JP5158136B2 - 動画像表示装置および動画像表示方法 - Google Patents

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Description

本発明は、動画像データに基づいて動画像を表示する技術に関する。
従来から、プロジェクタなどの動画像表示装置において、動画像データの1フレームの画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理を行なって、画像のコントラスト感を向上させる技術が提案されている。
また、照明装置を備えたプロジェクタなどの動画像表示装置においては、照明装置の調光制御を行なって、画像の輝度を調整し、画質を向上する技術が提案されている。
特開2001−343957号公報 特開2004−45634号公報 特許第3308234号公報
しかし、従来の輝度範囲伸張処理では、一般に、画像(画像の輝度)がフレーム間で急激に変化することを考慮に入れずに動画像データの輝度範囲伸張処理を行なっていたので、輝度範囲伸張処理によりかえって画質を損ねる可能性があった。例えば、動画像の場面(シーン)が変化する際において、前のシーンから黒画面へフェードアウトし、次のシーンへ黒画面からフェードインするような表示がなされる場合がある。このような場合には、次のシーンへフェードインされるまでの間に、輝度伸張率が上昇することになる。このように輝度伸張率が上昇した状態では、次のシーンの動画像データに対しては過剰な伸張となってしまい、「白とび」と呼ばれる画質劣化が発生してしまう可能性があった。
なお、以下では、画像がフレーム間で急激に変化することをシーンチェンジと呼ぶ。
また、従来の調光制御においても、同様に、シーンチェンジを考慮に入れずに調光を行なっているので、調光によりかえって画質を損ねる可能性があった。
本発明は、上記した問題点を解決するためになされたものであり、シーンチェンジの際に新たなシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なう技術を提供することを第1の目的とする。また、シーンチェンジの際に新たなシーンに適した調光を行なう技術を提供することを第2の目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による動画像表示装置は、
動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示装置であって、
前記動画像データの1フレームの画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理に使用する伸張係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する伸張係数導出部と、
前記伸張係数導出部が出力した伸張係数に基づいて、前記輝度範囲伸張処理を前記画像データに施す輝度範囲伸張処理部と、
前記動画像データに基づいて、現フレームの画面状態が黒画面状態へ変化したことを検出するとともに、前記動画像のシーンが変更したことを示すシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出部と、
を備え、
前記伸張係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想伸張係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されず、かつ、前記黒画面状態への変化が検出されない場合は、前記現フレーム理想伸張係数を、予め設定された第1の伸張係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正伸張係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されずに、前記黒画面状態への変化が検出された場合は、前記現フレーム理想伸張係数を、予め設定された第2の伸張係数修正規則に従って、前記第1の現フレーム修正伸張係数よりも小さくなるように修正した第2の現フレーム修正伸張係数を出力することを特徴とする。
本発明によれば、伸張係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想伸張係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出されない場合は、現フレーム理想伸張係数を、予め設定された第1の伸張係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正伸張係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出された場合は、現フレーム理想伸張係数を、第1の現フレーム修正伸張係数よりも小さくなるように、予め設定された第2の伸張係数修正規則に従って修正した第2の現フレーム修正伸張係数を出力するので、例えば、前のシーンから黒画面へフェードアウトし、次のシーンへ黒画面からフェードインしてシーンチェンジがなされるようなシーンチェンジにおいて、伸張係数が前フレームから急激に変化することを抑制して、新たなシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
前記伸張係数導出部は、前記現フレーム理想伸張係数から前記輝度範囲伸張処理部が前フレームの輝度範囲伸張処理に使用した伸張係数である前フレーム実伸張係数を引いて理想伸張係数差を求め、前記第1の現フレーム修正伸張係数から前記前フレーム実伸張係数を引いて求められる第1の修正伸張係数差の絶対値が前記理想伸張係数差の絶対値より小さく、かつ前記第1の修正伸張係数差の符号が前記理想伸張係数差の符号と一致するように前記第1の現フレーム修正伸張係数を求めるとともに、前記第2の現フレーム修正伸張係数から前記前フレーム実伸張係数を引いて求められる第2の修正伸張係数差の絶対値が前記第1の現フレーム修正伸張係数差の絶対値より小さく、かつ前記第2の修正伸張係数差の符号が前記理想伸張係数差の符号と一致するように前記第2の現フレーム修正伸張係数を求めるものとしても良い。
これによれば、第1の修正伸張係数差の絶対値が理想伸張係数差の絶対値より小さく、かつ第1の修正伸張係数差の符号が理想伸張係数差の符号と一致するように第1の現フレーム修正伸張係数を求めるとともに、第2の修正伸張係数差の絶対値が第1の現フレーム修正伸張係数差の絶対値より小さく、かつ第2の修正伸張係数差の符号が理想伸張係数差の符号と一致するように第2の現フレーム修正伸張係数を求めるので、シーンチェンジが検出されない場合は、伸張係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
前記伸張係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された後は、予め設定されたシーンチェンジ終了条件を満たすまで前記現フレーム理想伸張係数を出力し、前記シーンチェンジ終了条件を満たした後は、前記第1の現フレーム修正伸張係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出された後であってシーンチェンジ終了条件を満たすまでは現フレーム理想伸張係数を出力するので、シーンチェンジが検出された後であってシーンチェンジ終了条件を満たすまで個々のシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
なお、前記シーンチェンジ終了条件は、前記第1の現フレーム修正伸張係数から前記現フレーム理想伸張係数を引いて求められる差が予め設定された閾値以下であること、および、前記伸張係数導出部が前フレームにおいて導出した前フレーム理想伸張係数より前記現フレーム理想伸張係数が大きいことの少なくとも一方を含むものとすることができる。
前記伸張係数導出部は、前記シーンチェンジが検出されずに、前記黒画面状態が検出された後は、予め設定された黒画面終了条件を満たすまで前記第2の現フレーム修正伸張係数を出力し、前記黒画面終了条件を満たした後は、前記第1の現フレーム修正伸張係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出されずに黒画面状態が検出された後であって黒画面終了条件を満たすまでは、第2の現フレーム修正伸張係数を出力し、黒画面終了条件を満たした後は、第1の現フレーム修正伸張係数を出力するので、伸張係数の変化を抑制することができる。
なお、前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が、予め設定された白ピーク黒画面閾値以下、または、前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値が、予め設定された平均レベル黒画面閾値以下、であるという黒画面条件が成立する場合に、前記黒画面状態への変化を検出するものとしても良い。
これによれば、容易に黒画面状態への変化を検出することができる。
前記シーンチェンジ検出部は、現フレームが前記黒画面状態よりは明るい状態である暗画面状態へ変化したことを検出し、かつ、前記第1の現フレーム修正伸張係数から前記現フレーム理想伸張係数を引いて求められる差が予め設定された閾値より大きい、という開始条件が成立する場合に前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
これによれば、暗画面状態への変化を検出した場合であっても、第1の現フレーム修正伸張係数から現フレーム理想伸張係数を引いて求められる差が小さく、第1の現フレーム修正伸張係数を出力しても差し支えがない場合については、シーンチェンジを検出しないようにすることができる。
なお、前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が、予め設定された白ピーク黒画面閾値以下、または、前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値が、予め設定された平均レベル黒画面閾値以下、であるという黒画面条件が成立する場合に、前記黒画面状態への変化を検出し、前記白ピーク値が、前記白ピーク黒画面閾値よりも高く、かつ、予め設定された白ピーク暗画面閾値以下、または、前記平均レベル値が、予め設定された前記平均レベル黒画面閾値よりも高く、かつ、予め設定された平均レベル暗画面閾値以下、であるという暗画面条件が成立する場合に、前記暗画面状態への変化を検出するものとしても良い。
これによれば、容易に暗画面状態への変化および黒画面状態への変化を検出することができる。
前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データにおいて、仮に前記第1の現フレーム修正伸張係数を用いて前記輝度範囲伸張処理を行なった場合に、輝度が予め設定された限度値以上となる画像部分の全画像に対する割合が、予め設定された閾値以上である場合に、前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
これによれば、第1の現フレーム修正伸張係数を用いて輝度範囲伸張処理を行なった場合に、輝度が予め設定された限度値以上となる画像部分の全画像に対する割合が、予め設定された閾値以上である場合において、現フレーム理想伸張係数を出力することができるので、新たなシーンに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
前記画像特徴量は、前記画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる複数の画像特徴量であって、
前記伸張係数導出部は、前記複数の画像特徴量を用いて、予め設定された伸張係数ルックアップテーブルを参照することにより、前記理想伸張係数を導出するものとしても良い。
これによれば、複数の画像特徴量に応じた輝度範囲伸張処理を画像データに施すことで、画像データに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
更に、照明装置と、
前記画像特徴量に基づいて、前記照明装置の光量を示す調光係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する調光係数導出部と、
前記調光係数導出部が出力した調光係数に基づき、前記照明装置の調光を実行する調光部と、
を備え、
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されず、かつ、前記黒画面状態への変化が検出されない場合は、前記現フレーム理想調光係数を、予め設定された第1の調光係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されずに、前記黒画面状態への変化が検出された場合は、前記現フレーム理想調光係数を、予め設定された第2の調光係数修正規則に従って、前記第1の現フレーム修正調光係数よりも小さくなるように修正した第2の現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、調光係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想調光係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、暗画面状態への変化および黒画面状態への変化が検出されない場合は、現フレーム理想調光係数を、予め設定された第1の調光係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正調光係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出された場合は、現フレーム理想調光係数を、予め設定された第2の調光係数修正規則に従って、第1の現フレーム修正調光係数よりも小さくなるように修正した第2の現フレーム修正調光係数を出力するので、例えば、前のシーンから黒画面へフェードアウトし、次のシーンへ黒画面からフェードインしてシーンチェンジがなされるようなシーンチェンジにおいて、調光係数が前フレームから急激に変化することを抑制して、新たなシーンに適した調光を行なうことが可能である。
また、上記課題の少なくとも一部を解決するため、本発明による他の動画像表示装置は、
動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示装置であって、
照明装置と、
前記動画像データの1フレームの画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記照明装置の光量を示す調光係数を、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する調光係数導出部と、
前記調光係数導出部が出力した調光係数に基づき、前記照明装置の調光を実行する調光部と、
前記動画像データに基づいて、現フレームの画面状態が黒画面状態へ変化したことを検出するとともに、前記動画像のシーンが変更したことを示すシーンチェンジを検出するシーンチェンジ検出部と、
を備え、
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された場合は、現フレームに関する前記画像特徴量に応じて決定される現フレーム理想調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されず、かつ、前記黒画面状態への変化が検出されない場合は、前記現フレーム理想調光係数を、予め設定された第1の調光係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正調光係数を出力し、前記シーンチェンジが検出されずに、前記黒画面状態への変化が検出された場合は、前記現フレーム理想調光係数を、前記第1の現フレーム修正調光係数よりも小さくなるように、予め設定された第2の調光係数修正規則に従って修正した第2の現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、調光係数導出部は、調光係数導出部は、シーンチェンジが検出された場合は、新たなシーンに適した現フレーム理想調光係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出されない場合は、現フレーム理想調光係数を、予め設定された第1の調光係数修正規則に従って修正した第1の現フレーム修正調光係数を出力し、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出された場合は、現フレーム理想調光係数を、予め設定された第2の調光係数修正規則に従って、第1の現フレーム修正調光係数よりも小さくなるように修正した第2の現フレーム修正調光係数を出力するので、例えば、前のシーンから黒画面へフェードアウトし、次のシーンへ黒画面からフェードインしてシーンチェンジがなされるようなシーンチェンジにおいて、調光係数が前フレームから急激に変化することを抑制して、新たなシーンに適した調光を行なうことが可能である。
前記調光係数導出部は、前記現フレーム理想調光係数から前記調光部が前フレームの調光に使用した調光係数である前フレーム実調光係数を引いて理想調光係数差を求め、前記第1の現フレーム修正調光係数から前記前フレーム実調光係数を引いて求められる第1の修正調光係数差の絶対値が前記理想調光係数差の絶対値より小さく、かつ前記第1の修正調光係数差の符号が前記理想調光係数差の符号と一致するように前記第1の現フレーム修正調光係数を求めるとともに、前記第2の現フレーム修正調光係数から前記前フレーム実調光係数を引いて求められる第2の修正調光係数差の絶対値が前記第1の現フレーム修正調光係数差の絶対値より小さく、かつ前記第2の修正調光係数差の符号が前記理想調光係数差の符号と一致するように前記第2の現フレーム修正調光係数を求めるものとしても良い。
これによれば、第1の修正調光係数差の絶対値が理想調光係数差の絶対値より小さく、かつ第1の修正調光係数差の符号が理想調光係数差の符号と一致するように第1の現フレーム修正調光係数を求めるとともに、第2の修正調光係数差の絶対値が第1の現フレーム修正調光係数差の絶対値より小さく、かつ第2の修正調光係数差の符号が理想調光係数差の符号と一致するように第2の現フレーム修正調光係数を求めるので、シーンチェンジが検出されない場合は、調光係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出された後は、予め設定されたシーンチェンジ終了条件を満たすまで前記現フレーム理想調光係数を出力し、前記シーンチェンジ終了条件を満たした後は、前記第1の現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出された後であってシーンチェンジ終了条件を満たすまでは現フレーム理想調光係数を出力するので、シーンチェンジが検出された後であってシーンチェンジ終了条件を満たすまで個々のシーンに適した調光を行なうことが可能である。
なお、前記シーンチェンジ終了条件は、前記第1の現フレーム修正調光係数から前記現フレーム理想調光係数を引いて求められる差が予め設定された閾値以下であること、および、前記調光係数導出部が前フレームにおいて導出した前フレーム理想伸張係数より前記現フレーム理想調光係数が大きいことの少なくとも一方を含むものとすることができる。
前記調光係数導出部は、前記シーンチェンジが検出されずに、前記黒画面状態が検出された後は、予め設定された黒画面終了条件を満たすまで前記第2の現フレーム修正調光係数を出力し、前記黒画面終了条件を満たした後は、前記第1の現フレーム修正調光係数を出力するものとしても良い。
これによれば、シーンチェンジが検出されずに黒画面状態が検出された後であって黒画面終了条件を満たすまでは、第2の現フレーム修正調光係数を出力し、黒画面終了条件を満たした後は、第1の現フレーム修正調光係数を出力するので、調光係数の変化を抑制することができる。
なお、前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が、予め設定された白ピーク黒画面閾値以下、または、前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値が、予め設定された平均レベル黒画面閾値以下、であるという黒画面条件が成立する場合に、前記黒画面状態への変化を検出するようにしても良い。
これによれば、容易に黒画面状態への変化を検出することができる。
前記シーンチェンジ検出部は、現フレームが前記黒画面状態よりは明るい状態である暗画面状態へ変化したことを検出し、かつ、前記第1の現フレーム修正伸張係数と前記現フレーム理想伸張係数の差の絶対値が予め設定された閾値より大きい、という開始条件が成立する場合に前記シーンチェンジを検出するものとしても良い。
これによれば、暗画面状態への変化を検出した場合であっても、第1の現フレーム修正調光係数から現フレーム理想調光係数を引いて求められる差が小さく、第1の現フレーム修正調光係数を出力しても差し支えがない場合については、シーンチェンジを検出しないようにすることができる。
なお、前記シーンチェンジ検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値が、予め設定された白ピーク黒画面閾値以下、または、前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値が、予め設定された平均レベル黒画面閾値以下、であるという黒画面条件が成立する場合に、前記黒画面状態への変化を検出し、前記白ピーク値が、前記白ピーク黒画面閾値よりも高く、かつ、予め設定された白ピーク暗画面閾値以下、または、前記平均レベル値が、予め設定された前記平均レベル黒画面閾値よりも高く、かつ、予め設定された平均レベル暗画面閾値以下、であるという暗画面条件が成立する場合に、前記暗画面状態への変化を検出するものとしても良い。
これによれば、容易に暗画面状態への変化および黒画面状態への変化を検出することができる。
前記画像特徴量は、前記画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる複数の画像特徴量であって、
前記調光係数導出部は、前記複数の画像特徴量を用いて、予め設定された調光係数ルックアップテーブルを参照することにより、前記理想調光係数を導出するものとしても良い。
これによれば、複数の画像特徴量に応じた調光を画像データに施すことで、画像データに適した調光を行なうことが可能である。
なお本発明は種々の形態で実現可能であり、例えば、動画像表示方法,方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現可能である。
また、本発明をコンピュータプログラムまたはそのプログラムを記録した記録媒体等として構成する場合には、動画像表示装置の動作を制御するプログラム全体として構成するものとしてもよいし、本発明の機能を果たす部分のみを構成するものとしてもよい。また、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置などコンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
本発明の第1実施例としての動画像表示装置1000の概略構成を機能的に示すブロック図である。 伸張係数導出部200および伸張係数出力モード判定部250の内部構成について示すブロック図である。 調光係数導出部500および調光係数出力モード判定部550の内部構成について示すブロック図である。 画像特徴量算出部100の処理について示す説明図である。 画像データの輝度ヒストグラム110を示す説明図である。 伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理を示すフローチャートである。 画面変化検出処理を示すフローチャートである。 画面変化検出処理の内容を示す説明図である。 ヒストグラム解析処理を示すフローチャートである。 調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理を示すフローチャートである。 理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)の導出処理を示すフローチャートである。 伸張係数LUT220の一例を示す説明図である。 補間計算について示す説明図である。 通常修正変化量dWGn(n)と黒画面修正変化量dWGs(n)を導出する処理を示すフローチャートである。 伸張修正LUT230の入出力関係を示す説明図である。 図10のステップS1000Lである理想調光係数Lid(n)と通常調光係数Ln(n)と黒画面調光係数Ls(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。 調光係数LUT520の一例を示す説明図である。 伸張係数導出部200が出力する伸張係数の具体例を示す説明図である。 理想伸張係数Gid(n)の設定の考え方を示す説明図である。 第2実施例における通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。 修正係数ScaleG(n)の設定の考え方を示す説明図である。 通常調光係数Ln(n)の通常修正変化量dWLn(n)と黒画面調光係数Ls(n)の黒画面修正変化量Ls(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。
以下では、本発明の実施例を以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
A1.装置構成:
A2.画像特徴量算出部の処理:
A3.伸張係数導出部および伸張係数出力モード判定部の処理:
A4.調光係数導出部および調光係数出力モード判定部の処理:
A5.伸張係数の算出:
A6.輝度範囲伸張処理:
A7.調光係数の算出:
A8.調光制御処理:
A9.実施例の効果:
B.第2実施例:
C.その他の実施例:
A.第1実施例:
A1.装置構成
図1は、本発明の第1実施例としての動画像表示装置1000の概略構成を機能的に示すブロック図である。動画像表示装置1000は、動画像データの1フレーム毎の画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理と、光源装置710の調光制御とを、その画像データの画像特徴量に応じて実行する機能を有する。さらに、動画像表示装置1000は、現フレームの画面状態が暗画面状態または黒画面状態へ変化したことを検出するとともに、画像がフレーム間で急激に変化するシーンチェンジを検出し、これら検出の内容に応じて別個の輝度範囲伸張処理と調光制御を行なう機能を有する。
動画像表示装置1000は、画像特徴量算出部100と、伸張係数導出部200と、伸張係数出力モード判定部250と、輝度範囲伸張処理部300と、ライトバルブ400と、調光係数導出部500と、調光係数出力モード判定部550と、調光制御部600と、光源装置710と、投写光学系800とを備える。動画像表示装置1000はプロジェクタであり、光源装置710からの照明光をライトバルブ400によって変調し、ライトバルブ400から射出される変調光の表す画像を投写光学系800によってスクリーン900に投写表示する。
光源装置710は、例えば液晶パネルのようなスイッチングトランジスタで構成される調光素子700を備える。光源装置710は、本発明の照明装置に相当し、調光素子700は、本発明の調光部に相当する。調光部は調光素子に限らず、光源装置710の前に備えられ、開閉されることにより光源装置710からの光量を調節するルーバーであるものとしても良い。
画像特徴量算出部100は、画像データの輝度に基づいて、APL(Average Picture Level)値と白ピーク値を計算し、伸張係数導出部200、伸張係数出力モード判定部250、調光係数導出部500、および、調光係数出力モード判定部550に出力する。APL値と白ピーク値について詳しくは後述する。また、画像特徴量算出部100は、画像データの輝度ヒストグラムを生成し、伸張係数出力モード判定部250と調光係数出力モード判定部550に出力する。
伸張係数導出部200および伸張係数出力モード判定部250は、以下で説明する機能を有している。
図2は、伸張係数導出部200および伸張係数出力モード判定部250の内部構成について示すブロック図である。伸張係数導出部200は、伸張係数計算部210と伸張係数セレクト部240とで構成される。伸張係数出力モード判定部250は、ヒストグラム解析部260と画面変化検出部270とモード判定実行部280とで構成される。
伸張係数導出部200の伸張係数計算部210は、APL値と白ピーク値WPを用いて、伸張係数ルックアップテーブル(以下、「伸張係数LUT」と略す)220を参照することにより、理想伸張係数Gidを求める。また、伸張係数計算部210は、さらに、伸張修正ルックアップテーブル(以下、「伸張修正LUT」と略す)230を参照することにより求めた通常修正変化量と、予め設定された通常伸張係数用の規則とに従って、理想伸張係数Gidを修正した通常伸張係数Gnを求めるとともに、上記通常修正変化量と、あらかじめ設定された黒画面伸張係数用の規則とに従って、理想伸張係数Gidを修正した黒画面伸張係数Gsを求める。そして、伸張係数計算部210は、求めた理想伸張係数Gid、通常伸張係数Gn、および、黒画面伸張係数Gsを伸張係数セレクト部240へ出力する。通常伸張係数および通常伸張係数用の規則は本発明の第1の修正伸張係数および第1の修正伸張係数規則に相当し、黒画面伸張係数および黒画面伸張係数用の規則は本発明の第2の修正伸張係数および第2の修正伸張係数規則に相当する。
なお、以下では、現フレームはnフレーム目(n:自然数)であるものとして説明する。また、nフレーム目の理想伸張係数をGid(n)と記載する。よって、例えばn−1フレーム目の理想伸張係数はGid(n−1)である。通常伸張係数および黒画面伸張係数についても同様の規則で記載する。
伸張係数出力モード判定部250の画面変化検出部270は、APL値と白ピーク値WPを用いて、現フレームの画面状態が暗画面状態または黒画面状態へ変化したことを検出し、暗画面状態へ変化したか否かを示す暗画面検出フラグFGdkおよび黒画面状態へ変化したか否かを示す黒画面検出フラグFGbkをモード判定実行部280へ出力する。
ヒストグラム解析部260は、ヒストグラムを用いて、伸張輝度範囲伸張処理後の画像データに、いわゆる白とびが発生するか否かを解析し、白とび発生の有無を示す白とび検出フラグFGstをモード判定実行部280へ出力する。
モード判定実行部280は、暗画面検出フラグFGdk、黒画面検出フラグFGbk、および、白とび検出フラグFGstを用いて、シーンチェンジの有無を検出し、伸張係数出力モードを判定する。そして、モード判定実行部280は、判定結果を示す伸張係数出力モードフラグFGmdを伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240へ出力する。
伸張係数セレクト部240は、モード判定実行部280から出力される伸張係数出力モードフラグFGmdに従って、理想伸張係数Gid(n)、通常伸張係数Gn(n)、および、黒画面伸張係数Gs(n)のいずれかを伸張係数(実伸張係数とも呼ぶ)Grとして出力する。
なお、上記伸張係数導出部200および伸張係数出力モード判定部250の処理については、後で詳述する。
図1に戻って、輝度範囲伸張処理部300は、伸張係数導出部200が出力した伸張係数Gr(n)に基づいて、輝度範囲伸張処理を画像データに施す。そして、輝度範囲伸張処理後の画像データに基づいて、ライトバルブ400を制御する。
調光係数導出部500および調光係数出力モード判定部550は、以下で説明する機能を有している。
図3は、調光係数導出部500および調光係数出力モード判定部550の内部構成について示すブロック図である。調光係数導出部500は、調光係数計算部510と調光係数セレクト部540とで構成される。調光係数出力モード判定部550は、ヒストグラム解析部560と画面変化検出部570とモード判定実行部580とで構成される。
調光係数導出部500の調光係数計算部510は、APL値と白ピーク値を用いて、予め設定された調光係数ルックアップテーブル(以下、「調光係数LUT」と略す)520を参照することにより、理想調光係数Lid(n)を求める。また、調光係数計算部510は、さらに、調光修正ルックアップテーブル(以下、「調光修正LUT」と略す)530を参照することにより求めた通常修正変化量と、予め設定された通常調光係数用の規則とに従って、理想調光係数Lid(n)を修正した通常調光係数Ln(n)を求めるとともに、上記通常修正変化量と、あらかじめ設定された黒画面調光係数用の規則とに従って、理想調光係数Lid(n)を修正した黒画面調光係数Ls(n)を求める。そして、調光係数計算部510は、求めた理想調光係数Lid(n)、通常調光係数Ln(n)、および、黒画面調光係数Ls(n)を調光係数セレクト部540へ出力する。通常調光係数および通常調光係数用の規則は本発明の第1の修正調光係数および第1の修正調光係数規則に相当し、黒画面調光係数および黒画面調光係数用の規則は本発明の第2の修正調光係数および第2の修正調光係数規則に相当する。
調光係数出力モード判定部550の画面変化検出部570は、APL値と白ピーク値WPを用いて、現フレームの画面状態が暗画面状態または黒画面状態へ変化したことを検出し、暗画面状態へ変化したか否かを示す暗画面検出フラグFLdkおよび黒画面状態へ変化したか否かを示す黒画面検出フラグFLbkをモード判定実行部280へ出力する。
ヒストグラム解析部560は、ヒストグラムを用いて、伸張輝度範囲伸張処理後の画像データに、いわゆる白とびが発生するか否かを解析し、白とび発生の有無を示す白とび検出フラグFLstをモード判定実行部280へ出力する。
モード判定実行部580は、暗画面検出フラグFLdk、黒画面検出フラグFLbk、および、白とび検出フラグFLstを用いて、シーンチェンジの有無を検出し、調光係数出力モードを判定する。そして、モード判定実行部580は、判定結果を示す調光係数出力モードフラグFLmdを調光係数導出部500の調光係数セレクト部540へ出力する。
調光係数セレクト部540は、モード判定実行部580から出力される調光係数出力モードフラグFLmdに従って、理想調光係数Lid(n)、通常調光係数Ln(n)、および、黒画面調光係数Ls(n)のいずれかを調光係数(実調光係数とも呼ぶ)Lrとして出力する。
なお、上記調光係数出力モード判定部550のヒストグラム解析部560、画面変化検出部570、および、モード判定実行部580の動作は、上記伸張係数出力モード判定部250のヒストグラム解析部260、画面変化検出部270、および、モード判定実行部280と同様である。
図1に戻って、調光制御部600は、調光係数導出部500が出力した調光係数Lr(n)に基づいて、放電ランプの調光素子700を制御する。
なお、伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550は、本発明のシーンチェンジ検出部に相当する。
A2.画像特徴量算出部の処理:
画像特徴量算出部100は、画像データの輝度に基づいて、APL値と白ピーク値WPを計算する。なお、画像データの1画素の輝度Yは、例えば以下の(1)又は(2)式で定義される。
Y=0.299R+0.587G+0.144B ・・・(1)
Y=max(R,G,B) ・・・(2)
図4は、画像特徴量算出部100の処理について示す説明図である。画像特徴量算出部100は、まず、1フレームFRを16×16画素の小領域DRに分割する。図4の例では、1フレームFRは40個の小領域DR1〜DR40に分割されている。40個の小領域DR1〜DR40のうち、任意のi番目の小領域DRi内の各画素の輝度をYi1〜Yi256で表わすものとすると、小領域DRiの代表輝度Ydriは以下の(3)式で表わされる。つまり、小領域DRiの代表輝度Ydriは、小領域DRi内の各画素の輝度の平均値である。
Ydri=(Yi1+Yi2+・・・+Yi256)/256 ・・・(3)
なお、図4では、小領域DRi内の画素数は25であるように図示されているが、実際には画素は256個存在する。
画像特徴量算出部100は、(3)式により小領域DR1〜DR40の代表輝度Ydr1〜Ydr40をそれぞれ求める。そして、画像特徴量算出部100は、代表輝度Ydr1〜Ydr40の平均値をAPL値とし、代表輝度Ydr1〜Ydr40の最大値を白ピーク値WPとする。ここでは、APL値と白ピーク値WPは10bitで表現する。なお、小領域DRの大きさや数は任意に設定可能である。
画像特徴量算出部100は、更に、図5に示す画像データの輝度ヒストグラム110を生成する。図5の横軸は小領域DRiの代表輝度Ydriであり、縦軸は小領域数である。
A3.伸張係数導出部および伸張係数出力モード判定部の処理:
伸張係数導出部200は、APL値と白ピーク値WPを用いて、伸張係数LUT220および伸張修正LUT230を参照し、理想伸張係数Gid(n)、通常伸張係数Gn(n)、および、黒画面伸張係数Gs(n)を導出する。伸張係数出力モード判定部250は、理想伸張係数Gid(n)と、通常伸張係数Gn(n)と、画像特徴量算出部100が生成した輝度ヒストグラム110に基づいて、伸張係数出力モードの判定処理を行なう。伸張係数出力モードには、所定の開始条件が成立してから、所定の終了条件が成立するまで継続するシーンチェンジモードと、所定の開始条件が成立してから、所定の終了条件が成立するまで継続する黒画面モードと、いずれかの終了条件が成立してからいずれかの開始条件が成立するまで継続する通常モードの3種類のモードが存在する。それぞれの開始条件と終了条件について詳しくは後述する。なお、伸張係数導出部200は、伸張係数出力モードがシーンチェンジモードの場合は、理想伸張係数Gid(n)を出力し、伸張係数出力モードが黒画面モードの場合は、黒画面伸張係数Gs(n)を出力し、伸張係数出力モードが通常モードの場合は、通常伸張係数Gn(n)を出力する。
図6は、伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理を示すフローチャートである。まず、伸張係数導出部200の伸張係数計算部210が、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)を導出する(ステップS1000)。理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)の導出については後述する。伸張係数出力モード判定部250および伸張係数導出部200は、前フレームの伸張係数出力モードに応じた処理を実行する(ステップS2100)。
まず、前フレームの伸張係数出力モードが通常モードの場合は(ステップS2100:通常)、画面変化検出部270が画面変化検出処理(ステップS2200)を実行し、ヒストグラム解析部260がヒストグラムヒストグラム解析処理(ステップS2300)を実行する。
図7は、画面変化検出処理を示すフローチャートである。画面変化検出部270は、輝度ヒストグラム110における最大輝度値である白ピーク値WPが所定の白ピーク黒画面閾値ThwbG以下であるか否かの判定(ステップS2210)、輝度ヒストグラム110における平均輝度値であるAPL値が所定のAPL黒画面閾値ThabG以下であるか否かの判定(ステップS2220)、白ピーク値WPが所定の白ピーク暗画面閾値ThwdG以下であるか否かの判定(ステップS2230)、APL値が所定のAPL暗画面閾値ThadG以下であるか否かの判定(ステップS2240)を行う。そして、白ピーク値WPが白ピーク黒画面閾値ThwbG以下の場合(ステップS2210:YES)またはAPL値がAPL黒画面閾値ThabG以下の場合(ステップS2220:YES)は、黒画面検出フラグFGbkおよび暗画面検出フラグFGdkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2250)。また、白ピーク値WPが白ピーク暗画面閾値ThwdG以下の場合(ステップS2230:YES)またはAPL値がAPL暗画面閾値ThadG以下の場合(ステップS2240:YES)は、暗画面検出フラグFGdkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2260)。なお、各閾値ThabG,ThadG,ThwbG,ThwdGについては、以下の不等式(4)が成立するように設定される。
ThabG≦ThwbG≦ThadG≦ThwdG ・・・(4)
図8は、画面変化検出処理の内容を示す説明図である。図8の輝度ヒストグラム110は、図5の輝度ヒストグラム110と同じである。図8の例では、白ピーク値WPが破線で示す白ピーク暗画面閾値ThwdGより大きく、かつ、APL値が破線で示すAPL暗画面閾値ThadGより大きいので、各ステップS2210〜S2240では全てNOと判定される。白ピーク値WPが白ピーク暗画面閾値ThwdGより小さい場合は、ステップS2230でYESと判定されて、暗画面検出フラグFGdkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2260)。さらに、白ピーク値WPが白ピーク黒画面閾値ThwbGより小さい場合は、ステップS2210でYESと判定されて、黒画面検出フラグFGbkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2250)。同様に、APL値がAPL暗画面閾値ThadGより小さい場合は、ステップS2240でYESと判定されて、暗画面検出フラグFGdkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2260)。さらに、APL値がAPL黒画面閾値ThabGより小さい場合は、ステップS2220でYESと判定されて、黒画面検出フラグFGbkの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2250)。
図9は、ヒストグラム解析処理を示すフローチャートである。ヒストグラム解析部260は、まず、以下の(5),(6)式で示される輝度限界値Ilimitを計算する(ステップS2310)。(6)式のK1は伸張率である。
Ilimit=1023/K1 ・・・(5)
K1=1+Gn(n)/256 ・・・(6)
輝度限界値Ilimitは、通常伸張係数Gn(n)で輝度範囲伸張処理を行なった場合に、最大輝度1023となる輝度を示す。輝度範囲伸張処理前の輝度が輝度限界値Ilimit以上である小領域DRiに対して通常伸張係数Gn(n)で輝度範囲伸張処理を行なうと、小領域DRiの代表輝度Ydriが最大輝度1023以上となり、小領域DRiの画像が白くなるいわゆる「白とび」という現象が起きる。以下のステップS2320〜S2360では、輝度限界値Ilimit以上1022以下の代表輝度Ydriを有する小領域数DRwn、つまり、仮に通常伸張係数Gn(n)で輝度範囲伸張処理を行なうと白とびする小領域数DRwn(以下、白とび小領域数DRwnと呼ぶ)を計算している。なお、図8において、輝度限界値Ilimitが一点鎖線で示されるとすると、白とび小領域数DRwnは、斜線の面積に相当する。
具体的には、まず、変数I1に輝度限界値Ilimitを代入し(ステップS2320)、白とび小領域数DRwnを初期化するため白とび小領域数DRwnに0を代入する(ステップS2330)。変数I1が1022以下である場合は(ステップS2340:YES)、代表輝度Ydriが変数I1と一致する小領域DRiの数を白とび小領域数DRwnに加える(ステップS2350)。そして、変数I1をインクリメントし(ステップS2360)、ステップS2340,S2350の処理を繰り返す。ステップS2360で変数I1をインクリメントし、変数I1が1022以下ではなくなった場合は(ステップS2340:NO)、その時点の白とび小領域数DRwnを白とび小領域数DRwnとして決定する。そして、ヒストグラム解析部260は、白とび小領域数DRwnの全小領域数DRallに占める割合が、白とび閾値Nwより大きいか否か判定する(ステップS2370)。大きい場合は(ステップS2370:YES)、白とび検出フラグFGstの値を初期値の[False]から[True]に変更する(ステップS2380)。なお、ここで代表輝度Ydriが1023の小領域DRiの数を白とび小領域数DRwnに加えないのは、画質劣化によって白とびを生じた小領域DRiの数を白とび小領域数DRwnに加えないためであるが、白とび小領域数DRwnに加えるものとしても良い。
図6に戻って、伸張係数出力モード判定部250のモード判定実行部280は、以下のシーンチェンジモード開始条件1,2のいずれかが成立するか否か判定する(S2400)。
シーンチェンジモード開始条件1:暗画面検出フラグFGdkの値が[True]かつ(Gn(n)−Gid(n))が開始閾値ThstrG(0以上の整数)を超える
シーンチェンジモード開始条件2:白とび検出フラグFGstの値が[True]
開始条件1は、以下の考えに従って設定されている。前述したように、暗画面検出フラグFGdkは、白ピーク値WPが白ピーク暗画面閾値ThwdG以下の場合またはAPL値がAPL暗画面閾値ThadG以下の場合に[True]となる(図7のステップS2260)。白ピーク暗画面閾値ThwdGやAPL暗画面閾値ThadGは十分小さい値であるので、暗画面検出フラグFGdkの値が[True]であるということは、画像が非常に暗くなっているということを意味する。シーンチェンジの際には、通常、黒画像が挿入されることが多いので、暗画面検出フラグFGdkの値が[True]であるという条件が成立した場合は、シーンチェンジが発生するものと考えることができる。但し、|Gn(n)−Gid(n)|が開始閾値ThstrG以下である場合は、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)の差が小さいので、通常伸張係数Gn(n)を出力する通常モードであると判定しても差し支えが無い。また、(Gn(n)−Gid(n))が負の値となる場合には、理想伸張係数Gid(n)が通常伸張係数Gn(n)よりも大きくなる状態、すなわち、画面が順に暗くなっていく状態と考えられる。この場合には、輝度範囲伸張処理による画質劣化の恐れは少ないため、通常伸張係数Gn(n)を出力する通常モードであると判定しても差し支えが無い。よって、ここでは、暗画面検出フラグFGdkの値が[True]であり、かつ開始条件1の後半の(Gn(n)−Gid(n))が開始閾値ThstrGを超えるという上述の開始条件1が成立する場合にシーンチェンジモードに移行する。
開始条件2で使用される白とび検出フラグFGstは、白とび小領域数DRwnの全小領域数DRallに占める割合が、より大きいときに値Trueとなり、白とび小領域数DRwnの全小領域数DRallに占める割合が、白とび閾値Nw以下のときに[False]となる。白とび検出フラグFGstの値が[True]であるということは、通常伸張係数Gn(n)で輝度範囲伸張処理を実行すると白とびが発生しやすいということを意味する。後述するが、通常伸張係数Gn(n)は前フレームの輝度範囲伸張処理に使用した伸張係数である前フレーム実伸張係数Gr(n−1)との差が理想伸張係数Gid(n)に比べて小さい。よって、シーンチェンジの際に通常伸張係数Gn(n)で輝度範囲伸張処理を実行すると、シーンチェンジの際の画像の急な変化、例えば、前フレームで黒画像状態への変化が検出されない程度の暗い画像から現フレームで画像が急に明るくなるという変化に対応できずに、現フレームで白とびが発生する可能性がある。よって、本実施例では、開始条件2が成立した場合は、シーンチェンジであるものと判定し、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードとする。なお、開始条件2は、前フレームの暗画像で開始条件1が成立しない場合であっても成立することがある。
モード判定実行部280は、シーンチェンジモード開始条件1,2のいずれかが成立する場合は(ステップS2400:YES)、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[シーンチェンジモード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2410)。伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[シーンチェンジモード]であるので、理想伸張係数Gid(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2420)。一方、シーンチェンジモード開始条件1,2が共に成立しない場合は(ステップS2310:NO)、モード判定実行部280は、黒画面モード開始条件が成立するか否か判定する(ステップS2430)。
黒画面モード開始条件:黒画面検出フラグFGbkの値が[True]かつGid(n)≧Gid(n−1)
黒画面モード開始条件は、以下の考えに従って設定されている。前述したように、黒画面検出フラグFGbkは、白ピーク値WPが白ピーク黒画面閾値ThwbG以下の場合またはAPL値がAPL黒画面閾値ThabG以下の場合に[True]となる(図7のステップS2250)。白ピーク黒画面閾値ThwbGやAPL黒画面閾値ThabGは十分小さい値であるので、黒画面検出フラグFGbkの値が[True]であるということは、画像が黒画像であることを意味する。また、Gid(n)≧Gid(n−1)は、現フレームの理想伸張Gid(n)が前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)以上となるということを意味しており、現フレームが前フレームと同じかそれ以上に暗くなることを意味し、ほぼ黒画像が挿入されていると判定しても差し支えが無い。よって、ここでは、黒画面検出フラグFGbkの値が[True]であり、かつ開始条件の後半のGid(n)≧nGid(n−1)が成立する場合に黒画面モードに移行する。
モード判定実行部280は、黒画面モード開始条件が成立する場合は(ステップS2430:YES)、伸張係数出力モードを黒画面モードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[黒画面モード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2440)。そして、伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[黒画面モード]であるので、黒画面伸張係数Gs(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2450)。一方、黒画面モード開始条件が成立しない場合は(ステップS2430:NO)、伸張係数出力モードを通常モードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[通常モード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2460)。そして、伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[通常モード]であるので、通常伸張係数Gn(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2470)。
次に、前フレームの伸張係数出力モードがシーンチェンジモードの場合は(ステップS2100:シーンチェンジ)、以下のシーンチェンジモード終了条件が成立するか否か判定し(ステップS2480)、いずれかが成立すれば、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードから通常モードに移行する。
シーンチェンジモード終了条件1:(Gn(n)−Gid(n))が終了閾値ThstopG(0以上の整数)未満
シーンチェンジモード終了条件2:Gid(n)>Gid(n−1)
シーンチェンジモード終了条件1において、(Gn(n)−Gid(n))が終了閾値ThstopG未満であるということは、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)の差が十分に小さいことを意味する。この場合には、理想伸張係数Gid(n)ではなく通常伸張係数Gn(n)を出力するものとしても不具合が発生する可能性が小さいので、通常伸張係数Gn(n)を出力する通常モードに移行するものとする。
シーンチェンジモード終了条件2において、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)より現フレーム理想伸張係数Gid(n)が大きいということは、前フレームの画像より現フレームの画像の方が暗いことを意味する。この場合には、白とびが発生する可能性が低いということを意味するので、通常伸張係数Gn(n)を出力しても不具合が発生する可能性は小さい。そこで、上記シーンチェンジモード終了条件2が成立したときには、理想伸張係数Gid(n)ではなく通常伸張係数Gn(n)を出力する通常モードに移行するものとする。
シーンチェンジモード終了条件1,2のいずれか一方が成立する場合は(ステップS2480:YES)、モード判定実行部280は、暗画面検出フラグFGdkの値を[False]とし(ステップS2490)、黒画面検出フラグFGbkの値を[False]とし(ステップS2500)、白とび検出フラグFGstの値を[False]とし(ステップS2510)、伸張係数出力モードを通常モードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[通常モード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2520)。そして、伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[通常モード]であるので、通常伸張係数Gn(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2530)。一方、シーンチェンジモード終了条件1,2のいずれも成立しない場合は(ステップS2480:NO)、モード判定実行部280は、伸張係数出力モードをシーンチェンジモードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[シーンチェンジモード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2540)。伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[シーンチェンジモード]であるので、理想伸張係数Gid(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2550)。
次に、前フレームの伸張係数出力モードが黒画面モードの場合は(ステップS2100:黒画面)、ステップS2200〜S2400と同様に、画面変化検出処理(ステップS2552)およびヒストグラム解析処理(ステップS2554)を実行し、シーンチェンジモード開始条件が成立するか否か判定する(ステップS2556)。シーンチェンジモード開始条件が成立する場合には(ステップS2556:YES)、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[シーンチェンジモード]に設定し(ステップS2410)、理想伸張係数Gid(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2420)。一方、シーンチェンジモード開始条件が成立しない場合には(ステップS2556:NO)、以下の黒画面モード終了条件が成立するか否か判定し(ステップS2560)、黒画面モード終了条件が成立すれば、伸張係数出力モードを黒画面モードから通常モードに移行する。
黒画面モード終了条件:Gid(n)<Gid(n−1)
黒画面モード終了条件において、Gid(n)<Gid(n−1)であるということは、現フレームの理想伸張Gid(n)が前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)よりも小さくなって、画像が明るくなる方向に変化しており、黒画面が終了する方向に変化したと考えられる。そこで、この場合には、理想伸張係数Gid(n)ではなく通常伸張係数Gn(n)を出力するものとして、通常伸張係数Gn(n)を出力する通常モードに移行するものとする。
黒画面モード終了条件が成立する場合は(ステップS2560:YES)、モード判定実行部280は、暗画面検出フラグFGdkの値を[False]とし(ステップS2490)、黒画面検出フラグFGbkの値を[False]とし(ステップS2500)、白とび検出フラグFGstの値を[False]とし(ステップS2510)、伸張係数出力モードを通常モードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[通常モード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2520)。そして、伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[通常モード]であるので、通常伸張係数Gn(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2530)。一方、黒画面モード終了条件が成立しない場合は(ステップS2560:NO)、モード判定実行部280は、伸張係数出力モードを黒画面モードと判定し、伸張係数出力モードフラグFGmdの値を[黒画面モード]に設定して伸張係数導出部200の伸張係数セレクト部240に出力する(ステップS2570)。伸張係数セレクト部240は、伸張係数出力モードフラグFGmdの値が[黒画面モード]であるので、黒画面伸張係数Gs(n)を伸張係数Gr(n)として出力する(ステップS2580)。
A4.調光係数導出部および調光係数出力モード判定部の処理:
図10は、調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理を示すフローチャートである。図6と図10を比較すれば分かるように、図10のフローチャートは図6の伸張係数およびフラグに関する記号「G」を調光係数およびフラグに関する記号「L」に置き換えたものに等しく、調光係数導出部500と調光係数出力モード判定部550の処理は、伸張係数導出部200と伸張係数出力モード判定部250の処理と同じなので、説明を省略する。但し、調光の場合、画面が暗くなると輝度が暗くなるように制御し、画面が明るくなると輝度が明るくなるように制御するので、暗画面状態において、理想調光係数Lid(n)が通常調光係数Ln(n)よりも大きくなる方向に変化したときに、シーンチェンジモードとすることが好ましい。また、黒画面状態において、理想調光係数Lid(n)が通常調光係数Ln(n)よりも大きくなる方向に変化したときに、黒画面モード終了とすることが好ましい。そこで、調光の場合のシーンチェンジモード開始条件と終了条件は、以下の通りとなる。
調光のシーンチェンジモード開始条件1:暗画面検出フラグFLdkの値が[True]かつ(Lid(n)−Ln(n))が開始閾値ThstrL(0以上の整数)を越える
調光のシーンチェンジモード開始条件2:白とび検出フラグFLstの値が[True]
調光のシーンチェンジモード終了条件1:(Lid(n)−Ln(n))が終了閾値ThstopL未満
調光のシーンチェンジモード終了条件2:Lid(n)>Lid(n−1)
なお、調光のシーンチェンジモード開始条件2については、調光には直接関係の無い条件であるので、必ずしも必須の条件ではなく、省略する場合には、図3のヒストグラム解析部560および図10のステップS2300Lの処理を省略することができる。
また、調光の場合の黒画面モード開始条件および終了条件は、以下の通りとなる。
調光の黒画面モード開始条件:黒画面検出フラグFLbkの値が[True]かつLid(n)≦Lid(n−1)
調光の黒画面モード終了条件:Lid(n)>Lid(n−1)
なお、本実施例では、伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550を別個に備え、各々でモード判定を実行するものとしたが、伸張係数出力モード判定部250と、調光係数出力モード判定部550のいずれか1つを省略し、伸張係数導出部200と調光係数導出部500は、共に残る1つのモード判定部から出力されるモード判定に従うものとしても良い。あるいは、モード判定部は1つであるものとし、モード判定部が1つである場合のシーンチェンジモード終了条件を以下の通りとし、シーンチェンジモード終了条件1〜4の少なくとも1つが成立すれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードを共に通常モードとするものとしても良い。
シーンチェンジモード終了条件1:(Gn(n)−Gid(n))が終了閾値ThstopG未満
シーンチェンジモード終了条件2:Gid(n)>Gid(n−1)
シーンチェンジモード終了条件3:(Lid(n)−Ln(n))が終了閾値ThlstopL未満
シーンチェンジモード終了条件4:Lid(n)>Lid(n−1)
さらに、また、モード判定部が1つである場合の黒画面終了条件を以下の通りとし、黒画面モード終了条件1,2の少なくとも1つが成立すれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードを共に通常モードとするものとしても良い。
黒画面モード終了条件1:Gid(n)<Gid(n−1)
黒画面モード終了条件2:Lid(n)>Lid(n−1)
A5.伸張係数の算出:
以下では、伸張係数導出部200の伸張係数計算部210が理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)を求める手順(図6のステップS1000)について説明する。図11は、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)の導出処理を示すフローチャートである。まず、伸張係数計算部210は、伸張係数LUT220から理想伸張係数Gid(n)を取得する(ステップS1100)。
図12は、伸張係数LUT220の一例を示す説明図である。横軸はAPL値であり、縦軸は白ピーク値WPである。黒丸で示した入力格子点の座標を示すn1〜n7の値は、それぞれ、0〜1023までのAPL値および白ピーク値WPの範囲の中で、単調増加する任意の整数に設定される。図12の例では、n1=511,n2=551,n3=596,n4=649,n5=715,n6=793,n7=894に設定されている。入力格子点の各箇所には、各々理想伸張係数Gid(n)が格納されている。理想伸張係数Gid(n)は、通常は、白ピーク値WPが大きいほど小さくなるように設定され、また、APL値が大きいほど小さくなるように設定される。例えば、入力格子点G0には理想伸張係数Gid(n)=0が格納されており、入力格子点G1には理想伸張係数Gid(n)=148が格納されており、入力格子点G2には理想伸張係数Gid(n)=255が格納されている。なお、各理想伸張係数の具体的な設定の考え方については後述する。APL値が白ピーク値WPを越えることはないので、伸張係数LUT220の右下半分の入力格子点には理想伸張係数Gid(n)が格納されておらず、これにより、メモリ量を削減可能である。なお、理想伸張係数Gid(n)の値の範囲は任意に設定可能であり、例えば0〜255の範囲に設定される。
伸張係数計算部210は、画像データのAPL値と白ピーク値WPの組が図12の入力格子点(黒丸)のいずれかに該当する場合には、その入力格子点における理想伸張係数Gid(n)をそのまま読み出して使用する。APL値と白ピーク値WPの組が、入力格子点に該当しない場合、例えば、座標P1や座標P2の場合は、補間計算により理想伸張係数Gid(n)を求める。補間計算には、座標P1のように、周囲に4つの入力格子点G3〜G6が存在する場合に行なう4点補間計算と、座標P2のように、周囲に3つの入力格子点G7〜G9のみが存在する場合に行なう3点補間計算の2種類がある。
図13は、補間計算について示す説明図である。図13(a)は4点補間計算について示しており、図13(b)は3点補間計算について示している。以下では、入力格子点G3〜G9の理想伸張係数値は、各々Gv3〜Gv9で示す。図13(a)の面積S1〜S4が、各々座標P1を通る線分L1,L2により分割された領域の面積であるものとし、面積Sが斜線の領域全体の面積であるとすると、座標P1の理想伸張係数Gp1は、以下の(7)式で算出する。
Gp1=(Gv3*S1+Gv4*S2+Gv5*S3+Gv6*S4)/S ・・・(7)
一方、図13(b)の面積S5〜S7が、各々座標P2を端点とする線分L3〜L5により分割された領域の面積であるものとし、面積Saが斜線の領域全体の面積であるものとすると、座標P2の理想伸張係数Gp2は、以下の(8)式で算出する。
Gp2=(Gv7*S5+Gv8*S6+Gv9*S7)/Sa ・・・(8)
以上により、理想伸張係数Gid(n)が求められる(図11のステップS1100)。
伸張係数計算部210は、次に、以下の(9)式により、理想伸張係数Gid(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)の差である理想変化量dWGid(n)を求める(ステップS1200)。
dWGid(n)=Gid(n)−Gr(n−1) ・・・(9)
理想変化量dWGid(n)は、理想伸張係数Gid(n)の前フレーム実伸張係数Gr(n−1)からの変化量に相当する。理想変化量dWGid(n)は、本発明の理想伸張係数差に相当する。
以下では、理想変化量dWGid(n)から通常修正変化量dWGn(n)と黒画面修正変化量dWGs(n)を求める(ステップS1300)。通常修正変化量dWGn(n)は、通常伸張係数Gn(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)の差であり、黒画面修正変化量dWGs(n)は、黒画面伸張係数Gs(n)と前フレーム実伸張係数Gr(n−1)の差である。すなわち、(10)式および(11)式の関係が成り立つ。
dWGn(n)=Gn(n)−Gr(n−1) ・・・(10)
dWGs(n)=Gs(n)−Gr(n−1) ・・・(11)
これらの修正変化量dWGn(n)およびdWGs(n)が求まると通常伸張係数Gn(n)および黒画面伸張係数Gs(n)が求まる。通常修正変化量dWGn(n)は、本発明の第1の修正伸張係数差に相当し、黒画面修正変化量dWGs(n)は、本発明の第2の修正伸張係数差に相当する。
図14は、通常修正変化量dWGn(n)と黒画面修正変化量dWGs(n)を導出する処理を示すフローチャートである。伸張係数計算部210は、理想変化量dWGid(n)が32以上である場合(ステップS1310:YES)、理想変化量dWGid(n)を32に置換する(ステップS1320)。また、理想変化量dWGid(n)が−32以下である場合(ステップS1330:YES)、理想変化量dWGid(n)を−32に置換する(ステップS1340)。このように理想変化量dWGid(n)をクリッピングするのは、通常修正変化量dWGn(n)の導出に用いる1次元のLUT(伸張修正LUT)230の入力レンジに合わせるためである。伸張係数計算部210は、伸張修正LUT230からクリッピング後の理想変化量dWGid(n)に応じた通常修正変化量dWGn(n)を取得する(ステップS1350)。
伸張係数計算部210は、次に、以下の(12)式により、通常修正変化量dWGn(n)を黒画面修正定数SlowG(自然数)で割った黒画面修正変化量dWGs(n)を求める(ステップS1360)。
dWGs(n)=dWGn(n)/SlowG ・・・(12)
図15は、伸張修正LUT230の入出力関係を示す説明図である。横軸が理想変化量dWGid(k)であり、縦軸が修正変化量dWG(k)である。但し、kは任意の正の整数である。直線L6は、理想変化量dWGid(k)と通常修正変化量dWGn(K)に相当する修正変化量dWG(k)との関係を示している。伸張係数計算部210は、直線L6を用いて理想変化量dWGid(n)から通常修正変化量dWGn(n)を導出する。そして、伸張係数計算部210は、(12)式により、通常修正変化量dWGn(n)と黒画面修正定数SlowGから、黒画面修正変化量dWGs(n)を求める。なお、(12)式により黒画面修正変化量dWGs(n)を求めることは、図15の直線L8が示す、理想変化量dWGid(k)と黒画面修正変化量dWGs(k)に相当する修正変化量dWG(k)との関係から、黒画面修正変化量dWGs(n)を導出することと等価である。
そして、図11に戻って、伸張係数計算部210は、(10)式を変形した(13)式により、通常伸張係数Gn(n)を求める(ステップS1400)。
Gn(n)=Gr(n−1)+dWGn(n) ・・・(13)
なお、理想変化量dWGid(n)が0の場合は図15の直線L6より通常修正変化量dWGn(n)も0であり、現フレームの通常伸張係数Gn(n)は前フレーム実伸張係数Gr(n−1)と一致する。直線L6は、通常伸張係数Gn(k)を求めるための直線であるので、直線L6の横に括弧書きで(Gn(k))と示した。
また、伸張係数計算部210は、(11)式を変形した(14)式により、黒画面伸張係数Gs(n)を求める(ステップS1500)。
Gs(n)=Gr(n−1)+dWGs(n) ・・・(14)
なお、理想変化量dWGid(n)が0の場合は図15の直線L8より黒画面修正変化量dWGs(n)も0であり、現フレームの黒画面伸張係数Gs(n)は前フレーム実伸張係数Gr(n−1)と一致する。直線L8は、黒画面伸張係数Gs(k)を求めるための直線であるので、直線L8の横に括弧書きで(Gs(k))と示した。
ところで、図15の直線L7は、修正変化量dWG(k)と理想変化量dWGid(k)が一致する場合を示す直線である。仮にこの直線L7を用いて修正変化量dWG(k)を求めると、修正変化量dWG(k)が理想変化量dWGid(k)と一致するので、(9)式と(10)式から分かるように、通常伸張係数Gn(k)は理想伸張係数Gid(k)と一致する。図15には、このことを、直線L7の横に括弧書きで示した。また、直線L6と直線L7の関係から、通常修正変化量dWGn(k)は、理想変化量dWGid(k)と符号が同じで絶対値が小さい値として伸張修正LUT230に設定されていることが分かる。
このように、理想変化量dWGid(n)と符号が同じで絶対値が小さい通常修正変化量dWGn(n)を用いて通常伸張係数Gn(n)を求めるので、(9)式と(10)式から分かるように、通常伸張係数Gn(n)は、理想伸張係数Gid(n)より、前フレーム実伸張係数Gr(n−1)との差が小さい。つまり、この通常伸張係数Gn(n)を用いると、理想伸張係数Gid(n)を用いるより、前フレーム実伸張係数Gr(n−1)から伸張係数が急激に変化することを抑制することができる。
例えば、以下の2つの不等式(15),(16)のいずれかが成立する場合は、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と現フレームの理想伸張係数Gid(n)は、前フレーム実伸張係数Gr(n−1)を挟んで大きく変化している。よって、仮に通常モードにおいて伸張係数導出部200が理想伸張係数Gid(n)を出力すると、画像にちらつきを発生させる可能性がある。そこで、通常モードでは、伸張係数導出部200は理想伸張係数Gid(n)の代わりに、修正後の通常伸張係数Gn(n)を出力することにより、ちらつきの発生を抑制する。
Gid(n−1)>Gr(n−1)>Gid(n) ・・・(15)
Gid(n−1)<Gr(n−1)<Gid(n) ・・・(16)
つまり、通常モード時は通常伸張係数Gn(n)を用いることが望ましい。同様に、黒画面モード時は通常伸張係数Gn(n)よりも小さい黒画面伸張係数Gs(n)を用いることが好ましい。一方、シーンチェンジの際にはフレーム間の画像データが急激に変化するので、通常伸張係数Gn(n)より急激な変化に対応しうる理想伸張係数Gid(n)を用いる方が望ましい。理想伸張係数Gid(n)は、白ピーク値WPとAPL値に応じて設定された伸張係数LUT220から求められているので、理想伸張係数Gid(n)を用いると、画像データの輝度ヒストグラムに適した輝度範囲伸張処理を行なうことができる。伸張係数LUT220の設定について詳しくは後述する。
A6.輝度範囲伸張処理:
輝度範囲伸張処理部300は、図6のステップS1000〜ステップS2580により伸張係数導出部200が出力した伸張係数Gr(n)に基づいて画像データの輝度を伸張する。この輝度範囲伸張処理は、以下の式(17a)〜(17d)で行なう。ここで、R0,G0,B0は輝度範囲伸張処理前の画像データの色情報の値であり、R1,G1,B1は輝度範囲伸張処理後の画像データの色情報の値である。また、伸張率K1は(17d)式で与えられる。
R1=K1*R0 ・・・(17a)
G1=K1*G0 ・・・(17b)
B1=K1*B0 ・・・(17c)
K1=1+Gr(n)/255 ・・・(17d)
伸張係数Gr(n)は、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)のいずれかであり、共に0〜255のいずれかである。よって、伸張率K1は1以上である。
そして、輝度範囲伸張処理部300は、輝度範囲伸張処理後の画像データに基づいて、ライトバルブ400を制御する。
A7.調光係数の算出:
図16は、図10のステップS1000Lである理想調光係数Lid(n)と通常調光係数Ln(n)と黒画面調光係数Ls(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。図11と図16を比較すれば分かるように、図16のフローチャートは図11の伸張係数に関するGを調光係数に関するLに置き換えたものに等しく理想調光係数Lid(n)と通常調光係数Ln(n)と黒画面調光係数Ls(n)を導出する手順は、理想伸張係数Gid(n)と通常伸張係数Gn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)を導出する手順と同じなので、説明を省略する。但し、理想調光係数Lid(n)は、図17の調光係数LUT520から求めた理想調光係数Lid(n)である。
図17は、調光係数LUT520の一例を示す説明図である。横軸はAPL値であり、縦軸は白ピーク値WPである。図12と図17を比較すれば分かるように、調光係数LUT520は伸張係数LUT220と同じ構成を有している。また、調光係数LUT520を参照して理想調光係数Lid(n)を決定する方法も、理想伸張係数Gid(n)を決定する方法と同じであるので詳細な説明は省略する。
但し、図16のステップS1300Lの通常修正変化量dWLn(n)および黒画面修正変化量dWLs(n)の導出の際に用いる調光修正LUT530は、図11のステップS1300の伸張修正LUT230を利用するものとしても良いし、別個に用意するものとしても良い。別個に用意する場合も、調光修正LUTにおいて、通常修正変化量dWLn(k)および黒画面修正変化量dWLs(k)は、理想変化量dWLid(k)と符号が同じで絶対値が小さい値として設定されているものとする。
A8.調光制御処理:
調光制御部600は、図10のステップS1000L〜ステップS22580Lにより調光係数導出部500が出力した調光係数Lr(n)から以下の(1)式で示す光量率A1を求め、その値に基づき、調光素子700を制御する。光量率A1は、最大光量に対する割合を示しており、A1≦1である。
A1=Lr(n)/255 ・・・(18)
ところで、(18)の光量率A1と、上述した(17d)式で求めた伸張率K1が、以下の(19)式の関係であれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合における輝度範囲伸張処理と調光制御後の画像の最大輝度は、輝度範囲伸張処理と調光制御前の画像の最大輝度と同じとなる。
A1=K1 ・・・(19)
ここで、γはライトバルブ400のγ値であり、例えばγ=2.2である。図17の調光係数LUT520は、関係式(19)が成立するように図15の伸張係数LUT220から求められたものである。すなわち、調光係数LUT520の理想調光係数Lid(n)は、(20)式が成立するように設定されている。
Lid(n)/255=(1+Gid(n)/255) ・・・(20)
なお、ここでは、画像の最大輝度が輝度範囲伸張処理と調光制御の前後で変化しないように伸張係数LUT220と、調光係数LUT520を設定するものとしたが、他の関係式を用いてこれらを設定するものとしても良い。例えば、輝度範囲伸張処理により画像データの輝度の範囲を比較的大きく広げて、画像データを明るくした場合は、更に調光制御により光量を増加させ、画像をより明るくするものとしても良い。逆に、画像データの輝度の範囲を比較的小さく広げた場合には、調光制御により光量を減少させるものとしても良い。
伸張係数の場合と同様に、通常調光係数Ln(n)を用いると、理想調光係数Lid(n)を用いるより、前フレームの調光係数Lr(n−1)から調光係数が急激に変化することを抑制することができる。つまり、通常モード時は通常調光係数Ln(n)を用いることが望ましい。同様に、黒画面モード時は通常調光係数Ln(n)よりも小さい黒画面調光係数Ls(n)を用いることが好ましい。一方、シーンチェンジの際にはフレーム間の画像データが急激に変化するので、通常調光係数Ln(n)より急激な変化に対応しうる理想調光係数Lid(n)を用いる方が望ましい。
A9.実施例の効果:
以上の第1実施例における動画像表示装置1000によれば、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出された場合は、シーンチェンジに適した理想伸張係数Gid(n)を出力するので、シーンチェンジの際にはシーンチェンジに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。そして、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでは理想伸張係数Gid(n)を出力するので、シーンチェンジが検出された後であって終了条件を満たすまでシーンチェンジに適した輝度範囲伸張処理を行なうことが可能である。
また、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出されず、かつ、暗画面状態への変化のみが検出された場合あるいは暗画面状態への変化および黒画面状態への変化のいずれも検出されない場合は、通常伸張係数Gn(n)を出力するので、シーンチェンジのない通常の状態において、伸張係数が前フレームから急激に変化してちらつき等が発生し、画質が劣化することを抑制することができる。
さらに、伸張係数導出部200は、シーンチェンジが検出されず、かつ、黒画面状態への変化が検出された場合は、終了条件を満たすまで通常伸張係数Gn(n)よりも小さい黒画面伸張係数Gs(n)を出力するので、黒画面状態が継続する場合において、伸張係数が前フレームから急激に変化することを抑制することができる。
図18は、伸張係数導出部200が出力する伸張係数の具体例を示す説明図である。図18(a)は、各フレームの動画像データに基づいて画像特徴量算出部100で算出される白ピーク値WPおよびAPL値の変化を時系列に示している。なお、この白ピーク値WPおよびAPL値は、図示を簡単化するために、画像全体が一定のある輝度値を有する第1の画像(以下、「ベタ画像」と呼ぶ)からフェードアウトして黒画像に変化し、黒画像から他の輝度値を有する第2のベタ画像にフェードインする場合を例に示している。ベタ画像の場合、白ピーク値WPとAPL値は等しくなる。また、白ピーク暗画面閾値ThwdGとAPL暗画面閾値ThadGは等しく、白ピーク黒画面閾値ThwbGとAPL黒画面閾値ThabGとは等しく設定される。従って、白ピーク値WPおよびAPL値による暗画面状態への変化および黒画面状態への変化の検出は全く同じとなるので、以下では、白ピーク値WPの変化に応じて説明することとする。図18(b)は、図18(a)の白ピーク値およびAPLに対して伸張係数出力モード判定部250が判定する伸張係数出力モードおよび伸張係数出力モードに応じて伸張係数導出部200から出力される伸張係数の種類を示している。図18(c)は、理想伸張係数Gid(n)と伸張係数Gr(n)の変化を示している。
図18(a)に示すように、第1のベタ画像からフェードアウトを開始すると白ピーク値WPはだんだん小さくなっていくが、伸張係数出力モードは、図18(b)に示すように、白ピーク値WPが白ピーク暗画面閾値ThwdG以下になるまでは、通常モードに維持され、伸張係数Gr(n)として通常伸張係数Gn(n)が選択される。従って、伸張係数Gr(n)は、図18(c)の一点鎖線に示すように、通常伸張係数Gn(n)の変化に応じて変化する。
そして、白ピーク値が白ピーク暗画面閾値ThwdGよりも小さくなると暗画面状態への変化が検出される。しかしながら、理想伸張係数Gid(n)が通常伸張係数Gn(n)よりも非常に大きくなるため、上記したシーンチェンジモード開始条件1の後半の開始閾値ThstrGを越えることはなく、伸張係数出力モードは、このまま、通常モードに維持される。
さらに、白ピーク値WPが小さくなって、白ピーク黒画面閾値ThwbG以下になると、黒画面状態への変化が検出される。このとき、伸張係数出力モードは黒画面モードとなり、伸張係数Gr(n)として黒画面伸張係数Gs(n)が選択されて、伸張係数Gr(n)は、黒画面伸張係数Gs(n)の変化に応じて変化する。ここで、黒画面伸張係数Gs(n)は通常伸張係数Gn(n)よりも小さいので、黒画面モードにおける伸張係数Gr(n)の変化は、通常モードの場合よりも小さくなる。そして、黒画面状態が継続している間、伸張係数出力モードは、黒画面モードに維持される。
次に、黒画面からフェードインを開始して、白ピーク値が黒画面状態における最低の白ピーク値よりも大きくなり、上記した黒画面モード終了条件(Gid(n)<Gid(n−1))が成立すると、伸張係数出力モードは通常モードとなり、伸張係数Gr(n)として通常伸張係数Gn(n)が選択されて、伸張係数Gr(n)は、通常伸張係数Gn(n)の変化に応じて変化する。
なお、黒画面モードが終了して通常モードとなっても、白ピーク値WPが白ピーク暗画面閾値ThwdG以下の間は、暗画面状態への変化が検出されるが、上記したように、理想伸張係数Gid(n)が通常伸張係数Gn(n)よりも大きくなるため、シーンチェンジモード開始条件1の後半の開始閾値ThstrGを越えることはないので、伸張係数出力モードは、このまま、通常モードに維持される。
ここで、仮に、フェードアウトの途中で黒画面状態への変化を検出せず、伸張係数出力モードがそのまま通常モードに維持された場合を想定すると、図18(c)の破線で示す比較例のように、通常伸張係数Gn(n)は黒画面伸張係数Gs(n)よりも大きいため、伸張係数Gr(n)の変化は実施例の場合に比べてその傾きが大きくなり、理想伸張係数Gid(n)よりも伸張係数Gr(n)(通常伸張係数Gn(n)に等しい)の方が大きくなって、過剰な伸張がなされる場合が発生し、シーンチェンジが検出されて、伸張係数Gr(n)として理想伸張係数Gid(n)が選択される状態が発生し得る。そして、この結果、伸張係数Gr(n)が急激に変化して、画質の劣化が発生し得ることになる。
一方、本実施例の場合には、黒画面モードにおいて、伸張係数Gr(n)として通常伸張係数Gn(n)よりも小さい黒画面伸張係数Gs(n)を選択することにより、伸張係数Grの傾きを小さくすることができるので、過剰な伸張が成されて、シーンチェンジが検出されることを抑制し、比較例において発生し得る画質劣化を抑制することが可能である。
同様に、調光係数導出部500は、前のシーンからフェードアウトして黒画面に変化し、黒画面から次のシーンにフェードインすることにより、前のシーンから次のシーンへシーンチェンジする場合において、過剰な調光がなされて、シーンチェンジモードが検出されることを抑制することができるので、画質の劣化が発生し得るのを抑制することが可能である。
ところで、伸張係数LUT210の理想伸張係数Gid(n)は、以下のような基準で設定することができる。図19は、理想伸張係数Gid(n)の設定の考え方を示す説明図である。図19(a)〜(c)の横軸はi番目の小領域DRiの代表輝度Ydri(iは任意の正の整数)であり、縦軸は小領域DRの数である。つまり、図19(a)〜(c)の輝度ヒストグラムは、小領域DRiの代表輝度Ydriの度数分布である。また、図19(a)〜(c)において、実線のグラフは、輝度範囲伸張処理前の画像データの輝度ヒストグラムであり、輝度範囲伸張処理前の画像データの白ピーク値WPとAPL値が示してある。
図19(a)と(b)の輝度範囲伸張処理前の画像データは、白ピーク値WPが同じであり、APL値が異なる。図19(a)の場合は、図19(b)と比べるとAPL値が白ピーク値WPに近いので、画像全体の輝度が白ピーク値WPに近いことになる。よって、画像全体のうち大部分の画素が白くなる白とびが発生することを防ぐために、伸張係数LUT220における理想伸張係数Gid(n)を図19(b)の場合に比べ小さく設定する。図19(b)の場合は、図19(a)と比べるとAPL値が小さく、白ピーク値WP付近の輝度を持つ画素の画像全体に占める割合は少ないので、理想伸張係数Gid(n)を大きくして輝度範囲伸張処理を行なったとしても、白とびはほとんど起こらないと考えられる。そこで、画像全体の輝度を大きくするために、理想伸張係数Gid(n)を図19(a)の場合に比べて大きく設定する。図19(a),(b)の点線のグラフは、このように設定した理想伸張係数Gid(n)を用いた輝度範囲伸張処理後の画像データのヒストグラムである。図19(a)では理想伸張係数Gidが小さいので輝度範囲伸張処理後の画像データで白とびが起こる可能性を小さくできており、図19(b)では、理想伸張係数Gid(n)が大きいので図19(a)の場合より画像データの輝度の範囲を広くすることができている。
一方、図19(a)と(c)の輝度範囲伸張処理前の画像データは、APL値が同じであり、白ピーク値WPが異なる。図19(c)の場合は、図19(a)と比べると白ピーク値WPが大きいので、白とびが発生することを防ぐために、伸張係数LUT210における理想伸張係数Gid(n)を図19(a)の場合に比べ小さく設定する。図19(c)の点線のグラフは、このように設定した理想伸張係数Gid(n)を用いた輝度範囲伸張処理後の画像データのヒストグラムである。図19(c)では理想伸張係数Gid(n)が小さいので輝度範囲伸張処理後の画像データで白とびが起こる可能性を小さくできている。このように、伸張係数LUT220は、APL値と白ピーク値WP及び両者の関係を考慮して設定されたものである。なお、図19(a)〜(c)のいずれの場合にも、輝度範囲伸張処理後の画像データは、輝度範囲伸張処理前の画像データに比べ、画像データの輝度の範囲が広くなっている。
よって、以上の第一実施例の動画像表示装置1000によれば、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合、画像データの輝度ヒストグラムに関して得られる白ピーク値WPとAPL値に応じた輝度範囲伸張処理と調光制御を実行しているので、画像データの輝度ヒストグラムに適した輝度範囲伸張処理と調光制御を行なうことができる。これにより、画像のコントラスト感も向上できる。更に、(20)式を用いて調光係数LUT520を設定することによって、伸張係数出力モードと調光係数出力モードが共にシーンチェンジモードである場合における画像の最大輝度が輝度範囲伸張処理と調光制御の前後で変化しないようにすることが可能である。
また、画像特徴量算出部100は、1フレームを小領域に分割し、小領域の輝度を求めて、そこからAPL値と白ピーク値WPを算出しているので、画像のノイズの影響を低減することができる。但し、画像の所定の中央部分内に存在する小領域の最大輝度と平均輝度を、それぞれAPL値と白ピーク値WPとするものとしても良い。このようにすれば、字幕や画像の端に生じる黒い帯の影響を低減することが可能である。あるいは、画像特徴量算出部100は、1フレームを小領域に分割することなく、画像データの全画素の輝度の最大値を白ピーク値とし、全画素の輝度の平均値をAPL値とするものとしても良い。すなわち、図5,図8,図19の輝度ヒストグラムは、画像データの画素毎の輝度ヒストグラムであっても良い。
上記実施例では画像特徴量としてAPL値を用いたが、APL値の代わりに、小領域DRiの代表輝度Ydr1〜Ydr40の最小値である黒ピーク値を使用するものとしても良い。あるいは、本実施例では、複数の画像特徴量として白ピーク値WPとAPL値の2つを用いたが、白ピーク値WPとAPL値と黒ピーク値の3つを用いるものとしても良い。その場合、伸張係数LUT210や調光係数LUT510は、3D−LUTとなる。更に多くの画像特徴量を用いるものとしても良い。複数の画像特徴量は、白ピーク値やAPL値や黒ピーク値に限らず、様々に設定可能である。なお、黒ピーク値は、全画素の輝度の最小値であるものとしても良い。
本実施例では、伸張修正LUT230の入出力特性は原点対称であるので、伸張修正LUT230の正の領域のみまたは負の領域のみを記憶しておくものとしても良い。または、理想変化量dWGid(k)が整数である場合の修正変化量dWG(k)のみ記憶しておくものとしても良い。この場合には、理想変化量dWGid(n)が整数ではない場合には、補間計算により修正変化量dWG(n)を求める。
本実施例では、簡単のために伸張修正LUT230を直線L6で示したが、直線である必要はなく、曲線や折れ線など様々に設定可能である。あるいは、通常修正変化量dWGn(n)は理想変化量dWGid(n)と符号が同じで絶対値が小さくなるようにすれば良く、伸張修正LUT230を用いる方法以外にも、様々に導出可能である。例えば、理想変化量dWGid(n)を1より大きい定数で割って、通常修正変化量dWGn(n)を求めるものとしても良い。
本実施例では、通常調光係数Ln(n)に関する通常修正変化量dWLn(n)を通常伸張係数Gn(n)に関する通常修正変化量dWGn(n)とは別に求めているが、互いに絶対値が同じで符号が異なる値を用いるものとしても良い。通常伸張係数Gn(n)と通常調光係数Ln(n)のうち片方が増加するならば片方を同じ量で減少させる関係とすると、画像の見た目の急激な変化を抑制することができるからである。
B.第2実施例:
第2実施例は、第1実施例と、図11のステップS1300における通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)の求め方が異なり、他の構成は第1実施例と同じである。第2実施例の通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)は、以下の(21),(22)式のように、変化量dWGn1(n),dWGs1(n)と修正係数ScaleG(n)を乗算して求める。
dWGn(n)=dWGn1(n)*ScaleG(n) ・・・(21)
dWGs(n)=dWGs1(n)*ScaleG(n) ・・・(22)
図20は、第2実施例における通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。伸張係数計算部210は、まず、第1実施例の図11のフローチャートに示した手順で、通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)を求める。この通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)を、以下では通常変化量dWGn1(n)および黒画面変化量dWGs1(n)と呼ぶ(ステップS1300A)。
伸張係数計算部210は、(21),(22)式から分かるように、修正係数ScaleG(n)を求めれば良い。伸張係数計算部210は、以下の(23)式と(24)式が共に成立する場合は(ステップS1372:YES)、修正係数ScaleG(n)を0とする(ステップS1374)。
Gid(n)=Gid(n−2) ・・・(23)
Gid(n)≠Gid(n−1) ・・・(24)
次に、伸張係数計算部210は、(23)式または(24)式が成立しない場合は(ステップS1372:NO)、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの実伸張係数Gr(n−1)の差である修正量dG(n−1)を(25)式により求める(ステップS1376)。
dG(n−1)=Gid(n−1)−Gr(n−1) ・・・(25)
前フレームの修正量dG(n−1)が閾値ThwG(自然数)以上であり、現フレームの理想変化量dWGid(n)が0より大きい場合は(ステップS1378:YES)、修正係数ScaleG(n)を所定の黒修正係数値ScaleGbkとする(ステップS1380)。一方、前フレームの修正量dG(n−1)が−ThwG以下であり、現フレームの理想変化量dWGid(n)が0より小さい場合は(ステップS1382:YES)、修正係数ScaleG(n)を所定の白修正係数値ScaleGwhとする(ステップS1384)。それ以外の場合は(ステップS1382:NO)、修正係数ScaleG(n)を1とする(ステップS1386)。そして、(21),(22)式により通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)を計算する(ステップS1388)。なお、各修正係数値については、以下の不等式(26)が成立する。
1<ScaleGblack<ScaleGwhite ・・・(26)
図21は、修正係数ScaleG(n)の設定の考え方を示す説明図である。図21の直線L6Aは図15の直線L6と同じものであり、これに直線L9と直線L10が加えられている。直線L9は、修正係数ScaleG(k)が黒修正係数値ScaleGbkである場合の通常修正変化量dWGn(k)に相当する修正変化量dWG(k)を示す直線であり、直線L10は、修正係数ScaleG(k)が白修正係数値ScaleGwhiteである場合の通常修正変化量dWGn(k)に相当する修正変化量dWG(k)を示す直線である。また、直線L6Aは、修正係数ScaleG(k)が1である場合の理想変化量dWGid(k)に相当する修正変化量dWG(k)を示す直線である。直線の関係から、黒修正係数値ScaleGbkを用いるより、白修正係数値ScaleGwhを用いたほうが、修正変化量dWG(k)は理想変化量dWGid(k)に近くなり、(9)式と(10)式から分かるように、通常伸張係数Gn(k)も理想伸張係数Gid(k)に近くなることがわかる。同様に、修正係数ScaleG(k)=1を用いるより、黒修正係数値ScaleGbkを用いたほうが、修正変化量dWG(k)は理想変化量dWGid(k)に近くなり、通常伸張係数Gn(k)も理想伸張係数Gid(k)に近くなることがわかる。なお、修正係数ScaleGbk,ScaleGwhは、修正変化量dWG(k)が理想変化量dWGid(k)を超えないように設定されている。
図22は、通常調光係数Ln(n)の通常修正変化量dWLn(n)と黒画面調光係数Ls(n)の黒画面修正変化量Ls(n)の導出処理の手順を示すフローチャートである。記号の記載には、第1実施例と同様、調光係数に関してはLを用いている。図22のフローチャートは、図20のフローチャートで伸張係数に関するGを調光係数に関するLに置き換えたものに等しく、通常調光係数Ln(n)の通常修正変化量dWLn(n)と黒画面調光係数Ls(n)の黒画面修正変化量dWLs(n)を導出する手順は、通常伸張係数Gn(n)の通常修正変化量dWGn(n)と黒画面伸張係数Gs(n)の黒画面修正変化量dWGs(n)を導出する手順と同じなので、説明を省略する。
第2実施例の動画像表示装置1000によれば、修正係数ScaleG(n),ScaleL(n)を設定することにより、状況に応じて通常修正変化量dWGn(n)および黒画面修正変化量dWGs(n)の大きさを調整し、現フレームの通常伸張係数Gn(n)の前フレーム実伸張係数Gr(n−1)からの変化量および現フレームの黒画面伸張係数Gs(n)の前フレーム実伸張係数Gr(n−1)からの変化量を調整することが可能である。
例えば、図20のステップS1372において、前フレームの修正量dG(n−1)が閾値ThwG以上であるということは、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの実伸張係数Gr(n−1)の差が広がりすぎているということである。ここで、修正量dG(n−1)は、(9)式と(10)式を用いた以下の計算式からも分かるように、理想変化量dWGid(n−1)と通常修正変化量dWGn(n−1)の差であるから、図21に示した範囲dG(n−1)に相当する(但し、修正係数ScaleG(n−1)は1であったものとする)。
dG(n−1)=Gid(n−1)−Gr(n−1)
={dWGid(n−1)+Gr(n−2)}−{dWG(n−1)+Gr(n−2)}
=dWGid(n−1)−dWG(n−1) ・・・(27)
よって、現フレーム(nフレーム目)においては、1より大きい黒修正係数値ScaleGblackを用いて通常修正変化量dWGn(n)を求めることで、修正係数ScaleG(n)=1を用いるより、通常伸張係数Gn(n)を理想伸張係数Gid(n)に近づける。このことは、例えば図21における修正係数ScaleG(n)=1を用いる場合の座標C1から黒修正係数値ScaleGbkを用いる場合の座標D1への変化に相当する。なお、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)と前フレームの実伸張係数Gr(n−1)の差が広がりすぎているということは、前フレームの理想伸張係数Gid(n−1)が非常に大きくなっているということを意味しており、輝度範囲伸張処理前の画像が非常に暗くなっているということを意味している。ここでは、理想伸張係数Gid(n)に近づけた通常伸張係数Gn(n)により輝度範囲伸張処理をすることで、画像を明るくすることができる。
一方、図20のステップS1382の条件は、ステップS1378の条件と逆の関係であり、以下の不等式(28)が成立するということであるから、理想伸張係数Gid(n−1)が非常に小さくなっているということを意味している。つまり、画像が非常に明るくなっているということを意味している。
Gr(n−1)−Gid(n−1)≧ThwG ・・・(28)
よって、白とびを防ぐために、ステップS1378,S1382の画像が非常に暗くなっている場合よりも、更に通常伸張係数Gn(n)を理想伸張係数Gid(n)に近づけることが望ましい。本実施例によれば、ステップS1382,S1384で黒修正係数値ScaleGbkより更に大きい白修正係数値ScaleGwhを用いて通常修正変化量dWGn(n)を計算するので、通常伸張係数Gn(n)をより理想伸張係数Gid(n)に近づけることができ、白とびを防ぐことができる。このことは、例えば図21における修正係数ScaleG(n)=1を用いる場合の座標C2から白修正係数値ScaleGwhを用いる場合の座標D2への変化に相当する。
また、伸張係数計算部210は、理想変化量dWGid(n)が負の値である場合は、理想変化量dWGid(n)が絶対値の同じ正の値である場合より、通常修正変化量dWGn(n)の絶対値が大きくなるように、通常伸張係数Gn(n)を求めている。
なお、本実施例では、修正係数ScaleG(n)を用いて通常修正変化量dWGn(n)の絶対値の大きさを調整しているが、これに限らず、例えば、理想変化量dWGid(n)を各々ステップS1380,S1384,S1386のケースに適した1より大きい定数で割って、通常修正変化量dWGn(n)を求めるものとしても良い。
ステップS1374において、n−2フレーム目の理想伸張係数Gid(n−2)とnフレーム目の理想伸張係数Gid(n)が等しく、これらがn−1フレーム目の理想伸張係数Gid(n−1)と等しくないときは、これらの理想伸張係数Gid(n−2),Gid(n−1),Gid(n)に関する理想変化量dWGid(n−2),dWGid(n−1),dWGid(n)の値は、それぞれ例えば図21の座標E1,E2,E3における値に相当する。つまり、理想伸張係数Gid(k)が振動しているということである。このような場合に、現フレームの理想伸張係数Gid(n)に基づいて、その通常伸張係数Gn(n)を決定するとちらつきが発生する可能性がある。そこで、本実施例では、この場合はステップS1374で修正係数ScaleG(n)を0として、現フレームの通常伸張係数Gn(n)を前フレーム実伸張係数Gr(n−1)と同じ値にすることで、ちらつきの発生を抑制している。
なお、ステップS1374の処理は省略することも可能である。
ステップS1372,S1378,S1382のいずれの条件にも該当しない場合は、修正係数ScaleG(n)を1とすることで、第1実施例と同様の効果が得られる。
第2実施例では、通常調光係数Ln(n)に関する修正係数ScaleL(n)を修正係数ScaleG(n)とは別に求めているが、修正係数ScaleG(n)と修正係数ScaleL(n)は同じ値を用いるものとしても良い。また、黒修正係数値ScaleGbkと白修正係数値ScaleGwhも、同じ値を用いるものとしても良い。
C.その他の実施例:
(1)上記各実施例では、輝度範囲伸張処理と調光制御を共に行なうものとしたが、どちらか一方のみを行なうものとしても良い。
(2)本発明の動画像表示装置1000は、プロジェクタの他にも液晶テレビなど種々の動画像表示装置に適用可能である。調光制御を行なわずに輝度範囲伸張処理のみを行なう場合は、光源装置710を備える必要もない。
(3)シーンチェンジの判定は、上記実施例で示した方法に限らず、種々の方法で行なうことが可能である。例えば、フレーム間での画像特徴量の変動が大きい場合にシーンチェンジであると判定するものとしても良い。
以上、実施例に基づき本発明に係る動画像表示装置、動画像表示方法、動画像表示装置および動画像表示方法の機能を実現させるためのプログラムを説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
1000…動画像表示装置
100…画像特徴量算出部
110…輝度ヒストグラム
200…伸張係数導出部
210…伸張係数計算部
220…伸張係数ルックアップテーブル(LUT)
230…伸張修正ルックアップテーブル(LUT)
240…伸張係数セレクト部
250…伸張係数出力モード判定部
260…ヒストグラム解析部
270…画面変化検出部
280…モード判定実行部
300…輝度範囲伸張処理部
400…ライトバルブ
500…調光係数導出部
510…調光係数計算部
540…調光係数セレクト部
550…調光係数出力モード判定部
560…ヒストグラム解析部
570…画面変化検出部
580…モード判定実行部
600…調光制御部
700…調光素子
710…光源装置
800…投写光学系
900…スクリーン

Claims (5)

  1. 動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示装置であって、
    前記動画像データの1フレームの画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理に使用する伸張係数を、前記動画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記画像データの前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する伸張係数導出部と、
    前記伸張係数導出部が出力した伸張係数に基づいて、前記輝度範囲伸張処理を前記画像データに施す輝度範囲伸張処理部と、
    前記動画像データに基づいて、現フレームの画面状態が黒画面状態へ変化したことを検出する検出部と、
    を備え、
    前記伸張係数導出部は、前記黒画面状態への変化が検出されない場合は第1の現フレーム修正伸張係数を出力するとともに、前記黒画面状態への変化が検出された場合は第2の現フレーム修正伸張係数を出力し、
    前記第1の現フレーム修正伸張係数は、前記画像データの輝度に応じた理想伸張係数と、前記輝度範囲伸張処理部において前フレームの輝度範囲伸張処理に使用された伸張係数である前フレーム実伸張係数と、の差で表される理想伸張係数差に基づいて決定される前記理想伸張係数差よりも小さな第1の修正伸張係数差を、前フレーム実伸張係数に加算することにより求められる伸張係数であり、
    前記第2の現フレーム修正伸張係数は、前記理想伸張係数差に基づいて決定される前記第1の修正伸張係数差よりも小さな第2の修正伸張係数差を、前フレーム実伸張係数に加算することにより求められる伸張係数である、
    動画像表示装置。
  2. 請求項1記載の動画像表示装置であって、
    前記伸張係数導出部は、前記黒画面状態が検出された後は、前記画像データの表す画像が明るくなる方向に変化するまで前記第2の現フレーム修正伸張係数を出力し、前記画像データの表す画像が明るくなる方向に変化した後は、前記第1の現フレーム修正伸張係数を出力する、
    動画像表示装置。
  3. 請求項1記載の動画像表示装置であって、
    前記検出部は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値、又は前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値に基づいて前記黒画面状態への変化を検出する、
    動画像表示装置。
  4. 請求項1記載の動画像表示装置であって、
    前記画像特徴量は、前記画像データの輝度の最大値である白ピーク値、及び前記画像データの輝度の平均レベルである平均レベル値であって、
    前記伸張係数導出部は、前記白ピーク値及び前記平均レベル値を用いて前記理想伸張係数を導出する、
    動画像表示装置。
  5. 動画像データに基づいて動画像を表示する動画像表示方法であって、
    (a)前記動画像データの1フレームの画像データの輝度の範囲を広げる輝度範囲伸張処理に使用する伸張係数を、前記動画像データの輝度に関する画像特徴量に基づいて、前記動画像データの1フレーム毎に導出し、出力する工程と、
    (b)前記出力する工程で出力した伸張係数に基づいて、前記輝度範囲伸張処理を前記画像データに施す工程と、
    (c)前記動画像データに基づいて、現フレームの画面状態が黒画面状態へ変化したことを検出する工程と、
    を備え、
    前記工程(a)では、前記黒画面状態への変化が検出されない場合は、第1の現フレーム修正伸張係数を求め、求めた前記第1の現フレーム修正伸張係数を出力するとともに、
    前記黒画面状態が検出された場合は、第2の現フレーム修正伸張係数を求め、求めた前記第2の現フレーム修正伸張係数を出力し、
    前記第1の現フレーム修正伸張係数は、前記画像データの輝度に応じた理想伸張係数と、前記工程(b)において前フレームの輝度範囲伸張処理に使用された伸張係数である前フレーム実伸張係数と、の差で表される理想伸張係数差に基づいて決定される前記理想伸張係数差よりも小さな第1の修正伸張係数差を、前フレーム実伸張係数に加算することにより求められる伸張係数であり、
    前記第2の現フレーム修正伸張係数は、前記理想伸張係数差に基づいて決定される前記第1の修正伸張係数差よりも小さな第2の修正伸張係数差を、前フレーム実伸張係数に加算することにより求められる伸張係数である、
    動画像表示方法。
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