JP4194361B2 - 光学機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体の明るさに応じて光量調節を行う光学機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ビデオ、デジタルスチルカメラ等の撮像装置には動画撮影と静止画撮影とを行えるものがある。そして、静止画撮影時には、動画撮影時に比べて、静止画という性質上、動画撮影時の信号処理負担の軽減およびテレビフォーマットとの関係等の理由から、動画撮影時に比べて高解像度での撮影が行われることが多い。
【0003】
このため、上記撮像装置に備えられる撮影光学系としても、求められる高解像度に応じた結像性能(例えば、光学レンズの結像性能評価項目の1つであるMTF〈Modulation Transfer Function〉)を有することが必要となる。
【0004】
また、撮影光学系には、被写体の明るさに応じて撮像面に入射する光量を調節し、適正光量での撮影を行うための光量調節装置(絞り)が設けられるのが一般的である。この光量調節装置は、被写体像を撮像するCCD等の撮像素子から得られた映像信号に基づいてその開口径がコントロールされる(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−183778号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、被写体の明るさに応じて光量調節装置をコントロールするだけでは、高解像度撮影に対応した結像性能を得られない場合がある。
【0007】
具体的には、光量調節装置の絞り羽根によって形成される絞り開口の径がある程度小さくなった場合や、絞り羽根とともに設けられたNDフィルタが絞り開口の大部分を覆った(覆いきっていない)場合や、複数濃度のNDフィルタの異なる濃度領域の境界が絞り開口内に存在しているような場合に、いわゆる「中間回折」や「小絞り回折」によりMTFが劣化してしまう。
【0008】
本発明は、撮影に求められる画像解像度に対応した結像性能を確保でき、さらには適正光量での撮影を行えるようにした光学機器を提供することを目的としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の目的を達成するために、本発明の光学機器は、動画の撮影と動画の撮影よりも高い結像性能が必要な静止画の撮影とが可能な光学機器であって、撮影光学系と、撮像素子と、撮影光学系を通して撮像面に入射する光量を調節する光量調節手段と、光量調節手段の状態を検出する検出手段と、光量調節手段及び撮像素子の電子シャッター速度を制御する制御手段とを有する。そして、制御手段は、静止画の撮影を行う場合において、検出手段により検出された光量調節手段の状態を撮影光学系において静止画の撮影に必要な所定の結像性能が得られる状態か否かを判別し、該所定の結像性能よりも低くなる状態と判定したときは、該所定の結像性能以上の結像性能が得られるように光量調節手段の状態を変更するとともに電子シャッター速度を変更することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1には、本発明の実施形態1である撮像装置(光学機器)の撮影レンズ部(撮影光学系)の構成を示している。
【0011】
図1において、5は最も被写体側に配置される固定の第1レンズユニットL1を保持するホルダー本体である。7はその後側にローパスフィルタなどの光学要素(図示せず)とCCDやCMOSセンサなどの撮像素子(図示せず)が固定され、ホルダー本体5と組み合わされて撮影レンズ部の鏡筒を形成する上部ホルダーである。ホルダー本体5と上部ホルダー7は、その内側において2本のガイドバーG1,G2を光軸と略平行に支持する。
【0012】
そして、鏡筒内において、被写体側から順に、バリエーターレンズである第2レンズユニットL2を保持するバリエーター保持枠8と、固定の第3レンズユニットL3を保持する固定保持枠12と、フォーカスレンズである第4レンズユニットL4を保持するフォーカス保持枠9とが、ガイドバーG1,G2によって支持される。
【0013】
このうちバリエータ保持枠8とフォーカス保持枠9とは、ガイドバーG1,G2に沿って光軸方向に移動可能となっている。但し、固定保持枠12は、ホルダー本体5と上記ホルダー7の間に位置決めされて固定される。
【0014】
2つの可動枠であるバリエータ保持枠8とフォーカス保持枠9はそれぞれ、不図示のラック部材を介して、ズームモータユニット10およびフォーカスモータユニット11のリードスクリュー10a,11aに係合している。そして、これらモータユニット10,11の駆動によって光軸方向に駆動され、変倍又は焦点調節を行う。なお、ズームモータユニット10およびフォーカスモータユニット11には駆動源としてステッピングモータが用いられている。また、ズームモータユニット10およびフォーカスモータユニット11は、それぞれを支持する支持プレート10b,11bを不図示のビスによってホルダー本体5に結合することにより、鏡筒に固定される。
【0015】
13は絞りユニット(光量調節手段)であり、上記ホルダー7の切り欠き部7aから鏡筒内に挿入され、鏡筒に固定される。絞りユニット13は第2レンズユニットL2と第3レンズユニットL3との間に配置される。
【0016】
この絞りユニット13の詳細な構成を図2に示す。絞りユニット13では、2つの絞り羽根13d,13eが、上下方向に、かつ互いに反対方向に動くことで、開口径の大きさが変化する。図2には、開放状態を示している。
【0017】
絞り羽根13d,13eには、連結軸部13d1,13e1にて駆動レバー13a1が連結されており、この駆動レバー13a1は、絞り地板13fに固定された、ステッピングモータからなる絞りモータ13aによって揺動駆動される。
【0018】
また、絞り羽根13d,13eの左右には、上下方向に延びるガイド長穴部13d2,13d3,13e2,13e3が形成されており、これらガイド長穴部に絞り地板13fに形成されたガイドピン13f1,13f2が係合することによって、絞り羽根13d,13eが上下方向にガイドされる。
【0019】
このため、絞りモータ13aが作動し、駆動レバー13a1が揺動すると、絞り羽根13d,13eがガイドピン13f1,13f2にガイドされながら上下方向に、かつ互いに反対方向に移動する。
【0020】
一方の絞り羽根13dには、NDフィルタ13gが貼り付けられている。このNDフィルタ13gは単濃度の場合や2濃度又は3濃度以上の場合がある。また、徐々に濃度が変化するグラデーションNDフィルタを用いることもできる。一般的には、単濃度NDフィルタよりも多濃度NDフィルタを用いた方が、中間絞り時の回折による像劣化が軽減できることが知られている。
【0021】
図4には、絞りユニット13により変更されるF値(横軸)とこれを含む撮影光レンズ部のある空間周波数に対する伝達関数であるMTFの値(縦軸)との関係(ここではこれをMTF特性という)を示している。
【0022】
この図において、1は一般的なMTF特性の一例を示すグラフである。通常、MTF特性は、開放状態よりも絞り開口を絞った方が向上する傾向があるが、昨今のビデオやデジタルスチルカメラにおいては、撮像素子の画素ピッチの縮小化に伴い、開放状態から少しでも絞るとすぐに回折の影響や中間回折の影響でMTF値の低下が見られる場合がある。
【0023】
グラフ1で示す例でも、開放状態から絞り開口を少し絞ると、絞り開口にかかってくるNDフィルタの厚み成分や、絞り開口のうちNDフィルタがかかっている領域とNDフィルタがかかっていない領域との透過率の差などから、MTF値の低下が生じている。そして、NDフィルタがかかっていない領域が占める面積が小さくなると、回折(中間回折)によって、MTF値は図中のAで示すF値において最低となる。さらに絞り開口を絞に込むと、NDフィルタは絞り開口の全体を覆うので、MTF値は回復していく。
【0024】
図中にBで示すF値では、MTF値は大きく回復している。しかしその後、Cで示すF値より小絞り側では、小絞り回折によって再びMTF値は低下していく。
【0025】
なお、このグラフ1で示すMTF特性が、図2で説明した絞りユニットにおいて、絞り羽根に貼られたNDフィルタが、例えば2濃度領域を有するNDフィルタである場合の特性とすると、単濃度NDフィルタ(例えば、濃度が2濃度NDフィルタの濃い方の濃度と同一であるもの)のMTF特性は、図4にグラフ2として示すようになる。そして、グラフ2から分かるように、単濃度の場合には、2濃度の場合に比較して特に中間回折時のMTF値の低下が大きくなる。
【0026】
このようなMTF特性を持つ撮影レンズを、動画と静止画の撮影ができる撮像装置、特に撮像素子がテレビジョン方式のフォーマットで定められた走査線本数(例えば、一般のテレビでは525本、ハイビジョンは1125本)に対応する解像度に対して高画素数を有し、テレビ信号を生成するには撮像素子からの映像信号の縮小処理を必要とする一方、静止画撮影時には該縮小処理を行わずに動画よりも高解像度の精細画像を記録できる撮像装置に搭載した場合、動画撮影に際しては、図4に示す第1のMTF値4以上のMTF値であれば必要十分な画質が得られる。
【0027】
これに対し、静止画撮影時には、図4に示す、上記第1のMTF値4よりも高い第2のMTF値3以上のMTF値が必要である。
【0028】
動画撮影時において、単濃度NDフィルタを用いた場合(グラフ2)には、MTF値が目標とする第1のMTF値4を下回る領域が中間絞り領域でも発生する(F値がI〜Jのとき)が、2濃度NDフィルタを用いた場合(グラフ1)では、小絞り回折によるMTFの劣化が発生する、F値がDよりも小絞り側でない限りは、必要な第1のMTF値4以上での撮影が可能となる。
【0029】
本実施形態では、絞り羽根に貼られたNDフィルタは2濃度NDフィルタといする。したがって、F値がDよりも小絞り側以外では、動画撮影時に必要なMTF値は確保できるものとする。すなわち、動画撮影時には、開放からDで示すF値まで使って露出コントロールを行う。また、Dで示すF値でも露出オーバーとなるときには、電子シャッター速度(すなわち、撮像素子の電荷蓄積時間)を、動画として違和感が生じない範囲で速くするなどの対応をとる。
【0030】
一方、静止画撮影時には、必要とするMTF値が第2のMTF値3となるので、2濃度NDフィルタを用いても(グラフ1)、F値がHからGの間であるときと、Eより小絞り側であるときとでは、この必要なMTF値を満たせない。
【0031】
本実施形態では、この第2のMTF値3を満たせない領域にF値がある場合において静止画撮影を行おうとしたときに、第2のMTF値3を満たすように絞りユニットを制御し、さらにこの絞り制御前後のF値の差分だけ電子シャッター速度を変更し、高解像度撮影を最適露出で行えるようにしている。
【0032】
具体的には、例えば、図4に示したMTF特性のデータもしくはこれに相当するデータをテーブルデータなどの形で制御回路内若しくは外付けのメモリに保存しておく。そして、静止画撮影のトリガーがあったときのF値(つまりは絞り開口径)が目標MTF値(第2のMTF値3)を下回るMTF値が得られるF値か否か(言い換えれば、絞りユニットの状態が所定の結像性能よりも低い結像性能が得られる状態か否か)を判別し、目標MTF値を下回るMTF値が得られるF値であるときには、トリガー時点でのF値から最も近い、目標MTF値を確保できるF値を定める。
【0033】
次に、その定めたF値となるように絞りユニットを駆動してその定めたF値を得るとともに、トリガー時点でのF値と新たなF値との差分だけ電子シャッター速度を変更し、この露光動作条件で撮影を行うことにより、十分なMTF値のもとでの静止画撮影を行う。
【0034】
図3には、本実施形態に適した撮像装置の構成を示している。なお、図1および図2に示した構成要素にはこれらの図と同一の符号を付している。
【0035】
221はCCD,CMOSセンサ等からなる撮像素子であり、本実施形態では、対角6mmや4mmで31万個以上の画素を有したもの(ビデオカメラの場合)や、対角8mmで200〜300万個以上の画素を有したもの(デジタルスチルカメラの場合)のように高画素タイプのものである。
【0036】
225はバリエータである第2レンズユニットL2の光軸方向の位置を検出するためのズームエンコーダ、227はフォーカスレンズである第4レンズユニットL4の光軸方向の位置を検出するためのフォーカスエンコーダである。
【0037】
ズームモータユニット10およびフォーカスモータユニット11は、本実施形態では、ステッピングモータであるので、第2および第4レンズユニットL2,L4の光軸方向の位置を検出するには、これらレンズユニット(図1に示す保持枠8,9)を所定の基準位置にリセット移動させた後、ステッピングモータに入力する駆動パルスのパルス数をカウントする。
【0038】
なお、ズームモータユニット10およびフォーカスモータユニット11としては、ステッピングモータに限らず、DCモータや振動型モータを用いることもでき、第2および第4レンズユニットL2,L4の位置を検出するためにエンコーダ以外の検出方式を採用してもよい。
【0039】
226は絞りエンコーダ(検出手段)であり、例えば、絞りユニット13の駆動源である絞りモータ(メータ)13aの内部にホール素子を配置し、ロータとステータの回転位置関係を検出する方式のものである。
【0040】
228はカメラ信号処理回路であり、撮像素子221の出力に対して所定の増幅やガンマ補正などを施す。これらの所定の処理を受けた映像信号のコントラスト信号はAEゲート229、AFゲート230を通過する。すなわち、露出決定およびピント合わせのために最適な信号の取り出し範囲が全画面内の中からこのゲートで設定される。ゲートの大きさは可変であってもよいし、ゲートを複数設けてもよい。
【0041】
231はAF(オートフォーカス)のためのAF信号処理回路であり、映像信号の高周波成分に関する1つもしくは複数の出力を生成する。
【0042】
232は制御回路としてのCPUであり、この撮像装置の制御全体を司る。
【0043】
233はズーミングを行わせるためのズームスイッチである。234はズームトラッキングメモリであり、ズーミングに際しての被写体距離とバリエーターレンズ(第2レンズユニットL2)の位置に応じてとるべきフォーカシングレンズ(第4レンズユニットL4)の位置情報を記憶している。尚、ズームトラッキングメモリとしては、CPU232内のメモリを使用してもよい。
【0044】
例えば、撮影者によりズームスイッチ233が操作されると、CPU232はズームトラッキングメモリ234の情報をもとに算出したバリエーターレンズとフォーカシングレンズの所定の位置関係が保たれるように、ズームモータユニット10とフォーカスモータユニット11を駆動制御する。つまり、CPU232は、ズームエンコーダ225により検出されるバリエータレンズの位置と算出したバリエーターレンズの目標位置とが一致し、かつフォーカスエンコーダ227により検出されるフォーカスレンズの位置と算出したフォーカスレンズの目標位置とが一致するように、ズームモータユニット10とフォーカスモータユニット11を駆動制御する。
【0045】
AF動作では、AF信号処理回路231の出力がピークを示すように、CPU232はフォーカスモータユニット223を駆動制御する。
【0046】
さらに、CPU232は、適正露出を得るために、AEゲート229を通過した映像信号(Y信号)の出力の平均値が所定値となるように、絞りエンコーダ226の出力をモニタしながら絞りモータ224を駆動制御して、絞り開口径(つまりは、撮影レンズのF値)をコントロールする。
【0047】
502はCPU232内に設けられた、前述したMTF特性のテーブルデータが格納されているROM(記憶手段)である。もちろん、外付けのメモリを設け、これにMTF特性のテーブルデータを記憶させてもよい。
【0048】
503は動画撮影用のトリガースイッチ、504は静止画撮影用のトリガースイッチである。505は静止画の記録解像度(画像解像度)を設定するためのスイッチであり、506は電子ビューファーもしくは液晶ディスプレイなどにより構成される電子ファインダである。
【0049】
507は磁気テープや半導体メモリカード、光ディスクなどの記録媒体に静止画情報を書き込む静止画記録回路、508は高画素タイプの撮像素子221からの映像情報をテレビフォーマットの信号に縮小処理する回路である。509は上記記録媒体に動画情報を記録する動画記録回路である。
【0050】
510は撮像素子ドライブ回路であり、CPU232からの指示に基づき、所定の電子シャッター速度(電荷蓄積時間)での電子シャッター動作を所定のタイミングで行うよう撮像素子221を駆動する。
【0051】
不図示のメインスイッチがONされると、撮像装置が記録モードに設定されている状態では、撮像素子221により得られた映像信号は、カメラ信号処理回路228および縮小処理回路508によってNTSC方式やPAL方式等に対応したテレビ信号とされ、該テレビ信号により形成される映像が電子ファインダ506に表示される。
【0052】
このときに最適露出を得るため、CPU232はAEゲート229内のY信号が所定の値となるように絞りモータ13aを駆動するとともに、絞りの状態としての絞り羽根の位置(つまりは絞り開口径)を絞りエンコーダ226で検出する。
【0053】
前述したように、絞り値(F値)が図4にDで示すF値になってもまだ露出がオーバーである場合には、CPU232は撮像素子221の電荷蓄積時間であるシャッター速度をより高速側に設定し、小絞り回折による像劣化を抑制する。
【0054】
この状態で、撮影者により動画トリガースイッチ503が操作され、動画撮影の指示が与えられると、CPU232は動画記録回路509を駆動し、記録媒体に動画情報を記録させる。
【0055】
この動画撮影中もしくは動画記録は行われていないが電子ファインダ506に動画表示がなされている状態で、撮影者により静止画トリガースイッチ504が操作されると、CPU232は静止画記録回路507を駆動し、記録媒体に静止画情報を記録させる。
【0056】
この際、静止画の記録解像度として、例えばVGAと称されるNTSCテレビ信号と同等の低解像度レベルが静止画解像度設定スイッチ505によって設定されていれば、動画撮影中の1フレームの画像がそのまま記録媒体に記録される。なお、静止画記録回路507内に設けられたメモリ511に一旦、高解像度の静止画情報を格納し、そこから記録を行うことにより、動画記録を並行して行うこともできる。
【0057】
一方、静止画の記録解像度として、例えばXGA,SXGAと称されるNTSCテレビ信号よりも高解像度レベルが静止画解像度設定スイッチ505によって設定されている場合には、CPU232は、ROM502に記憶されているMTF特性データから、静止画トリガースイッチ504の操作時点でのF値が、図4に示した第2のMTF値3よりも低いMTF値しか得られないF値であるかどうか、すなわち図4のHからGの範囲もしくはEからDの範囲にあるか否かを判別する。
【0058】
判別したF値が、図4のH〜Gの範囲にあるときには、静止画記録を開始する前に、絞りエンコーダ226の値をモニタしながら絞りモータ13aを駆動して、F値をH又はGの値とする。ここで、本実施形態では、Hの値およびGの値のうち、静止画トリガースイッチ504の操作時点でのF値に近い方のF値を選択する。
【0059】
なお、このF値の選択については、静止画トリガースイッチ504の操作時点でのF値よりも小絞り側のF値とするというように、動かす方向を定めておく方法もある。
【0060】
このようにして、静止画解像度設定スイッチ505によって設定された記録解像度での静止画記録に対応できるMTF値が得られるF値に変更した後、そのF値で適正露出が得られるように、AEゲート229の出力が最適値になる電子シャッター速度を定める。その後、この露光動作条件での静止画記録が行われる。
【0061】
図5は、本実施形態におけるCPU232の静止画撮影時の動作を表すフローチャートである。
【0062】
ステップ(図ではSとする)601で静止画トリガースイッチ504が操作されると、CPU232は本フローの動作をスタートする。
【0063】
ステップ602では、CPU232は、静止画解像度設定スイッチ505によって設定された記録解像度を読み取る。
【0064】
次に、ステップ603にて、CPU232は、この設定された記録解像度に必要なMTF値が、図4に示す第2のMTF値3以上か否かを判別する。テレビフォーマットの動画記録と同等の静止画記録解像度が設定されている場合には、図4に示す第1のMTF値4程度のMTF値でよいので、ステップ614に進む。一方、テレビフォーマットの動画よりも高解像度の静止画記録解像度が設定されている場合には、第2のMTF値3以上のMTF値が求められるので、ステップ604に進む。
【0065】
ステップ604では、CPU232は、現状(静止画トリガースイッチ504が操作された時点で)のF値を、絞りエンコーダ226を通じて読み取る。そして、ステップ605では、読み取ったF値とROM502に記憶されたMTF特性データとを比較する。
【0066】
すなわち、まずステップ606で、CPU232は、現状のF値が図4のH〜Gの間にあるかどうかを判別する。H〜Gの間にある場合は、現状のMTF値は、設定された記録解像度に対して不足しており、ステップ608へ進む。一方、H〜Gの間にない場合には、ステップ607に進み、更に現状のF値が、小絞り回折が発生し得るE〜Dの間にあるかどうかを判別する。E〜Dの間にもない場合には、現状のF値によって、設定された記録解像度での静止画記録に十分なMTFを得られるので、ステップ614に進み、現状のF値で、かつ現状のF値に対応した電子シャッター速度での静止画記録を行い、ステップ615で本フローを終了する。
【0067】
これに対し、現状のF値がH〜Gの間にあり、ステップ608に進むと、CPU232は、F値がG又はHのうち近い方の値となるように(もしくは小絞り側のGの値になるように)絞りモータ13aを駆動する。
【0068】
そして、ステップ609で、CPU232は、F値がGの値となったかどうかを判別し、Gの値となるまで絞りモータ13aを駆動した後、ステップ610に進む。
【0069】
ステップ610では、CPU232は、電子シャッター速度(電荷蓄積時間)の設定変更を行う。ここでは、AEゲート230内のY信号の出力が、上述した現状のF値の場合と同じ所定値になるように電子シャッター速度を変更する。これにより、F値が変更されても、適正露出を得ることができる。
【0070】
そしてステップ611で、適正露出のための電子シャッター速度が決まると、ステップ614で静止画記録を行い、ステップ615で本フローを終了する。
【0071】
また、ステップ607で、現状のF値がEとDの間にある場合には、ステップ612〜613で、ステップ608〜609と同様にしてF値をEの値に変更し、さらにステップ610〜611にて電子シャッター速度を変更した上でステップ614で静止画記録を行い、ステップ615で本フローを終了する。
【0072】
(実施形態2)
上述した実施形態1の場合、高解像度の(図4に示す第2のMTF値3以上のMTF値を必要とするような)静止画撮影のトリガーがかかることにより、まずF値の変更設定と電子シャッター速度の変更設定を行い、その後に実際の静止画記録が行われる。これらの一連の動作は、それほどの時間を要さずに完了することが十分可能であるが、それでも非常に短いシャッタータイムラグ(撮影者が静止画撮影のトリガーをかけてから実際に静止画が記録されるまでの時間差)を要求するような場合には、この時間が問題となる。
【0073】
この点に対処するため、本実施形態では、静止画トリガースイッチ504に2つのスイッチ段階、すなわち第1(例えば、半押し)段階および第2(例えば、全押し)段階を設け、第1段階の操作で撮影準備動作として上述したF値の変更設定と電子シャッター速度の変更設定を行い、第2段階の操作で直ちに静止画記録を行うようにしている。
【0074】
本実施形態におけるCPU232の静止画撮影時の動作を表すフローチャートを図6に示す。基本的な動作は、実施形態1と同じであり、共通するステップには実施形態1(図5)と同符号を付して説明に代える。また、本実施形態が適用される撮像装置の構成は実施形態1で説明した撮像装置と同じものであり、共通する構成要素には同符号を付す。
【0075】
図6のフローチャートでは、実施形態1のフローチャートのうち、ステップ601とステップ602との間にステップ601aが追加され、ステップ603およびステップ607のNO側からステップ610に進むようにした上でその間にステップ603aが追加されている。さらにステップ611のYES側とステップ614との間にステップ611aが追加されている。
【0076】
ステップ601でスタートとすると、CPU232は、次にステップ601aで、静止画トリガースイッチ504の第1段階(S1)の操作(ON)がなされたかどうかを判別する。S1のONがなされていなければそのまま待機する。すなわち、通常の動画撮影動作(又は動画表示動作)を行う。そして、S1のONがなされると、ステップ602以降に進む。ここから後のステップは、実施形態1とほぼ同じである。
【0077】
但し、ステップ603において、静止画解像度設定スイッチ505によって設定された記録解像度に必要なMTF値が、図4に示す第2のMTF値3よりも低い(第1のMTF値4程度である)場合、つまり設定された記録解像度がNTSCテレビフォーマットに準じた低解像度である場合には、ステップ603aに進む。
【0078】
また、ステップ607において、現状のF値が、小絞り回折が発生し得る図4に示したE〜Dの間にもないと判別した場合には、現状のF値によって、設定された記録解像度(高解像度)での静止画記録に十分なMTF(第2のMTF値3以上のMTF値)を得られるとして、ステップ603aに進む。
【0079】
そして、ステップ603aでは、CPU232は、現状のF値が固定(保持)されるよう絞りユニット13の動作を禁止する。
【0080】
こうして現状のF値が固定された状態でステップ610に進む。ステップ6110〜ステップ611aでは、CPU232は、被写体の明るさ(Y信号の平均値の)変化に応じて、最適露出が得られるように連続的に電子シャッター速度を変更しながら、静止画トリガースイッチ504の第2段階(S2)の操作(ON)がなされるまで待つ。そして、ステップ611aでS2のONがなされたことを判別すると、直ちに静止画記録を実行し(ステップ614)、本フローを終了する(ステップ615)。
【0081】
このように本実施形態では、S2がONされたときには既に、設定された高解像度に対応したMTFが確保されている(低解像度記録が設定されているときも同様である)ので、真の静止画撮影トリガー(S2のON)から静止画記録が行われるまでの時間をきわめて短くすることができる。
【0082】
なお、S1のONにてF値を固定した状態で被写体の明るさが大きく変わると、電子シャッター速度が大きく変化し、最高または最低の電子シャッター速度でも最適露出が得られなかったり、スローシャッターになりすぎて、手振れの影響を受けやすくなったりするおそれがある。このような場合には、撮影者に何らかの警告(ファインダ表示など)を行ってこれを知らせることで、一旦S1のONを解除させ、再びS1がONされた時点でF値を固定するようにすればよい。
【0083】
(実施形態3)
上記実施形態1,2では、現状のF値が設定された高記録解像度での撮影に必要なMTF値(図4に示した第2のMTF値3)が得られないF値である場合には、まずこのF値を上記必要なMTF値が得られるF値に変更し、その後、撮像素子221からの映像信号が最適露出を得るための所定値となるように電子シャッター速度(電荷蓄積時間)を決めている。ここで、例えばNTSCテレビフォーマットの場合、1/60秒ごとに1フィールド画像が生成されるが、最適な電子シャッター速度が得られるまでに例えば10フィールドが必要とすると、それだけで1/6秒の時間が掛かってしまう。
【0084】
このため、実施形態1では静止画トリガースイッチ504の操作から記録終了までに要する時間が長くなり、実施形態2では静止画トリガースイッチ504の第1段階の操作(S1ON)から第2段階の操作(S2ON)が行えるようになるまでに要する時間が長くなる。
【0085】
そこで本実施形態は、この電子シャッター速度が得られるまでの時間を短縮するものである。
【0086】
本実施形態では、例えば実施形態2で説明したS1がONされて、現状のF値が高解像度撮影に必要なMTF値(図4に示した第2のMTF値)が得られるF値ではない(F値の変更が必要)と判別され、新たなF値(ここではGで示すF値とする)への変更を行う前に、EV値(EV=AV+TV)が変化しないように、以前のF値とGで示す新たなF値のとの差に相当するAV値(アペックス演算の際に用いる値)分だけTV値を補正するために、この補正するTV値分だけまず電子シャッター速度を変更してしまう。
【0087】
図7には、本実施形態におけるCPU232の静止画撮影時の動作を表すフローチャートを示している。基本的な動作は、実施形態2と同じであり、共通するステップには実施形態2(図6)と同符号を付して説明に代える。また、本実施形態が適用される撮像装置の構成は実施形態1で説明した撮像装置と同じものであり、共通する構成要素には同符号を付す。
【0088】
図7のフローチャートでは、実施形態2のフローチャートのうち、ステップ606のYES側とステップ608との間にステップ606aが追加され、ステップ607のYES側とステップ612との間にはステップ607aが追加されている。また、ステップ609のYES側とステップ611との間からステップ610を削除した上でこれらの間にステップ609aを追加している。さらに、実施形態2のステップ610に相当するステップ610aは、ステップ611のNO側から同ステップへの繰り返し経路内に設けられている。
【0089】
ステップ606aとステップ607aはそれぞれ、現状のF値が図4に示す第2のMTF値3より低いMTFしか得られないものであるとステップ606又はステップ607で判別された直後に行われるステップである。ステップ606又はステップ607での判別時に、現状のF値を変更する目標F値(例えば、GやE)が判っているので、同じ露出(EV値)となる新たな電子シャッター速度NAを算出することができる。そして、ステップ609aでこの電子シャッター速度への変更設定が行われる。
【0090】
なお、新たな電子シャッター速度NAは、演算により求めてもよいし、CPU232内に記憶された変換テーブルを用いるようにしてもよい。
【0091】
(実施形態4)
上述した実施形態1〜3では、図2に示したように、絞り羽根13d,13eに一体的にNDフィルタ13gを貼り付けた絞りユニットを用いた撮像装置であって、高画質の撮影(記録)画像を得るために、静止画撮影時に必要なMTFを確保した上で撮影を行う方法について説明した。これに対して、本実施形態では、絞り開口径を制御する絞り羽根とは別に、絞り開口に対向する領域にNDフィルタを挿脱して光量を調節するNDフィルタ独立駆動型の撮像装置を想定したものである。このような撮像装置に、上記実施形態1〜3を適用しても、これら実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
図8には、絞り羽根とは別に独立駆動型のNDフィルタを有する絞りNDユニット(光量調節手段)を分解して示している。この絞りNDユニットは、図1および図3で示した撮影レンズ部における絞りユニット13の配置位置と同じ位置に配置されるものである。
【0093】
図8において、99aは中央に固定開口99a3が形成されたユニット地板である。99bは絞り駆動用の駆動源で、メータもしくはステッピングモータなどが用いられる。
【0094】
99cは駆動源99bの出力軸に一体的に取り付けられた出力レバーであり、その先端部99c2は、ユニット地板99aに形成された円弧状の長穴部99a2を貫通して、風車99dの腕部99d3に形成された連動穴部99d2に係合する。
【0095】
風車99dは、ユニット地板99aにより固定開口99a3の回りに保持され、光軸を中心として回動する。風車99dには、周方向6箇所に軸部99d1が設けられている。また、ユニット地板99aにおける風車99dの外周側には、6枚の絞り羽根99eの回転中心となる軸部99a1が周方向に6箇所、設けられている。
【0096】
各絞り羽根99eには、ユニット地板99aの軸部99a1が回動可能に嵌合する穴部99e1が形成されている。また、各絞り羽根99eには、風車99dに設けられた軸部99d1が係合する長穴部99e2も形成されている。このため、駆動源99bとともに出力レバー99cが回転し、この回転に連動して風車99dが回転すると、各絞り羽根99eは穴部99e1を中心として回動し、これにより6枚の絞り羽根99eで形成される絞り開口の径が変化する。
【0097】
一方、99fはNDフィルタ駆動用の駆動源であり、メータやステッピングモータが用いられる。この駆動源99fの出力軸は、ユニット地板99aに形成された穴部99a4を貫通し、その先端にはレバー99gが一体的に設けられている。レバー99gの先端部99g2は、NDフィルタ99hを保持するNDベース99h4に形成された長穴部99h11に係合している。これにより、駆動源99fとともにレバー99gが回転すると、NDベース99h4(つまりはNDフィルタ99h)が、NDベース99h4に形成された長溝部99h12,99h13と不図示のガイドピンとの係合によってガイドされながら、矢印99h14で示す方向に移動する。
【0098】
NDフィルタ99hは、互いに濃度(透過率)が異なる3つの濃度領域99h1〜99h3を有する。
【0099】
このように構成された絞りNDユニットにおいては、駆動源99b,99fとしてのメータの内部に設けたホールセンサを用いて、若しくは駆動源99b,99fとしてステッピングモータを用いた場合には所定の基準位置(例えば、開放位置)からの入力パルス数をカウントすることによって、絞りの状態(絞り開口径、つまりはF値)や、NDフィルタ99hのどの濃度領域が絞り開口のどこまでを覆っているかという状態を把握することができる。
【0100】
図9には、本実施形態の撮像装置のシステム構成を示している。なお、図9において、実施形態1(図3)と同じ構成要素には同符号を付して説明に代える。また、図8に示した絞りNDユニットのうち絞り部分はSTと、NDフィルタ部分はNDと示し、図8に示した駆動源99b,99fについては図9においても同符号を用いる。
【0101】
521は撮影者による記録解像度の選択を可能とする記録解像度選択スイッチであり、実施形態1と同様に静止画の記録解像度の選択だけでなく、動画についても複数の記録解像度のうちいずれかを選択することができるようになっている。
【0102】
522は撮影者による撮影モードの選択を可能とするための撮影モード選択スイッチである。上記各実施形態では、動画撮影もしくは動画表示中に静止画撮影を行う場合について説明したが、本実施形態では、撮影モード選択スイッチ522により、最初から動画のみを撮影する動画撮影モードと静止画のみを撮影する静止画撮影モードの設定ができる。
【0103】
525は絞りNDユニットのNDフィルタの位置を検出するためのNDエンコーダ(検出手段)であり、絞りエンコーダ226とは別に設けられている。
【0104】
図10には、図9に示した撮像装置に用いられる撮影レンズ部のMTF特性を示している。この図では、縦軸にMTF値を、横軸にNDフィルタの移動量(絞り開口に対向する領域への進入度合い)をとっており、F4,F5.6,F8の各F値におけるNDフィルタの移動量に対するMTFの変化の様子を示している。このMTF特性は、NDフィルタが単濃度であるか多濃度であるかや、濃度設定や、各濃度領域の幅などによって左右されるが、ここでは定性的傾向を示す一例を表している。
【0105】
なお、CPU231内のROM502には、このようなNDフィルタの移動量に対するMTF特性を表すデータテーブルと、図4に示した絞り開口径に対するMTF特性を表すデータテーブルとが記憶され、これらを併せ用いて絞りNDユニットの制御が行われる。
【0106】
図10において、いずれのF値においても、NDフィルタが絞り開口に対向する領域への進入を開始し(移動量0)、さらに移動していくと、中間回折によりMTFが低下する。多濃度NDフィルタの場合には、図10に示すように、中間でMTFが低下した後一度回復し、再び低下するというような場合もある。例えば、図10にP1で示す位置では、MTFはかなり低下している。この状態が撮影に使えるかどうかは記録解像度の設定状況によって異なるが、例えばこのP1の位置では設定された記録解像度に対するMTFが不十分である場合、MTFを向上させてから記録する必要がある。
【0107】
上述した実施形態1〜3では、静止画撮影トリガーもしくはS1ONにより絞り開口径を変化させてF値を変更し、MTFが十分となるF値とした状態で電子シャッター速度を設定して最適露出で記録を行うこととした。これに対し、本実施形態では、NDフィルタが絞り羽根とは別個に移動するので、より高いMTFを得るために、絞り開口径を変化させる以外にNDフィルタを移動させるという手段がある。
【0108】
例えば、図10のP1でのMTFを向上させるためには、NDフィルタの位置を動かさなくてもP1からP2→P3へと絞りを開けることにより、MTFを向上させることができる。そして、この絞り開口径の変更と同時に、これによって変更したAV値分だけTV値が変化するように電子シャッター速度を変更することにより最適露出を維持できる。
【0109】
また、絞り開口径を変更せずに、P1からP4あるいはP5へとNDフィルタを移動させることによっても同様にMTFを向上させることができる。
【0110】
すなわち、本実施形態では、絞り羽根もしくはNDフィルタ、あるいはその両方を用いてF値を変更することで、設定された記録解像度での撮影に必要な撮影レンズ部のMTFを得る。この場合、実施形態1〜3に比べて、F値を変更するための手段が増えているので、例えば、絞り優先AEの設定がされているような場合にNDフィルタを移動させてF値を変更し、必要なMTFを得るというように、必要なMTFを確保するための自由度が増す。
【0111】
さらに、図9に示した撮影モード選択スイッチ522が設けられている撮像装置では、前述したように、静止画のみを撮影し、動画撮影を行わないモードを設定できる。この場合、実施形態1〜3のように、静止画撮影トリガーやS1ONがなされてからMTF条件が合致するように絞り羽根やNDフィルタを駆動するという制御を行わずに、常時必要なMTFが確保されるように制御すればよい。すなわち、電源をONした時点で、静止画撮影モードと判別された場合には、常時、必要なMTFが得られるように絞りNDユニットを制御し続けることにより、静止画撮影トリガーやS1ONがなされるとすぐに静止画記録を行うことができる。
【0112】
図11には、静止画撮影モードと判別された場合に、常時、必要なMTFを得られるように絞りNDユニットを制御する場合のプログラム線図のイメージを示している。この図11において、横軸はF値を、縦軸は電子シャッター速度を示す。また、図中のvとwは同じEV値となる線を示している。
【0113】
図中の点P00で示す状態は、絞り羽根およびNDフィルタを開放とし、電子シャッター速度を最も低速側した場合を示す。この条件でもまだ露出アンダーの場合には、撮像素子からの出力のゲインを上げるなどの手段で最適露出を得ることができる。
【0114】
このP00から、このグラフ中のa→b→c・・・→gと太線をたどって、より明るい被写体に対する露出制御、すなわち絞り羽根とNDフィルタの位置設定および電子シャッター速度の設定が行われる。
【0115】
但し、F値がRからSの間とTからUの間の場合は、必要なMTFが得られないので使用しない。
【0116】
また上述したように、図中のvとwの線上では同じEV値となるので、P03とP04、P06とP07は同じEV値の最適露出が得られる状態となっている。このことから、例えばP03の状態でも露出オーバーであれば、P04の状態となるように絞り羽根を絞ったりNDフィルタを濃い領域が絞り開口にかかるように移動させたりすると同時に、電子シャッター速度を低速化することになる。
【0117】
但し、P03からP04に移行する間又はP06からP07に移行する間に静止画撮影トリガーが入ると、P04又はP07に至るまで記録を待たなければならず、シャッタータイムラグが増加することも考えられる。このため、例えば、S1ONのときにP03もしくはP06の状態でも露出オーバーの場合、そのまま図中に白抜き矢印で示すように電子シャッター速度を高速化して最適露出を得るように制御し、S1ONでない場合のみP03からP04への移行又はP06からP07への移行を行うようにしてもよい。また、それぞれの移行にヒステリシス特性を設け、頻繁に2点間の移行が行われないようにしてもよい。
【0118】
このように、特に静止画撮影モードが設定されている場合に、常にMTFが不利となる条件で撮影が行われないように制御することが可能である。
【0119】
(実施形態5)
上述した実施形態4では、動画撮影モードと静止画撮影モードの選択が可能であり、静止画撮影モードが高いMTFが要求されるモードであるとした場合について説明したが、静止画撮影の中や動画撮影の中でも画像解像度を選択可能とし、その選択された解像度に関する情報に基づいて、それぞれの解像度に適した絞りNDフィルタの制御を行うようにしてもよい。
【0120】
例えば、静止画撮影の中で、VGA,XGA,SXGA,UXGAなどの画像解像度(ドット数)を選択できる場合には、図4に示した第2のMTF値3を画像解像度ごとに設ける。これにより、選択可能な画像解像度に対してきめ細かに必要なMTFを確保することができる。
【0121】
また、動画撮影の中で、「高画質動画」と「通常動画」という解像度選択ができる場合には、高画質動画の撮影時には、通常動画撮影に必要なMTFよりも高いレベルのMTFが得られないようなF値の範囲を使わないような制御を行うことが考えられる。
【0122】
(実施形態6)
上述した各実施形態では、絞り開口径やNDフィルタの進入度合い又はその両方に応じたMTF特性をテーブルデータとして持つ場合について説明したが、MTFの値が、さらに撮影レンズ部の焦点距離に応じて変化することが考えられる。この場合には、データテーブルを所定数に分割された焦点距離領域ごとに設けるようにするとよい。
【0123】
(実施形態7)
上述した各実施形態では、動画撮影と静止画撮影とを選択的に行える撮像装置について説明したが、本発明は、動画撮影のみ又は静止画撮影のみ行える撮像装置であって、撮影画像の解像度を選択できるものにも適用することができる。
【0124】
(実施形態8)
上述した各実施形態では、撮影レンズ部(撮影光学系)の結像性能の評価値としてMTFを用いた場合について説明したが、OTF(Optical Transfer Function)等、他の評価値を用いてもよい。
【0125】
(実施形態9)
以上説明した各実施形態では、撮影レンズ一体型の撮像装置について説明したが、本発明は、交換型の撮影レンズ装置(光学機器)にも適用することができる。この場合、撮影レンズ装置内に、図4に示したMTF特性のデータを記憶してMTF特性上でのF値の判定およびその変更動作(すなわちMTF制御)や撮像装置本体への電子シャッター速度の変更指令の送信を行うCPU等の制御回路を設け、撮像装置本体にて該変更指令に応じて電子シャッター速度を変更するようなシステム構成とすればよい。また、撮像装置本体側で設定された撮影モードの設定情報を撮影レンズ装置側に通信し、撮影レンズ装置側でのMTF制御に利用するようにしてもよい。
【0126】
さらに、以上説明した各実施形態は、以下に示す各発明を実施した場合の一例でもあり、下記の各発明は上記各実施形態に様々な変更や改良が加えられて実施されるものである。
【0127】
〔発明1〕 撮影光学系と、
前記撮影光学系を通して撮像面に入射する光量を調節する光量調節手段と、
前記光量調節手段の状態を検出する検出手段と、
前記光量調節手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記光量調節手段の状態が、前記撮影光学系の結像性能が所定の結像性能よりも低くなる状態か否かを判定し、前記所定の結像性能よりも低くなる状態と判定したときは、前記所定の結像性能以上の結像性能が得られるように前記光量調節手段の状態を変更することを特徴とする光学機器。
【0128】
これにより、光量調節手段が、撮影に求められている画像解像度に必要な結像性能(所定の結像性能)に対して低い結像性能しか得られない状態であっても、自動的に結像性能が上記所定の結像性能以上となるように光量調節手段を制御することができるので、求められている解像度の画像を確実に撮影することができる。
【0129】
〔発明2〕 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記光量調節手段の開口状態を変更することを特徴とする発明1に記載の光学機器。
【0130】
〔発明3〕 前記光量調節手段は、通過光量を減衰させる光学フィルタを有しており、
前記制御手段は、前記光学フィルタによる通過光量の減衰状態を変更することを特徴とする発明1又は2に記載の光学機器。
【0131】
〔発明4〕 前記光量調節手段の状態と結像性能との関係を表すデータを記憶する記憶手段を有しており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記光量調節手段を制御することを特徴とする発明1から3のいずれかに記載の光学機器。
【0132】
〔発明5〕 前記結像性能がMTFであることを特徴とする発明1から4のいずれかに記載の光学機器。
【0133】
〔発明6〕 第1の撮影動作と該第1の撮影動作よりも高い結像性能が必要な第2の撮影動作が可能であり、
前記所定の結像性能は、前記第2の撮影動作に対応する結像性能であることを特徴とする発明1から5のいずれかに記載の光学機器。
【0134】
〔発明7〕 前記第1の撮影動作が動画の撮影動作であり、前記第2の撮影動作が静止画の撮影動作であることを特徴とする発明6に記載の光学機器。
【0135】
〔発明8〕 前記第1の撮影動作が所定の画像解像度での撮影動作であり、前記第2の撮影動作が前記所定の画像解像度よりも高い画像解像度での撮影動作であることを特徴とする発明6に記載の光学機器。
【0136】
これら発明6から8によれば、静止画撮影等の高解像度撮影を確実に行うことができる。
【0137】
〔発明9〕 前記制御手段は、前記光量調節手段の状態を変更するとともに、他の露光動作の条件を変更することを特徴とする発明1から8のいずれかに記載の光学機器。
【0138】
〔発明10〕 前記他の露光動作の条件が、シャッター速度であることを特徴とする発明9に記載の光学機器。
【0139】
これら発明9,10によれば、最適な露出を維持しながら、必要な結像性能を確保することができる。
【0140】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光量調節手段が自動的に静止画撮影に必要な所定の結像性能が得られる状態に制御されるので、静止画撮影における結像性能不足の発生を少なくすることができる。しかも、光量調節手段の状態を変更するとともに電子シャッター速度を変更するので、所定の結像性能を得ながら適正露出を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1である撮像装置の撮影レンズ部の構成を示す分解斜視図である。
【図2】上記撮影レンズ部に設けられる絞りユニットの正面図である。
【図3】上記撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図4】上記撮影レンズ部のF値(絞り開口径)に対するMTF特性を示すグラフ図である。
【図5】上記撮像装置におけるCPUの静止画撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2である撮像装置におけるCPUの静止画撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態3である撮像装置におけるCPUの静止画撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態4である撮像装置に設けられる絞りNDユニットの分解斜視図である。
【図9】上記実施形態4の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図10】上記実施形態4の撮像装置におけるNDフィルタの移動量に対するMTF特性を示すグラフ図である。
【図11】上記実施形態4の撮像装置における絞りNDユニットを制御するためのプログラム線図である。
【符号の説明】
L1〜L4 レンズユニット
3 第1のMTF値
4 第2のMTF値
10 ズームモータユニット
11 フォーカスモータユニット
13 絞りユニット
13d,13e,99e 絞り羽根
13g,99h NDフィルタ
Claims (6)
- 動画の撮影と該動画の撮影よりも高い結像性能が必要な静止画の撮影とが可能な光学機器であって、
撮影光学系と、
撮像素子と、
前記撮影光学系を通して前記撮像素子に入射する光量を調節する光量調節手段と、
前記光量調節手段の状態を検出する検出手段と、
前記光量調節手段及び前記撮像素子の電子シャッター速度を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記静止画の撮影を行う場合において、前記検出手段により検出された前記光量調節手段の状態が、前記撮影光学系の結像性能が前記静止画の撮影に必要な所定の結像性能よりも低くなる状態か否かを判定し、
前記所定の結像性能よりも低くなる状態と判定したときは、前記所定の結像性能以上の結像性能が得られるように前記光量調節手段の状態を変更するとともに、前記電子シャッター速度を変更することを特徴とする光学機器。 - 前記制御手段は、前記検出手段により検出された前記光量調節手段の開口状態を変更することを特徴とする請求項1に記載の光学機器。
- 前記光量調節手段は、通過光量を減衰させる光学フィルタを有しており、
前記制御手段は、前記光学フィルタによる通過光量の減衰状態を変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学機器。 - 前記光量調節手段の状態と結像性能との関係を表すデータを記憶する記憶手段を有しており、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶されたデータを用いて前記光量調節手段を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光学機器。 - 前記結像性能がMTFであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の光学機器。
- 前記動画の撮影が所定の画像解像度での撮影であり、前記静止画の撮影が前記所定の画像解像度よりも高い画像解像度での撮影であることを特徴とする請求項1から5のいずれかにに記載の光学機器。
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