JP5211105B2 - 浄水器用カートリッジ - Google Patents
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Description
活性炭部10は、保持部としての下側キャップ11及び上側キャップ12間に活性炭15を挟持して保持した全体構成となっている。詳細には、下側キャップ11は、所定直径の浅い円形キャップ状をなし、円盤状部分の外周から上方に直交して延びるよう(短い円筒状の)外周側係止部11aを一体形成している。また、下側キャップ11は、その底面中心部に、上方に直交して延びるよう、かつ、外周側係止部11aより若干長い突出長となるよう、所定直径(小径)の所定円筒状をなす内周側係止部11bを一体形成している。なお、下側キャップ11の底面(図1の上面)における外周側係止部11aと内周側係止部11bとの間のリング板状部分には、対応する所定直径の連続円環状(または破線を円環状に連続した断続円環状)をなす溝部11cが、複数(合計3個)、一定間隔をおいて同心状となるよう、所定深さで形成されている。また、上側キャップ12は、所定直径の浅い円形キャップ状をなし、円盤状部分の外周から下方に直交して延びるよう(短い円筒状の)外周側係止部12aを一体形成している。上側キャップ12の直径(外径及び内径)は下側キャップ11の直径(外径及び内径)と同一に設定されている。
中空糸膜部20は、収納部としての中空糸膜ケース21内に多数の中空糸からなる中空糸膜27を所定の充填量及び所定の充填密度で充填した構成となっている。詳細には、中空糸膜ケース21の主要部(下端を除き高さ方向の大部分を占める部分)は、前記活性炭部10の上側キャップ12の直径(外径)より所定寸法だけ小さい直径(外径)の円筒状をなしている。また、中空糸膜ケース21は、その外径よりも厚み分(厚みの2倍)だけ小さい内径を有し、当該内径で軸方向に延びる断面円筒状の内部空間20Aを内部に形成している。更に、中空糸膜ケース21は、その下端の外周縁から外方へと直交して張り出すよう、略リング状またはフランジ状の段差部22を一体形成している。段差部22は、中空糸膜ケース21の下端から外方に延びた後下方に直交して突出するリング状のキャップ形状をなしている。段差部22の内径は、上側キャップ12の段差部12bの外径と同一とされ、段差部22を段差部12bの外周側に密接して係合(浅く嵌合)自在となっている。更に、中空糸膜ケース21の上端部外周面には、その全周にわたって周方向に延びるOリング溝23が形成されている。Oリング溝23には対応する直径のシール材としてのOリング25が弾性的に装着して保持される。また、中空糸膜ケース21の外周面には、周方向に180度の角度を置いて対向する一対の部位(正面及び背面)に、それぞれ、上方に向かう白抜き矢印状の表示部24が(中空糸膜ケース21の外周面から若干浮き上がるようにした浮かし彫り等)によって設けられている。表示部24の内部には、「水流方向」の文字が刻設等により設けられている。
上側キャップ12と下側キャップ11との間に(不織布16を外周面に貼付した)活性炭15を挟持して保持し、上側キャップ12及び下側キャップ11と活性炭15の上下両端部(対向する上端部の外周面部分)とを、それぞれ、ホットメルト接着剤等によって接着することにより、上記構成のとおり、活性炭15をその外部(不織布16を介した外周面)から内部(浄水流路15A)へと通水自在とし、かつ、内部(浄水流路15A)を通過した後に所定部位(上端中心部)の出水部としての連通孔12dから活性炭の外部(上方中心部)へと出水自在となるように保持した活性炭部10を製作することができる。また、中空糸膜27を密閉容器状の中空糸膜ケース21の内部空間20Aに上記のような形態で収容及び充填して、その開口端部をポッテイングして固定及び保持することにより、上記構成の中空糸膜部20を製作することができる。そして、このように製作した活性炭部10の上端(軸方向の下流側である下流端)に中空糸膜部20を同軸状となるよう一体的に連結することにより、本実施の形態の浄水器用カートリッジを得ることができる。即ち、中空糸膜部20の段差部22を活性炭部10の上側キャップ12の段差部12bに嵌合して、超音波溶着等の接着・結合技術により一体的に接合することにより、活性炭部10及び中空糸膜部20が同軸状に延びる段付き円柱状の外形を呈する本実施の形態の浄水器用カートリッジを製作することができる。
活性炭15は、規定の総ろ過水量を得るために活性炭15に要求される充填量及び容積となるような形状及び寸法を有している。具体的には、活性炭部10は、活性炭15の充填量を、当該吸着ろ過材としての活性炭用の浄水能力としての既定の総ろ過水量(即ち、典型的には、JIS S 3201で定義される、活性炭15の除去物質の除去率が当初の除去率(100%)に対して80%となるまでの総ろ過水量)を得るために要求される最少充填量に設定している。この活性炭15の最少充填量及び容積は、例えば、前記既定の総ろ過水量が3400L(除去率80%)の場合、本実施の形態のような繊維状の活性炭15では、活性炭15は、外径38mm、内径10mm、軸方向長さ50mmの円筒状に形成すれば、要求される充填量及び容積を満足することができる。なお、活性炭15の容積は、同一充填量でも、充填密度に応じて変化する。即ち、活性炭15の充填密度が高いと容積は小さくなり、充填密度が低いと容積は大きくなる。したがって、上側キャップ12及び下側キャップ11は、活性炭15の形状及び寸法に合わせて、その形状及び寸法が設定され、本実施の形態の場合、上側キャップ12及び下側キャップ11の外径は、活性炭の外径に対応する外径(正確には、不織布16の厚み分と上側キャップ12及び下側キャップ11のそれぞれの両側の厚み分を加算した分だけ大きな外径)に設定されている。
中空糸膜27は、規定の総ろ過水量を得るために中空糸膜27に要求される充填量及び充填密度となるように中空糸膜ケース21の内部空間20Aに収容して充填されている。具体的には、中空糸膜部20は、中空糸膜27の充填量を、当該膜分離ろ過材としての中空糸膜27用の浄水能力としての規定の総ろ過水量(即ち、典型的には、JIS S 3201で定義される、中空糸膜27を通過する水の流量であるろ過流量が当初のろ過流量(100%)に対して50%となるまでの総ろ過水量)を得るために要求される最少充填量に設定している。また、この中空糸膜27の最少充填量は、例えば、前記既定の総ろ過水量が3400L(ろ過流量50%)の場合、本実施の形態のような中空糸膜27(例えば、各中空糸の外径が約0.3mm、約0.4mmまたは約0.5mm程度のもの)では、中空糸膜ケース21を、外径32.3mm、最大内径29.5mm(最小内径27.2mm)、軸方向長さ72mmの円筒状に形成して、この中空糸膜ケース21の内部空間20Aに中空糸膜27を密に充填すれば、上記規定の浄水能力を達成するために要求される充填量及び充填密度を満足することができる。なお、中空糸膜の充填密度は、同一充填量でも、中空糸膜ケース21の(内径及び軸方向長さにより決定される)容積に応じて変化する。即ち、中空糸膜ケース21の容積が大きいと充填密度は低くなり、容積が小さいと充填密度は高くなる。本実施の形態では、上記中空糸膜27の充填量及び充填密度を満足すると、中空糸膜部20の直径(中空糸膜ケース21の直径)は、活性炭部10の直径(上側キャップ12及び下側キャップ11の外径)よりも、前記段差部22の水平方向への突出長だけ小さくなり、これにより、前記最少充填量の中空糸膜27を中空糸膜部20の内部空間20Aに密に充填して収納することができる。なお、「密に充填」とは、中空糸膜部20の内部空間20Aにおいて中空糸膜27の隣接する中空糸が密に接触する充填状態以外にも、中空糸の間に微小な隙間が存在する充填状態も含む。
上記のように、本実施の形態の浄水器用カートリッジは、中空糸膜部20の中空糸膜27の総ろ過水量(ろ過流量50%で3400L)を活性炭部10の総ろ過水量(除去率80%で3400L)と同一値に設定した上で、まず、活性炭部10の寸法(特に外径)を設定し、その後、中空膜部20の寸法(特に外径)を前記活性炭部10より所定寸法だけ小さくなるように設定し、これにより、全体が段付円柱状になるようにしている。即ち、本実施の形態の浄水器用カートリッジは、上記形状及び寸法の活性炭部10及び中空糸膜部20としたことにより、下端から上端に向かって段差部22で直径が所定寸法だけ小さくなる段付き円柱状となり、中空糸膜部20の直径及び容積が従来の単純円柱状のものよりも所定割合だけ小径及び小容積となる。これにより、本実施の形態の段付き円柱状の浄水器用カートリッジは、中空糸膜27の充填密度(中空糸膜の収容部の容積に占める中空糸膜の総容積の割合であり、中空糸膜ケース21の断面積に対する収容部中空糸膜27の合計断面積の割合に相当する)を、約75%〜約90%の範囲、好ましくは約80%〜約85%の範囲として、非常に高い密度とすることができ、従来の単純円柱状の浄水器用カートリッジと比較して、活性炭部10を同一直径及び同一軸方向長さと想定した場合に、中空糸膜27の充填密度を大幅に増大することができる。
本実施の形態の浄水器用カートリッジは、浄水器専用水栓等の浄水器のカートリッジ内蔵部に装着して使用される。このとき、浄水器のカートリッジ内蔵部に通水すると、カートリッジ内蔵部に進入した原水は、上流側の活性炭部10の外周面からその内部に進入するが、このとき、まず、不織布16によって比較的大きな粒径の物質が通過を遮断されて除去される。次に、不織布16からの水が活性炭15の内部に進入してその浄水流路15Aへと放出されるときに、活性炭15内部の吸着構造(多数の細孔)によって、遊離残留塩素、CAT(農薬)、2−MIB(カビ臭原因物質)、溶解性鉛が吸着除去されると共に、一定の濁り原因物質も吸着除去される。その後、活性炭15の浄水流路15Aに進入した水は、連通孔12dを介して中空糸膜部20の内部空間20A内に進入する。そして、活性炭部10から連通孔12dを介して供給された水(一次浄化された一次浄水)が、次段の下流側の中空糸膜部20の内部空間20A内に所定の水圧で吐出されて進入し、内部空間20Aに充填された中空糸膜27の外周面の多数の細孔から内部の軸方向に延びる貫通孔の内部に進入するときに、活性炭15によって捕捉されず活性炭15を通過した有害物質(細菌や原虫等の微生物、さび等)が、中空糸膜27の中空糸壁によって膜分離除去されると共に、残留する濁り原因物質も同様に膜分離除去される。その後、中空糸膜27の各中空糸内部の水(二次浄化された二次浄水)は、中空糸膜27の吐水孔29から吐出される。なお、浄水器カートリッジの下流端にある中空糸膜部20の吐水孔29には、浄水器の吐水パイプに連通する連通孔が水密に対向しており、中空糸膜部20の吐水孔29から吐出された浄水は、浄水器の吐水パイプ内に流入して、吐水パイプ先端の吐水口から吐出される。なお、本実施の形態の浄水器用カートリッジでは、上記構成により、使用可能な最小動水圧が0.05MPaとなり、ろ過流量が2.0L/分となり、浄水能力(JIS S 3201試験による)が、遊離残留塩素、CAT、2−MIB及び溶解性鉛のいずれについても、総ろ過水量3400L(除去率80%)となり、濁りについても、総ろ過水量3400L(ろ過流量50%)となって、従来の蛇口一体型カートリッジ(スパウトインタイプ)等と比較して、非常に高い浄水能力を発揮することができる。
なお、本発明に係る浄水器用カートリッジでは、活性炭部の活性炭は、上記繊維状活性炭以外にも、粉状活性炭や粒状活性炭、または、これを選択的に組み合わせた混合材から所定円筒状に成形した固形状活性炭を使用することもできる。ただし、この場合も、活性炭の充填量及び容積は、上記のように、既定の浄水能力を満足できる最小値とすることで、過剰な量の活性炭による無駄をなくすことができる。また、このとき、中空糸膜の充填量は、上記のとおり、活性炭の充填量とは独立して設定され、中空糸膜自体に要求される既定の浄水能力を満足する最少充填量で収納部に充填することで、過剰な量の中空糸膜による無駄をなくすことができる。更に、本発明の浄水器用カートリッジは、連続式の浄水器であれば、浄水器専用水栓以外の浄水器に適用することができる。また、本発明の浄水器用カートリッジは、吸着ろ過部として、活性炭以外の公知の構成を採用することもでき、更に、吸着ろ過部の保持部も、上記以外の構成とすることができる。
11:下側キャップ(保持部)、12:上側キャップ(保持部)
15:活性炭(吸着ろ過材)
20:中空糸膜部(膜分離ろ過部)
21:中空糸膜ケース(収納部)、22:段差部
24:表示部、27:中空糸膜
Claims (3)
- 連続式の浄水器に装着自在とされた規定の浄水能力を有する浄水器用カートリッジであって、
吸着ろ過材と、前記吸着ろ過材を、その外部から内部へと通水自在とし、かつ、内部を通過した後に所定部位の出水部から外部へと出水自在となるように保持する保持部とからなる吸着ろ過部と、
中空糸膜と、前記吸着ろ過部の保持部の出水部と連通する内部空間を有し、前記中空糸膜を前記内部空間に充填して収納する密閉容器状をなし、かつ、前記中空糸膜の開口端を外部に開放して露出する収納部とからなり、前記吸着ろ過部の軸方向の下流側に同軸状となるよう一体的に連結された膜分離ろ過部とを備え、
前記吸着ろ過部は、前記吸着ろ過材の充填量を前記吸着ろ過材用の浄水能力としてのJISに規定の総ろ過水量を得るために要求される最少充填量に設定し、かつ、前記吸着ろ過材の直径及び軸方向長さを当該最少充填量に応じた直径及び軸方向長さに設定して前記吸着ろ過材を形成すると共に、当該吸着ろ過材を保持する前記保持部の外径を当該吸着ろ過材の直径の外径に対応する直径に設定し、
前記膜分離ろ過部は、前記中空糸膜の充填量を前記中空糸膜用の浄水能力としてのJISに規定の総ろ過水量であって、前記吸着ろ過部の総ろ過水量と同一値である総ろ過水量を得るための最小充填量に設定すると共に、前記収納部において前記保持部と連結する境界部に設けた段差部によって当該収納部を前記保持部に連結して、当該収納部のうち前記段差部以外の部分の外径を、前記吸着ろ過部の保持部の外径よりも小さい小径であって、かつ、前記最小充填量の中空糸膜を密に充填して収納する小径としたことを特徴とする浄水器用カートリッジ。 - 前記吸着ろ過部の吸着ろ過材は活性炭であり、前記吸着ろ過部は、前記活性炭の充填量及び容積を前記活性炭用の浄水能力としての規定の総ろ過水量を得るために要求される最少充填量及び最小容積に設定し、かつ、前記活性炭の直径及び軸方向長さを当該最少充填量及び最小容積に応じた直径及び軸方向長さに設定して前記活性炭を円筒状に形成すると共に、当該活性炭を保持する前記保持部の外径を当該活性炭の外径とほぼ同一の外径に設定し、
前記膜分離ろ過部は、前記中空糸膜の充填量を前記中空糸膜用の浄水能力としての規定の総ろ過水量を得るために要求される最少充填量に設定すると共に、前記収納部を、前記吸着ろ過部の保持部の直径よりも小さく、かつ、前記最少充填量の中空糸膜を密に充填して収納する直径の円筒状をなす中空糸膜ケースにより構成し、前記中空糸膜ケースにおいて前記活性炭と連結する境界部に設けた段差部によって前記活性炭の上流端側に一体的に連結し、かつ、前記収納部内に前記中空糸膜を約75%〜約90%の範囲の充填密度で密に充填したことを特徴とする請求項1記載の浄水器用カートリッジ。 - 前記膜分離ろ過部は、前記収納部の外周面に、通水方向に沿った矢印状の表示部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の浄水カートリッジ。
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