以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、上記発明の焦点検出装置、焦点調節装置および撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ230と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
本実施形態のエンコーダ260としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
フォーカスレンズ212は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部170へ送出される。そして、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ212の駆動量Δdが、レンズ駆動制御部165からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ230は駆動する。
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部170からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタン(不図示)を全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
クイックリターンミラー120で反射された被写体からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。また、測光センサ137は、被写体認識用の撮像素子も兼ねており、撮影光学系により焦点板131上に結像された被写体像を電気信号に変換して画像信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御および被写体認識処理に用いられる。
焦点検出モジュール161は、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行するための焦点検出素子であり、サブミラー122で反射した光束(光軸L4)の撮像素子110の撮像面と光学的に等価な位置に固定されている。
図2は、図1に示す焦点検出モジュール161の構成例を示す図である。本実施形態の焦点検出モジュール161は、コンデンサレンズ161a、一対の開口が形成された絞りマスク161b、一対の再結像レンズ161cおよび一対のラインセンサ161dを有し、フォーカスレンズ212の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束をラインセンサ161dで受光して得られる一対の像信号の位相ずれを周知の相関演算によって求めることにより焦点調節状態を検出する。
そして、図2に示すように被写体Pが撮像素子110の等価面(予定結像面)161eで結像すると合焦状態となるが、フォーカスレンズ212が光軸L1方向に移動することで、結像点が等価面161eより被写体側にずれたり(前ピンと称される)、カメラボディ100側にずれたりすると(後ピンと称される)、ピントずれの状態となる。
なお、被写体Pの結像点が等価面161eより被写体側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて短くなり、逆に被写体像Pの結像点がカメラボディ100側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて長くなる。
すなわち、合焦状態では一対のラインセンサ161dで検出される像信号がラインセンサの中心に対して重なるが、非合焦状態ではラインセンサの中心に対して各像信号がずれる、すなわち位相差が生じるので、この位相差(ずれ量)に応じた量だけフォーカスレンズ212を移動させることでピントを合わせる。
ここで、撮影光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を図3に示す。図3に示すように、撮影光学系の撮影画面50内には複数の焦点検出エリアAFPが設定されており、本実施形態においては、焦点検出モジュール161は、各焦点検出エリアAFPに対応して、一対のラインセンサ161dが複数備えられており、これにより、各焦点検出エリアAFPにおける像信号を取得できるようになっている。本実施形態では、図3にAFP1〜AFP51で示すように、51点の焦点検出エリアAFPが設けられ、それぞれの位置が撮像素子110の撮像範囲の所定位置に対応している。なお、焦点検出エリアAFPの個数および配置は、図3に示す態様に限定されるものではない。
図1に戻り、AF−CCD制御部162は、オートフォーカスモードにおいて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dのゲインや蓄積時間を制御するもので、焦点検出モジュール161に備えられた複数対のラインセンサ161dにて検出された像信号を、各焦点検出エリアAFPに対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
デフォーカス演算部163は、AF−CCD制御部162から送られてきた各焦点検出エリア51に対応した像信号のずれ量をデフォーカス量に変換し、これをレンズ駆動量演算部164へ出力する。
レンズ駆動量演算部164は、デフォーカス演算部163から送られてきたデフォーカス量に基づいて、当該デフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
レンズ駆動制御部165は、レンズ駆動量演算部164から送られてきたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令を送出し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させる。
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面となる位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
操作部150は、シャッターレリーズボタン、ズームボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、自動露出モード/マニュアル露出モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、また、オートフォーカスモードの中でも、焦点調節に用いるための焦点検出エリアを自動で選択する自動選択モードや、焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして、焦点状態が至近側に位置する焦点検出エリアを優先して選択する至近優先モードなどの設定が行えるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、レンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250から、レンズ鏡筒200の焦点調節範囲の情報などを含むレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へデフォーカス量や絞り制御信号などの情報を送信する。また、カメラ制御部170は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、図示しないメモリに出力する。さらに、カメラ制御部170は、デフォーカス演算部163から送られた各焦点検出エリアAFPのデフォーカス量に基づき、焦点調節に用いるための焦点検出エリアAFPの選択や、選択した焦点検出エリアAFPのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212により焦点調節可能な範囲である焦点調節範囲内にあるか否かの判定を行う。また、カメラ制御部170は、これらに加えて、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図4は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。以下においては、操作部150により、自動選択モードが選択されている場合における、焦点調節動作について説明する。
まず、ステップS101では、カメラ制御部170が、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS102へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS101で待機する。
ステップS102では、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積が行われ、AF−CCD制御部162は、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報を、各焦点検出エリアAFPに対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
ステップS103では、デフォーカス演算部163により、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア(AFエリア)AFPについて、位相差検出方式による像ズレ量の演算が行われ、各焦点検出エリアAFPのデフォーカス量が算出される。算出されたデフォーカス量は、カメラ制御部170およびレンズ駆動量演算部164に出力される。
ステップS104では、カメラ制御部170により、全ての焦点検出エリアについて、デフォーカス量の演算が終了したか否かの判断がされ、全ての焦点検出エリアAFPについて、デフォーカス量の演算が終了している場合には、ステップS105に進む。一方、終了していない場合には、ステップS102に戻り、ステップS102〜S103において、全ての焦点検出エリアAFPについて、デフォーカス量の演算が終了するまで、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報の読み出し、およびデフォーカス量の演算が繰り返される。
ステップS105では、カメラ制御部170により、デフォーカス演算部163にて算出された各焦点検出エリアAFPのデフォーカス量のグループ分けが行われる。以下に、デフォーカス量のグループ分けの具体的な方法について説明する。
すなわち、まず、カメラ制御部170は、デフォーカス演算部163にて算出された各焦点検出エリアAFPのデフォーカス量Xi(i=1〜N)から、デフォーカス量の集合の分散vを下記式(1)に従って、算出する。
v=Σ(Xi−Xave)2/N …(1)
上記式(1)において、XaveはN個のデフォーカス量の平均値であり、Σはi=1〜Nの総和を表す。また、撮影画面50内の51個全ての焦点検出エリアAFPで、デフォーカス量が検出されるとは限らず、焦点状態の検出が不能な焦点検出エリアがあったり、デフォーカス量が得られても信頼性判定の結果、信頼性なしとされる場合もある。そのため、本実施形態では、デフォーカス量の集合の分散vは、これらを除いたN個の焦点検出エリアAFPのデフォーカス量に基づき、上記式(1)に従って算出する。
次いで、N個のデフォーカス量の集合のバラツキ度合いを表す量としての標準偏差σを下記式(2)に従って、算出する。
σ=√(v) …(2)
そして、この集合のバラツキ度合いを表す標準偏差σを用いて、N個のデフォーカス量Xi(i=1〜N)をグループ分けするためのデフォーカス幅Hを下記式(3)により決定する。
H=α・σ …(3)
上記式(3)において、αは係数であり、通常は0.4〜0.6程度が適当である。
次いで、上記にて得られたグループ分け用のデフォーカス幅Hを用いて次の手順で、デフォーカス量のグループ分けが行われる。まず、デフォーカス量の検出されたN個の焦点検出エリアAFPのデフォーカス量Xi(i=1〜N)を、値が小さい順、すなわち、至近側のデフォーカス量から順に並べる。そして、順に並べたデフォーカス量について、相前後するデフォーカス量の差が、グループ分け用のデフォーカス幅H以下である場合に、相前後するデフォーカス量は互いに同じデフォーカス量グループに属するものとし、その一方で、相前後するデフォーカス量の差が、グループ分け用のデフォーカス幅Hよりも大きい場合に、相前後するデフォーカス量は互いに別のデフォーカス量グループに属するものと判断する。
たとえば、焦点検出エリアAFP1、AFP2、AFP3、AFP4のデフォーカス量がこの順で、並べられており、AFP1とAFP2との間のデフォーカス量の差、およびAFP3とAFP4との間のデフォーカス量の差が、グループ分け用のデフォーカス幅H以下であり、AFP2とAFP3との間のデフォーカス量の差が、グループ分け用のデフォーカス幅Hより大きい場合には、AFP1およびAFP2のデフォーカス量を同じデフォーカス量グループに属するものとし、AFP3およびAFP4のデフォーカス量を同じデフォーカス量グループに属するものとする。
次いで、ステップS106では、カメラ制御部170により、ステップS105によるグループ分けされた複数のデフォーカス量グループのうちから、デフォーカス量グループの選択が行われる。デフォーカス量グループの選択方法としては、特に限定されず、周知の方法を適用することができるが、主要被写体を捕捉している可能性の高いデフォーカス量グループを選択するような方法が好ましく、たとえば、最も至近側のデフォーカス量グループを選択する方法や、撮影画面50内において、中央部分に位置する焦点検出エリアAFP(たとえば、焦点検出エリアAFP1〜AFP3、AFP6〜AFP8、AFP11〜AFP13)を含むデフォーカス量グループを選択する方法などが挙げられる。
ステップS107では、ステップS106で選択されたデフォーカス量グループに属する焦点検出エリアAFPから、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの選択が行われる。なお、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの選択方法としては、特に限定されないが、選択されたデフォーカス量グループに属する複数の焦点検出エリアAFPのうち、最も至近側にある焦点検出エリアを選択する方法や、選択されたデフォーカス量グループに属する複数の焦点検出エリアAFPのうち、撮影画面50内において、中央部分に位置する焦点検出エリアを選択する方法(たとえば、選択されたデフォーカス量グループに属する焦点検出エリアが、AFP16〜AFP18、AFP26〜AFP28、AFP36〜AFP38である場合に、これらのうち中央部分に位置するAFP26を選択する方法)などが挙げられる。
ステップS108では、ステップS107にて焦点調節に用いるための焦点検出エリアが決定したか否かの判定が行われる。焦点調節に用いるための焦点検出エリアが決定した場合には、ステップS109に進み、焦点調節に用いるための焦点検出エリアが決定しなかった場合には、ステップS116に進む。なお、焦点調節に用いるための焦点検出エリアが決定しなかった場合としては、たとえば、全ての焦点検出エリアAFPについて焦点状態の検出が不能であった場合や、デフォーカス量が得られた焦点検出エリアAFPがあった場合でも、信頼性判定の結果、信頼性なしとされた場合などが挙げられる。
ステップS109では、レンズ駆動量演算部164により、ステップS107にて選択された焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
ステップS110では、レンズ制御部170により、ステップS107にて選択された焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置(ステップS107にて選択された焦点調節に用いるための焦点検出エリアで捕捉している被写体にピントの合う焦点調節位置)が、フォーカスレンズ212により焦点調節可能な範囲である焦点調節範囲内にあるか否かの判定が行われる。フォーカスレンズ212の合焦位置が、焦点調節範囲内にある場合には、ステップS111に進み、フォーカスレンズ212の合焦位置が、焦点調節範囲外の場合には、ステップS113に進む。なお、焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外となる場合としては、たとえば、該合焦位置が、レンズ鏡筒200に備えられたフォーカスレンズ212により焦点調節可能な焦点距離よりも至近側にある場合などが挙げられる。
ステップS111では、レンズ駆動制御部165により、ステップS109にて算出されたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令が送出され、フォーカスレンズ212の移動が行われる。
ステップS112では、合焦判定が行われる。具体的には、フォーカスレンズ212が目標位置まで移動し、ステップS107にて選択された焦点調節に用いるための焦点検出エリアの焦点調節状態が合焦となったか否かの判定が行われる。合焦と判定された場合には、本実施形態の焦点調節動作を終了する。そして、この場合においては、ファインダ光学系に設けられた透過型液晶表示器132により、焦点板131上の被写体像に重畳して表示されている焦点検出エリアマークのうち、焦点調節に用いた焦点検出エリアのエリアマークの点灯表示が行われ、撮影者は、ファインダ135を通して、エリアマークの点灯表示を視認することで、合焦状態となったことを確認することができる。一方、合焦と判定されなかった場合には、ステップS101に戻り、再度、焦点調節動作が行われる。
一方、ステップS110において、焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外にあると判断された場合には、ステップS113に進み、ステップS113〜S114にて、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定処理が行われる。
本実施形態においては、まず、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定処理を行う前に、ステップS113において、デフォーカス量の検出された全ての焦点検出エリアAFPについて、ステップS110の判定(すなわち、各焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲内にあるか否かの判定)が行われたか否かの判定が行われる。その結果、ステップS110の判定が行われていない焦点検出エリアが存在する場合には、ステップS114に進み、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定処理が行われる。
ステップS114では、ステップS110において、焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外であり、そのため、フォーカスレンズ212を合焦位置まで駆動できないため、カメラ制御部170により、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定が行われる。
具体的には、ステップS114においては、カメラ制御部170により、既に焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして選択された焦点検出エリア以外の、別の焦点検出エリアを、焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして選択される。ここで、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定を行う方法としては、特に限定されないが、ステップS103においてデフォーカス量が検出された全ての焦点検出エリアAFPについて、優先順位を設定しておき、設定した優先順位に基づいて、選択する方法などが挙げられる。なお、この場合における優先順位としては、たとえば、焦点調節位置が至近側にある焦点検出エリアから順に優先順位を設定する方法や、撮影画面50内における位置が中央位置に対応する焦点検出エリアを優先順位の高いものとして設定する方法や、人物などの特定被写体を捕捉している焦点検出エリアを優先順位の高いものとして設定する方法などが挙げられる。また、これらは適宜組み合わせたものであってもよい。なお、この場合においては、既に焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして選択された焦点検出エリアと近いデフォーカス量が検出された焦点検出エリアがある場合には、その合焦位置は、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外である可能性が高いと考えられる。そのため、本実施形態では、これらを除外して、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定を行うような態様としてもよい。
そして、ステップS114において、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定が行われると、ステップS109に戻り、再設定された焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたレンズ駆動量Δdの演算が行われ、ステップS110にて、再設定された焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲内にあるか否かの判定が行われる。その結果、合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲内にある場合には、ステップS111に進み、フォーカスレンズ212の駆動が行われ、ステップS112において、合焦したと判定された場合には、本実施形態の焦点調節動作を終了する。そして、この場合においては、ファインダ光学系に設けられた透過型液晶表示器132により、焦点板131上の被写体像に重畳して表示されている焦点検出エリアマークのうち、焦点調節に用いた焦点検出エリアのエリアマークの点灯表示を行うとともに、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定が行われた旨の表示が行われる。これにより、撮影者は、ファインダ135を通して、合焦状態となったこと、および焦点検出エリアの再設定処理が行われたことを確認することができる。
一方で、合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外である場合には、再度ステップS113〜S114にて、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定が行われる。
また、上述したステップS113において、デフォーカス量の検出された全ての焦点検出エリアAFPについて、ステップS110の判定が既に行われていると判定された場合には、焦点調節に用いるための焦点検出エリアが存在しないこととなるため、ステップS115に進み、焦点調節動作の終了処理がなされる。具体的には、ステップS115では、再設定するための焦点検出エリアが既に存在していないため、ファインダ光学系に設けられた透過型液晶表示器132に非合焦である旨の表示が行われ、撮影者に対して、ファインダ135を通して非合焦である旨を報知して、焦点調節動作を終了する。なお、ステップS115にて、非合焦である旨の表示が行われる場合としては、たとえば、デフォーカス量の検出された全ての焦点検出エリアAFPにおける合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外である場合などが挙げられる。また、非合焦である旨の表示に代えて、対応する焦点検出エリアのエリアマークを点滅表示させ、これにより、撮影者に対して、ファインダ135を通して非合焦である旨を報知する構成としてもよい。
さらに、上述したステップS108において、焦点調節に用いるための焦点検出エリアが決定されなかったと判断された場合には、ステップS116に進み、スキャン動作が行われる。具体的には、ステップS116におけるスキャン動作においては、レンズ駆動制御部250により、フォーカスレンズ駆動モータ230へレンズ駆動信号の送出が行われ、これにより、フォーカスレンズ212を所定方向へ駆動させながら、各焦点検出エリアAFPについてデフォーカス量の演算を行うことにより、焦点状態の探索が行われる。そして、ステップS116のスキャン動作が終了すると、ステップS112に進み、合焦判定が行われ、合焦と判定された場合には、本実施形態の焦点調節動作を終了する。一方、合焦と判定されなかった場合には、ステップS101に戻り、再度、焦点調節動作が行われる。
本実施形態においては、以上のようにして、焦点調節動作が行われる。
本実施形態においては、焦点調節に用いるための焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲内にあるか否かの判断を行い、焦点調節範囲外にある場合には、別の焦点検出エリアを、焦点調節を行うための焦点検出エリアとして再設定し、再設定された焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて、焦点調節を行う。そのため、本実施形態によれば、自動選択モードや至近優先モードなどの焦点調節に用いるための焦点検出エリアを自動で決定する場合において、合焦位置がフォーカスレンズ212の焦点調節範囲内にある焦点検出エリアを適切に選択することができ、これにより、良好に焦点調節を行うことができる。特に本実施形態によれば、焦点調節に用いるための焦点検出エリアを自動で決定する場合において、合焦位置がフォーカスレンズ212による焦点調節範囲外にある焦点検出エリアが選択され、これにより、フォーカスレンズ212が合焦位置まで移動できないため、合焦位置まで移動する代わりに、最至近側の位置に移動することで、焦点調節動作が完了してしまうことを有効に防止することができる。
さらに、本実施形態によれば、デフォーカス量の検出された全ての焦点検出エリアAFPについて、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外である旨の判定が既に行われていると判定された場合に、非合焦表示を行うことで、撮影者に対して、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外となっていることを適切に報知することができる。そのため、特に、本実施形態によれば、レンズ鏡筒200が撮影距離指標を有していない場合に、好適に適用可能である。
なお、以上説明した実施形態は、上記発明の理解を容易にするために記載されたものであって、上記発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、上記発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、操作部150により、自動選択モードが選択されている場合における、焦点調節動作について説明したが、至近優先モードが選択されている場合においても、同様にして、焦点調節動作が行われる。図5に、至近優先モードが選択されている場合における焦点調節動作を説明するためのフローチャートを示す。
図5に示すように、至近優先モードが選択されている場合においても、図4に示す場合と同様に、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押しがされると(ステップS201)、各焦点検出エリアAFPについて、デフォーカス量の算出が行われる(ステップS202〜S204)。そして、図4に示す場合(図4に示すステップS105〜S107)とは異なり、ステップS205において、カメラ制御部170により、最も至近側のデフォーカス量を有する焦点検出エリアが、焦点調節に用いるための焦点検出エリアとして選択される。
そして、図5に示すように、焦点調節に用いるための焦点検出エリアの再設定に際し、次に至近側のデフォーカス量を有する焦点検出エリアを選択する(ステップS212)以外は、図4に示す場合(図4に示すステップS108〜S116)と同様に処理が行われる。
また、上述した実施形態においては、焦点検出エリアを選択する際に(ステップS107)、デフォーカス量グループに属する焦点検出エリアAFPから、焦点調節に用いるための焦点検出エリアを1つ選択し、選択した焦点検出エリアのデフォーカス量に基づいて、焦点調節を行う例を示したが、デフォーカス量グループに属する全ての焦点検出エリアAFPのデフォーカス量の平均値を求め、求めた平均デフォーカス量を用いて、焦点調節を行う構成としてもよい。この場合において、焦点検出エリアの再設定を行う際には(ステップS114)、ステップS106にて選択したデフォーカス量グループと別のデフォーカス量グループを再選択し、再選択したデフォーカス量グループに属する全ての焦点検出エリアのデフォーカス量の平均値を求め、求めた平均デフォーカス量を用いて、焦点調節を行えばよい。あるいは、デフォーカス量グループに属する焦点検出エリアAFPのうち、一部の焦点検出エリアを選択し、選択した焦点検出エリアのデフォーカス量の平均値を求め、求めた平均デフォーカス量を用いて、焦点調節を行う構成としてもよい。
さらに、上述の実施形態において、ステップS107で選択された、またはステップS114で再設定された焦点検出エリアが、撮影画面50内の中央部分に位置するエリアである場合(たとえば、AFP1である場合、またはAFP1〜AFP3、AFP6〜AFP8、およびAFP11〜AFP13のいずれかである場合)であって、ステップS110にて、該焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外であると判定された場合には、別の焦点検出エリアを選択しても、撮影者が意図した焦点調節状態が得られない可能性が高いと判断し、焦点検出エリアの再設定(ステップS114)を行わずに、ステップS115に進み、非合焦である旨の表示を行うような構成としてもよい。
あるいは、ステップS114における焦点調節に用いる焦点検出エリアの再設定処理を、所定回数以上行った後に、再度、ステップS110にて、焦点検出エリアのデフォーカス量に応じたフォーカスレンズ212の合焦位置が、フォーカスレンズ212による焦点調節範囲外であると判定された場合にも、これ以上他の焦点検出エリアを選択しても、撮影者が意図した焦点調節状態が得られない可能性が高いと判断し、焦点検出エリアの再設定(ステップS114)を行わずに、ステップS115に進み、非合焦である旨の表示を行うような構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、デフォーカス量の検出された全ての焦点検出エリアAFPについて、ステップS110の判定が既に行われていると判定された場合に(ステップS113)、ステップS115において、ファインダ光学系に設けられた透過型液晶表示器132に非合焦である旨の表示を行うことで、撮影者に対して、非合焦である旨を報知する構成を例示したが、非合焦である旨の表示を行う代わりに、警告音(警告音としては、合焦時に発する合焦音と異なる音とする。)を発することで、非合焦である旨の報知を行うような構成としてもよい。あるいは、非合焦である旨の表示とともに、警告音を発する構成としてもよい。
加えて、上述の実施形態において、カメラ制御部170は、レンズ鏡筒200に備えられたレンズ制御部250と通信を行い、レンズ制御部250から撮影距離情報を取得できなかった場合においてのみ、本実施形態に係る焦点調節動作を行うような構成としてもよい。