JP2006343522A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性と低温定着性に優れた電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー及び該トナーに含有されるポリエステル。
【選択図】なし
【解決手段】 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー及び該トナーに含有されるポリエステル。
【選択図】なし
Description
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナー及び該トナーに含有されるポリエステルに関する。
結晶性ポリエステルは融点以上の温度で急激に樹脂の粘度が低下するという熱特性を有するため、低温定着性の向上の手段として有効である。そこで、特許文献1及び2にはトナーの低温定着性を向上させるため、結晶性ポリエステルと非晶性のポリエステルとを併用する技術が開示されている。
また、特許文献3には1,4-ブタンジオールとテレフタル酸とを含む原料を縮重合させて得られた結晶性ポリエステルと、ネオペンチルグリコール(又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物)とテレフタル酸とを含む原料を縮重合させて得られた非晶性ポリエステルとを併用することが開示されている。
特開2005−10454号公報(請求項1)
特開2004−226904号公報(請求項1、2)
特開昭56−65146号公報(実施例、第1表、第2表)
特許文献1及び2のように結着樹脂中に結晶性ポリエステルを含有させることは、低温定着性の向上の手段として有効である。しかしながら、結晶性ポリエステルを含有させるとトナーの耐久性が低下する傾向にあり、低温定着性を維持しつつ耐久性をさらに向上する技術が望まれる。
本発明の課題は、耐久性と低温定着性に優れた電子写真用トナーを提供することにある。
そこで、本発明者が検討した結果、結晶性ポリエステルを含有させてトナーの低温定着性を向上させる際に、結晶性ポリエステルに特定の原料モノマー成分を選択することにより、低温定着性を損なうことなく、トナーの耐久性の向上が達成されることを見出した。
本発明は、
〔1〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー、
〔2〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステル、並びに
〔3〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオール、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
〔1〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー、
〔2〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステル、並びに
〔3〕 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオール、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー
に関する。
本発明の電子写真用トナーは、耐久性と低温定着性において優れた効果を奏するものである。
本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂として、構成単位(1)〜(4):
(1) 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位、
(2) 炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位、
(3) ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位、及び
(4) 芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位
を有し、特定の結晶性指数を有するポリエステルを含有するものである。かかる特定の結晶性指数のポリエステルを他の樹脂と併用することにより、他の樹脂の耐久性を維持したまま低温定着性を向上することができる。本発明のトナーが、耐久性及び定着性のいずれにも優れており、このような効果が奏される理由の詳細は不明なるも、構成単位(1)〜(4)は、それぞれ結晶化の度合いや融点の低下に寄与し、さらに、これらの構成単位が互いに影響し合うことにより、低温定着性及び耐久性がいずれかを損なうことなく高められるものと推定される。
(1) 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位、
(2) 炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位、
(3) ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位、及び
(4) 芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位
を有し、特定の結晶性指数を有するポリエステルを含有するものである。かかる特定の結晶性指数のポリエステルを他の樹脂と併用することにより、他の樹脂の耐久性を維持したまま低温定着性を向上することができる。本発明のトナーが、耐久性及び定着性のいずれにも優れており、このような効果が奏される理由の詳細は不明なるも、構成単位(1)〜(4)は、それぞれ結晶化の度合いや融点の低下に寄与し、さらに、これらの構成単位が互いに影響し合うことにより、低温定着性及び耐久性がいずれかを損なうことなく高められるものと推定される。
構成単位(1)は、炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位であり、かかる構成単位は、主に、結晶化度の向上に寄与するものと推定される。構成単位(1)の含有量が増加すると耐久性は向上するが、低温定着性が低下する傾向にある。構成単位(1)の含有量は、構成単位(1)〜(4)を有するポリエステルのアルコール成分中、50〜96モル%が好ましく、70〜90モル%がより好ましい。
炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−ブテンジオール等が挙げられ、結晶性促進の観点からα、ω-直鎖アルカンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールがより好ましい。
構成単位(2)は、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位であり、主に、結晶化度の調整及び融点の低下に寄与するものと推定される。脂肪族ジオール中に分岐を有する炭化水素基だけでなく、2級アルコールを有する場合も分岐鎖型脂肪族ジオールに分類する。構成単位(2)の含有量が増加すると低温定着性は向上するが、耐久性が低下する傾向にある。構成単位(2)の含有量は、構成単位(1)〜(4)を有するポリエステルのアルコール成分中、2〜25モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、これらの中では、ネオペンチルグリコールが好ましい。
構成単位(3)は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位であり、主に、樹脂の硬度の向上に寄与するものと推定される。構成単位(3)の含有量が増加すると耐久性が向上する傾向にある。構成単位(3)の含有量は、構成単位(1)〜(4)を有するポリエステルのアルコール成分中、2〜25モル%が好ましく、5〜15モル%がより好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)
で表される、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
で表される、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
構成単位(4)は、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位であり、主に、耐久性の向上に寄与するものと推定される。構成単位(4)の含有量は、構成単位(1)〜(4)を有するポリエステルのカルボン酸成分中、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましく、実質100モル%がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体等のベンゼン骨格を有する化合物が好ましく、これらの中では、結晶性促進の観点から、テレフタル酸及びその誘導体がより好ましい。
本発明における前記ポリエステルは、構成単位(1)〜(4)のもととなる原料モノマーを用い、炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオール、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる。
アルコール成分及びカルボン酸成分には、前記構成単位(1)〜(4)のもととなる原料モノマー以外のアルコール及びカルボン酸化合物が本発明の効果が損なわれない範囲で含有されていてもよい。
前記の、直鎖型脂肪族アルコール、分岐鎖型脂肪族アルコール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物以外のアルコールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール等の炭素数3以下の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
また、前記の芳香族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらの酸の無水物、アルキル(炭素数1〜3)エステル等の誘導体が挙げられる。
さらに、原料モノマーには、分子量調整等の観点から、1価のアルコールや1価のカルボン酸化合物が、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。
アルコール成分とカルボン酸成分のモル比(アルコール成分/カルボン酸成分)は、紙への定着性及び帯電安定性の観点から、100/70〜100/120が好ましく、100/85〜100/105がより好ましい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分を、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で、製造性の観点から、好ましくは150〜280℃で縮重合させて得られる。
本発明における前記構成単位(1)〜(4)を有するポリエステルは、結晶化度が高い結晶性ポリエステルであり、結晶性指数が、0.6〜1.5であり、好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3である。ここで、結晶性指数とは、樹脂の結晶性の指標となる物性であり、軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)により定義されるものである。一般に、結晶性指数が1.5を超える樹脂は非晶質であり、0.6未満の樹脂は結晶性が低く、非晶質部分が多い。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
本発明におけるポリエステルの吸熱の最高ピーク温度は、低温定着の観点から、60〜150℃が好ましく、65〜140℃より好ましく、70〜130℃がさらに好ましい。ここで、吸熱の最高ピーク温度は、示差走査熱量計により測定される。
本発明のトナーにおける前記ポリエステルの含有量は、耐久性の観点から、結着樹脂中、1〜30重量%であり、ポリエステルの構成単位の組成比や結着樹脂に含まれる樹脂との組み合わせによっても異なるため一概には決定できないが、5〜15重量%が好ましい。前記ポリエステルの含有量を増加すると低温定着性は向上するが、耐久性が低下する傾向にある。
前記ポリエステル以外に結着樹脂として含有される結着樹脂としては、非晶質ポリエステル、ポリエステルポリアミド、スチレン−アクリル樹脂等のビニル系樹脂、複数の樹脂成分を有するハイブリッド樹脂等が挙げられ、結晶性ポリエステル以外の樹脂では、結晶性ポリエステルとの相溶性及びトナーの定着性の観点から、非晶質ポリエステル及び非晶質ポリエステル成分とビニル系樹脂成分とが部分的に化学結合したハイブリッド樹脂が好ましく、非晶質ポリエステルがより好ましい。
非晶質ポリエステルは、結晶性指数が1.5を超えるものであり、結着樹脂中に70〜99重量%含有することが好ましい。
前記ポリエステルと併用される樹脂は、定着性を良好にする観点から、互いに軟化点が好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上異なる、軟化点の高い樹脂と軟化点の低い樹脂とが併用されていることが好ましい。
本発明のトナーには、さらに、着色剤、荷電制御剤、離型剤、磁性粉、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレートなどの種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系等の各種染料を1種又は2種以上を併せて使用することができる。
本発明のトナーは、混練粉砕法、スプレイドライ法、重合法等の公知の方法により製造することができる。一般的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等をボールミル等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー又は1軸もしくは2軸の押出機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級する方法が挙げられる。さらに、製造過程における粗粉砕物や、得られたトナーの表面に、必要に応じて疎水性シリカ等の流動性向上剤等を添加してもよい。本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜9μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明の電子写真用トナーは、磁性体微粉末を含有するものであるときには、単独で現像剤として用いられ、また磁性体微粉末を含有しないものであるときは、非磁性一成分用トナーとして、またはキャリアと混合して二成分系の現像剤として用いることができる。
〔軟化点〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔吸熱の最高ピーク温度及び融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のとき、そのピーク温度を融点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のとき、そのピーク温度を融点とする。
〔ガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔結晶性指数〕
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
結晶性ポリエステルの製造例1
表1に示す原料モノマー及び酸化ブチル錫10gを窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、200℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂a〜eを得た。
表1に示す原料モノマー及び酸化ブチル錫10gを窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、200℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂a〜eを得た。
非晶質ポリエステルの製造例
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及び酸化ブチル錫10gを窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で7時間反応を行い、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸を添加し、1時間反応を行った後、8.3kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂A、Bを得た。
表2に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー及び酸化ブチル錫10gを窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃で7時間反応を行い、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸を添加し、1時間反応を行った後、8.3kPaにて所望の軟化点まで反応を行い、樹脂A、Bを得た。
実施例1及び比較例1〜4
結着樹脂として、樹脂A 63重量部、樹脂B 27重量部及び表3に示す結晶性ポリエステル10重量部、着色剤としてカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、及び離型剤として「ハイワックス NP-105」(三井化学社製)1.5重量部、荷電制御剤として「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1.25重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸混練機「PCM-30」(池貝鉄工社製)を用いてフィード量10kg/min、回転数200r/minで溶融混練した。混練温度はシリンダ温度を80℃に設定し、吐出温度は約140℃であった。得られた混練物を、ジェットミルで微粉砕し、気流分級機で分級して、体積中位粒径(D50)8.0μmの粉体を得た。
結着樹脂として、樹脂A 63重量部、樹脂B 27重量部及び表3に示す結晶性ポリエステル10重量部、着色剤としてカーボンブラック「MOGUL L」(キャボット社製)4重量部、及び離型剤として「ハイワックス NP-105」(三井化学社製)1.5重量部、荷電制御剤として「ボントロン S-34」(オリエント化学工業社製)1.25重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸混練機「PCM-30」(池貝鉄工社製)を用いてフィード量10kg/min、回転数200r/minで溶融混練した。混練温度はシリンダ温度を80℃に設定し、吐出温度は約140℃であった。得られた混練物を、ジェットミルで微粉砕し、気流分級機で分級して、体積中位粒径(D50)8.0μmの粉体を得た。
得られた粉体100重量部に対して疎水性シリカ「アエロジルR-972」(日本アエロジル社製)1重量部をヘンシェルミキサーを用いて混合付着させ、負帯電性のトナーを得た。
比較例5
結着樹脂として、樹脂A 70重量部、樹脂B 30重量部とし、結晶性樹脂(a〜e)を添加しなかった以外は実施例1、比較例1〜4と同様の方法により、負帯電性のトナーを得た。
結着樹脂として、樹脂A 70重量部、樹脂B 30重量部とし、結晶性樹脂(a〜e)を添加しなかった以外は実施例1、比較例1〜4と同様の方法により、負帯電性のトナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ社製)にトナーを実装し、0.6mg/cm2の未定着画像を得た。得られた未定着画像をオフラインの定着機(定着速度200mm/s)を用いて、100℃から240℃へ10℃ずつ昇温し、定着試験を行った。
各温度にて定着された画像にテープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ-1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。予めテープを貼る前の画像についても同様に測定し、テープ貼付前とテープ剥離後における画像濃度の比(テープ剥離後/テープ貼付前)を計算し、最初に90%を超える定着ロールの定着温度を最低定着温度とし、以下の基準に従って低温定着性を評価した。
複写機「AR-505」(シャープ社製)にトナーを実装し、0.6mg/cm2の未定着画像を得た。得られた未定着画像をオフラインの定着機(定着速度200mm/s)を用いて、100℃から240℃へ10℃ずつ昇温し、定着試験を行った。
各温度にて定着された画像にテープ「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社製、幅18mm、JISZ-1522)を貼りつけ、30℃に設定した上記定着機の定着ロールを通過させた後、テープを剥し、テープ剥離後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定した。予めテープを貼る前の画像についても同様に測定し、テープ貼付前とテープ剥離後における画像濃度の比(テープ剥離後/テープ貼付前)を計算し、最初に90%を超える定着ロールの定着温度を最低定着温度とし、以下の基準に従って低温定着性を評価した。
〔評価基準〕
○:最低定着温度が175℃未満
×:最低定着温度が190℃以上
○:最低定着温度が175℃未満
×:最低定着温度が190℃以上
試験例2〔耐久性〕
32℃、相対湿度85%の環境下において、トナーをプリンタ「Microline 18」(沖データ社製)に実装し、5%の印字率で耐刷試験を行った。500枚ごとにベタ画像を採取して、スジの発生の有無を目視にて観察した。スジが1本でも確認された時点で試験を終了した。以下の評価基準に従って耐久性を評価した。なお、トナーはトナーエンプティのメッセージが出た時に追加充填した。
32℃、相対湿度85%の環境下において、トナーをプリンタ「Microline 18」(沖データ社製)に実装し、5%の印字率で耐刷試験を行った。500枚ごとにベタ画像を採取して、スジの発生の有無を目視にて観察した。スジが1本でも確認された時点で試験を終了した。以下の評価基準に従って耐久性を評価した。なお、トナーはトナーエンプティのメッセージが出た時に追加充填した。
〔評価基準〕
○:15000枚でもスジが発生しない。
△:7000枚以上、15000枚未満でスジが発生する。
×:7000枚未満でスジが発生する。
○:15000枚でもスジが発生しない。
△:7000枚以上、15000枚未満でスジが発生する。
×:7000枚未満でスジが発生する。
以上の結果より、比較例のトナーと対比して、実施例のトナーは、結晶性ポリエステルを含有しているにもかかわらず、耐久性を損なうことなく、低温定着性が向上していることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (6)
- 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
- 芳香族ジカルボン酸化合物がテレフタル酸である請求項1記載の電子写真用トナー。
- 分岐鎖型脂肪族ジオールがネオペンチルグリコールである請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
- さらに、結着樹脂が、結晶性指数が1.5を超えるポリエステルを70〜99重量%含有してなる請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
- 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオールに由来する構成単位と、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物に由来する構成単位と、芳香族ジカルボン酸化合物に由来する構成単位とを有し、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステル。
- 炭素数4〜10の直鎖型脂肪族ジオール、炭素数3〜10の分岐鎖型脂肪族ジオール及びビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有したアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる、結晶性指数(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)が0.6〜1.5であるポリエステルを1〜30重量%含有した結着樹脂を含有してなる電子写真用トナー。
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---|---|---|---|
JP2005168847A JP2006343522A (ja) | 2005-06-08 | 2005-06-08 | 電子写真用トナー |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014085588A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Kao Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法 |
JP2014085587A (ja) * | 2012-10-25 | 2014-05-12 | Kao Corp | 静電荷像現像用トナーの製造方法 |
WO2014168131A1 (ja) * | 2013-04-09 | 2014-10-16 | キヤノン株式会社 | トナー用樹脂およびトナー |
-
2005
- 2005-06-08 JP JP2005168847A patent/JP2006343522A/ja active Pending
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