JP5215911B2 - 茶飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、高濃度の非重合体カテキン類を含有する茶飲料に関する。
消費者の嗜好の多様化により茶飲料の需要が拡大し、多種多様の商品が上市されている中で、複数の茶葉や穀物を原料とする茶飲料が注目されている。このような茶飲料は、例えば、茶葉と、麦類や玄米等の穀物を原料とし、焙煎した穀物と、茶葉を順に抽出用水に投入し抽出して製造することができる(特許文献1)。
特開2003−310160号公報
しかしながら、穀物成分を添加した茶飲料においては、非重合体カテキン類を高濃度に含有した場合、長期保存時において非重合体カテキン類が減少するとともに、透明性が低下して外観上商品価値が大きく低下する場合がある。
本発明者は、上記問題を解決するために検討した結果、高濃度の非重合体カテキン類に穀物由来の特定成分を特定の割合で配合し、更に非重合体カテキン類とカフェインとの含有質量比を調整することで、長期保存時における非重合体カテキン類の減少を抑制し、透明性が向上された茶飲料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.6質量%、
(B)でんぷん、
(C)たんぱく質
(D)ピラジン化合物
(E)カフェイン
を含み、
当該茶飲料100g当たり、成分(B)の含有量が25mg以上であり、
成分(B)と成分(C)との含有質量比[(B)/(C)]が2以上であり、かつ
成分(E)と成分(A)との含有質量比[(E)/(A)]が0.18以下である、
茶飲料を提供することにある。
本発明はまた、上記茶飲料を、そのまま又は希釈して容器に充填してなる容器詰飲料を提供することにある。
本発明によれば、長期保存時における非重合体カテキン類濃度の減少を抑制し、透明性が良好な茶飲料を提供することができる。また、この茶飲料は、高濃度の非重合体カテキン類を含有しながらも、苦味が少なく風味が良好であるので、容器詰飲料として有用である。
本発明の茶飲料は(A)非重合体カテキン類を高濃度で含有するものであるが、本発明において「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
本発明の茶飲料中の(A)非重合体カテキン類の濃度は0.05〜0.6質量%であるが、非重合体カテキン類の安定性、透明性の向上及び非重合体カテキン類による生理効果発現の観点から、0.06〜0.5質量%、更に0.08〜0.4質量%、特に0.1〜0.2質量%であることが好ましい。
また、本発明の茶飲料中の(E)カフェイン/(A)非重合体カテキン類の含有質量比[(E)/(A)]は0.18以下であるが、長期保存時における非重合体カテキン類濃度の減少及び透明性の観点から、0.15以下、更に0.1以下であることが好ましい。なお、質量比[(E)/(A)]は、0以上、特に0.01以上であることが好ましい。
本発明における高濃度の非重合体カテキン類を含有する茶飲料は、茶抽出物、その濃縮物及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種を配合し、非重合体カテキン類濃度及び上記質量比[(E)/(A)]を調整して得ることができるが、苦味及び渋味抑制の観点から、茶抽出物の精製物を配合することが好ましい。茶抽出物の精製物としては、緑茶抽出物の精製物、半発酵茶の精製物、発酵茶抽出物の精製物が挙げられ、中でも緑茶抽出物の精製物が好ましい。緑茶抽出物の精製物としては、固形分中に非重合体カテキン類を40質量%以上、更に60質量%以上、更に65質量%以上、特に70質量%以上含有するものが好ましい。なお、固形分中の非重合体カテキン類濃度の上限値は、98質量%、更に95質量%、特に90質量%であることが好ましい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出した溶液から溶媒を一部除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。緑茶抽出物の濃縮物としては、市販の三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」などから選択できる。また、茶抽出物とは、不発酵茶、半発酵茶及び発酵茶から選択される茶葉から熱水又は水溶性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていない抽出液をいう。
茶抽出物の精製物としては、茶抽出物又はその濃縮物(以下、「茶抽出物等」という)をタンナーゼ処理した後、例えば、下記のいずれかの方法により精製したものが好ましい。これにより、固形分中に高濃度の非重合体カテキン類を含有し、苦味及び渋味の抑制された茶抽出物の精製物とすることができる。なお、タンナーゼ処理は、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法を採用することができる。
i)タンナーゼ処理した茶抽出物等を、更に活性炭及び/又は酸性白土若しくは活性白土で処理する方法(例えば、特公開2007−282568号公報)。
ii)タンナーゼ処理した茶抽出物等を、合成吸着剤に吸着させた後、エタノール水溶液で溶出する方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
iii)タンナーゼ処理した茶抽出物等を、合成吸着剤に吸着させ、有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液で溶出して得られた溶出液を活性炭処理する方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
また、本発明の茶飲料は、(B)でんぷん、(C)たんぱく質及び(D)ピラジン化合物を含有するが、成分(B)〜(D)を含有する茶飲料は穀物から得られる抽出物を配合し各成分の濃度を調整して得ることができる。
本発明の茶飲料中の(B)でんぷんの含有量は、当該茶飲料100g当たり25mg以上であるが、風味の観点から28mg以上、更に31mg以上、特に35mg以上であることが好ましい。また、(B)でんぷんの含有量の上限は、安定性の観点から、100mg、更に80mg、特に50mgであることが好ましい。
また、本発明の茶飲料中の(B)でんぷんと(C)たんぱく質との含有質量比[(B)/(C)]は当該茶飲料100g当たり2以上であるが、非重合体カテキン類の安定性及び透明性の観点から、2.3以上、更に2.5以上、特に2.6以上であることが好ましい。また、質量比(B)/(C)の上限は、透明性の観点から、20、更に15、特に10であることが好ましい。なお、本発明の茶飲料中の(B)でんぷん及び(C)たんぱく質の含有量の測定方法としては、具体的には、(財)日本食品分析センターの栄養成分分析の分析試験を利用することができる。
また、本発明の茶飲料中の(D)ピラジン化合物の含有量は、0.2ppm以下が好ましく、風味の観点から、0.15ppm以下、更に0.1ppm以下、特に0.09ppm以下であることが好ましい。なお、ピラジン化合物の含有量の下限は、風味の観点から、0.005ppm、更に0.01ppm、特に0.02ppmであることが好ましい。なお、本発明の茶飲料中の(D)ピラジン化合物の含有量は、後掲の実施例に記載の方法によりそれぞれ測定することが可能である。
本発明の茶飲料に配合される穀物抽出物は、穀物を水又は熱水で抽出することにより得ることができる。抽出方法としては、茶抽出物と同様の方法を採用することができるが、抽出効率の点から、カラム抽出が好ましい。
また、抽出に使用する穀物は、焙煎したものでも、α化処理したものでも、発芽させたものであってもよい。更に、穀物は、粉砕装置により粉砕したものを使用してもよい。
焙煎条件は穀物の種類により適宜選択することができるが、例えば、焙煎温度が好ましくは180〜350℃、特に好ましくは200〜300℃であり、焙煎時間は好ましくは10〜120分、特に好ましくは15〜60分である。なお、焙煎には、回転式焙煎機等の公知の装置を使用することができる。
焙煎穀物の表面は黒く焦げており、この状態の焙煎穀物をそのまま使用して得られた穀物抽出物は、こげ臭や苦味、更には雑味を強く感じることがある。そのため、本発明においては、焙煎穀物の焦げた部分を少なくとも削り取り精穀したものを使用することができる。なお、焙煎穀物の焦げた部分には、穀物の外皮以外の部分も含まれることがあるため、焙煎穀物の状態に応じて少なくとも焦げた部分を除去すればよく、必要により内皮やそれ以外の部分も除去してもよい。このような焙煎後に精穀した穀物から得られる精穀穀物抽出物を配合することで、成分(B)〜(D)の濃度を調整しやすく、茶飲料の長期保存時における非重合体カテキン類濃度の減少だけなく、透明性を向上することができる。ここで、本発明において「精穀」とは、焙煎穀物の焦げた部分を少なくとも除去することをいう。また、「穀物の外皮」とは、穀物の外表面を覆う殻の部分をいい、例えば、米類の場合、籾殻が相当する。他方、「穀物の内皮」とは、外皮を除去した穀物の外表面を覆う薄皮や渋皮をいい、例えば、米類の場合、ぬかやふすまが相当する。さらに、「外皮及び内皮以外の部分」には、例えば、胚乳がある。
穀物の精穀に使用する装置としては、焙煎穀物の焦げた部分を少なくとも除去できれば特に限定されるものではないが、研削機、粉砕機であるグラインダー、ミル、ボールミル等の一般的な装置が挙げられる。精穀方法としては、穀物に圧力を加え穀物同士の摩擦作用により外皮等を除去する方法(摩擦法)、穀物の外皮等を回転する砥石で除去する方法(研削法)、セラミックなどの刃を穀物にあて、こそげて剥がし外皮等を除去する方法(刮剥法)、並びに金属性のメッシュかごに穀物を入れ攪拌羽根により回転しながら外皮等を除去する方法(攪拌法)などが挙げられる。また、外皮等の分離は、重力、風力、遠心力、静電気などを利用したロータリーセパレーター、ロータリーシフター、ファン、ブラシなどにより行ってもよい。
本発明で使用する穀物としては、でんぷん質を主体とし、かつ食用可能な植物の種子であれば特に限定されるものではないが、風味の観点から、イネ科植物、マメ科植物及びタデ科植物から選択される少なくとも1種の穀物が好ましい。イネ科植物としては、例えば、大麦、ハト麦等の麦類、玄米等の米類、キビ、アワ、ヒエ、トウモロコシ等の雑穀類が挙げられる。また、マメ科植物としては、例えば、大豆、黒大豆、インゲン、小豆等のインゲン連、ソラマメ、エンドウ等のソラマメ連などの豆類が挙げられる。更に、タデ科植物としては、例えば、ソバ、ダッタンソバ等のソバ類が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、2種以上を併用する場合、その配合割合は目的に応じて適宜選択することができる。中でも、香味の観点から、麦類、米類、雑穀類及び豆類から選択される少なくとも1種が好ましく、特に大麦、ハト麦、玄米、トウモロコシ、大豆が好ましい。
さらに、本発明の茶飲料には、茶原料の成分にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独で又は併用して配合してもよい。
本発明の茶飲料は、例えば、成分(A)〜(E)の各濃度が所定範囲内になるように、上記方法により得られた茶抽出物と穀物抽出物とを配合し混合茶飲料として調製することができる。
本発明の茶飲料は、風味及び保存安定性の観点から、pH(20℃)が3〜8、更に4〜7、更に5〜7、特に5〜6.5であることが好ましい。これにより、長期間保存しても非重合体カテキン類が安定性であり、また風味も良好になる。
本発明の茶飲料は、55℃で30日間保存後の色調(L値)が70以上、更に75以上、特に80以上であることが好ましい。なお、色調(L値)は、測色色差計を用いて透過測定した値であり、測定値は0〜100の範囲内で100に近いほど透明性に優れることを意味する。また、本発明の茶飲料の濁度は、55℃で30日間保存後の0.2以下、更に0.15以下、特に0.1以下であることが好ましい。なお、濁度は、波長660nmにおける吸光度を分光光度計により測定した値である。このような透明性(色調)や濁度を有する茶飲料とすることで、透明性が高く、更に安定性にも優れるようになるため、茶飲料の商品価値を高めることができる。
本発明の茶飲料は、高濃度の非重合体カテキン類を含有しながらも、苦味が少なく風味が良好であるので、そのまま又は希釈して容器詰飲料とすることができる。
本発明の茶飲料を充填する容器としては、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合化した紙容器、瓶等の通常の包装容器が挙げられる。
また、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
(1)非重合体カテキン類、カフェインの測定
各容器詰飲料をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(2)でんぷんの測定
各容器詰飲料1mLを50%エタノール水溶液100mLに添加して、再沈殿させ、低分子糖を除去し、続けて、その沈殿物質を加熱して糊化させ、グルコアミラーゼ処理して、ブドウ糖量を測定した後、下記式よりでんぷん量を求めた。
でんぷん量(g/100g)=ブドウ糖量(g/100g)×0.9
(3)たんぱく質の測定
各容器詰飲料をケルダール法にて分析し、下記式により求めた。
たんぱく質=(V-B)×F×0.0014×K×100÷S
V:本試験滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
F:0.05mol/L硫酸標準溶液の力価
0.0014:0.05mol/L硫酸標準溶液1mLに対する窒素量(g)
K:窒素・たんぱく質換算係数
S:試料採取量(g)
(4)ピラジンの測定
各容器詰飲料に、水、塩化ナトリウム、80%水酸化カリウム水溶液及びジクロロメタンを加え、振とう後、遠心分離を行い、ジクロロメタン層をガスクロマトグラフィー質量分析法にて測定を行った。標準試薬は、東京化成工業(株)のピラジン(製品コードP-0554)を使用した。
(5)色調の測定
測色色差計(型式ZE2000、日本電色工業社製)を用い、55℃で30日間保存後の各容器詰飲料について20℃で測定した。
(6)濁度の測定
分光光度計(U−2010;日立製作所製)の測定波長を660nmに設定し、吸光度のモードに切り替えた後、レファレンス側、サンプル側の両方に10mm×10mmの石英製セルにイオン交換水を充填しゼロ補正した。次にサンプル側に測定サンプルを入れ、サンプルの吸光度の値を読み取った。なお、測定は、55℃で30日間保存後の各容器詰飲料について20℃で測定した。
製造例1:「緑茶抽出物1」
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌してバッチ抽出した。次いで、100メッシュ金網で粗ろ過後、抽出液中の微粉を除去するために遠心分離操作を行い、「緑茶抽出液」36.8kg(pH5.3)を得た(緑茶抽出液中の非重合体カテキン類濃度=0.88質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率=51.6質量%、カフェイン=0.17質量%)。
緑茶抽出液の一部を凍結乾燥し、「緑茶抽出物1」を得た。「緑茶抽出物1」は、非重合体カテキン類濃度=32.8質量%、固形分中の非重合体カテキン類濃度=33質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率=51.6質量%、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比=0.193であった。
製造例2:「緑茶抽出物2」
製造例1で得られた「緑茶抽出液」を温度15〜25℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社製、タンナーゼKT-05、5000U/g)を緑茶抽出液に対して43ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、90℃に反応液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.2)。次いで、70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮によりBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状のタンナーゼ処理した「緑茶抽出物2」1.0kgを得た。得られた「緑茶抽出物2」は、固形分中の非重合体カテキン類濃度=30.5質量%であった。
製造例3
緑茶抽出物の精製物A
「緑茶抽出物1」100gを、25℃、250rpmの攪拌条件下で70質量%エタノール水溶液100g中に分散させ、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)25gと酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)30gを投入後、約10分間攪拌を続けた。次いで、95質量%エタノール水溶液800gを30分かけて滴下した後、室温のまま30分間の攪拌を続けた。その後、2号濾紙で濾過し、続けて0.2μmメンブランフィルターによって再濾過を行った。最後にイオン交換水200gを濾過液に添加して、40℃、0.0272kg/cm2でエタノールを留去し、その後、噴霧乾燥した。次いで、得られた粉末を50質量%となるようにイオン交換水に溶解し、5℃、30分、3000rpmの条件で遠心分離処理を実施した。このようにして得られた上澄溶液を採取し、さらに凍結乾燥して「緑茶抽出物の精製物A」を得た。
「緑茶抽出物の精製物A」は、非重合体カテキン類濃度=44.6質量%、固形分中の非重合体カテキン類濃度=45質量%、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比=0.090であった。
製造例4
緑茶抽出物の精製物B
酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)100gを、25℃、250rpmの攪拌条件下で92質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、約10分間攪拌を行った後、「緑茶抽出物1」120g、「緑茶抽出物2」80gの混合物を投入し、室温のまま約3時間の攪拌を続けた(pH4.1)。その後、生成している沈殿及び酸性白土を2号ろ紙で濾過した。得られたろ液にイオン交換水を417g添加し、15℃、100rpmの攪拌条件下で約5分間攪拌を行った。その混合溶液を、小型冷却遠心分離機(日立工機社製)を用いて、操作温度15℃で析出した濁り成分を分離した(6000rpm、5分)。分離した溶液を活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)30gと接触させ、続けて0.2μmメンブランフィルターによってろ過を行った。その後、凍結乾燥して「緑茶抽出物の精製物B」を得た。
「緑茶抽出物の精製物B」は、非重合体カテキン類濃度=59.5質量%、固形分中の非重合体カテキン類濃度=60質量%、カフェイン/非重合体カテキン類比=0.020であった。
製造例5
緑茶抽出物の精製物C
「緑茶抽出物2」85gを、イオン交換水8415gに25℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液)。ステンレスカラム1(内径110mm×高さ230mm、容積2185mL)に合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)を2048mL充填した。次に、このタンナーゼ処理液(4倍容量対合成吸着剤)をSV=1(h-1)でカラム1に通液し透過液は廃棄した。次いで、SV=1(h-1)で2048mL(1倍容量対合成吸着剤)の水で洗浄した。水洗後、50質量%エタノール水溶液をSV=1(h-1)で4096mL(2倍容量対合成吸着剤)を通液し、「樹脂処理品1」4014g(pH4.58)を得た。この「樹脂処理品1」中には非重合体カテキン類1.89質量%が含まれており、非重合体カテキン類中のガレート体率は36.2質量%であった。又、カフェインは0.281質量%であった。茶抽出物の固形分中の非重合体カテキン類濃度は60.1質量%であった。
次いで、ステンレスカラム2(内径22mm×高さ145mm、容積55.1mL)に粒状活性炭(太閤SGP、フタムラ化学(株)製)を8.5g充填した。「樹脂処理品1」1000gをSV=1(h-1)でカラム2に通液し(活性炭の量は「緑茶抽出物2」の質量に対して0.4倍)、さらに凍結乾燥して「樹脂処理品2」を得、これを「緑茶抽出物の精製物C」とした。
この「緑茶抽出物の精製物C」は、非重合体カテキン類濃度=77.6質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率=26.1質量%、固形分中の非重合体カテキン類濃度=78質量%、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比=0.003であった。
製造例6
精穀大麦抽出物
ミル(SKM5B、サタケ製)を用いて、焙煎大麦(丸紅食品製)の焦げた部分を20秒間削り取り、精穀大麦7gを得た。
次いで、得られた精穀大麦をカラム型抽出機に投入し、更に90℃のイオン交換水35gを投入して10分間保持した。その後、90℃のイオン交換水を、カラム抽出機上部から連続的にスプレーノズルを用いて流量0.01L/分で投入し、同時にカラム抽出機下部より抽出液を抜き出した。得られた抽出液を25℃以下に氷温水浴にて冷却した後、2号ろ紙にてろ過して精穀大麦抽出物140gを得た。この精穀大麦抽出物のBrixは、1.64であった。
製造例7
大麦抽出物
焙煎大麦(丸紅食品製)27gを精穀することなくカラム型抽出機に投入し、更に90℃のイオン交換水135gを投入して10分間保持した。その後、90℃のイオン交換水を、カラム抽出機上部から連続的にスプレーノズルを用いて流量0.04L/分で投入し、同時にカラム抽出機下部より抽出液を抜き出した。得られた抽出液を25℃以下に氷温水浴にて冷却した後、2号ろ紙にてろ過して大麦抽出物540gを得た。この大麦抽出物のBrixは、0.43であった。
実施例1
緑茶抽出物の精製物A6g、精穀大麦抽出物140g、アスコルビン酸ナトリウム0.45g、環状オリゴ糖製剤8.9g、10質量%重曹水溶液0.25gをイオン交換水に添加し全量を1,000gとして茶飲料を得た。この茶飲料をUHT殺菌しPETボトルに充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の組成、物性を表1に示す。
実施例2
緑茶抽出物の精製物B8g、精穀大麦抽出物140g、アスコルビン酸ナトリウム0.45g、環状オリゴ糖製剤8.9g、10質量%重曹水溶液0.66gをイオン交換水に添加し全量を1,000gとして茶飲料を得た。この茶飲料をUHT殺菌しPETボトルに充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の組成、物性を表1に示す。
実施例3
緑茶抽出物の精製物C30g、精穀大麦抽出物140g、アスコルビン酸ナトリウム0.45g、環状オリゴ糖製剤8.9g、10質量%重曹水溶液0.15gをイオン交換水に添加し全量を1,000gとして茶飲料を得た。この茶飲料をUHT殺菌しPETボトルに充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の組成、物性を表1に示す。
比較例1
緑茶抽出物の精製物C30g、大麦抽出物540g、アスコルビン酸ナトリウム0.45g、環状オリゴ糖製剤8.9g、10質量%重曹水溶液0.14gをイオン交換水に添加し全量を1,000gとして茶飲料を得た。この茶飲料をUHT殺菌しPETボトルに充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の組成、物性を表1に示す。
比較例2
緑茶抽出物1 4g、精穀大麦抽出物140g、アスコルビン酸ナトリウム0.45g、環状オリゴ糖製剤8.9g、10質量%重曹水溶液0.05gをイオン交換水に添加し全量を1,000gとして茶飲料を得た。この茶飲料をUHT殺菌しPETボトルに充填して容器詰飲料を得た。この容器詰飲料の組成、物性を表1に示す。
各実施例及び比較例で得られた容器詰飲料を55℃で30日間保存し、保存後における非重合体カテキン類の残存率を測定した。その結果を表1に併せて示す。
Figure 0005215911
表1から、高濃度の非重合体カテキン類に穀物抽出物を配合し、(B)でんぷん及び(C)たんぱく質の含有量、並びに(E)カフェインと(A)非重合体カテキン類との含有質量比を特定の割合に調整した本発明の茶飲料は、長期保存時における非重合体カテキン類濃度の減少だけなく透明性が向上することが確認された。

Claims (7)

  1. 次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
    (A)非重合体カテキン類:0.05〜0.6質量%、
    (B)でんぷん、
    (C)たんぱく質
    (D)ピラジン化合物
    (E)カフェイン
    を含み、
    当該茶飲料100g当たりの成分(B)の含有量が25〜50mgであり、
    成分(B)と成分(C)との含有質量比[(B)/(C)]が2以上であり、かつ
    成分(E)と成分(A)との含有質量比[(E)/(A)]が0.18以下である、
    茶飲料。
  2. 穀物抽出物を配合したものである、請求項1記載の茶飲料。
  3. 穀物抽出物がイネ科植物、マメ科植物及びタデ科植物から選択される少なくとも1種の穀物から抽出したものである、請求項2記載の茶飲料。
  4. 成分(D)の含有量が0.2ppm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の茶飲料。
  5. 緑茶抽出物の精製物を配合したものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の茶飲料。
  6. 緑茶抽出物の精製物が固形分中に非重合体カテキン類を65質量%以上含有するものである、請求項5記載の茶飲料。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の茶飲料を、そのまま又は希釈して容器に充填してなる、容器詰飲料。
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