JP5208365B2 - 電子写真トナー用縮重合系樹脂の製造用原料 - Google Patents

電子写真トナー用縮重合系樹脂の製造用原料 Download PDF

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本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真トナー用縮重合系樹脂に関する。さらに、本発明は、前記縮重合系樹脂の原料として用いられる精製されたアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、並びに前記縮重合系樹脂を含有した電子写真トナーに関する。
電子写真システム、特に熱ローラー方式の定着システムを用いる電子写真システムに使用されるトナーに対しては、優れた低温定着性が求められる。
そこで、炭素数が10以上のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して得られたポリエステルは低温定着性及び耐オフセット性に優れることが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、オフィス等での使用を考慮すると、定着時の臭気が低減されたトナーが望まれるのに対し、アルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して得られたポリエステルは、定着時の臭気が懸念されるため(特許文献2参照)、その使用が忌避される傾向がある。
特開2000−35695号公報 特開2003−119351号公報
本発明の課題は、低温定着性に優れ、かつ定着時の臭気が低減される電子写真トナー用縮重合系樹脂、その原料として用いられるアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸、並びに該縮重合系樹脂を含有した電子写真トナーを提供することにある。
本発明は、
〔1〕 炭素数8〜15のアルキルコハク酸又は炭素数8〜15のアルケニルコハク酸であって、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析において、ケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積の総和(AS)の比(KS/AS)が1〜100である、電子写真トナー用縮重合系樹脂の原料用のアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸、
〔2〕 前記〔1〕記載のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有したカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる電子写真トナー用縮重合系樹脂、並びに
〔3〕 前記〔2〕記載の電子写真トナー用縮重合系樹脂を含有してなる電子写真トナー
に関する。
本発明のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を用いて得られる縮重合系樹脂を含有した電子写真トナーは、低温定着性に優れ、かつ定着時の臭気も低減されるという優れた効果を奏するものである。
本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸は、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析(SPME-GC/MS)において、ケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積の総和(AS)の比(KS/AS)が所定の範囲内にある点に大きな特徴を有する。従来、電子写真トナー用縮重合系樹脂の原料として用いられているアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を加熱し、揮発成分を分析すると、ケトン化合物とアルデヒド化合物が検出される。そこで、本発明者らが各化合物の標品を入手し、官能試験を行ったところ、アルデヒド化合物は弱い芳香臭がしたのに対し、ケトン化合物では強い刺激臭又は強い汗臭がし、ケトン化合物が加熱時の臭気の主たる原因であることが判明した。従って、従来のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を使用して合成されたポリエステルの臭気は、多量に残存したケトン化合物に起因していることは明らかであるが、さらに検討した結果、発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸においてアルデヒド化合物に対するケトン化合物の含有量が相対的に少ない場合に、かかるコハク酸を用いることにより、ケトン化合物が低減され、臭気が改善された縮重合系樹脂が得られるという驚くべき知見が得られた。ポリエステル中のケトン化合物が低減される理由の詳細は不明なるも、ポリエステル合成中に、ケトン化合物の一部がアルコールに変異しており、ケトン化合物に対して高い割合で含まれているアルデヒド化合物がこの反応を誘発し、さらにアルコール成分とカルボン酸成分との反応を促進していることもその一因ではないかと推定される。
上記観点より、本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸における、前記KS/ASは、1〜100であり、好ましくは2〜50、より好ましくは3〜20である。従来電子写真トナー用縮重合系樹脂の原料として用いられているアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸中のKS/ASは、140〜300程度であり、アルデヒド化合物に対するケトン化合物の比率が格段に高い。本発明の特定のKS/AS値を持つアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸を得るためには、例えば、上記コハク酸を減圧下で加熱することによりケトン化合物を低減する方法、減圧下で水を添加することにより、カルボキシル基が有する炭素−酸素間の二重結合を一部酸化し、アルデヒド化合物を生成させる方法、微小量のアルデヒド化合物を加える方法によりアルデヒド化合物を増加させる方法等があるが、調整が容易なことから、減圧下での水の添加により、アルデヒド化合物を増加させる方法が好ましい。
本発明において、ケトン化合物とアルデヒド化合物の検出に用いられる固相マイクロ抽出法(SPME)は、細いニードル内にあるフューズドシリカロッド表面にコーティングされた液相に試料中の化学物質を吸着させ、吸着後、ニードルをGC/MSの注入口に挿入して固相に吸着した化学物質を加熱脱着させることにより、ガスクロマトグラフ−質量分析を行う方法である。本発明において、予め試料を180℃で10分間を加熱した後、45℃で30分間の加熱条件下でのSPMEによる固相への吸着は、機内温度上昇によるトナー揮発成分の発生を再現していると考えられる。
アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸から検出されるケトン化合物としては、アセトン、2-ブタノン、3-メチル-2-ブタノン、3-ブテン-2-オン、2-ペンタノンジアセチル、3-メチル-3-ブテン-2-オン、4-メチル-2-ペンタノン、3-メチル-2-ペンタノン、2-ヘキサノン、4-メチル-2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、3-メチル-2-ヘプタノン、4-メチル-2-ヘプタノン、6-メチル-2-ヘプタノン、5-メチル-2-ヘプタノン等が挙げられる。
また、アルデヒド化合物としては、プロパナール、2-プロパナール、ブタナール、2-メチル-ブタナール、3-メチル-ブタナール、3-メチル-ペンタナール等が挙げられるが、本発明においては、2-メチル-ブタナール、3-メチル-ブタナール、3-メチル-ペンタナール等の炭素数が5以上、より好ましくは5〜8のアルデヒド化合物、なかでも2-メチル-ブタナール、3-メチル-ブタナール等のメチルブタナールのピークが検出されるアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸は、よりケトン化合物が低減された縮重合系樹脂が得られるため、好ましい。
アルデヒド化合物の総量中のメチルブチルブタナールの含有量、即ち、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積の総和におけるメチルブチルブタナールに帰属されるピーク面積の総和の割合は、5〜90%が好ましく、15〜90%がより好ましく、20〜90%がさらに好ましく、30〜85%がさらに好ましい。
本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の炭素数は、定着性の観点から、8〜15であり、好ましくは10〜14、より好ましくは11〜13である。なお、本明細書において、炭素数が8〜15のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸とは、炭素数が8〜15のアルキル基で置換されたコハク酸及び/又は炭素数が8〜15のアルケニル基で置換されたアルケニルコハク酸を意味し、これらの酸のアルキルエステルや無水物も含まれる。
炭素数が8〜15のアルキルコハク酸としては、オクチルコハク酸、ノニルコハク酸、デシルコハク酸、ウンデシルコハク酸、ドデシルコハク酸、トリデシルコハク酸、テトラデシルコハク酸、ペンタデシルコハク酸等が挙げられる。また、炭素数が10以上のアルケニルコハク酸としては、オクテニルコハク酸、ノネニルコハク酸、デセニルコハク酸、ウンデセニルコハク酸、ドデセニルコハク酸、トリデセニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸等が挙げられる。
さらに、本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸を用いて得られる電子写真トナー用縮重合系樹脂及びかかる縮重合系樹脂を含有した電子写真トナーを提供する。本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸を原料として用いることにより、ケトン化合物がより低減された縮重合系樹脂を得ることができる。本発明の縮重合系樹脂において、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析による、ケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積の総和(AS)の比(KS/AS)は、0.5〜4.0が好ましく、1.0〜3.5がより好ましい。
本発明の電子写真トナー用縮重合系樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル−ポリアミド等が挙げられるが、これらの中では、低温定着性の観点から、ポリエステルが好ましい。
ポリエステルは、本発明のアルキルコハク酸及び/又はアルケニルコハク酸を含有したカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる。
本発明のアルキルコハク酸又はアルケニルコハク酸の含有量、両者が併用されている場合には両者の総含有量は、カルボン酸成分中、0.5〜50モル%が好ましく、1〜45モル%がより好ましく、5〜40モル%がさらに好ましく、8〜40モル%がさらに好ましい。
本発明のアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸以外の2価のカルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、炭素数が1〜7もしくは16以上のアルキル基又は炭素数2〜7もしくは16以上のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、耐久性、定着性及び着色剤の分散性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物が好ましい。なお、カルボン酸、これらのカルボン酸の無水物、及びカルボン酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、30〜90モル%が好ましく、35〜80モル%がより好ましく、40〜70モル%がさらに好ましい。
3価以上の多価カルボン酸成分としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。
一方、アルコール成分には、定着性及び耐久性の両立の観点から、式(I):
Figure 0005208365
(式中、ROはアルキレンオキサイドであり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、90モル%以上が好ましく、95〜100モル%がより好ましく、実質的に100モル%がさらに好ましい。
前記ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外の2価のアルコールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
原料モノマーには、3価以上の単量体が含有されていることが好ましい。3価以上の単量体、即ち3価以上の多価アルコール及び/又は3価以上の多価カルボン酸化合物、好ましくは3価以上の多価カルボン酸化合物の含有量は、耐久性の観点から、アルコール成分とカルボン酸成分の総量中、1〜25モル%が好ましく、5〜20モル%がより好ましく、8〜15モル%がさらに好ましい。
さらに、原料モノマーには、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、要すればエステル化触媒の存在下、180〜250℃の温度で縮重合する工程を経て得られる。
本発明の縮重合系樹脂の軟化点は、トナーの低温定着性、定着可能領域及び保存性の観点から、70〜170℃が好ましく、80〜160℃がより好ましく、90〜155℃がさらに好ましい。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性及び保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜65℃がより好ましい。酸価は、トナーの帯電性及び環境安定性の観点から、1〜40mgKOH/gが好ましく、2〜30mgKOH/gがより好ましい。
本発明の縮重合系樹脂を結着樹脂として用い、必要に応じて着色剤等の添加剤とともに混合することにより、本発明の電子写真トナーが得られる。本発明の効果が損なわれない範囲で他の結着樹脂が含有されていてもよいが、本発明の縮重合系樹脂の含有量は、トナー中、40〜100重量%が好ましく、50〜100重量%がより好ましく、60〜100重量%がさらに好ましく、70〜100重量%がさらに好ましい。
結着樹脂以外にトナーに含有されていてもよい添加剤としては、着色剤、離型剤、荷電制御剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等が挙げられる。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族系炭化水素ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらのなかでは、離型性及び安定性の観点から、カルナウバワックスが好ましい。離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部が好ましく、0.8〜5重量部がより好ましい。
トナーの製造方法は、混練粉砕法、転相乳化法等の従来より公知のいずれの方法であってもよい。粉砕トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤等の添加剤等をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。さらに得られたトナー表面に疎水性シリカ等の無機微粒子や樹脂微粒子を外添してもよい。トナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の電子写真トナーは、単独で現像剤として用いられる一成分系現像用トナーとして、またはキャリアと混合して現像剤として用いられる二成分現像用トナーとして用いることができる。
〔軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
〔体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
アルケニルコハク酸の精製例1
ドデセニル無水コハク酸A(ASAN-PT、花王社製)2kgを、脱水管、攪拌器、熱電対及び滴下槽を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、150℃に昇温、8kPaにて攪拌しながら2時間減圧を行って、ドデセニル無水コハク酸Bを得た。
アルケニルコハク酸の精製例2
ドデセニル無水コハク酸A(ASAN-PT、花王社製)2kgを、脱水管、攪拌器、熱電対及び滴下槽を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、150℃に昇温、40kPaにて攪拌しながら40℃の水300mlを3時間かけて滴下して、ドデセニル無水コハク酸Cを得た。
アルケニルコハク酸の精製例3
ドデセニル無水コハク酸A(ASAN-PT、花王社製)2kgを、脱水管、攪拌器、熱電対及び滴下槽を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、150℃に昇温、10kPaにて攪拌しながら40℃の水800mlを3時間かけて滴下して、ドデセニル無水コハク酸Dを得た。
ドデセニル無水コハク酸A〜Dを、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析(SPME-GC/MS)に以下の測定条件で供し、ケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和(KS)と、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積(AS)の比(KS/AS)を測定し、メチルブタナールに帰属されるピークの有無を確認した。結果を表1に示す。
〔SPME-GC/MSの測定条件〕
試料1gをバイアルに詰めて密栓し、180℃のオーブンで10分間加熱した後、SPME-GC/MSに供する。
SPME:使用ファイバー Carboxen/Polidimethylsiloxane 吸着条件45℃/30min
GC:カラム DB-WAX 60m×0.25mm Film 0.25μm
<SPME>
メーカー ; SUPELCO
使用ファイバー ; CarboxenTM-PDMS 75um
型番 ; 57319
<GC>
メーカー ; Agilent Technologies
型番 ; HP6890 series GC System
注入口温度 : 250℃
注入条件 : スプリットレス
分析カラム : DBWAX(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
GCオーブン昇温条件 ; 25℃(4min hold)-6℃/min-70℃-3℃/min-240℃
<MS>
メーカー ; Agilent Technologies
型番 ; 5973 Mass Selective Detector
MSスキャンレンジ : M/Z33-300
<積分条件>
任意のピークについてマニュアル積分を行なう。
Figure 0005208365
樹脂製造例1
表2に示す無水トリメリット酸以外のアルコール成分及びカルボン酸成分とオクチル酸錫4gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、101.3kPa、230℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、101.3kPaで210℃にて表2に示す無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Eを得た。
Figure 0005208365
実施例1〜3及び比較例1、2(実施例3は参考例である)
表3に示す結着樹脂100重量部、着色剤「MONARCH 880」(キャボット社製)4重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-84」(オリエント化学工業社製)1重量部、ポリプロピレンワックス「NP-055」(三井化学社製)1重量部及びカルナバワックス「カルナバワックス C1」(加藤洋行社製)1重量部を、ヘンシェルミキサーにて良く攪拌後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱温度は120℃であり、混合物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を冷却ローラーで圧延冷却した後、ジェットミルで体積中位粒径(D50)が7.5μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に、外添剤として「アエロジル R-972」(日本アエロジル社製)1.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)にトナーを実装し、トナー付着量が0.5mg/cm2の未定着画像(2cm×12cm)を得た。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度100mm/sec)を用い、定着温度を90℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各定着温度で未定着画像を定着させ、定着試験を行った。
定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。定着紙には、「CopyBond SF-70NA」(シャープ社製、75g/m2)を使用した。結果を表3に示す。
〔低温定着性の評価基準〕
○:最低定着温度が180℃未満
×:最低定着温度が180℃以上
試験例2〔臭気〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)にトナーを実装し、トナー付着量が0.6mg/cm2の画像(18cm×25cm)を100枚印刷した。複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機をオフラインで定着可能なように改良した定着機(定着速度250mm/sec)を用い、220℃で連続定着を行った。定着紙には、45g/m2の再生紙を使用した。定着時の臭いを官能試験を3名で官能試験、以下の評価基準に従って、臭気を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
◎:3人とも臭気を感じない。
○:1人又は2人が若干臭気を感じる。
△:3人とも若干臭気を感じる。
×:非常に臭気を感じる人がいる。
Figure 0005208365
以上の結果より、実施例の低温定着性に優れ、かつ臭気も低減されていることが分かる。これに対し、ケトン化合物とアルデヒド化合物の比が調整されていないアルケニルコハク酸を使用したポリエステルを含有した比較例1のトナーは、臭気が発生しており、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸を使用していないポリエステルを含有した比較例2のトナーは、臭気は生じていないものの、低温定着性に欠けている。
本発明の電子写真トナー用縮重合系結着樹脂は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像される潜像の現像等に用いられるトナーの結着樹脂等として用いられるものである。

Claims (4)

  1. 電子写真トナー用縮重合系樹脂の製造用原料としての炭素数8〜15のアルケニルコハク酸であって、アルケニルコハク酸を減圧下で加熱するとともに、減圧下で水を添加することにより得られたものであり、KS/AS比(ここで、固相マイクロ抽出−ガスクロマトグラフ−質量分析において、ケトン化合物に帰属されるピーク面積の総和をKS、アルデヒド化合物に帰属されるピーク面積の総和をASという)が140〜300であったものを1〜100に調整したアルケニルコハク酸であることを特徴とする、電子写真トナー用縮重合系樹脂の製造用原料。
  2. アルデヒド化合物中のメチルブタナールの含有量が5〜90%である請求項1記載の原料。
  3. 請求項1又は2記載の原料を含有したカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる電子写真トナー用縮重合系樹脂を含有してなる電子写真トナー。
  4. 縮重合系樹脂のKS/ASが0.5〜4.0である、請求項3記載の電子写真トナー。
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