JP5211858B2 - 空気電池 - Google Patents
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Description
Takeshi Ogasawara et al, "Rechargeable Li2O2 Electrode for Lithium Batteries", Journal of the American Chemical Society 2006, 128, 1390-1393
まず、本発明の空気電池について説明する。本発明の空気電池は、導電性材料を含有する空気極層および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、上記空気極層および上記負極層の間に設置されたセパレータと、上記空気極層および上記負極層の間で金属イオンの伝導を担う電解質と、を有する空気電池であって、上記空気極層が、触媒として、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンを含有することを特徴とするものである。
以下、本発明の空気電池について、構成ごとに説明する。
本発明に用いられる空気極は、導電性材料を含有する空気極層、および上記空気極層の集電を行う空気極集電体を有するものである。さらに、本発明に用いられる空気極層は、触媒として、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンを含有する。
本発明に用いられる空気極層は、少なくとも、導電性材料と、触媒として機能する高純度ラムズデライト型二酸化マンガンを有する。さらに必要に応じて、結着材等を含有していても良い。
本発明においては、触媒として、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンが用いられる。本発明においては、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンの純度は、Jahn-Teller distortion factorを用いて評価することができ、ラムズデライト型二酸化マンガンの理論値である0.95に近いことが好ましい。具体的には、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンのJahn-Teller distortion factorが、例えば0.9以上であることが好ましい。
上述したように、本発明に用いられる空気極層は、導電性材料を含有する。導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料等を挙げることができる。さらに、炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであっても良いが、本発明においては、多孔質構造を有するものであることが好ましい。比表面積が大きく、多くの反応場を提供することができるからである。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブおよびカーボンファイバー等を挙げることができる。空気極層における導電性材料の含有量としては、例えば65重量%〜99重量%の範囲内、中でも75重量%〜95重量%の範囲内であることが好ましい。導電性材料の含有量が少なすぎると、反応場が減少し、電池容量の低下が生じる可能性があり、導電性材料の含有量が多すぎると、相対的に触媒の含有量が減り、充分な触媒機能を発揮できない可能性があるからである。
本発明に用いられる空気極集電体は、空気極層の集電を行う機能を有するものである。空気極集電体の材料としては、例えばステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等を挙げることができる。空気極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。中でも、本発明においては、空気極集電体の形状がメッシュ状であることが好ましい。集電効率に優れているからである。この場合、通常、空気極層の内部にメッシュ状の空気極集電体が配置される。さらに、本発明においては、メッシュ状の空気極集電体により集電された電荷を集電する別の空気極集電体(例えば箔状の集電体)を用いても良い。また、本発明においては、後述する電池ケースが空気極集電体の機能を兼ね備えていても良い。
本発明における空気極の形成方法は、上述した空気極を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。空気極の形成方法の一例としては、導電性材料、高純度ラムズデライト型二酸化マンガン、結着材および溶媒を含有する空気極層形成用ペーストを作製し、この空気極層形成用ペーストを、空気極集電体上に塗布して、乾燥する方法等を挙げることができる。また、空気極の形成方法の他の例としては、導電性材料、高純度ラムズデライト型二酸化マンガンおよび結着材を混練して、ペレットを作製し、このペレットと空気極集電体とを圧着する方法等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる負極について説明する。本発明に用いられる負極は、負極活物質を含有する負極層および上記負極層の集電を行う負極集電体を有する。
次に、本発明に用いられるセパレータについて説明する。本発明に用いられるセパレータは、上記空気極層および上記負極層の間に設置されるものである。上記セパレータとしては、空気極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布;およびリチウムポリマー電池に使用されているポリマー材料等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる電解質について説明する。本発明に用いられる電解質の形態は、金属イオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、液状(電解液)、固体状(固体電解質)、ゲル状(ゲル電解質)等を挙げることができる。ここで、本発明に用いられる電解質の一例として、リチウム空気電池に用いられる電解液について説明する。
次に、本発明に用いられる電池ケースについて説明する。本発明に用いられる電池ケースの形状としては、上述した空気極、負極、セパレータ、電解質を保持することができれば特に限定されるものではないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。また、電池ケースは、開放型電池ケースであっても良く、密閉型電池ケースであっても良い。ここで、開放型電池ケースとは、大気と接触可能な電池ケースをいい、上述した図1に示すような電池ケースをいう。一方、電池ケースが密閉型電池ケースである場合は、密閉型電池ケースに、空気(酸素)の供給管および排出管を設けることが好ましい。
本発明の空気電池は、上述した触媒を含有する空気極層を備えたものであれば特に限定されるものではない。中でも、本発明の空気電池は、電極反応時に、空気極層のより多くの領域が電解液に浸漬していることが好ましい。特に、本発明の空気電池は、放電または充放電に伴う電極の体積変化が生じた際に、空気極層および負極層が常に電解液で満たされていることが好ましい。空気極層および負極層が常に電解液で満たされていれば、電解液不足に起因する内部抵抗の増加を抑制することができるからである。
次に、本発明の空気電池の製造方法について説明する。本発明の空気電池の製造方法は、上述した空気電池を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、一般的な空気電池の製造方法と同様の方法を用いることができる。例えば、コインセル型の空気電池を製造する場合は、不活性ガス雰囲気下において、まず、負極層および負極集電体を有する負極を負極側電池ケースに配置し、次に、その負極層上にセパレータを配置し、次に、そのセパレータ上から、フッ素含有化合物を含有する溶媒を用いた電解液を注液し、次に、空気極層および空気極集電体を有する空気極を、空気極をセパレータ側に向けて配置し、次に、空気極側電池ケースに配置し、最後にこれらをかしめる方法等を挙げることができる。また、本発明の空気電池の製造方法は、後述する「B.空気電池の製造方法」に記載する方法であっても良い。
次に、本発明の空気電池の製造方法について説明する。本発明の空気電池の製造方法は、導電性材料および高純度ラムズデライト型二酸化マンガンを、メカニカルミリングにより混合し、上記導電性材料の表面を上記高純度ラムズデライト型二酸化マンガンで被覆した触媒被覆導電性材料を形成する触媒被覆導電性材料形成工程と、上記触媒被覆導電性材料を含有する空気極層形成用組成物を用いて、空気極集電体上に空気極層を形成する空気極層形成工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明における触媒被覆導電性材料形成工程は、導電性材料および高純度ラムズデライト型二酸化マンガンを、メカニカルミリングにより混合し、上記導電性材料の表面を上記高純度ラムズデライト型二酸化マンガンで被覆した触媒被覆導電性材料を形成する工程である。
本発明における空気極層形成工程は、上記触媒被覆導電性材料を含有する空気極層形成用組成物を用いて、空気極集電体上に空気極層を形成する工程である。
上述した触媒被覆導電性材料形成工程および空気極層形成工程を行うことにより、空気極を得ることができる。その他の工程については、一般的な空気電池の製造方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
[実施例]
本実施例においては、コインセル型のリチウム空気二次電池を作製した。なお、コインセルの組立はアルゴンボックス内で行った。
コインセルの模式図を図4に示す。負極ケース22、空気極ケース20はともにSUS材からなり、空気極ケース20は、直径2mmの貫通孔29を複数有している。まず、負極ケース22の上に、金属リチウム箔24を配置した。金属リチウム箔24として、厚み250μmのシートを直径18mmで打ち抜いたものを使用した。次に、金属リチウム箔24の上にポリエチレン製セパレータ25を設置した。セパレータ25として、厚み25μmのシートを直径19.5mmに打ち抜いたものを使用した。次に、セパレータ25の上から、電解液23をスポイトで注液した。電解液23には、エチレンカーボネート(キシダ化学製):ジエチルカーボネート(キシダ化学製)=1:1(体積比)で混合した混合溶媒中にLiClO4(キシダ化学製)を濃度1Mで溶解させたものを使用した。
触媒を、電解二酸化マンガン(高純度化学研究所製)に変更したこと以外は、実施例と同様にしてコインセルを得た。
実施例および比較例で得られたコインセルを用いて、放電容量試験およびサイクル試験を行った。
放電容量試験により、一次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件で放電を行い、放電容量を測定した。その結果を表1に示す。なお、下記(g−carbon)とは、正極層中のカーボン重量をいう。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるまで放電を行う
サイクル試験により、二次電池としての機能を評価した。まず、得られたコインセルをセルケースにはめ込み、それをガラス容器に入れ、アルミニウム製の蓋で密閉した。なお、正極端子および負極端子の配線は、アルミニウム製の蓋から取り出せるようにした。このガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、アルミニウム製の蓋に備え付けられた配管を用いて、ガラス容器内をアルゴンから酸素にガス置換した。その後、以下の放電条件および充電条件で充放電を行い、10サイクル目の放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
・放電条件:50mA/(g−carbon)の電流で電池電圧2Vになるか、1500mAh/(g−carbon)の電気量に到達するまで放電を行う
・充電条件:25mA/(g−carbon)の電流で電池電圧4.3Vになるまで充電を行う
なお、サイクル試験は放電から開始した。
1a … 下部絶縁ケース
1b … 上部絶縁ケース
2 … 負極集電体
2´ … 負極リード
3 … 負極層
4 … 空気極層
5 … 空気極メッシュ
6 … 空気極集電体
6´ … 空気極リード
7 … セパレータ
8 … 微多孔膜
9 … 電解液
Claims (3)
- 導電性材料を含有する空気極層および前記空気極層の集電を行う空気極集電体を有する空気極と、負極活物質を含有する負極層および前記負極層の集電を行う負極集電体を有する負極と、前記空気極層および前記負極層の間に設置されたセパレータと、前記空気極層および前記負極層の間で金属イオンの伝導を担う電解質と、を有する空気電池であって、
前記空気極層が、触媒として、Jahn-Teller distortion factorが0.9以上であるラムズデライト型二酸化マンガンを含有することを特徴とする空気電池。 - 導電性材料、およびJahn-Teller distortion factorが0.9以上であるラムズデライト型二酸化マンガンを、メカニカルミリングにより混合し、前記導電性材料の表面を前記ラムズデライト型二酸化マンガンで被覆した触媒被覆導電性材料を形成する触媒被覆導電性材料形成工程と、
前記触媒被覆導電性材料を含有する空気極層形成用組成物を用いて、空気極集電体上に空気極層を形成する空気極層形成工程と、
を有することを特徴とする空気電池の製造方法。 - 前記メカニカルミリングが、ボールミルであることを特徴とする請求項2に記載の空気電池の製造方法。
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