JP5307649B2 - 精製茶抽出物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、精製茶抽出物の製造方法に関する。
カテキンを含む飲料の製造方法として、緑茶抽出物の濃縮物等の茶抽出物を利用し、カテキンを飲料に溶解状態で添加する方法が用いられている。しかしながら、例えば、紅茶飲料や炭酸飲料など飲料の種類によっては、カテキンを高濃度に配合するとカフェイン及び緑茶由来の苦渋味が強くなり、飲料の商品価値を大きく損ねることがある。
このような問題を解決すべく、茶抽出物からカフェイン等の夾雑物を取り除く方法として、吸着法(特許文献1〜7)、抽出法(特許文献8、9)等が提案されている。これらの方法においては、有機溶媒を大量に使用して夾雑物を除去しつつ茶抽出物中のカテキンを回収するが、カテキンの回収率が必ずしも十分ではなかった。
一方、ポリフェノールの1種であるイソフラボンの分離精製方法として、合成吸着剤を用いて大豆抽出物からイソフラボンを分離する方法(特許文献10)、スチレン・ジビニルベンゼン重合体を基本骨格に有し、かつ所定の粒子分布を有する均一粒径の陰イオン交換樹脂を用いて、蛋白質含有量を調整した大豆抽出液からイソフラボンを分離する方法(特許文献11)等が提案されている。しかしながら、特許文献11には、特許文献10に記載の合成吸着剤を使用する方法はイソフラボンを高濃度で得られるものの、不快味成分をイソフラボンと分離することが困難であるため、却って苦味及び不快味を増大させてしまうと記載されている。
特開平5−153910号公報 特開平8―109178号公報 特開2002−335911号公報 特開2006−36645号公報 特開平1−175978号公報 特開2001−97968号公報 特開2006−160656号公報 特開平1−289447号公報 特開昭59−219384号公報 特開昭62−126186号公報 特開2002−80474号公報
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その課題は有機溶媒の使用量を低減しながら非重合体カテキン類の回収率を向上させた精製茶抽出物の製造方法及び該製造方法により得られた精製茶抽出物を提供することにある。
そこで、本発明者らは、茶抽出物を合成吸着剤に吸着させた後に有機溶媒水溶液にて非重合体カテキン類を溶出させる精製茶抽出物の製造方法において、合成吸着剤として特定性状を有するものを用いることで、有機溶媒の使用量を低減しながら非重合体カテキン類を高収率に回収できることを見出した。
すなわち、本発明は、茶抽出物を、微細且つ/又は均一な粒子径を有する合成吸着剤に接触させて茶抽出物中に含まれる非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる吸着工程と、
合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる溶出工程とを含む、精製茶抽出物の製造方法を提供するものである。
本発明はまた、上記製造方法により得られた精製茶抽出物を提供するものである。
本発明によれば、有機溶媒の使用量を低減したにも拘らず、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化が殆どなく非重合体カテキン類を高収率かつ効率よく回収することが可能であり、しかも、イオン交換樹脂による吸着や有機溶媒による抽出などの従来不可欠であった精製手段を要することなく、非重合体カテキン類中の組成変化を抑制しつつ没食子酸、カフェイン等の夾雑物を低減して呈味の良好な茶抽出物の精製物を効率良く製造することができる。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
本明細書において「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。非重合体カテキン類濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
本明細書において「(B)非重合体カテキン類のガレート体」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等を併せての総称である。非重合体カテキン類中のガレート体率は、非重合体カテキン類の総量に対する上記ガレート体の質量比率である。
本明細書において「(C)非重合体カテキン類のガロ体」とは、エピガロカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、ガロカテキン等を併せての総称である。非重合体カテキン類中のガロ体率は、非重合体カテキン類の総量に対する上記ガロ体の質量比率である。
本明細書において「微細な粒子径」とは、平均粒子径が500μm以下、好ましくは500μm未満であることをいう。ここで、本明細書において「平均粒子径」とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定したものであり、具体的には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により合成吸着剤の粒度分布を個数基準で作成して得られたメディアン径(d50)を平均粒子径としたものである。また、「均一な粒子径」とは、最大粒子径(dmax)と最小粒子径(dmin)との差(Δd)が800μm未満であることをいう。ここで、本明細書において「最大粒子径」及び「最小粒子径」とは、上記装置で測定された各粒子径の頻度(%)のうち、頻度(%)が0.1%となる粒子径の最小値を最大粒子径(dmax)とし、頻度(%)が0.1%となる粒子径の最大値を最小粒子径(dmin)と定義する。また、最大粒子径と最小粒子径との差「dmax−dmin」を「Δd」と定義する。
次に、本発明の精製茶抽出物の製造方法について説明する。
本発明の精製茶抽出物の製造方法は、上記のとおり、吸着工程と、溶出工程を含むものである。以下、各製造工程について詳細に説明する。
(吸着工程)
本発明に係る吸着工程は、茶抽出物を、微細且つ/又は均一な粒子径を有する合成吸着剤に接触させて茶抽出物中に含まれる非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる工程である。
本発明で用いる茶抽出物としては、例えば、茶葉から得られた抽出物が例示される。その他のカフェイン含有植物由来、例えばコーヒー等のカフェイン含有抽出物と茶抽出液との混合物等も用いることができる。使用する茶葉としては、より具体的には、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、やぶきた種又はそれらの雑種等から得られる茶葉から製茶された茶葉が例示される。製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶等の緑茶類、烏龍茶に代表される半発酵茶、紅茶に代表される発酵茶がある。また、超臨界状態の二酸化炭素接触処理を施した茶葉を用いてもよい。本発明で用いる茶抽出物としては、非重合体カテキン類の含有量の点から緑茶抽出物が好ましい。
茶を抽出する方法としては、攪拌抽出、ドリップ抽出等の従来の方法を採用することができる。また、抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸又はそのナトリウム塩等の有機酸又はその塩を添加してもよい。さらに、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。このようにして得られた茶抽出液は、そのままでも、乾燥、濃縮しても本発明に使用できる。茶抽出物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体が例示される。
また、茶抽出物として、茶葉から抽出した茶抽出物を使用する代わりに、茶抽出物の濃縮物を水又は有機溶媒に溶解又は希釈して用いても、茶抽出物と茶抽出物の濃縮物とを併用してもよい。ここで、茶抽出物の濃縮物とは、茶葉から熱水又は有機溶媒水溶液により抽出された抽出物を濃縮したものをいい、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。また、茶抽出物の濃縮物として市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」等が例示される。
また、本発明においては、茶抽出物として加水分解処理したものを使用してもよい。これにより、非重合体カテキン類中のガレート体率を低下させることが可能になる。その結果、苦味及び渋味が十分に低減された、より一層風味の良好な茶抽出物を得ることができる。
加水分解処理には、タンナーゼ活性を有する酵素を用いることが好ましい。タンナーゼ活性を有する酵素としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属のタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが例示される。中でも、アスペルギルス オリゼー由来のものが好ましい。タンナーゼ処理においては、茶抽出物中の非重合体カテキン類の全質量に対して、タンナーゼを1〜300Unit/g、更に3〜200Unit/g、特に5〜150Unit/gになるように添加することが好ましい。ここで、「1Unit」とは、30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量を示す。タンナーゼ処理の温度は、酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、特に20〜30℃が好ましい。タンナーゼ処理時のpH(25℃)は、酵素活性が得られる4〜6が好ましく、更に4.3〜5.8、特に4.5〜5.5が好ましい。
タンナーゼ処理においては、タンナーゼ活性を有する酵素を添加後、非重合体カテキン類中のガレート体率が1〜60質量%に達するまで、茶抽出物を20〜50℃、特に25〜40℃に保持することが好ましい。この場合、非重合体カテキン類中のガレート体率は、3〜55質量%、特に5〜50質量%に調整することが好ましい。タンナーゼ処理によるガレート体率の制御は、処理時の茶抽出物のpH挙動によって反応の終点を決定することが好ましく、そのpH(25℃)は3〜6、特に3.5〜5.5が好ましい。
その後、できるだけ速やかに45〜98℃、好ましくは75〜95℃まで昇温し、タンナーゼを失活させ反応を停止させる。これにより、その後のガレート体率の低下を防止できるため、所望のガレート体率を有する茶抽出物を簡便に得ることができる。
本発明に使用する合成吸着剤は、微細な粒子径且つ/又は均一な粒子径を有するものであるが、イオン交換能が1meq/g未満であり、かつ不溶性の三次元架橋構造を有するポリマーからなるものが好ましい。
本発明に使用する合成吸着剤の粒子形状は、球形、不均一形状等のいずれの形状であってもよいが、良好な分離条件を満たすために球形であることが好ましい。
本発明に使用する合成吸着剤としては、下記の特定性状を有するものが好適である。
平均粒子径(d50)は、100〜500μm、更に120〜480μm、殊更に250〜450μm、特に300〜430μmであることが好ましい。
また、本発明に使用する合成吸着剤は粒度分布が狭いもの、特に正規分布に近いものが好ましい。具体的には、最大粒子径(dmax)と最小粒子径(dmin)との差(Δd)が30〜600μm、更に40〜500μm、殊更に50〜450μm、特に60〜400μmであることが好ましい。また、平均粒子径(d50)と、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)との比(d50/Δd)が0.65以上、更に0.80以上、殊更に1.0以上、特に1.25以上であることが好ましい。なお、d50/Δdの上限は、製造コストの点から、30、更に15、殊更に10、特に5であることが好ましい。
このような性状を有する合成吸着剤を使用することで、非重合体カテキン類の回収率を格段に向上させることが可能になるだけなく、非重合体カテキン類中の組成変化を抑制しながら没食子酸、カフェイン等の夾雑物を効率的に除去することができる。
このような合成吸着剤は公知の方法により製造してもよいが、例えば、市販の合成吸着剤を篩にかけて所望の平均粒子径及び粒度分布を有する合成吸着剤を採取してもよい。
市販の合成吸着剤としては、例えば、アンバーライトXAD4、XAD16HP、XAD1180、XAD2000(供給元:米国ローム&ハース社)、ダイヤイオンHP20、HP21(三菱化学社製)、セパビーズSP−850、SP−825、SP−700、SP−70(三菱化学社製)、VPOC1062(Bayer社製)等のスチレン系;セパビーズSP205、SP206、SP207(三菱化学社製)等の芳香環に臭素原子を導入して吸着能を高めた置換スチレン系;ダイヤイオンHP1MG、HP2MG(三菱化学社製)等のメタクリル系;アンバーライトXAD761(ロームアンドハース社製)等のフェノール系;アンバーライトXAD7HP(ロームアンドハース社製)等のアクリル系;TOYOPEARL、HW-40C(東ソー社製)等のポリビニル系;SEPHADEX、LH−20(ファルマシア社製)等のデキストラン系が例示される。
中でも、合成吸着剤としては、その母体が、スチレン系、メタクリル系、アクリル系、ポリビニル系であるものが好ましく、特にスチレン系であるものが非重合体カテキン類と夾雑物との分離性の点から好ましい。
合成吸着剤の使用量としては、茶抽出物中の非重合体カテキン類の全質量と、合成吸着剤の全容量との比が20〜60g/L、更に25〜55g/L、特に30〜50g/Lとなる量を選択することが、夾雑物の除去効率、非重合体カテキン類の回収率の向上の観点から好ましい。
吸着工程においては、茶抽出物又はその水溶液に合成吸着剤を添加し撹拌して吸着させた後、ろ過操作により合成吸着剤を回収するバッチ方法、あるいは合成吸着剤を充填したカラムを用いて連続的に吸着処理を行なうカラム方法を採用することができるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。
なお、吸着工程前においては、合成吸着剤中の不純物の除去、非重合体カテキン類の吸着能の向上の観点から、合成吸着剤を洗浄することが好ましい。洗浄方法としては、例えば、通液速度がSV(空間速度)=0.5〜10[h-1]であり、かつ通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して2〜10[L/L]である有機溶媒水溶液を合成吸着剤が充填されたカラムに通液して合成吸着剤中の不純物を除去した後、通液速度がSV=0.5〜10[h-1]であり、かつ通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して2〜10[L/L]である水をカラムに通液してカラム内のエタノールを水に置換する方法が例示される。使用する有機溶媒としては、例えば、アセトン等のケトン、メタノール、エタノール等のアルコールが例示される。中でも、食品への使用の観点から、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒水溶液中の有機溶媒の濃度は85質量%以上、特に90質量%以上が好ましい。なお、有機溶媒の濃度の上限は、99質量%、特に98質量%であることが好ましい。
また、茶抽出物を、合成吸着剤を充填したカラムに通液する条件としては、通液速度がSV=0.5〜10[h-1]であり、かつ通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して0.5〜20[L/L]であることが好ましい。このような通液速度及び通液量であると、茶抽出物中の非重合体カテキン類を合成吸着剤に十分吸着させることができる。
茶抽出物を吸着後、合成吸着剤を水又は有機溶媒水溶液で洗浄してもよい。合成吸着剤の洗浄に使用する水としては、例えば、水道水、精製水、イオン交換水が例示され、有機溶媒と混合して使用することもできる。有機溶媒としては、上記と同様にケトン、アルコールが例示されるが、中でも、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒の濃度は、5質量%未満、更に2質量%未満、特に1質量%未満であることが、非重合体カテキン類の回収率の点から好ましい。
この洗浄工程においては、通液速度をSV=0.5〜10[h-1]とし、また通液倍数を合成吸着剤の全容量に対して1〜3[L/L]、更に1.1〜2.5[L/L]、特に1.2〜2[L/L]として通液することが好ましい。これにより、合成吸着剤に付着した夾雑物を効率よく除去しながら非重合体カテキン類の回収率を向上させることができる。
(溶出工程)
次に、溶出工程を行う。溶出工程は、合成吸着剤に吸着された非重合体カテキン類を有機溶媒水溶液で溶出させる工程である。
溶出工程に使用する有機溶媒水溶液としては、水溶性有機溶媒と水との混合系が用いられる。水溶性有機溶媒としては、上記と同様にケトン、アルコールが例示される。中でも、飲食品への使用の観点から、アルコール、特にエタノールが好ましい。有機溶媒水溶液中の水溶性有機溶媒の濃度は、通常10〜70質量%であるが、15〜50質量%、更に20〜40質量%、特に25〜35質量%であることが好ましい。これにより、非合体カテキン類の回収率を格段に向上させるとともに、呈味をより一層改善することができる。
有機溶媒水溶液の通液条件は、通液速度がSV=0.5〜10[h-1]であり、かつ通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して0.7〜4[L/L]であることが好ましく、更に通液速度がSV=1〜8[h-1]であり、かつ通液倍数が0.8〜3.5[L/L]であることが好ましい。これにより、より少ない有機溶媒の使用量で、非重合体カテキン類を高収率で回収するとともに、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化を抑制することができる。
また、非重合体カテキン類の全質量に対する有機溶媒水溶液の使用量は、0.01〜0.30(L/g)が好ましく、更に0.01〜0.25(L/g)、特に0.03〜0.20(L/g)が好ましい。これにより、製造負荷を軽減し、かつ風味の良好な高品質の精製茶抽出物を得ることができる。
さらに、平均粒子径(d50)が430μm以下の合成吸着剤を使用する場合には、所定の濃度に調整されたエタノール水溶液を使用し、下記の条件で溶出することが好ましい。これにより、非重合体カテキン類の回収率がより一層高められるとともに、酸味、苦味の抑制された風味の良好な精製茶抽出物を得ることができる。
(i)エタノール濃度が22.5質量%以上27.5質量%未満である場合、非重合体カテキン類の全質量に対する有機溶媒水溶液の使用量を好ましくは0.02〜0.20(L/g)、更に好ましくは0.05〜0.15(L/g)とする。
(ii)エタノール濃度が27.5〜50.0質量%、好ましくは27.5〜32.5質量%の場合、非重合体カテキン類の全質量に対する有機溶媒水溶液の使用量を好ましくは0.01〜0.095(L/g)、更に好ましくは0.03〜0.088(L/g)とする。
溶出工程により得られた溶出液は、濃縮又はこれに加水することにより沈殿物を析出させた後、固液分離して沈殿物を除去してもよい。これにより、精製茶抽出物の呈味及び安定性をより一層向上させることができる。濃縮又は加水後の溶出液中の有機溶媒濃度は、呈味及び析出した夾雑物の分離性の点から、0.01〜40質量%、更に0.1〜30質量%、特に0.2〜20質量%であることが好ましい。
また、濁り成分を析出させる熟成時間は特に限定されないが、例えば、2分〜50時間、更に2分〜24時間、特に5分〜6時間であることが好ましい。また、濁り成分の析出温度は、沈殿物の溶解度低下、及び濁り成分析出後の濁り成分の分離性の点から、−5〜40℃、更に5〜25℃であることが好ましい。
固液分離の操作としては食品工業で通常使用されている方法を適用できるが、例えば、ろ過、遠心分離処理等が例示され、これらは組み合わせて行うことができる。溶出液を固液分離して得られる水溶性部分である精製茶抽出物水溶液の濁度は、0.1〜100NTU、更に0.5〜70NTU、特に1〜50NTUであると、飲料の呈味及び安定性の点で好ましい。濁度は、2100P型(ハック社製)にて測定し、ここで得られた値[単位:NTU]を以って、分離清澄性の指標とすることができる。
固液分離を膜ろ過で行う場合の膜ろ過条件としては、例えば、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であることが好ましい。膜孔径は、濁度調整のしやすさ、ろ過に要する時間及び濁り成分の分離性の点から、0.1〜10μm、更に0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであることが好ましい。膜孔径の測定方法としては、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法等を用いた一般的な測定方法が例示されるが、バブルポイント試験で求めた値を用いることが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質としては、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が例示される。
また、遠心分離機は、分離板型、円筒型、デカンター型等の一般的な機器が好ましい。遠心分離条件としては、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であることが好ましい。回転数と時間は所定の濁度に調整できれば特に限定されないが、例えば、分離板型の場合、3000〜10000r/min、更に5000〜10000r/min、特に6000〜10000r/minで、0.2〜30分、更に0.2〜20分、特に0.2〜15分であることが好ましい。
(活性炭処理工程)
また、本発明においては、溶出工程により得られた溶出液を活性炭と接触させることができる。この活性炭処理工程により、精製茶抽出物の酸味、苦味及び雑味の改善に加えて、エグ味をより一層低減することが可能になる。
本工程で使用する活性炭の原料としては、例えば、ヤシ殻、木質、石炭が挙げられるが、中でも木質のものが好ましい。活性炭の賦活方法としては、例えば、水蒸気賦活法、ガス賦活法、薬品賦活法が挙げられるが、中でも薬品賦活法が好ましい。
また、製品の色調改善、活性炭の使用量低減及び回収率向上の点から、活性炭としては以下のものが好ましい。平均細孔径は0.5〜10nm(ナノメーター)、更に1〜9nm、特に2〜8nmであるものが好ましい。細孔容積は0.01〜2.5mL/g、更に0.1〜2.0mL/g、特に0.5〜1.7mL/gであるものが好ましい。また、比表面積は800〜2000m2/g、更に900〜1600m2/g、特に1000〜1500m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
このような性状を有する活性炭として、例えば、ZN−50、Y−10S、GS-1、GS-B(味の素ファインテクノ製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D、クラレコールGW、クラレコールGA、クラレコールGA-D、クラレコールRP−15(クラレケミカル社製)、白鷺AW50、白鷺A、白鷺P、白鷺KL、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン、WH2C(日本エンバイロケミカルズ製)、GM130A、CW130A、CW130AR、CW350AR、GL130A、SG、SGA、SGP(フタムラ化学製)、ヤシコール、MAS印、梅蜂印、梅蜂F印(太平化学産業製)、CPG、CAL、S80A(三菱化学カルゴン製)等の市販品を用いることができる。
活性炭の使用量は、精製効果や、非重合体カテキン類の回収率向上の点、ろ過工程におけるケーク抵抗が小さい点から、溶出液中の非重合体カテキン類1質量部に対して、0.1〜2質量部、更に0.2〜1.5質量部、特に0.3〜1.2質量部であることが好ましい。
溶出液を活性炭と接触させる際には、溶出液を有機溶媒水溶液で希釈して使用することが好ましい。有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、上記と同様のケトン、アルコールが好適に使用される。中でも、食品への使用の観点から、アルコール、特にエタノールが好ましい。希釈後の溶出液(以下、「溶出希釈液」という)中の有機溶媒濃度は、得られる製品の色調、非重合体カテキン類の回収率、不純物量等の点から、1〜80質量%、更に2〜70質量%、殊更に5〜50質量%、特に7〜40質量%であることが好ましい。また、溶出希釈液中の非重合体カテキン類の濃度は、精製効果、回収率向上の点から、0.3〜20質量%、更に0.5〜15質量%、特に1〜8質量%であることが好ましい。なお、有機溶媒濃度及び非重合体カテキン類濃度は、水や有機溶媒水溶液の添加量、減圧濃縮、膜濃縮、脱溶媒等により調整することができる。
活性炭と接触させる手段としては、例えば、溶出液に活性炭を添加、撹拌し吸着後、ろ過操作により活性炭を回収するバッチ方法、又は活性炭を充填したカラムを用いて連続処理により接触させるカラム方法を採用することができるが、生産性の点からカラムによる連続処理方法が好ましい。また、活性炭との接触は、0〜60℃、更に10〜50℃、特に15〜40℃で行うことが好ましい。
活性炭処理後においては、非重合体カテキン類の回収率の点から、使用した活性炭を水又は有機溶媒水溶液で洗浄し、洗浄液を回収してもよい。洗浄に使用する水としては、上記洗浄工程と同様のものが例示される。また、有機溶媒としては、上記と同様の水溶性有機溶媒を使用することができる。有機溶媒の濃度は、夾雑物低減の点から、低濃度であることが好ましく、具体的には10質量%以下、更に5質量%以下、特に3質量%以下であることが好ましい。
水又は有機溶媒水溶液の使用量としては、活性炭の全質量に対する水又は有機溶媒水溶液の全容量の比が2〜20[mL/g]が好ましく、5〜10[mL/g]がより好ましい。これにより、非重合体カテキン類の回収率を格段に向上させるとともに、呈味をより一層改善することができる。
そして、活性炭処理後の溶出希釈液は、必要により回収された洗浄液と混合し、減圧蒸留、薄膜蒸留、膜濃縮等の公知の方法により濃縮することができる。濃縮倍率は、有機溶媒水溶液の使用量により適宜選択することが可能であるが、2〜500倍、更に2〜250倍、特に2〜125倍であることが好ましい。
このようにして、非重合体カテキン類を、70質量%を越える収率で、更に75〜100質量%、より更に80〜100質量%、より更に83〜100質量%、より更に85〜99質量%、特に88〜98質量%という高収率で、精製茶抽出物中に得ることができる。さらに、得られた精製茶抽出物は下記の特性(i)〜(viii)を有することができる。
(i)(B)非重合体カテキン類中のガレート体率は通常20〜70質量%であるが、苦渋味低減の点から、25〜50質量%、特に30〜35.5質量%であることが好ましい。
(ii)(C)非重合体カテキン類中のガロ体率は通常60〜90質量%であるが、非重合体カテキン類による生理効果の点から、70〜88質量%、特に75〜85質量%であることが好ましい。
(iii)(D)カフェインと(A)非重合体カテキン類の含有質量比[(D)/(A)]は通常0〜0.25であるが、呈味改善の点から、0.001〜0.20、特に0.01〜0.18であることが好ましい。
(iv)(E)没食子酸と(A)非重合体カテキン類の含有質量比[(E)/(A)]は通常0〜0.1であるが、呈味改善、色調の点から、0.0001〜0.05、特に0.0002〜0.01であることが好ましい。
(v)精製前後における非重合体カテキン類中のガレート率の変化量(Δガレート体率)は通常−10〜+10質量%であるが、精製茶抽出物の安定供給の点から、−8〜+5質量%、特に−6〜+4質量%であることが好ましい。
(vi)精製前後における非重合体カテキン類中のガロ体率の変化量(Δガロ体率)は通常−10〜+10質量%であるが、精製茶抽出物の安定供給の点から、−5〜+8質量%、特に−2.5〜+6質量%であることが好ましい。
(vii)カフェイン残存率は通常0〜80質量%であるが、製造負荷と製品の品質の点から、更に5〜70質量%、特に10〜60質量%が好ましい。
(viii)没食子酸残存率は通常20質量%以下であるが、製造負荷と製品の品質の点から、更に0.05〜15質量%、特に0.075〜10質量%が好ましい。
なお、カフェイン及び没食子酸の残存率は、原料として使用した茶抽出物を基準とするものである。
このように、本発明の製造方法によれば、非重合体カテキン類を高濃度に含有する精製茶抽出物を高収率で回収することが可能になるだけでなく、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化を抑制しつつ(D)カフェイン、(E)没食子酸等の夾雑物を低減化することができる。
本発明の精製茶抽出物は、酸味、苦味、雑味、エグ味が改善されるだけでなく、着色も抑制されているため幅広い用途展開が可能である。例えば、本発明の精製茶抽出物をそのまま、又は希釈若しくは濃縮して食品又は飲料に配合して使用することができるが、とりわけ容器詰飲料が好ましい。また、精製茶抽出物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により粉体化することができる。
本発明の容器詰飲料は、茶系飲料又は非茶系飲料とすることができる。非茶系飲料としては、具体的には、甘味料及び/又はフルーツフレーバーを含有した酸性飲料、スポーツ飲料、アイソトニック飲料が挙げられる。スポーツ飲料又はアイソトニック飲料とする場合には、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有させることが好ましい。
なお、本発明の容器詰飲料には、酸化防止剤、各種エステル類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ガム、乳化剤、油、ビタミン、アミノ酸、野菜エキス類、花蜜エキス類、苦渋味抑制剤、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独、あるいは併用して配合できる。
本発明の容器詰飲料のpH(25℃)は、2〜7、好ましくは2〜6.5とするのが呈味及び非重合体カテキン類の安定性の点で好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
[非重合体カテキン類、カフェイン及び没食子酸の測定]
試料をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法で分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
[粒子径の測定]
合成吸着剤の粒子径測定には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置(LS 13 320、BECKMAN COULTER)を用いた。そして、本装置により粒子分布を個数基準で作成し、メディアン径(d50)、最大粒子径(dmax)及び最小粒子径(dmin)を求めた。
[風味の評価]
各実施例及び参考例で得られた精製緑茶抽出物を非重合体カテキン類含有率が0.175質量%となるようにイオン交換水で希釈し、その40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸ナトリウムを0.1質量%添加し、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブにて121℃で10分間加熱滅菌した。その後、評価パネラー6名によって酸味、苦味、雑味及びエグ味について下記の基準で評価した。その後、酸味、苦味、雑味及びエグ味について、協議により最終スコアを決定した。
(酸味の評価基準)
評点5:酸味少ない
4:酸味やや少ない
3:酸味やや多い
2:酸味多い
1:酸味かなり多い
(硫酸キニーネ法による苦味の評価)
表1に記載の苦味標準溶液濃度を指標として苦味低減レベルをパネラー6名により官能試験し、評点の平均値を表2の基準に基づいて判定した。なお、表1に示す苦味強度は数値が大きいほど、苦味が強くなることを意味する。
Figure 0005307649
Figure 0005307649
(雑味の評価基準)
評点5:雑味少ない
4:雑味やや少ない
3:雑味やや多い
2:雑味多い
1:雑味かなり多い
(エグ味の評価基準)
評点5:エグ味少ない
4:エグ味やや少ない
3:エグ味やや多い
2:エグ味多い
1:エグ味かなり多い
[生産性の評価]
各実施例及び参考例の溶出工程における非重合体カテキン類に対する有機溶媒水溶液の使用量、及び非重合体カテキン類の回収率について、下記の基準で評価を行った。
(非重合体カテキン類に対する有機溶媒水溶液の使用量の評価基準)
評点8:0超0.11以下 [L/g]
6:0.11超0.16以下[L/g]
4:0.16超0.20以下[L/g]
2:0.20超0.30以下[L/g]
0:0.30超1.0以下 [L/g]
(非重合体カテキン類の回収率の評価基準)
評点7:88超100 [%]
5:80超88以下[%]
3:75超80以下[%]
1:70超75以下[%]
0:0超70以下 [%]
実施例1
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌バッチ抽出した後、100メッシュ金網で粗ろ過した。次いで、抽出液中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑茶抽出液(1)」37.2kg(pH5.4)を得た。得られた緑茶抽出液(1)中の非重合体カテキン類濃度は1.03質量%、緑茶抽出液(1)中のガレート体率は52.5質量%、カフェイン含有量は0.182質量%であった。
次いで、この緑茶抽出液(1)を温度15℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社製、タンナーゼKTFH、500U/g)を緑茶抽出液(1)に対して430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持した。次いで、ガレート体率が30.5質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH4.9)。次いで、70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮によりBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物(1)」0.9kgを得た。得られた緑茶抽出物(1)は、非重合体カテキン類濃度が28.7質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.18、没食子酸/非重合体カテキン類が0.128であった。
次いで、「タンナーゼ処理した緑茶抽出物(1)」285gを、イオン交換水8550gに25℃で30分間攪拌溶解した(タンナーゼ処理液(1))。
次いで、合成吸着剤SP−70(三菱化学(株)製)の袋を開封し、平らな容器に均等に合成吸着剤を分散させた後、2日間自然乾燥した。次いで、425μmの篩下の回収物を180μmの篩にかけ、180μmの篩上の粒子のみを回収した。この回収した合成吸着剤は、平均粒子径(d50)が332.7μm、最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が216μm、d50/Δdが1.54であった。
次いで、採取された合成吸着剤55mLを、ステンレスカラム(内径22mm×高さ145mm、容積55mL)に充填した。次いで、通液速度がSV=1.5(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して10倍体積量の92質量%エタノール水溶液を通液後、通液速度がSV=1.5(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して10倍体積量の水を通液して洗浄した。次いで、タンナーゼ処理液(1)220g(4倍体積対合成吸着剤)を通液速度SV=1.0(h-1)でカラムに通液し透過液を廃棄した。次いで、通液速度がSV=1.0(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して1.5倍体積量の水を通液し洗浄した。
水洗後、通液速度がSV=1.0(h-1)、通液倍数が合成吸着剤の全容量に対して0.98倍体積量の50質量%エタノール水溶液を通液して、溶出液51.7gを回収した。
次いで、溶出液を減圧濃縮してエタノールを除去し、精製緑茶抽出物23.9gを得た。この精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が33.6質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が80.0質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.122、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0060、精製前後における非重合体カテキン類のガレート体率の変化量(Δガレート体率)が+1.3質量%、精製前後における非重合体カテキン類のガロ体の変化量(Δガロ体率)が+2.7質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は94.0%、カフェインの残存率は61.0%、没食子酸の残存率は3.8%であった。
実施例2
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が28.8質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は32.4質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.18、没食子酸/非重合体カテキン類は0.128であった。
次いで、合成吸着剤の使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32.2質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が79.2質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.135、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0040、Δガレート体率が−0.2質量%、Δガロ体率が+1.9質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は94.0%、カフェインの残存率は60.3%、没食子酸の残存率は2.5%であった。
実施例3
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が32.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は35.7質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は79.0質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.177、没食子酸/非重合体カテキン類は0.086であった。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が35.0質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が80.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.133、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0010、Δガレート体率が−0.7質量%、Δガロ体率が+1.3質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は97.0%、カフェインの残存率は72.5%、没食子酸の残存率は0.90%であった。
実施例4
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、実施例3と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が34.0質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が81.4質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.112、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0011、Δガレート体率が−1.7質量%、Δガロ体率が+2.4質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は95.0%、カフェインの残存率は60.0%、没食子酸の残存率は0.84%であった。
実施例5
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が32.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.181、没食子酸/非重合体カテキン類が0.128であった。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31.0質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が79.6質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.133、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0010、Δガレート体率が−1.3質量%、Δガロ体率が+2.3質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は93.9%、カフェインの残存率は64.1%、没食子酸の残存率は0.70%であった。
実施例6
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。その分析値は実施例5と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が31.9質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が78.4質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.122、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0024、Δガレート体率が−0.4質量%、Δガロ体率が+1.1質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は93.9%、カフェインの残存率は62.0%、没食子酸の残存率は1.62%であった。
実施例7
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が28.8質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は33.0質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.179、没食子酸/非重合体カテキン類は0.127であった。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表3に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は35.4質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は76.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.129、没食子酸/非重合体カテキン類は、0.0001、Δガレート体率は+2.4質量%、Δガロ体率は−1.0質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は94.0%、カフェインの残存率は62.0%、没食子酸の残存率は0.09%であった。
Figure 0005307649
参考例1
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が32.4質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が35.4質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.5質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.176、没食子酸/非重合体カテキン類が0.107であった。
次いで、粒度調整を行っていない合成吸着剤を使用し、その使用量、溶出工程における通液条件を表4に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が37.2質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が76.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.123、没食子酸/非重合体カテキン類が0.002、Δガレート体率が+1.8質量%、Δガロ体率が−0.6質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は87.8%、カフェインの残存率は61.7%、没食子酸の残存率は1.3%であった。
参考例2
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が31.3質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は31.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は78.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.174、没食子酸/非重合体カテキン類は0.125であった。
次いで、粒度調整を行っていない合成吸着剤を使用し、その使用量、溶出工程における通液条件を表4に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が35.8質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が74.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.140、没食子酸/非重合体カテキン類が0.001、Δガレート体率が+4.5質量%、Δガロ体率が−3.4質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は68.3%、カフェインの残存率は57.4%、没食子酸の残存率は0.69%であった。
参考例3
蒸し製法により製造された緑茶1,200gを、95℃のイオン交換水24,000gで10分間抽出し冷却した。搾汁後、金網によりろ過し、pH5.57の緑茶抽出液(2)18,810gを得た。緑茶抽出液(2)中の非重合体カテキン類の濃度は712mg/100mLであり、133.9gの非重合体カテキン類が含まれ、非重合体カテキン類中のガレート体率70.2質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率70.0質量%であった。又、カフェイン濃度は88.3mg/100mLであり、16.6gのカフェインが含まれ、カフェイン/非重合体カテキン類比は0.124であった。没食子酸濃度は、0.47mg/100mLであり、0.89gの没食子酸が含まれていた。
次いで、得られた緑茶抽出液(2)の全量をステンレス容器に投入し、21℃、150rpmの攪拌条件下で、イオン交換水16g中にタンナーゼ(キッコーマン社製、タンナーゼKTFH、Industrial Grade、500U/g以上)4.0g(非重合体カテキン類に対して3.0質量%)を溶解した液を添加した。40分後にpHが4.98に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで、95℃の温浴に浸漬したSUS製ホールディングチューブに1.2L/minで通液し、回収液を90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活させた。次いで、25℃まで冷却し遠心分離を行い、「タンナーゼ処理した緑茶抽出物」22,160gを得た(タンナーゼ処理液(2))。得られた緑茶抽出物は非重合体カテキン類濃度が33.9質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は60.6質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は71.2質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.126、没食子酸/非重合体カテキン類は0.0637であった。
次いで、ステンレスカラム(内径72.3mm×高さ1,600mm、容積5,745mL)に、粒度調整を行っていない合成吸着剤セパビーズSP−207(三菱化学(株)製)5,192mLを充填し、SV=6.9(h-1)で92質量%エタノール水溶液25,960mLによる洗浄を行い、次いでSV=6.9(h-1)で25,960mLの水で洗浄した。その後、得られたタンナーゼ処理液(2)の全量(4.3倍体積対合成吸着剤)をSV=4.6(h-1)で通液し通過液は廃棄した。通過液には、非重合体カテキン類0.7g、没食子酸4.8gが含まれており、殆どの非重合体カテキン類は合成吸着剤に吸着されていた。
次いでSV=6.9(h-1)で20,760mL(4倍体積対合成吸着剤)の水で洗浄した。洗浄液には、非重合体カテキン類0.7g、没食子酸3.1gが含まれており、非重合体カテキン類の溶出は殆どなかった。
水洗後、92質量%エタノール水溶液をSV=4.6(h-1)で25,960mL通液した(5倍体積対合成吸着剤)。カラム内の残留水3,000mLを端切り後、溶出液22,158gを回収し、減圧濃縮してエタノールを除去し、精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率は57.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率は72.5質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.102、没食子酸/非重合体カテキン類は0.0012、Δガレート体率は−3.3質量%、Δガロ体率は+1.3質量%であった。また、緑茶抽出液(2)からの非重合体カテキン類の回収率は86.0%、カフェインの残存率は73.2%、没食子酸の残存率は1.7%であった。
Figure 0005307649
表3及び4から明らかなように、茶抽出物を、特定性状を有する合成吸着剤に吸着させた後、有機溶媒水溶液で溶出することにより、有機溶媒の使用量を低減しながら非重合体カテキン類を高収率かつ効率よく回収することが可能であり、しかも従来公知の精製手段を要することなく、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化を抑制しつつ没食子酸、カフェイン等の夾雑物を低減して呈味の良好な精製茶抽出物が得られることが確認された。
実施例8
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、実施例2と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が28.1質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が82.0質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.054、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0041、Δガレート体率が−4.3質量%、Δガロ体率が+4.7質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は89.1%、カフェインの残存率は23.0%、没食子酸の残存率は2.43%であった。
実施例9
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が28.5質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.18、没食子酸/非重合体カテキン類が0.127であった。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が28.1質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が82.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.031、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0070、Δガレート体率が−4.2質量%、Δガロ体率が+5.0質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は89.8%、カフェインの残存率は14.2%、没食子酸の残存率は4.2%であった。
実施例10
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、実施例4と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が32.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が82.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.0045、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0027、Δガレート体率が−3.4質量%、Δガロ体率が+3.9質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は91.0%、カフェインの残存率は23.0%、没食子酸の残存率は0.76%であった。
実施例11
原料として、実施例1と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(1)を使用した。各成分の分析値は、実施例5と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が27.5質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が82.2質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.053、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0026、Δガレート体率が−4.8質量%、Δガロ体率が+4.9質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は88.7%、カフェインの残存率は24.0%、没食子酸の残存率は0.67%であった。
参考例4
緑茶葉(ケニア産、大葉種)3kgに88℃の熱水45kgを添加し、60分間攪拌バッチ抽出した後、100メッシュ金網で粗ろ過した。次いで、抽出液中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い、「緑茶抽出液(3)」37.2kg(pH5.4)を得た(緑茶抽出液(2)中の非重合体カテキン類濃度=0.89質量%、緑茶抽出液(3)中のガレート体率=52.3質量%、カフェイン0.17質量%)。この緑茶抽出液(3)を温度15℃に保持し、タンナーゼ(キッコーマン社製、タンナーゼKTFH、500U/g)を緑茶抽出液(3)に対して430ppmとなる濃度で添加し、55分間保持し、ガレート体率が30.5質量%になったところで、90℃に溶液を加熱して、2分間保持し酵素を失活させ、反応を止めた(pH5.1)。次いで、70℃、6.7kpaの条件下で、減圧濃縮でBrix濃度20%まで濃縮処理を行い、更に噴霧乾燥して粉末状の「タンナーゼ処理した緑茶抽出物(3)」0.9kgを得た。得られた緑茶抽出物(3)は、非重合体カテキン類含有量が27.8質量%、非重合体カテキンガレート体率が30.3質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.242、没食子酸/非重合体カテキン類が0.129であった。「タンナーゼ処理した緑茶抽出物(3)」285gを、イオン交換水8550gに25℃で30分間攪拌溶解した。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が27.4質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が79.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.147、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0039、Δガレート体率が−2.9質量%、Δガロ体率が+2.0質量%であった。また、緑茶抽出液(3)からの非重合体カテキン類の回収率は81.2%、カフェインの残存率は49.3%、没食子酸の残存率は2.5%であった。
参考例5
原料として、参考例3と同様な方法で得たタンナーゼ処理液(2)を使用した。各成分の分析値は、参考例3と同様であった。次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表5に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により精製緑茶抽出物を得た。得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が8.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が51.2質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が76.9質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.038、没食子酸/非重合体カテキン類が0.0014、Δガレート体率が−9.4質量%、Δガロ体率が+5.7質量%であった。また、緑茶抽出液(2)からの非重合体カテキン類の回収率は73.6%、カフェインの残存率は23.7%、没食子酸の残存率は1.7%であった。
Figure 0005307649
表5から明らかなように、茶抽出物を、特定性状を有する合成吸着剤に吸着させた後、有機溶媒水溶液で溶出することにより、有機溶媒の使用量を低減しながら非重合体カテキン類を高収率かつ効率よく回収することが可能であり、しかも従来公知の精製手段を要することなく、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化を抑制しつつ没食子酸、カフェイン等の夾雑物を低減して呈味の良好な精製茶抽出物が得られることが確認された。
実施例12
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、非重合体カテキン類濃度が0.95質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が38.0質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が77.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.188、没食子酸/非重合体カテキン類が0.076であった。
次いで、合成吸着剤の種類及び使用量、溶出工程における通液条件を表6に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により溶出液2125g(エタノール濃度:19.6質量%、非重合体カテキン類濃度が1.80質量%)を回収した。
次いで、溶出液に727mLの92質量%エタノール水溶液(非重合体カテキン類に対する有機溶媒水溶液の使用量が0.019L/g)を加えて「溶出希釈液」(エタノール濃度が35.8質量%、非重合体カテキン類濃度が1.34質量%)を作製した。
次いで、5.5gの活性炭(SGP:フタムラ化学製(平均細孔径4.4nm、細孔容積1.08mL/g、比表面積1050m2/g))が充填されたステンレスカラム(直径:2.2cm、長さ:10.5cm、容積39.9mL)に通液速度SV=1.9(h-1)で溶出希釈液517gを通液して「処理液1」を回収した。次いで、39.9mLのイオン交換水を、上記ステンレスカラムに「溶出希釈液」と同条件で通液して「処理液2」を回収し、「処理液1」と「処理液2」とから「混合液」を調製した。
次いで、「混合液」を減圧濃縮してエタノールを除去し、精製緑茶抽出物81gを得た。この精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が7.3質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が33.8質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が80.5質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0.017、没食子酸/非重合体カテキン類が0、精製前後における非重合体カテキン類のガレート体率の変化量(Δガレート体率)が−4.2質量%、精製前後における非重合体カテキン類のガロ体の変化量(Δガロ体率)が+3.2質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は80.0%、カフェインの残存率は5.9%、没食子酸の残存率は0%であった。
実施例13
原料として、実施例1と同様な方法で得た緑茶抽出液(1)とタンナーゼ処理液(1)の混合溶液を使用した。各成分の分析値は、実施例12と同様であった。次いで、実施例12と同一の条件にて吸着、洗浄及び溶出の各工程を行って溶出液を得た後、更に同様の操作により「溶出希釈液」を作製した。
次いで、6.3gの活性炭(SGP:フタムラ化学製)が充填されたステンレスカラム(直径:2.2cm、長さ:12.0cm、容積45.6mL)に通液速度SV=1.6(h-1)で溶出希釈液480gを通液して「処理液1」を回収した。次いで、45.6mLのイオン交換水を、上記ステンレスカラムに「溶出希釈液」と同条件で通液して「処理液2」を回収し、「処理液1」と「処理液2」とから「混合液」を調製した。
次いで、「混合液」を減圧濃縮してエタノールを除去し、精製緑茶抽出物67gを得た。この精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類濃度が7.6質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が33.1質量%、非重合体カテキン類中のガロ体率が80.8質量%、カフェイン/非重合体カテキン類が0、没食子酸/非重合体カテキン類が0、精製前後における非重合体カテキン類のガレート体率の変化量(Δガレート体率)が−4.9質量%、精製前後における非重合体カテキン類のガロ体の変化量(Δガロ体率)が+3.5質量%であった。また、緑茶抽出液(1)からの非重合体カテキン類の回収率は75.3%、カフェインの残存率は0%、没食子酸の残存率は0%であった。
Figure 0005307649
表6から明らかなように、、茶抽出物を特定性状を有する合成吸着剤に吸着して有機溶媒水溶液で溶出し、得られた溶出液を活性炭処理することにより、精製前後における非重合体カテキン類の組成変化を抑制しつつ没食子酸、カフェイン等の夾雑物を格段に低減して、より一層呈味に優れた精製茶抽出物を効率よく回収できることが確認された。
実施例13
実施例1で得られた精製緑茶抽出物を用いて表7に記載の容器詰飲料を調製した。食品衛生法に基づく殺菌処理及びホットパック充填を行って容器詰飲料を得た。次いで、得られた容器詰飲料を37℃で30日間保存した後、外観を目視で観察し呈味を確認した。容器詰飲料は、長期間保存後においても外観及び呈味が良好であり、安定性に優れるものであった。
Figure 0005307649

Claims (7)

  1. 茶抽出物を、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−エチルスチレン共重合体から選ばれるスチレン系合成吸着剤であって、下記の特性a)〜c);
    a)平均粒子径(d50)が300〜500μmである。
    b)最大粒子径と最小粒子径との差(Δd)が60〜400μmである。
    c)平均粒子径(d50)と、最大粒子径と最小粒子径の差(Δd)との比(d50/Δd)が1.25〜5である。
    を有するスチレン系合成吸着剤に接触させて茶抽出物中に含まれる非重合体カテキン類を合成吸着剤に吸着させる吸着工程と、
    合成吸着剤にエタノール濃度が15〜50質量%であるエタノール水溶液を接触させて非重合体カテキン類を溶出させる溶出工程と
    を含む、精製茶抽出物の製造方法。
  2. 茶抽出物中の非重合体カテキン類の全質量と、合成吸着剤の全容量との比が20〜60(g/L)となる量の合成吸着剤を使用する、請求項1記載の製造方法。
  3. 有機溶媒水溶液を、非重合体カテキン類の全質量に対して0.01〜0.3(L/g)用いる、請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 吸着工程後且つ溶出工程前において、合成吸着剤の全容量に対して1〜3(L/L)の水又は有機溶媒水溶液を通液して合成吸着剤を洗浄する洗浄工程を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 溶出工程後において、溶出液を活性炭と接触させる工程を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 茶抽出物として、加水分解処理したものを用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた精製茶抽出物。
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