《第1実施形態》
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
以下においては、本発明を一眼レフデジタルカメラに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。ただし本発明は、銀塩フィルムカメラなどのその他の撮像装置にも適用することができる。
図1は、本実施形態に係る一眼レフデジタルカメラ1を示すブロック図であり、上記発明の焦点検出装置、焦点調節装置および撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
本実施形態の一眼レフデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とは着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒200には、レンズ211,212,213、および絞り220を含む撮影光学系が内蔵されている。
フォーカスレンズ212は、レンズ鏡筒200の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ260によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ230によってその位置が調節される。
このフォーカスレンズ212の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒200に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ212を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ230によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1に沿って直進移動することになる。なお、レンズ鏡筒200にはフォーカスレンズ212以外のレンズ211,213が設けられているが、ここではフォーカスレンズ212を例に挙げて本実施形態を説明する。
上述したようにレンズ鏡筒200に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ230がレンズ鏡筒200に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ230と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ212が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ230の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ212は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
フォーカスレンズ212の位置はエンコーダ260によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ212の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒200に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
本実施形態のエンコーダ260としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
フォーカスレンズ212は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ100側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ260で検出されたフォーカスレンズ212の現在位置情報は、レンズ制御部250を介して後述するカメラ制御部160へ送出される。そして、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ212の駆動量が、レンズ駆動制御部165からレンズ制御部250を介して送出され、これに基づいて、フォーカスレンズ駆動モータ230は駆動する。
絞り220は、上記撮影光学系を通過して、カメラボディ100に備えられた撮像素子110に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り220による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部160からレンズ制御部250を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部170からレンズ制御部250に入力される。絞り220の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部250で現在の開口径が認識される。
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回動に合わせて回転するサブミラー122とを備える。図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。
ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール161へ導く。
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール161へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ212の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタン(不図示)を全押しするとミラー系120が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データを図示しないメモリに保存する。
クイックリターンミラー120で反射された被写体からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。また、測光センサ137は、被写体認識用の撮像素子も兼ねており、撮影光学系により焦点板131上に結像された被写体像を電気信号に変換して画像信号を出力する。測光センサ137で検出された信号はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御および被写体認識処理に用いられる。
焦点検出モジュール161は、被写体光を用いた位相差検出方式による自動合焦制御を実行するための焦点検出素子であり、サブミラー122で反射した光束(光軸L4)の、撮像素子110が初期位置にある場合における撮像素子110の撮像面と光学的に等価な位置に固定されている。
図2は、図1に示す焦点検出モジュール161の構成例を示す図である。本実施形態の焦点検出モジュール161は、コンデンサレンズ161a、一対の開口が形成された絞りマスク161b、一対の再結像レンズ161cおよび一対のラインセンサ161dを有し、フォーカスレンズ212の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束をラインセンサ161dで受光して得られる一対の像信号の位相ずれを周知の相関演算によって求めることにより焦点調節状態を検出する。
そして、図2に示すように被写体Pが撮像素子110の等価面(予定結像面)161eで結像すると合焦状態となるが、フォーカスレンズ212が光軸L1方向に移動することで、結像点が等価面161eより被写体側にずれたり(前ピンと称される)、カメラボディ100側にずれたりすると(後ピンと称される)、ピントずれの状態となる。
なお、被写体Pの結像点が等価面161eより被写体側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて短くなり、逆に被写体像Pの結像点がカメラボディ100側にずれると、一対のラインセンサ161dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて長くなる。
すなわち、合焦状態では一対のラインセンサ161dで検出される像信号がラインセンサの中心に対して重なるが、非合焦状態ではラインセンサの中心に対して各像信号がずれる、すなわち位相差が生じるので、この位相差(ずれ量)に応じた量だけフォーカスレンズ212および撮像素子110を移動させることでピントを合わせる。
ここで、撮影光学系の撮影画面50内に設定された複数の焦点検出エリアの配置例を図3に示す。図3に示すように、撮影光学系の撮影画面50内には複数の焦点検出エリア51が設定されており、本実施形態においては、焦点検出モジュール161は、各焦点検出エリア51に対応して、一対のラインセンサ161dが複数備えられており、これにより、各焦点検出エリア51における像信号を取得できるようになっている。本実施形態では、図3に1〜31の数字で示すように、31点の焦点検出エリア51が設けられ、それぞれの位置が撮像素子110の撮像範囲の所定位置に対応している。なお、焦点検出エリア51の個数および配置は、図3に示す態様に限定されるものではない。
図1に戻り、AF−CCD制御部162は、オートフォーカスモードにおいて、焦点検出モジュール161のラインセンサ161dのゲインや蓄積時間を制御するもので、焦点検出モジュール161に備えられた複数対のラインセンサ161dにて検出された像信号を、各焦点検出エリア51に対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
デフォーカス演算部163は、AF−CCD制御部162から送られてきた各焦点検出エリア51に対応した像信号のずれ量をデフォーカス量dfに変換し、これを駆動量演算部164へ出力する。
レンズ駆動量演算部164は、デフォーカス演算部163から送られてきたデフォーカス量dfに基づいて、当該デフォーカス量dfに応じたレンズ駆動量Δdを演算し、これをレンズ駆動制御部165へ出力する。
レンズ駆動制御部165は、レンズ駆動量演算部164から送られてきたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令を送出し、レンズ駆動量Δdだけフォーカスレンズ212を移動させる。
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ211,212,213を含む撮影光学系の予定焦点面となる位置に設けられ、その前面にシャッター111が設けられている。この撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのち図示しないメモリに保存される。なお、撮影画像を格納するメモリは内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
操作部150は、シャッターレリーズボタン、ズームボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、自動露出モード/マニュアル露出モード、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、また、オートフォーカスモードの中でも、特定被写体を認識するための被写体認識モードの設定が行えるようになっている。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、レンズ制御部250と電気的に接続され、このレンズ制御部250からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部250へデフォーカス量や絞り制御信号などの情報を送信する。また、カメラ制御部170は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、図示しないメモリに出力する。さらに、カメラ制御部170は、操作部150により、被写体認識モードが選択されている場合には、測光センサ137からの画像信号を受信し、受信した画像信号に基づき、撮影画面50内に存在する特定被写体を検知するための被写体認識処理を行う。また、カメラ制御部170は、これらに加えて、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図4〜図7は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。以下においては、操作部150により、被写体認識モードが選択されている場合を例示して説明する。
まず、ステップS101では、カメラ制御部170が、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS102へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS101で待機する。
ステップS102では、カメラ制御部170は、測光センサ137から被写体認識用の画像信号を受信し、被写体認識処理を行う。被写体認識の方法としては、特に限定されず、公知の方法に従えばよいが、たとえば、人物の顔のテンプレート画像を用いてテンプレートマッチングを行い、撮影光学系の撮影画面50中から人物の顔を認識し、これにより特定被写体を検出する方法などが挙げられる。
ステップS103では、カメラ制御部170により、ステップS102における被写体認識処理によって、撮影光学系の撮影画面50内において、撮影画面50中に設定された複数の焦点検出エリア51に対応する位置に、特定被写体が検出されたか否かの判定が行われる。特定被写体が検出された場合には、ステップS104に進み、図5に示す「焦点調節処理A」が実行される(ステップS201〜S209)。一方、特定被写体が検出されなかった場合には、ステップS105に進み、図6に示す「焦点調節処理B」が実行される(ステップS301〜S321)。
以下、図5に示す「焦点調節処理A」について、説明する。まず、ステップS201では、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積が行われ、AF−CCD制御部162は、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報を、各焦点検出エリア51に対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
ステップS202では、デフォーカス演算部163により、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア(AFエリア)51について、位相差検出方式による像ズレ量の演算が行われ、各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfが算出される。算出されたデフォーカス量dfは、カメラ制御部170およびレンズ駆動量演算部164に出力される。
ステップS203では、カメラ制御部170により、各焦点検出エリア51のうち、特定被写体が検出された全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量dfの演算が終了したか否かの判断がされ、特定被写体が検出された全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量dfの演算が終了している場合には、ステップS204に進む。一方、終了していない場合には、特定被写体が検出された全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量dfの演算が終了するまで、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報の読み出し、およびデフォーカス量dfの演算が繰り返される。
ステップS204では、カメラ制御部170により、デフォーカス演算部163によって算出されたデフォーカス量dfに基づき、特定被写体が検出された焦点検出エリア51のうち、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51を決定するための処理が行われる。焦点調節に用いるための焦点検出エリア51を決定する方法としては、特に限定されないが、たとえば、特定被写体が検出された焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの分布や信頼性に基づいて決定する方法や、特定被写体が検出された焦点検出エリア51のうち、最も至近側に位置するエリアを選択する方法などが挙げられる。
ステップS205では、ステップS204において、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定されたか否かの判定が行われ、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定された場合には、ステップS208に進む。一方、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定されなかった場合には、ステップS206に進む。なお、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定されない場合としては、たとえば、特定被写体が検出された焦点検出エリア51のデフォーカス量が算出できない場合や、デフォーカス量が算出できても、その信頼性が低い場合などが挙げられる。
ステップS206では、ステップS204において、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定されなかったため、特定被写体が検出された焦点検出エリア51以外の焦点検出エリアについて、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあるか否かの判断が行われる。ここで、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあるか否かの判断は、たとえば、特定被写体が検出された焦点検出エリア51以外の焦点検出エリアのうち、ステップS202において、デフォーカス量が算出され、かつ、算出されたデフォーカス量の信頼性が所定の基準以上である焦点検出エリアが存在するか否かに基づいて行うことができる。焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあると判断された場合には、ステップS207に進む。一方、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアが存在しないと判断された場合には、「焦点調節処理A」を終了し、本実施形態の処理を終了する。
ステップS207では、ステップS206にて、焦点状態の検出が可能であると判断された焦点検出エリアのうちから、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51を決定するための処理が行われる。この場合における、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51の決定方法としては、特に限定されないが、たとえば、最も至近側に位置するエリアを選択する方法などが挙げられる。
ステップS208では、ステップS204において、特定被写体が検出された焦点検出エリア51のうちから決定された焦点調節に用いる焦点検出エリア、またはステップS207において、定被写体が検出された焦点検出エリア51以外の焦点検出エリアのうちから決定された焦点調節に用いる焦点検出エリアにおける、焦点状態に基づいて、図7に示す焦点調節処理が行われる(ステップS401〜ステップS404)。
図7に示す焦点調節処理においては、まず、ステップS401において、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積が行われ、AF−CCD制御部162は、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報を、各焦点検出エリア51に対応させて読み出し、デフォーカス演算部163へ出力する。
次いで、ステップS402では、デフォーカス演算部163により、ステップS204またはステップS207において決定された焦点調節に用いる焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出が行われ、算出されたデフォーカス量は、レンズ駆動量演算部164に出力される。
ステップS403では、レンズ駆動量演算部164により、デフォーカス演算部163によって算出されたデフォーカス量dfに基づいて、デフォーカス量dfに応じたフォーカスレンズ212のレンズ駆動量Δdの算出が行われ、算出されたレンズ駆動量Δdは、レンズ駆動制御部165に出力される。
ステップS404では、レンズ駆動制御部165により、ステップS403にて算出されたレンズ駆動量Δdに基づいて、レンズ制御部250を介して、フォーカスレンズ駆動モータ230へ駆動指令が送出され、フォーカスレンズ212が移動する。
次いで、図5のステップS209に進み、合焦判定が行われる。本実施形態では、たとえば、フォーカスレンズ212が目標位置まで移動した場合、または焦点調節に用いる焦点検出エリア51のデフォーカス量が所定値以下となった場合に、合焦と判定される。合焦と判定された場合には、図5に示す「焦点調節処理A」を終了し、本実施形態の処理を終了する。一方、合焦していないと判定された場合には、ステップS208に戻り、焦点調節処理が繰り返し行われる。
一方、図4に示すステップS103において、特定被写体が検出されなかったと判断された場合には、ステップS105に進み、図6に示す「焦点調節処理B」が実行される(ステップS301〜S321)。
以下、図6に示す「焦点調節処理B」について、説明する。まず、ステップS301、S302では、図5に示すステップS201、S202と同様に、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積、読み出し、および撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出が行われる。
ステップS303では、各焦点検出エリア51のうち、全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量dfの演算が終了したか否かの判断がされる。全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量dfの演算が終了した場合には、ステップS304に進み、一方、終了していない場合には、ラインセンサ161eで蓄積された信号情報の読み出し、およびデフォーカス量dfの演算が繰り返される。
ステップS304では、カメラ制御部170により、デフォーカス演算部163によって算出されたデフォーカス量dfに基づき、各焦点検出エリア51のうち、仮合焦を行うための仮合焦用の焦点検出エリア51を決定するための処理が行われる。ここで、本実施形態において、仮合焦とは、撮影光学系の撮影画面50内に設定された各焦点検出エリア51から、焦点検出を行うための焦点検出エリアを仮決めし、仮決めした焦点検出エリア(仮決めした焦点検出エリアを「仮合焦用の焦点検出エリア」とする。)における、焦点状態に基づいて、仮の焦点調節処理を行うことを意味する。また、仮合焦用の焦点検出エリア51の決定方法としては、特に限定されないが、たとえば、最も至近側に位置するエリアを選択する方法などが挙げられる。
ステップS305では、ステップS304において仮合焦用の焦点検出エリア51が決定されたか否かの判定が行われ、仮合焦用の焦点検出エリア51が決定された場合には、ステップS308に進む。一方、仮合焦用の焦点検出エリア51が決定されなかった場合には、ステップS306に進む。なお、仮合焦用の焦点検出エリア51が決定されない場合としては、たとえば、全ての焦点検出エリア51について、デフォーカス量が算出できない場合や、デフォーカス量が算出できても、その信頼性が低い場合、さらには、デフォーカス量の値から仮合焦用の焦点検出エリアとして選択するのに適当でないと判断された場合などが挙げられる。
ステップS306では、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあるか否かの判断が行われる。焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあるか否かの判断としては、特に限定されないが、たとえば、ステップS304において、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアであっても、仮合焦用の焦点検出エリアとして選択するのに適当でないと判断された焦点検出エリアがあるか否か等に基づいて、判断される。焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあると判断された場合には、ステップS307に進む。一方、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアが存在しないと判断された場合には、図6に示す「焦点調節処理B」を終了し、本実施形態の処理を終了する。
ステップS307では、ステップS306にて、焦点状態の検出が可能であると判断された焦点検出エリア51のうちから、仮合焦用の焦点検出エリア51を決定するための処理が行われる。この場合における、仮合焦用の焦点検出エリア51の決定方法としては、特に限定されないが、たとえば、最も至近側に位置するエリアを選択する方法などが挙げられる。
ステップS308では、ステップS305またはステップS307で決定された仮合焦用の焦点検出エリアにおける、焦点状態に基づいて、図7に示す焦点調節処理が行われる(ステップS401〜S404)。
ステップ309では、ステップS308の焦点調節処理により、ステップS305またはステップS307で決定された仮合焦用の焦点検出エリアにおけるデフォーカス量が予め設定された所定値以下となったか否かの判断が行われる。なお、この場合における所定値としては特に限定されず、フォーカスレンズ212の像面位置が、仮合焦用の焦点検出エリアの合焦点近傍となるような値(たとえば300μm)に設定することができる。仮合焦用の焦点検出エリアにおけるデフォーカス量が所定値以下となった場合には、ステップS310に進む。一方、仮合焦用の焦点検出エリアにおけるデフォーカス量が所定値を超えている場合には、ステップS308に戻り、焦点調節処理が繰り返し行われる。
ステップS310では、ステップS305またはステップS307において決定された仮合焦用の焦点検出エリアの合焦点近傍で、再度、被写体認識処理が行われる。なお、被写体認識処理は、図4に示すステップS102と同様にして行われる。そして、S311において、図4に示すステップS103と同様に、撮影画面50中に設定された複数の焦点検出エリア51に対応する位置に、特定被写体が検出されたか否かの判定が行われ、特定被写体が検出された場合には、ステップS312に進む。一方、特定被写体が検出されなかった場合には、ステップS319に進む。
ステップS312〜S315では、ステップS310における被写体認識処理により特定被写体が検出されたため、図5に示すステップS201〜S204と同様に、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積、読み出し、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出、および特定被写体が検出された焦点検出エリア51のうちから、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51を決定するための処理が行われる。
ステップS316では、図5に示すステップS205と同様に、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定されたか否かの判定が行われ、焦点調節に用いるための焦点検出エリア51が決定された場合には、ステップS320に進み、一方、決定されなかった場合には、ステップS317に進む。
ステップS317では、図5に示すステップS206と同様に、特定被写体が検出された焦点検出エリア51以外の焦点検出エリアについて、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあるか否かの判断が行われる。そして、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアがあると判断された場合には、ステップS318に進み、図5に示すステップS207と同様にして、焦点調節用の焦点検出エリアの決定処理が行われる。一方、焦点状態の検出が可能な焦点検出エリアが存在しないと判断された場合には、ステップS319に進む。
そして、ステップS311において、特定被写体が検出されなかったと判断された場合、またはステップS317において、焦点状態の検出可能な焦点検出エリアが存在しないと判断された場合には、ステップS319に進み、ステップS319では、ステップS304またはステップS307で決定した仮合焦用の焦点検出エリアを、焦点調節用の焦点検出エリアに設定される。
ステップS320では、ステップS315、ステップS318またはステップS319で決定された焦点調節用の焦点検出エリアにおける、焦点状態に基づいて、図7に示す焦点調節処理が行われ(ステップS401〜ステップS404)、ステップS321において、合焦したと判定された場合には、「焦点調節処理B」を終了し、本実施形態の処理を終了する。一方、合焦していないと判定された場合には、ステップS220に戻り、焦点調節処理が繰り返し行われる。
《第2実施形態》
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。本発明の第2実施形態は、上述した第1実施形態のカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、第1実施形態と同様である。
以下においては、第2実施形態の動作について、説明する。図8は、第2実施形態に係る「焦点調節処理C」を説明するためのフローチャートである。第2実施形態においては、図4に示すフローチャートにおいて、ステップS105の「焦点調節処理B」の代わりに、図8に示す「焦点調節処理C」を実行する以外は、第1実施形態と同様に動作する。
すなわち、第2実施形態においては、図4に示すステップS103において、特定被写体が検出されなかったと判断された場合には、図8に示す「焦点調節処理C」を実行する。
そして、図8に示す「焦点調節処理C」においては、まず、ステップS501〜S503において、図6に示す「焦点調節処理B」のステップS301〜S303と同様に、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積、読み出し、および撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出が行われる。
そして、ステップS504において、ステップS502で算出された各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveの算出が行われ、デフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値以上であるか否かの判断が行われる。その結果、各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値以上であると判断された場合には、ステップS505に進み、ステップS505〜S522において、図6に示す「焦点調節処理B」のステップS304〜S321と同様に、仮合焦用の焦点検出エリアの決定、被写体認識処理および焦点調節処理が行われる。なお、デフォーカス量dfの平均値dfaveを算出するに際しては、必ずしも、撮影画面50中の複数の焦点検出エリア51のうち、全ての焦点検出エリア51を用いて算出する必要はなく、たとえば、撮影画面50中の複数の焦点検出エリア51のうち、撮影画面50中央部分の特定の焦点検出エリア51を用いて算出してもよい。
一方、各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値未満である場合には、仮合焦用の焦点検出エリアの決定および被写体認識処理(ステップS505〜S515)を行わずに、ステップS516に進み、ステップS502で算出された各焦点検出エリア51のデフォーカス量に基づいて、焦点調節用の焦点検出エリアを決定するための処理が行われる。なお、この場合に、仮合焦用の焦点検出エリアの決定および被写体認識処理を行わないのは、デフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値未満であるにも拘わらず、ステップS102において、特定被写体が検知できなかったため、仮合焦用の焦点検出エリアの合焦点近傍で、再度、被写体認識処理を行っても、特定被写体が検知できる可能性は低いと考えられることによる。そして、ステップS517〜S522において、図6に示す「焦点調節処理B」のステップS304〜S321と同様に、焦点調節処理が行われる。
《第3実施形態》
次いで、本発明の第3実施形態を説明する。本発明の第3実施形態は、上述した第1実施形態のカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、第1実施形態と同様である。
以下においては、第3実施形態の動作について、説明する。図9〜図11は、第3実施形態におけるカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。第3実施形態においては、被写体認識処理(ステップS606)を行う前に、デフォーカス量dfの算出(ステップS603)、およびデフォーカス量dfの平均値dfaveに基づく判断(ステップS604)を行う点において異なる以外は、上述の第1実施形態と同様である。
すなわち、図9に示すように、ステップS601では、図4に示すステップS101と同様に、カメラ制御部170が、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS602へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS601で待機する。
ステップS602〜S604では、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積、読み出し、および、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出が行われる。
ステップS605では、ステップS603で算出された各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveの算出が行われ、デフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値以上であるか否かの判断が行われる。その結果、各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値以上である場合には、ステップS606に進み、被写体認識処理が行われる。一方、各焦点検出エリア51のデフォーカス量dfの平均値dfaveが所定値未満である場合には、ステップS609に進み、図11に示す「焦点調節処理E」が実行される。
ステップS606では、図4に示すステップS102と同様にして、被写体認識処理が行われ、ステップS607において、特定被写体が検出されたと判断された場合には、ステップS608に進み、図10に示す「焦点調節処理D」が実行される(ステップS701〜706)。一方、特定被写体が検出されなかったと判断された場合には、ステップS609に進み、図11に示す「焦点調節処理E」が実行される(ステップS801〜818)。
そして、図10に示す「焦点調節処理D」においては、図5に示す「焦点調節処理A」のステップS204〜S209と同様に、特定被写体が検出された焦点検出エリアのうち、焦点調節用の焦点検出エリアを決定する処理が行われ、これに基づき、焦点調節処理が行われる(ステップS701〜S706)。
一方、図11に示す「焦点調節処理E」においては、図6に示す「焦点調節処理F」のS304〜S321と同様に、ステップS603で算出された各焦点検出エリアのデフォーカス量に基づき、仮合焦用の焦点検出エリアの決定処理がなされ、決定された仮合焦用の焦点検出エリアの合焦位置近傍での被写体認識処理、および焦点調節処理が行われる(ステップS801〜S818)。
なお、第3実施形態においては、ステップS607において、特定被写体が検出されなかった場合には、図11に示す「焦点調節処理D」を実行する場合を例示したが、図11に示す「焦点調節処理D」において、ステップS801〜S811(仮合焦用の焦点検出エリアの決定および被写体認識処理)を行わずに、ステップS812に進み、ステップS813からS818において、ステップS603で算出された各焦点検出エリア51のデフォーカス量に基づいて、焦点調節用の焦点検出エリアを決定するための処理が行い、これに基づき、焦点調節処理を行うような構成としてもよい。
《第4実施形態》
次いで、本発明の第4実施形態を説明する。本発明の第4実施形態は、上述した第1実施形態のカメラ1において、以下に説明するように動作する以外は、第1実施形態と同様である。
以下においては、第4実施形態の動作について、説明する。図12は、第4実施形態におけるカメラ1の動作を説明するためのフローチャートである。第4実施形態においては、シャッターレリーズボタンの半押しにより第1スイッチSW1がオン(ステップS905)する前に、半押しタイマがオンとなっている場合に(ステップS901)、予め、デフォーカス量dfの算出(ステップS903)を行う点において異なる以外は、上述の第3実施形態と同様である。
すなわち、図12のステップS901では、制御部170により、半押しタイマがオンしているか否かの判断が行われる。なお、半押しタイマは、撮影者によりシャッターレリーズボタンが半押しされることによりオンし、半押しされた後、所定時間経過することによりオフとなるタイマである。半押しタイマがオンしている場合には、ステップS902に進み、ステップS902〜S904において、焦点検出モジュール161のラインセンサ161eによる電荷の蓄積、読み出し、および、撮影画面50中に設定された各焦点検出エリア51のデフォーカス量の算出が行われる。一方、半押しタイマがオンしていない場合には、ステップS901で待機する。
ステップS905では、図4に示すステップS101と同様に、カメラ制御部170が、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS906へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS901に戻り、ステップS901〜S905を繰り返す。
そして、ステップS906〜S908では、図9に示すステップS605〜S607と同様に、各焦点検出エリア51のデフォーカス量の平均値が所定値以上であるか否かの判断、および被写体認識処理が行われる。そして、各焦点検出エリア51のデフォーカス量の平均値が所定値以上であり(ステップS906=Yes)、かつ、特定被写体が検出された場合(ステップS908=Yes)には、ステップS909に進み、図10に示す「焦点調節処理D」が実行される(ステップS701〜706)。一方、各焦点検出エリア51のデフォーカス量の平均値が所定値未満である場合(ステップS906=No)、または特定被写体が検出されなかった場合(ステップS908=No)には、ステップS910に進み、図11に示す「焦点調節処理E」が実行される。
なお、第4実施形態においても、ステップS908において、特定被写体が検出されなかった場合には、図11に示す「焦点調節処理D」において、ステップS801〜S811(仮合焦用の焦点検出エリアの決定および被写体認識処理)を行わずに、ステップS812に進み、ステップS813からS818において、ステップS603で算出された各焦点検出エリア51のデフォーカス量に基づいて、焦点調節用の焦点検出エリアを決定するための処理が行い、これに基づき、焦点調節処理を行うような構成としてもよい。
本実施形態においては、被写体認識処理により特定被写体が検知できるか否かの判断を行い、特定被写体が検知できない場合には、各焦点検出エリアのデフォーカス量に基づき、各焦点検出エリアから、仮合焦を行うための焦点検出エリアを仮決めし、仮合焦を行うための焦点検出エリアの合焦点近傍で、再度、被写体認識処理を行う。そのため、本実施形態によれば、被写体認識処理による特定被写体の検知精度の向上を図ることができ、これにより、特定被写体に対する焦点調節精度を向上させることができる。特に、本実施形態によれば、仮合焦を行うための焦点検出エリアを仮決めし、仮合焦を行うための焦点検出エリアの合焦点近傍で、再度、被写体認識処理を行うという構成を採用することにより、フォーカスレンズ212のレンズ位置、およびレンズの種類にかかわらず、被写体認識処理による特定被写体の検知精度の向上が可能となる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。