JP5206731B2 - プロジェクターおよび画像投写方法 - Google Patents

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Description

本発明は、動画像データに基づいて動画像を表示する技術に関する。
従来から、プロジェクタなどの動画像表示装置において、動画像データの1フレームの画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理を行なって、画像のコントラスト感を向上させる技術が提案されている。
また、照明装置を備えたプロジェクタなどの動画像表示装置においては、照明装置の調光制御を行なって、画像の輝度を調整し、画質を向上する技術が提案されている。
特開2001−343957号公報 特開2004−45634号公報
しかし、従来の輝度範囲伸張処理では、一般に、画像(画像の輝度)がフレーム間で急激に変化することを考慮に入れずに動画像データの輝度範囲伸張処理を行なっていたので、輝度範囲伸張処理によりかえって画質を損ねる可能性があった。画像がフレーム間で急激に変化することを、以下ではシーンチェンジと呼び、シーンチェンジが起きてから次にシーンチェンジが起きるまでの間を1シーンと呼ぶ。シーンチェンジが起きる一例としては、動画像の場面(シーン)変更が挙げられる。
また、従来の調光制御においても、一般に、シーンチェンジを考慮に入れずに調光を行なっているので、調光によりかえって画質を損ねる可能性があった。
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、シーンチェンジの際に新たなシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なう技術を提供することを第1の目的とする。また、シーンチェンジの際に新たなシーンに適した調光を行なう技術を提供することを第2の目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による動画像表示装置は、
動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示装置であって、
前記動画像データの1フレームの画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理に使用する伸張係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する伸張係数導出部と、
前記伸張係数導出部が出力した伸張係数に基づいて、前記輝度範囲伸張処理を前記画像データに施す輝度範囲伸張処理部と、
前記動画像データに基づいて、前記動画像のシーンが変更したことを示すシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出部と、
を備え、
前記伸張係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想伸張係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されない場合は、前記現フレーム理想伸張係数を予め設定された規則に従って修正した現フレーム修正伸張係数を出力することを特徴とする。
本発明によれば、伸張係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想伸張係数を出力するので、新たなシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
前記伸張係数導出部は、前記現フレーム理想伸張係数から前記輝度範囲伸張処理部が前フレームの輝度範囲伸張処理に使用した伸張係数である前フレーム実伸張係数を引いて理想伸張係数差を求め、前記現フレーム修正伸張係数から前記前フレーム実伸張係数を引いて求められる修正伸張係数差の絶対値が前記理想伸張係数差の絶対値より小さく、かつ前記修正伸張係数差の符号が前記理想伸張係数差の符号と一致するように前記現フレーム修正伸張係数を求めるものとしても良い。
これによれば、修正伸張係数差の絶対値が理想伸張係数差の絶対値より小さく、かつ修正伸張係数差の符号が理想伸張係数差の符号と一致するように現フレーム修正伸張係数を求めるので、シーンチェンジが検出されない場合は、伸張係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
前記伸張係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された後は、予め設定された終了条件を満たすまで前記現フレーム理想伸張係数を出力し、前記終了条件を満たした後は、前記現フレーム修正伸張係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでは現フレーム理想伸張係数を出力するので、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまで個々のシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
前記終了条件は、前記現フレーム修正伸張係数と前記現フレーム理想伸張係数の差が予め設定された閾値以下であること、および、前記伸張係数導出部が前フレームにおいて導出した前フレーム理想伸張係数より前記現フレーム理想伸張係数が大きいことの少なくとも一方を含むものとしても良い。
前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が予め設定された閾値以下であるという条件1を含む開始条件が成立する場合に前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
前記開始条件は、前記条件1が成立し、かつ、前記現フレーム修正伸張係数と前記現フレーム理想伸張係数の差が予め設定された閾値より大きいという条件2が成立する場合に成立するものとしても良い。
前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データにおいて、仮に前記現フレーム修正伸張係数を用いて前記輝度範囲伸張処理を行なった場合に、輝度が予め設定された限度値以上となる画像部分の全画像に対する割合が、予め設定された閾値以上である場合に、前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
前記画像特徴量は、前記画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる複数の画像特徴量であって、
前記伸張係数導出部は、前記複数の画像特徴量を用いて、予め設定された伸張係数ルックアップテーブルを参照することにより、前記理想伸張係数を導出するものとしても良い。
これによれば、複数の画像特徴量に応じた輝度範囲伸張処理を画像データに施すことで、画像データに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
更に、照明装置と、
前記画像特徴量に基づいて、前記照明装置の光量の調整に使用される調光係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する調光係数導出部と、
前記調光係数導出部が出力した調光係数に基づき、前記照明装置の調光を実行する調光部と、
を備え、
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されない場合は、前記現フレーム理想調光係数を予め設定された規則に従って修正した現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、調光係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想調光係数を出力するので、新たなシーンに適した調光を行なうことが可能である。
また、上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による他の動画像表示装置は、
動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示装置であって、
照明装置と、
前記動画像データの1フレームの画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記照明装置の光量の調整に使用される調光係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する調光係数導出部と、
前記調光係数導出部が出力した調光係数に基づき、前記照明装置の調光を実行する調光部と、
前記動画像データに基づいて、前記動画像のシーンが変更したことを示すシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出部と、
を備え、
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されない場合は、前記現フレーム理想調光係数を予め設定された規則に従って修正した現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、調光係数導出部は、調光係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想調光係数を出力するので、新たなシーンに適した調光を行なうことが可能である。
前記調光係数導出部は、前記現フレーム理想調光係数から前記調光部が前フレームの調光に使用した調光係数である前フレーム実調光係数を引いて理想調光係数差を求め、前記現フレーム修正調光係数から前記前フレーム実調光係数を引いて求められる修正調光係数差の絶対値が前記理想調光係数差の絶対値より小さく、かつ前記修正調光係数差の符号が前記理想調光係数差の符号と一致するように前記現フレーム修正調光係数を求めるものとしても良い。
これによれば、修正調光係数差の絶対値が理想調光係数差の絶対値より小さく、かつ修正調光係数差の符号が理想調光係数差の符号と一致するように現フレーム修正調光係数を求めるので、シーンチェンジが検出されない場合は、調光係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された後は、予め設定された終了条件を満たすまで前記現フレーム理想調光係数を出力し、前記終了条件を満たした後は、前記現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでは現フレーム理想調光係数を出力するので、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまで個々のシーンに適した調光を行なうことが可能である。
前記終了条件は、前記現フレーム修正調光係数と前記現フレーム理想調光係数の差が予め設定された閾値以下であること、および、前記調光係数導出部が前フレームにおいて導出した前フレーム理想伸張係数より前記現フレーム理想調光係数が大きいことの少なくとも一方を含むものとしても良い。
前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が予め設定された閾値以下であるという条件1を含む開始条件が成立する場合に前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
前記開始条件は、前記条件1が成立し、かつ、前記現フレーム修正調光張係数と前記現フレーム理想調光係数の差が予め設定された閾値より大きいという条件2が成立する場合に成立するものとしても良い。
前記画像特徴量は、前記画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる複数の画像特徴量であって、
前記調光係数導出部は、前記複数の画像特徴量を用いて、予め設定された調光係数ルックアップテーブルを参照することにより、前記理想調光係数を導出するものとしても良い。
これによれば、複数の画像特徴量に応じた調光を画像データに施すことで、画像データに適した調光を行なうことが可能である。
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、動画像表示方法,方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
本発明の第一実施例としての動画像表示装置1000のブロック図である。 画像特徴量算出部100の処理について示す説明図である。 画像データの輝度ヒストグラム110を示す説明図である。 伸張係数出力モードと伸張係数導出部200が出力する伸張係数の関係を示す説明図である。 伸張係数の変化を示す説明図である。 伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理を示すフローチャートである。 シーンチェンジ検出準備処理を示すフローチャートである。 シーンチェンジ検出準備処理の内容を示す説明図である。 調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理を示すフローチャートである。 理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)の導出処理を示すフローチャートである。 伸張係数LUT210の入力格子点の一例を示す説明図である。 補間計算について示す説明図である。 修正変化量dW(n)を導出する処理を示すフローチャートである。 1D−LUT220の入出力関係を示したものであり横軸が理想変化量dWid(k)であり縦軸が修正変化量dW(k)である。 図9のステップS1000Lである理想調光係数Lid(n)と修正調光係数L(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。 調光係数LUT510を示す説明図である。 理想伸張係数Gid(n)の設定の考え方を示す説明図である。 第二実施例における修正変化量dW(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。 修正係数ScaleG(n)の設定の考え方を示す説明図である。 修正調光係数L(n)の修正変化量dW(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施例を以下の順序で説明する。
A.第一実施例:
A−1.装置構成および処理の概要:
A−2.伸張係数の算出:
A−3.調光係数の算出:
B.第二実施例:
A.第一実施例:
A−1.装置構成および処理の概要:
図1は、本発明の第一実施例としての動画像表示装置1000のブロック図である。動画像表示装置1000は、動画像データの1フレーム毎の画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理と、光源装置710の調光制御とを、該画像データの画像特徴量に応じて実行する機能を有する。更に、動画像表示装置1000は、画像がフレーム間で急激に変化するシーンチェンジを検出し、シーンチェンジが検出されたか否かに応じて別個の輝度範囲伸張処理と調光制御を行なう機能を有する。以下では、シーンチェンジが起きてから次にシーンチェンジが起きるまでの間を1シーンとする。
動画像表示装置1000は、画像特徴量算出部100と、伸張係数導出部200と、伸張係数出力モード判定部250と、輝度範囲伸張処理部300と、ライトバルブ400と、調光係数導出部500と、調光係数出力モード判定部550と、調光制御部600と、光源装置710と、投写光学系800とを備える、スクリーン900に画像を投写表示するプロジェクタである。光源装置710は、例えばスイッチングトランジスタを含む液晶パネルなどの調光素子700を備える。光源装置710は、本発明の照明装置に相当し、調光素子700は、本発明の調光部に相当する。調光部は調光素子に限らず、光源装置710の前に備えられ、開閉されることにより光源装置710からの光量を調節するルーバーであるものとしても良い。
以下では、現フレームはnフレーム目(n:自然数)であるものとして説明する。画像特徴量算出部100は、画像データの輝度に基づいて、APL(Average Picture Level)値と白ピーク値を計算し、伸張係数導出部200と調光係数導出部500に出力する。APL値と白ピーク値について詳しくは後述する。また、画像特徴量算出部100は、画像データの輝度ヒストグラムを生成し、伸張係数出力モード判定部250と調光係数出力モード判定部550に出力する。
伸張係数導出部200は、APL値と白ピーク値を用いて、伸張係数ルックアップテーブル(以下、LUTと示す)210を参照することにより、理想伸張係数Gid(n)を求め、更に理想伸張係数Gid(n)を予め設定された規則に従って修正して修正伸張係数G(n)を導出する。以下では、nフレーム目の理想伸張係数をGid(n)と記載する。よって、例えばn−1フレーム目の理想伸張係数はGid(n−1)である。修正伸張係数についても同様の規則で記載する。理想伸張係数Gid(n)と、修正伸張係数G(n)の導出について詳しくは後述する。伸張係数出力モード判定部250は、理想伸張係数Gid(n)と、修正伸張係数G(n)と、輝度ヒストグラムに基づいてシーンチェンジを検出し、伸張係数出力モードを判定する。伸張係数出力モードについて、詳しくは後述する。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードに応じて、理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)のいずれかを出力する。輝度範囲伸張処理部300は、伸張係数導出部200が出力した伸張係数を用いて決定される伸張率に基づいて、輝度範囲伸張処理を画像データに施し、輝度範囲伸張処理後の画像データに基づいて、ライトバルブ400を制御する。
調光係数導出部500は、APL値と白ピーク値を用いて、予め設定された調光係数LUT510を参照することにより、理想調光係数Lid(n)を求め、更に理想調光係数Lid(n)を予め設定された規則に従って修正して修正調光係数L(n)を導出する。調光係数出力モード判定部550は、理想調光係数Lid(n)と、修正調光係数L(n)と、輝度ヒストグラムに基づいてシーンチェンジを検出し、調光係数出力モードを判定する。調光係数出力モードについて、詳しくは後述する。調光係数導出部500は、調光係数出力モードに応じて、理想調光係数Lid(n)と修正調光係数L(n)のいずれかを出力する。調光制御部600は、調光係数導出部500が出力した調光係数に基づいて、放電ランプの調光素子700を制御する。伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550は、本発明のシーンチェンジ検出部に相当する。
画像特徴量算出部100は、画像データの輝度に基づいて、APL値と白ピーク値WPを計算する。画像データの1画素の輝度Yは、例えば以下の(1)又は(2)式で定義される。
Y=0.299R+0.587G+0.144B ・・・(1)
Y=max(R,G,B) ・・・(2)
図2は、画像特徴量算出部100の処理について示す説明図である。画像特徴量算出部100は、まず、1フレームFRを16×16画素で構成される複数の小領域DRに分割する。なお、図2では、小領域DRi内の画素数は25個であるように示されているが、実際には256個である。また、図2の例では、1フレームFRは40個の小領域DR1〜DR40に分割されている。40個の小領域DR1〜DR40のうち、任意のi番目の小領域DRi内の各画素の輝度をYi1〜Yi256で表わすものとすると、小領域DRiの代表輝度Ydriは以下の(3)式で表わされる。
Ydri=(Yi1+Yi2+・・・+Yi256)/256 ・・・(3)
つまり、小領域DRiの代表輝度Ydriは、小領域DRi内の各画素の輝度の平均値である。画像特徴量算出部100は、(3)式により小領域DR1〜DR40の代表輝度Ydr1〜Ydr40をそれぞれ求める。そして、画像特徴量算出部100は、代表輝度Ydr1〜Ydr40の平均値をAPL値とし、代表輝度Ydr1〜Ydr40の最大値を白ピーク値WPとする。ここでは、APL値と白ピーク値WPは10bitで表現する。なお、小領域DRの大きさや数は任意に設定可能である。
画像特徴量算出部100は、更に、図3に示す画像データの輝度ヒストグラム110を生成する。図3の横軸は小領域DRiの代表輝度Ydriであり、縦軸は小領域数である。
伸張係数導出部200は、APL値と白ピーク値WPを用いて、伸張係数LUT210を参照し、理想伸張係数Gid(n)と、修正伸張係数G(n)を導出する。伸張係数出力モード判定部250は、理想伸張係数Gid(n)と、修正伸張係数G(n)と、画像特徴量算出部100が生成した輝度ヒストグラム110に基づいて、伸張係数出力モードの判定処理を行なう。伸張係数出力モードには、所定の開始条件が成立してから、所定の終了条件が成立するまで継続するシーンチェンジモードと、該終了条件が成立してから所定の開始条件が成立するまで継続する通常モードの2種類のモードが存在する。開始条件と終了条件について詳しくは後述する。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードの場合は、理想伸張係数Gid(n)を出力し、伸張係数出力モードが通常モードの場合は、修正伸張係数G(n)を出力する。
図4は、伸張係数出力モードと伸張係数導出部200が出力する伸張係数の関係を示す説明図である。図4(a)には、動画像データに基づくフレーム毎の画像が時系列で示されている。図4(a)の画像では、シーンチェンジラインCh1〜Ch4で画像が大幅に変更されている。図4(b)は、図4(a)の画像に対して伸張係数出力モード判定部250が判定する伸張係数出力モードを示している。動画像がシーンチェンジすると、開始条件が成立する。伸張係数出力モード判定部250は、該開始条件が成立すると、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとする。更に、伸張係数出力モード判定部250は、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードである場合に終了条件が成立すると、伸張係数出力モードを通常モードとする。
図4(c)は、伸張係数出力モードに応じて伸張係数導出部200から出力される伸張係数の種類を示している。図4(c)のグラフにおいて、Gidは理想伸張係数が出力されていることを示し、Gは修正伸張係数が出力されていることを示している。つまり、図4(c)では、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードである期間は理想伸張係数Gidが出力され、伸張係数出力モードが通常モードである期間は修正伸張係数Gが出力されていることが示されている。
図5は、伸張係数の変化を示す説明図である。図5には、画像の輝度(白ピーク値WP)と、理想伸張係数Gidと、修正伸張係数Gと、2つの伸張係数の差G−Gidとの変化が示されている。また、伸張係数導出部200から出力される実伸張係数Grの変化が示されている。実伸張係数Grは、2つの伸張係数G,Gidのうちの一方に付されたハッチングによって示されており、通常モード期間において、修正伸張係数Gと一致しており、シーンチェンジモード期間において、理想伸張係数Gidと一致している。なお、WPは、図中右方の縦軸に基づいて描かれており、Gid,G,G−Gid,Grは、図中左方の縦軸に基づいて描かれている。
図5では、各フレームの画像の輝度は、白ピーク値WPで表されており、白ピーク値WPはAPL値と一致している。すなわち、各フレームの画像が一様なベタ画像である場合を想定している。2つの伸張係数Gid,Gは、画像の輝度の変化に応じて変化する。ただし、図5に示すように、理想伸張係数Gidは、画像の輝度の変化と同時に変化し、修正伸張係数Gは、画像の輝度の変化に遅れて変化する。換言すれば、理想伸張係数Gidが用いられる場合には、輝度範囲伸張処理で使用される伸張率を、画像の輝度の急な変化に対応して変更することができる。一方、修正伸張係数Gが用いられる場合には、伸張率は画像の輝度の急な変化に対応して変更されないが、伸張率の急な変更を抑制することができる。なお、以下では、図5を参照しつつ、本実施例の処理を説明する。
図6は、伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理を示すフローチャートである。伸張係数導出部200は、まず、理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)を導出する(ステップS1000)。理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)の導出については後述する。伸張係数出力モード判定部250は、前フレームの伸張係数出力モードがシーンチェンジモードではない場合は(ステップS2100:NO)、シーンチェンジ検出準備処理を実行する(ステップS2200)。
図7は、シーンチェンジ検出準備処理を示すフローチャートである。伸張係数出力モード判定部250は、まず、輝度ヒストグラム110における最大輝度値である白ピーク値WPが所定の白ピーク閾値Thwhより小さいか否かを判定する(ステップS2201)。図8は、シーンチェンジ検出準備処理の内容を示す説明図である。図8の輝度ヒストグラム110は、図3の輝度ヒストグラム110と同じである。図8の例では、白ピーク値WPは、点線で示す白ピーク閾値Thwhより大きいので、ステップS2201ではNOと判定される。白ピーク値WPが白ピーク閾値Thwhより小さい場合は、伸張係数出力モード判定部250は、白ピークフラグFwhの値を初期値のFalseから値Trueに変更する(ステップS2202)。
次に、伸張係数出力モード判定部250は、以下の(4),(5)式で示される輝度限界値Ilimitを計算する(ステップS2203)。(5)式のK1は伸張率である。
Ilimit=1023/K1 ・・・(4)
K1=1+G(n)/255 ・・・(5)
輝度限界値Ilimitは、修正伸張係数G(n)で輝度範囲伸張処理を行なった場合に、最大輝度1023となる輝度を示す。輝度範囲伸張処理前の輝度が輝度限界値Ilimit以上である小領域DRiに対して修正伸張係数G(n)で輝度範囲伸張処理を行なうと、小領域DRiの代表輝度Ydriが最大輝度1023以上となり、小領域DRiの画像が白くなる白飛びという現象が起きる。以下のステップS2204〜S2208では、輝度限界値Ilimit以上1022以下の代表輝度Ydriを有する小領域数DRwn、つまり、仮に修正伸張係数G(n)で輝度範囲伸張処理を行なうと白飛びする小領域数DRwn(以下、白側小領域数DRwnと呼ぶ)を計算している。なお、図8において、輝度限界値Ilimitが一点鎖線で示されるとすると、白側小領域数DRwnは、斜線の面積に相当する。
具体的には、まず、変数I1に輝度限界値Ilimitを代入し(ステップS2204)、白側小領域数DRwnを初期化するため白側小領域数DRwnに0を代入する(ステップS2205)。変数I1が1022以下である場合は(ステップS2206:YES)、代表輝度Ydriが変数I1と一致する小領域DRiの数を白側小領域数DRwnに加える(ステップS2207)。そして、変数I1をインクリメントし(ステップS2208)、ステップS2206,S2207の処理を繰り返す。ステップS2208で変数I1をインクリメントし、変数I1が1022以下ではなくなった場合は(ステップS2206:NO)、その時点の白側小領域数DRwnを最終的な白側小領域数DRwnとして決定する。そして、伸張係数出力モード判定部250は、白側小領域数DRwnの全小領域数DRallに占める割合が、白側閾値Nwより大きいか否か判定する(ステップS2209)。大きい場合は(ステップS2209:YES)、白側小領域フラグFNwの値を初期値のFalseから値Trueに変更する(ステップS2210)。なお、本実施例において、代表輝度Ydriが1023の小領域DRiの数を白側小領域数DRwnに加えないのは、該小領域は、仮に修正伸張係数G(n)を用いて輝度範囲伸張処理を行なうと白飛びする領域ではなく、修正伸張係数G(n)を用いて輝度範囲伸張処理を行わなくても白飛びを生じた領域であるためである。ただし、これに代えて、代表輝度Ydriが1023の小領域DRiの数を白側小領域数DRwnに加えるものとしても良い。
次に、伸張係数出力モード判定部250は、以下の開始条件1,2のいずれかが成立するか否か判定する(図6のステップS2300)。
開始条件1:白ピークフラグFwhが値TrueかつG(n)−Gid(n)が開始閾値Thstrを超える
開始条件2:白側小領域フラグFNwが値True
開始条件1は、以下の考えに従って設定されている。前述したように、白ピークフラグFwhは、特定のフレームの白ピーク値WPが白ピーク閾値Thwhより小さいときに値Trueに設定される(図7のステップS2202)。そして、白ピークフラグFwhは、後述する図7のステップS2360が実行されるまで維持される。白ピーク閾値Thwhは十分小さい値であるので、白ピークフラグFwhが値Trueであるということは、該特定のフレームの画像が非常に暗いことを意味する。シーンチェンジの際には、黒画像が挿入されることが多いので、現フレームより前のフレームにおいて白ピークフラグFwhが値Trueであるという条件が成立した場合は、シーンチェンジであるものと判定し、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとすることができる。なお、図5では、フレーム#Aにおいて、白ピークフラグFwhが値Trueに設定されている。但し、図5から分かるように、G(n)−Gid(n)が開始閾値Thstr以下である場合は、修正伸張係数G(n)が理想伸張係数Gid(n)よりも僅かに大きく白飛びが発生し難いか、修正伸張係数G(n)が理想伸張係数Gid(n)よりも小さく白飛びが発生しないため、修正伸張係数G(n)を出力する通常モードであると判定しても差支えが無い。よって、本実施例では、白ピークフラグFwhが値Trueであり、かつG(n)−Gid(n)が開始閾値Thstrを超えるという上述の開始条件1が成立する場合にシーンチェンジモードに移行する。この代わりに、白ピークフラグFwhが値Trueであればシーンチェンジモードに移行するものとしても良い。
開始条件2で使用される白側小領域フラグFNwは、白側小領域数DRwnの全小領域数DRallに占める割合が、白側閾値Nwより大きいときに値Trueに設定される。白側小領域フラグFNwが値Trueであるということは、仮に修正伸張係数G(n)で輝度範囲伸張処理を実行すると白飛びが発生しやすいということを意味する。図5から分かるように、理想伸張係数Gid(n)は画像の輝度の変化と同時に変化するが、修正伸張係数G(n)は画像の輝度の変化に遅れて変化する。このため、仮に修正伸張係数G(n)で輝度範囲伸張処理を実行すると、やや暗い画像から明るい画像への急な変化に対応できずに、現フレームで白飛びが発生する可能性がある。より具体的には、仮に、現フレームより前のフレームのやや暗い画像によって白ピークフラグFwhが値Trueに変更されず、現フレームの明るい画像に対して修正伸張係数G(n)を用いて輝度範囲伸張処理が実行されると、現フレームで白飛びが発生する可能性がある。よって、本実施例では、開始条件2が成立した場合は、シーンチェンジであるものと判定し、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとする。開始条件2は、前フレームの黒画像で開始条件1が成立しない場合であっても成立することがある。
伸張係数出力モード判定部250は、開始条件1,2のいずれかが成立する場合は、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとし、該モードを伸張係数導出部200に出力する(ステップS2310)。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードであるので、理想伸張係数Gid(n)を出力する(ステップS2320)。開始条件1,2が共に成立しない場合は、伸張係数出力モード判定部250は、伸張係数出力モードを通常モードとし、該モードを伸張係数導出部200に出力する(ステップS2330)。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードが通常モードであるので、修正伸張係数G(n)を出力する(ステップS2340)。
一方、前フレームの伸張係数出力モードがシーンチェンジモードの場合は(ステップS2100:YES)、以下の終了条件が成立するか否か判定し(ステップS2350)、いずれかが成立すれば、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードから通常モードに移行する。
終了条件1:G(n)−Gid(n)が終了閾値Thstop未満
終了条件2:Gid(n)>Gid(n−1)
終了条件1において、G(n)−Gid(n)が終了閾値Thstop未満であるということは、図5から分かるように、修正伸張係数G(n)と理想伸張係数Gid(n)との差が十分に小さいことを意味する。この場合には、理想伸張係数Gid(n)ではなく修正伸張係数G(n)を出力するものとしても不具合が発生する可能性が小さいので、修正伸張係数G(n)を出力する通常モードに移行するものとする。
終了条件2において、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)より現フレームの理想伸張係数Gid(n)が大きいということは、前フレームの画像より現フレームの画像の方が暗いということを意味する。シーンチェンジの際には一旦画像が暗くなり、その後画像は次第に明るくなる場合が多いので、前フレームの画像より現フレームの画像の方が暗くなっているときには、画像の明るさが標準的な明るさになっているものと予想することができる。また、現フレームの画像が暗くなっているということは、白飛びが発生する可能性も低いということを意味するので、修正伸張係数G(n)を出力しても不具合が発生する可能性が小さい。よって、上記終了条件2が成立したときには、理想伸張係数Gid(n)ではなく修正伸張係数G(n)を出力する通常モードに移行するものとする。なお、図5において、理想伸張係数Gidはシーンチェンジの際一旦大きくなり、その後次第に小さくなっている。つまり、シーンチェンジの際に一旦画像が暗くなり、その後画像が次第に明るくなっていることを示している。
終了条件1,2のいずれか一方が成立する場合は、伸張係数出力モード判定部250は、白ピークフラグFwhを値Falseとし(ステップS2360)、白側小領域フラグFNwを値Falseとし(ステップS2370)、伸張係数出力モードを通常モードとし、該モードを伸張係数導出部200に出力する(ステップS2380)。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードが通常モードであるので、修正伸張係数G(n)を出力する(ステップS2390)。終了条件1,2のいずれも成立しない場合は、伸張係数出力モード判定部250は、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとし、該モードを伸張係数導出部200に出力する(ステップS2400)。伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードであるので、理想伸張係数Gid(n)を出力する(ステップS2410)。なお、図5では、終了条件1が成立し、フレーム#Bにおいて、白ピークフラグFwhが値Falseに設定されている。
図9は、調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理を示すフローチャートである。図6と図9を比較すれば分かるように、図9のフローチャートは図6の伸張係数に関するGを調光係数に関するLに置き換えたものに等しく、調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理は、伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理と同じなので、説明を省略する。但し、調光の場合の開始条件と終了条件は以下の通りである。
調光のシーンチェンジ開始条件1:白ピークフラグFwhが値True
調光のシーンチェンジ終了条件1:L(n)−Lid(n)が終了閾値Thstop未満
調光のシーンチェンジ終了条件2:Lid(n)<Lid(n−1)
なお、調光の場合は、白側小領域フラグFNwに関する開始条件が存在しないので、図7のシーンチェンジ検出準備処理におけるステップS2203〜S2210の処理は省略可能である。
以上の開始条件と終了条件は、様々に設定可能であり、例えば、調光のシーンチェンジ終了条件2は、次式で与えられるものであるものとしても良い。
調光のシーンチェンジ終了条件2:Lid(n)>Lid(n−1)
また、本実施例では、伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550を別個に備え、各々でモード判定を実行するものとしたが、伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550のいずれか1つを省略し、伸張係数導出部200と調光係数導出部500は、共に残る1つのモード判定部から出力されるモード判定に従うものとしても良い。あるいは、モード判定部は1つであるものとし、モード判定部が1つである場合の終了条件を以下の通りとし、終了条件1〜4の少なくとも1つが成立すれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードを共に通常モードとするものとしても良い。
終了条件1:G(n)−Gid(n)が閾値Thstop未満
終了条件2:Gid(n)>Gid(n−1)
終了条件3:L(n)−Lid(n)が閾値Thstop未満
終了条件4:Lid(n)<Lid(n−1)
A−2.伸張係数の算出:
以下では、伸張係数導出部200が理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)を求める手順(図6のステップS1000)について説明する。図10は、理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)の導出処理を示すフローチャートである。まず、伸張係数導出部200は、伸張係数LUT210から理想伸張係数Gid(n)を取得する(ステップS100)。
図11は、伸張係数LUT210の入力格子点の一例を示す説明図である。図11の横軸はAPL値であり、縦軸は白ピーク値WPである。図11の黒丸で示した入力格子点の箇所に、各々理想伸張係数Gid(n)が格納されている。特定の白ピーク値WPを有し比較的高いAPL値を有する格子点(例えばG6)には、特定の白ピーク値WPを有し比較的低いAPL値を有する格子点(例えばG3)よりも、低い理想伸張係数Gid(n)が格納されている。ただし、白ピーク値WP=1023を有する各格子点には、理想伸張係数Gid(n)=0が格納されている。また、特定のAPL値を有し比較的高い白ピーク値WPを有する格子点(例えばG8)には、特定のAPL値を有し比較的低い白ピーク値WPを有する格子点(例えばG7)よりも、低い理想伸張係数Gid(n)が格納されている。例えば、入力格子点G1には理想伸張係数Gid(n)=0が格納されており、入力格子点G2には理想伸張係数Gid(n)=148が格納されている。また、白ピーク値WPおよびAPL値が0である格子点には、理想伸張係数Gid(n)の最大値(例えば255)が格納されている。APL値が白ピーク値WPを越えることはないので、伸張係数LUT210の右下半分の入力格子点には理想伸張係数Gid(n)が格納されておらず、これにより、メモリ量を削減可能である。なお、理想伸張係数Gid(n)の値の範囲は任意に設定可能であり、例えば0〜255の範囲に設定される。
伸張係数導出部200は、画像データのAPL値と白ピーク値WPの組が図11の入力格子点(黒丸)のいずれかに該当する場合には、その入力格子点における理想伸張係数Gid(n)をそのまま読み出して使用する。APL値と白ピーク値WPの組が、入力格子点に該当しない場合、例えば、座標P1や座標P2の場合は、補間計算により理想伸張係数Gid(n)を求める。補間計算には、座標P1のように、周囲に4つの入力格子点G3〜G6が存在する場合に行なう4点補間計算と、座標P2のように、周囲に3つの入力格子点G7〜G9のみが存在する場合に行なう3点補間計算の2種類がある。
図12は、補間計算について示す説明図である。図12(a)は4点補間計算について示しており、図12(b)は3点補間計算について示している。以下では、入力格子点G3〜G9の理想伸張係数値は、各々Gv3〜Gv9で示す。図12(a)の面積S1〜S4が、各々座標P1を通る線分l1,l2により分割された領域の面積であるものとし、面積Sが斜線の領域全体の面積であるとすると、座標P1の理想伸張係数Gp1は、以下の(6)式で算出する。
Gp1=(Gv3*S1+Gv4*S2+Gv5*S3+Gv6*S4)/S ・・・(6)
一方、図12(b)の面積S5〜S7が、各々座標P2を端点とする線分l3〜l5により分割された領域の面積であるものとし、面積Saが斜線の領域全体の面積であるものとすると、座標P2の理想伸張係数Gp2は、以下の(7)式で算出する。
Gp2=(Gv7*S5+Gv8*S6+Gv9*S7)/Sa ・・・(7)
以上により、理想伸張係数Gid(n)が求められる(図10のステップS100)。
伸張係数導出部200は、次に、以下の(8)式により、理想伸張係数Gid(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)の差である理想変化量dWid(n)を求める(ステップS200)。
dWid(n)=Gid(n)−Gr(n−1) ・・・(8)
理想変化量dWid(n)は、理想伸張係数Gid(n)の前フレーム実伸張係数Gr(n−1)からの変化量に相当する。理想変化量dWid(n)は、本発明の理想伸張係数差に相当する。
次に、伸張係数導出部200は、理想変化量dWid(n)から修正変化量dW(n)を求める(ステップS300)。修正変化量dW(n)とは、修正伸張係数G(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)の差である。すなわち、(9)式の関係が成り立つ。
dW(n)=G(n)−Gr(n−1) ・・・(9)
この修正変化量dW(n)が求まると修正伸張係数G(n)が求まる。修正変化量dW(n)は、本発明の修正伸張係数差に相当する。
図13は、修正変化量dW(n)を導出する処理を示すフローチャートである。伸張係数導出部200は、理想変化量dWid(n)が32以上である場合(ステップS301:YES)、理想変化量dWid(n)を32に置換する(ステップS302)。また、理想変化量dWid(n)が−32以下である場合(ステップS303:YES)、理想変化量dWid(n)を−32に置換する(ステップS304)。このように理想変化量dWid(n)をクリッピングするのは、修正変化量dW(n)の導出に用いる1次元(dimensional;以下、D−と示す。)LUT220の入力レンジに合わせるためである。1D−LUT220は、クリッピング後の理想変化量dWid(n)に応じて修正変化量dW(n)を出力する(ステップS305)。
図14は、1D−LUT220の入出力関係を示したものであり、横軸が理想変化量dWid(k)であり、縦軸が修正変化量dW(k)である。但し、kは任意の正の整数である。直線l6は、理想変化量dWid(k)と修正変化量dW(k)の関係を示している。伸張係数導出部200は、直線l6を用いて理想変化量dWid(n)から修正変化量dW(n)を導出する。
そして、伸張係数導出部200は、(9)式を変形した(10)式により、修正伸張係数G(n)を求める(図10のステップS400)。
G(n)=Gr(n−1)+dW(n) ・・・(10)
なお、理想変化量dWid(n)が0の場合は直線l6より修正変化量dW(n)も0であり、現フレームの修正伸張係数G(n)は前フレーム実伸張係数Gr(n−1)と一致する。直線l6は、修正伸張係数G(k)を求めるための直線であるので、直線l6の横に括弧書きで(G(k))と示した。
ところで、図14の直線l7は、修正変化量dW(k)と理想変化量dWid(k)が一致する場合を示す直線である。仮にこの直線l7を用いて修正変化量dW(k)を求めると、修正変化量dW(k)が理想変化量dWid(k)と一致するので、(8)式と(9)式から分かるように、修正伸張係数G(k)は理想伸張係数Gid(k)と一致する。図14には、このことを、直線l7の横に括弧書きで示した。また、直線l6と直線l7の関係から、修正変化量dW(k)は、理想変化量dWid(k)と符号が同じで絶対値が小さい値として1D−LUT220に設定されていることが分かる。
このように、理想変化量dWid(n)と符号が同じで絶対値が小さい修正変化量dW(n)を用いて修正伸張係数G(n)を求めるので、(8)式と(9)式から分かるように、修正伸張係数G(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)との差は、理想伸張係数Gid(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)との差よりも小さい。つまり、この修正伸張係数G(n)を用いると、理想伸張係数Gid(n)を用いるより、前フレーム実伸張係数Gr(n−1)から伸張係数が急激に変化することを抑制することができる。
例えば、以下の2つの不等式(11),(12)のいずれかが成立する場合は、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と現フレームの理想伸張係数Gid(n)は、前フレーム実伸張係数Gr(n−1)を挟んで大きく変化している。よって、仮に通常モードにおいて伸張係数導出部200が理想伸張係数Gid(n)を出力すると、画像にちらつきを発生させる可能性がある。そこで、通常モードでは、伸張係数導出部200は理想伸張係数Gid(n)の代わりに、修正後の修正伸張係数G(n)を出力することにより、ちらつきの発生を抑制する。
Gid(n−1)>Gr(n−1)>Gid(n) ・・・(11)
Gid(n−1)<Gr(n−1)<Gid(n) ・・・(12)
つまり、通常モード時は修正伸張係数G(n)を用いることが望ましい。一方、シーンチェンジの際にはフレーム間の画像データが急激に変化するので、修正伸張係数G(n)より急激な変化に対応しうる理想伸張係数Gid(n)を用いる方が望ましい。理想伸張係数Gid(n)は、白ピーク値WPとAPL値に応じて設定された伸張係数LUT210から求められているので、理想伸張係数Gid(n)を用いると、画像データの輝度ヒストグラムに適した輝度範囲伸張処理を行なうことができる。伸張係数LUT210の設定について詳しくは後述する。
輝度範囲伸張処理部300は、図6のステップS1000〜ステップS2410により伸張係数導出部200が出力した理想伸張係数Gid(n)または修正伸張係数G(n)に基づいて画像データの輝度を伸張する。この輝度範囲伸張処理は、以下の式(13a)〜(13e)で行なう。ここで、R0,G0,B0は輝度範囲伸張処理前の画像データの色情報の値であり、R1,G1,B1は輝度範囲伸張処理後の画像データの色情報の値である。また、伸張率K1は(13d)または(13e)式で与えられる。
R1=K1*R0 ・・・(13a)
G1=K1*G0 ・・・(13b)
B1=K1*B0 ・・・(13c)
K1=1+Gid(n)/255 ・・・(13d)
K1=1+G(n)/255 ・・・(13e)
理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)は共に0以上である。よって、伸張率K1は1以上である。
そして、輝度範囲伸張処理部300は、輝度範囲伸張処理後の画像データに基づいて、ライトバルブ400を制御する。
A−3.調光係数の算出:
図15は、図9のステップS1000Lである理想調光係数Lid(n)と修正調光係数L(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。図10と図15を比較すれば分かるように、図15のフローチャートは図10の伸張係数に関するGを調光係数に関するLに置き換えたものに等しく理想調光係数Lid(n)と修正調光係数L(n)を導出する手順は、理想伸張係数Gid(n)と修正伸張係数G(n)を導出する手順と同じなので、説明を省略する。但し、理想調光係数Lid(n)は、図16の調光係数LUT510から求めた理想調光係数Lid(n)である。
図16は、調光係数LUT510を示す説明図である。横軸はAPL値であり、縦軸は白ピーク値WPである。図11と図16を比較すれば分かるように、調光係数LUT510は伸張係数LUT210と同じ構成を有している。また、調光係数LUT510を参照して理想調光係数Lid(n)を決定する方法も、理想伸張係数Gid(n)を決定する方法と同じであるので詳細な説明は省略する。
但し、ステップS300Lの修正変化量dW(n)の導出の際に用いる1D−LUTは、図14の1D−LUT220を利用するものとしても良いし、別個に用意するものとしても良い。別個に用意する場合も、1D−LUTにおいて、修正変化量dW(k)は、理想変化量dWid(k)と符号が同じで絶対値が小さい値として設定されているものとする。
調光制御部600は、図9のステップS1000L〜ステップS2410Lにより調光係数導出部500が出力した理想調光係数Lid(n)または修正調光係数L(n)から以下の(14a)または(14b)式で示す光量率A1を求め、その値に基づき、調光素子700を制御する。光量率A1は、最大光量に対する割合を示しており、A1≦1である。
A1=Lid(n)/255 ・・・(14a)
A1=L(n)/255 ・・・(14b)
ところで、(14a)の光量率A1と、上述した(13d)式で求めた伸張率K1が、以下の(15)式の関係であれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合における輝度範囲伸張処理と調光制御後の画像の最大輝度は、輝度範囲伸張処理と調光制御前の画像の最大輝度と同じとなる。
A1=K1 ・・・(15)
ここで、γはライトバルブ400のγ値であり、例えばγ=2.2である。図16の調光係数LUT510は、関係式(15)が成立するように図11の伸張係数LUT210から求められたものである。すなわち、調光係数LUT510の理想調光係数Lid(n)は、(16)式が成立するように設定されている。
Lid(n)/255=(1+Gid(n)/255) ・・・(16)
(16)式から分かるように、図16の調光係数LUT510では、特定の白ピーク値WPを有し比較的高いAPL値を有する格子点には、特定の白ピーク値WPを有し比較的低いAPL値を有する格子点よりも、高い理想調光係数Lid(n)が格納されている。ただし、白ピーク値WP=1023を有する各格子点には、理想調光係数Lid(n)=255が格納されている。また、特定のAPL値を有し比較的高い白ピーク値WPを有する格子点には、特定のAPL値を有し比較的低い白ピーク値WPを有する格子点よりも、高い理想調光係数Lid(n)が格納されている。なお、白ピーク値WPおよびAPL値が0である格子点には、理想調光係数Lid(n)の最小値(例えば56)が格納されている。
なお、本実施例では、画像の最大輝度が輝度範囲伸張処理と調光制御の前後で変化しないように伸張係数LUT210と、調光係数LUT510を設定するものとしたが、他の関係式を用いてこれらを設定するものとしても良い。例えば、輝度範囲伸張処理により画像データの輝度の範囲を比較的大きく広げて、画像データを明るくした場合は、更に調光制御により光量を増加させ、画像をより明るくするものとしても良い。逆に、画像データの輝度の範囲を比較的小さく広げた場合には、調光制御により光量を減少させるものとしても良い。
伸張係数の場合と同様に、修正調光係数L(n)を用いると、理想調光係数Lid(n)を用いるより、前フレームの調光係数L(n−1)から調光係数が急激に変化することを抑制することができる。つまり、通常モード時は修正調光係数L(n)を用いることが望ましい。一方、シーンチェンジの際にはフレーム間の画像データが急激に変化するので、修正調光係数L(n)より急激な変化に対応しうる理想調光係数Lid(n)を用いる方が望ましい。
以上の第一実施例における動画像表示装置1000によれば、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出された場合は、シーンチェンジに適した理想伸張係数Gid(n)を出力するので、シーンチェンジの際にはシーンチェンジに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。シーンチェンジが検出されない場合は、修正伸張係数G(n)を出力するので、伸張係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
更に、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでは理想伸張係数Gid(n)を出力するので、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでシーンチェンジに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
ところで、伸張係数LUT210の理想伸張係数Gid(n)は、以下のような基準で設定することができる。図17は、理想伸張係数Gid(n)の設定の考え方を示す説明図である。図17(a)〜(c)の横軸はi番目の小領域DRiの代表輝度Ydri(iは任意の正の整数)であり、縦軸は小領域DRの数である。つまり、図17(a)〜(c)の輝度ヒストグラムは、小領域DRiの代表輝度Ydriの度数分布である。また、図13(a)〜(c)において、実線のグラフは、輝度範囲伸張処理前の画像データの輝度ヒストグラムであり、輝度範囲伸張処理前の画像データの白ピーク値WPとAPL値が示してある。
図17(a)と(b)の輝度範囲伸張処理前の画像データは、白ピーク値WPが同じであり、APL値が異なる。図17(a)の場合は、図17(b)と比べるとAPL値が白ピーク値WPに近いので、画像全体の輝度が白ピーク値WPに近いことになる。よって、画像全体のうち大部分の画素が白くなる白飛びが発生することを防ぐために、伸張係数LUT210における理想伸張係数Gid(n)を図17(b)の場合に比べ小さく設定する。図17(b)の場合は、図17(a)と比べるとAPL値が小さく、白ピーク値WP付近の輝度を持つ画素の画像全体に占める割合は少ないので、理想伸張係数Gid(n)を大きくして輝度範囲伸張処理を行なったとしても、白飛びはほとんど起こらないと考えられる。そこで、画像全体の輝度を大きくするために、理想伸張係数Gid(n)を図17(a)の場合に比べて大きく設定する。図17(a),(b)の点線のグラフは、このように設定した理想伸張係数Gid(n)を用いた輝度範囲伸張処理後の画像データのヒストグラムである。図17(a)では理想伸張係数Gidが小さいので輝度範囲伸張処理後の画像データで白飛びが起こる可能性を小さくできており、図17(b)では、理想伸張係数Gid(n)が大きいので図17(a)の場合より画像データの輝度の範囲を広くすることができている。
一方、図17(a)と(c)の輝度範囲伸張処理前の画像データは、APL値が同じであり、白ピーク値WPが異なる。図17(c)の場合は、図17(a)と比べると白ピーク値WPが大きいので、白飛びが発生することを防ぐために、伸張係数LUT210における理想伸張係数Gid(n)を図17(a)の場合に比べ小さく設定する。図17(c)の点線のグラフは、このように設定した理想伸張係数Gid(n)を用いた輝度範囲伸張処理後の画像データのヒストグラムである。図17(c)では理想伸張係数Gid(n)が小さいので輝度範囲伸張処理後の画像データで白飛びが起こる可能性を小さくできている。このように、伸張係数LUT210は、APL値と白ピーク値WP及び両者の関係を考慮して設定されたものである。なお、図17(a)〜(c)のいずれの場合にも、輝度範囲伸張処理後の画像データは、輝度範囲伸張処理前の画像データに比べ、画像データの輝度の範囲が広くなっている。
よって、以上の第一実施例の動画像表示装置1000によれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合、画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる白ピーク値WPとAPL値に応じた輝度範囲伸張処理と調光制御を実行しているので、画像データの輝度ヒストグラムに適した輝度範囲伸張処理と調光制御を行なうことができる。これにより、画像のコントラスト感も向上できる。更に、(16)式を用いて調光係数LUT510を設定することによって、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合における画像の最大輝度が輝度範囲伸張処理と調光制御の前後で変化しないようにすることが可能である。
また、画像特徴量算出部100は、1フレームを小領域に分割し、小領域の輝度を求めて、そこからAPL値と白ピーク値WPを算出しているので、画像のノイズの影響を低減することができる。但し、画像の所定の中央部分内に存在する小領域の最大輝度と平均輝度を、それぞれAPL値と白ピーク値WPとするものとしても良い。このようにすれば、字幕や画像の端に生じる黒い帯の影響を低減することが可能である。あるいは、画像特徴量算出部100は、1フレームを小領域に分割することなく、画像データの全画素の輝度の最大値を白ピーク値とし、全画素の輝度の平均値をAPL値とするものとしても良い。すなわち、図3,図8,図17の輝度ヒストグラムは、画像データの画素毎の輝度ヒストグラムであっても良い。
上記実施例では画像特徴量としてAPL値を用いたが、APL値の代わりに、小領域DRiの代表輝度Ydr1〜Ydr40の最小値である黒ピーク値を使用するものとしても良い。あるいは、本実施例では、複数の画像特徴量として白ピーク値WPとAPL値の2つを用いたが、白ピーク値WPとAPL値と黒ピーク値の3つを用いるものとしても良い。その場合、伸張係数LUT210や調光係数LUT510は、3D−LUTとなる。更に多くの画像特徴量を用いるものとしても良い。複数の画像特徴量は、白ピーク値やAPL値や黒ピーク値に限らず、様々に設定可能である。なお、黒ピーク値は、全画素の輝度の最小値であるものとしても良い。
本実施例では、1D−LUT220(図14)の入出力特性は原点対称であるので、1D−LUT220の正の領域のみまたは負の領域のみを記憶しておくものとしても良い。または、理想変化量dWid(k)が整数である場合の修正変化量dW(k)のみ記憶しておくものとしても良い。この場合には、理想変化量dWid(n)が整数ではない場合には、補間計算により修正変化量dW(n)を求める。
本実施例では、簡単のために1D−LUT220を直線l6で示したが、直線である必要はなく、曲線や折れ線など様々に設定可能である。あるいは、修正変化量dW(n)は理想変化量dWid(n)と符号が同じで絶対値が小さくなるようにすれば良く、1D−LUT220を用いる方法以外にも、様々に導出可能である。例えば、理想変化量dWid(n)を1より大きい定数で割って、修正変化量dW(n)を求めるものとしても良い。
本実施例では、修正調光係数L(n)に関する修正変化量dW(n)を修正伸張係数G(n)に関する修正変化量dW(n)とは別に求めているが、互いに絶対値が同じで符号が異なる値を用いるものとしても良い。修正伸張係数G(n)と修正調光係数L(n)のうち片方が増加するならば片方を同じ量で減少させる関係とすると、画像の見た目の急激な変化を抑制することができるからである。
B.第二実施例:
第二実施例は、第一実施例と、図10のステップS300における修正変化量dW(n)の求め方が異なり、他の構成は第一実施例と同じである。第二実施例の修正変化量dW(n)は、以下の(17)式のように、変化量dW1(n)と修正係数ScaleG(n)を乗算して求める。
dW(n)=dW1(n)*ScaleG(n) ・・・(17)
図18は、第二実施例における修正変化量dW(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。伸張係数導出部200は、まず、第一実施例の図10のフローチャートに示した手順で、図14の1D−LUT220から修正変化量dW(n)を求める。この修正変化量dW(n)を、以下では変化量dW1(n)と呼ぶ(ステップS301A)。
伸張係数導出部200は、(17)式から分かるように、修正係数ScaleG(n)を求めれば良い。伸張係数導出部200は、以下の(18)式と(19)式が共に成立する場合は(ステップS306:YES)、修正係数ScaleG(n)を0とする(ステップS307)。
Gid(n)=Gid(n−2) ・・・(18)
Gid(n)≠Gid(n−1) ・・・(19)
一方、伸張係数導出部200は、(18)式と(19)式との少なくとも一方が成立しない場合は(ステップS306:NO)、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの修正伸張係数G(n−1)の差である修正量dG(n−1)を(20)式により求める(ステップS308)。
dG(n−1)=Gid(n−1)−G(n−1) ・・・(20)
前フレームの修正量dG(n−1)が閾値Thw以上であり、現フレームの理想変化量dWid(n)が0より大きい場合は(ステップS309:YES)、修正係数ScaleG(n)を所定の黒修正係数値ScaleGblackとする(ステップS310)。一方、前フレームの修正量dG(n−1)が−Thw以下であり、現フレームの理想変化量dWid(n)が0より小さい場合は(ステップS311:YES)、修正係数ScaleG(n)を所定の白修正係数値ScaleGwhiteとする(ステップS312)。それ以外の場合は(ステップS311:NO)、修正係数ScaleG(n)を1とする(ステップS313)。そして、(15)式により修正変化量dW(n)を計算する(ステップS314)。なお、各修正係数値については、以下の不等式(21)が成立する。
1<ScaleGblack<ScaleGwhite ・・・(21)
図19は、修正係数ScaleG(n)の設定の考え方を示す説明図である。図19の直線l6Aは図10の直線l6と同じものであり、これに直線l8と直線l9が加えられている。直線l8は、修正係数ScaleG(k)が黒修正係数値ScaleGblackである場合の修正変化量dW(k)を示す直線であり、直線l9は、修正係数ScaleG(k)が白修正係数値ScaleGwhiteである場合の修正変化量dW(k)を示す直線である。また、直線l6Aは、修正係数ScaleG(k)が1である場合の修正変化量dW(k)を示す直線である。直線の関係から、黒修正係数値ScaleGblackを用いるより、白修正係数値ScaleGwhiteを用いたほうが、修正変化量dW(k)は理想変化量dWid(k)に近くなり、(8)式と(9)式から分かるように、修正伸張係数G(k)も理想伸張係数Gid(k)に近くなることがわかる。同様に、修正係数ScaleG(k)=1を用いるより、黒修正係数値ScaleGblackを用いたほうが、修正変化量dW(k)は理想変化量dWid(k)に近くなり、修正伸張係数G(k)も理想伸張係数Gid(k)に近くなることがわかる。なお、修正係数ScaleGblack,ScaleGwhiteは、修正変化量dW(k)が理想変化量dWid(k)を超えないように設定されている。
図20は、修正調光係数L(n)の修正変化量dW(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。記号の記載には、第二実施例と同様、調光係数に関してはLを用いている。図20のフローチャートは、図18のフローチャートで伸張係数に関するGを調光係数に関するLに置き換えたものに等しく、修正調光係数L(n)の修正変化量dW(n)を導出する手順は、修正伸張係数G(n)の修正変化量dW(n)を導出する手順と同じなので、説明を省略する。
第二実施例の動画像表示装置1000によれば、修正係数ScaleG(n),ScaleL(n)を設定することにより、状況に応じて修正変化量dW(n)の大きさを調整し、現フレームの修正伸張係数G(n)の前フレーム実伸張係数Gr(n−1)からの変化量を調整することが可能である。
例えば、ステップS309において、前フレームの修正量dG(n−1)が閾値Thw以上であるということは、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの修正伸張係数G(n−1)の差が広がりすぎているということである。ここで、修正量dG(n−1)は、(8)式と(9)式を用いた以下の計算式からも分かるように、理想変化量Wid(n−1)と修正変化量dW(n−1)の差であるから、図19に示した範囲dG(n−1)に相当する(但し、修正係数ScaleG(n−1)は1であったものとする)。
dG(n−1)=Gid(n−1)−G(n−1)
={dWid(n−1)+Gr(n−2)}−{dW(n−1)+Gr(n−2)}
=dWid(n−1)−dW(n−1) ・・・(22)
よって、現フレーム(nフレーム目)においては、1より大きい黒修正係数値ScaleGblackを用いて修正変化量dW(n)を求めることで、修正係数ScaleG(n)=1を用いるより、修正伸張係数G(n)を理想伸張係数Gid(n)に近づける。このことは、例えば図19における修正係数ScaleG(n)=1を用いる場合の座標C1から黒修正係数値ScaleGblackを用いる場合の座標D1への変化に相当する。なお、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの修正伸張係数G(n−1)の差が広がりすぎているということは、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)が非常に大きくなっているということを意味しており、輝度範囲伸張処理前の画像が非常に暗くなっているということを意味している。ここでは、理想伸張係数Gid(n)に近づけた修正伸張係数G(n)により輝度範囲伸張処理をすることで、画像を明るくすることができる。
一方、ステップS311の条件は、ステップS309の条件と逆の関係であり、以下の不等式(23)が成立するということであるから、理想伸張係数Gid(n−1)が非常に小さくなっているということを意味している。つまり、画像が非常に明るくなっているということを意味している。
G(n−1)−Gid(n−1)≧Thw ・・・(23)
よって、白飛びを防ぐために、ステップS309,S310の画像が非常に暗くなっている場合よりも、更に修正伸張係数G(n)を理想伸張係数Gid(n)に近づけることが望ましい。本実施例によれば、ステップS311,S312で黒修正係数値ScaleGblackより更に大きい白修正係数値ScaleGwhiteを用いて修正変化量dW(n)を計算するので、修正伸張係数G(n)をより理想伸張係数Gid(n)に近づけることができ、白飛びを防ぐことができる。このことは、例えば図19における修正係数ScaleG(n)=1を用いる場合の座標C2から白修正係数値ScaleGwhiteを用いる場合の座標D2への変化に相当する。
伸張係数導出部200は、理想変化量dWid(n)が負の値である場合は、理想変化量dWid(n)が絶対値の同じ正の値である場合より、絶対値の大きな修正変化量dW(n)を用いて、伸張係数G(n)を求めている。本実施例では、修正係数ScaleG(n)を用いて修正変化量dW(n)の絶対値の大きさを調整しているが、これに限らず、例えば、理想変化量dWid(n)を各々ステップS310,S312,S313のケースに適した1より大きい定数で割って、修正変化量dW(n)を求めるものとしても良い。
ステップS307において、n−2フレーム目の理想伸張係数Gid(n−2)とnフレーム目の理想伸張係数Gid(n)が等しく、これらがn−1フレーム目の理想伸張係数Gid(n−1)と等しくないときは、これらの理想伸張係数Gid(n−2),Gid(n−1),Gid(n)に関する理想変化量dWid(n−2),dWid(n−1),dWid(n)の値は、それぞれ例えば図19の座標E1,E2,E3における値に相当する。つまり、理想伸張係数Gid(k)が振動しているということである。このような場合に、現フレームの理想伸張係数Gid(n)に基づいて、その修正伸張係数G(n)を決定するとちらつきが発生する可能性がある。そこで、本実施例では、この場合はステップS307で修正係数ScaleG(n)を0として、現フレームの修正伸張係数G(n)を前フレーム実伸張係数Gr(n−1)と同じ値にすることで、ちらつきの発生を抑制している。伸張係数導出部200は、本発明の置換部に相当する。なお、ステップS307の処理は省略することも可能である。
ステップS306,S309,S311のいずれの条件にも該当しない場合は、ステップS313において修正係数ScaleG(n)を1とすることで、第一実施例と同様の効果が得られる。
第二実施例では、修正調光係数L(n)に関する修正係数ScaleL(n)を修正係数ScaleG(n)とは別に求めているが、修正係数ScaleG(n)と修正係数ScaleL(n)は同じ値を用いるものとしても良い。また、黒修正係数値ScaleGblackと白修正係数値ScaleGwhiteも、同じ値を用いるものとしても良い。
その他の実施例:
(1)上記各実施例では、輝度範囲伸張処理と調光制御を共に行なうものとしたが、どちらか一方のみを行なうものとしても良い。
(2)本発明の動画像表示装置1000は、プロジェクタの他にも液晶テレビなど種々の動画像表示装置に適用可能である。調光制御を行なわずに輝度範囲伸張処理のみを行なう場合は、調光素子700を備える必要もない。
(3)シーンチェンジの判定は、上記実施例で示した方法に限らず、種々の方法で行なうことが可能である。例えば、フレーム間での画像特徴量の変動が大きい場合にシーンチェンジであると判定するものとしても良い。
以上、実施例に基づき本発明に係る動画像表示装置、動画像表示方法、動画像表示装置および動画像表示方法の機能を実現させるためのプログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
1000・・・動画像表示装置
100・・・画像特徴量算出部
110・・・輝度ヒストグラム
200・・・伸張係数導出部
210・・・伸張係数LUT
250・・・伸張係数出力モード判定部
300・・・輝度範囲伸張処理部
400・・・ライトバルブ
500・・・調光係数導出部
510・・・調光係数LUT
550・・・調光係数出力モード判定部
600・・・調光制御部
700・・・調光素子
710・・・光源装置
800・・・投写光学系
900・・・スクリーン
Ch1〜Ch4・・・シーンチェンジライン
DR,DRi,DR1・・・小領域
DRwn・・・白側小領域数
DRall・・・全小領域数
Fwh・・・白ピークフラグ
G,G(n),G(k)・・・修正伸張係数
Gid,Gid(n),Gid(k)・・・理想伸張係数
Gr(n−1)・・・前フレーム実伸張係数
I1・・・変数
Ilimit・・・輝度限界値
L(n)・・・修正調光係数
Lid(n)・・・理想調光係数
Lr(n−1)・・・前フレーム実調光係数
Thwh・・・白ピーク閾値
WP・・・白ピーク値
Y・・・輝度
Ydri,Ydr1・・・代表輝度
Thwn・・・白側閾値
Fwn・・・白側小領域フラグ
DRwn・・・側領域数
G1〜G7・・・入力格子点
G2・・・入力格子点
P1,P2・・・座標
S1・・・面積
l1,l2,l3・・・線分
S・・・面積
S5・・・面積
Sa・・・面積
dWid(n),dWid(k)・・・理想変化量
dW(n),dW(k)・・・修正変化量
l6〜l9,l6A・・・直線
l7・・・直線
K1・・・伸張率
A1・・・光量率
dW1(n)・・・変化量
ScaleG(n)・・・修正係数
Thw・・・閾値
ScaleGblack・・・黒修正係数値
ScaleGwhite・・・白修正係数値
ScaleG(n),ScaleL(n),ScaleG(k)・・・修正係数
C1,C2,D1,D2,E1,E2,E3・・・座標
dG(n−1)・・・範囲

Claims (6)

  1. 複数のフレームを有する動画データに基づく画像を投写するプロジェクターであって、
    前記フレーム毎に、輝度の最大値である白ピーク値と平均輝度値とを算出する画像特徴量算出部と、
    前記動画データ中においてシーンが切り替わったことを示すシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出部と、
    前記フレームを構成する画像データの輝度伸張処理に用いる伸張係数を導出する伸張係数導出部と、
    導出された前記伸張係数を用いて前記輝度伸張処理を行う輝度範囲伸張処理部と、
    白ピーク値と平均輝度値との組み合わせを表す組のそれぞれに、対応する係数が格納されたルックアップテーブルと、を備え、
    前記ルックアップテーブルには、
    特定の白ピーク値と第1の平均輝度値との組に対応する係数として、前記特定の白ピーク値と前記第1の平均輝度値よりも小さな第2の平均輝度値との組に対応する係数の値よりも低い値が格納され、
    特定の平均輝度値と第1の白ピーク値との組に対応する係数として、前記特定の平均輝度値と前記第1の白ピーク値よりも小さな第2の白ピーク値との組に対応する係数の値よりも低い値が格納されており、
    前記伸張係数導出部は、
    前記シーンチェンジ検出部によってシーンチェンジが検出された場合には、前記画像特徴量算出部によって算出された白ピーク値と平均輝度値とに対応する第1の係数を前記ルックアップテーブルから前記伸張係数として導出し、
    前記シーンチェンジ検出部によってシーンチェンジが検出されない場合には、前記第1の係数と、前フレームに対する輝度伸張処理に用いられた伸張係数である前フレーム伸張係数とから、予め設定された規則に基づき算出される第2の係数を前記伸張係数として導出し、
    前記予め設定された規則とは、前記第1の係数から前記前フレーム伸張係数を引いて第1係数差を求め、前記第2の係数から前記前フレーム伸張係数を引いて求められる第2係数差の絶対値が前記第1係数差の絶対値より小さく、かつ、前記第2係数差の符号が前記第1係数差の符号と一致するように前記第2の係数を求めるという規則である、
    プロジェクター。
  2. 請求項1に記載のプロジェクターであって、
    前記シーンチェンジ検出部は、前記白ピーク値が、黒画像が挿入されていることを検出可能に予め設定された白ピーク閾値以下である、という条件1を含む第1の開始条件が成立する場合に、前記シーンチェンジを検出する、プロジェクター。
  3. 請求項2に記載のプロジェクターであって、
    前記第1の開始条件は、前記条件1が成立し、かつ、前記第2の係数と前記第1の係数との差が予め設定された開始閾値より大きいという条件2が成立する場合に成立し、
    前記開始閾値は、前記第2の係数と前記第1の係数との差が当該開始閾値以下であれば、前記輝度範囲伸張処理において白飛びが発生しない値に設定されている、プロジェクター。
  4. 請求項1に記載のプロジェクターであって、
    前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データにおいて、仮に前記第2の係数を用いて前記輝度範囲伸張処理を行なった場合に、輝度が予め設定された限度値以上となる画像部分の全画像に対する割合が、予め設定された白側閾値以上である、という第2の開始条件が成立する場合に、前記シーンチェンジを検出し、
    前記白側閾値は、前記割合が当該白側閾値以上である場合に、前記輝度範囲伸張処理において白飛びが発生する値に設定されている、プロジェクター。
  5. 請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載のプロジェクターであって、
    前記シーンチェンジ検出部は、前記第1の開始条件または前記第2の開始条件が成立してから、予め設定された終了条件を満たすまで、前記シーンチェンジを検出するものであり、
    前記終了条件は、前記第2の係数と前記第1の係数との差が予め設定された終了閾値未満であること、および、前記伸張係数導出部が前フレームにおいて導出した第1の係数より現在の第1の係数が大きいことの少なくとも一方を含み、
    前記終了閾値は、前記第2の係数と前記第1の係数との差が、当該終了閾値未満であれば、前記輝度範囲伸張処理において白飛びが発生しない値に設定されている、プロジェクター。
  6. プロジェクターが複数のフレームを有する動画データに基づく画像を投写する画像投写方法であって、
    (a)前記フレーム毎に、輝度の最大値である白ピーク値と平均輝度値とを算出する工程と、
    (b)前記動画データ中においてシーンが切り替わったことを示すシーンチェンジを検出する工程と、
    (c)前記フレームを構成する画像データの輝度伸張処理に用いる伸張係数を導出する工程と、
    (d)導出された前記伸張係数を用いて前記輝度伸張処理を行う工程と、
    (e)前記輝度伸張処理が行われたフレームを投写する工程と、を備え、
    前記プロジェクターは、白ピーク値と平均輝度値との組み合わせを表す組のそれぞれに、対応する係数が格納されたルックアップテーブルを備えており、
    前記ルックアップテーブルには、
    特定の白ピーク値と第1の平均輝度値との組に対応する係数として、前記特定の白ピーク値と前記第1の平均輝度値よりも小さな第2の平均輝度値との組に対応する係数の値よりも低い値が格納され、
    特定の平均輝度値と第1の白ピーク値との組に対応する係数として、前記特定の平均輝度値と前記第1の白ピーク値よりも小さな第2の白ピーク値との組に対応する係数の値よりも低い値が格納されており、
    前記工程(c)では、
    前記工程(b)によってシーンチェンジが検出された場合には、前記工程(a)によって算出された白ピーク値と平均輝度値とに対応する第1の係数を前記ルックアップテーブルから前記伸張係数として導出し、
    前記工程(b)によってシーンチェンジが検出されない場合には、前記第1の係数と、前フレームに対する輝度伸張処理に用いられた伸張係数である前フレーム伸張係数とから、予め設定された規則に基づき算出される第2の係数を前記伸張係数として導出し、
    前記予め設定された規則とは、前記第1の係数から前記前フレーム伸張係数を引いて第1係数差を求め、前記第2の係数から前記前フレーム伸張係数を引いて求められる第2係数差の絶対値が前記第1係数差の絶対値より小さく、かつ、前記第2係数差の符号が前記第1係数差の符号と一致するように前記第2の係数を求めるという規則である、
    画像投写方法。
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