JP5201665B2 - 大入熱溶接時の熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力厚鋼板 - Google Patents

大入熱溶接時の熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力厚鋼板 Download PDF

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本発明は、造船、建築等の分野において構造材として用いられ、大入熱溶接における、溶接熱影響部(以下、「HAZ」と呼称する。)の靭性に優れた、溶接用高張力厚鋼板に関するものである。
一般に、造船、建築等の分野において構造材として用いられる鋼材は、溶接によって必要な形状に接合される。そのため、これらの鋼材は、母材靭性に加えて、優れたHAZ靭性を有することが必須とされる。
近年、建築、造船分野における溶接構造物の大型化に伴い、板厚50mm以上の厚鋼板の適用範囲が拡大しつつあり、溶接施工効率向上および施工コスト低減を目的として、大入熱溶接が求められている。大入熱溶接においては、HAZは加熱によって高温のオーステナイト域に保持された後に徐冷されるため、加熱時のオーステナイト粒の成長、徐冷時におけるオーステナイト粒界からの粗大粒界フェライトの生成といった、組織の粗大化に伴う靭性の劣化が生じやすい。このため、大入熱溶接においては特にHAZの靭性(以下、「HAZ靭性」と呼称する。)を高い水準に保つ技術が必要とされている。
HAZ靭性を確保するために用いられる技術は、酸化物、硫化物、あるいは窒化物といった介在物を利用したγ粒粗大化抑制技術、および粒内α変態促進技術に大別される。すなわち、前者は、介在物のピン止め効果により、溶接による高温加熱時のγ粒粗大化を抑制し、微細組織を得る技術であり、後者は、溶接終了後の冷却過程において、介在物を起点とした粒内α変態を促進し、微細組織を得る技術である。
γ粒粗大化抑制によるHAZ靭性改善を意図した技術として、例えば、特開2005−206910号公報(特許文献1)には、REM、Mn含有酸硫化物によりγ粒の粗大化を抑制し、高いHAZ靭性を得る技術が示されている。また、特開2003−286540号公報(特許文献2)には、REMを適切に制御することでMn酸硫化物を微細に分散させ、γ粒粗大化を抑制する技術が提示されている。また、特開2007−100213号公報(特許文献3)には、REM、Zrを含む酸化物を用いたγ粒粗大化抑制により、高いHAZ靭性を得る技術が提案されている。さらに、特開2007−46096号公報(特許文献4)には、Ca酸化物によるγ粒粗大化抑制、REM、Zrによる硫化物制御によりHAZ靭性を改善する技術が提示されている。
また、粒内α変態促進によるHAZ靭性改善を意図した技術として、例えば、特開昭61−253344号公報(特許文献5)には、TiNなどに複合析出したBNをα変態の核として利用し、HAZ靭性を改善させる技術が示されている。また、特開平7−252586号公報(特許文献6)には、TiおよびREMの複合酸化物上にMnSを析出させ、粒内α変態の起点として作用させることで、高いHAZ靭性を得る技術が提示されている。
さらに、γ粒粗大化抑制および粒内α変態促進の両者を利用した組織微細化技術として、例えば、特開平11−279684号公報(特許文献7)には、酸化物を起点としたTiNによりγ粒の粗大化を抑制し、Ti、MgおよびAlを含有する酸化物を起点とした粒内α変態の促進により、組織微細化を達成し、HAZ靭性を改善する技術が提案されている。また、特開2001−20031号公報(特許文献8)には、組成を適切に制御したTi−REM−Ca−Al系酸化物、およびTiNを利用した技術が提示されている。また、特許3733898号公報(特許文献9)には、TiNによりγ粒の粗大化を抑制し、MnSによる粒内α変態の促進を利用した技術が示されている。さらに、特開2003−321728号公報(特許文献10)には、Mg酸化物を内包するTiNによるγ粒粗大化抑制、MnCaSによる粒内α変態促進を組み合わせ、高いHAZ靭性を得る技術が提案されている。
特開2005−206910号公報 特開2003−286540号公報 特開2007−100213号公報 特開2007−46096号公報 特開昭61−253344号公報 特開平7−252586号公報 特開平11−279684号公報 特開2001−20031号公報 特許3733898号公報 特開2003−321728号公報
しかしながら、従来、HAZ靭性確保手段として主に用いられてきたTiNに対し、近年の溶接入熱の増大は、溶接時のTiN粒子の消失や粗大化をもたらし、十分な組織微細化を困難なものとしている。また、TiNに比べ高温で安定な酸化物あるいは硫化物といった介在物を利用した、γ粒粗大化抑制、粒内α変態促進による組織微細化技術については、γ粒粗大化抑制および粒内α変態促進に同時に寄与する酸硫化物を分散させることが困難である。さらに、粒内α変態促進に有効な酸硫化物として、α相と良好な格子整合性を有する酸硫化物などが提案されているものの、格子整合性のみに着目した場合、得られるHAZ靭性は限定されたものとなる。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、高温で不安定なTiNを用いることなく、γ粒粗大化抑制および粒内α変態促進を同時に達成して、優れたHAZ靭性を有する溶接用高張力厚鋼板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を達成するために、高温で安定な酸化物、硫化物、あるいは酸硫化物を利用したγ粒粗大化抑制、粒内α変態促進効果を相乗的に作用させることで、優れたHAZ靭性を得る手段について実験、検討を行った。その結果、鋳造から圧延前の再加熱にかけてのプロセスを制御することで、円相当径で2μm未満の小さい酸化物を高密度で分散させることにより、γ粒粗大化を有効に抑制することができ、さらに円相当径で2μm以上の特定組成の酸硫化物を適切に分散させることにより、粒内α変態も同時に大幅に促進されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の大入熱時のHAZ靭性に優れた溶接用高張力厚鋼板は、化学組成が質量%(以下、「質量%」は単に「%」と表記することがある。)で、
C :0.02〜0.12%、
Si:0.40%以下(0%を含む)、
Mn:1.0〜2.0%、
P :0.030%以下(0%を含む)、
S :0.001〜0.025%、
Al:0.050%以下(0%を含む)、
Ti:0.005〜0.100%、
REM:0.0001〜0.0500%、
Zr:0.0001〜0.0500%、
N :0.0020〜0.0300%、
O :0.0005〜0.0100%
Ca:0.0003〜0.0100%を含有し、
残部がFeおよび不可避的な不純物からなり、円相当径で2μm未満の酸化物が分散して500個/mm2 以上含有され、円相当径で2μm以上の酸硫化物が分散して40〜1000個/cm2 含有される。そして、前記円相当径で2μm未満の酸化物の内、酸素を除いて酸化物を構成する元素の割合が質量%でTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%である酸化物が300個/mm 2 以上とされ、前記円相当径で2μm以上の酸硫化物を形成するREM、Zr、Ca、Mn、Mg、Al、Siの所定酸化物をそれぞれREM23、ZrO2 、CaO、MnO、MgO、Al23、SiO2 とし、前記酸硫化物を形成する元素の内のある元素の平均濃度に(当該元素の所定酸化物の分子量/当該元素の原子量)を掛けて算出した値を当該元素の酸化物換算値というとき、前記酸硫化物を形成する前記各元素の平均濃度(質量%)に基づいて算出した前記各元素の酸化物換算値と酸硫化物中のSの平均濃度の合計値に対するREMの酸化物換算値、Mnの酸化物換算値およびS濃度の割合がそれぞれ、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%とされたものである。なお、本発明において、酸化物とは酸素を含む介在物の総称を意味し、酸素に加えて硫黄を含む酸硫化物もその範疇に含まれる。また、円相当径とは、組織観察面に現れた介在物粒子の断面の面積に相当する円を想定したとき、その相当円の直径を意味する。
また、上記基本成分にA群(Ni:0.05〜1.50%、Cu:0.05〜1.50%、Cr:0.05〜1.50%、Mo:0.05〜1.50%)、B群(Nb:0.002〜0.10%、V:0.002〜0.10%)、B:0.0010〜0.0050%の内、1種以上の元素を添加して下記(1) から(3) の化学組成とすることができる。
(1) 基本成分+A群から1種以上
(2) 基本成分又は上記(1) の成分+群から1種以上
(3) 基本成分、上記(1) 又は上記(2) の成分+
本発明の溶接用高張力厚鋼板によると、所定の鋼組成の下、鋼中に円相当径で2μm未満の小さな酸化物が分散して500個/mm2 以上含有し、REM、Mnの酸化物換算値およびS濃度の割合が、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%の酸硫化物であって、円相当径で2μm以上の酸硫化物が鋼中に分散して40〜1000個/cm2 含有するので、2μm 未満の小さな酸化物の分散によるγ粒の粗大化抑制と、所定組成の2μm 以上の酸硫化物の分散による粒内α変態の促進との協働により組織微細化が促進され、さらに、円相当径で2μm未満の酸化物の内、酸素を除いて酸化物を構成する元素の割合が質量%でTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%である酸化物が300個/mm 2 以上とされるので、γ粒の粗大化抑制効果のみならず粒内α変態促進効果をも奏するようになるため、大入熱溶接に対しても優れたHAZ靭性を備えたものとなる。
以下に、本発明の溶接用高張力厚鋼板について、γ粒の粗大化抑制に寄与する鋼中の酸化物のサイズと分布密度、粒内α変態の促進に寄与する酸硫化物の組成、サイズおよび分布密度、並びに鋼組成について順次説明する。
一般に、γ粒粗大化抑制には、比較的微細な介在物粒子の高密度分散が有効であり、粒子サイズが大きくなるにつれて、γ粒粗大化は十分抑制されなくなる。そこで、本発明者らは、γ粒粗大化抑制に有効な介在物粒子サイズを実験によって検討したところ、円相当径にして2μmより小さい酸化物を、500個/mm2 以上、好ましくは800個/mm2 以上分散させることで、γ粒粗大化が抑制されることを見出した。円相当径にして2μmより小さい酸化物が500個/mm2 より少ないと、γ粒粗大化が十分に抑制されなくなる。
ところで、化学組成として所定量のCaを含有させると、円相当径が2μm 未満の酸化物(以下、「微細酸化物」という場合がある。)にも不可避的にCaが含有されるようになる。このようなCa含有微細酸化物は、単にγ粒の粗大化抑制効果だけでなく、粒内α変態促進効果をも奏するようになり、HAZ靭性をより向上させることができる。特に、前記Ca含有微細酸化物を構成する元素(但し、酸素を除く。)の割合を質量%でTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%に制御することにより、粒内α変態促進効果がより促進され、さらにかかる組成比のCa含有微細酸化物を300個/mm2 以上、好ましくは350個/mm2 以上鋼中に存在させることにより、優れた粒内α変態促進効果が得られ、さらにHAZ靭性を向上させることができる。
鋼材にCaを添加し、あるいはさらに酸化物を構成する元素の割合を上記のように適切に制御することで、Ca含有微細酸化物に粒内α変態促進効果が付与されるメカニズムについて必ずしも明らかではないが、次のように推測される。すなわち、Ca非添加時に、微細酸化物の主体となるREM酸化物は、α相との界面エネルギーが高く、粒内α変態促進効果が低いのに対し、Caを添加し、微細酸化物にCaを含ませ、あるいはさらにCa含有微細酸化物を構成する元素の割合を上記のように調整することで、界面エネルギーが低下し、粒内α変態促進効果が高まり、さらに、このような組成のCa含有微細酸化物を所定個数密度以上生成させることにより、前記効果がより有効に発現するようになるものと考えられる。
また、粒内α変態を促進する因子として、本発明者らは、酸硫化物とγ相との熱膨張差により、酸硫化物周囲のγ相に導入される熱膨張歪に着目し、酸硫化物サイズが円相当径にして2μm以上の時、これら熱膨張歪が十分に導入されることで、歪誘起の粒内α変態が促進されることを見出した。さらに、これら酸硫化物の組成を以下のとおり制御することで、α相と良好な格子整合性を有するREM硫化物が、酸硫化物表面に形成され、REM硫化物とα相との良好な格子整合性による粒内α変態促進効果が、歪導入による効果と相乗的に作用することで、粒内α変態が大幅に促進されることを見出した。
まず、鋼中の酸硫化物の組成を説明するに際し、その表現方法について説明する。本発明においては、鋼中の酸硫化物組成を直感的に捉えやすいよう、酸硫化物を構成するREM、Zr、Ca、Mn、Mg、Al、Siの各元素について、REM23、ZrO2 、CaO、MnO、MgO、Al23、SiO2 をそれらの元素の所定酸化物とし、EPMAで測定される酸硫化物中の前記各元素の平均濃度に(当該元素の所定酸化物の分子量/当該元素の原子量)を掛け、それぞれの元素の酸化物換算値を算出したうえで、上記7元素の酸化物換算値および酸硫化物中のS濃度の合計値に対する、REMの酸化物換算値、Mnの酸化物換算値およびS濃度の割合により、酸硫化物組成を表現した。なお、Mgは不可避不純物として存在するものである。また、鋼中の酸硫化物を構成する主要元素として、上記元素の他にTiが挙げられるが、Tiは窒化物としても存在し得るため、EPMA測定に際し酸硫化物を構成するもののみを検出することは困難である。よって、酸化物換算値の算出に際し、Tiを計算より除外した。
上記表現による酸硫化物の組成の一例を示す。EPMA測定により得られた酸硫化物中の平均濃度(質量%)が、Ce=17.1%、La=7.9%、Zr=8.0%、Ca=0.1%、Mn=7.6%、Mg=0.2%、Al=3.5%、Si=2.7%、S=5.9%のとき、CeのCe23に基づく酸化物換算値は、(17.1×Ce23の分子量/Ceの原子量)=20.1であり、同様に、各元素の酸化物換算値は、Laの酸化物換算値=9.3、Zrの酸化物換算値=10.8、Caの酸化物換算値=0.2、Mnの酸化物換算値=9.8、Mgの酸化物換算値=0.3、Alの酸化物換算値=6.6、Siの酸化物換算値=5.9と算出される。これら酸化物換算値とS濃度との合計68.9より、例えばREM(CeとLaの合計)の酸化物換算値の割合は、REM(CeとLaの合計)の酸化物換算値=42.6%と算出される。
円相当径にして2μm以上の酸硫化物について、その組成を構成するREM、MnおよびSについて、REM23およびMnOについてのREM、Mnの酸化物換算値およびS濃度の割合を、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%に保つことで、α相と良好な格子整合性を有するREM硫化物が、酸硫化物表面に形成され、REM硫化物とα相との良好な格子整合性による粒内α変態促進効果と、歪導入による効果とが相乗的に作用し、粒内α変態が大幅に促進される。酸硫化物中のREMあるいはMnの各酸化物換算値、あるいはS濃度の割合が、前記の範囲を逸脱すると、α相と良好な格子整合性を有するREM硫化物が、酸硫化物表面に適切な形態で形成されず、粒内α変態促進効果が低下する。REM、Mnの各酸化物換算値およびSの好ましい割合は、REMの酸化物換算値:15%以上、Mnの酸化物換算値:15%以下、S:5〜15%である。
また、上記酸硫化物の円相当径が2μmより小さいと、酸硫化物の周囲のγ相に、十分な歪が導入されず、やはり粒内α変態促進効果が低下する。これら酸硫化物の粒内α変態促進によるHAZ靭性改善効果を十分に得るためには、これら酸硫化物を40〜1000個/cm2 、好ましくは50〜800個/cm2 の密度で分散させる必要がある。該酸硫化物個数が40個/cm2 を下回ると、十分な粒内α変態が得られず、HAZ靭性向上につながらない。また、1000個/cm2 を上回ると、脆性破壊を助長するようになり、HAZ靭性に悪影響をもたらす。
次に、本発明の厚鋼板の化学組成およびその成分限定理由を説明する。単位は質量%である。
C:0.02〜0.12%
Cは、鋼材の強度確保に必須の元素であり、含有量が0.02%より少ないと必要な強度が得られないため、下限を0.02%とした。また、含有量が0.12%を超えると、硬質MA組織(マルテンサイト及びオーステナイトの混合組織)の増加による靭性低下を招くため、上限を0.12%とした。好ましい下限は0.04%、好ましい上限は0.10%である。
Si:0.40%以下(0%を含む)
Siは、固溶強化により、鋼材の強度を確保する元素であり、含有量が0.40%より多いと、硬質MA組織の増加によりHAZ靭性低下を招くため、上限を0.40%とした。好ましくは0.35%以下(0%を含む)である。
Mn:1.0〜2.0%
Mnは、強度確保に必須の元素であり、1.0%より少ないと必要な強度が得られないため、下限を1.0%とした。また、含有量が2.0%を超えると、HAZ強度の過大な上昇を招いてHAZ靭性の低下の原因となるため、上限を2.0%とした。好ましい下限は1.4%、好ましい上限は1.8%である。
P:0.030%以下(0%を含む)
Pは、粒界偏析によって粒界破壊の原因となる不純物元素であり、含有量が0.030%を超えると、HAZ靭性の低下を招くため、上限を0.030%とした。好ましくは0.02%以下(0%を含む)である。
S:0.001〜0.025%
Sは、REM硫化物の生成に必須の元素であり、含有量が0.001%より少ないと、十分なREM硫化物が得られないため、下限を0.001%とした。また、含有量が0.025%を超えると、REM量にかかわらず固溶Sの粒界偏析により靭性が低下するため、上限を0.025%とした。好ましい下限は0.002%、好ましい上限は0.020%である。
Al:0.050%以下(0%を含む)
Alは、鋳造時の脱酸に用いられる元素であり、含有量が0.050%を超えると、粗大酸化物を形成してHAZ靭性の低下を招くため、上限を0.050%とした。好ましくは0.040%以下である。
Ti:0.005〜0.100%
Tiは、後述するように、REM、Zrに先立ち添加されることで微細酸化物の形成に寄与する元素であり、含有量が0.005%より少ないと、十分な効果が得られないため、下限を0.005%とした。また、含有量が0.100%を超えると、酸化物の粗大化によりHAZ靭性の低下を招くため、上限を0.100%とした。好ましい下限は0.010%、好ましい上限は0.080%である。
REM(希土類元素):0.0001〜0.0500%
REMは、REM硫化物の生成に必須の元素であり、含有量が0.0001%より少ないと、REM硫化物が十分に生成しないため、下限を0.0001%とした。また、含有量が0.0500%を超えると、固溶REMの粒界偏析によりHAZ靭性の低下を招くため、上限を0.0500%とした。好ましい下限は0.0005%、好ましい上限は0.0400%である。
Zr:0.0001〜0.0500%
Zrは、鋳造時において、Ti添加の後に添加されることで、円相当径で2μmより小さい微細酸化物形成に寄与する元素であり、含有量が0.0001%より少ないと、その効果が十分に得られなくなるため、下限を0.0001%とした。また、含有量が0.0500%より多いと、粗大酸化物、あるいは析出強化をもたらす微細な炭化物を形成して靭性低下を招くため、上限を0.0500%とした。好ましい下限は0.0005%、好ましい上限は0.0400%である。
N:0.0020〜0.0300%
Nは、Ti窒化物を形成して靭性向上をもたらす元素であり、含有量が0.0020%より少ないと、十分な効果が得られないため、下限を0.0020%とした。また、含有量が0.0300%を超えると、固溶Nとして歪時効による靭性低下をもたらすため、上限を0.0300%とした。好ましい下限は0.0030%、好ましい上限は0.0250%である。
O:0.0005〜0.0100%
Oは、酸化物の生成に必須の元素であり、含有量が0.0005%より少ないと、十分な量の酸化物が得られないため、下限を0.0005%とした。また、含有量が0.0100%を超えると、酸化物の粗大化によりHAZ靭性の低下を招くため、上限を0.0100%とした。好ましい下限は0.0010%、好ましい上限は0.0080%である。
さらに、基本成分として上記成分のほか、Ca:0.0003〜0.0100%が含まれる。さらにまた、鋼材の機械的性質をより向上させるため、上記基本成分にA群(Ni:0.05〜1.50%、Cu:0.05〜1.50%、Cr:0.05〜1.50%、Mo:0.05〜1.50%)、B群(Nb:0.002〜0.10%、V:0.002〜0.10%)、B:0.0010〜0.0050%の1種以上を添加して下記(1) から(3) の化学組成(残部はFeおよび不可避的不純物)とすることができる。
(1) 基本成分+A群から1種以上
(2) 基本成分又は上記(1) の成分+群から1種以上
(3) 基本成分、上記(1) 又は上記(2) の成分+
Caは、円相当径にして2μmより小さい酸化物に対し、粒内α変態促進効果向上に有効な元素であり、含有量が0.0003%より少ないと、その効果が十分に得られないため、下限を0.0003%とした。また、含有量が0.0100%を超えると、酸化物の粗大化によりHAZ靭性の低下を招くため、上限を0.0100%とした。好ましい下限は0.0010%、好ましい上限は0.0080%である。
Ni、Cu、Cr、Moは、いずれも鋼材の高強度化に有効な元素であり、それぞれ、含有量が0.05%より少ないと、その効果が十分に得られないため、下限を0.05%とした。また、それぞれ、含有量が1.50%を超えると、強度の過大な上昇を招いて、靭性の低下をもたらすため、上限を1.50%とした。好ましくは、下限が0.20%で、上限が1.20%である。
Nb、Vは、いずれも炭窒化物として析出することで、オーステナイト粒粗大化を抑制する元素であり、それぞれ、含有量が0.002%より少ないと、その効果が十分に得られないため、下限を0.002%とした。また、それぞれ、含有量が0.10%を超えると、粗大炭窒化物として靭性低下を招くため、上限を0.10%とした。好ましくは、下限が0.005%で、上限が0.08%である。
Bは、粒界フェライト生成を抑制することで、靭性を向上させる元素であり、含有量が0.0010%より少ないと、その効果が十分に得られないため、下限を0.0010%とする。また、含有量が0.0050%より多いと、BNとしてオーステナイト粒界に析出し、靭性の低下を招くため、上限を0.0050%とする。好ましくは、下限が0.0015%で、上限が0.0040%である。
次に、本発明の溶接用高張力厚鋼板の製造について説明する。この製造において、上記円相当径が2μm 未満の微細酸化物、2μm 以上の酸硫化物の分散組織を形成するには、鋳造から圧延前の再加熱にかけての製造条件が重要である。
上記微細酸化物、酸硫化物の分散を得るためには、まず、本発明厚鋼板の鋼組成からTi、REM、Zr、Ca、Oを除く他の成分がほぼ上記鋼組成になるようにベース鋼を溶製し、Mn添加後のベース鋼に対して、脱酸元素であるSi、Al等を添加することで、Ti添加前の溶存酸素量を0.0020〜0.0100質量%に制御する。そして、Ti添加前の溶存酸素量、S量を基に、下式から求まるZ値を0.58以上となるよう、REMおよびZr添加量を決定したうえで、Tiを添加した後に、REM、Zrを添加し、Caを添加する場合はTi添加後にREM、Zr添加し、さらにその後にCaを添加して本発明に係る所定組成の鋼を溶製し、鋳造する。
Z=(3.5×[REM]−0.7×[O]+2.6×[Zr]+0.3)/([S]+0.5)
なお、[O]、[S]はそれぞれTi添加前の溶存O量、S量(共に質量%)であり、[REM]、[Zr]はそれぞれREM、Zrの添加量(質量%)である。
Ti添加前の溶存酸素量が0.0020%より少ないと、円相当径で2μmより小さい酸化物が十分に確保できない。また、同溶存酸素量が0.0100%より多い、あるいは、Tiに先立ちREMまたはZrを添加すると、粗大酸化物が形成され、やはり円相当径で2μmより小さい酸化物が十分に得られない。Z値は、REM硫化物形成に寄与するREM、S量を考慮した値であり、Z値が0.58より小さいと、REMに対するSの割合が高くなりすぎるため、固溶Sが生じて靭性の劣化をもたらす。なお、Z値の計算式中の各元素量の係数は実験的に決定した。
Caを添加する場合、円相当径で2μm 未満のCa含有微細酸化物であって、その構成元素(但し、酸素を除く。)の割合をTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%に制御すると共にかかる組成のCa含有微細酸化物を鋼中に300個/mm2 以上分散させるには、下記(1) および(2) の制御を行う必要がある。なお、上記構成元素割合の組成を有するCa含有微細酸化物は、下記(1) および(2) の制御を行わなくても、Ti添加後にCaを添加することで鋼中に一定数生成するが、下記(1) 、(2) の制御を行うことで所定構成元素割合のCa含有微細酸化物の個数を300個/mm2 以上に増やすことができ、粒内α変態促進効果を著しく向上させることができるようになる。
(1) Ti添加後にREM、Zr添加し、さらにその後にCaを添加する。
(2) Ca添加から鋳込み開始までの時間t(min )を下記式によって定まる最小鋳込み時間(許容下限値)tm(min )の経過後(tm<t)に鋳込む。式中の[Ca]、[REM]はそれぞれ質量%で表されるCa、REMの添加量である。
tm=8−1.8×[Ca]/([REM]+0.01)
上記(1) のようにCa添加タイミングを制御する理由は以下のとおりである。Caは酸化物生成能が高いため、Ti、REM、Zrに先立ちCaを添加すると、微細酸化物の主体がCa酸化物となり、構成元素割合がTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%の範囲内の組成を有する、高い粒内α変態能を示すCa含有微細酸化物が規定個数(300個/mm2 )を満たさないようになる。このため、CaはREM、Zrの後に添加する必要がある。
また、上記(2) のようにCa添加から鋳込み開始までの時間を制御する理由は以下のとおりである。tmは、微細酸化物へのCa溶け込み時間を制御するためのパラメータである。Caを最後に添加しても、微細酸化物の組成が規定範囲に達するためには、微細酸化物にCaが溶け込む時間が必要である。この微細酸化物へのCa溶け込み時間を確保するために、Ca添加から鋳込み開始までの時間を制御することが必要になる。Caの溶け込み時間に対しては、Caに次いで酸化物生成能の高いREMが大きな影響を与えるため、Ca添加量に対してREM添加量が多いほど、Ca溶け込みに必要な時間が長くなる。このため、tmを規定する式で示されるとおり、Ca添加量が少ない、あるいはREM添加量が多いほどtmは大きい値を取る。REM添加量が極めて少ない場合でもCa溶け込みにはある程度時間が必要であるため、tm式の分母にはREM添加量に0.01の定数項が加算されている。なお、tmの計算式中の各元素量の係数は実験的に決定したものである。
鋳造後の溶鋼の冷却については、凝固が進行する1450〜1500℃の冷却時間を60〜300sに制御し、加えて、圧延前の再加熱において、最高加熱温度1050〜1200℃の間に保ち、かつ、加熱開始から圧延開始までの時間を2hr以上とする。
鋳造時の1450〜1500℃の冷却時間が60sより短いと、酸硫化物表面に十分な量のREM硫化物が形成されず、必要な粒内α変態が得られない。また、同冷却時間が300sを超えると、酸化物の粗大化を招き、靭性低下の原因となる。さらに、圧延前の再加熱において、最高加熱温度が1050℃より低い、あるいは加熱開始から圧延開始までの時間が2hrより短いと、REM硫化物が十分に成長せず、必要な粒内α変態が得られない。一方、最高加熱温度が1200℃を超えると、REM硫化物の生成量が十分に確保できなくなり、必要な粒内α変態が得られないようになる。
上記の条件により冷却し、再加熱した鋳造片は、通常の低炭素鋼の熱間圧延に従って、圧延開始温度を1100〜900℃程度、圧延終了温度を950〜750℃程度とし、圧延を終了する。圧延終了後、例えば2〜15℃/s程度の冷却速度にて、室温〜500℃程度の間の冷却停止温度まで冷却すればよい。冷却終了後、さらにテンパー処理を施してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定的に解釈されるものではない。
真空溶解炉(150kg)を用い、Mnを添加後の溶鋼にSi等を添加して溶存酸素量を制御し、Z値を考慮しつつ、REM、Zr添加量を決定のうえ、一部のもの(表2の鋼No.36)を除いて、Tiを添加した後、REM、Zrを添加し、さらにCaを添加するものについては、一部のもの(表1の鋼No.12)を除いて、REM、Zr添加の後にCaを添加して表1および表2の鋼を溶製した。鋼No.12についてはREM、Zr添加に先立ちCaを添加した。Caを添加したものについては、Ca添加から鋳込み開始までの時間t(min)を制御しつつ、これらの溶鋼を鋳造して1450〜1500℃の冷却時間t1(s)を変化させて凝固させた。このようにして鋳造したスラブを、圧延前の再加熱における最高加熱温度Tm(℃)、加熱開始から圧延開始までの時間t2(hr)を変化させて加熱し、スラブを加熱した後引き続いて圧延開始温度を950℃程度、最終圧延温度を880℃程度として熱間圧延を施し、圧延終了後、冷却速度約5℃/sで水冷し、厚さ80mmの厚鋼板を製造した。製造過程における、Ti添加前の溶存酸素量[O](%)、Z値、t(min)、前記tの制御基準となる最小鋳込み時間(許容下限値)tm、t1(s)、Tm(℃)、t2(hr)の各値を表3、表4に示す。
得られた各厚鋼板のt(板厚)/4位置から試験片を切り出し、圧延方向および板厚方向に平行な断面(圧延面に垂直で圧延方向に沿った断面)を、電界放射式走査型電子顕微鏡(装置名:SUPRA 35、Carl Zeiss社製)(以下、FE−SEMと呼称する)を用いて観察し、円相当径で2μm未満の酸化物の個数密度を以下の要領で測定した。
まず、FE−SEMの観察倍率を5000倍に設定し、0.0024mm2 の面積を有する視野を無作為に20視野選択し、各視野の画像を撮影した。同時に、各視野に含まれる、最大径2μm未満の、個々の介在物粒子中央部を、FE−SEM付属のEDSにて測定し、構成元素に酸素が含まれる介在物粒子を酸化物と判定した。なお、最大径にして0.2μm以下の介在物粒子については、EDS測定の信頼性が低いため、測定対象から除外した。そのうえで、得られた画像を、画像処理ソフト(ソフト名:Image-Pro Plus、Media Cybernetic社製)を用いて画像解析を行い、これら酸化物のうち円相当径が2μmより小さいものの個数密度N1(個/mm2 )を算出した。N1の値を表3、表4に示す。
また、Caを含む鋼については、上記N1個/mm2 の酸化物のうち、構成する元素の割合が、酸素を除き、Ti:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%である酸化物をEDS測定により判定し、円相当径で2μmより小さい酸化物で、構成する元素の割合が上記の酸化物の個数密度Ns(個/mm2 )を算出した。Nsの値も表3、表4に併記した。なお、酸化物組成のEDS測定時に検出されるFeは、母相Feの影響を受けていると考えられるため、測定より除外した。
また、同様に、得られた各厚鋼板のt(板厚)/4位置で、圧延方向および板厚方向に平行な断面を、EPMA装置(装置名:EPMA−8705、島津製作所製)を用いて観察し、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%を満足する、円相当径で2μm以上の酸硫化物の個数密度を以下の要領で測定した。
まず、EPMA装置の観察倍率を200倍に設定し、4mm×8mmの観察視野内に存在する、円相当径が2μm以上である介在物粒子について、質量%で表される平均組成の定量分析を行った。得られた分析結果から、OおよびSが含まれる介在物粒子を酸硫化物と判定し、個々の酸硫化物に含まれるREM(Ce、La) 、Zr、Ca、Mn、Mg、Al、Siの平均濃度を基に、REM23、ZrO2 、CaO、MnO、MgO、Al23、SiO2 に対する前記各元素の酸化物換算値を算出し、これらの酸化物換算値と酸硫化物中のSの平均濃度の合計値Σを求めた後、REM、Mnの各酸化物換算値およびSの平均濃度をΣで規格化した(除した)値を算出し、得られた値(割合)が、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%を満足する酸硫化物の個数密度N2(個/cm2 )を算出した。N2の値を表3、表4に示す。
次に、得られた各厚鋼板から、溶接継手作製用試験片を採取し、各試験片のHAZのシャルピー衝撃試験を以下の要領で実施した。各溶接継手作製用試験片に、V開先を加工し、入熱量50kJ/mmにてエレクトロガスアーク溶接を施し、溶接継手を得た。これら溶接継手より、溶接金属部近傍のHAZに切欠を加工したシャルピー衝撃試験片を採取し、試験温度−40℃にてシャルピー衝撃試験を実施し、得られた吸収エネルギーvE-40 (J)を測定した。vE-40 (J)が180Jを超えるものは、HAZ靭性に優れると評価することができる。得られたvE-40の値を表3、表4に併せて示す。
表1〜4から明らかなとおり、発明例及び参考例の試料No.1〜35は、厚鋼板の組成、鋳造および圧延前の再加熱プロセスを適切に制御したので、円相当径が2μm未満の小さい酸化物、および円相当径2μm以上の酸硫化物、さらにCaを添加した発明例の試料(試料No. 14,15,18,23,28−30,31,32及び35)では円相当径で2μmより小さい酸化物で、Ti:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%である酸化物を300個以上分散させることに成功し、HAZ靭性において高い値が得られている。
一方、比較例の試料No.36は、鋳造時においてTi添加に先立ち、REM、Zrを添加したため、円相当径が2μmより小さい酸化物が十分に存在せず、HAZ靭性が低下している。また、比較例の試料No.37〜41、58は発明成分範囲を満足するものの、製造条件(Ti添加前の溶存酸素量、Z値、鋳造後の冷却過程における1450〜1500℃の冷却時間t1、圧延前の再加熱における最高加熱温度Tm、加熱開始から圧延開始までの時間t2のいずれか)が適切でないため、また試料No. 42〜56は製造条件は適切であるが、鋼の組成が適正な範囲から逸脱したため、No. 57は両者が適切でないため、規定の酸化物、および酸硫化物形態が得られなかったか、あるいはおそらく粗大介在物の増加、不純物の増加、過度の強化、固溶元素の粒界偏析などの理由により、HAZ靭性が低下している。
Figure 0005201665
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Claims (4)

  1. 化学組成が質量%で、
    C :0.02〜0.12%、
    Si:0.40%以下(0%を含む)、
    Mn:1.0〜2.0%、
    P :0.030%以下(0%を含む)、
    S :0.001〜0.025%、
    Al:0.050%以下(0%を含む)、
    Ti:0.005〜0.100%、
    REM:0.0001〜0.0500%、
    Zr:0.0001〜0.0500%、
    N :0.0020〜0.0300%、
    O :0.0005〜0.0100%
    Ca:0.0003〜0.0100%を含有し、
    残部がFeおよび不可避的な不純物からなり、
    円相当径で2μm未満の酸化物が分散して500個/mm2 以上含有され、
    円相当径で2μm以上の酸硫化物が分散して40〜1000個/cm2 含有され、
    前記円相当径で2μm未満の酸化物の内、酸素を除いて酸化物を構成する元素の割合が質量%でTi:10%以上、REM:5〜50%、Zr:5%以上、Ca:5〜40%である酸化物が300個/mm 2 以上であり、
    前記円相当径で2μm以上の酸硫化物を形成するREM、Zr、Ca、Mn、Mg、Al、Siの所定酸化物をそれぞれREM23、ZrO2 、CaO、MnO、MgO、Al23、SiO2 とし、前記酸硫化物を形成する元素の内のある元素の平均濃度に(当該元素の所定酸化物の分子量/当該元素の原子量)を掛けて算出した値を当該元素の酸化物換算値というとき、前記酸硫化物を形成する前記各元素の平均濃度(質量%)に基づいて算出した前記各元素の酸化物換算値と酸硫化物中のSの平均濃度の合計値に対するREMの酸化物換算値、Mnの酸化物換算値およびS濃度の割合がそれぞれ、REMの酸化物換算値:10%以上、Mnの酸化物換算値:20%以下、S:3〜20%である、大入熱溶接時の熱影響部の靭性に優れた溶接用高張力厚鋼板。
  2. さらに、質量%で、
    Ni:0.05〜1.50%、
    Cu:0.05〜1.50%、
    Cr:0.05〜1.50%、
    Mo:0.05〜1.50%
    のうち一種あるいは二種以上を含む、請求項1に記載した溶接用高張力厚鋼板。
  3. さらに、質量%で
    Nb:0.002〜0.10%、
    V :0.002〜0.10%
    のうち一種あるいは二種以上を含む、請求項1又は2に記載した溶接用高張力厚鋼板。
  4. さらに、質量%でB:0.0010〜0.0050%を含む、請求項1からのいずれか1項に記載した溶接用高張力厚鋼板。
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