1.まず、従来、ビデオカメラに用いられているズームレンズについて説明する。
ビデオカメラ用のズームレンズとしては、例えば被写体側から順に固定の凸、可動の凹、固定の凸、可動の凸の4つのレンズ群から構成されるものがある。
図8(A),(B)には、一般的な4群レンズ構成のズームレンズの鏡筒構造を示している。なお、(B)は(A)におけるA−A線断面を示している。
このズームレンズを構成する4つのレンズ群201a〜201dは、以下のものからなる。201aは固定された前玉レンズであり、201bは光軸に沿って移動することで変倍動作を行うバリエーターレンズ群である。そして、201cは固定されたアフォーカルレンズ201cであり、201dは光軸に沿って移動することで変倍時の焦点面維持と焦点合わせを行うフォーカシングレンズ群である。
ガイドバー203,204a,204bは光軸205と平行に配置され、移動するレンズ群の案内および回り止めを行う。DCモータ206はバリエーターレンズ群201bを移動させる駆動源となる。
前玉レンズ201aは前玉鏡筒202に保持され、バリエーターレンズ群201bはV移動環211に保持されている。また、アフォーカルレンズ201cは中間枠215に、フォーカシングレンズ群201dはRR移動環214に保持されている。
前玉鏡筒202は、後部鏡筒216に位置決め固定されており、両鏡筒202,216によってガイドバー203が位置決め支持されているとともに、ガイドスクリュウ軸208が回転可能に支持されている。このガイドスクリュウ軸208は、DCモータ206の出力軸206aの回転がギア列207を介して伝達されることにより回転駆動される。
バリエーターレンズ群201bを保持するV移動環211は、押圧ばね209とこの押圧ばね209の力でガイドスクリュウ軸208に形成されたスクリュー溝208aに係合するボール210とを有する。そして、DCモータ206によってガイドスクリュー軸208が回転駆動されることにより、ガイドバー203にガイドおよび回転規制されながら光軸方向に進退移動する。
後部鏡筒216とこの後部鏡筒216に位置決めされた中間枠215にはガイドバー204a,204bが嵌合支持されている。RR移動環214は、これらガイドバー204a,204bによってガイドおよび回転規制されながら光軸方向に進退可能である。
また、中間枠215には、絞りユニット235(絞り駆動源224)が固定されている。
フォーカシングレンズ群201dを保持するRR移動環214には、ガイドバー204a,204bにスライド可能に嵌合するスリーブ部が形成されており、またラック213が光軸方向についてRR移動環214と一体的となるように組み付けられている。
ステッピングモータ212は、その出力軸に一体形成されたリードスクリュー212aを回転駆動する。リードスクリュー212aにはRR移動環214に組み付けられたラック213が係合しており、リードスクリュー212aが回転することによって、RR移動環214がガイドバー204a,204bによりガイドされながら光軸方向に移動する。
なお、バリエーターレンズ群の駆動源としては、フォーカシングレンズ群の駆動源と同様にステッピングモータを用いてもよい。
そして、前玉鏡筒202、中間枠215および後部鏡筒216により、レンズ等を略密閉収容するレンズ鏡筒本体が形成される。
また、このようなステッピングモータを用いてレンズ群保持枠を移動させる場合には、フォトインタラプタ等を用いて保持枠が光軸方向の1つの基準位置に位置することを検出した後に、ステッピングモータに与える駆動パルスの数を連続的にカウントする。これにより、保持枠の絶対位置を検出する。
2. 次に、従来の撮像装置における電気的構成について、図9を用いて説明する。なお、この図において、図8にて説明したレンズ鏡筒の構成要素については、図8と同符号を付す。
221はCCD等の固体撮像素子、222はバリエーターレンズ群201bの駆動源であり、モータ206(又はステッピングモータ)、ギア列207およびガイドスクリュー軸208等を含む。
223はフォーカシングレンズ群201dの駆動源であり、ステッピングモータ212、リードスクリュー軸212aおよびラック213等を含む。
224はバリエーターレンズ群201bとアフォーカルレンズ201cとの間に配置された絞りユニット235の駆動源である。
225はズームエンコーダー、227はフォーカスエンコーダーである。これらのエンコーダーはそれぞれ、バリエーターレンズ群201bおよびフォーカシングレンズ群201dの光軸方向の絶対位置を検出する。なお、図8に示すようにバリエーター駆動源としてDCモータを用いる場合には、ボリューム等の絶対位置エンコーダーを用いたり、磁気式のものを用いたりする。
また、駆動源としてステッピングモータを用いる場合には、前述したような基準位置に保持枠を配置してから、ステッピングモータに入力する動作パルス数を連続してカウントする方法を用いるのが一般的である。
226は絞りエンコーダーであり、モータ等の絞り駆動源224の内部にホール素子を配置し、ローターとステーターの回転位置関係を検出する方式のものなどが用いられる。
232は本カメラの制御を司るCPUである。228はカメラ信号処理回路であり、固体撮像素子221の出力に対して所定の増幅やガンマ補正などを施す。これらの所定の処理を受けた映像信号のコントラスト信号は、AEゲート229およびAFゲート230を通過する。即ち、露出決定およびピント合わせのために最適な信号の取り出し範囲が全画面内のうちこのゲートで設定される。このゲートの大きさは可変であったり、複数設けられたりする場合がある。
231はAF(オートフォーカス)のためのAF信号を処理するAF信号処理回路であり、映像信号の高周波成分に関する1つもしくは複数の出力を生成する。233はズームスイッチ、234はズームトラッキングメモリである。ズームトラッキングメモリ234は、変倍に際して被写体距離とバリエーターレンズ位置に応じてセットすべきフォーカシングレンズ位置の情報を記憶する。なお、ズームトラッキングメモリとしてCPU232内のメモリを使用してもよい。
例えば、撮影者によりズームスイッチ233が操作されるとする。その場合、CPU232は、ズームトラッキングメモリ234の情報をもとに算出したバリエーターレンズとフォーカシングレンズの所定の位置関係が保たれるように、ズーム駆動源222とフォーカスシング駆動源223を駆動制御する。この駆動制御では、ズームエンコーダー225の検出結果となる現在のバリエーターレンズの光軸方向の絶対位置と算出されたバリエーターレンズのセットすべき位置、およびフォーカスエンコーダー227の検出結果となる現在のフォーカスレンズの光軸方向の絶対位置と算出されたフォーカスレンズのセットすべき位置がそれぞれ一致するようにする。
また、オートフォーカス動作ではAF信号処理回路231の出力がピークを示すように、CPU232は、フォーカシング駆動源223を駆動制御する。
さらに、適正露出を得るために、CPU232は、AEゲート229を通過したY信号の出力の平均値を所定値として、絞りエンコーダー226の出力がこの所定値となるように絞り駆動源224を駆動制御して、開口径をコントロールする。
3. 次に、TV信号AFについて説明する。ここでは、上述したオートフォーカス動作に関してより詳細に説明する。この方式は、オートフォーカシングを行うためのセンサとして、撮像装置の撮像素子そのものを兼用するために、他のAFセンサを設ける場合に比べて部品数が少なくなり、コスト的に有利である。また、直接、結像面の像の状態を検出しているので、例えば温度変化があって鏡筒部品に伸縮が起き、ピント位置が変化した場合でも、その変化に応じて正しいピント位置の検出が可能である。
図10にその原理を示す。図10のグラフにおいて、横軸に焦点調節のためのレンズ群位置をとり、縦軸に撮像信号の高周波成分(焦点電圧)をとる。図中、矢印で示した位置Aで焦点電圧のピークを示しており、この位置Aがピントが合った状態のレンズ位置となる。
ここで焦点電圧Fの求め方の一例を挙げる。図11(A)には、実際の撮像視野を示しており、720が画角、718が自動焦点調節を行うための映像信号を取り出す範囲、719は被写体像である。
図11(B)において、(a)は映像信号を取り出す範囲内の被写体像の様子を示す。また、(b)は(a)で示した被写体像の映像信号(Y信号)である。
この信号を微分すると、(c)のような波形となり、さらに絶対値化すると(d)となる。
そして、これをサンプルホールドした信号(e)が焦点電圧となる。これは、被写体像の有するコントラスト信号のうち、特に高周波の成分が、ピントが合った状態で最大となることを利用しているもので、焦点電圧の作成方法としては上述以外にも種々の方法が知られている。
また、高周波成分のみを取り出すためのハイパスフィルターを用いる場合が多いが、このフィルターの特性を何種類か有し、複数の周波数に対して焦点電圧を作成して、これら複数の情報を基に正しいピントを保証することも知られている。
図12には、このような自動焦点調節装置とインナーフォーカスレンズとを組み合わせたカメラの構成を示している。
805の結像位置にはCCD等の撮像素子が配置される。そして、この撮像素子を通じて輝度信号Yが作られ、所定枠718内の情報が焦点検出回路(AF回路)821に取り込まれる。
AF回路821は、前述した方法等により焦点電圧を求め、この値と、フォーカシングレンズ804Bの駆動方向や駆動に伴う焦点電圧の変化の符号などを基に、合焦か非合焦か、非合焦の場合にはぼけがいわゆる前ピンか後ピンか等を判定する。そして、この判定結果に基づいてフォーカスレンズ駆動用のモータ822を所定方向に駆動する。
ここで述べたようなテレビ信号オートフォーカスと呼ばれる方式では、このように撮像装置のイメージャーであるセンサがオートフォーカスのセンサを兼用するので、ダイレクトに結像面の結像状態を測定でき、高精度に焦点の状況を把握できる。
4. 次に、ズームトラッキングの方法について説明する。上述した2.でも簡単に触れたが、このようなバリエーターよりも後方のレンズ群でフォーカシングを行う場合、被写体距離に応じてズーム中のフォーカシングレンズがたどるべき軌跡が異なる。
このため、ズームスタートに際してのバリエーターレンズとフォーカシングレンズの両方の光軸方向の絶対位置を測定しておき、この情報から、ズームが行われた時に2つのレンズのとるべき位置関係を明確化して、その位置を守るような動作を行う。これにより、ズーム中もピントを維持することが可能となる。この動作をここではズームトラッキングと称する。
特許文献1(特開平1−321416号公報)は、以下のフォーカシングレンズ位置を算出する方法が示されている。まず、複数の被写体距離に対してワイド端からテレ端の間の複数のバリエーターレンズ位置に対するフォーカシングレンズ位置を記憶する。次に、ズーム開始時に、その時点でのバリエーターレンズ位置とフォーカシングレンズ位置がマイコン内の記憶手段などに記憶されたマップ情報のどこにあるかを知る。そして、その点のデータと、同じ焦点距離で前ピン側に最も近く記憶されたデータと、後ピン側に最も近く記憶されたデータとから内挿演算し、それぞれの焦点距離(バリエーター位置)でのフォーカシングレンズ位置を算出する
図13には、テレ端付近でのトラッキングカーブ(軌跡)の説明図を示している。この図において、横軸がバリエーターレンズ位置であり、Vnがテレ端位置である。また、縦軸はフォーカシングレンズ位置である。
例えば無限距離に対して、P1,P4,P7、P10が記憶されているとともに、10mに対して、P2、P5,P8、P11が記憶されているものとする。この時、P点にある状態(テレ端で被写体距離が10mと無限の間のある距離の状態)からワイド方向にズームすると、バリエーターレンズとフォーカシングレンズの位置関係が、PからPA,PB,PCを順にたどるように制御される。
このPA〜PCの位置は、上下の記憶された軌跡LL1とLL2との内挿比が一定となる位置である。
5.次に、交換レンズシステムについて説明する。従来、撮像装置に対して撮影レンズが交換可能なものが多用されている。
図14には、交換可能なレンズを用いた撮影システムの一例を示している。この交換レンズ900は、前述と同様に、被写体側から凸凹凸凸の順の4群構成からなるズームレンズを使用している。ただし、これ以外の構成のレンズを用いてもよい。
911は固定の前玉、912は光軸方向に移動することで変倍動作を行うバリエーターレンズ、936は絞り、913は固定のアフォーカルレンズ、914はフォーカシングレンズである。フォーカシングレンズ914は、被写体距離が変わった場合のフォーカシング動作とズーム中のコンペンセーターとしての働きを合わせ持っている。
945、952、937はそれぞれ、バリエーター、絞り、フォーカシングレンズの駆動源であり、それぞれ駆動回路961,951,962を介してレンズマイクロコンピュータ910によって駆動制御される。
カメラ1000側には、3つのCCD等の撮像素子1003〜1005が設けられており、それぞれから出力される信号はアンプ1005〜1007により増幅される。これら信号は信号処理回路1152に入力され、ここで所定レベルの映像信号が生成される。生成された映像信号は、本体マイコン1009に伝達される。
2つのマイクロコンピュータ910,1009は接点318,307を介して接続される通信経路をもって結ばれている。これにより、各種の信号のやりとりが行われる。
例えば、前述のテレビ信号オートフォーカスのための焦点電圧をカメラ1000側の信号処理回路1152の中で生成しているとすると、その情報は本体マイコン1009からレンズマイコン910に送信される。
レンズマイコン910ではこの信号情報に基づいて合焦か非合焦かどうか(ボケの方向とその程度)を判定し、フォーカシングレンズをどちらにどれだけのスピードで駆動するかを定めて、駆動回路962を介してフォーカシング駆動源937を駆動する。
6. 次に撮像素子について説明する。CCD撮像素子は、民生用ビデオカメラでは1/3インチ型、1/4インチ型と称される、対角寸法が6mm,4mm程度のものが主流となってきている。そして、この大きさの中に、例えば31万個の画素を有している。
また、デジタルスチルカメラでは、1/2インチ型(対角寸法8mm)程度のCCDにて、200万個の画素を有するようなものも使われている。
このような大画素数のCCDを用いたデジタルカメラにおいては、一般的な小型プリントサイズでは、条件がそろえば従来のフィルムカメラで撮影した写真と遜色のない画質が確保できるようになってきている。
このようなビデオカメラにおいて、許容錯乱円径は12〜15μm程度、また、デジタルスチルカメラでは7〜8μm程度と、従来の135フィルムフォーマットの許容錯乱円33〜35μmと比較するとはるかに小さな数字となる。
これは、画面対角寸法が、上述のように135フィルムフォーマットの43mmに比べるとはるかに小さいためである。また、この数字はCCDの画素サイズが更に小さくなると、更に小さな数字となると予想される。
また、別の観点から考えると、CCDを用いる撮像装置では、同じ画角を得るための焦点距離が、135フィルムカメラに比べて、イメージサイズが小さい分、短くなる。
例えば、135フィルムカメラで40mmの標準焦点距離で得られる画角は、1/4インチのCCDを用いた撮像装置では4mmとなる。このため、同じF値で撮影しているときの被写界深度は、フィルムカメラと比較すると、これらのCCDを用いた撮像装置ではきわめて深くなる。
一方、焦点深度は、よく知られているように、許容錯乱円径×F値(絞り値)で求められる。そのため、例えば、F2のとき、135フィルムカメラの焦点深度(片側)は0.035×2=0.07mmであるのに対し、1/2インチ型の撮像装置では0.007×2=0.014mmと狭くなる。
上述のように対角寸法が同じCCD、例えば6mmの1/3インチ型のCCDにおいても、100万画素からさらに200万、将来的には300万と画素数を多くして解像感を上げることを目的としたものである。そのため、画素の大きさをむやみに小さくせずにダイナミックレンジや感度を重視したものなど、種々の仕様のものが知られている。
7. 次に、光量調節方法について説明する。ビデオカメラやデジタルスチルカメラのようなCCD等の撮像素子をイメージセンサとして用いた撮像装置においては、CCDの輝度信号のレベルがある定まった範囲となるように、絞り装置により開口を制御して自動的に最適な露出を得る方法が一般的である。
絞り装置としては、開口形状がひし形となる2枚の絞り羽根を用いたものや、5枚又は6枚の羽根を用いた虹彩絞りなどが知られている。
ところで、絞り開口径が小さくなると回折により画質が劣化するという問題が発生する。このため、これらの撮像装置では、画質劣化が発生しない若しくは発生してもあまり大きな問題とならない範囲に絞り開口径の制御範囲を制限することが一般的に行われている。
これは現在の絞り値をマイクロコンピュータが把握し、定められた所定のF値より小絞り側は使用しないようにするものである。
しかし、使用できる絞り範囲にこのような制限をかけると、実際の被写界の有する広範囲な明るさに対して絞りだけで光量を最適に調節することが困難となる。
このため、絞り羽根に一体的にNDフィルターを貼り付けて、絞り径が小さくなると絞り開口をNDフィルターが覆うように構成することで、同じ絞り制御(例えば、開放〜F8)で調節可能な明るさ範囲を広げることが行われている。また、CCDの電荷蓄積時間(シャッター速度)を可変とする方法が組み合わされる場合もある。
なお、NDフィルターには、上述のように絞りの羽根に一体的に貼り付けられて駆動されるもの以外に、専用の駆動源を有し、絞りとは別に光路内への挿入量が制御されるものもある。
8. 次に、撮影レンズについて説明する。撮影レンズは、使用されるCCDの画素ピッチから決まる必要な解像性能(MTF性能)が得られるように設計製造される。
また、撮影レンズは、CCDのサイズによって決まる有効像円を有するものである。
以上のように構成される撮像装置では、多くの機能がCCD仕様を基本としてこれに最適化されるように設計されている。
まず、AFについては、CCDから得られる映像信号の高周波成分のピークを持って焦点を判断している。そのため、CCDの画素ピッチにより定まる許容錯乱円と絞りの開放F値により、フォーカスレンズをステッピングモータで駆動する場合の1ステップの移動量が設定される。
また、レンズのいわゆるウォブリング(光軸方向への微小往復駆動)によってベストピントの方向を探る場合には、F値に応じたウォブリング量も許容錯乱円仕様(ひいてはCCD仕様)により定められる。さらに、合焦か非合焦かの判定を行う際のレベルもCCDに関連して定まる。
また、AEについては、CCDの画素ピッチによって、小絞り回折による像劣化の発生するF値が定まる。そして、このF値よりも小絞り側を使用しないように露出が制御される。
有効像円については、レンズの設計製造に際してCCDのサイズに合わせて、けられが発生しないように設計される。解像性能については、レンズの設計製造に際してCCDの画素ピッチ仕様などから設計値が定まる。
このように、レンズが交換可能な撮像装置においても、この撮像装置がどのような仕様のCCDを用いているかに応じて、全ての交換レンズに対して良好な撮像性能が得られるように設計される。
特開平1−321416号公報
図1には、本発明の第1実施形態である撮像システムの主要部構成を示している。この撮像システムは、カメラ本体(撮像装置)とこのカメラ本体に対して交換可能な撮影レンズとから構成されている。
まず、撮影レンズ側の構成について説明する。図1において、111〜114は撮影レンズを構成する4つのレンズ群を示す。本実施形態の撮影レンズは、被写体側から順に凸凹凸凸の4つのレンズ群を有するズームレンズである。但し、本発明の撮影レンズ装置としては、このレンズ群構成の撮影レンズに限られない。
111は固定の前玉レンズ群、112は光軸方向にその位置を可変とすることで焦点距離を変える(ズームを行う)バリエーターレンズ群である。そして、113は固定のアフォーカルレンズ群、114はズーム中にピントの合う被写体距離を一定に保つコンペンセーターの働きとフォーカシングレンズの働きとを有するフォーカスコンペレンズである。
136はこの撮影レンズの光路中に挿入された絞りユニット(光量調節手段)であり、駆動源としてのIGメータ413を作動させて絞り開口面積(開口径)を変化させることにより通過光量を調節するものである。
145はバリエーターレンズ群112を駆動するためのズームモータで、本実施形態では、ステッピングモータが用いられている。このズームモータ145は、ズーム駆動回路161によって印加される所定のステップパルスに応じて所定角度ずつ回転する。
なお、ズームモータ145の回転をバリエーターレンズ群112の移動に変換する機構に関しては、図8にて説明した構成等を用いればよい。
また、このズームモータ145を駆動するためにモータに入力したステップ数を継続してカウントすることにより、レンズ群112の光軸方向の絶対位置をエンコードすることができる。このためには、カウントのスタートにあたって、常にレンズ群112を所定の位置に配置する必要があり、本実施形態では、レンズ群112が所定の初期位置に位置したことを検出するためのズームリセットスイッチ501を設けている。
すなわち、レンズマイコン410内に設けられたズームカウンタ503にて、ズームリセットスイッチ501がオンになった初期位置から継続してズームモータ145に入力したパルスをカウントすることにより、バリエーターエンコーダーが構成される。
また、フォーカスコンペレンズ群114は、本実施形態ではステッピングモータからなるフォーカスモータ137により駆動される。そして、バリエーターレンズ群112に対して設けられたものと同様のフォーカス駆動回路162,フォーカスリセットスイッチ502およびフォーカスカウンタ507を有する。
レンズマイコン410は、それ以外に、記憶部506、制御部504、通信部508を有している。
記憶部506には、ズームトラッキングを行うためのマップデータのほか、本撮影レンズのMTF特性データや有効像円データが記憶されている。また、制御部504は、小絞り限界F値を設定する設定部505を有している。
次に、カメラ本体側の構成について説明する。221はCCDにより構成されるイメージセンサ(撮像素子:以下、CCDという)である。但し、本発明における撮像素子はCCDに限られない。
CCD221はCCDドライブ回路513により駆動される。CCD221から得られた画素ごとの電荷蓄積による映像信号(撮影画像)は、A/D変換部509にてデジタル信号化された後、カメラ信号処理回路510にて所定の信号処理(増幅やガンマ補正など)が施される。この信号処理を施された映像信号は、AFゲート230で所定の中央付近だけを取り出され、AF信号処理回路231にてY信号の高周波成分に関する情報に加工された後にカメラマイコン409に送られる。
また、Y信号の高周波成分に関する情報に加工された信号は、不図示のブロックを通過した後、映像信号が所定のレベルにあるかの露出判断を行うための信号に加工されてカメラマイコン409に取り込まれる。
これらの映像信号の高周波成分に関する値や、映像信号のレベルに関する信号はマウントを介してレンズマイコン410とカメラマイコン409との間で通信される。これらの信号を受けたレンズマイコン410は、合焦状態または最適露出状態を得るために絞りユニット136やフォーカスレンズ群114を駆動する。
511は画像処理回路であり、カメラ信号処理回路510で生成された映像信号に対して、さらに電子ズーム処理を施して画像切り出しサイズを変更したり、不図示の電子的手振れ補正のための画像切り出し位置を変更したりする。また、これら以外に、画像解像度を変換して画像記録のためのファイルサイズ(データサイズ)を変更したり、圧縮処理をして撮影画像(電子データ)のデータサイズを変換したりする。さらに、レンズの有する歪曲収差を補正する処理を行う場合もある。
512は画像処理回路511の出力(電子データ)を記録媒体に記録する記録系である。記録媒体としては、カード、ディスク、テープなどが用いられる。
カメラマイコン409には、レンズマイコン410と同等に、制御部517、通信部518および記憶部519が設けられている。記憶部519は、自己の有するCCDのサイズ(有効対角長)、画素数、画素ピッチに関する情報などが記憶されている。
また、カメラ本体側が有する、ユーザーにより操作されるスイッチの状態はすべてカメラマイコン409に入力される。本実施形態では、トリガースイッチ513、ズームスイッチ514、記録精細度設定スイッチ515、動画/静止画モード切り換えスイッチ516などの状態が入力される。
以上のようにカメラ本体に対して撮影レンズを交換可能に構成した撮像システムでは、マウントに設けられた通信接点を介してレンズマイコン410とカメラマイコン409との間で通信が行われる。そして、この際に、レンズ側のMTF特性に関連する情報(以下、MTF関連情報という)がカメラ本体側に送信される。
なお、ここにいうMTF関連情報としては、生のMTF特性データでもよいし、MTF特性データ値をもとにいくつかのレベルに置き換えた情報であってもよい。さらに、その後の信号処理が行い易いような何らかの換算結果を送信してもよい。すなわち、MTFに関連する情報であればその形態を問わない。
ここで、画像精細度に関しては、VGA,XGA,SXGA等の各種レベルがあるが、この撮影レンズがどの程度のMTFを有しているかによって、どのレベルの精細度に対応する画像データファイルに対して十分な解像力を満たせるのかが変化する。
例えば、撮影レンズが像面上50本/mmの精細度に対して十分に解像できる(例えば、MTF50%以上)か否かによって、以下のようになる場合があり得る。撮影レンズが像面上50本/mmの精細度に対して十分に解像できる場合は、VGA記録した場合とXGA記録した場合とで明らかに差が生じる(レンズ性能がXGA以上)ことがある。撮影レンズが像面上50本/mmの精細度に対して十分に解像できない場合は、どちらで記録しても結局はVGA記録した場合と同等の精細度しか得られない(レンズ性能がVGAクラスしか前提としていない)ことがある。
一方、記録される画像情報のファイルサイズは精細度が高いほど大規模になり、カメラ本体にセットされた記録媒体の容量を消費することとなるので、効率が悪い。
そこで、本実施形態では、レンズマイコン410から送信されたMTF関連情報に基づいて、カメラマイコン409で最適な記録ファイルサイズを設定することにより、撮影レンズの性能に応じて必要かつ十分な記録を行うようにしている。
カメラマイコン409は、撮影レンズからのMTF関連情報により示される画像精細度に対して最適なファイルサイズを指示して画像処理回路511にて必要かつ十分な(最小の)ファイルサイズの画像データを作成する。
さらに、本実施形態では、カメラマイコン409は、撮影レンズからのMTF特性データに基づいて、撮影レンズにおいて小絞り回折の発生する使用限界F値(最大F値)を設定し、この情報を撮影レンズに送信する。
具体的には、まず、レンズマイコン410から送信されたMTF関連情報とカメラマイコン409に設定されたCCD画素ピッチに関する情報(画素ピッチ情報)とから、小絞り回折が発生するF値を算出する。そして、このF値又はこれよりも若干小さなF値を使用限界F値として設定する。
例えば、撮影レンズが特定サイズの300万画素CCDを想定し、かつ300万画素CCDの限界F値がF5.6である設定となっているとする。そのときでも、カメラ本体側が同じサイズの200万画素CCDを有する場合はF8まで使用できるというときには、撮影レンズ側の小絞り限界F値の設定部505における設定を基準のF5.6からF8に置き換える。これにより、より広い範囲の露出調整が可能となる。
また、本実施形態のカメラマイコン409は、カメラ本体側で設定されたファイルサイズ又は画像精細度に関する情報を、電子ファインダ(LCDファインダや電子ビューファインダ)により構成されるファインダ表示部232に表示する。これにより、撮影者にその情報を伝達する。
ここで、本実施形態のカメラ本体には、使用する画像精細度を記録精細度設定スイッチ515を通じて撮影者が任意設定することが可能である。この場合において、撮影者が撮影レンズの性能に対してミスマッチな(過度の)高画質記録に相当する画像精細度を設定した場合には、ファインダ表示部232に警告表示を行う。この警告動作に関しては、後述する図2のフローチャートにより判断・実行される。
また、本実施形態の撮影レンズの記憶部506には、焦点距離およびF値の少なくとも一方に応じたMTF特性データが記憶されている。これにより、焦点距離やF値によらない代表的なMTF特性データを用いる場合に比べて、カメラ本体側においてより最適なファイルサイズや使用限界F値の設定を行うことができ、より効率的な画像記録を行うことができる。
これは、通常、MTF特性データは焦点距離やF値によって異なり、ある条件ではCCDの性能をフルに引き出せないようなMTFの状況になっていても、別の条件では満足できる場合もある。したがって、焦点距離やF値を加味したMTF特性データをレンズマイコン410内(記憶部506)に有し、そのときの焦点距離とF値の状況に応じてMTF特性データに関連する情報をカメラマイコン409に伝達する。これにより、カメラ本体側において効率的に必要かつ十分な範囲で最高画質の画像を記録できる。
次に、図2のフローチャートを用いてカメラマイコン409の動作を説明する。まず、ステップ601でスタートすると、ステップ602でレンズマイコン410に対してMTF関連情報の送信要求を送信し、これに応答してレンズマイコン410から送信されてくるMTF関連情報を入手する。
このとき送信されてくるMTF関連情報は、撮影レンズのその時点での焦点距離およびF値に応じたMTF特性データに基づくものである。
ステップ603ではこの入手したレンズ側のMTF関連情報に基づいて、前述したように最適な記録ファイルサイズVaを定める。
そして、ステップ604では、カメラ本体側の記録精細度設定がオートモードになっているかどうかを判定する。オートモードであるときは、ステップ603で定められた記録ファイルサイズVaが使用されることになり、撮影レンズの性能を最大に引き出すことができ、しかも不必要に大きなファイルサイズを用いない最適設定となる。この場合、ステップ605において使用ファイルサイズVをVaに設定する。
使用ファイルサイズVが設定されると、撮影者がトリガースイッチ513を操
作して記録動作のトリガーをかけた場合に、そのファイルサイズVの精細度で画
像記録が行われる。
一方、ステップ604でオートモードではない(マニュアルモードである)と判定したときは、ステップ606にて撮影者が設定したファイルサイズVmを読み込む。マニュアルモードの場合は、撮影者の設定値を優先するので、ステップ607にて使用ファイルサイズVをVmに設定する。
次に、ステップ608では、カメラマイコン409がMTF関連情報に基づいて設定したファイルサイズVaと撮影者が設定したファイルサイズVmの大小比較を行う。Vaの方が大きい場合には、撮影者が設定したファイルサイズはレンズ性能から見て十分な精細度に対応するので、そのままステップ602に戻る。
一方、撮影者が設定したファイルサイズVmが、レンズ性能上、高精細度の設定をしても、それ以下の設定(高精細度の画像精細度以下)で記録した画質と差がないと判断した場合(Va<Vm)、ステップ609にてファインダ表示部232にその旨の警告表示を行う。
撮影者はこの警告表示を見ることで、無駄に記録媒体の容量を消費する設定をしていることに気付き、マニュアル設定した記録精細度を落とす等して使用データサイズを最適設定に近付けることができる。
なお、本実施形態では、撮影者が記録する画像の精細度をマニュアル設定できるようにしたが、ファイルサイズをマニュアル設定できるようにしてもよい。
また、本実施形態では、図2のフローチャートにおいて、カメラマイコン409がMTF関連情報に基づいて設定したファイルサイズVaと撮影者が設定したファイルサイズVmとを比較する場合について説明した。これは、ファイルサイズVaに対応する画像精細度と撮影者が設定した画像精細度とを比較するようにしてもよい。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、撮影レンズ側の有するMTF特性データをベースとするMTF関連情報をカメラ本体側に送信し、カメラ本体側ではこの情報に基づいてレンズ性能が最高に引き出せる範囲で最小のファイルサイズで記録が行えるようにした。本実施形態では、MTF関連情報ではなく、撮影レンズの有効像円に関連する情報(以下、有効像円関連情報という)をレンズ側からカメラ本体側
へ送信する。
本実施形態では、図1に示したレンズマイコン410の記憶部506に、この撮影レンズの有する有効像円径のデータが記憶されている。また、このデータは、撮影レンズの焦点距離やF値に応じた有効像円径の値として記憶されている。
レンズマイコン410は、マウントを介してカメラマイコン409にこの有効像円関連情報を送信する。この送信される有効像円関連情報は、第1実形態のMTF関連情報と同様に、生の有効像円データでもよいし、これを適宜変換した情報であってもよい。
ここで、例えば、カメラ本体が有するCCD221の有効対角長が6mmであったとすると、これに有効像円径6mm以上の撮影レンズが装着されていれば、CCDから得られる全画面を記録しても無駄なくかつけられのない画像を撮影できる。
しかし、有効像円径4mmの撮影レンズが装着されると、画面の隅がけられる(黒くなって画像のない状態となる)。このような場合、カメラマイコン409では、まず、レンズマイコン410から送信されてきた撮影レンズの有効像円関連情報に基づいて、けられのない画像が切り出せる範囲(CCD221上での画像取得範囲)を定める。そして、画像処理回路511にてその切り出し範囲を設定することにより、無駄のない画像記録を行うことができる。
また、本実施形態では、画像処理回路511にて設定された切り出し範囲で撮像した画像を、ファインダ表示部232に表示して、記録画角とほぼ同じ画角を示すとともに、撮影者に画角に関する情報を知らせる。
例えば、有効像円径が4mmで設計された撮影レンズを対角長6mmのCCDを有するカメラ本体に装着しても、CCD上における対角長4mmの範囲のみを切り出すことになる。このため、同じ焦点距離(例えばf=5mm)を持っていても、それが6mmの有効像円径を有する撮影レンズを用いて画像の切り出しが必要ない場合と、4mmの有効像円径しかないために画像切り出しが必要な場合とでは画角に差が生じる。
例えば、その画角を、135フィルムフォーマットされた撮影レンズの焦点距離に換算すると、同じf=5mmでも、有効像円径が6mmであれば約43mmとなり、有効像円径4mmで画像切り出すと約55mmとなる。
すなわち、本実施形態では、多くのユーザーにとってなじみの深い135フィルムフォーマットの焦点距離に統一して画角を示す。これにより、様々な有効像円径を有するレンズが装着されても、けられなく撮影できる画角を算出し、表示することでユーザーの混乱を避けるようにしている。
このためには、カメラマイコン409内で、撮影レンズから送信されてきた有効像円関連情報により示される有効像円径Aと、同様にレンズ側から送信された撮影レンズの焦点距離の情報fと、カメラ本体自身の有するCCD221の対角長の情報Cとに基づいて、簡単な演算を行えばよい。
すなわち、A<Cの場合、およそf×43/Aで、またC<Aの場合にはおよそf×43/Cで、そのときの画角が135フィルムフォーマットの焦点距離に換算される。ここで、「43」は135フィルムの対角長である。
そして、この演算結果はカメラマイコン409によりファインダ表示部232に示される。
次に、図3のフローチャートを用いて本実施形態におけるカメラマイコン409の動作を説明する。
まず、ステップ611でスタートすると、ステップ612でレンズ側から接点を通した通信などで、レンズの有する有効像円情報Aを入手する。
ステップ613では、この有効像円情報(有効像円径)Aとカメラ側のCCD等の撮像素子の有効対角長Cの値とを比較する。この比較の結果、CCD221の有効対角長Cの方が大きい場合(そのレンズではけられてしまう)には、けられない切り出し範囲をステップ614で設定する。
また、レンズ側の有する有効像円がCCDをカバーしている場合(有効像円径Aが有効対角長Cよりも大きい場合)には、ステップ615にて、切り出し設定を解除する(解除してある場合はそのままとする)。
なお、電子式手ぶれ補正がONされている場合は、標準的な切り出し範囲に設定してもよい。
(第3実施形態)
図4には、本発明の第3実施形態である撮像システムの構成を示している。なお、本実施形態の撮像システムにおいて、第1実施形態の撮像システムと共通する構成要素には第1実施形態と同符号を付して説明に代える。
本実施形態では、カメラ本体側に振れセンサ530が設けられており、この振れセンサ530から出力されるカメラ本体の振れに応じた信号が、カメラマイコン409に取り込まれるようになっている。
なお、振れセンサ530としては、圧電振動ジャイロなどが用いられ、本実施形態では、縦(ピッチ)方向の回転成分検出用と、横(ヨー)方向の回転成分検出用の2個の振れセンサを設けている。
従来の電子式振れ補正では、振れセンサから得られたカメラ本体の手振れ等による回転量と、そのときの焦点距離およびCCDのサイズに基づいて、CCDの全有効画面の中から画像として切り出すべき範囲の位置を定めて(移動させて)いた。これにより、連続した画像間での被写体の位置合わせを行い、像振れを補正する。
また、この際、CCDの大きさが十分大きければ問題ないが、CCDの大きさには制限がある。そのため、あまり大きな振れ角度に対しては、100%の補正は行えず、むしろ動画が違和感を発生しないように、画像の切り出し限界位置付近ではソフトウェア的に切り出し方に工夫を加え、自然な画像となるようにしている。
本実施形態は、このような電子式振れ補正機能を、撮影レンズ側から送信される有効像円関連情報を利用し、電子的振れ補正により補正可能な範囲(画像の切り出し範囲を移動させることが可能な範囲:移動許容範囲)および上記ソフト的補正のかかる位置などを最適化する。これにより、レンズ交換が可能なカメラ本体が有する場合に、撮影レンズの有する有効像円が様々である場合でも、画像にけられが生じないようにする。
特に、撮影レンズの有する有効像円が焦点距離やF値などにより変化する場合には、それらの条件も含めて撮影レンズ側から送られてきた情報により、電子的振れ補正動作を行う。
図5には、撮影レンズの焦点距離と電子的振れ補正により補正可能な振れ角度との関係を示している。図5の横軸は撮影レンズの焦点距離であり、縦軸は電子的振れ補正により補正できる振れ角度を示している。
電子的振れ補正において、CCD上における画像切り出し範囲の移動可能量が一定であるとして角度換算すると、ワイド側ほど大きな振れ角度が、テレ側ほど小さな振れ角度が補正可能な最大振れ角度となる。
ここで、図中の一点鎖線は、CCDの有効サイズに対してどの焦点距離でも撮影レンズの有効像円が大きく確保できている場合(そのようなカメラ本体と撮影レンズが組み合わさっている場合)での焦点距離に応じた補正可能な振れ角度を示している。
一方、図中の実線は、焦点距離がワイドからミドルの範囲(W〜A点の焦点距離)では有効像円がCCDにおける切り出し画角を下回ることはないものの、CCDの全有効画面よりも小さくなる。A点の焦点距離からテレ側ではCCDの有効サイズより撮影レンズの有効像円の方が大きくなるようなカメラ本体と撮影レンズとが組み合わさっている場合での、焦点距離に応じた補正可能な振れ角度を示している。
この場合、焦点距離によって補正可能な最大振れ角度が異なる(CCD上における画像切り出し範囲の移動可能量を一定にすると画像にけられが生じる)。そのため、カメラマイコン409は、画像切り出し範囲がそのときの焦点距離に応じた補正可能な最大振れ角度に対応する範囲内でのみ移動するように、画像切り出し範囲の移動を制限する。
このように、まず、撮影レンズから送信されてきた有効像円関連情報から、焦点距離に応じた画像切り出し範囲の移動許容範囲を定める。そして、この移動許容範囲の中で振れセンサからの出力に基づき、かつ動画に違和感の生じないような考慮を行って画像切り出し範囲の位置を決定する。これにより、そのときの焦点距離に応じた最大の補正可能振れ角度を確保しながら、画像のけられの生じない電子的振れ補正機能を実現することができる。
なお、実線に示す特性では、ワイドから少しテレ側の焦点距離で補正可能角度が最小となるが、これは光学設計にもよるので、あくまで例に過ぎない。
また、図5において、2点鎖線は、点Bよりワイド側では電子的振れ補正は機能できないような撮影レンズとカメラ本体との組み合わせを示している。点Bよりワイド側は、有効像円が画像切り出しサイズぎりぎりか、場合によっては切り出しサイズを撮影レンズの有効像円に合わせて縮小しなければならない領域である。
また、点B〜点Cまでは、有効像円が切り出し範囲よりは大きくなっているが、CCDの全画面はカバーできていない。したがって、振れ補正は機能するが、十分な広い振れ角度に対する補正はできない場合がある。
さらに、点Cからテレ端までの間は、CCDの全画面より大きな有効像円をレンズが有している。したがって、この範囲で振れ補正を行うことになる。
すなわち、本実施形態では、撮影レンズの有している有効像円関連情報に基づいて、電子的振れ補正機能を駆動したり駆動を制限(移動許容範囲を零とする)したりする。これにより、振れ補正が可能な焦点距離領域での最大の補正可能振れ角度を確保しながら、画像のけられの生じない電子的振れ補正機能を実現することができる。
次に、図6のフローチャートを用いて本実施形態におけるレンズマイコン410の動作を、また図7のフローチャートを用いて同じく本実施形態のカメラマイコン409の動作を説明する。
図6において、ステップ616でスタートすると、ステップ617でそのときに設定されている焦点距離fの値を検出し、次にステップ618で、そのfの値での有効像円を決定する。これは、図5に示したような関係を記憶させたテーブルをマイコン内に設け、このテーブルから読み出すなどの方法となる。
そして、ステップ619で、この決定した有効像円情報をカメラマイコンへ通信する。
また、図7において、ステップ620でスタートすると、ステップ621でレンズ側より、上記図6のフローチャートのステップ619にて通信された有効像円Aの情報を受け取る。
ステップ622では、手ぶれ補正(IS)がONであるかどうかを判断し、OFFの場合は、図3におけるステップ613への移行と同等となり、図3のステップ614,615と同じ処理を行う。
ISがONの場合にはステップ624にて切り出し位置が、CCD221の有効画面の中心から上下左右にどれくらい移動できるかを、例えば走査線本数や画素列数などで決定する。そして、けられないで動かせる範囲を、有効像円情報Aから決める。この際、有効像円情報AとCCD対角長情報Cの値を用いることになる。
そして、どのくらい切り出し位置を可変できるかの値をステップ625で手ぶれ補正機能を制御しているISマイコンなどに通信する。ISマイコン側はこの値をもとに、前述したような動画に違和感の生じないような制御を行う。
以上説明したように、本願第1および第3の発明によれば、撮像された画像を記録するためのデータサイズを、撮影レンズ装置から受信したMTFに関連する情報に対応したデータサイズに設定する。そのため、装着された撮影レンズ装置の解像性能に応じた最適な、すなわち無駄のない使用データサイズ(ファイルサイズ)で画像を記録することができ、効率的な画像記録を行うことができる。
なお、データサイズ又は画像精細度の使用者による選択が可能である場合、選択されたデータサイズ又は画像精細度に対応するデータサイズが、上記制御手段が上記受信したMTFに関連する情報に基づいて設定したデータサイズよりも大きいときに警告動作を行わせてもよい。これにより、効率が悪い撮影であることを使用者に確実に知らせることができる。
また、本願第2および第4の発明によれば、撮影レンズ装置から受信したMTFに関連する情報(指令)に基づいて、撮影レンズ装置内に設けられた光量調節手段の調節範囲(指令)を可変設定するようにしている。そのため、装着された撮影レンズ装置の解像性能に応じた最適な、例えば小絞り回折が発生しない範囲で撮影レンズ装置内の光量調節手段に光量を調節させ、高画質の画像を記録することができる。
なお、上記第1から第4の発明において、撮影レンズ装置から受信するMTF関連情報を、この撮影レンズ装置の焦点距離およびF値のうち少なくとも一方に応じた情報とすれば、より効率的な撮影を行うことができる。
また、本願第5および第7の発明によれば、撮影レンズ装置から受信した有効像円に関連する情報に基づいて、撮像素子上での画像取得範囲の大きさを可変設定するようにしている。そのため、装着された撮影レンズ装置の有効像円に応じた最適な、すなわち無駄のないかつ画像がけられない大きさの画像取得範囲で画像を記録することができ、効率的でけられのない画像記録を行うことができる。
また、本願第6および第7の発明によれば、撮影レンズ装置から受信した有効像円に関連する情報に基づいて、電子的像振れ補正のために撮像素子上において画像取得範囲を移動させることが可能な移動許容範囲を可変設定する。そのため、装着された撮影レンズ装置の有効像円に応じた最適な、すなわち無駄のないかつ画像がけられない最大の移動許容範囲を設定することができ、けられがなく効果的な振れ補正を行うことができる。
なお、撮影レンズ装置から受信する有効像円に関連する情報を、この撮影レンズ装置の焦点距離およびF値のうち少なくとも一方に応じた有効像円に関連する情報とすれば、より有効な像振れ補正を行うことができる。