JP2006015199A - 水栓内蔵型浄水カートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】活性炭並びに中空糸膜の濾過性能を最大限に発揮させ、長期間に亘り、この優れた濾過性能を維持できるようにした長寿命の水栓内蔵型浄水カートリッジを提供する。
【解決手段】筒形ケース3内にこのケース3の開口部3aに封止部4を固着させた中空糸膜部1を設け、この中空糸膜部1に活性炭部6を直列配置した水栓内蔵用の浄水カートリッジ20であって、前記中空糸膜部1の後端と前記活性炭部6の先端との間に離間部13を設けると共に、この離間部13に分散体5を設け、この分散体5に前記活性炭部層を通過した水を筒形ケース3の径方向に放射状に分散させる分散口5bを形成した水栓内蔵型浄水カートリッジである。
【選択図】 図9
【解決手段】筒形ケース3内にこのケース3の開口部3aに封止部4を固着させた中空糸膜部1を設け、この中空糸膜部1に活性炭部6を直列配置した水栓内蔵用の浄水カートリッジ20であって、前記中空糸膜部1の後端と前記活性炭部6の先端との間に離間部13を設けると共に、この離間部13に分散体5を設け、この分散体5に前記活性炭部層を通過した水を筒形ケース3の径方向に放射状に分散させる分散口5bを形成した水栓内蔵型浄水カートリッジである。
【選択図】 図9
Description
本発明は、水道水などの原水を浄化するため、水栓に装備される浄水カートリッジに関し、特に、残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−メチルイソボルネオール等を除去する活性炭と、バクテリアや微粒子等を除去する中空糸膜とを具備した小型の水栓内蔵型浄水カートリッジに関する。
従来、原水内に含有される残留塩素成分を除去或は塩素イオンに分解でき、原水と浄水とを切り換え可能に設けた水栓として、例えば、各種のシャワーヘッドが提供されており、浄水機能付きシャワーヘッドに設けた流路切換弁を切り換えることで、浄水又は原水を吐出させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一例として、特開2001−303635号公報記載のシャワーヘッド内には、筒状をした水質浄化用のカートリッジが装着されており、通常はこのカートリッジの外周に原水を流し、一方、濾過時にはカートリッジの外周からカートリッジ内部の中空部に、浄水流路を形成して濾過を行っている。この水質浄化用のカートリッジは、筒状に形成した活性炭を主成分とする水質浄化材の外周面に、不織布、スポンジ又は網などから成るフィルターを周設しており、このフィルターは通常時においても原水と接する構造となっている。濾過時においては、流路切換弁を切り換え、流路を浄水側とした場合、原水がカートリッジの外周側流路からフィルター並びに水質浄化材を通過して、水質浄化材の中央に形成された中空部に浄水が流出するようにしている。
また、筒状の濾材を内部に装着した浄水シャワーとして、通常は筒状カートリッジの中空部に原水を流すようにしておき、浄水使用時には、カートリッジの外周から中空部に向けて浄水流路を形成するようにしたものも提案されている。この浄水シャワーを浄水側に切り換えると、カートリッジの外周側から中央部に向けて圧力が加わるため、この耐圧手段として、カートリッジの中空部に多孔質プラスチックや、側面に多数の穴を設けたプラスチック等からなる筒状補強材を配置するのが一般的である。
上記カートリッジに用いる水質浄化材として、遊離残留塩素を除去するための繊維状活性炭が用いられているが、この活性炭は水中のバクテリアや微粒子などを除去・分解することはできないため、これらは水中に含まれた状態で流出されていた。また、シャワーヘッドに内蔵された上記カートリッジは、原水と浄水との切り換えにかかわらず、フィルターや濾材である水質浄化材が常に原水と接した構造であるため、シャワーを原水のみで使用した場合であっても、カートリッジの濾過性能は大きく低下してしまい、浄水カートリッジの寿命を短くすることになる。
上記したように、カートリッジの中空部に多孔質プラスチックや、側面に多数の穴を設けたプラスチック等からなる補強材を設けた場合、この補強材の目詰まりによって濾過流量が低下するおそれがあり、単に穴を有するプラスチック製の補強材を活性炭層の保護部材として用いると、穴近傍の繊維状活性炭層のみが濾過に寄与するだけで、活性炭層全体を効率的に利用することは困難であった。そこで、このような問題を解決するため、残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−メチルイソボルネオール等を除去する活性炭と、バクテリアや微粒子等を除去する中空糸膜とを組み合わせた浄水カートリッジが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
例えば、特開2002−346550号公報記載の浄水カートリッジは、活性炭と中空糸膜を直列状態に配置した浄水カートリッジであり、両端が開放され、中空糸膜が充填された筒状の中空糸膜ケースと、筒状で内部に通水路が形成され、水が外から内方向に向かって流れる吸着材が充填された吸着材ユニットから成り、前記吸着材ユニットは、吸着材の片端部に穴付キャップを設け、一方の端部には穴なしキャップを各々設けており、この穴付キャップと穴なしキャップが吸着材の内部の通水路を通るスリット筒を介して連結され、前記中空糸膜ケースと吸着材ユニットが略同一の断面積を有して、直列且つ水密的に接続された構造を有している。
特開2001−303635号公報
特開2002−346550号公報
しかしながら、特開2002−346550号公報(特許文献2)のように、活性炭と中空糸膜を直列状態に配置する構造においては、活性炭部から流入した高速水流が直接中空糸膜に当たり、中空糸膜が屈曲して流量が低下したり、中空糸膜が切れてモジュール完全性が損なわれるおそれがあった。更に、中空糸膜のポアサイズより大きな濁度物質が中空糸膜に衝突して、本来は除去されるはずの粒子サイズであっても、直圧により粒子が細断されて二次側へ流出する、いわゆるパンチアウト現象が発生するおそれもあった。更には、局所的な流れを形成した水がポッティング部に衝突して、中空糸膜を結束していた封止材が剥離してしまうおそれもあった。これらの問題は、勿論、水が直接中空糸膜部に流れ込む構造であれば発生する。
本発明は、上記の課題点に鑑み、鋭意研究の結果開発に至ったものであり、その目的とするところは、活性炭並びに中空糸膜の濾過性能を最大限に発揮させ、長期間に亘り、優れた濾過性能を維持できるようにした長寿命の水栓内蔵型浄水カートリッジを提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、筒形ケース内にこのケースの開口部に封止部を固着させた中空糸膜部を設け、この中空糸膜部に活性炭部を直列配置した水栓内蔵用の浄水カートリッジであって、前記中空糸膜部の後端と前記活性炭部の先端との間に離間部を設けると共に、この離間部に分散体を設け、この分散体に前記活性炭部層を通過した水を筒形ケースの径方向に放射状に分散させる分散口を形成した水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項2に係る発明は、前記筒形ケースの後端部に、分散体の外周部を超音波溶着にて接合した水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項3に係る発明は、前記分散体の流出側には、周壁に適宜数の分散口を形成した円筒部を突設し、前記活性炭部の中空部に形成した通水路からの水を分散して中空糸膜部の径方向へ放射状に均一分散するようにした水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項4に係る発明は、前記筒形ケースの最大外径及び最大内径を、水栓に設けたカートリッジ収納部の最小内径の90%乃至98%とし、且つ、中空糸膜の封止部となる筒形ケースの開口部を縮径して、封止部の途中に段部を形成するようにした水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項5に係る発明は、前記封止部の原水側の内径断面積に対し、中空糸膜の膜充填率を47%以上とした水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項6に係る発明は、前記中空糸膜はポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の親水基を持つマイナス荷電材料から成る水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項7に係る発明は、前記中空糸膜を中心から外方へ放射状に折返し、膜束を断面噴水状のループを成すように結束した水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項8に係る発明は、前記中空糸膜部の後端部と前記分散体との間に、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレート等のオレフィン系材料から成る不織布を設け、前記分散体との接触を防止するようにした水栓内蔵型浄水カートリッジである。
請求項1又は3に係る発明によると、活性炭部から流入する高速水流が直接中空糸膜に当たることに起因して、中空糸膜が屈曲して流量が低下したり、中空糸膜が切れてモジュール完全性が損なわれる問題を解消し、更に、中空糸膜のポアサイズより大きな濁度物質が中空糸膜に衝突して、本来除去されるはずの粒子サイズであっても、直圧により粒子が細断されて二次側へ流出する現象を防止することができ、更には、局所的な水流の形成を防ぐことで、水が衝突することに起因する封止部の剥離を防止する効果を奏する。しかも、径方向に放射状に均一分散した水は、中空糸膜部の最外周と筒形ケースの内周との間に形成された空間にも流入し、最外周に位置する中空糸膜もその濾過機能を充分に発揮させることができる。また、ポリプロピレン等のオレフィン系材料より脆い、ポリエーテルサルフォンやポリサルフォンから成る中空糸膜を採用した場合であっても、上記のような問題は解消される。
請求項2に係る発明によると、超音波溶着を採用することで、ホットメルトによる接合に比べ、接着剤による外観不良を起こすこともなく、しかも、人体に有害な溶剤の浸出も防ぐという有用な効果を奏する。
請求項4に係る発明によると、筒形ケースの内径を極力大きくして、中空糸膜周辺の空間を確保することで、水中の濁度物質が中空糸膜の周辺で効果的に濾過され、濁り濾過性能を向上させるとができ、更に、筒形ケースの最大内径部での中空糸膜一本一本の周囲空間を好適に確保できるので、中空糸膜表面への汚濁物質の総堆積量を増大させることが可能となった。また、封止部の途中に段部を形成したことで、特に中空糸膜の目詰まりが進行した状態において中空糸膜を通過する水の流動抵抗による水圧を受けて発生する封止部のせん断力に対する強度を向上させることが可能になった。
請求項5に係る発明によると、膜充填率42%のカートリッジに比べ、膜充填率47%の膜面積を増大させたカートリッジは、濁度物質として微小な粒子が多く存在する水道水であっても、平均1.5倍程度の濁り濾過寿命の改善を図ることが可能となった。また、封止条件の最適化により、膜充填率を57%まで高めることが可能であり、この場合には前記条件にて平均2倍程度の濁り濾過寿命の改善を図ることが可能となった。
請求項6に係る発明によると、ポリプロピレン等のオレフィン系材料から成る中空糸膜の場合は、膜自体がプラスの荷電材料であるため、一般にマイナスに帯電している濁度物質のうち、ポアサイズより小さいものまで静電吸着し、濁り濾過寿命が低くなる場合があるが、ポリエーテルサルフォンやポリサルフォンを採用したことで、本発明の中空糸膜は親水基を持つマイナスの荷電材料であり、同じくマイナスに帯電した濁度物質は吸着することなく、濁り濾過寿命の低下を抑えることを可能にした。加えて、ポリエーテルサルフォンやポリサルフォンから成る中空糸膜は透過流量が多く、粒径が0.5〜0.7μmの微粒子を多く含む水道水を濾過する場合であっても、早期に目詰まりを起こすおそれもない。
請求項7に係る発明によると、膜面積を拡大することは濁り濾過性能の改善に大きな効果がある。一般に用いられるU字型ループの場合、膜束の断面が略同形であるため、筒形ケースに挿入して封止するとき、2つの円形の膜束周囲には未充填の無駄な空間が形成され、また、膜束が大きいために膜束外側のループ長に比べ、内側のループ長は大幅に短くなり、従って、内側のループは膜面積拡大に対する寄与度が小さいのであるが、本発明では、小さな多数の膜束を放射状に配置したので、外側と内側のループ長の差が小さく、内側のループ長も外側のループ長と略同じにすることが可能となり、全ての膜をほぼ最大ループ長で形成でき、これにより、内側のループも効率的な利用が実現され、膜面積を拡大して濁り濾過寿命を飛躍的に改善することが可能になった。
請求項8に係る発明によると、筒形ケースと分散体とを超音波溶着により接合する場合、不用意に中空糸膜の一部が分散体に接触して、中空糸膜が傷ついたり、切れて破損するのを防ぐことが可能となる。
上述のごとく、活性炭並びに中空糸膜の濾過性能を最大限に発揮させた浄水カートリッジを実現し、本発明である浄水カートリッジを、水栓をはじめとするあらゆる分野に提供することが可能になった。
上述のごとく、活性炭並びに中空糸膜の濾過性能を最大限に発揮させた浄水カートリッジを実現し、本発明である浄水カートリッジを、水栓をはじめとするあらゆる分野に提供することが可能になった。
本発明における浄水カートリッジの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における浄水カートリッジの一例を示した縦断面図であり、図2は、図1の浄水カートリッジを分離して示した半截断面図である。図中1は、水道水中のバクテリアや微粒子等の濁り成分を除去する中空糸膜部であり、本例において、この中空糸膜部1は、PES(ポリエーテルサルフォン)、PSF(ポリサルフォン)等の親水基を持つマイナス荷電材料から成る中空糸膜2を採用している。図3は、中空糸膜束を示した平面図であり、この中空糸膜2は、中心から外方へ放射状に折返して、膜束を断面噴水状のループを成すよう結束されており、外側と内側のループ長の差が小さく、内側のループ長も外側のループ長と略同じとし、全ての膜を略最大ループ長で構成している。この中空糸膜2の端部はポリウレタンやエポキシ樹脂等の封止材を充填して、本例ではABS樹脂製である筒形ケース3の先端開口部3aに密封固着され、この封止部4の端部(中空糸膜2の端部)をスライスして開口させている。
図1は、本発明における浄水カートリッジの一例を示した縦断面図であり、図2は、図1の浄水カートリッジを分離して示した半截断面図である。図中1は、水道水中のバクテリアや微粒子等の濁り成分を除去する中空糸膜部であり、本例において、この中空糸膜部1は、PES(ポリエーテルサルフォン)、PSF(ポリサルフォン)等の親水基を持つマイナス荷電材料から成る中空糸膜2を採用している。図3は、中空糸膜束を示した平面図であり、この中空糸膜2は、中心から外方へ放射状に折返して、膜束を断面噴水状のループを成すよう結束されており、外側と内側のループ長の差が小さく、内側のループ長も外側のループ長と略同じとし、全ての膜を略最大ループ長で構成している。この中空糸膜2の端部はポリウレタンやエポキシ樹脂等の封止材を充填して、本例ではABS樹脂製である筒形ケース3の先端開口部3aに密封固着され、この封止部4の端部(中空糸膜2の端部)をスライスして開口させている。
前記筒形ケース3は、内蔵される水栓のカートリッジ収納部の最小内径に対して、90%乃至98%でその最大外径及び最大内径を形成しており、また、筒形ケース3の先端開口部を縮径して、封止部4の途中に段部4aを形成している。
ポッティングを行うに際し、本例では遠心成形法を採用しており、例えば、高速回転による遠心力によって中空糸膜2の端部又はその近傍に封止材を注入し、中空糸膜2間の間隙に封止材を均等に浸透させながら、間隙全体に行き渡らせている。また、本例では前記封止部4の原水側の内径断面積に対し、中空糸膜2の外径断面積の総和の比率である膜充填率を47%以上としており、濁度物質として微小な粒子が多く存在する水道水であっても、平均1.5倍程度の濁り濾過寿命の改善を図っている。なお、上記したポッティング方法は一例であり、無論、これに限定するものではない。
図中5は、前記中空糸膜部1の後端と、この中空糸膜部1に直列配置された活性炭部6の先端との間に形成された離間部13に設けた分散体であり、本例ではこの分散体5の外周部を前記筒形ケース3の後端周縁部に超音波溶着にて接合している。この分散体5は、活性炭部6の先端面を液密に支持すると共に、この活性炭部層を通過した水を筒形ケース3のやや径方向に放射状に均一分散させた状態で、中空糸膜部1へと通水する機能を有している。図4は、本発明における分散体の正面図であり、図5は、図4に示す分散体の背面図であり、図6は、図2に示すA−A線断面図である。図4乃至図6に示すように、この分散体5の流出側には円筒部5aを突設しており、この円筒部5aの周壁には、円周方向に4個の分散口5bを設けている。濾過時に円筒部5aに流入した水は、この分散口5bから筒形ケース3の径方向に流出することによって、筒形ケース3内の全周に行き渡るように放射状に分散される。流入側には円筒部5aの周壁を延設して設けた連結脚5cを有しており、この連結脚5cは活性炭部6の中空部に形成された通水路7内に挿着される。なお、本例では4個の分散口5bを設けているが、無論、これに限定することなく、放射状に均一分散させることが可能となるように、適宜数設けることができる。また、本実施形態に示す他に、活性炭部層を通過した水を筒形ケース3のやや先端に向けて斜め径方向に流出させてよく、周壁以外の適宜箇所にも分散口5bを設けてもよい。また、円筒部5aの形状も本例に限定するものではなく、短形状でもよい。
また、本例では前記筒形ケース3に分散体5を超音波溶着しているが、溶着時に不用意に中空糸膜2の一部が分散体5と接触して破損することのないように、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレート等のオレフィン系材料から成る不織布8を、中空糸膜2と分散体5との間に配置しており、また、この不織布8は中空糸膜2を覆うような大きさとして設けてもよい。本例の接合方法は一例であるが、この超音波溶着を採用することで、ホットメルトによる接合に比べ、接着剤による外観不良を起こすこともなく、しかも、人体に有害な溶剤の浸出も防ぐ有用な方法といえる。
前記分散体5で液密に支持される活性炭部6は、本例では繊維状活性炭と粒状活性炭とを円柱状に充填して成り、繊維状活性炭を粒状活性炭より多く含有させ、活性炭部6の目詰まりを防いでいる。なお、本例では繊維状活性炭:粒状活性炭=40〜60:20〜40として、更にこれに鉛吸着剤を含有させている。この鉛吸着剤は、ゼオライト構造物質であるケイ酸チタニウム塩(例えば、20%)、アパタイト(例えば、25%)等のセラミック系、或はイオン交換繊維(例えば、15%)を実施に応じて適宜量含有させ、この活性炭部6によって、遊離残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−MIB(2−メチルイソボルネオール)を吸着する。また、設計流量より大流量となる高水圧現場などでの遊離残留塩素の除去性能低下抑制を主目的として、粒状活性炭比率を0とし、活性炭の全てを繊維状活性炭とすることもできる。これは、活性炭と接触する際の流速が大きくても粒状活性炭に比べて遊離残留塩素除去性能の低下が少ない繊維状活性炭の比率を多くすることにより、高水圧現場や流量の多い現場でも遊離残留塩素除去性能の低下を抑えることができるものである。
図2において、活性炭部6の一例を示すと、円柱状に活性炭を充填して成る活性炭部6の中空部には、網状或は多孔状の本例ではアクリル繊維製の連通筒9を挿入して通水路7を形成し、また、活性炭部6の外周囲は、プレフィルター機能を有する、本例ではポリエステル製の不織布10で被覆しており、図2に示すように、この不織布10は、活性炭部6の両端面まで折返して活性炭部6を被覆している。前記分散体5の円盤状フラット部5dの接合面には環状溝5eが1つ又は複数形成され、この環状溝5eに溶融樹脂を充填して、活性炭部6の先端面と液密に固着され、且つ、連結脚5cを活性炭部6に設けた連通筒9に挿着して取付されている。本例では活性炭部6の両端面を不織布10で被覆しているので、溶融樹脂が活性炭部6に滲み込むことはなく、また、活性炭部6内の通水を妨げるおそれもない。
前記活性炭部6の後端面には、本例ではABS樹脂製のエンドキャップ11を設けており、上記した分散体5と同様、このエンドキャップ11の接合面に形成された1つ又は複数の環状溝11aに溶融樹脂を充填し、活性炭部6の端面と液密に固着して、浄水カートリッジ本体20を構成している。このエンドキャップ11は、活性炭部6の端面からの原水の浸入を防ぎ、且つ、原水を放射状に後述するシャワーヘッド内へと流入させている。なお、分散体5に設けた連結脚5cと、エンドキャップ11に設けた連結脚11bの長さは、前記連通筒9を支持可能な必要最小限の長さとすると共に、略U字形の切欠部5f,11cを複数(本例では夫々4箇所)設けることで、連結脚5c,11bが活性炭部6内の通水を妨げないようにしている。
また、本例においては、中空糸膜部1の濾過能力を活性炭部6の濾過能力と同等以上とし、活性炭部6の容積を、規定の残留塩素の濾過能力を10%以上、上回る濾過能力を確保できる容量とし、残りの容量を中空糸膜部1としている。中空糸膜部1の濾過寿命が短いと、活性炭部6の濾過能力が残っているにも拘わらず、中空糸膜部1の目詰まりにより濾過流量が低下して、カートリッジの寿命が短くなってしまう。また、活性炭部6の濾過寿命が短いと、中空糸膜部1の濾過能力が残っているにも拘わらず、活性炭部6の濾過性能が低下して、カートリッジの寿命が短くなってしまう。ここで、規定の残留塩素の濾過能力とは、遊離残留塩素の除去率が100%から80%に滞るまでの総濾過水量をいい、本例においては、1200L(10L/日*30日*4ヶ月)としている。
図7は、本発明の浄水カートリッジを水栓に内蔵した状態を示す一部切欠き断面図であり、図8は、図7に示す水栓の使用状態を示す斜視図である。図中21は、キッチンに設置されたキャビネットのシンクであり、図中22は、カウンターであり、このカウンター22上にレバー式の水栓本体23が設置されている。この水栓本体23に設けたシャワーヘッド24の筒部25内に、浄水カートリッジ本体20を着脱可能に内蔵させ、水栓本体23の基部26よりシャワーヘッド24をホース27を介して引き出し自在に設け、浄水の使用可能なハンドシャワーとして、離れた場所に注水することができる。このシャワーヘッド24には、原水、シャワー、浄水に切換可能な切換操作部28を設けている。
浄水カートリッジ本体20の交換時には、シャワーヘッド24の先端部を筒部25から取り外すことで、浄水カートリッジ本体20が着脱可能となり、新しい浄水カートリッジ本体20をシャワーヘッド24に挿入すると、筒形ケース3の先端外周溝に装着したOリング12を介して密封状態に取り付けることができ、簡単にカートリッジ本体20を交換することができる。無論、この取付構造は一例であって、図示しないが、筒形ケースの先端面を被覆し、外周にOリングを装着した取付キャップを設けて、この取付キャップを介してシャワーヘッド24に接続することも可能であり、この場合には、封止部の開口面を常に清浄にしておくという利点がある。
また、本実施形態に示す他、図示しないが、筒形ケースに連設し、この筒形ケースと略同径の保護筒で活性炭部を被覆し、また、この保護筒の外周面にサイドフロー用の流入孔を適宜数形成して、外部通水を可能にした浄水カートリッジとすることもできる。また、本例に示す中空糸膜は好ましい一例であって、例えば、中空糸膜束をU字状に折返して結束したもの等でも適用可能であるが、本例に示す中空糸膜部1の優れた効果は期待できない。また、中空糸膜の材料についても、本例に限定するものではない。
次に上記実施形態の作用を説明する。
図9は、本発明における浄水カートリッジ内の水の流れを示す説明図である。同図中の矢印は水の流れを示しており、図7に示す水栓に適用して説明すると、先ず、切換操作部28を切り換えて流路を浄水側に形成すると、水栓根元から流入した原水は、シャワーヘッド24の内周面と浄水カートリッジ20の外周面とで構成された環状空隙から成る原水通路29へ流入し、この原水通路29内の空隙を満たしながら、浄水カートリッジ本体20へと流入する。浄水カートリッジ本体20へは、活性炭部6の外周面から中心に向かって流れ込み、活性炭部層を通って、原水中に含まれる残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−メチルイソボルネオールを除去しつつ、活性炭部6内に設けた通水路7へと移動する。このとき、活性炭部6の外周面を被覆する不織布10と、活性炭部6の中空部に設けた連通筒9は、その通水を妨げることはなく、その周辺部位に目詰まりを起こすこともない。
図9は、本発明における浄水カートリッジ内の水の流れを示す説明図である。同図中の矢印は水の流れを示しており、図7に示す水栓に適用して説明すると、先ず、切換操作部28を切り換えて流路を浄水側に形成すると、水栓根元から流入した原水は、シャワーヘッド24の内周面と浄水カートリッジ20の外周面とで構成された環状空隙から成る原水通路29へ流入し、この原水通路29内の空隙を満たしながら、浄水カートリッジ本体20へと流入する。浄水カートリッジ本体20へは、活性炭部6の外周面から中心に向かって流れ込み、活性炭部層を通って、原水中に含まれる残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−メチルイソボルネオールを除去しつつ、活性炭部6内に設けた通水路7へと移動する。このとき、活性炭部6の外周面を被覆する不織布10と、活性炭部6の中空部に設けた連通筒9は、その通水を妨げることはなく、その周辺部位に目詰まりを起こすこともない。
次いで、通水路7内に流れ込んだ水は、活性炭部6の先端面が固着された一体成形品である分散体5の円筒部5a内へ流れ込み、この周壁の円周方向に形成された4個の分散口5bを通って中空糸膜部1へと移動する。このとき、図9に示すように、この分散口5bを通過した水はやや径方向に放射状に均一分散されて筒形ケース3内全周に行き渡り、しかも、均等な水の流れが形成される。これにより、高速水流をはじめ、活性炭部6からの水流が直接中空糸膜2に当たることはなく、中空糸膜2が屈曲して流量が低下したり、中空糸膜2が切れてモジュール完全性が損なわれるおそれはなく、また、パンチアウト現象も防止される。更には、局所的な水流の形成を防ぐことになり、水が衝突することに起因する封止部4の剥離を防いでいる。しかも、径方向へ放射状に均一分散した水は、中空糸膜部1の最外周と筒形ケース3の内周との間に形成された空間にも流入するため、最外周に位置する中空糸膜2もその濾過機能をいかんなく発揮することができる。
筒形ケース3内に流入し、筒形ケース3内全周に行き渡った水は、中空糸膜2によって効果的な濾過が行われる。本例の中空糸膜2は、ポリエーテルサルフォン(又はポリサルフォン等)を採用しているので、マイナスに帯電した濁度物質を吸着することはない。また、中空糸膜2はポリエーテルサルフォン(又はポリサルフォン等)から成るので、透過流量が多く、粒径が0.5〜0.7μmの微粒子を多く含む水道水を濾過する場合であっても、早期に目詰まりを起こすことはない。この中空糸膜部1によって、水中のバクテリアや微粒子等の濁り成分が除去された水道水は、封止部4の全面を均等に通過しながら、浄水カートリッジ本体20内からシャワーヘッド24の供給口30へと移動し、浄水となった水は、シャワーヘッド24の供給口30から、必要量外部へ供給されることになる。
上述のように、本発明の水栓内蔵型浄水カートリッジは、中空糸膜部1と活性炭部6を直列配置してカートリッジ本体20を構成し、水栓内の狭いスペース内に、中空糸膜部1とその前段階の濾過部材である活性炭部6を、効果的な濾過機能を発揮するよう機能的な配置を実現し、しかも、水の局所的な流れは発生しない等、優れた作用を有する構造であるため、残留塩素、溶解性鉛、並びにカビ臭の元となる2−メチルイソボルネオールを除去する活性炭と、バクテリアや微粒子などを除去・分解する中空糸膜は、その濾過性能を長期に亘って、いかんなく発揮することが実現される。
本発明における水栓内蔵型浄水カートリッジは、活性炭並びに中空糸膜の濾過性能を最大限に発揮させた浄水カートリッジを実現し、半導体、液晶、医療、飲料、外食産業用としても、広く適用することが可能である。
1 中空糸膜部
2 中空糸膜
3 筒形ケース
3a 開口部
4 封止部
4a 段部
5 分散体
5a 円筒部
5b 分散口
6 活性炭部
7 通水路
8 不織布
10 不織布
13 離間部
20 浄水カートリッジ
24 水栓(シャワーヘッド)
2 中空糸膜
3 筒形ケース
3a 開口部
4 封止部
4a 段部
5 分散体
5a 円筒部
5b 分散口
6 活性炭部
7 通水路
8 不織布
10 不織布
13 離間部
20 浄水カートリッジ
24 水栓(シャワーヘッド)
Claims (8)
- 筒形ケース内にこのケースの開口部に封止部を固着させた中空糸膜部を設け、この中空糸膜部に活性炭部を直列配置した水栓内蔵用の浄水カートリッジであって、前記中空糸膜部の後端と前記活性炭部の先端との間に離間部を設けると共に、この離間部に分散体を設け、この分散体に前記活性炭部層を通過した水を筒形ケースの径方向に放射状に分散させる分散口を形成したことを特徴とする水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記筒形ケースの後端部に、分散体の外周部を超音波溶着にて接合した請求項1に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記分散体の流出側には、周壁に適宜数の分散口を形成した円筒部を突設し、前記活性炭部の中空部に形成した通水路からの水を分散して中空糸膜部の径方向へ放射状に均一分散するようにした請求項1又は2に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記筒形ケースの最大外径及び最大内径を、水栓に設けたカートリッジ収納部の最小内径の90%乃至98%とし、且つ、中空糸膜の封止部となる筒形ケースの開口部を縮径して、封止部の途中に段部を形成するようにした請求項1乃至3の何れか1項に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記封止部の原水側の内径断面積に対し、中空糸膜の膜充填率を47%以上とした請求項1乃至4の何れか1項に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記中空糸膜はポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の親水基を持つマイナス荷電材料から成る請求項1乃至5の何れか1項に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記中空糸膜を中心から外方へ放射状に折返し、膜束を断面噴水状のループを成すように結束した請求項1乃至6の何れか1項に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
- 前記中空糸膜部の後端部と前記分散体との間に、ポリプロピレン、又はポリエチレンテレフタレート等のオレフィン系材料から成る不織布を設け、前記分散体との接触を防止するようにした請求項1乃至7の何れか1項に記載の水栓内蔵型浄水カートリッジ。
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