JP5208425B2 - 焦点調節装置、光学機器、レンズ鏡筒 - Google Patents
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Description
本発明は、マニュアルフォーカス制御に移行した場合にも正確な合焦動作が可能な焦点調節装置、光学機器、レンズ鏡筒、及び、焦点調節方法を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、焦点調節用のフォーカスレンズ群(22)を有する光学系(21)と、MF操作環の手動動作に応じて前記フォーカスレンズ群を焦点調節する焦点調節部(23)と、前記光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、前記焦点調節状態(16)に応じて、前記フォーカスレンズ群をAFモータにより焦点調節する駆動部(30)と、前記AFモータによって焦点調節されない状態で、前記焦点調節部によって前記フォーカスレンズ群を焦点調節し、前記焦点検出部の出力に基づいて前記焦点調節状態がほぼ合焦の状態となったと判定した場合に、前記焦点検出部の出力に基づいて前記駆動部の前記AFモータによって前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する制御部(27)とを備え、前記MF操作環及び前記AFモータは、差動機構に接続されており、前記差動機構は、前記フォーカスレンズ群を光軸方向に移動させる合焦機構に接続され、前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する場合に、前記MF操作環の手動操作による前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量を、前記AFモータによる前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量で相殺し、相殺した駆動量を前記合焦機構に伝達すること、を特徴とする焦点調節装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の焦点調節装置において、前記MF操作環(23)の操作量を検出する回転量検出部(24)を備え、前記制御部(27)は、前記回転量検出部による単位時間あたりの前記操作量が所定の量よりも大きい場合、前記駆動部(30)による制御を禁止すること、を特徴とする焦点調節装置である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、第1実施形態のカメラシステム1のブロック図である。
図1に示すように、カメラシステム1は、オートフォーカス(以下「AF」という。)機能を有するシステムであり、デジタル一眼レフカメラであるカメラボディ10と、カメラボディ10にバヨネット結合等により着脱可能に装着される交換レンズ20とから構成される。カメラボディ10と交換レンズ20とは、交換レンズ20装着時に、電気接点(図示せず)により電気的に接続され、相互に信号に伝達をすることができる。
ミラー11は、交換レンズ20からの光束を、被写体観察時には、反射してペンタダハプリズム13の方向に導き、露光時には、撮影光路から退避して撮像素子14の方向に導くクイックリターンミラーである。ミラー11は、その一部がハーフミラーになっており、交換レンズ20からミラー11を透過した光束を、サブミラー15の方向に導く。
スクリーン12は、ミラー11からの被写体の光束を結像するためのスクリーンであり、結像された被写体像は、ペンタダハプリズム13により正立像に変換され、撮影者によって観察可能となる。スクリーン12上には、測距点に対応した測距点指標12a〜12k(後述する)が設けられている。スクリーン12の測距点指標12a〜12kは、「前ピン」「後ピン」「ほぼ合焦」「合焦」「測距不能」に対応した色にLED等を用いて照明されることで、デフォーカス量検出器16より得た測距情報を、撮影者に伝達する。
サブミラー15は、ミラー11のハーフミラー部分を透過してきた光を反射して、デフォーカス量検出器16の方向に導くための部材である。
デフォーカス量検出器16は、ミラー11、サブミラー15によって導かれた被写体光束に基づいて、後述する撮影光学系21の焦点調節状態を検出するための焦点検出モジュールである。デフォーカス量検出器16は、例えばイメージセンサアレイによる位相差検出方式等により、撮影光学系21のデフォーカス量を検出する。
ボディ側制御部17は、カメラボディ10を統括的に制御するための制御部であり、CPU(中央処理装置)等から構成される。ボディ側制御部17の動作の詳細については、後述する。
撮影光学系21は、焦点調節用のフォーカスレンズ群22(図1には、簡略して1枚のレンズを示す。)の他、ズームレンズ群等(図示せず)から構成される。フォーカスレンズ群22、ズームレンズ群は、光軸Oに沿った方向(以下「光軸方向」という)に移動可能に交換レンズ20に収容されている。
MF操作環23は、交換レンズ20の外周部に回転自在に設けられた円筒状の部材であり、撮影者の手動動作に応じて、差動機構31、合焦機構32を介してフォーカスレンズ群22を光軸方向に移動し、撮影光学系21の焦点調節をする。
MF操作環回転量検出器24は、MF操作環23の回転角と方向とを検出することにより、MF操作環23の操作量を検出するためのセンサである。
モータ回転角計算器28は、フォーカスポジション検出器25、デフォーカス量検出器16、カメラボディ10で設定された絞り値の情報に基づき、AFモータ30の回転角を計算するための演算処理部である。モータ回転角計算器28は、フォーカスポジション検出器25の出力に応じて、フォーカスレンズ群22の位置を確認する。また、モータ回転角計算器28は、デフォーカス量検出器16のデフォーカス量の出力に応じて、フォーカスレンズ群22を合焦位置へと移動するために必要なAFモータ30の回転角を計算する。
なお、レンズ側制御部27は、後述するように、通常のAFの制御モードの他に、MF操作環23によって焦点調節状態がほぼ合焦の状態となった後は、AFによる合焦動作を利用してフォーカスレンズ群22を合焦位置へと制御する制御モードを有する。以下、この制御モードを「第1モード」という。
AFモータ30は、フォーカスレンズ群22を光軸方向に移動するための、例えば、超音波モータやDCモータ等である。AFモータ30は、差動機構31を介して、合焦機構32に接続されている。また、MF操作環23も差動機構31を介して合焦機構32に接続されている。つまり、AFモータ30による駆動量とMF操作環23による駆動量との差動でフォーカスレンズ群22を駆動するように構成されている。
振れセンサ33は、交換レンズ20(撮影光学系21)の振れを計測するために交換レンズ20に加わる角速度を検出する角速度センサ等である。振れセンサ33は、通常は、交換レンズ20の振れを検出し、特定のレンズを駆動して振れにともなう像ブレを補正するために用いられるが、本実施形態では、この他に撮影光学系21による像の構図変更量を検出するために用いられる。すなわち、撮影者が構図を変更したためにカメラシステム1が振られた場合にも、カメラシステム1が振られた量(振り量)を振れセンサ33により検出し、レンズ側制御部27が構図変更量を判定することができる。
最初にステップ(以下「S」という。)1において、撮影者がカメラボディ10又は交換レンズ20のモード切換操作部(図示せず)を操作して、第1モードを選択することにより処理が開始される。撮影者が測距点切換操作部(図示せず)を操作して被写体に対応した測距点を選択すると、ボディ側制御部17は、測距点を認識する。ここでは、図3に示すように、測距点指標12a〜12kのなかから測距点指標12aを選択し、撮影画面内の人物41の顔部41aに対して合焦制御する場合を説明する。
S2において、撮影者が、スクリーン12に結像する像の状態に基づいて目視で顔部41aが合焦するようにMF操作環23を操作すると、MF操作環回転量検出器24がMF操作環23の回転を検出し、ボディ側制御部17に信号を出力する。これに応じて、ボディ側制御部17は、MF操作環23が回転していると判断し(S2:YES)、S3に進む。一方、MF操作環23が操作されない場合(S2:NO)、ボディ側制御部17は、MF操作環回転量検出器24からの出力を待機する。
S5において、ボディ側制御部17は、撮影者のMF操作環23の操作によって測距点12aに対するデフォーカス量がほぼ合焦とみなせる範囲に入ったか否を判断する。ボディ側制御部17は、デフォーカス量がほぼ合焦とみなせる範囲に入ったと判断した場合(S5:YES)、測距点12aに対してほぼ合焦とみなせる状態であることに対応した測距情報をスクリーン12に表示後、S6に進む。一方、ボディ側制御部17は、ほぼ合焦とみなせる範囲に入っていない場合(S5:NO)、S2からの処理を繰り返す。ここで、ほぼ合焦とみなせる範囲とは、ボディ側制御部17が合焦したと判断する範囲よりもデフォーカス量が大きいが、所定の範囲内にある焦点状態をいう。
S7において、レンズ側制御部27は、MF操作環回転量検出器24の出力に基づいて、MF操作環23の回転速度が規定速度以内かを判断する。例えば、撮影者が合焦させる対象を、顔部41aから後方の空に変更したい場合、MF操作環23を無限遠方向に、速い速度で回転すればよい。これに応じて、レンズ側制御部27は、MF操作環回転量検出器24の出力から、MF操作環23の回転速度が規定速度以内ではないと判断し(S7:NO)、S20に進んで一定時間AFによる合焦動作を禁止してからS2からの処理を繰り返す。このように、カメラシステム1は、MF操作環回転量検出器24の出力に基づく単位時間あたりの操作量が所定の量よりも大きい場合、AFによる合焦動作を禁止する。これにより、撮影者は、特定の被写体に焦点調節している状態からの他の被写体に合焦させる操作を、容易に行うことができる。
一方、レンズ側制御部27は、MF操作環23の回転速度が規定速度以内ある場合(S7:YES)、S8に進む。
一方、レンズ側制御部27は、カメラシステム1の振り量が規定以内の場合(S8:YES)、S9に進む。
S10以降、レンズ側制御部27は、レリーズボタン(図示せず)が操作され露光を指示するレリーズ信号が出力されるまで、S7からの処理を繰り返す。
例えば、図4に示すように、測距点指標12bの位置にある花42のしべ部42aに対して合焦状態を得ている場合に、風等によって葉43が測距点指標12b内に入ってきてしまったときには、デフォーカス量が突然大きくなる。この場合、レンズ側制御部27は、一定時間(例えば、数秒間程度)AFによる合焦動作を禁止して、この葉43に撮影光学系21が不用意に合焦しようとするのを防止する。これにより、風が止んでしべ部42aが測距点指標12b内に戻った場合に、レンズ側制御部27は、速やかに焦点調節を再開することができる。
このようなデフォーカス量の変化に応じた制御は、被写体が低コントラストであるために合焦位置を判定しにくい場合、焦点を合わせたい対象が測距範囲に対して小さい場合、焦点を合わせたい対象の前後に障害物が存在する場合等に有効である。
本実施形態のカメラシステム1は、マニュアフォーカスの感覚を与えながらも、最終の合焦動作をAFによる合焦動作によって、前述のような問題はなく、合焦動作を正確に遂行することができる。
また、カメラシステム1は、MF操作環23の単位時間当たりの操作量に応じて、オートフォーカスによる焦点調節を制限することにより、焦点調節する対象を変更する操作を簡単かつ迅速に行うことができる。さらに、振り量に応じてAFによる合焦動作を禁止することにより、構図を変更しても、被写体の合焦状態を維持することができる。
次に、本発明を適用したカメラシステムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態のカメラシステム2は、第1実施形態のカメラシステム1における第1モードとは異なるフォーカスモードとして新たに第2モードを設けたものである。この第2モードは、MF操作環23の操作中に、デフォーカス量が合焦とみなせる範囲に入ったときに焦点調節状態を維持するモードである。
なお、以下の説明において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。また、カメラシステム2は、カメラシステム1と同様の構成であるので、構成部品として、図1に示したものを用い、また、構図の例として、図3を用いて説明する。
最初に、S101において、撮影者が操作部(図示せず)を操作して、第2モードを選択することにより処理が開始する。例えば、図3に示すように、後方の空に合焦している状態から、顔部41aに合焦させる場合に撮影者は、測距点指標12aを選択し、主要な撮影対象である顔部41aが測距点指標12aに入るように構図を決定する。
S102〜S104については、第1実施形態のS2〜S4の処理と同様なので、説明を省略する。
S105において、レンズ側制御部27は、撮影者のMF操作環23の操作にともなうデフォーカス量検出器16の出力に基づいて、デフォーカス量が合焦とみなせる範囲であると判断した場合(S105:YES)、ファインダ内の合焦判定表示を「合焦」に対応した表示にした後、S106に進む。一方、レンズ側制御部27は、合焦とみなせる範囲でない場合(S105:NO)、S102からの処理を繰り返す。
S108では、レンズ側制御部27は、S107において検出されたMF操作環23の操作量に対応したフォーカスレンズ群22の駆動量を、MF操作環23の単位回転当たりのフォーカスレンズ群22の駆動量に基づき演算する。
S109では、S108において演算したフォーカスレンズ群22の駆動量に基づき、AFモータ30を駆動してフォーカスレンズ群22を駆動する。ただし、このステップでAFモータ30を駆動してフォーカスレンズ群22を駆動する方向は、MF操作環23を操作したことによりフォーカスレンズ群22が移動する方向とは逆の方向である。すなわち、MF操作環23を操作したことにより移動するフォーカスレンズ群22の移動を相殺するようにAFモータ30を駆動してフォーカスレンズ群22を駆動(相殺駆動)する。S109において相殺駆動をした後は、S106からの動作を繰り返す。
なお、本実施形態では、合焦とみなせる状態になった後には、相殺駆動を行い合焦状態を維持することとしたが、AFによる合焦動作をより積極的に活用してもよい。すなわち、レンズ側制御部27は、一度、測距点指標12aに重なる顔部41aに対して合焦とみなせる状態となった後に、被写体の移動等にともない顔部41aが移動した場合に、デフォーカス量に基づいたAFによる合焦動作を実行して、合焦状態を維持してもよい。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
第1実施形態において、レンズ側制御部27は、デフォーカス量が合焦とみなせる範囲に入った後は、AFによる合焦動作のみを行う例を示したが、これに限定されない。例えば、レンズ側制御部27は、AFによる合焦動作に加え、第2実施形態と同様に、MF操作環23による焦点調節量を相殺する駆動量に基づいてAFモータ30を制御してもよい。
Claims (7)
- 焦点調節用のフォーカスレンズ群を有する光学系と、
MF操作環の手動動作に応じて前記フォーカスレンズ群を焦点調節する焦点調節部と、
前記光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出部と、
前記焦点調節状態に応じて、前記フォーカスレンズ群をAFモータにより焦点調節する駆動部と、
前記AFモータによって焦点調節されない状態で、前記焦点調節部によって前記フォーカスレンズ群を焦点調節し、前記焦点検出部の出力に基づいて前記焦点調節状態がほぼ合焦の状態となったと判定した場合に、前記焦点検出部の出力に基づいて前記駆動部の前記AFモータによって前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する制御部とを備え、
前記MF操作環及び前記AFモータは、差動機構に接続されており、
前記差動機構は、
前記フォーカスレンズ群を光軸方向に移動させる合焦機構に接続され、
前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する場合に、前記MF操作環の手動操作による前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量を、前記AFモータによる前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量で相殺し、相殺した駆動量を前記合焦機構に伝達すること、
を特徴とする焦点調節装置。 - 請求項1に記載の焦点調節装置において、
前記制御部は、前記焦点調節部によって前記焦点調節状態がほぼ合焦の状態となった後は、前記焦点調節部による焦点調節量に基づいて前記駆動部を制御すること、
を特徴とする焦点調節装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の焦点調節装置において、
前記MF操作環の操作量を検出する回転量検出部を備え、
前記制御部は、前記回転量検出部による単位時間あたりの前記操作量が所定の量よりも大きい場合、前記駆動部による制御を禁止すること、
を特徴とする焦点調節装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の焦点調節装置を備える光学機器。
- 請求項4に記載の光学機器において、
前記光学系による像の構図変更量を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部による構図変更量が所定の量よりも大きい場合、前記駆動部による制御を禁止すること、
を特徴とする光学機器。 - 焦点調節用のフォーカスレンズ群を有する光学系と、
MF操作環の手動動作に応じて前記フォーカスレンズ群を焦点調節する焦点調節部と、
前記光学系の焦点調節状態に応じて、前記フォーカスレンズ群をAFモータにより焦点調節する駆動部と、
前記AFモータによって焦点調節されない状態で、前記焦点調節部によって前記フォーカスレンズ群を焦点調節し、焦点検出部の出力に基づいて前記焦点調節状態がほぼ合焦の状態となったと判定した場合に、前記焦点検出部の出力に基づいて前記駆動部の前記AFモータによって前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する制御部とを備え、
前記MF操作環及び前記AFモータは、差動機構に接続されており、
前記差動機構は、
前記フォーカスレンズ群を光軸方向に移動させる合焦機構に接続され、
前記フォーカスレンズ群を合焦の状態に焦点調節制御する場合に、前記MF操作環の手動操作による前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量を、前記AFモータによる前記フォーカスレンズ群の光軸方向の移動量で相殺し、相殺した駆動量を前記合焦機構に伝達すること、
を特徴とするレンズ鏡筒。 - 請求項6に記載のレンズ鏡筒において、
前記レンズ鏡筒の振れを検出する振れ検出部を備え、
前記制御部は、前記振れ検出部によって検出される振れが所定値よりも大きい場合、前記駆動部による制御を禁止すること、
を特徴とするレンズ鏡筒。
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