホストのEaは3.1eV以上が好ましく、3.2eV以上がより好ましく、3.3eV以上が特に好ましい。
緩衝層材料のIpは5.3eV以上6.9eV以下が好ましく、5.5eV以上6.8eV以下がより好ましく、5.7eV以上6.7eV以下が特に好ましい。緩衝層材料のEaは2.0eV以上3.5eV以下が好ましく、2.1eV以上3.3eV以下がより好ましく、2.2eV以上3.1eV以下が特に好ましい。
以下、本発明の有機電界発光素子における発光層の具体的構成について詳細に説明する。
本発明において正孔輸送性発光層は、少なくとも一種の、正孔輸送性ホストと発光材料とを含む。正孔輸送性ホストとは、正孔輸送性と電子輸送性との相対比較において正孔輸送性の勝った有機化合物のことである。このような性質を有するのは、イオン化ポテンシャルが6.2eV以下かつ電子親和力が2.8eV以下の化合物である。
具体的には、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ジベンゾアゼピン誘導体、トリベンゾアゼピン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、芳香族ジメチリディン誘導体等が挙げられる。これらのうちカルバゾール誘導体、アリールアミン誘導体、ジベンゾアゼピン誘導体、トリベンゾアゼピン誘導体が好ましい。
本発明の正孔輸送性ホストの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005285410
Figure 2005285410
本発明において、正孔輸送性ホストは単一であっても複数種の混合であってもよい。正孔輸送性発光層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜30nmが特に好ましい。
ホストと発光材料との比は、質量比として、好ましくは2000:1〜5:1であり、より好ましくは1000:1〜10:1であり、さらに好ましくは500:1〜10:1である。
本発明において電子輸送性発光層は、少なくとも一種の、電子輸送性ホストと発光材料とを含む。電子輸送性ホストとは、正孔輸送性と電子輸送性との相対比較において電子輸送性の勝った有機化合物のことである。このような性質を有するのは、イオン化ポテンシャルが6.3eV以上かつ電子親和力が3.0eV以上の化合物である。
具体的には、単環もしくは縮環した6員の含窒素ヘテロ環を有する非錯体有機化合物が好ましく、例えば、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、シンノリン誘導体、キノリジン誘導体、フラタジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、プリン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体等が挙げられる。これらのうちピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体が好ましく、ピリジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体が特に好ましい。
本発明の電子輸送性ホストの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005285410
Figure 2005285410
本発明において電子輸送性ホストは単一であっても複数種の混合であってもよい。電子輸送性発光層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜30nmが特に好ましい。
ホストと発光材料との比は、質量比として、好ましくは2000:1〜5:1であり、より好ましくは1000:1〜10:1であり、さらに好ましくは500:1〜10:1である。
本発明において緩衝層は、少なくとも一種の緩衝層材料を含み、緩衝作用をもつ化合物の他に発光材料(好ましくは緩衝作用をもたない発光材料)を含有するのが好ましい。緩衝層材料と発光材料との比は、質量比として、好ましくは2000:1〜5:1であり、より好ましくは1000:1〜10:1であり、さらに好ましくは500:1〜10:1である。本発明で用いる緩衝層材料は、前述のとおり、イオン化ポテンシャルが正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとの間の値であるか、または、電子親和力が正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとの間の値であるような有機化合物である。好ましくはイオン化ポテンシャルが正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとの間の値であり、かつ、電子親和力が正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとの間の値であるような化合物である。
このような化合物のうち、酸素原子、窒素原子のいずれも含まない芳香族炭化水素が好ましく、下記一般式(1)で表される芳香族炭化水素が特に好ましい。
Figure 2005285410
一般式(1)中、R1〜R6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
一般式(1)において、R1〜R6が表すアルキル基は、好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。アルケニル基は、好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。アルキニル基は、好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。アリール基は、好ましくは炭素数6〜30であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニリルなどが挙げられる。
このうちR1〜R6としては、アルキル基、アリール基が好ましい。
1〜R6は互いに同じであっても異なっていてもよい。R1〜R6は互いに結合して環を形成してもよい。R1〜R6はさらにアルキル基やアリール基を有してもよい。
一般式(1)で表される化合物の具体例以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2005285410
Figure 2005285410
本発明において緩衝層材料は単一であっても複数種の混合であってもよい。緩衝層材料が複数種の混合の場合、それらのうち少なくとも1種は前記(3)又は(4)のポテンシャル条件を満たす。また、緩衝層内での電荷再結合を光エネルギーに変換できるように、発光材料を混合してもよい。
緩衝層の膜厚は50nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、1〜10nmが特に好ましい。
次に、発光層に用いる正孔輸送性ホスト、電子輸送性ホストの好ましい組み合わせについて説明する。
正孔輸送性ホストのIpと電子輸送性ホストのIpの差は0.3eV以上が好ましく、0.5eV以上がより好ましい。正孔輸送性ホストのEaと電子輸送性ホストのEaの差は0.3eV以上が好ましく、0.5eV以上がより好ましい。
本発明の発光層において、下記(5)〜(7)を満たす材料の組み合わせが最も好ましい。
(5)Ipが5.8eV以下で、かつEaが2.6eV以下のカルバゾール誘導体、アリールアミン誘導体、ジベンゾアゼピン誘導体、又はトリベンゾアゼピン誘導体を正孔輸送性ホストとする。
(6)Ipが6.3V以上で、かつEaが3.1eV以上のピリジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体を電子輸送性ホストとする。
(7)IpとEaの値がともに正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストとの間にあるような一般式(1)で表される化合物を緩衝層材料とする。
本発明において、正孔輸送性発光層、緩衝層、電子輸送性発光層を含む発光層の総膜厚は1〜300nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、10〜60nmが特に好ましい。
緩衝層と発光層(正孔輸送性発光層+電子輸送性発光層)との膜厚の比率は、1:2〜1:200が好ましく、1:5〜1:100がより好ましく、1:10〜1:50が特に好ましい。正孔輸送性発光層と電子輸送性発光層との膜厚の比率は、10:1〜1:10が好ましく5:1〜1:5がより好ましく、2:1〜1:2が特に好ましい。
本発明の有機電界発光素子を構成する要素について更に説明する。以下、陽極が基板側にあって透明な典型的素子について説明するが、本発明はこの構成に限定されない。
本発明の有機電界発光素子は、典型的には、基板上にある一対の電極間に少なくとも発光層を含む有機化合物層を形成する。有機化合物層は通常、発光層、正孔輸送層、電子輸送層からなる。発光層は発光材料およびホストを、正孔輸送層は正孔輸送材料を、電子輸送層は電子輸送材料を含む。一対の電極とは陽極と陰極であり、通常、基板側が陽極である。また、少なくとも一方の電極は透明であって、通常、陽極が透明である。
有機電界発光素子は、基板側から透明陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極というの典型的な構成である。この他、正孔輸送層と発光層の間に電子ブロック層を、発光層と電子輸送層の間に正孔ブロック層を有していてもよい。陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を有してもよい。このとき、電子ブロック層および正孔注入層は正孔輸送層の一部と見なされ、正孔ブロック層および電子注入層は電子輸送層の一部と見なされる。さらに各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
本発明においては、基板側から透明陽極/正孔輸送層/正孔輸送性発光層/緩衝層/電子輸送性発光層/電子輸送層/陰極という層構成が好ましく、透明陽極/正孔注入層/正孔輸送層/正孔輸送性発光層/緩衝層/電子輸送性発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極という層構成がより好ましい。また、前記より好ましい層構成において電子輸送層内に正孔ブロック層を含まず、正孔輸送層内に電子ブロック層を含まないことが最も好ましい。
−基板−
本発明で使用する基板は有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させないことが好ましい。その具体例としては、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルやポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。有機材料の場合、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、形状としては板状である。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は無色透明であっても有色透明であってもよいが、発光層から発せられる光を散乱あるいは減衰等させることがない点で、無色透明で有ることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面(透明電極側)に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。該透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。熱可塑性基板には、更に必要に応じてハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
−透明陽極−
透明陽極としては、通常、有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
透明陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、又はこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロ−ルなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
透明陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って基板上に形成することができる。例えば、透明陽極の材料として、ITOを選択する場合には、該透明陽極の形成は、直流あるいは高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。また、透明陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合には湿式成膜法に従って行うことができる。
発光素子における透明陽極の形成位置としては特に制限はなく、該発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、基板上に形成されるのが好ましい。この場合、該透明陽極は、基板における一方の表面の全体に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、透明陽極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
透明陽極の厚みは材料により適宜選択することができ、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。透明陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
透明陽極は、該陽極側から発光を取り出すために、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光光度計を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、この場合、陽極は無色透明であっても、有色透明であってもよい。
なお、陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、これらを本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で製膜した陽極が好ましい。
−陰極−
陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途・目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
陰極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、又はアルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されている。
陰極の形成法は、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などの中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等によって行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
電極と有機層とを積層して得られる発光積層体における陰極の形成位置としては特に制限はなく、有機化合物層上の全体に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と有機化合物層との間にアルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は一種の電子注入層と見る事もできる。該誘電体層は例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成することができる。
陰極の厚みとしては、材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μmであり、50nm〜1μmが好ましい。
陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1〜10nmの厚みに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
−有機化合物層−
−−有機化合物層の形成−−
本発明の素子における有機化合物層の各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に成膜することができる。
−−発光層−−
発光層は、電界印加時に正孔輸送層から正孔を受け取り、電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。前述のように本発明の発光層は少なくとも正孔輸送性発光層、緩衝層、電子輸送性発光層を含む。
正孔輸送性発光層は正孔輸送性ホストと発光材料を含み、電子輸送性発光層は電子輸送性ホストと発光材料を含む。緩衝層は緩衝層材料を含む。緩衝層は発光材料を含んでもよい。
発光材料は蛍光発光材料、リン光発光材料のいずれでもよい。
蛍光発光材料の例としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
リン光発光材料は遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体である。遷移金属原子は特に限定しないが、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金であり、より好ましくはレニウム、イリジウム、白金である。ランタノイド原子はランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテシウムである。これらのランタノイド原子の中ではネオジム、ユーロピウム、ガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry,Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer-Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、含窒素ヘテロ環配位子(例えばフェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えばアセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば酢酸配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは含窒素ヘテロ環配位子である。上記錯体は化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
本発明に用いるリン光発光材料として特に好ましい金属錯体はフェニルピリジン類を配位子とするイリジウムもしくは白金の錯体である。
発光材料は単一であっても複数種の混合であってもよい。なお、ホストと発光材料はその役割が明確に区別できない場合もある。
ホストと発光材料の混合物からなる発光層を形成するには、ホストと発光材料を同時に蒸発させ、蒸発速度をコントロールすることによって発光材料の割合を制御しながら基板上に積層させてもよく、ホストと発光材料を適切な濃度で共に溶かした溶液をスピンコート法によって塗布してもよく、また、スプレイ法やインクジェット法などを用いて作成してもよい。
−−正孔輸送層−−
正孔輸送層は、陽極から正孔を受け取り発光層に輸送する機能を有する。正孔輸送材料は単一であっても複数種の混合であってもよい。正孔輸送材料の例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物等が挙げられる。
正孔輸送層は上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、陽極側から正孔注入層、正孔輸送層のような構成となっていてもよい。通常、正孔注入層には正孔輸送層よりもイオン化ポテンシャルの小さい化合物が選ばれる。正孔注入層に用いられる化合物の例としてはフタロシアニン類等が挙げられる。
正孔輸送層の総膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜200nmの範囲が好ましく、より好ましくは5nm〜100nmであり、更に好ましくは10nm〜50nmである。
−−電子輸送層−−
電子輸送層は陰極から電子を受け取り発光層に輸送する機能を有する。具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等の電子輸送材料を含有する。
電子輸送層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常1nm〜200nmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5nm〜100nmであり、更に好ましくは10nm〜70nmである。電子輸送層は上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。また、陰極側から電子注入層、電子輸送層という構成となっていてもよい。このような場合、通常、電子注入層には電子輸送層よりも電子親和力が大きい化合物が選ばれる。
本発明において、発光素子全体は保護層によって保護されていてもよい。保護層の材料としては水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxOy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法についても特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
さらに本発明においては、封止容器を用いて本発明の素子全体を封止してもよい。また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
本発明の発光素子は、透明陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の発光素子の駆動については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号、米国特許5828429号、同6023308号、日本特許第2784615号、等に記載の方法を利用することができる。
以下に、本発明の有機電界発光素子の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
1.有機電界発光素子の作成
(1)比較用素子(TC−1)の作成
0.5mm厚み、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の層を順次蒸着した。
本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
(正孔注入層)
銅フタロシアニン:膜厚20nm
(正孔輸送層)
NPD:膜厚20nm
(正孔輸送性発光層)
HTH−4=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(電子輸送性発光層)
ETH−10=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
Figure 2005285410
続いて、電子輸送層上にパターニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、フッ化リチウムを0.1nm/秒の蒸着速度にて1nm蒸着し電子注入層とした。最後に金属アルミニウムを100nm蒸着し陰極とした。
このものを、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止し、比較用素子(TC−1)を得た。
なお、比較用素子(TC−1)においてNPDは正孔輸送材料、HTH−4は正孔輸送性ホスト、Ir(ppy)3はリン光発光材料、Alqは電子輸送材料である。
(2)比較用素子(TC−2)の作成
正孔輸送性ホストをHTH−4からHTH−7に替える以外は、TC−1と同様の方法にて、比較用素子(TC−2)を作成した。
(3)本発明の素子(TC−3)の作成
層構成を下記のように変更する以外は試験素子(TC−1)と同様の方法で本発明の試験素子(TC−3)を作成した。
(正孔注入層)
銅フタロシアニン:膜厚20nm
(正孔輸送層)
NPD:膜厚20nm
(正孔輸送性発光層)
HTH−4=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(緩衝層)
BLM−2:膜厚4nm
(電子輸送性発光層)
ETH−10=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
(4)本発明の素子(TC−4)の作成
層構成を下記のように変更する以外は試験素子(TC−2)と同様の方法で本発明の試験素子(TC−4)を作成した。
(正孔注入層)
銅フタロシアニン:膜厚20nm
(正孔輸送層)
NPD:膜厚20nm
(正孔輸送性発光層)
HTH−7=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(緩衝層)
BLM−2:膜厚4nm
(電子輸送性発光層)
ETH−10=95質量%、Ir(ppy)3=5質量%の混合層:膜厚20nm
(電子輸送層)
電子輸送材料Alq:膜厚40nm
2.発光素子の評価
有機電界発光素子(TC−1〜4)を以下の方法で評価した。
東洋テクニカ製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を素子に印加し発光させて、輝度、発光スペクトル及び電流値を測定した。輝度が200Cd/m2時の発光スペクトル及び電流値から、発光の量子効率(発光効率)を算出した。
次に、この発光素子を初期輝度300Cd/m2の条件で定電流パルス駆動試験を行い、輝度が150Cd/m2になった時間を輝度半減時間(T1/2)と定義し、駆動耐久性の尺度とした。なお、パルス幅は50ミリ秒、デューティー比は1/2、レスト時には発光時と絶対値が同じで逆極性の電圧(逆バイアス)を10ミリ秒間印加した。これらの結果を表1に示した。
3.素材物性の評価
(1)イオン化ポテンシャル
ガラス基板上に測定しようとする有機物を50nmの厚みになるように蒸着した。この膜を常温常圧下、理研計器製紫外線光電子分析装置AC−1によりイオン化ポテンシャルを測定した。ETH−10、BLM−2のイオン化ポテンシャルは金基板上に50nm厚みに蒸着した膜を用いて、UPS法で測定した。
(2)電子親和力
イオン化ポテンシャル測定に用いた膜の紫外可視吸収スペクトルを測定し、吸収スペクトルの長波長端のエネルギーから励起エネルギーを求めた。励起エネルギーと前記イオン化ポテンシャルの値から電子親和力を算出した。
本実施例に用いた化合物のイオン化ポテンシャル、電子親和力を表2に示した。また、イオン化ポテンシャル、電子親和力の値をもとに正孔輸送性発光層、緩衝層、電子輸送性発光層のポテンシャル序列及び下記のΔIp、ΔEaを求め、表3にまとめた。
ΔIp=Ip(ETH)−Ip(HTH)、
ΔEa=Ea(ETH)−Ea(HTH)。
なお、各記号が意味する内容は下記のとおり。
Ip(ETH):電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャル、
Ip(HTH):正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャル、
Ea(ETH):電子輸送性ホストの電子親和力、
Ea(HTH):正孔輸送性ホストの電子親和力、
Ip(BLM):緩衝層材料のイオン化ポテンシャル、
Ea(BLM):緩衝層材料の電子親和力。
Figure 2005285410
Figure 2005285410
Figure 2005285410
表1から、作成されたすべての有機電界発光素子は発光の量子効率が極めて高いことが分かる。
比較用素子に関して、TC−2はTC−1に対してΔIp、ΔEaがともに大きい。その結果として発光の量子収率が向上しているが、耐久性は悪化していることが分かる。
一方、本発明の有機電界発光素子であるTC−3は、対応する比較用素子TC−1に対して、発光の量子効率が同等のまま、駆動耐久性(T1/2)が向上している。ここに本発明の効果が確認された。TC−3では、緩衝層材料であるBLM−2はイオン化ポテンシャルの値が正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストの中間の値であり、本発明の緩衝層としての役割を果たしていると推定している。
本発明の有機電界発光素子であるTC−4は、対応する比較用素子TC−2に対して、発光の量子効率が同等のまま、駆動耐久性(T1/2)が大幅に向上している。ここにおいても本発明の効果が確認された。TC−4では、緩衝層材料であるBLM−2はイオン化ポテンシャルの値が正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストの中間の値であり、かつ、電子親和力の値も正孔輸送性ホストと電子輸送性ホストの中間の値である。TC−3で得られた結果との比較から、これは先に述べた最適な形態の一つであると言える。
以上、本発明に従えば、有機電界発光素子の発光効率、耐久性を両立した有機電界発光素子を得ることができる。

Claims (9)

  1. 一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
    前記緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が、前記正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルと前記電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルとの中間の値である有機電界発光素子。
  2. 一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
    前記緩衝層材料の電子親和力の値が、前記正孔輸送性ホストの電子親和力の値と前記電子輸送性ホストの電子親和力の値との中間の値である有機電界発光素子。
  3. 一対の電極間に、少なくとも一種の正孔輸送性ホストを含む正孔輸送性発光層、少なくとも一種の緩衝層材料を含む緩衝層、及び少なくとも一種の電子輸送性ホストを含む電子輸送性発光層が陽極側からこの順に積層された発光層を有する有機電界発光素子であって、
    前記緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が、前記正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値と前記電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値との中間の値であり、かつ前記緩衝層材料の電子親和力の値が、前記正孔輸送性ホストの電子親和力の値と前記電子輸送性ホストの電子親和力の値との中間の値である有機電界発光素子。
  4. 正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値が5.8eV以下であって、緩衝層材料のイオン化ポテンシャルの値が5.3eV乃至6.9eVであって、電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャル値が6.3eV以上である請求項1に記載の有機電界発光素子。
  5. 正孔輸送性ホストの電子親和力の値が2.6eV以下であって、緩衝層材料の電子親和力の値が2.0eV乃至3.5eVであって、電子輸送性ホストの電子親和力の値が3.1eV以上である請求項2に記載の有機電界発光素子。
  6. 正孔輸送性ホストの、イオン化ポテンシャルの値が5.8eV以下、かつ、電子親和力の値が2.6eV以下であって、緩衝層材料の、イオン化ポテンシャルの値が5.3eV乃至6.9eV、かつ、電子親和力の値が2.0eV乃至3.5eVであって、電子輸送性ホストの、イオン化ポテンシャル値が6.3eV以上、かつ、電子親和力の値が3.1eV以上である請求項3に記載の有機電界発光素子。
  7. 緩衝層が、酸素原子及び窒素原子を含まない芳香族炭化水素を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  8. 緩衝層が、下記一般式(1)で表される芳香族炭化水素を含有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2005285410
    一般式(1)中、R1〜R6は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基を表す。これらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
  9. 正孔輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値と電子輸送性ホストのイオン化ポテンシャルの値との差が0.5eV以上であり、かつ正孔輸送性ホストの電子親和力の値と電子輸送性ホストの電子親和力の値との差が0.5eV以上である請求項1〜8のいずれかに記載の有機電界発光素子。
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