以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。本実施の形態の半導体装置は、容量素子を有する半導体装置である。
図1は、本実施の形態の半導体装置の概念的な構造を示す要部斜視図であり、図2は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図、図3〜図6はその要部断面図、図7はその要部回路図である。図2のA1−A1線の断面図が図3に対応し、図2のA2−A2線の断面図が図4に対応し、図2のA3−A3線の断面図が図5に対応し、図2のA4−A4線の断面図が図6に対応する。また、図1〜図6に示される容量素子C1〜C4により形成される回路が図7に対応する。なお、図1および図2では、導体パターンMe1a,Me1b,Me2a,Me2bだけを示し、それ以外の構成は図示を省略している。また、図2では、導体パターンMe2a,Me2bの平面レイアウトを実線で示し、導体パターンMe1a,Me1bの平面レイアウトを点線で示してある。
図1〜図6に示される本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板1の主面上には、種々の素子が形成され、層間絶縁膜や配線層が形成されている。図3〜図6では、素子、層間絶縁膜および配線層などが形成された領域を、素子領域2として一括して示している。素子領域2上に、層間絶縁膜として、絶縁膜3が形成されている。
絶縁膜3上に、導体パターン(導体層パターン)Me1a,Me1bが形成されている。本実施の形態では、導体パターンMe1a,Me1bは、それぞれ金属パターン(金属層パターン)からなる。導体パターン(第1導体パターン)Me1aと導体パターン(第2導体パターン)Me1bとは、同層の導体層(第1導体層、ここでは金属層)からなり、同工程で形成されている。導体パターンMe1aと導体パターンMe1bとは、導体では接続されていない(すなわち直流電流は流れない)。
図3〜図6では、絶縁膜3上に絶縁膜(層間絶縁膜)4が形成され、絶縁膜4に設けられた溝(開口部)内に導体パターンMe1a,Me1bが埋め込まれている。この場合、例えばダマシン(Damascene)法で導体パターンMe1a,Me1bを形成することができる。他の形態として、絶縁膜4の形成を省略し、絶縁膜3上に形成した導体層(ここでは金属層)をパターニングすることにより、導体パターンMe1a,Me1bを形成することもでき、この場合、導体パターンMe1a,Me1bはパターニングされた導体層(ここでは金属層)からなる。
導体パターンMe1a,Me1bよりも上層に、導体パターンMe2a,Me2bが形成されている。本実施の形態では、導体パターンMe2a,Me2bも、それぞれ金属パターン(金属層パターン)からなる。導体パターン(第2導体パターン)Me2aと導体パターン(第4導体パターン)Me2bとは、同層の導体層(第2導体層、ここでは金属層)からなり、同工程で形成されている。導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとは、導体では接続されていない(すなわち直流電流は流れない)。
なお、本願において、導体からなる複数の部材(電極、導体パターンまたは半導体領域などに対応)の接続関係をいうときに、「導体では接続されていない」と表現するときは、導体でつながる導電経路が部材間に形成されていないことを意味している。このため、部材間に導体でつながる導電経路が形成されていない場合には、部材同士が容量素子を介して結合していても、それら部材同士は「導体では接続されていない」と表現することができる。例えば、導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとは、図7の回路図からも明らかなように容量素子C1,C3の直列回路や容量素子C2,C4の直列回路を介して結合(容量結合)しているが、導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとを導体のみでつなぐ導電経路は形成されていないので、導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとは「導体では接続されていない」ということができる。一方、本願において、導体からなる複数の部材(電極、導体パターンまたは半導体領域などに対応)の接続関係をいうときに、「導体を通じて電気的に接続されている」と表現するときは、導体でつながる導電経路が部材間に形成されていることを意味している。導体でつながる導電経路は、例えば、部材と同層の導体パターン、異なる層の導体パターン、層間を接続するプラグなどを単独または組み合わせるなどして形成することができる。
図1および図2に示されるように、導体パターンMe2aは、導体パターンMe1aと導体パターンMe1bの両方に交差するように延在し、導体パターンMe2bも、導体パターンMe1aと導体パターンMe1bの両方に交差するように延在している。例えば、導体パターンMe1a,Me1bは、図2のX方向に延在し、導体パターンMe2a,Me2bは、図2のY方向に延在している。ここで、X方向とY方向は互いに交差(より好ましくは直交)する方向である。
導体パターンMe2a,Me2bと導体パターンMe1a,Me1bとの交差領域において、導体パターンMe2a,Me2bと導体パターンMe1a,Me1bとの間には、容量絶縁膜としての絶縁膜5が介在しており、導体パターンMe2a,Me2bと導体パターンMe1a,Me1bとの交差領域に容量素子C1,C2,C3,C4が形成されている。従って、本実施の形態の半導体装置は、半導体基板1上に配置された容量素子C1(第1容量素子)、容量素子C2(第2容量素子)、容量素子C3(第2容量素子)、および容量素子C4(第4容量素子)を有する半導体装置である。各容量素子C1,C2,C3,C4は、絶縁膜(ここでは絶縁膜5)を介して互いに対向する下部電極(第1電極、一方の電極、ここでは下部電極E1b,E2b,E3b,E4bのいずれか)および上部電極(第2電極、他方の電極、ここでは上部電極E1a,E2a,E3a,E4aのいずれか)により形成されている。
すなわち、導体パターンMe2aと導体パターンMe1aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンMe1aが容量素子C1の下部電極(第1電極、一方の電極)E1bとなり、交差領域の導体パターンMe2aが容量素子C1の上部電極(第2電極、他方の電極)E1aとなり、上部電極E1aと下部電極E1bとの間の絶縁膜5が容量素子C1の容量絶縁膜となって、容量素子C1が形成されている。また、導体パターンMe2aと導体パターンMe1bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンMe1bが容量素子C2の下部電極(第1電極、一方の電極)E2bとなり、交差領域の導体パターンMe2aが容量素子C2の上部電極(第2電極、他方の電極)E2aとなり、上部電極E2aと下部電極E2bとの間の絶縁膜5が容量素子C2の容量絶縁膜となって、容量素子C2が形成されている。また、導体パターンMe2bと導体パターンMe1aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンMe1aが容量素子C3の下部電極(第1電極、一方の電極)E3bとなり、交差領域の導体パターンMe2bが容量素子C3の上部電極(第2電極、他方の電極)E3aとなり、上部電極E3aと下部電極E3bとの間の絶縁膜5が容量素子C3の容量絶縁膜となって、容量素子C3が形成されている。また、導体パターンMe2bと導体パターンMe1bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンMe1bが容量素子C4の下部電極(第1電極、一方の電極)E4bとなり、交差領域の導体パターンMe2bが容量素子C4の上部電極(第2電極、他方の電極)E4aとなり、上部電極E4aと下部電極E4bとの間の絶縁膜5が容量素子C4の容量絶縁膜となって、容量素子C4が形成されている。上記のように、導体パターンMe1a,Me1b,Me2a,Me2bは金属パターンからなるので、本実施の形態では、容量素子C1〜C4はMIM(Metal Insulator Metal)型の容量素子である。
導体パターンMe2a,Me2bの周囲は絶縁膜(層間絶縁膜)6で覆われている。図3〜図6では、導体パターンMe1a,Me1bが埋め込まれた絶縁膜3上に、絶縁膜5および導体パターンMe2aの積層パターンと絶縁膜5および導体パターンMe2aの積層パターンとを覆うように、絶縁膜6が形成されている。
また、絶縁膜5は、少なくとも導体パターンMe1a,Me1bと導体パターンMe2a,Me2bとの交差領域における導体パターンMe2a,Me2bと導体パターンMe1a,Me1bとの間に設ける必要がある。図3〜図6では、導体パターンMe2a,Me2bの下に導体パターンMe2a,Me2bと同パターンの絶縁膜5上が配置しており、絶縁膜5および導体パターンMe2aの積層パターンと絶縁膜5および導体パターンMe2aの積層パターンとが、導体パターンMe1a,Me1bが埋め込まれた絶縁膜3上を、導体パターンMe1aおよび導体パターンMe1bの両方に交差するように延在している。他の形態として、導体パターンMe2a,Me2bよりも広いパターンに絶縁膜5を形成することもでき、また、導体パターンMe1a,Me1bが埋め込まれた絶縁膜3上の全体に絶縁膜5を形成することもできる。
導体パターンMe1aは電位(第1の電位)V1に接続され、導体パターンMe1bは電位(第2の電位)V2に接続され、導体パターンMe2a,Me2bは浮遊(フローティング)電位とされている。電位V1と電位V2とは、互いに異なる電位である。例えば、電位V1および電位V2の一方が電源電位(固定電位、基準電位)、他方が接地電位(グランド電位)である。図示しない配線やプラグなどを介して、導体パターンMe1aを、第1の電位V1が供給された配線またはボンディングパッドなどに接続することで、導体パターンMe1aを電位V1に接続することができる。同様に、図示しない配線やプラグなどを介して、導体パターンMe1bを、電位V2が供給された配線またはボンディングパッドなどに接続することで、導体パターンMe1bを電位V2に接続することができる。
これら容量素子C1〜C4により、図7のような回路が形成される。
容量素子C1,C2の下部電極E1b,E2bは、それぞれ導体パターンMe1a,Me1bにより形成されているが、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2a同士は、共に導体パターンMe2aにより形成されて導体(ここでは導体パターンMe2a)を通じて互いに電気的に接続されており、この導体パターンMe2aは浮遊電位とされている。このため、容量素子C1,C2は直列に接続されている。また、容量素子C3,C4の下部電極E3b,E4bは、それぞれ導体パターンMe1a,Me1bにより形成されているが、容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4a同士は、共に導体パターンMe2bにより形成されて導体(ここでは導体パターンMe2b)を通じて電気的に接続されており、この導体パターンMe2bは浮遊電位とされている。このため、容量素子C3,C4は直列に接続されている。また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3b同士は、共に導体パターンMe1aにより形成されて導体(ここでは導体パターンMe1a)を通じて電気的に接続され、また、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4b同士は、共に導体パターンMe1bにより形成されて導体(ここでは導体パターンMe1b)を通じて電気的に接続されている。そして、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bを構成する導体パターンMe1aが電位V1に接続され、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bを構成する導体パターンMe1bが電位V2に接続されている。また、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2aは容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4aと導体では接続されておらず(直流電流が流れない)、また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bは容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bと導体では接続されていない(直流電流が流れない)。このため、容量素子C1と容量素子C2とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C3と容量素子C4とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C1,C2の直列回路と、容量素子C3,C4の直列回路とが、電位V1と電位V2との間に並列に接続された状態となっている。
各容量素子C1〜C4の容量値がそれぞれ同じ値(ここではこれを容量値C0とする)であれば、図7のような4つの容量素子C1〜C4によって形成される回路の全体の容量値は容量値C0となる。これは、各容量素子C1〜C4の容量値がC0であれば、容量素子C1,C2の直列回路の容量値はC0/2であり、容量素子C3,C4の直列回路の容量値はC0/2であり、それら2つの直列回路が並列接続された図7の回路の容量値は、各直列回路の容量値C0/2の和となり、結果としてC0となるためである。
このため、図7の回路の総容量値は、図8のような1つの容量素子C5で形成される回路の容量値と同じになる。ここで、図8は、電位V1,V2間に1つの容量素子C5を設けたことにより形成される回路を示す回路図であり、容量素子C5は、上記容量素子C1〜C4のそれぞれ容量値C0と同じ容量値を有している。
すなわち、図8のような回路構成では、一つの容量素子C5によって容量値C0を実現できるが、図7のような回路構成では、総容量値C0を実現するのに、4つの容量素子C1〜C4が必要になる。
しかしながら、図7のような回路構成とすることで、以下のような理由により、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を向上させることができる。
図8のような回路構成では、容量素子C5において、電極間に絶縁破壊が生じて電極間がリークまたは短絡すると、電位V1と電位V2との間がリークまたは短絡してしまい、この回路に求められていた回路動作ができなくなってしまう。なお、以下では、電極間の短絡として説明するが、電極間のリークも短絡に含めるものとする。
それに対して、本実施の形態のように、図7のような回路構成とした場合、たとえ容量素子C1〜C4のうちの一つ、例えば容量素子C1が電極間で絶縁破壊を起こして電極間が短絡したとしても、短絡した容量素子C1は容量素子C2と直列に接続されているので、電位V1,V2間には、容量素子C3,C4の直列回路と、容量素子C2単独の回路とが並列で介在し、電位V1と電位V2との間は短絡しない。電位V1と電位V2との間が短絡してしまうのは、容量素子C1,C2の両方が短絡した場合か、あるいは容量素子C3,C4の両方が短絡した場合かである。個々の容量素子C1〜C5が短絡する確率に比べて、容量素子C1,C2の両方が短絡する確率や容量素子C3,C4の両方が短絡する確率は極めて小さい。このため、図7の回路構成と図8の回路構成では、総容量値は同じであるが、個々の容量素子の短絡により電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は、図7の回路構成に比べて、図8の回路構成の方がかなり小さくなる。このことをより具体的に説明する。
各容量素子C1〜C5の故障率を同じPとすると、図8の回路構成の場合、容量素子C5が故障すれば電位V1と電位V2との間が短絡してしまうので、電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0はPと同じになる(P0=P)。一方、図7の回路構成の場合、容量素子C1,C2の両方が故障する確率はP2であり、容量素子C3,C4の両方が故障する確率もP2であるため、電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は、両者の和(P2+P2)の2P2となる(P0=2P2)。
故障率Pは1よりも十分に小さいので、2P2はPよりも極めて小さい(2P2<<P)。例えば、各容量素子C1〜C5の故障率Pが10−6であれば、図8の回路構成の場合に電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は10−6であるが、図7の回路構成の場合に電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は2P2は2×10−12となる。従って、図7の回路構成は、図8の回路構成に比べて、個々の容量素子の短絡により電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0を極めて小さくすることができ、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができる。従って、図7の回路構成と図8の回路構成では、総容量値は同じであるが、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができる。
また、図8の回路を大面積の容量素子C5で構成した場合、大面積の容量素子はウィークスポットが一箇所でもあるとそこが短絡して、電位V1,V2間が短絡してしまうことになる。一方、容量素子C5を小面積の容量素子に分割して、それらを並列に接続することで、図8と等価の回路を形成することもできるが、この場合、並列に接続された容量素子のうちの1つでも短絡してしまうと、他の容量素子に問題がなくとも電位V1,V2間が短絡してしまうことになる。このため、1つの大面積の容量素子C5で図8の回路を構成しても、あるいは、総容量値がC0となるように小面積の容量素子を電位V1,V2間に複数並列に接続して図8と等価の回路を構成しても、電位V1,V2間が短絡してしまう確率P0は同じになる。それに対して、本実施の形態(図7)のように、2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間に複数並列に接続すれば、2つの容量素子の直列回路の両方の容量素子が短絡しない限り、電位V1,V2間が短絡しないようにすることができるので、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができる。
また、本実施の形態とは異なり、浮遊電位とされた導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとを導体で接続することも考えられる。しかしながら、この場合、容量素子C1,C3の一方が短絡すると、導体パターンMe1aと導体パターンMe2a,Me2bとが短絡したことになるので、容量素子C1,C3の他方も短絡したのと同じ状態になり、また、容量素子C2,C4の一方が短絡すると、導体パターンMe1bと導体パターンMe2a,Me2bとが短絡したことになるので、容量素子C2,C4の他方も短絡したのと同じ状態になる。このため、電位V1,V2間が短絡するのは、容量素子C1,C3の少なくとも一方が故障しかつ容量素子C2,C4の少なくとも一方が故障した場合となる。従って、電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は、容量素子C1,C3の少なくとも一方が故障する確率2Pと、容量素子C2,C4の少なくとも一方が故障する確率2Pとの積である4P2となる(P0=4P2)。
一方、本実施の形態では、浮遊電位とされた導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとは、導体では接続されていないため、互いに(導体パターンMe2a,Me2b間に)直流電流は流れない。このため、容量素子C1,C3の一方、例えば容量素子C1が短絡すると、導体パターンMe1aと導体パターンMe2aとが短絡するが、導体パターンMe1aと導体パターンMe2bとは短絡されず、容量素子C3は短絡された状態にはならない。同様に、容量素子C2,C4の一方、例えば容量素子C4が短絡すると、導体パターンMe1bと導体パターンMe2bとが短絡するが、導体パターンMe1bと導体パターンMe2aとは短絡されず、容量素子C2は短絡された状態にはならない。従って、本実施の形態のように、導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとを導体では接続しないようにした場合には、電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は、上記のように、容量素子C1,C2の両方が故障する確率P2と、容量素子C3,C4の両方が故障する確率P2との和である2P2となる(P0=2P2)。
このため、導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとを導体で接続した場合(P0=4P2)に比べて、本実施の形態では、浮遊電位とされた導体パターンMe2aと導体パターンMe2bとを導体では接続しないようにした(直流電流が流れないようにした)ことにより、個々の容量素子の短絡により電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0を小さく(P0=2P2)することができる。従って、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を、より向上させることができる。
このように、本実施の形態では、上記図7のような回路構成を実現して電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態の半導体装置は、半導体装置の信頼性を大幅に向上できるので、車載用(自動車用途)など、特に高い信頼性が要求される半導体装置に適用すれば、効果が大きい。これは以下の実施の形態2〜4も同様である。
このように、図7のような回路構成により、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができるが、本実施の形態では、図7の回路構成を半導体基板上に形成するに当たって、容量素子C1〜C4を構成する導体パターンの配置などを工夫している。
容量素子C1,C2を直列に接続することから、本実施の形態とは異なり、半導体基板1上に容量素子C1と容量素子C2とを縦積みすることが考えられる。しかしながら、この場合、容量素子を縦積みしたことに伴い、容量素子C1〜C4を形成するのに必要な導体層(ここでは金属層)の層数が多くなってしまう。半導体基板上に形成する導体層(ここでは金属層)の層数が多くなると、半導体装置の製造コストの増大を招いてしまう。
それに対して、本実施の形態では、直列に接続する容量素子C1,C2は縦積みにせずに、同層でかつ平面的に互いに異なる領域(隣り合う領域)に配置し、また、直列に接続する容量素子C3,C4も縦積みにせずに、同層でかつ平面的に互いに異なる領域(隣り合う領域)に配置している。すなわち、容量素子C1,C2,C3,C4の下部電極E1b,E2b,E3b,E4b同士を同工程で形成された同層の導体層(ここでは導体パターンMe1a,Me1bを構成する導体層)により形成し、かつ、容量素子C1,C2,C3,C4の上部電極E1a,E2a,E3a,E4a同士を同工程で形成された同層の導体層(ここでは導体パターンMe2a,Me2bを構成する導体層)により形成している。これにより、必要な導体層(ここでは金属層)の層数が少なくて済み、例えば導体パターンMe1a,Me1bの層(導体層)と導体パターンMe2a,Me2bの層(導体層)の2層で済み、容量素子C1〜C4に使用する導体層(ここでは金属層)の層数を低減できる。このため、半導体基板上に形成する導体層(金属層)の層数の増加を抑制しながらMIM型の容量素子C1〜C4により図7のような回路を実現でき、半導体装置の製造コストを抑制することができる。従って、半導体装置の信頼性の向上と製造コストの低減を両立できる。
図9は、本実施の形態の半導体装置の変形例を示す要部斜視図であり、上記図1に対応するものである。
図1における導体パターンMe1a,Me1bと導体パターンMe2a,Me2bとの位置関係を上下逆にし、図9に示されるように、導体パターンMe1a,Me1bよりも下層に導体パターンMe2a,Me2bを設けることもできる。この場合、浮遊電位とする導体パターンMe2a,Me2bよりも上層に、電位V1,V2に接続する導体パターンMe1a,Me1bを形成しているので、導体パターンMe1a,Me1bを電位V1,V2に接続するために引き回しするのに導体パターンMe2a,Me2bが邪魔にならなくなる。このため、導体パターンMe1aを電位V1用のボンディングパッドや配線に接続するのが容易になり、また、導体パターンMe1bを電位V2用のボンディングパッドや配線に接続するのが容易になる。
従って、容量素子C1〜C4の電位V1,V2に接続された側の電極(ここでは下部電極E1b,E2b,E3b,E4b)は、半導体基板1上に形成された第1導体層からなり、容量素子C1〜C4の浮遊電位とされた側の電極(ここでは上部電極E1a,E2a,E3a,E4a)は、半導体基板1上に形成されかつ第1導体層とは異なる第2導体層からなるが、図1〜図6の場合は、第1導体層よりも上層に第2導体層が形成される。一方、図9の場合は、第1導体層よりも下層に第2導体層が形成される。
なお、この容量素子C1〜C4の電位V1,V2に接続された側の電極を構成する第1導体層は、本実施の形態では導体パターンMe1a,Me1bを構成する導体層(金属層)に対応し、以下の実施の形態2では導体パターンPS1a,PS1bを構成する導体層(シリコン層)に対応し、以下の実施の形態3ではn型半導体領域23a,23bを構成する導体層(不純物拡散層)に対応する。また、この第1導体層は、以下の実施の形態4では、上部電極Epを構成する導体層(導体膜49)に対応する。また、この容量素子C1〜C4の浮遊電位とされた側の電極を構成する第2導体層は、本実施の形態では導体パターンMe2a,Me2bを構成する導体層(金属層)に対応し、以下の実施の形態2では導体パターンPS2a,PS2bを構成する導体層(シリコン層)に対応し、以下の実施の形態3では導体パターンPS3a,PS3bを構成する導体層(シリコン層)に対応する。また、この第2導体層は、以下の実施の形態4では、下部電極47を構成する導体層に対応する。
また、上記図1〜図7では、2つの容量素子の直列回路を、電位V1,V2間に2つ並列に接続した場合について説明したが、並列に接続する数は2つ以上(すなわち複数)であればよく、2つに限定されない。図10は、2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間にn個(ここでnは3以上の整数)並列に接続した場合の要部平面図、図11はその回路図であり、それぞれ上記図2および図7に対応するものである。
2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間に並列に接続する数がn個の場合、導体パターンMe2a,Me2bに相当する導体パターンの数(本数)をn個(n本)とする。図10および図11では、n個の導体パターンMe2a,Me2b,・・・,Me2nが、2つの導体パターンMe1a,Me1bに交差する方向に延在している。導体パターンMe2a〜Me2nは、同工程で形成された同層の導体層(導体パターン)からなるが、導体では互いに接続されていない。導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1a,Me1bとの間には、容量絶縁膜としての絶縁膜5が介在しており、導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1a,Me1bとの2n個(ここではn個の2倍を2n個と表記する)の交差領域に2n個の容量素子C1,C2,C3,C4,・・・,C(2n−1),C2nが形成されている。
すなわち、導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1aとの各交差領域において、導体パターンMe2a〜Me2nが上部電極となり、導体パターンMe1aが下部電極となり、導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1aとの間の絶縁膜5が容量絶縁膜となって、容量素子C1,C3,・・・,C(2n−1)が形成されている。また、導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1bとの各交差領域において、導体パターンMe2a〜Me2nが上部電極となり、導体パターンMe1bが下部電極となり、導体パターンMe2a〜Me2nと導体パターンMe1bとの間の絶縁膜5が容量絶縁膜となって、容量素子C2,C4,・・・,C2nが形成されている。容量素子C1〜C2nは、MIM型の容量素子であり、導体パターンMe1aは第1の電位V1に接続され、導体パターンMe1bは第2の電位V2に接続され、導体パターンMe2a〜Me2nは浮遊(フローティング)電位とされている。
このような構成とすれば、各容量素子C1〜C2nの故障率を同じPとすると、電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0は、nP2となる(P0=nP2)。このため、個々の容量素子の短絡により電位V1と電位V2との間が短絡してしまう確率P0を極めて小さくすることができ、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができる。また、2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間に並列に接続する数nを増加させることで、総容量値を大きくすることができる。
次に、上記図1〜図7のような半導体装置の製造方法の一例について説明する。図12および図13は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図3または図4に対応する領域が示されている。
図12に示されるように、半導体基板1の主面上に、公知の手法を用いて種々の素子が形成され、更に層間絶縁膜や配線層が形成される。上記図3〜図6と同様に、図12でも、素子、層間絶縁膜および配線層が形成された領域を、素子領域2として一括して示している。
次に、素子領域2上に、絶縁膜(層間絶縁膜)3を形成し、絶縁膜3上に絶縁膜(層間絶縁膜)4を形成し、ダマシン法などを用いて導体パターンMe1a,Me1bを形成する。例えば、絶縁膜4を成膜してからこの絶縁膜4に導体パターンMe1a,Me1b形成用の開口部(溝)4aを形成する。それから、絶縁膜4上に開口部4a内を埋めるように、例えば導電性バリア膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜またはそれらの積層膜)とそれよりも厚いタングステン膜との積層膜などからなる金属膜(導体パターンMe1a,Me1b用の金属膜)を形成してから、絶縁膜4上の不要な金属膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去し、開口部4a内に金属膜を残す。これにより、絶縁膜4の開口部4a内に埋め込まれた金属膜からなる導体パターンMe1a,Me1bを形成することができる。
次に、図13に示されるように、導体パターンMe1a,Me1b上を含む絶縁膜4の全面上に窒化チタンなどからなる絶縁膜5を形成する。それから、絶縁膜5上に、例えば導電性バリア膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜またはそれらの積層膜)とそれよりも厚いアルミニウム膜との積層膜などからなる金属膜(導体パターンMe2a,Me2b用の金属膜)を形成してから、この絶縁膜5と金属膜との積層膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングする。これにより、導体パターンMe1a,Me1bが埋め込まれた絶縁膜4上に、絶縁膜5と導体パターンMe1a,Me1bとの積層膜パターンを形成することができる。その後、絶縁膜4上に、導体パターンMe2a,Me2bを覆うように絶縁膜6を形成する。
以上、本実施の形態の半導体装置の具体的な構成について説明した。本実施の形態1および以下の実施の形態2〜4の半導体装置では、容量素子C1,C2,C3,C4の上部電極E1a,E2a,E3a,E4a同士は、同工程で形成された同層の導体層(実施の形態1では導体パターンMe2a,Me2bに、実施の形態2では導体パターンPS2a,PS2b、実施の形態3では導体パターンPS3a,PS3bに、実施の形態4では導体膜49に対応)により形成されている。また、容量素子C1、C2,C3,C4の下部電極E1b,E2b,E3b,E4b同士は、同工程で形成された同層の導体層(本実施の形態では導体パターンMe1a,Me1bに、実施の形態2では導体パターンPS1a,PS1bに、実施の形態3ではn型半導体領域23a,23bに、実施の形態4では下部電極47に対応)により形成されている。但し、下部電極E1b,E2b,E3b,E4bを形成する導体層と上部電極E1a,E2a,E3a,E4aを形成する導体層とは異なる層であり、下部電極E1b,E2b,E3b,E4bを形成する導体層の上層または下層に上部電極E1a,E2a,E3a,E4aを形成する導体層が形成されている。また、容量素子C1,C2,C3,C4の上部電極および下部電極間の容量絶縁膜同士も、同工程で形成された同層の絶縁膜(本実施の形態の絶縁膜5、以下の実施の形態2〜4の絶縁膜5a,5b,48に対応)により形成されている。そして、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3b同士は導体を通じて互いに電気的に接続されかつ電位V1に接続され、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4b同士は導体を通じて互いに電気的に接続されかつ電位V2に接続されている。また、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2a同士は導体を通じて電気的に接続されかつ浮遊電位とされ、容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4a同士は導体を通じて電気的に接続されかつ浮遊電位とされているが、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2aは、容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4aとは導体では接続されていない。これにより、図7のような回路構成を実現して電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を上記のように大幅に向上させることができるとともに、容量素子C1〜C4を形成するのに使用する導体層の層数を低減でき、半導体装置の製造コストを抑制することができる。従って、半導体装置の信頼性の向上と製造コストの低減を両立できる。
本実施の形態1および以下の実施の形態4では、このような構成をMIM型の容量素子に適用しており、以下の実施の形態2ではPIP型の容量素子に適用し、以下の実施の形態3ではMOS型の容量素子に適用している。
本実施の形態では、導体パターンMe1a,Me1bに交差するように導体パターンMe2a,Me2bを延在させ、導体パターンMe2a,Me2bを浮遊電位とし、導体パターンMe1aを電位V1とし、導体パターンMe1bを電位V2とすることで、導体パターンMe1a,Me1bと導体パターンMe2a,Me2bとの交差領域にMIM型の容量素子C1〜C4を形成することで、上記構成と効果を、効率的に実現している。同様に以下の実施の形態2では、導体パターンPS1a,PS1bに交差するように導体パターンPS2a,PS2bを延在させ、導体パターンPS2a,PS2bを浮遊電位とし、導体パターンPS1aを電位V1とし、導体パターンPS1bを電位V2とすることで、導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとの交差領域にPIP型の容量素子C1〜C4を形成して、上記構成と効果を、効率的に実現している。また、以下の実施の形態3では、n型半導体領域23a,23bに交差するように導体パターンPS3a,PS3bを延在させ、導体パターンPS3a,PS3bを浮遊電位とし、n型半導体領域23aを電位V1とし、n型半導体領域23bを電位V2とすることで、n型半導体領域23a,23bと導体パターンPS3a,PS3bとの交差領域にMOS型の容量素子C1〜C4を形成して、上記構成と効果を、効率的に実現している。
また、本実施の形態1では、容量素子C1〜C4をMIM型の容量素子により形成しており、このため、容量素子C1〜C4を形成するための導体パターンMe1a,Me1b,Me2a,Me2bは、半導体基板1上に形成した層間絶縁膜上に形成することができる。このため、容量素子C1〜C4形成領域の下方の領域(基板領域)を有効に使用することができ、容量素子C1〜C4形成領域の下方に、トランジスタなどの素子や素子間を結線する配線などを形成することもできる。従って、図7の回路構成としたことによるキャパシタ形成領域の面積の増大の影響が少なくてすみ、半導体装置の信頼性の向上と小型化(小面積化)の両立が可能になる。
(実施の形態2)
本実施の形態の半導体装置も容量素子を有する半導体装置である。
図14は、本実施の形態の半導体装置の概念的な構造を示す要部斜視図であり、図15は、その要部平面図、図16〜図19は、その要部断面図であり、それぞれ上記実施の形態1の図1〜図6に対応するものである。図15のB1−B1線の断面図が図16に対応し、図15のB2−B2線の断面図が図17に対応し、図15のB3−B3線の断面図が図18に対応し、図15のB4−B4線の断面図が図19に対応する。また、図14および図15では、導体パターンPS1a,PS1b,PS2a,PS2bだけを示し、それ以外の構成は図示を省略している。また、図15では、導体パターンPS2a,PS2bの平面レイアウトを実線で示し、導体パターンPS1a,PS1bの平面レイアウトを点線で示してある。回路図は、上記実施の形態1の図7と同じであるので、ここではその図示を省略する。
本実施の形態の半導体装置も、上記実施の形態1の半導体装置と同様、半導体基板1上に配置された容量素子C1〜C4を有する半導体装置であるが、上記実施の形態1では、容量素子C1〜C4をMIM型の容量素子としていたのに対して、本実施の形態では、容量素子C1〜C4を、いわゆるPIP型の容量素子により構成している。
図14〜図19に示される本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板1の主面には、素子分離領域11が形成されている。素子分離領域11は素子分離溝に埋め込まれた絶縁体(例えば酸化シリコン)などからなる。
素子分離領域11上には、導体パターンPS1a,PS1bが形成されている。導体パターンPS1aと導体パターンPS1bとは、同層の導体層(第1導体層、ここではシリコン層)からなり、同工程で形成されている。導体パターン(第1導体パターン)PS1aと導体パターン(第2導体パターン)PS1bとは、導体では接続されていない(すなわち直流電流は流れない)。導体パターンPS1a,PS1bは、好ましくは多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン層(シリコン膜、パターニングされたシリコン膜)からなり、不純物が導入されて低抵抗率とされている。
導体パターンPS1a,PS1bよりも上層に、導体パターンPS2a,PS2bが形成されている。導体パターンPS2aと導体パターンPS2bとは、同層の導体層(第2導体層、ここではシリコン層)からなり、同工程で形成されている。導体パターン(第3導体パターン)PS2aと導体パターン(第4導体パターン)PS2bとは、導体では接続されていない(すなわち直流電流は流れない)。導体パターンPS2a,PS2bは、好ましくは多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン層(シリコン膜、パターニングされたシリコン膜)からなり、不純物が導入されて低抵抗率とされている。
導体パターンPS2aは、導体パターンPS1aと導体パターンPS1bの両方に交差するように延在し、導体パターンPS2bも、導体パターンPS1aと導体パターンPS1bの両方に交差するように延在している。例えば、導体パターンPS1a,PS1bは、図11のX方向に延在し、導体パターンPS2a,PS2bは、図11のY方向に延在している。ここで、X方向とY方向は互いに交差(より好ましくは直交)する方向である。
導体パターンPS2a,PS2bは絶縁膜5aとの積層膜としてパターニングされており、この積層膜パターンが導体パターンPS2a,PS2bに交差して導体パターンPS2a,PS2bを乗り越えるように半導体基板1上に延在している。このため、導体パターンPS2a,PS2bの下には絶縁膜5aが形成されており、導体パターンPS2a,PS2bと導体パターンPS1a,PS1bとの交差領域において、導体パターンPS2a,PS2bと導体パターンPS1a,PS1bとの間には、容量絶縁膜としての絶縁膜5aが介在している。これにより、導体パターンPS2a,PS2bと導体パターンPS1a,PS1bとの交差領域に容量素子C1,C2,C3,C4が形成されている。
すなわち、導体パターンPS2aと導体パターンPS1aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS2aが容量素子C1の上部電極E1aとなり、交差領域の導体パターンPS1aが容量素子C1の下部電極E1bとなり、上部電極E1aと下部電極E1bとの間の絶縁膜5aが容量素子C1の容量絶縁膜となって、容量素子C1が形成されている。また、導体パターンPS2aと導体パターンPS1bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS2aが容量素子C2の上部電極E2aとなり、交差領域の導体パターンPS1bが容量素子C2の下部電極E2bとなり、上部電極E2aと下部電極E2bとの間の絶縁膜5aが容量素子C2の容量絶縁膜となって、容量素子C2が形成されている。また、導体パターンPS2bと導体パターンPS1aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS2bが容量素子C3の上部電極E3aとなり、交差領域の導体パターンPS1aが容量素子C3の下部電極E3bとなり、上部電極E3aと下部電極E3bとの間の絶縁膜5aが容量素子C3の容量絶縁膜となって、容量素子C3が形成されている。また、導体パターンPS2bと導体パターンPS1bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS2bが容量素子C4の上部電極E4aとなり、交差領域の導体パターンPS1bが容量素子C4の下部電極E4bとなり、上部電極E4aと下部電極E4bとの間の絶縁膜5aが容量素子C4の容量絶縁膜となって、容量素子C4が形成されている。従って、容量素子C1〜C4は、いわゆるPIP(Polysilicon Insulator Polysilicon)型の容量素子である。
ここでPIP型容量素子とは、2層のポリシリコン層(ここでは導体パターンPS1a,PS1bのポリシリコン層と導体パターンPS2a,PS2bのポリシリコン層)と、それらの間に挟まれた絶縁膜(ここでは絶縁膜5a)とからなる容量素子(ポリシリコン容量素子)である。
半導体基板1上には、導体パターンPS1a,PS1b、絶縁膜5aおよび導体パターンPS2a,PS2bを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)12が形成されている。絶縁膜12には、コンタクトホール(開口部、貫通孔)13が形成され、コンタクトホール13には導電体からなるプラグ14が埋め込まれている。コンタクトホール13のうちのコンタクトホール13aは、導体パターンPS1aの上部に形成され、その底部で導体パターンPS1aの一部が露出され、コンタクトホール13のうちのコンタクトホール13bは、導体パターンPS1bの上部に形成され、その底部で導体パターンPS1bの一部が露出されている。コンタクトホール13aには、プラグ14のうちのプラグ14aが埋め込まれ、コンタクトホール13bには、プラグ14のうちのプラグ14bが埋め込まれており、プラグ14aは、その底部で導体パターンPS1aに接して電気的に接続され、プラグ14bは、その底部で導体パターンPS1bに接して電気的に接続されている。
プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上には配線15が形成され、絶縁膜12上に配線15を覆うように絶縁膜16が形成されている。導体パターンPS1aは、プラグ14aを介して、配線15のうちの配線15aに電気的に接続され、導体パターンPS1bは、プラグ14bを介して、配線15のうちの配線15bに電気的に接続されている。
導体パターンPS1aは、プラグ14aおよび配線15aなどを介して電位V1に接続され、導体パターンPS1bはプラグ14bおよび配線15aなどを介して電位V2に接続され、導体パターンPS2a,PS2bは浮遊(フローティング)電位とされている。電位V1と電位V2とは、互いに異なる電位である。
本実施の形態における導体パターンPS1a、導体パターンPS1b、導体パターンPS2aおよび導体パターンPS2bは、上記実施の形態1の導体パターンMe1a、導体パターンMe1b、導体パターンMe2aおよび導体パターンMe2bにそれぞれ対応するものであり、絶縁膜5aは、上記実施の形態1の絶縁膜5に対応するものである。本実施の形態において導体パターンPS1a,PS1b,PS2a,PS2bおよび絶縁膜5aにより形成される容量素子C1〜C4が形成する回路構成は、上記実施の形態1において、導体パターンMe1a,Me1b,Me2a,Me2bおよび絶縁膜5により形成される容量素子C1〜C4が構成する回路構成と同様であり、上記図7のようになる。
すなわち、本実施の形態においても、容量素子C1,C2の下部電極E1b,E2bは、それぞれ導体パターンPSa,PSbにより形成されているが、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2a同士は、共に導体パターンPS2aにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS2a)を通じて電気的に接続されており、この導体パターンPS2aは浮遊電位とされている。このため、容量素子C1,C2は直列に接続される。また、容量素子C3,C4の下部電極E3b,E4bは、それぞれ導体パターンPS1a,PS1bにより形成されているが、容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4a同士は、共に導体パターンPS2bにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS2b)を通じて電気的に接続されており、この導体パターンPS2bは浮遊電位とされている。このため、容量素子C3,C4は直列に接続される。また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3b同士は、共に導体パターンPS1aにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS1a)を通じて電気的に接続され、また、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4b同士は、共に導体パターンPS1bにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS1a)を通じて電気的に接続されている。そして、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bを構成する導体パターンPS1aが電位V1に接続され、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bを構成する導体パターンPS1bが電位V2に接続されている。また、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2aは容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4aと導体では接続されておらず(直流電流が流れない)、また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bは容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bと導体では接続されていない(直流電流が流れない)。このため、容量素子C1と容量素子C2とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C3と容量素子C4とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C1,C2の直列回路と、容量素子C3,C4の直列回路とが、電位V1と電位V2との間に並列に接続された上記図7の状態となっている。
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様、上記図7のような回路構成を実現して電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を上記実施の形態1で説明したように大幅に向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様、容量素子C1〜C4を形成するのに必要な導体層の層数を低減できる。すなわち、容量素子C1,C2,C3,C4の下部電極E1b,E2b,E3b,E4b同士を同工程で形成された同層の導体層(ここでは導体パターンPS1a,PS1bを構成するシリコン層)により形成し、かつ、容量素子C1,C2,C3,C4の上部電極E1a,E2a,E3a,E4a同士を同工程で形成された同層の導体層(ここでは導体パターンPS2a,PS2bを構成するシリコン層)により形成している。これにより、必要な導体層(ここではシリコン層)の層数が少なくて済み、例えば導体パターンPS1a,PS1bの層(導体層)と導体パターンPS2a,PS2bの層(導体層)の2層で済み、容量素子C1〜C4に使用する導体層(ここではシリコン層)の層数を低減できる。このため、半導体基板1上に形成する導体層(シリコン層)の層数の増加を抑制しながらPIP型の容量素子C1〜C4により図7のような回路を実現でき、半導体装置の製造コストを抑制することができる。従って、半導体装置の信頼性の向上と製造コストの低減を両立できる。
また、本実施の形態では、容量素子を縦積みにした場合に比べて、容量素子C1〜C4を形成するのに必要な導体層の層数を少なくすることができ、半導体基板1上に形成する導体層の層数を少なく(ここでは2層に)することができるので、絶縁膜12の厚みを薄くすることができる。このため、コンタクトホール13のアスペクト比(縦横比)を低減でき、コンタクトホール13をより的確に形成できるようになる。これにより、プラグ14a,14bと導体パターンPS1a,PS1bとの電気的接続の信頼性はもちろん、MISFETのような他の素子(図示せず)とプラグ14との電気的接続の信頼性も向上でき、半導体装置の信頼性をより向上することができる。
また、本実施の形態においても、2つの容量素子の直列回路を、電位V1,V2間に2つ並列に接続した場合について説明したが、並列に接続する数は2つ以上(すなわち複数)であればよく、2つに限定されない。上記実施の形態1で上記図10および図11を参照して説明したのと同様に、本実施の形態においても、2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間にn個(ここでnは3以上の整数)並列に接続することができる。
また、上記実施の形態1で上記図9を参照して説明したのと同様に、本実施の形態においても、図14〜図19における導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとの位置関係を上下逆にすることもできる。但し、本実施の形態で、導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとの位置関係を上下逆にするということは、図14〜図19の導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとの位置関係を維持しながら下層の側の導体パターンPS1a,PS1bを浮遊電位とし、上層側の導体パターンPS2aを電位V1に接続し、上層側の導体パターンPS2bを電位V2に接続することに相当する。この場合は、上記図7の回路図において、容量素子C2と容量素子C3とを入れ換えた回路構成となる。
但し、本実施の形態では、下層側の導体パターンPS1a,PS1を浮遊電位としかつ上層側の導体パターンPS2a,PS2bを電位V1,V2に接続するよりも、図14〜図19のように、下層側の導体パターンPS1a,PS1を電位V1,V2に接続しかつ上層側の導体パターンPS2a,PS2bを浮遊電位とする方が、より好ましい。この理由は、次の通りである。
すなわち、導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとのうち、電位V1,V2に接続する方は、コンタクトホール13a,13bをその上部に形成する必要があるのに対して、浮遊電位とする方は、コンタクトホール13をその上部に形成する必要がない。コンタクトホール13a,13bを開口するためのドライエッチングの際には、MISFETのソース・ドレイン領域(図示せず)上にもコンタクトホール13を開口する。ソース・ドレイン領域上にコンタクトホール13を形成するには、絶縁膜12の全厚みをエッチングして、コンタクトホール13の底部でソース・ドレイン領域を露出させる必要がある。このため、ソース・ドレイン領域上のコンタクトホール13を確実に開口できるようにエッチング時間を設定すると、コンタクトホール13a,13bの底部で導体パターンがオーバーエッチングされてしまう。上層側の導体パターンPS2a,PS2b上にコンタクトホール13a,13bを形成する場合よりも、図14〜図19のように下層側の導体パターンPS1a,PS1上にコンタクトホール13a,13bを形成する場合の方が、コンタクトホール13開口時にコンタクトホール13a,13b底部での導体パターンのオーバーエッチング量は少なくなる。
このため、図14〜図19のように、下層側の導体パターンPS1a,PS1を電位V1,V2に接続しかつ上層側の導体パターンPS2a,PS2bを浮遊電位とする方がより好ましく、これにより、コンタクトホール13を開口するためのドライエッチングの際に、コンタクトホール13a,13b底部での導体パターンのオーバーエッチング量を少なくすることができる。
また、本実施の形態では、半導体基板1に形成した素子分離領域11上に導体パターンPs1a,PS2aを形成していた、すなわち素子分離領域11上にPIP型の容量素子C1〜C4を形成していたが、本実施の形態でも、上記実施の形態1のように、半導体基板1上に形成した層間絶縁膜(例えば上記絶縁膜3)上に導体パターンPs1a,PS2aを形成することもできる。この場合、上記実施の形態1で上記絶縁膜3上にMIM型の容量素子C1〜C4が形成されたように、本実施の形態でも、上記絶縁膜3上にPIP型の容量素子C1〜C4が形成されることになり、PIP型の容量素子C1〜C4の下方の領域(上記素子領域2)に他の素子を形成することが可能なる。
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図20〜図22は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図16または図17に対応する領域が示されている。
図20に示されるように、半導体基板1に例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより素子分離領域11を形成する。
次に、例えば不純物が導入された低抵抗率の多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)のような導体膜を半導体基板1の主面全面上に形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてこの導体膜をパターニングすることで、導体パターンPS1a,PS1bを形成する。導体パターンPS1a,PS1bは、素子分離領域11上に形成される。
次に、図21に示されるように、絶縁膜5aと導体パターンPS2a,PS2bを形成する。例えば、半導体基板1の主面上に導体パターンPS1a,PS1bを覆うように酸化シリコンまたは窒化シリコンなどからなる絶縁膜5a用の絶縁膜と導体パターンPS2a,PS2b用の多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)との積層膜を形成し、この積層膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることで、絶縁膜5aと導体パターンPS2a,PS2bとの積層膜パターンを形成する。
他の形態として、多結晶シリコン膜からなる導体パターンPS1a,PS1bの表面に熱酸化法などにより絶縁膜5a用の絶縁膜(酸化膜)を形成してから、導体パターンPS2a,PS2b用の多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を形成し、この多結晶シリコン膜をパターニングすることで、絶縁膜5aと導体パターンPS2a,PS2bを形成することもできる。この場合、絶縁膜5aは、導体パターンPS1a,PS1bの表面に形成されるので、導体パターンPS1a,PS1bと導体パターンPS2a,PS2bとの間に絶縁膜5aが介在した状態となっているが、導体パターンPS2a,PS2bの下方に導体パターンPS1a,PS1bが存在しない領域では、導体パターンPS2a,PS2bの下に絶縁膜5aも形成されていない状態となる。
また、サリサイドプロセスなどにより、導体パターンPS1a,PS1bの上部に金属シリサイド層(図示せず)を形成することもできる。金属シリサイド層を形成しておけば、導体パターンPS1a,PS1bと後で形成するプラグ14a,14bとの間のコンタクト抵抗などを低減できる。
次に、図22に示されるように、半導体基板1上に、導体パターンMe1a,Me1b,絶縁膜5aおよび導体パターンMe2a,Me2bを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)12を形成し、絶縁膜12にコンタクトホール13を形成し、コンタクトホール13内にプラグ14を埋め込む。
次に、プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上に配線15を形成する。配線15は、例えば、プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上にタングステン膜などの導電体膜を形成し、この導電体膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることなどにより、形成することができる。
次に、絶縁膜12上に配線15を覆うように絶縁膜16が形成される。その後、更に上層の配線層や絶縁膜が形成されるが、ここではその図示および説明は省略する。
(実施の形態3)
本実施の形態の半導体装置も容量素子を有する半導体装置である。
図23は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、図24〜図27は、その要部断面図であり、それぞれ上記実施の形態1の図2〜図6または上記実施の形態2の図15〜図19に対応するものである。図23のD1−D1線の断面図が図24に対応し、図23のD2−D2線の断面図が図25に対応し、図23のD3−D3線の断面図が図26に対応し、図23のD4−D4線の断面図が図27に対応する。また、図23では、導体パターンPS3a,PS3bおよびn型半導体領域23a,23bの平面レイアウトだけを示し、それ以外の構成は図示を省略している。なお、図23では、導体パターンPS3a,PS3bの平面レイアウトを実線で示し、n型半導体領域23a,23bの平面レイアウトを点線で示してある。回路図は、上記実施の形態1の図7と同じであるので、ここではその図示を省略する。
本実施の形態の半導体装置も、上記実施の形態1,2の半導体装置と同様、半導体基板1上に配置された容量素子C1〜C4を有する半導体装置であるが、上記実施の形態1では容量素子C1〜C4をMIM型の容量素子とし、上記実施の形態2では容量素子C1〜C4をPIP型の容量素子としていたのに対して、本実施の形態では、容量素子C1〜C4を、いわゆるMOS型の容量素子により構成している。
図23〜図27に示される本実施の形態の半導体装置を構成する半導体基板1の主面には、素子分離領域11aが形成されている。素子分離領域11aは上記素子分離領域11と同様、素子分離溝に埋め込まれた絶縁体(例えば酸化シリコン)などからなる。素子分離領域11aによって活性領域21a,21bが規定されている。すなわち、活性領域21aと活性領域21bとは、それぞれ素子分離領域11aによって平面的に囲まれた領域であり、素子分離領域11aによって互いに直流電流は流れない。
活性領域21a,21bにp型ウエル22が形成され、p型ウエル22の表層部分に不純物拡散層であるn型半導体領域23a,23bが形成されている。すなわち、活性領域21a(のp型ウエル22)の表層部分にn型半導体領域(不純物拡散層)23aが形成され、活性領域21b(のp型ウエル22)の表層部分にn型半導体領域(不純物拡散層)23bが形成されている。不純物拡散層も導体層とみなすことができるので、n型半導体領域23aとn型半導体領域23bとは、同層の導体層(第1導体層、ここでは不純物拡散層)からなり、同工程で形成されている。n型半導体領域23aとn型半導体領域23bとは、間に素子分離領域11aが介在するので、導体では接続されていない状態となっている(すなわち直流電流は流れない)。n型半導体領域(第1導体パターン)23aとn型半導体領域(第2導体パターン)23bとは、周囲を素子分離領域11aで囲まれているので、導体パターンとみなすこともできる。
半導体基板1の主面に(すなわちn型半導体領域23a,23bの上面に)は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなる絶縁膜5bが形成されている。
半導体基板1の主面上には、導体パターンPS3a,PS3bが形成されている。導体パターン(第3導体パターン)PS3aと導体パターン(第4)導体パターン)PS3bとは、同層の導体層(第2導体層、ここではシリコン層)からなり、同工程で形成されている。導体パターンPS3aと導体パターンPS3bとは、導体では接続されていない(すなわち直流電流は流れない)。導体パターンPS3a,PS3bは、パターニングされた導電体膜(導体層)からなり、好ましくは多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)のようなシリコン層(シリコン膜、パターニングされたシリコン膜)からなり、シリコン層の場合は不純物が導入されて低抵抗率とされている。
導体パターンPS3aは、n型半導体領域23aとn型半導体領域23bの両方に交差するように延在し、導体パターンPS3bも、n型半導体領域23aとn型半導体領域23bの両方に交差するように延在している。例えば、n型半導体領域23a,23bは、図23のX方向に延在し、導体パターンPS3a,PS3bは、図23のY方向に延在している。ここで、X方向とY方向は互いに交差(より好ましくは直交)する方向である。
n型半導体領域23a,23bの上面には絶縁膜5bが形成されており、導体パターンPS3a,PS3bは絶縁膜5b上を延在するので、導体パターンPS3a,PS3bとn型半導体領域23a,23bとの交差領域において、導体パターンPS3a,PS3bとn型半導体領域23a,23bとの間には、容量絶縁膜としての絶縁膜5bが介在している。これにより、導体パターンPS3a,PS3bとn型半導体領域23a,23bとの交差領域に容量素子C1,C2,C3,C4が形成されている。
すなわち、導体パターンPS3aとn型半導体領域23aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS3aが容量素子C1の上部電極E1aとなり、交差領域のn型半導体領域23aが容量素子C1の下部電極E1bとなり、上部電極E1aと下部電極E1bとの間の絶縁膜5bが容量素子C1の容量絶縁膜となって、容量素子C1が形成されている。また、導体パターンPS3aとn型半導体領域23bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS3aが容量素子C2の上部電極E2aとなり、交差領域のn型半導体領域23bが容量素子C2の下部電極E2bとなり、上部電極E2aと下部電極E2bとの間の絶縁膜5bが容量素子C2の容量絶縁膜となって、容量素子C2が形成されている。また、導体パターンPS3bとn型半導体領域23aとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS3bが容量素子C3の上部電極E3aとなり、交差領域のn型半導体領域23aが容量素子C3の下部電極E3bとなり、上部電極E3aと下部電極E3bとの間の絶縁膜5bが容量素子C3の容量絶縁膜となって、容量素子C3が形成されている。また、導体パターンPS3bとn型半導体領域23bとが交差する領域において、交差領域の導体パターンPS3bが容量素子C4の上部電極E4aとなり、交差領域のn型半導体領域23bが容量素子C4の下部電極E4bとなり、上部電極E4aと下部電極E4bとの間の絶縁膜5bが容量素子C4の容量絶縁膜となって、容量素子C4が形成されている。従って、容量素子C1〜C4は、いわゆるMOS(Metal Oxide Semiconductor)型の容量素子である。
MOS型容量素子とは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)のチャネル領域、ゲート絶縁膜およびゲート電極をそれぞれMOS型容量素子の下部電極、容量絶縁膜および上部電極とするものであり、チャネル領域に相当する部分に高濃度不純物拡散層(ここではn型半導体領域23a,23b)を設けてこれを下部電極とする。なお、MOS型容量素子と呼ぶ場合にも、容量絶縁膜(ここでは絶縁膜5b)は酸化膜に限定されず、酸化膜以外の絶縁膜を容量絶縁膜(ここでは絶縁膜5b)に用いることもできる。従って、MOS型容量素子は、半導体基板1の一部(ここでは半導体基板1に不純物を導入して形成されたn型半導体領域23a,23b)を下部電極とし、半導体基板1上(n型半導体領域23a,23b上)に絶縁膜(ここでは絶縁膜5b)を介して形成された導体層(ここでは導体パターンPS3a,PS3b)を上部電極とする容量素子とみなすことができる。
半導体基板1上には、導体パターンPS3a,PS3bを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)12が形成されている。絶縁膜12には、コンタクトホール(開口部、貫通孔)13が形成され、コンタクトホール13には導電体からなるプラグ14が埋め込まれている。コンタクトホール13のうちのコンタクトホール13cは、n型半導体領域23aの上部に形成され、その底部でn型半導体領域23aの一部が露出され、コンタクトホール13のうちのコンタクトホール13dは、n型半導体領域23bの上部に形成され、その底部でn型半導体領域23bの一部が露出されている。コンタクトホール13cには、プラグ14のうちのプラグ14cが埋め込まれ、コンタクトホール13dには、プラグ14のうちのプラグ14dが埋め込まれており、プラグ14cは、その底部でn型半導体領域23aに接して電気的に接続され、プラグ14dは、その底部でn型半導体領域23bに接して電気的に接続されている。プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上には配線15が形成され、絶縁膜12上に配線15を覆うように絶縁膜16が形成されている。n型半導体領域23aは、プラグ14cを介して、配線15のうちの配線15cに電気的に接続され、n型半導体領域23bは、プラグ14dを介して、配線15のうちの配線15dに電気的に接続されている。
n型半導体領域23aは、プラグ14cおよび配線15cなどを介して電位V1に接続され、n型半導体領域23bはプラグ14dおよび配線15dなどを介して電位V2に接続され、導体パターンPS3a,PS3bは浮遊(フローティング)電位とされている。電位V1と電位V2とは、互いに異なる電位である。
本実施の形態におけるn型半導体領域23a、n型半導体領域23b、導体パターンPS3aおよび導体パターンPS3bは、上記実施の形態1の導体パターンMe1a、導体パターンMe1b、導体パターンMe2aおよび導体パターンMe2bにそれぞれ対応するものであり、また、上記実施の形態2の導体パターンPS1a、導体パターンPS1b、導体パターンPS2aおよび導体パターンPS2bにそれぞれ対応するものである。また、本実施の形態の絶縁膜5bは、上記実施の形態1の絶縁膜5に対応するものであり、また、上記実施の形態2の絶縁膜5aに対応するものである。本実施の形態においてn型半導体領域23a,23b、導体パターンPS3a,PS3bおよび絶縁膜5bにより形成される容量素子C1〜C4が形成する回路構成は、上記実施の形態1において、導体パターンMe1a,Me1b,Me2a,Me2bおよび絶縁膜5により形成される容量素子C1〜C4が構成する回路構成と同様であり、上記図7のようになる。
すなわち、本実施の形態においても、容量素子C1,C2の下部電極E1b,E2bは、それぞれn型半導体領域23a,23bにより形成されているが、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2a同士は、共に導体パターンPS3aにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS3a)を通じて電気的に接続されており、この導体パターンPS3aは浮遊電位とされている。このため、容量素子C1,C2は直列に接続される。また、容量素子C3,C4の下部電極E3b,E4bは、それぞれn型半導体領域23a,23bにより形成されているが、容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4a同士は、共に導体パターンPS3bにより形成されて導体(ここでは導体パターンPS3b)を通じて電気的に接続されており、この導体パターンPS3bは浮遊電位とされている。このため、容量素子C3,C4は直列に接続される。また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3b同士は、共にn型半導体領域23aにより形成されて導体(ここではn型半導体領域23a)を通じて電気的に接続され、また、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4b同士は、共にn型半導体領域23bにより形成されて導体(ここではn型半導体領域23b)を通じて電気的に接続されている。そして、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bを構成するn型半導体領域23aが電位V1に接続され、容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bを構成するn型半導体領域23bが電位V2に接続されている。また、容量素子C1,C2の上部電極E1a,E2aは容量素子C3,C4の上部電極E3a,E4aと導体では接続されておらず(直流電流が流れない)、また、容量素子C1,C3の下部電極E1b,E3bは容量素子C2,C4の下部電極E2b,E4bと導体では接続されていない(直流電流が流れない)。このため、容量素子C1と容量素子C2とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C3と容量素子C4とが電位V1と電位V2との間に直列に接続され、容量素子C1,C2の直列回路と、容量素子C3,C4の直列回路とが、電位V1と電位V2との間に並列に接続された上記図7の状態となっている。
本実施の形態においても、上記実施の形態1,2と同様、上記図7のような回路構成を実現して電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を上記実施の形態1で説明したように大幅に向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態においても、上記実施の形態1,2と同様、容量素子C1〜C4を形成するのに必要な導体層の層数を低減できる。すなわち、容量素子C1,C2,C3,C4の下部電極E1b,E2b,E3b,E4b同士を同工程で形成された同層の導体層(ここではn型半導体領域23a,23bを構成する不純物拡散層)により形成し、かつ、容量素子C1,C2,C3,C4の上部電極E1a,E2a,E3a,E4a同士を同工程で形成された同層の導体層(ここでは導体パターンPS3a,PS3bを構成するシリコン層)により形成している。これにより、必要な導体層の層数が少なくて済み、例えば、n型半導体領域23a,23bを形成する不純物拡散層(導体層)と、導体パターンPS3a,PS3bを形成する導体層の2層で済み、容量素子C1〜C4に使用する導体層の層数を低減できる。このため、半導体基板上に形成する導体層の層数の増加を抑制しながらMOS型の容量素子C1〜C4により図7のような回路を実現でき、半導体装置の製造コストを抑制することができる。従って、半導体装置の信頼性の向上と製造コストの低減を両立できる。
また、本実施の形態では、容量素子を縦積みにした場合に比べて、容量素子C1〜C4を形成するのに必要な導体層の層数を少なくすることができ、半導体基板1上に形成する導体層の層数を少なく(ここでは導体パターンPS3a,PS3bを形成する導体層の1層に)することができるので、絶縁膜12の厚みを薄くすることができる。このため、コンタクトホール13のアスペクト比(縦横比)を低減でき、コンタクトホール13をより的確に形成できるようになる。これにより、プラグ14c,14dとn型半導体領域23a,23bとの電気的接続の信頼性はもちろん、MISFETのような他の素子(図示せず)とプラグ14との電気的接続の信頼性も向上でき、半導体装置の信頼性をより向上することができる。
また、MOS型の容量素子は、容量絶縁膜(ここでは絶縁膜5b)を熱酸化により形成できることから、良好な膜質の容量絶縁膜(絶縁膜5b)を形成でき、電極間の絶縁リークや絶縁破壊が発生しにくいため、個々の容量素子C1〜C4の信頼性を高めることができる。本実施の形態では、信頼性が高いMOS型の容量素子C1〜C4を用いて、上記図7のような回路構成を形成することで、電位V1,V2間に容量素子を介在させた回路の信頼性を、更に向上させることができる。
また、本実施の形態においても、2つの容量素子の直列回路を、電位V1,V2間に2つ並列に接続した場合について説明したが、並列に接続する数は2つ以上(すなわち複数)であればよく、2つに限定されない。上記実施の形態1で上記図10および図11を参照して説明したのと同様に、本実施の形態においても、2つの容量素子の直列回路を電位V1,V2間にn個(ここでnは3以上の整数)並列に接続することができる。
また、本実施の形態では、容量素子C1,C2,C3,C4の一方の電極(ここでは下部電極E1b,E2b,E3b,E4b)を構成する第1導体層と容量素子C1,C2,C3,C4の他方の電極(ここでは上部電極E1a,E2a,E3a,E4a)を構成する第2導体層とのうちの下層側の導体層を、半導体基板1内に形成された不純物拡散層(n型半導体領域23a,23bに対応)により形成している。
上記実施の形態1で上記図9を参照して説明したのと同様に、本実施の形態においても、図23〜図27におけるn型半導体領域23a,23bと導体パターンPS3a,PS3bとの位置関係を上下逆にすることもできる。但し、本実施の形態において、n型半導体領域23a,23bと導体パターンPS3a,PS3bとの位置関係を上下逆にするということは、図23〜図27のn型半導体領域23a,23bと導体パターンPS3a,PS3bとの位置関係を維持しながら下層の側のn型半導体領域23a,23bを浮遊電位とし、上層側の導体パターンPS3aを電位V1に接続し、上層側の導体パターンPS3bを電位V2に接続することに相当する。この場合は、上記図7において、容量素子C2と容量素子C3とを入れ換えた回路構成となる。
但し、本実施の形態では、下層側のn型半導体領域23a,23bを浮遊電位としかつ上層側の導体パターンPS3a,PS3bを電位V1,V2に接続するよりも、図23〜図27のように下層側のn型半導体領域23a,23bを電位V1,V2に接続しかつ上層側の導体パターンPS3a,PS3bを浮遊電位とする方が、より好ましい。この理由は、次の通りである。
すなわち、n型半導体領域23a,23bと導体パターンPS3a,PS3bとのうち、電位V1,V2に接続する方は、コンタクトホール13c,13dをその上部に形成する必要があるのに対して、浮遊電位とする方は、コンタクトホール13をその上部に形成する必要がない。上記実施の形態2で説明したように、MISFETのソース・ドレイン領域上にもコンタクトホール13を確実に開口できるようにエッチング時間を設定すると、導体パターンPS3a,PS3b上にコンタクトホール13c,13dを形成する場合に比べて、n型半導体領域23a,23b上にコンタクトホール13c,13dを形成する場合の方が、コンタクトホール13c,13d底部でのオーバーエッチング量は少なくなる。このため、上述のように、下層側のn型半導体領域23a,23bを浮遊電位としかつ上層側の導体パターンPS3a,PS3bを電位V1,V2に接続するよりも、下層側のn型半導体領域23a,23bを電位V1,V2に接続しかつ上層側の導体パターンPS3a,PS3bを浮遊電位とする方が、より好ましい。これにより、コンタクトホール13を開口するためのドライエッチングの際のコンタクトホール13c,13d底部でのオーバーエッチング量を少なくすることができる。
また、p型ウエル22およびn型半導体領域23a,23bの導電型を逆にすることもできる。すなわち、p型ウエル22の代わりにn型ウエルを形成し、n型半導体領域23a,23bの代わりにp型半導体領域を形成することもできる。
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。図28〜図30は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、上記図24または図25に対応する領域が示されている。
図28に示されるように、半導体基板1に例えばSTI法またはLOCOS法などにより素子分離領域11aを形成する。
次に、半導体基板1にp型不純物をイオン注入することなどによってp型ウエル22を形成する。
次に、半導体基板1にリン(P)またはヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することなどによってn型半導体流域23a,23bを形成する。
次に、図29に示されるように、必要に応じて半導体基板1の主面を清浄化してから、半導体基板1の主面に(すなわちn型半導体領域23a,23bの上面に)、熱酸化法などによって絶縁膜5bを形成する。この絶縁膜5bは、半導体基板1にMISFET用のゲート絶縁膜を形成する際に一緒(同時)に形成することができ、この場合、絶縁膜5bはMISFET(図示せず)のゲート絶縁膜と同層の絶縁膜からなる。
次に、半導体基板1の全面上に多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)などからなる導体膜を形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてこの導体膜をパターニングすることで、導体パターンP3a,P3bを形成する。導体パターンP3a,P3b用の導電体膜をパターニングする際に、パターニングされた導電体膜からなるゲート電極をMISFET形成予定領域(図示せず)に形成することができる。従って、導体パターンP3a,P3bは、MISFETのゲート電極を形成する際に一緒(同時)に形成でき、この場合、導体パターンP3a,P3bはMISFETのゲート電極と同層の導電体膜からなる。
また、図支配しないけれども、MISFET形成予定領域のゲート電極の両側の領域にイオン注入によりソース・ドレイン用のn型半導体領域を形成する際に、導体パターンP3a,P3bで覆われていない領域の活性領域21a,21bにもイオン注入してn型半導体領域を形成することもできる。
次に、図30に示されるように、半導体基板1上に、導体パターンM3a,M3bを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)12を形成し、絶縁膜12に、コンタクトホール13を形成し、コンタクトホール13内にプラグ14を埋め込む。
次に、プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上に配線15を形成する。配線15は、例えば、プラグ14が埋め込まれた絶縁膜12上にタングステン膜などの導電体膜を形成し、この導電体膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることなどにより、形成することができる。
次に、絶縁膜12上に配線15を覆うように絶縁膜16が形成される。その後、更に上層の配線層や絶縁膜が形成されるが、ここではその図示および説明は省略する。
また、p型ウエル22をn型にし、n型半導体領域23a,23bをp型にすることもできる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、上記実施の形態1で説明したような容量素子を、電源配線33と接地配線(グランド配線)32との間に設けた半導体装置に対応する。
図31は、本実施の形態の半導体装置31の要部回路図、図32は、半導体装置31の概念的な平面図(全体平面図)、図33〜図35は、半導体装置31の要部平面図(部分拡大平面図)、図36〜図40は、半導体装置31の要部断面図(部分拡大断面図)である。図32では、接地配線32,32a、電源配線33,33a、ボンディングパッド34a,34b、容量素子Cpおよびコア領域40の平面レイアウトを示し、それ以外の構成は図示を省略しているが、コア領域40を一点差線で模式的に示し、また、個々の容量素子Cpが形成される領域を点線で模式的に示してある。図33〜図35は、半導体装置31の同じ領域が示されている。但し、図33は、接地配線32a、接地電位用接続配線32b、電源配線33a、電源電位用接続配線33b、下部電極接続用配線36、下部電極47および導体膜49の平面レイアウトを示しかつそれ以外の構成は図示を省略している。また、図34は、接地配線32a、電源配線33a、下部電極47および導体膜49の平面レイアウトを示しかつそれ以外の構成は図示を省略し、図35は、接地電位用接続配線32b、電源電位用接続配線33b、下部電極接続用配線36および下部電極47の平面レイアウトを示しかつそれ以外の構成は図示を省略している。また、図35のE1−E1線の断面図が図36に対応し、図35のE2−E2線の断面図が図37に対応し、図35のE3−E3線の断面図が図38に対応し、図35のE4−E4線の断面図が図19に対応し、図36のE5−E5線の断面図が図40に対応する。
図33〜図40に示される本実施の形態の半導体装置(半導体チップ)31は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に種々の半導体集積回路やボンディングパッドを形成した後、ダイシングなどにより半導体基板をチップ状の各半導体装置(半導体チップ)31に分離することなどにより、形成されている。従って、半導体装置31は、半導体チップである。
図32に示されるように、半導体装置31の主面の外周部に沿って接地配線(グランド配線)32および電源配線33が配置されている。接地配線32には接地電位(グランド電位)を供給すればより好ましいが、接地電位(グランド電位)ではない電源電位(固定電位、基準電位)を供給することもできる。この場合、少なくとも、接地配線32には、電源配線33とは異なる電源電位を供給する。従って、電源配線33だけでなく、接地配線32も電源配線とみなすこともできる。以下では、接地配線32に供給される電位を接地電位V3(第1の電位)と称し、電源配線33に供給される電位を電源電位V4(第2の電位)と称するものとし、電源電位V4と接地電位V3とは異なる電位である。また、接地電位V3を電位V3と表記し、電源電位V4を電位V4と表記する場合もある。なお、接地電位V3の代わりにVssと表記することもでき、また、電源電位V4の代わりにVddまたはVccと表記することもできる。
また、半導体装置31の主面には、外周部に沿って、複数のボンディングパッド(パッド電極、外部端子、外部接続端子)が配置されており、各ボンディングパッドは、外部装置との電気的な接続を取るための、半導体装置31の外部端子(外部接続用端子、入出力端子)として機能することができる。図32には、ボンディングパッドのうち、接地配線32に入出力回路(I/O回路)を介して接続されたボンディングパッド34aと電源配線33に入出力回路(I/O回路)を介して接続されたボンディングパッド34bとが示され、他のボンディングパッドは図示を省略している。なお、図面を見やすくするために、図31および図32では、入出力回路の図示を省略している。
半導体装置31に対して電源を入れたときに、接地配線32および電源配線33には、それぞれ一定の電圧が印加された状態となる。例えば、半導体装置31に対して電源を入れたときに、接地配線32には接地電位V3が供給された状態となり、電源配線33には電源電位V4が供給された状態となる。
半導体装置31の主面の中央部には、コア領域40が配置されており、このコア領域40には、種々の半導体集積回路(図示せず)が形成されている。すなわち、コア領域40は、半導体装置31を構成する半導体基板1の主面の半導体集積回路が形成された領域に対応する。例えば、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを所定数組み合わせて構成された基本セルが多数マトリクス状に配置されてコア領域40が構成されており、各基本セル内のMISFETおよび基本セル間を論理設計に基づいて結線することにより、所望の論理機能を実現している。電源配線33からコア領域40の回路に電源電位V4を供給することができ、接地配線32からコア領域40の回路に接地電位V3を供給することができる。
接地配線32と電源配線33との間には、ノイズ対策として、容量素子を介在させる。本実施の形態では、図31の回路図に示されるように、2つの容量素子Cp(すなわち一つの容量素子Cp1と一つの容量素子Cp2)の直列回路を、接地配線32の接地電位V3と電源配線33の電源電位V4の間に複数並列に接続している。これは、上記実施の形態1の上記図7や図11の回路構成と同じであり、接地配線32の電位である接地電位V3と電源配線33の電位である電源電位V4との一方が上記電位V1に対応し、他方が上記電位V2に相当する。また、図31の回路図に模式的に示されるように、コア領域40の回路35には、接地配線32および電源配線33から接地電位V3および電源電位V4が供給される。
接地配線32と電源配線33との間に容量素子を介在させた上記図31のような回路構成を実現するために、本実施の形態では、半導体装置31の主面の外周部に沿って接地配線32および電源配線33を延在させるだけでなく、接地配線32に電気的に接続された接地配線32aと電源配線33に電気的に接続された電源配線33aとを、半導体装置31の主面において、図32〜図35のX方向にそれぞれ複数本延在させている。また、浮遊電位とされた下部電極接続用配線36を図32〜図35のY方向にそれぞれ複数本延在させている。そして、接地配線32aおよび電源配線33aと下部電極接続用配線36との各交差領域に容量素子Cpを形成している。これにより、半導体装置31の主面全体(コア領域40の上部全体)にMIM型の容量素子Cpを配置し、上記図31のような回路構成を実現している。この容量素子の構成をより詳細に説明する。
図36〜図40の要部断面図に示されるように、半導体基板1の主面上には、種々の素子が形成され、層間絶縁膜や配線層が形成される。図36〜図40では、素子、層間絶縁膜および配線層が形成された領域を、素子領域41として一括して示している。素子領域41の構造の例については、後で説明する。
素子領域41上には、絶縁膜(層間絶縁膜)42が形成されており、この絶縁膜42には配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M5が形成されている。配線M5は、ダマシン技術を用いて形成することができ、主として銅のような金属(金属材料、金属的な電導を示す材料)で形成されている。配線M5は、本実施の形態のようにダマシン法で形成した埋め込み配線であればより好ましいが、他の形態として、配線M5を、導体膜(金属膜)のパターニングにより形成した配線(例えばアルミニウム配線)とすることもできる。配線M5により、上記下部電極接続用配線36や後述の接地電位用接続配線32bおよび電源電位用接続配線33bなどが形成されている。
配線M5が埋め込まれた絶縁膜42上には、絶縁膜(層間絶縁膜)43が形成されている。絶縁膜43には、スルーホール(開口部、孔、貫通孔)が形成されており、このスルーホール内には導電体からなるプラグ(導体部、接続用導体部)44が形成されて埋め込まれている。プラグ44は、その底部で下部電極接続用配線36(配線M5)と接して電気的に接続されている。
プラグ44が埋め込まれた絶縁膜43上には、絶縁膜(層間絶縁膜)45が形成されている。絶縁膜45には、下部電極用開口部46が形成されており、この下部電極用開口部46内には、容量素子Cp用の下部電極47が形成されて埋め込まれている。下部電極47は、その底部でプラグ44と接して電気的に接続されている。従って、下部電極47は、プラグ44を介して、下部電極接続用配線36(配線M5)に電気的に接続されている。
例えば、絶縁膜45に下部電極用開口部46を形成してから、これを埋めるようにタングステンなどからなる導体膜(金属膜)を形成し、絶縁膜45上の導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することで、下部電極47を形成することができる。また、下部電極47はシングルダマシン技術を用いて形成できるが、他の形態として、デュアルダマシン(Dual-Damascene)技術を用いて下部電極47を形成することもでき、この場合、下部電極47とプラグ44が一体的に形成される。
下部電極47上を含む絶縁膜45上に、容量素子の容量絶縁膜(誘電体膜)用の絶縁膜48が形成され、絶縁膜48上に、容量素子の上部電極用の導体膜49が形成されている。絶縁膜48は、パターニングされた絶縁膜からなり、例えば窒化シリコン膜などからなる。導体膜49は、パターニングされた導体膜からなり、例えばチタン、窒化チタン、タングステンまたは窒化タングステンなどからなる。
絶縁膜45上に、絶縁膜48および導体膜49の積層膜を覆うように、導体膜50が形成されている。導体膜50は、パターニングされた導体膜からなり、例えばアルミニウムを主成分とする導体膜(アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜)からなる。
また、導体膜50を、主導体膜と、その主導体膜の上面、下面あるいは上下両面に設けたバリア導体膜との積層膜とすることもできる。導体膜50の前記主導体膜としては、例えばアルミニウムを主成分とする主導体膜を用いることができ、導体膜50の前記バリア導体膜としては、例えばチタン膜、窒化チタン膜またはそれらの積層膜を用いることができる。
後で絶縁膜48および導体膜49となる積層膜を、下部電極47上を含む絶縁膜45の全面上に形成してから、この積層膜をパターニングし、その後、絶縁膜48および導体膜49の積層膜上を含む絶縁膜45の全面上に、後で導体膜50となる導体膜を形成してから、この導体膜をパターニングすることで、絶縁膜48、導体膜49および導体膜50を形成することができる。
導体膜50により、上記接地配線32,32aおよび電源配線33,33aが形成されている。また、導体膜49により、容量素子Cpの上部電極Epが形成されている。導体膜49と導体膜49上に位置する導体膜50とを合わせたものを上部電極Epとみなすこともできる。
絶縁膜48および導体膜49(上部電極Ep)は、図33および図34からも分かるように、平面的に下部電極47を内包する(含む)ように形成されている。また、導体膜49を形成しておけば、パターニング時の絶縁膜48へのダメージを防止できるのでより好ましいが、導体膜49の形成を省略することもできる。導体膜49の形成を省略した場合には、導体膜50は絶縁膜48の上面に接するように形成され、導体膜50のうち、絶縁膜48を介して下部電極47に対向する部分が上部電極Epとなる。
導体膜49(または導体膜49,50)からなる上部電極Epと、下部電極47と、下部電極47および上部電極Ep間の絶縁膜48とにより、MIM型の容量素子Cp(Cp1,Cp2)が形成される。上部電極Ep(導体膜49)が、容量素子Cpの一方の電極(第1電極)となり、下部電極47が、容量素子Cpの他方の電極(第2電極)となり、下部電極47と上部電極Ep(導体膜49)の間に位置する絶縁膜48が、容量素子Cpの容量絶縁膜(誘電体膜)となる。
なお、導体膜49をチタン膜またはタングステン膜などの金属膜で形成した場合だけでなく、窒化チタン膜または窒化タングステン膜などの窒化金属膜で形成した場合でも、導体膜49は金属的な伝導(電導)性を示すので金属層とみなすことができる。また、下部電極47も主としてタングステンなどの金属層により形成されている。従って、容量素子CpはMIM型の容量素子とみなすことができる。
このような容量素子Cp(Cp1,Cp2)が、半導体基板1の主面の上方にアレイ状(行列状)に配列しており、アレイ状に配列した各容量素子Cp(Cp1,Cp2)は、上記のように、絶縁膜(ここでは絶縁膜48)を介して互いに対向する下部電極47(第2電極)および上部電極Ep(第1電極)により形成されている。
本実施の形態では、半導体基板1上に複数の容量素子Cp(Cp1,Cp2)が形成されているが、それら複数の容量素子Cp(Cp1,Cp2)を形成するための複数の上部電極Ep同士は、同層の導体層からなり(形成され)、同工程で形成されており、また、それら複数の容量素子Cp(Cp1,Cp2)を形成するための複数の下部電極47同士は、同層の導体層からなり(形成され)、同工程で形成されている。上部電極Epを形成する導体層(ここでは導体膜49)は、下部電極47を形成する導体層よりも上層に形成されている。
また、絶縁膜45上には、導体膜50を覆うように、最上層の保護膜としての絶縁膜(表面保護膜)51が形成されている。導体膜50は、上記ボンディングパッド34a,34b形成用の導体膜と同層の導体膜を用いて形成されている。図33〜図40では図示されない領域において、絶縁膜51にボンディングパッド用の開口部が形成され、この開口部から導体膜50と同層の導体膜の一部が露出されて、上記ボンディングパッド34a,34bが形成されている。また、ボンディングパッド34a,34bへのワイヤボンディングなどを容易にするために、ボンディングパッド34a,34bの表面にめっき膜などを形成することもできる。また、ボンディングパッド34a,34b上に、バンプ電極を形成することもできる。
X方向に延在する複数の接地配線32aは、詳細は図示しないけれども、例えば、端部が接地配線32に連結されるなどして、接地配線32と共通の電位(ここでは接地電位V3)とされている。また、X方向に延在する複数の電源配線33aは、詳細は図示しないけれども、例えば、電源配線33,33aの下で絶縁膜43,45に形成されたスルーホール内に埋め込んだプラグと、そのプラグに接続する配線M5と同層の配線部を介して、電源配線33に電気的に接続されるなどして、電源配線33と共通の電位(ここでは電源電位V4)とされている。
また、図31、図33、図39および図40にも示されるように、配線M5により、Y方向に延在する複数の接地電位用接続配線32bとY方向に延在する複数の電源電位用接続配線33bとが形成されている。そして、接地配線32aは、絶縁膜43,45に形成されたスルーホール内に埋め込まれたプラグ52を介して接地電位用接続配線32bに電気的に接続され、電源配線33aは、絶縁膜43,45に形成されたスルーホール内に埋め込まれたプラグ52を介して電源電位用接続配線33bに電気的に接続されている。また、接地電位用接続配線32bの両端部は、半導体装置31の主面の外周部に沿って配置された接地配線32にプラグ(図示せず)などを介して電気的に接続され、電源電位用接続配線33bの両端部は、半導体装置31の主面の外周部に沿って配置された電源配線33にプラグ(図示せず)などを介して電気的に接続されている。これにより、X方向に延在する複数の接地配線32a同士は、プラグ52および接地電位用接続配線32b(すなわち導体)を介して互いに電気的に接続され、接地配線32と同じ接地電位V3が供給された状態となっている。また、X方向に延在する複数の電源配線33a同士は、プラグ52および電源電位用接続配線33b(すなわち導体)を介して互いに電気的に接続され、電源配線33と同じ電源電位V4が供給された状態となっている。
電源電位用接続配線33bを設けたことで、各電源配線33aの電源電位V4が安定化され、また、接地電位用接続配線32bを設けたことで、各接地配線32aの接地電位V3が安定化される。また、接地電位用接続配線32bを素子領域41に形成した導電性のプラグや配線(図示せず)に接続することで、接地電位用接続配線32bから素子領域41に形成した素子または回路に接地電位V3を供給することができる。また、電源電位用接続配線33bを素子領域41に形成した導電性のプラグや配線(図示せず)に接続することで、電源電位用接続配線33bから素子領域41に形成した素子または回路に電源電位V4を供給することができる。電源配線33,33aおよび電源電位用接続配線33bは、接地配線32,32aおよび接地電位用接続配線32bと容量Cp(Cp1,Cp2)を介して結合されているが、導体では接続されていない。
平面レイアウトについて、より詳細に説明する。
図32〜図34にも示されるように、X方向に延在する接地配線32aと電源配線33aとが、Y方向に所定の間隔(好ましくは等間隔)で交互に複数本並んでいる。なお、X方向とY方向とは、互いに交差する方向であり、好ましくは直交する方向である。また、各接地配線32aと各電源配線33aの配線幅(Y方向の幅または寸法)は、互いに同じであることが好ましい。各接地配線32aおよび各電源配線33aは、上記導体膜50のパターンにより形成されている。
図33〜図35に示されるように、絶縁膜48および導体膜49(上部電極Ep)の積層パターンはアレイ(行列)状に配列されているが、平面的に各接地配線32aおよび各電源配線33aに内包されるように、各接地配線32aおよび各電源配線33aの下に配置されている。このため、絶縁膜48および導体膜49の積層パターンは、接地配線32aおよび電源配線33aのY方向の配列のピッチと同じピッチでY方向に配列し、また、X方向に所定のピッチ(等間隔)で配列している。
下部電極47は、絶縁膜48および導体膜49(上部電極Ep)の積層パターンの下に平面的に内包されるように形成されている。このため、絶縁膜48および導体膜49の積層パターンと同様に下部電極47も、接地配線32aおよび電源配線33aのY方向の配列のピッチと同じピッチでY方向に配列し、また、X方向に所定のピッチ(等間隔)で配列している。
Y方向に隣り合う一対の接地配線32aおよび電源配線33aにおいて、Y方向に隣り合う下部電極47同士の下に、下部電極接続用配線36が延在しており、このY方向に延在する下部電極接続用配線36およびそれに接続するプラグ44(すなわち導体)を介して、Y方向に隣り合う下部電極47同士が電気的に接続されている。但し、各下部電極接続用配線36は、一対の接地配線32aおよび電源配線33a毎に(すなわちY方向に隣り合う一対の下部電極47毎に)独立に設けられている。このため、Y方向に隣り合う一対の下部電極47(一対の容量素子Cp1,Cp2の下部電極47同士)は、その下に延在する下部電極接続用配線36(すなわち導体)を介して互いに電気的に接続されかつ浮遊とされているが、その一対の下部電極47は、それ以外の下部電極47とは導体では接続されていない。
従って、Y方向に隣り合う一対の接地配線32aおよび電源配線33aにおいて、Y方向に隣り合う一対の下部電極47と、その一対の下部電極47上の絶縁膜48および導体膜49(上部電極Ep)の積層パターンとによって形成されている一対の容量素子Cp1,Cp2は、下部電極47同士が導体(ここでは下部電極接続用配線36)を通じて互いに電気的に接続されかつ浮遊電位とされることで、直列接続された状態となっている。そして、その一対の容量素子Cp1,Cp2の直列回路は、容量素子Cp1の上部電極Epが電源配線33aに電気的に接続され、容量素子Cp2の上部電極Epが接地配線32aに電気的に接続されている。このような直列接続された一対の容量素子Cp1,Cp2が複数(多数)、隣接する電源配線33aと接地配線32aとの間に形成され、電源配線33aと接地配線32aとの間に並列に接続された状態となっており、電源配線33aは電源配線33に接続されて電源電位V4となっており、接地配線32aは接地配線32に接続されて接地電位V3となっている。すなわち、複数の容量素子Cp1の上部電極Ep同士は、導体(ここでは接地配線32,32a)を通じて互いに電気的に接続されて接地電位V3に接続され、また、複数の容量素子Cp2の上部電極Ep同士は、導体(ここでは電源配線33,33a)を通じて互いに電気的に接続されて電源電位V4に接続されている。これにより、図31の回路図のように、電源電位V4と接地電位V3との間に、一対の容量素子Cp1,Cp2の直列回路が複数並列に接続された回路が形成される。
本実施の形態において、下部電極接続用配線36で接続されたY方向に隣り合う一対の容量素子Cp1,Cp2と、それにX方向に隣接する他の一対の容量素子Cp1,Cp2との構成、すなわち図34において二点鎖線で囲まれた領域91の4つの容量素子Cp構成は、上記実施の形態1で説明した4つの容量素子C1,C2,C3,C4の構成とほぼ同様となっている。但し、上記実施の形態1では、導体を通じて電気的に接続すべき容量素子の下部電極同士を、その下部電極を形成するのと同じ導体層(導体パターンMe1a,Me1b,PS1a,PS1bまたはn型半導体領域23a,23bに対応)で電気的に接続していた。これにより、必要な導体層の層数を低減できる。一方、本実施の形態では、導体を通じて電気的に接続すべき容量素子Cp1の下部電極47と容量素子Cp2の下部電極47とは、同層の導体層により形成されているが、一体的なパターンではなく、互いに分離されたパターン(孤立パターン)により形成されており、半導体基板1上において下部電極47を形成する導体層よりも下層に形成された導体層(ここでは下部電極接続用配線36)を介して電気的に接続している。これにより、容量素子Cp1,Cp2の下部電極47を孤立パターンにより形成することができ、下部電極47形成時にディッシングなどが生じるのを防止することができる。
また、本実施の形態は、容量素子Cpの下部電極47を浮遊電位とし、上部電極Epを接地電位V3または電源電位V4に接続しているので、上記実施の形態1の図9の構造に対応するものである。なお、本実施の形態において、接地配線32a(導体膜50)とその下の導体膜49(上部電極Ep)とを合わせたものが、上記図9の導体パターンMe1aに対応し、電源配線33a(導体膜50)とその下の導体膜49(上部電極Ep)とを合わせたものが、上記図9の導体パターンMe1bに対応する。また、本実施の形態において、下部電極47と下部電極47間を接続する下部電極接続用配線36(およびプラグ44)とを合わせたものが、上記図9の導体パターンMe2a,Me2bに対応する。容量素子Cpの対向する電極のうち、下層側の下部電極47を浮遊電位とし、上層側の上部電極Epを接地電位V3(接地配線)または電源電位V4(電源配線)に接続することにより、電源配線および接地配線の引き回しが容易になる。
図41は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図であり、上記素子領域41の構造の一例を示したものである。
半導体基板1の主面にSTI法などで絶縁体からなる素子分離領域61が形成され、素子分離領域61で規定された活性領域にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子が形成されている。
具体的には、半導体基板1の主面に、p型ウエル62aとn型ウエル62aが形成されている。p型ウエル62a上に、ゲート絶縁膜63aを介してゲート電極64aが形成されている。ゲート電極64aの両側の領域には、ソース・ドレインとしてのn型半導体領域(n型拡散層)65aが形成されている。ゲート電極64a、ゲート絶縁膜63aおよびソース・ドレインとしてのn型半導体領域65aにより、nチャネル型のMISFETが形成されている。また、n型ウエル62b上に、ゲート絶縁膜63bを介してゲート電極64bが形成されている。ゲート電極64bの両側の領域には、ソース・ドレインとしてのp型半導体領域(p型拡散層)65bが形成されている。ゲート電極64b、ゲート絶縁膜63bおよびソース・ドレインとしてのp型半導体領域65bにより、pチャネル型のMISFETが形成されている。ゲート電極64a,64bの側壁上に絶縁体からなるサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)66を形成することもでき、n型半導体領域65aおよびp型半導体領域65bをLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることもできる。また、サリサイドプロセスなどを用いて、ゲート電極64a,64b、n型半導体領域65aおよびp型半導体領域65b上に、コバルトシリサイドまたはニッケルシリサイドなどの金属シリサイド層67を形成することもできる。
半導体基板1の主面上には、ゲート電極64a,64bを覆うように、絶縁膜(層間絶縁膜)71が形成され、絶縁膜71にコンタクトホール(貫通孔)が形成され、このコンタクトホール内に導電性のプラグ72が埋め込まれている。プラグ72はゲート電極64a,64b、n型半導体領域65aまたはp型半導体領域65bなどと電気的に接続されている。
プラグ72が埋め込まれた絶縁膜71上には、絶縁膜(層間絶縁膜)73が形成されており、この絶縁膜73には配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M1が形成されている。配線M1は、最下層の配線である第1層配線(配線層)である。配線M1は、ダマシン技術(ここではシングルダマシン技術)を用いて形成することができる。
配線M1が埋め込まれた絶縁膜73上には、絶縁膜(層間絶縁膜)74が形成され、絶縁膜74には、スルーホール(貫通孔)とこのスルーホール内に埋め込まれた導電性のプラグ75が形成されている。プラグ75が埋め込まれた絶縁膜74上には、絶縁膜(層間絶縁膜)76が形成されており、この絶縁膜76には配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M2が形成されている。配線M2は、配線M1よりも1つ上層の第2層配線(配線層)である。プラグ75は、その底部で配線M1と接して電気的に接続され、その上面で配線M2と接して電気的に接続されている。
配線M2が埋め込まれた絶縁膜76上には、絶縁膜(層間絶縁膜)77が形成され、絶縁膜77には、スルーホール(貫通孔)とこのスルーホール内に埋め込まれた導電性のプラグ78が形成されている。プラグ78が埋め込まれた絶縁膜77上には、絶縁膜(層間絶縁膜)79が形成されており、この絶縁膜79には配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M3が形成されている。配線M3は、配線M2よりも1つ上層の第3層配線(配線層)である。プラグ78は、その底部で配線M2と接して電気的に接続され、その上面で配線M3と接して電気的に接続されている。
配線M3が埋め込まれた絶縁膜79上には、絶縁膜(層間絶縁膜)80が形成され、絶縁膜80には、スルーホール(貫通孔)とこのスルーホール内に埋め込まれた導電性のプラグ81が形成されている。プラグ81が埋め込まれた絶縁膜80上には、絶縁膜(層間絶縁膜)82が形成されており、この絶縁膜82には配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M4が形成されている。配線M4は、配線M3よりも1つ上層の第4層配線(配線層)である。プラグ81は、その底部で配線M3と接して電気的に接続され、その上面で配線M4と接して電気的に接続されている。
配線M2〜M4は、ダマシン技術(ここではシングルダマシン技術)を用いて形成することができ、銅を主成分とする銅配線とすることができる。また、デュアルダマシン技術を用いて配線M2〜M4を形成することもでき、この場合、配線M2とプラグ75が一体的に形成され、配線M3とプラグ78が一体的に形成され、配線M4とプラグ81が一体的に形成される。また、配線M2〜M4のうちの任意のものをシングルダマシン技術で形成し、他をデュアルダマシン技術で形成することもできる。
配線M4が埋め込まれた絶縁膜82上には、絶縁膜(層間絶縁膜)83が形成されている。ここまで(絶縁膜83まで)の構造が、上記素子領域41に対応する。
絶縁膜83上に、上記のように絶縁膜42が形成され、絶縁膜42に配線溝とこの配線溝に埋め込まれた配線M5が形成されている。配線M5により形成された下部電極接続用配線36は、下層の配線M4とは導体では接続されていないが、下部電極接続用配線36以外の配線M5(例えば接地電位用接続配線32bや電源電位用接続配線33b)は、必要に応じて、絶縁膜83に形成されたスルーホール(貫通孔)内に埋め込まれた導電性のプラグ(図示せず)を介して、下層の配線M4に電気的に接続されている。このため、接地電位用接続配線32bや電源電位用接続配線33bから、絶縁膜83のスルーホール内に埋め込んだプラグ(図示せず)、配線M4、プラグ81、配線M3、プラグ78、配線M2、プラグ75、配線M1およびプラグ72などを介して、半導体基板1の主面に形成された素子(例えば図41に示されるMISFETなど)に接地電位V3や電源電位V4を供給することができる。
更に、絶縁膜43、プラグ44、絶縁膜45、下部電極用開口部46、下部電極47、絶縁膜48、導体膜49、導体膜50および絶縁膜51が形成されているが、これらは上述したので、ここではその詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、上記実施の形態1の図7や図11と同様、上記図31のような回路構成を実現している。これにより、電源電位V4と接地電位V3との間に容量素子を介在させた回路の信頼性を上記実施の形態1で説明したのと同様の理由により大幅に向上させることができる。
すなわち、図31の回路図のように接地電位V3と電源電位V4との間に一対の容量素子Cp1,Cp2の直列回路が複数並列に接続された回路では、各直列回路の容量素子Cp1,Cp2の一方が短絡しても接地電位V3および電源電位V4間は短絡せず、いずれかの直列回路において容量素子Cp1と容量素子Cp2との両方が短絡した場合に、接地電位V3および電源電位V4間が短絡した状態となる。このため、個々の容量素子Cpの短絡により接地電位V3および電源電位V4間が短絡してしまう確率を大幅に低減でき、電源電位V4と接地電位V3との間に容量素子を介在させた回路の信頼性を大幅に向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態では、図31のような回路を形成するのに必要な導体層の層数を低減できる。例えば、電源配線33,33aおよび接地配線32,32aを形成する導体膜50、上部電極Epを形成する導体膜49、下部電極47、および下部電極接続用配線36を形成する配線M5で、図31のような回路(回路35は除く)を形成することができる。このため、半導体基板1上に形成する導体層の層数の増加を抑制しながらMIM型の容量素子Cpにより図31の回路を実現でき、半導体装置の製造コストを抑制することができる。従って、半導体装置の信頼性の向上と製造コストの低減を両立できる。
また、本実施の形態では、半導体装置31の主面全体(コア領域40の上部全体)にMIM型の容量素子Cp(Cp1,Cp2)を例えばアレイ状(行列状)に配置し、上記図31のような回路構成を実現している。このため、容量素子Cp(Cp1,Cp2)形成領域の下方も有効に利用でき、例えば上記図41のように容量素子Cp(Cp1,Cp2)形成領域の下方にMISFETなどを利用した種々の半導体集積回路を形成することができる。従って、信頼性向上のために2つの容量素子Cp1,Cp2を直列に接続したことで、たとえ所定の容量値を確保するために必要な容量素子の数や面積が大きくなったとしても、半導体装置31の平面寸法が増大するのを防止できる。
また、接地配線32(の電位V3)と電源配線33(の電位V4)との間にノイズ対策として容量素子Cp(Cp,Cp2)を介在させることで、電流消費源(コア領域40に形成された回路など)に対して電圧のドロップなどを防止でき、電源を安定化することができる。
また、本実施の形態では、半導体基板1の主面の半導体集積回路が形成された領域(すなわちコア領域40)の上部全体に、MIM型の容量素子である容量素子Cp(Cp1,Cp2)を配列(例えばアレイ状に配列)している。このように、容量素子Cpをコア領域40の上部全体(半導体装置31の主面全体)に配列(配置)することで、電流消費源・ノイズ発生源であるコア領域40に形成された回路から容量素子Cpまでの距離を短くすることができ、容量素子Cpによるノイズ防止効果をより高めることができる。また、容量素子Cpをコア領域40の上部全体に配列することで、コア領域40の回路からのノイズとコア領域40の回路へのノイズを容量素子Cpで的確に吸収することができる。半導体装置31の外部からのノイズを容量素子Cpにより吸収することで、半導体装置31内部の回路(コア領域40の回路)へのノイズの影響を防止し、また、半導体装置31の内部(コア領域40の回路)からのノイズを容量素子Cpにより吸収することで、半導体装置31が外部にノイズを放出するのを防止できる。特に、車載用(自動車用途)の半導体装置(例えばマイコン)は、使用周波数がFM帯などと近いので、ノイズ対策は重要であり、本実施の形態を適用すれば、効果が大きい。
以上のように、上記実施の形態1〜3および本実施の形態4では、一対の容量素子の直列回路を、電位V3,V4間(上記実施の形態1〜3では電位V1,V2間)に、2つ以上、すなわち複数、並列に接続している。このため、上記実施の形態1〜3および本実施の形態4の半導体装置は、電位V3(またはV1)とそれとは異なる電位V4(またはV2)との間に、一対の容量素子(以下第1容量素子および第2容量素子と呼ぶ)の直列回路(この直列回路を以下で前記直列回路と呼ぶ)が複数並列に接続された回路が半導体基板1上に形成された半導体装置である。この一対の第1容量素子および第2容量素子は、上記実施の形態1〜3では容量素子C1,C2のペアやC3,C4のペアや容量素子C(2n−1),C2nのペアに対応し、本実施の形態4では容量素子Cp1,Cp2のペアに対応し、このペアの容量素子の直列回路が電位V3,V4(またはV1,V2)間に複数、並列接続されている。
そして、電位V3,V4(またはV1,V2)間に並列接続された複数の前記直列回路の第1および第2容量素子(容量素子Cp1,Cp2,C1,C2,C3,C4に対応)の一方の電極である第1電極(上部電極Ep又は下部電極E1b,E2b,E3b,E4b)同士が同層の導体層により形成され、他方の電極である第2電極(下部電極47又は上部電極E1a,E2a,E3a,E4a)同士が同層の導体層により形成されている。これにより、必要な導体層の層数を低減して、半導体装置の製造コストを抑制できる。なお、この第2電極を構成する導体層は、第1電極を構成する導体層よりも上層または下層に形成されている。
更に、電位V3,V4間(または電位V1,V2間)に並列接続された複数の前記直列回路の第1容量素子(容量素子Cp1,C1,C3)の第1電極(上部電極Epまたは下部電極E1b,E3b)同士が、導体を通じて互いに電気的に接続されかつ電位V3(またはV1)に接続されている。また、電位V3,V4間(または電位V1,V2間)に並列接続された複数の前記直列回路の第2容量素子(容量素子Cp2,C2,C4)の第1電極(上部電極Epまたは下部電極E2b,E4b)同士が、導体を通じて互いに電気的に接続されかつ電位V4(またはV2)に接続されている。また、電位V3,V4間(または電位V1,V2間)に並列接続された複数の前記直列回路のそれぞれで、第1容量素子(容量素子Cp1,C1,C3に対応)の第2電極(下部電極47または上部電極E1a,E3a)と第2容量素子(容量素子Cp2,C2,C4)の第2電極(下部電極47または上部電極E2a,E4a)とが導体を通じて互いに電気的に接続されかつ浮遊電位とされている。但し、電位V3,V4(またはV1,V2)間に並列接続された複数の前記直列回路のそれぞれの第1および第2容量素子(容量素子Cp1,Cp2,C1,C2,C3,C4)の第2電極(下部電極47または上部電極E1a,E2a,E3a,E4a)は、他の前記直列回路の第1および第2容量素子の第2電極(下部電極47または上部電極E1a,E2a,E3a,E4a)とは導体では接続されていない。このような接続関係とすることで、上記図7、図11または図31のような回路を実現して、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
なお、上記実施の形態1〜3では、電位V1,V2間に並列接続された複数の前記直列回路のそれぞれで、第1および第2容量素子(容量素子C1,C2,C3,C4)の第2電極(上部電極E1a,E2a,E3a,E4aに対応)同士を、その第2電極を構成するのと同じ導体層(導体パターンMe1a,Me1b,PS1a,PS1bまたはn型半導体領域23a,23b)で電気的に接続している。一方、本実施の形態4では、電位V3,V4間に並列接続された複数の前記直列回路のそれぞれで、第1および第2容量素子(容量素子Cp1,Cp2)の第2電極(下部電極47)同士を、その第2電極(下部電極47)を形成する導体層よりも下層に形成された導体層(下部電極接続用配線36)を介して電気的に接続している。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。