JP5210050B2 - スルーリング構造 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、自動車等の車両のシートベルト装置に使用されるスルーリング構造に関するものである。
従来、自動車のシートベルト装置としては、座席上で乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを繰り出し可能に巻回して収納すると共に自動車の衝突時にシートベルトを瞬時に引き入れてロックするリトラクタと、リトラクタから繰り出されているシートベルトが挿通されると共にピラー等の車体側に固定されるスルーリングと、このスルーリングから延びるシートベルトの途中に設けられたタングと、このタングから更に延びるシートベルトの先端を座席の一方の横で床部に固定するシートベルトアンカと、座席の他方の横で前記タングを着脱可能に支持するバックルと、を備えたものが知られている。
このようなシートベルト装置では、着座した乗員がシートベルトをリトラクタから引き出してタングをバックルに装着することで、シートベルトが座席上で乗員を拘束可能にしている。
従来、スルーリングとしては、前記したピラー等の車体に対する取付部とシートベルトを挿通する挿通穴とを備えたものが知られている(例えば、引用文献1参照)。ここで参照する図5(a)は、従来のスルーリングの分解斜視図、図5(b)は、(a)のスルーリングを使用したスルーリング構造を車室内側から見た様子を示す模式図である。
図5(a)に示すように、このスルーリング31は、スルーリング本体32と、カバー材33と、スルーリング本体32及びカバー材33を相互に結合するアダプタ34とで構成されている。そして、スルーリング本体32及びカバー材33のそれぞれには、シートベルトの挿通穴35が形成されている。また、スルーリング本体32の取付部32aには、ボルト穴32bが形成されている。
このようなスルーリング31は、例えば図5(b)に示すように、前記したボルト穴32b(図5(a)参照)に挿通されたボルト17aを介してピラー7内に配置されたピラーインナ7cに軸支される。その結果、スルーリング31は、取付部32a周りに揺動可能となっている。また、このスルーリング31を使用したスルーリング構造では、ピラーインナ7cの車室内側がガーニッシュ7aで覆われることからスルーリング31の車室内側を覆うガーニッシュ7a部分にはシートベルト3を座席側に引き出すための開口7bが形成されている。
特開2005−35540号公報
しかしながら、従来のスルーリング31(例えば、特許文献1参照)を使用したスルーリング構造では、前記したように、着座位置の乗員(図示省略)がシートベルト3を引き出す際に、図5(b)中の破線で示すシートベルト3の軌跡Tに応じて開口7bを大きく確保しなければシートベルト3が開口7b周りでガーニッシュ7aと干渉する問題がある。この干渉は、シートベルト3がリトラクタ(図示省略)側に引き入れられる際にも生じる。
そして、ガーニッシュ7aの開口7bを大きくすると、車室内の美観が損なわれるだけでなく、開口7bからピラー7内に物が入り込んだり、開口7b部分でガーニッシュ7aの遮音性能が阻害されるという問題も生じる。
そこで、従来のスルーリング31においては、開口7bをピラー7の内側から覆うような遮蔽部をカバー材33(図5(a)参照)に形成することも考えられる。
このようなスルーリング31によれば、開口7b部分がカバー材33(遮蔽体)で遮蔽されるので、開口7bを大きく確保したことによる前記した問題は解消することができる。
その一方、従来のスルーリング31では、前記したように、シートベルトの挿通穴35がスルーリング本体32とカバー材33との両方に形成されていることから、スルーリング本体32とカバー材33との両方にシートベルト3を挿通する必要がある。つまり、従来のスルーリング31は、シートベルト3が挿通されたスルーリング本体32に対してカバー材33(遮蔽体)を後付けできる構造ではないので不便であった。したがって、シートベルト3を挿通する開口7bが大きく形成されたガーニッシュ7aを備えながらもこの開口7bを遮る遮蔽体を有していない既存のシートベルト装置においては、遮蔽体を簡単に後付けすることができるスルーリング構造が望まれていた。
そこで本発明は、ガーニッシュに形成された開口を遮るための遮蔽体をスルーリングに後付することができるスルーリング構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明は、シートベルトが挿通される挿通穴を有すると共に車体に対して軸支された取付部周りで前記挿通穴が揺動可能となっているスルーリングと、前記スルーリングの揺動を許容するように車室内側から前記スルーリングを覆うと共に前記シートベルトが挿通される開口を有するガーニッシュと、前記ガーニッシュの前記開口を遮る遮蔽部を有する遮蔽体と、を備えるスルーリング構造であって、前記遮蔽体は、前記スルーリングの前記挿通穴の形成位置よりも前記取付部寄りに位置するように前記スルーリングと係合する係合部を有し、この遮蔽体の前記遮蔽部は、前記スルーリングの揺動方向に沿うように前記スルーリング側から突出ていることを特徴とする。
このスルーリング構造では、遮蔽体がスルーリングの車室内側に取り付けられると共に、この遮蔽体がスルーリングの挿通穴の形成位置よりも取付部寄りに位置するようにスルーリングに取り付けられるので、従来のスルーリング(例えば、特許文献1参照)と異なって、スルーリングの挿通穴にシートベルトが挿通された後であっても遮蔽体をスルーリングに取り付けることができる。
本発明のスルーリング構造によれば、ガーニッシュに形成された開口を遮るための遮蔽体を、この遮蔽体にシートベルトを挿通する必要もなく、シートベルトが挿通された状態のスルーリングに後付することができるので、その製造工程が簡単となる。
以下に、本発明の実施形態について図を参照しながら詳細に説明する。
ここでは本実施形態に係るスルーリング構造を備えたシートベルト装置について説明した後にこのスルーリング構造について説明する。ここで参照する図1は、本実施形態に係るスルーリング構造を備えたシートベルト装置の斜視図である。図2は、図1中のスルーリング構造の部分拡大斜視図であって、ガーニッシュを部分的に切り欠いて示した図である。図3は、本実施形態に係るスルーリング構造の分解斜視図である。図4は、図3のスルーリング構造のスルーリング及び遮蔽体をその裏側(図3の紙面裏側)から見た様子を示す斜視図である。なお、この図4においては、図3のボルトを省略している。
本実施形態では、自動車の前後方向に3列配置された座席のうち2列目の座席(MID席)であって、車幅方向の右側の座席にシートベルト装置を適用した例について説明する。また、以下の説明において、前後上下左右の方向については、自動車の前後上下左右の方向に一致させた図1に示す各方向を基準とする。
図1に示すように、実施形態に係るシートベルト装置1は、シートベルト3と、自動車の衝突時にシートベルト3を引き入れるリトラクタ2と、ピラー7の後記するピラーインナ7c(図2参照)に軸支されると共にシートベルト3が通されるスルーリング構造10とを備えている。なお、ピラー7(ピラーインナ7c)は、特許請求の範囲にいう「車体」に相当する。
シートベルト3は、長尺のウェビング(織物)で形成されており、その一端側は、座席Sの右側で自動車の床部にシートベルトアンカ4を介して固定されている。そして、シートベルトアンカ4側から延びたシートベルト3は、タング5のスリット状の穴部(図示省略)、およびスルーリング構造10のスルーリング11に通されると共に、その他端側が次に説明するリトラクタ2のベルトドラム(図示省略)に取り付けられている。ちなみに、このシートベルト3が自動車の乗員に装着される際には、座席Sの左側で自動車の床部に固定されたバックル6に、タング5が結合されることとなる。
リトラクタ2は、自動車の衝突時にシートベルト3を引き入れてロックするものであって、前記したベルトドラムやプリテンショナ(図示省略)等を備えている。本実施形態でのリトラクタ2は、自動車の床部に固定されると共に車室とは内装材で隔てられている。そして、このリトラクタ2から引き出されたシートベルト3は、ピラー7のガーニッシュ7aに形成された開口7bを介して車室内側に延び出ている。ちなみに、このようなシートベルト装置1では、着座した乗員がシートベルト3をリトラクタ2から引き出してタング5をバックル6に装着することで、シートベルト3が座席S上で乗員を拘束可能にしている。
スルーリング構造10は、図2に示すように、スルーリング11と、遮蔽体12とを備えている。
スルーリング11は、前記したように、シートベルト3が挿通される挿通穴16を有していると共に、ピラーインナ7cにボルト17aで軸支されている。そして、ボルト17aで軸支されたスルーリング11の取付部13周りで挿通穴16が揺動可能となっている。このスルーリング11は、ピラーインナ7c上でガーニッシュ7aに覆われており、このガーニッシュ7aには、挿通穴16の揺動方向Dに沿うように、前記した開口7bが略L字状に形成されている。
スルーリング11は、図3に示すように、挿通穴16を形成する略楕円形状のリング部14と、スルーリング11をピラーインナ7c(図2参照)に対して軸支するための取付部13とを備えている。この取付部13には、ボルト17aを挿通するボルト穴17bが形成されており、このボルト穴17bに挿通されたボルト17aがピラーインナ7cに螺合することでスルーリング11は軸支されることとなる。
そして、このスルーリング11は、取付部13とリング部14とを結合する結合部15を備えている。この結合部15は、取付部13と一体となるように形成されると共にリング部14の一部を取り巻くように形成されている。
遮蔽体12は、図2に示すように、スルーリング11の車室内側(ガーニッシュ7a側)に取り付けられると共に、ガーニッシュ7aの開口7bを遮る遮蔽部19を有している。この遮蔽部19は、挿通穴16(リング部14(図3参照))の揺動方向Dに沿ってスルーリング11側(リング部14側)から突出するように形成されている。
そして、遮蔽体12は、図3に示すように、スルーリング11の取付部13と係合する第1係合部20と、スルーリング11のリング部14と係合する第2係合部21とを備えている。
図4に示すように、遮蔽体12の第1係合部20は、スルーリング11の取付部13の周縁に沿うように形成されると共に取付部13の周縁と係合する複数(本実施形態では3つ)の係合爪22aを有している。そして、係合爪22aのそれぞれは、取付部13の車外側(図4の紙面表側)に係合するようになっている。
遮蔽体12の第2係合部21は、スルーリング11の結合部15を車室内側(図4の紙面裏側)から覆うように形成されると共に結合部15の両端部近傍でリング部14に嵌り込む略円弧状の係合爪22b,22bを有している。
これらの第1係合部20及び第2係合部21は、特許請求の範囲にいう「係合部」に相当し、これらによって遮蔽体12は、スルーリング11の挿通穴16の形成位置よりも取付部13寄りに位置するようにスルーリング11に取り付けられることとなる。
次に、本実施形態に係るスルーリング構造10の作用効果について説明する。
このスルーリング構造10では、図1に示すように、着座位置の乗員(図示省略)がシートベルト3をリトラクタ2から引き出して装着する際に、シートベルト3が開口7b周りでガーニッシュ7aと干渉することを防止するために、図2に示すように、開口7bがスルーリング11の揺動方向Dに沿って略L字状に大きく形成されている。
その一方で、このスルーリング構造10では、図2に示すように、遮蔽体12がスルーリング11に取り付けられており、この遮蔽体12は、スルーリング11の揺動方向Dに沿ってスルーリング11側から突出する遮蔽部19を備えている。その結果、この遮蔽部19は、スルーリング11が揺動する際に開口7bを遮ることとなる。
したがって、このスルーリング構造10によれば、ガーニッシュ7aに大きく形成した開口7bが遮蔽部19で遮られるので、この開口7bからピラー7内に物が入り込むことが防止される。また、この遮蔽部19によって、開口7bを介してピラー7内のピラーインナ7cが見えることが防止されるのでピラー7の外観が向上する。そして、開口7bが遮蔽部19で遮られるので、開口7b部分でガーニッシュ7aの遮音性能が阻害されることが防止される。
そして、このスルーリング構造10では、図2に示すように、遮蔽体12がスルーリング11の車室内側(ガーニッシュ7a側)に取り付けられると共に、この遮蔽体12がスルーリング11の挿通穴16の形成位置よりも取付部13寄りに位置するようにスルーリング11に取り付けられる。
したがって、このスルーリング構造10では、前記した従来のスルーリング31(図5(a)参照)と異なって、スルーリング11の挿通穴16にシートベルト3が挿通された後であっても遮蔽体12をスルーリング11に取り付けることができる。言い換えれば、このスルーリング構造10では、少なくともスルーリング11にシートベルト3を挿通しておけば、特許文献1のスルーリング構造と異なって、遮蔽体12にシートベルト3を挿通する必要もなく、シートベルト3が挿通された状態のスルーリング11に後付することができる。その結果、本実施形態に係るスルーリング構造10によれば、その製造工程が簡単となる
また、このスルーリング構造10では、図4に示すように、遮蔽体12の第1係合部20が、スルーリング11の取付部13の車外側(図4の紙面表側)に係合する係合爪22aを備えている。したがって、このスルーリング構造10では、スルーリング11の車室内側(図4の紙面裏側)に対して遮蔽体12を押し当てることによってこの遮蔽体12をスルーリング11に容易に取り付けることができると共に、遮蔽体12が、スルーリング11から容易に離れることなく強固に取り付けられる。
また、このスルーリング構造10では、図4に示すように、遮蔽体12の第2係合部21が、リング部14に形成された挿通穴16の内側に嵌り込むように形成された略円弧状の係合爪22bを備えている。したがって、このスルーリング構造10では、遮蔽体12がスルーリング11に対してずれることが防止される。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、図2に示すように、遮蔽体12の遮蔽部19がスルーリング11の揺動方向Dの一方側にのみ形成されているが、本発明はスルーリング11を挟んで1対の遮蔽部19が形成された遮蔽体12を有するものであってもよい。
本実施形態に係るスルーリング構造を備えたシートベルト装置の斜視図である。 図1中のスルーリング構造の部分拡大斜視図であって、ガーニッシュを部分的に切り欠いて示した図である。 本実施形態に係るスルーリング構造の分解斜視図である。 図3のスルーリング構造のスルーリング及び遮蔽体をその裏側(図3の紙面裏側)から見た様子を示す斜視図である。 (a)は、従来のスルーリングの分解斜視図、(b)は、(a)のスルーリングを使用したスルーリング構造を車室内側から見た様子を示す模式図である。
符号の説明
3 シートベルト
7 ピラー
7a ガーニッシュ
7b 開口
7c ピラーインナ
10 スルーリング構造
11 スルーリング
12 遮蔽体
13 取付部
14 リング部
16 挿通穴
19 遮蔽部
20 第1係合部(係合部)
21 第2係合部(係合部)
22a 係合爪
22b 係合爪
D 揺動方向

Claims (5)

  1. シートベルトが挿通される挿通穴を有すると共に車体に対して軸支された取付部周りで前記挿通穴が揺動可能となっているスルーリングと、
    前記スルーリングの揺動を許容するように車室内側から前記スルーリングを覆うと共に前記シートベルトが挿通される開口を有するガーニッシュと、
    前記ガーニッシュの前記開口を遮る遮蔽部を有する遮蔽体と、
    を備えるスルーリング構造であって、
    前記遮蔽体は、前記スルーリングの前記挿通穴の形成位置よりも前記取付部寄りに位置するように前記スルーリングと係合する係合部を有し、この遮蔽体の前記遮蔽部は、前記スルーリングの揺動方向に沿うように前記スルーリング側から突出ていることを特徴とするスルーリング構造。
  2. 前記係合部は、前記取付部の車外側に係合する係合爪を有していることを特徴とする請求項1に記載のスルーリング構造。
  3. 前記遮蔽体は、前記挿通穴の内側に嵌り込むように形成された略円弧状の係合爪を有する係合部を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスルーリング構造。
  4. 前記取付部には、前記車体に対して当該取付部を軸支するボルトを挿通するボルト穴が形成され、前記遮蔽体には、前記スルーリングに対して当該遮蔽体が取り付けられた状態で、前記ボルトを挿通可能な穴部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスルーリング構造。
  5. 前記ガーニッシュの前記開口は、前記車体に対する前記取付部の軸支位置よりも下側で前記車体の前後方向に延びる横開口と、この横開口の端部から上方向に延びる縦開口とからなると共に前記スルーリングの揺動方向に沿うように略L字状に形成され、
    前記遮蔽部は、前記シートベルトが前記横開口に挿通されている位置で前記縦開口を遮るように前記遮蔽体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスルーリング構造。
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