JP5196379B2 - 制御装置、制御モデル調整装置及び制御モデル調整方法 - Google Patents

制御装置、制御モデル調整装置及び制御モデル調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、制御モデルのパラメータを変更することで制御モデルと現実の制御対象の一致度を高める制御モデル調整装置及び制御モデル調整方法、更にこれらを備えた制御装置に関する。
特に、熱間圧延の巻取温度制御に用いる板温推定モデルやトンネル換気制御における煤煙濃度推定モデルのように制御モデルが複雑で、制御モデルと現実の制御対象の乖離に対応したモデルパラメータの変更量を代数的な演算で算出できない場合に好適な、制御モデル調整装置及び調整方法に関する。
制御モデルを調整する従来方法として、例えば、特許文献1には、熱間圧延の巻取り冷却制御において、実際に測定した仕上げ圧延機の出側温度や圧延ロールの回転速度から制御モデルを用いて予測した鋼板の巻取温度と実際に測定した巻取温度との差を評価し、予測巻取温度を実測巻取温度に近付けるように制御モデルを補正する学習手段を備える方法が示されている。また特許文献2には、予測した鋼板の巻取温度と実際に測定した巻取温度との差を評価した後、制御モデルを学習するのではなく、巻取り冷却における鋼板の温度降下量の目標値(または鋼板の目標巻取り温度)を補正する手法が示されている。
特開2004−34122号公報 特開2006−122987号公報
しかしながら、これら従来の手法には、以下のような問題があった。
特許文献1に開示された手法では、制御モデルを用いて予測した鋼板の巻取り温度と実際に測定した巻取り温度との差に対して、制御モデルの該当パラメータをどれくらい変更すべきか明確でない。このため、通常は学習の安定に配慮し、変更量を小さく設定してパラメータを修正することになるが、制御モデルのパラメータ変更を完了するのに複数回の修正処理を必要とするため、パラメータ変更完了までの間、巻取り温度の制御精度が低下するという問題があった。一方、変更量を大きく設定してパラメータを修正することもできるが、この場合はパラメータ変更処理が不安定になるためパラメータが増減を繰り返し、パラメータ変更が完了しない恐れがあった。この結果、変更量を小さく設定してパラメータを修正する場合と同様に、巻取り温度の制御精度が低下するという問題は回避できなかった。
特許文献2の手法でも、通常、鋼種、板厚、圧延速度、目標巻取り温度等が前後の鋼板で異なり、巻取り温度はこれらに影響されるため、制御モデルを用いて予測した鋼板の巻取り温度と実際に測定した巻取り温度との差に対して、次回冷却する鋼板の目標巻取り温度をどれくらい変更すべきか明確にすることができなかった。したがって、目標巻取り温度を毎回適切に補正できないため、巻取り温度の制御精度が低下するという問題があった。
なお、これらの手法において、適切な制御モデルのパラメータ変更量や目標巻取り温度補正量をテーブル等の形で制御装置にあらかじめ備えておくことも考えられる。しかし、制御モデルを用いて予測した鋼板の巻取り温度と実際に測定した巻取り温度との差に対して、鋼板の鋼種、板厚、圧延速度、目標巻取り温度、仕上げ圧延機からの出側温度等の組み合わせ(以下、制御条件)のそれぞれに対して適切なパラメータ変更量や温度補正量を備えるのは簡単ではなく、テーブルの構築や値の調整に多大かつ継続的な労力を必要とする問題があった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、制御モデルを用いた制御を行うときに、制御モデルを用いて推定した結果(予測制御量)と実測した結果(実績制御量)に乖離があったときに、板厚、板速、目標温度等の制御条件に依存することなく、制御モデルの該当パラメータを的確に修正する制御モデル調整装置及び調整方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、制御対象の入力と出力の関係を記述した制御モデルを有し、制御対象から目標制御量を得るために制御対象に入力する操作量を、制御モデルを用いた演算により算出するプリセット制御手段を備えている。また、制御モデルを用いた演算で、制御対象の出力である第1の制御量を算出する第1の制御量算出手段と、制御モデルの所定のパラメータを微小な値δだけ変更した後、変更後の制御モデルを用いた演算で第2の制御量を算出する第2の制御量算出手段を備える。
更に、リセット制御手段が算出した操作量で実際に制御対象を制御して得られる実績制御量と、第1の制御量算出手段が算出した第1の制御量と、第2の制御量算出手段が算出した第2の制御量から、目標制御量と実績制御量との偏差を低減する方向に所定のパラメータを修正して制御モデルに出力する制御モデル修正量算出手段とを含む
本発明の制御装置によれば、まず、第1の制御量算出手段が、制御モデルに調整対象パラメータの現在使用されている値を用いて予測制御量C1を算出する。そして、第2の制御量算出手段は、制御モデルの調整対象パラメータを微小な値δだけ変化させ、同様の演算で予測制御量C2を算出する。制御モデル修正量算出手段は、実績制御量Caに対して、(Ca−C1)/(C2−C1)・δ により制御モデル修正量を算出する。そして算出された値を調整対象パラメータに加算し、調整対象パラメータを更新する。(Ca−C1)は制御モデルの誤差を示している。一方、制御モデルの所定のパラメータをδだけ変化させると、制御モデルの出力は(C2−C1)変化する。以上から(Ca−C1)の制御モデル誤差を解消するには、調整対象パラメータを(Ca−C1)/(C2−C1)・δだけ修正すればよいことが分かる。
以上のとおり、本発明によれば、制御モデルのパラメータ修正を完了するのに複数回の演算が必要なくなるので、制御モデルの修正を速やかに行うことができる。また、テーブルに情報を蓄えておく必要はないので、テーブルの構築や値の調整に多大かつ継続的な労力を必要とするという問題がなくなる。
本発明の第1の実施形態例の制御装置及び制御対象の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられるプリセット制御手段の機能を説明するためのブロック図である。 図2のプリセット制御手段の構成要素である目標巻取り温度テーブルの例を示した図である。 図2のプリセット制御手段の構成要素である速度パターンテーブルの例を示した説明図である。 図2のプリセット制御手段の構成要素である冷却ヘッダー優先順位テーブルの例を示した説明図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられる冷却ヘッダーのヘッダー開閉パターンと制御コードの対応図である。 図2に示すプリセット演算部が実行するアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。 図7のフローチャートの中の板温の推定演算の処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の実施形態例に用いられるダイナミック制御手段の機能ならびに動作を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられるダイナミック制御手段の構成要素である第1の影響係数テーブルの例を示した図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられるダイナミック制御手段の構成要素である第2の影響係数テーブルの例を示した図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられるダイナミック制御手段の構成要素である第3の影響係数テーブルの例を示した図である。 本発明の第1の実施形態例に用いられるモデル調整起動手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の実施形態例に用いられる第1の制御量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 図14で説明した第1の制御量算出手段における処理のうち、巻取り温度推定の処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の実施形態例に用いられる第2の制御量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 図16で説明した第2の制御量算出手段における処理のうち、巻取り温度推定の処理を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1の実施形態例に用いられる制御モデル修正量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態例の制御装置及び制御モデル調整装置の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第2の実施形態例に用いられるデータ蓄積手段に蓄積されるデータテーブルの例を示した図である。 本発明の第2の実施形態例に用いられるデータ選定手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態例に用いられる制御モデル修正量蓄積手段に格納されるデータテーブルを示した図である。 本発明の第2の実施形態例に用いられる制御モデル修正量転送手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例の制御装置及び制御対象の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の第3の実施形態例に用いられる運転案生成手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられる制御モデル演算手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられる運転案評価手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられるメンバシップ関数の例を示した図である。 本発明の第3の実施形態例に用いられる運転方式決定手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられる第1の制御量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられる第2の制御量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3の実施形態例に用いられる制御モデル修正量算出手段の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態例を図1〜32に示す図面に基づいて説明する。
通常、簡単な演算で制御モデルを用いたプリセット制御では、モデル予測制御を高精度に行うことができ、制御モデルの継続的な調整が不要になる。
この手法を熱間圧延鋼板の巻取り制御に使用した場合には、簡易な演算で鋼板長手方向のどの部位においても、高精度な巻取り温度が得られる。この結果、鋼板の組成品質を向上させることができ、同時に、平坦に近い巻取り鋼板形状を得ることができる。
<本発明の第1の実施の形態例>
図1は、本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の概略構成を示すブロック図である。制御装置100は、制御対象150から種々の信号を受信するとともに、制御対象を制御するための各種の制御信号を制御対象150に出力する。
まず、制御対象150について、その概要を説明する。本例では、制御対象150が熱間圧延の巻取り温度制御設備の例を示している。本例の制御対象150は、圧延機152のミル157で圧延された900℃程度の鋼板151を巻取り冷却装置153で所定の温度に冷却し、ダウンコイラ154で巻取る圧延装置である。タンデム圧延では、7つ程度のミルで連続圧延されるため、図1のミル157は、最終スタンドのミルに対応する。また、ステッケルミルのように1スタンド往復圧延の場合もあるが、本発明はいずれにも適用できる。
巻取り冷却装置153には、鋼板151の上側から水冷する上部冷却装置158と、鋼板151の下側から水冷する下部冷却装置159が備えられており、各冷却装置はそれぞれ、水を放出する冷却ヘッダー160が一定本数組み合わされたバンク161を複数個備えている。本例では、各冷却ヘッダー160の操作指令が開と閉である場合を例に説明する。
ミル出側温度計155は、圧延152で圧延された直後の鋼板の温度を計測し、巻取り温度計156はダウンコイラ154で巻取る直前の温度を計測する。この巻取り温度制御の目的は、巻取り温度計156で計測された温度を目標温度に一致させることである。この目標温度は、コイル長手方向の各部位で一定になるようにしてもよいし、先行端を各部位に応じて異なった値に設定するようにしてもよい。
次に、制御装置100の構成について説明する。制御装置100は、鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されるのに先立って、各冷却ヘッダー160の開閉パターンに対応した制御指令を、制御モデル103を参照して鋼板長手方向を適当な長さで区分したセクション毎に算出するプリセット制御手段102を備えている。
また、鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されているときに、巻取り温度計156の測定温度やミル157のロール回転速度等の実績をリアルタイムに取り込むデータ受信手段101と、このデータ受信手段101の出力を取り込み、制御指令の変更量を算出するとともにモデル調整起動手段106に起動許可信号を生成して出力するダイナミック制御手段104を備えている。
更に、データ選定手段107が設けられ、このデータ選定手段107において、プリセット制御手段102で使用した、鋼板151の鋼種や板厚、及び巻取り温度の目標値等の情報と、ダイナミック制御手段104で使用した、巻取り温度の実績値、ロール回転速度から算出した鋼板151の速度等のデータを取り込み、巻取り温度の推定に必要なデータが選定されて出力される。
また、制御装置100は、モデル調整起動手段106により起動され、データ選定手段107からの出力を用い、制御モデル103を参照して巻取り温度を推定する第1の制御量算出手段108と、同じくモデル調整起動手段106により起動され、データ選定手段107の出力を用い、制御モデル103の所定のパラメータをあらかじめ定められた値だけ変化させた上で、これを参照して巻取り温度を推定する第2の制御量算出手段109を備えている。
また、制御装置100は、制御モデル修正量算出手段110を備え、この制御モデル修正量算出手段110で、第1の制御量算出手段108と第2の制御量算出手段109、更にデータ選定手段107から必要なデータを取り込み、プリセット制御手段102が制御モデル103を用いて予測した巻取り温度と実際に検出された巻取り温度の乖離が減少する方向に、制御モデル103のパラメータを修正するようにしている。そして、操作量算出手段105により、プリセット制御手段102にダイナミック制御手段104の出力を加算した制御指令を、各冷却ヘッダー160の開閉パターンに変換する制御を行っている。
ここで、各冷却ヘッダー160の開閉パターンの集合を「ヘッダーパターン」と称し、以下、各部の動作を詳細に説明する。
図2は、図1に示したプリセット制御手段102の構成を示した機能ブロック図である。図2に示すように、プリセット制御手段102は、目標巻取り温度テーブル201、速度パターンテーブル202、冷却ヘッダー優先順位テーブル203と、これらのテーブルから情報を取り込み、制御モデル103を用いた演算によりヘッダーパターンに対応した操作量を算出するプリセット演算部204を備えている。
図3は、目標巻取り温度テーブル201の構成を示している。すなわち、図3は、鋼板の種類(鋼種)に対応して目標温度を示した例であり、例えば、SUS304のときは750℃を目標として巻取り冷却制御することを示している。プリセット演算部204は、次回冷却制御される鋼板の鋼種を判定して、目標巻取り温度テーブル201から対応する目標温度を抽出する。
図4は、図2の速度パターンテーブル202の一例であり、圧延機152がタンデムミルの場合の速度パターンの例を示している。図4では、鋼種、板厚、板幅の組み合わせからなる層別に、ミル157から鋼板151の先端が払い出されるときの速度(初期速度)、鋼板151の先端がダウンコイラ154に巻き取られるまでの加速度(第1加速度)、最大速度に達するまでの加速度(第2加速度)、最大速度、最大速度から終期速度まで減速するときの減速度、及び終期速度が格納されている。
図2に示すプリセット演算部204は、該当コイルの鋼種、板厚、板幅を判定して、速度パターンテーブル202から対応する速度パターンを抽出する。例えば、鋼種がSUS304、板厚2.0〜3.0mm、板幅が1200mmのときには、初期速度650mpm、第1加速度2mpm/s、第2加速度12mpm/s、最大速度1050mpm、減速度6mpm、終期速度900mpmが抽出されることを示している。
図5は、図2の冷却ヘッダー優先順位テーブル203の一例を示したものである。以下では、ヘッダーの総数が上下とも100の場合を例に説明する。実際は設備に応じて種々の本数になるが、この場合でも本発明を同様に適用できる。図5は、100個のヘッダーの開放順位に、1〜100の優先順位を付与したもので、鋼種、板厚、ヘッダー区分(上ヘッダーまたは下ヘッダー)のそれぞれの組み合わせ毎に、優先的に開放する冷却ヘッダーの順序が格納されている。この優先順位は、鋼板151に冶金特性上要求される冷却速度、冷却効率、表面と内部の許容温度差、温度の計測性等に配慮して決定される。例えば、鋼板の冶金特性上、圧延後直ちに急冷したい場合には、圧延機152に近いヘッダーから順に高い優先順位を付与する。また鋼板151が厚い場合には、復熱を利用して表面と内部の温度差を許容値の範囲内に抑える目的で、開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与することもある。
更に、温度の計測性への配慮として、ミル出側温度計155の流水による計測性の低下を防ぐ目的で、ミル157に近いヘッダーの優先順位を下げる場合等もある。図5の例では、これらに配慮した冷却ヘッダー優先順位が、鋼種や板厚により層別されて格納されている。また鋼種によっては一定時間の中間温度保持が要求されるものもあり、その場合は前半ヘッダーで水冷、中間ヘッダーでは温度保持のため空冷、後半ヘッダーで再び水冷を実現するようにヘッダー優先順位が付与される。ここで、図1に示すプリセット制御手段102が、目標巻取り温度が得られる本数の冷却ヘッダーが開放するように制御する。バンク、冷却ヘッダーには、ミル157に近い順に番号がつけられており、例えば(1,1)は、第1バンクの第1冷却ヘッダーを表している。したがって、図5の(20,4)は、ミル157の出側から最も離れた位置にある20番目のバンクの第4冷却ヘッダーを表すことになる。
図5から判るように、鋼種がSUS304、板厚が2.0〜3.0mm、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には、(1,1)、(1,2)、(1,3)、(1,4)、(1,5)、(2,1)、・・・・・、(20,4)、(20,5)の順で、優先的に開放することを示している。すなわち、ミル157出側のヘッダーから順に優先的に開放することを示す。また鋼種がSUS304、板厚が5.0〜6.0mm、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には、(1,1)、(1,4)、(2,1)、(2,4)、(3,1)、(3,4)、・・・・・、(20,3)、(20,5)の順で、優先的に開放することを示している。すなわち開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与している。本例では、上ヘッダーと下ヘッダーの優先順位を同一としたが、異なる優先順位を付与することもできる。
本発明の実施の形態例では、冷却ヘッダーパターンに対応する制御出力として、冷却ヘッダーのパターンを制御コードで表現している。図6は、制御コードと冷却ヘッダー開閉パターンの対応関係を示したものである。制御コードは、閉じられているヘッダーの数と対応し、0が全開、100が全閉を示している。以下、優先順位1の冷却ヘッダーのみが開放されているヘッダー開閉パターンを99、優先順位1と2の二つの冷却ヘッダーが開放されているヘッダー開閉パターンを98のように制御コード化している。
すなわち、すべての冷却ヘッダーが開放された状態の制御コードを0、すべての冷却ヘッダーが閉成した状態の制御コードを100(100は上または下の冷却ヘッダーの総数)とする。そして、例えば、鋼種がSUS304、板厚が2.0〜3.0mm、冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合であれば、ヘッダーの優先順位にしたがって、(1,1)のみ開の状態を制御コード99とし、(1,1)、(1,2)が開の状態を制御コード98とし、(1,1)、(1,2)、(1,3)が開の状態を制御コード97としている。この要領で、以下、全ヘッダーが開放されている状態の制御コードである0まで、ヘッダーの開放パターンに制御コードを付与している。
図7は、図2に示すプリセット演算部204が実行するアルゴリズムを説明するためのフローチャートである。まず、プリセット演算部204は、目標巻取り温度を実現するヘッダーパターンを、制御モデル103(図1参照)を用いた演算により制御コードの形で算出する(ステップS7-1)。本例では、線形逆補間法により制御コードを算出する例を示している。
次に、ステップS7-1で速度パターンテーブル202から取り込んだ冷却鋼板に対応した層別の値をもとに、鋼板151のミル157払い出し時における第1加速開始位置、第2加速開始位置、定常速度開始位置、定常速度から終期速度に移行するための減速開始位置を算出し、鋼板151のミル157での払い出し開始からダウンコイラ154での巻取り完了までの速度パターンを計算する。第1加速開始位置SL1s、第2加速開始位置SL2s、定常速度開始位置SLcs、減速開始位置SLds、減速完了位置SLdeは、以下の数1式〜数5式でそれぞれ算出できる。
(数1)
SL1s=Lsc ただし Lsc:定数
(数2)
SL2s=Lmd
但し、Lmd:ミル157からダウンコイラ154までの距離
(数3)
(V1a)2=Lmd×2×Acc1+Vmax×Vmax
SLcs={Lmd+(Vmax−V1a)/Acc2×(Vmax+V1a)/2}

ただし V1a:第1加速終了速度
Acc1:第1加速度、Acc2:第2加速度、Vmax:最大速度
(数4)
SLds={Striplen−(Vmax−Vf)/Dcc×(Vmax+Vf)/2−dccmargin}

ただし Striplen:鋼板長さ、Vf:終期速度、Dcc:減速度、
dccmargin:鋼板151がミル157の尻抜けのどれくらい前で減速を完了
するかのマージン
(数5)
SLde={Striplen−dccmargin}
ステップS7-1で算出した速度パターンにしたがって、ステップS7-2以降では、目標温度を実現するヘッダーパターンを、制御モデル103を用いた演算で算出する。本例では、鋼板を長手方向に区分したセクションを定義し、各セクションについて線形逆補間法にしたがって、ヘッダーパターンを算出する。
まず、鋼板151の各セクションについて、解の制御コードを挟むような二つの制御コードnL、nHを定義する(ステップS7-2)。ここでは冷却ヘッダーの全開と全閉の間に解が存在することから、一律にnL=0、nH=100とする。
ここで制御コードの増加に伴って、開放している冷却ヘッダー数が単純に減少するので、n1<n2のとき、これらのヘッダーパターンに対応した目標温度Tc1、Tc2について、Tc1<Tc2が成立する。次に、nLとnHの平均の制御コードn0を求め(ステップS7-3)、続いて、制御コードn0に対応した各セクションの中間または巻取り温度Tc0を、制御モデル103を用いた演算で推定する(ステップS7-4)。
次に、各セクション毎に目標温度Ttargetに対する推定温度Tc0の符号を判定し、Tc0>Ttarget の場合は、n0とnLの間に解があるので、n0を新たにnHとおく。逆にTc0<Ttarget の場合は、n0とnHの間に解があるので、n0を新たにnLとおく(ステップS7-5)。
次に、アルゴリズムの終了条件が満足しているか否かが判定され(ステップS7-6)、満足していない時は、ステップS7-3〜S7-5の実行を繰り返す。なお、アルゴリズムの終了条件としては、
(a)ステップS7-3〜S7-5の一定回数以上の繰り返しを完了したこと、
(b)推定温度Tcと目標温度Ttargetの偏差が一定値以下となったこと、
(c)n0がnH、nLのいずれかと一致したこと、
のいずれかの成立を条件として、判定すれば良い。制御コード付与の方法としては、本例とは逆に、すべての冷却ヘッダーが閉した状態の制御コードを0、すべての冷却ヘッダーが開放した状態の制御コードを100として付与することもできる。
図8は、図7のステップS7-4に対応する温度推定演算の詳細な処理を示すフローチャートである。本例の温度推定演算方法では、鋼板151を長手方向に分割し、ミル157での払い出し開始から鋼板尾端が巻取り温度計156を通過するまでの間を、一定刻みΔtで時刻を進めて鋼板151の冷却挙動を差分計算している。
まず、計算時刻の更新がなされ、図7のステップS7-1で生成した速度パターンに基づいて、その該当時刻の板速Vtが計算される(ステップS8-1)。
続いて、ステップS8-1で算出した板速を用いて、現時刻におけるミル157での払い出し長さLnが計算される(ステップS8-2)。ここで、払い出し長さLnとは、圧延を終えてミルから払い出された鋼板の長さであり、数6式で計算できる。ただしLn-1は、一段階前の計算時刻の払い出し長さである。
(数6)
Ln=Ln-1+Δt・Vt
次に、演算の完了を判定する(ステップS8-3)。ここでは、ミル払い出し長さLnが、鋼板151の全長にミル157から巻取温度計156の距離を加えた値より大きくなった時、鋼板1本に対応した巻取温度予測計算がすべて終了しているので、演算が完了したと判定される。
演算が完了していないと判定された場合には、続いて、鋼板の温度トラッキングが行われる(ステップS8-4)。すなわち、前時刻の鋼板の位置に対して、Δtだけ時間が経過した後に鋼板がどれだけ進むかがLnとLn-1の関係から分かるので、鋼板の温度分布を対応した距離だけ移動する処理を行う。その後、Δtの間に、新たにミルから排出された鋼板151にミル出側温度を設定する(ステップS8-5)。そして、当該時刻に鋼板151の各部位の上下部に存在するヘッダーの開閉の情報に基づいて、各部位における冷却が水冷か空冷かを判定する(ステップS8-6)。ステップS8-6で水冷であると判定された場合は、例えば数7式にしたがって、水冷の条件で熱伝達係数が計算される(ステップS8-7)。
(数7)
hw=β*9.72*1050.355*{(2.5-1.15*logTw)*D/(pl*pc)}0.646/(Tsu-Tw)
ただし ω:水量密度
Tw:水温
D:ノズル直径
pl:ライン方向のノズルピッチ
pc:ラインと直交方向のノズルピッチ
Tsu:鋼板151の表面温度
β:熱伝達係数補正項に対応する定数
数7式は、いわゆるラミナー冷却の場合の熱伝達係数である。水冷方法としてはこの他にスプレー冷却等、種々の方法があり、いくつかの熱伝達係数の計算式が知られている。また冷却方式が同じでも、数式としては最新の実験的知見を反映する等で異なったものになる場合もある。
一方、ステップS8-6で、空冷であると判定された場合は、例えば数8式にしたがって、空冷の条件で熱伝達係数が計算される(ステップS8-8)。
(数8)
hr=β*σ・ε[{(273+Tsu)/100}4−{(273+Ta)/100}4]/(Tsu-Ta)
ただし σ:ステファンボルツマン定数(=4.88)
ε:放射率
Ta:空気温度(℃)
Tsu:鋼板151の表面温度
このように、数7式と数8式に代表される熱伝達係数を求める式を用いて、鋼板151の表と裏の冷却状態に従って熱伝達係数を計算し、鋼板151の表面での熱移動量をそれぞれ定量化する。そして、鋼板151の各部位の温度を、Δt経過する前の温度をもとに、Δt間の熱量の移動を加減算することで計算し、ミル157と巻取温度計156の間の鋼板の温度分布を算出する(ステップS8-9)。このステップS8-9で求める温度分布は、鋼板151の厚み方向の熱移動を無視する場合であれば、鋼板151の長手方向の各部位について数9式で計算することができる。
(数9)
Tn=Tn-1−(ht+hb)*Δt/(ρ*C*B)
ただし Tn:現在の板温
Tn-1:Δt前の板温
ht:鋼板表面の熱伝達係数
hb:鋼板裏面の熱伝達係数
ρ:鋼板の比重
C:鋼板の比熱
B:鋼板の厚み
また、鋼板151の厚み方向の熱伝導を考慮する必要がある場合には、数10式で表される、一般的な熱方程式を解くことで計算できる。鋼板151を厚み方向に分割して計算機で差分計算する方法は、種々の文献で公開されている。
(数10)
∂T/∂t={λ/(ρ*C)}(∂2T/∂z2)
ただし λ:熱伝導率、T:材料温度、z:鋼板151の厚み方向の座標
最後に、ミル157から巻取り温度計156までの、ライン内の鋼板長手方向で必要な計算が完了したか否かが判断され(ステップS8-10)、計算が完了していない場合は、ステップS8-6〜S8-9を繰り返す。
また、ステップS8-10で、ライン内の鋼板長手方向で必要な計算が完了したと判定された場合には、再びステップS8-1に戻り、ステップS8-3で演算の終了を判定されるまで、ステップS8-1〜S8-10を繰り返す。図8の演算が完了すると、鋼板151の全長に対して、長手方向の各セクションに対応して、数11式のように制御コードnが付与される。
(数11)
n(n1,n2,n3,n4,n5,n6,n7,n8,・・・・,ni,・・・・)
=(80,80,79,79,78,78,78,78,・・・・,48,・・・・)
ただし i:セクション番号
ここで、図1のプリセット制御手段102が出力した制御コードnは、ダイナミック制御手段104により、実際に鋼板151が冷却されるタイミングで、リアルタイムで補正される。
図9は、図1に示すダイナミック制御手段104の構成及びその機能を説明するための機能ブロック図である。上述したように、図1のプリセット制御手段102が出力する制御コードnは、鋼板151を冷却制御中に、ダイナミック制御手段104によりリアルタイムで補正される。
図9に示すように、ダイナミック制御手段104は、巻取り温度偏差補正手段901と、ミル出側温度偏差補正手段902と、速度偏差補正手段903と、補正量の計算時に使用する影響係数テーブル904を備えている。
巻き取り温度偏差補正手段901は、データ受信手段101(図1参照)を介して受け取った巻取り温度計156からの検出温度と目標巻取り温度との偏差を補正する機能を有する手段である。
ミル出側温度偏差補正手段902は、ミル出側温度計155からの検出温度を用いて、これとプリセット制御演算時に想定した冷却前温度との偏差を補正する機能を有する手段である。また、速度偏差補正手段903は、ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し、この算出結果とプリセット制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正する機能を有する手段である。
上記3つの補正手段901〜903で補正された補正量の総和は、操作量合成手段911で鋼板151の長手方向の各部位毎に、制御コードの変化量に換算され、ダイナミック制御手段104から出力される。
次に、各部位の動作を詳細に説明する。影響係数テーブル904は、制御コードnの変化に対する巻取り温度の変化を格納した第1の影響係数テーブル905と、鋼板速度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第2の影響係数テーブル906と、冷却前温度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第3の影響係数テーブル907を備えている。各テーブル905〜907の内容は、図10〜12で後述される。
図10は、第1の影響係数テーブル905の例を示している。第1の影響係数テーブル905には、冷却ヘッダー160の一つを開放または閉成したときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である∂Tc/∂n(℃)が、板厚、板速、制御コードnで層別されて格納されている。
図10の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm以下、制御コードnが9以下の場合には、巻き取り温度の変化量(∂Tc/∂n)が、3.0℃であることを意味している。このことは、冷却ヘッダー160を一つ開放または閉成すると、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが3.0℃、低下または上昇することを示している。この層別項目は減らすこともできるが、鋼種やミル出側温度等を更に追加して増やすことも考えられる。
図11は、第2の影響係数テーブル906の一例を示したものである。図11に示すように、第2の影響係数テーブル906には、鋼板151の速度を1mpm増加、または減少させたときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である ∂Tc/∂V(℃/mpm)が、板厚、板速、制御コードで層別されて格納されている。
図11の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm以下、制御コードnが9以下の場合には、(∂Tc/∂V)=2.2℃/mpmとなっている。このことは、鋼板151の速度を1mpm増加または減少させると、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが2.2℃だけ低下または上昇することを示している。層別項目は、第1の影響係数テーブル905と同様に、減らすこともできるし、鋼種やミル出側温度等を更に追加して増やすことも考えられる。
図12は、第3の影響係数テーブル907の一例を示したものである。図12に示すように、第3の影響係数テーブル907には、ミル出側温度計155で計測した鋼板151の冷却前温度が1℃増加または減少したときの巻取り温度Tcの変化量に対応した数値である∂Tc/∂Tfが、板厚、板速、制御コードで層別されて格納されている。
図12の例では、板厚が3mm以下、鋼板151の速度が150mpm以下、制御コードnが9以下の場合には、(∂Tc/∂Tf)=0.9となることを示している。このことは、ミル出側温度の計測値が1℃高い、または低い場合には、巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tcが0.9℃増加または減少することを示している。なお、層別項目は、第1あるいは第2の影響係数テーブル905、906と同様に、減らすこともできるし、鋼種やミル出側温度等を更に追加することも考えられる。
次に、図9に示した巻取り温度偏差補正手段901の処理について詳細に説明する。巻取り温度偏差補正手段901は、一定周期で起動され、巻取り温度フィードバック制御が行われる。すなわち、巻取り温度偏差補正手段901は、図9に示すように、巻取り温度の目標温度に対する偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算するための、巻取り温度偏差補正量算出手段908を備えている。この巻取り温度偏差補正量算出手段908は、プリセットで想定したTcと巻取り温度計156で計測したTcの差分を取り込んでいる。そして、更に第1の影響係数テーブル905から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/∂n)を取り込み、数12式にしたがった演算により、制御コードの変更量Δn1を計算している。なお、制御コードnは、0または自然数(正の整数)であるが、偏微分として表現する際には、制御コードnを連続する数であるとし、nを1変化させたときの巻き取り温度の変化量との意味で、「∂Tc/∂n」という記号を用いることとする。
(数12)
Δn1=G1・{1/(∂Tc/∂n)}・ΔTc
ただし Δn1:巻取り温度FB制御による制御コード変更量
G1:定数(巻取り温度FB制御ゲイン)
(∂Tc/∂n):第1の影響係数テーブル905から抽出した該当層別の影響係数
ΔTc:巻取り温度偏差
一方、ミル出側温度偏差補正手段902も、巻取り温度偏差補正手段901と同様に一定周期で起動され、ミル出側温度偏差フィードフォワード制御が行われる。すなわち、ミル出側温度偏差補正手段902は、図9に示すように、プリセット計算時に想定したミル出側温度とミル出側温度計155で検出されたミル出側実績温度の偏差の大きさに対して、適切な制御コードの変更量を計算するミル出側温度偏差補正量算出手段909を備えている。
このミル出側温度偏差補正量算出手段909は、プリセットで想定したミル出側温度Tfと、ミル出側温度計155で計測したTfの差分ΔTfを取り込む。そして、更に第1の影響係数テーブル905と第3の影響係数テーブル907から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/∂n)と(∂Tc/∂Tf)を取り込んで、数13式の演算により、制御コードの変更量Δn2をセクション毎に計算する。
(数13)
Δn2=G2・(∂n/∂Tf)・ΔTf
=G2・{1/(∂Tc/∂n)}・(∂Tc/∂Tf)・ΔTf
ただし Δn2:ミル出側温度偏差FF制御による制御コード変更量
G2:定数(ミル出側温度FF制御ゲイン)
(∂Tc/∂Tf):第3の影響係数テーブル907から抽出した該当層別の影響
係数
ΔTf:ミル出側温度偏差
数13式に基づいて計算されたΔn2は、操作量合成手段911に出力される。
また、図9に示す速度偏差補正手段903も、巻取り温度偏差補正手段901及びミル出側温度偏差補正手段902と同様に一定周期で起動されて、速度偏差フィードフォワード制御が行われる。すなわち速度偏差補正手段903は、図9に示すように、プリセット計算時に想定した鋼板速度と、実際の鋼板速度の偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する速度偏差補正量算出手段910を備えている。そして、速度偏差補正量算出手段910は、プリセットで想定した鋼板速度と実績速度の偏差ΔVを取り込み、更に第1の影響係数テーブル905と、第2の影響係数テーブル906から、現在の状態に該当した層別の影響係数(∂Tc/∂n)、(∂Tc/∂V)を取り込んで、数14式の演算により、制御コードの変更量Δn3をセクション毎に計算する。
(数14)
Δn3=G3・(∂n/∂V)・ΔV
=G3・{1/(∂Tc/∂n)}・(∂Tc/∂V)・ΔV
ただし Δn3:板速偏差FF制御による制御コード変更量
G3:定数(板速偏差FF制御ゲイン)
(∂Tc/∂V):第2の影響係数テーブル906から抽出した該当層別の影響
係数
ΔV:板速偏差
この速度偏差補正手段903で計算されたΔn3も、図9の操作量合成手段911に出力される。
ここで、鋼板速度は、ミル157のロールの回転速度とロール径から計算されるロール速度を、先進率と呼ばれる係数で補正することにより計算される。また、ダウンコイラ154の回転速度と鋼板151を巻いていくことによる巻き太り量を考慮した実質コイラ径から、鋼板速度を算出することもできる。圧延中はミル157の情報から鋼板速度を算出し、鋼板151がミル157を抜けてからは、ダウンコイラ154の情報から鋼板速度を算出するのが普通である。また、速度偏差補正手段903を一定周期でなく、速度偏差が生じたことによるイベントで起動することもできる。
図9に示す操作量合成手段911は、巻取り温度偏差補正量算出手段908が算出したΔn1と、ミル出側温度偏差補正量算出手段909が算出したΔn2と、速度偏差補正量算出手段910が算出したΔn3を加算して、各鋼板セクションの操作量を算出する。そして、ダイナミック制御手段104(図1参照)が計算した補正量を出力し、この値にしたがって、プリセット制御手段102が出力した制御コードが修正される。
また、図1の操作量算出手段105は、ダイナミック制御手段104により修正された制御コードnを、冷却ヘッダー優先順位テーブル203を参照して各ヘッダーの開閉に変換し、これをヘッダーパターンとして、制御対象150の巻取り冷却装置153に送信する。
図13は、図1に示すモデル調整起動手段106の処理(動作)を説明するためのフローチャートである。まず、モデル調整起動手段106は、ダイナミック制御手段104からモデル調整の実行可否判定に必要な情報を取り込み、モデル調整実行の許可タイミングを生成する。ここで、モデル調整実行の許可タイミングとは、次のセットアップを行うタイミングのことであり、このタイミングは適宜設定される。つまり、必要な情報が集まったら直ちにモデル調整を実行するのではなく、セットアップからセットアップまでの適当な時間にモデル調整の許可を与えればよい。
次に、冷却制御されている当該鋼板について、巻取り温度偏差補正手段901が1回目のフィードバック制御を実施したかどうかを判定する(ステップS13-1)。このステップS13-1でフィードバック制御が実施されていないと判定されたときは、この判定処理を継続し、1回目のフィードバック制御が実施されたときは図1のデータ選定手段107を起動する(ステップS13-2)。データ選定手段107がモデル調整起動手段106に起動されると、データ選定手段107は、プリセット制御手段102から鋼種、板厚、板幅、目標巻取り温度、制御コード、採用したヘッダー優先順位等を取り込む。また、ダイナミック制御手段104から巻取り温度実績、鋼板151の速度実績、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の部位(セクション番号)等を取り込み、第1の制御量算出手段108と第2の制御量算出手段109に出力する。更に制御モデル修正量算出手段110に目標巻取り温度と実績巻取り温度を出力する。
続いて、第1の制御量算出手段108と第2の制御量算出手段109を起動する(ステップS13-3)。本例では、モデル調整の実行可能判定を、巻取り温度偏差補正手段901が1回目のフィードバック制御を実施したかどうかを判定することで行った。しかし、このモデル調整の実行判定は、制御量である巻取り温度が、プリセット制御手段102が算出した操作量であるヘッダー開閉指令(制御コード)に対応し、しかも安定した状態でデータを採取することが目的であり、この目的が達せられれば別のタイミングでも良いことはいうまでもない。また、調整の迅速化を目的に、モデル調整の実行可能判定タイミングを1回目のフィードバック制御の実施タイミングとしたが、モデル調整効果としては何回目のフィードバック制御の実施タイミングを採用しても良い。
本例では、第1の制御量算出手段108と第2の制御量算出手段109の起動タイミングを、ステップS13-2の処理終了直後としたが、この起動タイミングは、次回冷却する鋼板151が巻取り冷却装置に進入する直前までの間の適当なタイミングに設定することもできる。
図14は、図1に示す第1の制御量算出手段108の実行する処理(動作)を説明するためのフローチャートである。まず、第1の制御量算出手段108は、データ選定手段107から送信されたデータを受信する(ステップS14-1)。そして、このステップS14-1で受信したデータを用いて、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の部位に対応した巻取り温度を、制御モデル103を参照して推定する(ステップS14-2)。この巻き取り温度の推定のためのステップS14-2の処理については、図15に基づいて詳細に説明する。次に、第1の制御量算出手段108は、算出した巻取り温度を制御モデル修正量算出手段110に出力する。
図15は、上述したように、図14のステップS14-2の処理内容を詳細に説明するためのフローチャートである。この演算は、図8で示したプリセット演算における巻取り温度推定演算と類似であるが、鋼板全体の温度を計算する必要はなく、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の部位に対応した位置(以下、「エレメント」と称する)に着目して計算すればよい。
図15に示すとおり、まず、このエレメントにミル出側温度を設定する(ステップS15-1)。図15におけるステップS15-2〜S15-3の処理は、図8のステップS8-1〜S8-2の処理と同様の処理になる。すなわち、ステップS15-2で時刻を更新し、該当時刻の板速を計算する(ステップS15-2)。そして、該当時刻におけるエレメントの位置を特定する(ステップS15-3)。
また、図15のステップS15-4〜S15-6の処理は、図8のステップS8-6〜S8-8の処理と同様の処理になる。つまり、エレメントの境界条件が水冷か空冷かを判定する(ステップS15-4)。水冷であれば、水冷の境界条件で熱伝達係数を計算し(ステップS15-5)、空冷であれば空冷の境界条件で熱伝達係数を計算する(ステップS15-6)。そして、エレメントが巻取り温度計156に到達したかどうかを判定する(ステップS15-7)。このステップS15-7で、巻取り温度計156に到達していないと判定されたときには、ステップS15-2〜S15-6の処理を繰り返す。ステップS15-7で、エレメントが巻取り温度計156に到達したと判定されたときには、巻取り温度の算出結果を確定する(ステップS15-8)。そして、ステップS15-8で確定した値は、図14のステップS14-3の処理により、図1の制御モデル修正量算出手段110に送られる。
図16は、第2の制御量算出手段109が実行する処理(動作)を説明するためのフローチャートである。まず、第2の制御量算出手段109は、データ選定手段107から送信されたデータを受信する(ステップS16-1)。そして、このデータ選定手段107から受信したデータを用いて、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の部位に対応した巻取り温度を、所定の係数を変化させた制御モデル103を参照して推定する(ステップS16-2)。このステップS16-2の処理の詳細は図17に基づいて説明する。最後に、ステップS16-2で算出した巻取り温度を制御モデル修正量算出手段110に出力して、第2の制御量算出手段109の処理が終了する。
図17は、図16のステップS16-2の処理内容を詳細に説明するためのフローチャートである。この図17の演算は、図15で示した演算とほぼ同様であり、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の位置に対応した部位(以下、「エレメント」と称する)に着目して計算すればよい。ここでは、まず、制御モデル103の所定の係数を変化させる例として、水冷熱伝達係数にαを乗じている(ステップS17-1)。すなわち、既述の数7式を数15式に変更し、数8式を数16式に変更して、以下の計算に使用するようにしている。
(数15)
hw=α*β*9.72*1050.355*{(2.5-1.15*logTw)*D/(pl*pc)}0.646/(Tsu-Tw)
ただし ω:水量密度
Tw:水温
D:ノズル直径
pl:ライン方向のノズルピッチ
pc:ラインと直交方向のノズルピッチ
Tsu:鋼板151の表面温度
β:熱伝達係数補正項
(数16)

hr=α*β*σ・ε[{(273+Tsu)/100}4−{(273+Ta)/100}4]/(Tsu-Ta)

ただし σ:ステファンボルツマン定数(=4.88)
ε:放射率
Ta:空気温度(℃)
Tsu:鋼板151の表面温度
次に、このエレメントにミル出側温度を設定する(ステップS17-2)。そして、時刻を更新し、該当時刻の板速を計算する(ステップS17-3)。続いて、該当時刻におけるエレメントの位置を特定し(ステップS17-4)、エレメントの境界条件が水冷か空冷かを判定する(ステップS17-5)。以下、ステップS17-6からステップS17-9までの処理は、図15のステップS15-5〜S15-8までの処理とまったく同一の処理がなされる。すなわち、ステップS17-5で水冷と判定されれば、水冷の境界条件で熱伝達係数が計算され(ステップS17-6)、空冷と判定されれば空冷の境界条件で熱伝達係数が計算される(ステップS17-7)。また、エレメントが巻取り温度計156に到達したかどうかが判定され(ステップS17-8)、巻取り温度計156に到達していないときには、ステップS17-3〜S17-8までの処理を繰り返す。エレメントが巻取り温度計156に到達したと判定されたときは、巻取り温度の算出結果を確定し(ステップS17-9)、この値は、図16のステップS16-3の処理で、制御モデル修正量算出手段110に送られる。
図18は、図1の制御モデル修正量算出手段110が実行する処理(動作)を説明するためのフローチャートである。制御モデル修正量算出手段110は、第1の制御量算出手段108と、第2の制御量算出手段109が算出した巻取り温度の差にしたがって、制御モデル103が実際の巻取り冷却装置153の振舞いと一致する方向に制御モデル103の調整パラメータの値を修正する。
ここで、本例における調整パラメータの修正とは、数7式と数8式に示した、推定熱伝達係数に乗じる補正項βの修正を示している。まず、制御モデル修正量算出手段110は、データ選定手段107から送信された鋼種、板厚、1回目のフィードバック制御で巻取り温度を検出した鋼板151の位置に対応した部位(エレメント番号)、検出された巻取り温度、巻取り温度目標値、ミル出側温度、冷却仕様等のデータを取り込む(ステップS18-1)。
次に、第1の制御量算出手段108が予測した巻取り温度及び第2の制御量算出手段109が予測した巻取り温度を取り込む(ステップS18-2)。続いて、数17式により、影響係数(∂Tc/∂β)を算出する(ステップS18-3)。
(数17)
(∂Tc/∂β)=(Tc1−Tc2)/(α−1)
ただし Tc1:第1の制御量算出手段108が算出した巻取り温度
Tc2:第2の制御量算出手段109が算出した巻取り温度
α:水冷伝達係数
更に、数18式で、次回の計算時に使用する熱伝達係数補正項β(ここではβnew)を算出する。
(数18)
βnew=(1−ΔTc/(∂Tc/∂β))*β
ただし β:数7、数8、数15、数16式中の熱伝達係数補正項
図1に示すプリセット制御手段102は、以上のようにして更新された熱伝達係数補正項βを含む水冷熱伝達係数(数7式、数8式)を用いて、鋼板151の巻取り温度を推定し、この値が目標巻取り温度と一致するように各冷却ヘッダー160の開閉パターンに対応した制御指令を算出する。
本例では、熱間圧延の冷却制御を例に説明したが、本発明の方法は、制御対象の入出力関係を模擬した制御モデルを備えた一般的な制御装置において、制御モデルと制御対象の特性を一致させるための制御モデルの調整方法として、広く用いることができるものである。
<第2の実施形態例の説明>
図19は、本発明の制御装置の第2の実施形態例を示すブロック構成図である。図19に示すように、制御対象150は、図1に示すものと同じ圧延装置であるので、同一符号を付して、説明は省略する。
図19に示す第2の実施形態例においては、プリセット制御、ダイナミック制御等を行う制御装置330と、制御モデル調整装置300を備えている。制御モデル調整装置300は、制御装置330から必要なデータを取り込み、制御装置330の制御モデル333の係数の調整量を算出して制御装置330に供給するための装置であり、使用者の指示に従って制御モデルのパラメータを修正することができるようになっている。
まず、制御装置330の構成について説明する。制御装置330は、データ受信手段331と、プリセット制御手段332と、制御モデル333と、ダイナミック制御手段334と、データ送信手段335と、操作量算出手段336から構成されている。データ受信手段331は、鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されているときに、巻取り温度計156の測定温度や、ミル157のロール回転速度等の実績をリアルタイムに取り込む。そして、プリセット制御手段332は、鋼板151が巻取り冷却装置153で冷却されるのに先立って、制御モデル333を参照して、各冷却ヘッダー160の開閉パターンに対応した制御指令を算出する。
また、ダイナミック制御手段334は、データ受信手段331の出力を取り込み、制御指令の変更量を算出する。データ送信手段335は、プリセット制御手段332で使用した鋼板151の鋼種や板厚、巻取り温度の目標値等の情報と、ダイナミック制御手段334で使用した巻取り温度の実績値、ロール回転速度から算出した鋼板151の速度等のデータを取り込み、後述する制御モデル調整装置300に送信する。また、プリセット制御手段332からの制御指令とダイナミック制御手段334からの制御指令の変更量は加算され、操作量算出手段336から制御対象150に供給される。
一方、制御モデル調整装置300は、制御装置330のデータ送信手段335からの信号を取り込み蓄積するデータ蓄積手段301と、使用者の入力信号により起動されるデータ選定手段302とを備えている。データ選定手段302は、データ蓄積手段301に蓄積されたデータから、鋼板151の鋼種や板厚、巻取り温度の目標値、巻取り温度の実績値、ロール回転速度から算出した鋼板151の通板速度等のデータを取り込み、巻取り温度の推定に必要なデータを選定して出力する。
また、制御モデル調整装置300は、第1の制御量算出手段303と、第2の制御量算出手段304を備えている。第1の制御量算出手段303は、データ選定手段302の出力を用い、調整用制御モデル305を参照して巻取り温度を推定する。
また、同様に、第2の制御量算出手段304は、データ選定手段302の出力を用い、調整用制御モデル305の所定のパラメータをあらかじめ定められた値だけ変化させた上で、このパラメータを参照して巻取り温度を推定する。
また、制御モデル調整装置300は、制御モデル修正量算出手段306と、制御モデル修正量蓄積手段307と、制御モデル修正量転送手段308を備える。
制御モデル修正量算出手段306は、第1の制御量算出手段303と第2の制御量算出手段304とデータ選定手段302から必要なデータを取り込む。そして、実際に検出された巻取り温度と、プリセット制御手段332が制御モデル333を用いて予測した巻取り温度とが、一致する方向に制御モデル333の係数を修正する。
制御モデル修正量蓄積手段307は、制御モデル修正量算出手段306の出力を、鋼板151の鋼種、板厚等で層別して蓄積する手段である。また、制御モデル修正量転送手段308は、使用者の入力にしたがって制御モデル修正量蓄積手段307から指示された内容を読み出し、制御装置330に送信する。なお、制御モデル修正量蓄積手段307の内容は、使用者に提示するために表示手段310に表示される。
次に、図19の各部の動作を説明する。制御装置330の各部は、図1で示した制御装置100の対応する手段と同様に動作するので、重複した説明を省略する。因みに、制御装置330のデータ送信手段33は、第1の実施形態例と同様に、ダイナミック制御手段334が1回目の巻き取り温度フィードバック制御を実施したタイミングで、プリセット制御手段332とダイナミック制御手段34から関連したデータを取り込み、制御モデル調整装置300に送信する。本発明の第2の実施形態例では、特に、制御モデル調整装置300の動作を詳細に説明する。
図20は、データ蓄積手段301に蓄積されたデータのテーブルである。図20に示すように、データ蓄積手段301は、制御装置330のデータ送信手段335から送信されたデータを、鋼板151に紐付けて格納している。すなわち、鋼板番号に対応づけて、この鋼板の鋼種、板厚、目標巻取り温度、実績巻取り温度、及び検出した鋼板部位を紐付けしている。例えば、鋼板番号CK009821では、鋼種がSS400、板厚が2.5mm、目標巻取り温度が650℃、実績巻取り温度が660℃、検出した鋼板部位を50mとして格納している。この第2の実施の形態例で鋼板部位は、鋼板先頭からの距離を意味している。
図21は、図19のデータ選定手段302が実施する処理動作を説明するためのフローチャートである。この第2の実施形態例では、熱伝達係数補正項βは、鋼板151の鋼種、板厚、巻取り温度で層別されている例を示している。まず、データ選定手段302は、使用者が入力した鋼種、板厚、巻取り温度の組み合わせである層別情報を取り込む(ステップS21-1)。続いて、データ選定手段302は、データ蓄積手段301を検索し、層別に該当する鋼板を抽出して、該当する鋼板のデータをデータ蓄積手段301から取り込む(ステップS21-2)。なお、該当する鋼板が、同じ層別に複数ある場合には、これらを総て抽出するようにする。そして、抽出した鋼板の数をNとする。
次に、データ選定手段302が取り込んだデータを、第1の制御量算出手段303に出力する(ステップS21-3)。同様に、データ選定手段302が取り込んだデータを、第2の制御量算出手段304に出力する(ステップS21-4)。ここで、第1及び第2の制御量としては、例えば、鋼板151の巻取り温度が該当する。その後、該当する鋼板の目標巻取り温度、実績巻取り温度を、制御モデル修正量算出手段306に送信して、処理を終了する(ステップS21-5)。
図19に示した制御モデル修正量算出手段306は、第1の制御量算出手段303と第2の制御量算出手段304が算出した巻取り温度の差にしたがって、制御モデル333が実際の巻取り冷却装置153の振舞いと一致する方向に、制御モデル333の所定の係数を修正するようにしている。この第2の実施形態例で、所定の係数の修正とは、数7式、数8式に示した、水冷熱伝達係数に乗じる熱伝達係数補正項βの修正を示している。すなわち、数19式から、影響係数(∂Tc/∂β)を算出する。
(数19)

(∂Tc/∂β)=(ΣTc1−ΣTc2)/{N・(α−1)}

ただし ΣTc1:データ選定手段302が抽出した鋼板に対して、第1の制御量算出手段303が算出した巻取り温度の総和
ΣTc2:データ選定手段302が抽出した鋼板に対して、第2の制御量算出手段304が算出した巻取り温度
N:データ選定手段302が抽出した鋼板の数

更に、数20式で、次回の計算時に使用する熱伝達係数補正項β(ここではβnew)を算出する。
(数20)

βnew={1−((ΣΔTc)/N)/(∂Tc/∂β)}*β

ただし β:制御モデル333が現在備えている該当層別の熱伝達係数補正項
ΣΔTc:巻取り温度誤差の総和
図19に示す制御モデル修正量算出手段306は、このようにして計算した該当層別の熱伝達係数補正項βを制御モデル修正量蓄積手段307に出力する。
図22は、制御モデル修正量蓄積手段307に格納されるデータテーブルを示したものである。図22に示すように、制御モデル修正量蓄積手段307には、制御モデル修正量算出手段306が算出した影響係数(∂Tc/∂Tw)と熱伝達係数補正項βが格納されている。すなわち、図22では、鋼種がSS400、板厚が1.2〜2.0mm、巻取り温度が700℃以上のとき、影響係数(∂Tc/∂Tw)が2.14、制御モデルを修正すべき熱伝達係数補正項βが0.95であることを示している。この制御モデル修正量蓄積手段307の内容は、表示手段310により使用者のために表示される。
図23は、図19の制御モデル修正量転送手段308の処理の動作を説明するためのフローチャートである。制御モデル修正量転送手段308は、使用者からの指示に従い、制御モデル333の指示された層別に対応した熱伝達係数補正項βを更新する。そして、使用者が入力した鋼種、板厚、巻取り温度の層別情報を取り込む(ステップS23-1)。続いて、層別に該当するβを選定し、制御装置330の制御モデル333のβを置き換える(ステップS23-2)。
本発明の第1及び第2の実施形態例では、熱間圧延の冷却制御を例に説明したが、本発明の制御装置は、熱間圧延以外にも制御対象の入出力関係を模擬した制御モデルを備えた制御装置であれば、制御モデルと制御対象の特性を一致させるための制御モデルの調整方法として、広く用いることができる。
<第3の実施形態例の説明>
図24は、本発明の第3の実施の形態例として、本発明をトンネル換気制御のモデル調整に適用した場合の例を示したものである。ここで、トンネル換気とは、トンネルに備えられた排風機やトンネル内のジェットファンの機器を運転して、トンネル内の煤煙濃度や一酸化炭素濃度を適切な値以下に保つ制御である。また、機器を過剰に運転するとエネルギーを無駄に消費することになり、特定機器の起動停止を頻繁に繰り返すと機器寿命を低下させるので、このような点に配慮して各機器を最適に運転する必要がある。
図24に示す第3の実施形態例においては、制御対象450は一方通行のトンネルであり、縦流式と呼ばれるトンネルの長手方向に空気の流れを作り、換気する場合の例である。空気の流れを作るためにジェットファン454と排風機455が取り付けられている。このジェットファン454と排風機455は、いずれも複数台取りつけられることが多く、これにより汚染気体をトンネル451から外に排出する働きをする。このための操作は、主として排風機455で行われる。すなわち排風機455は、立453において上向きに風を送り、トンネル451内の空気を、立453を通してトンネル外に排出する。一方、ジェットファン454は、通常は車の進行方向に対して逆方向の風を送ることでトンネル451内の風速を制御し、口452からの汚染空気の漏れ出し量を最小化する。
また、トンネル451内の車の台数が少ないときに、車の進行方向に風を送り、汚染空気を立453に向けて流す場合もある。トンネル451内には、以下に説明するような様々な検出器が取り付けられている。すなわち、トンネル内に進入する車両の台数、速度、大型車混入比を事前に検出するトラフィックカウンター462、風向、風力を検出するAV計(Air Flow Velocity and Direction Meter:風向風速測定計)456、457、煤煙濃度を検出するVI計(Visibility Meter:煙霧透過率測定計)458、459などである。また、一酸化炭素(CO)濃度を検出するCO計(Carbon Monoxide Analyzer:一酸化酸素検出計)460、461なども取り付けられる。以下、風向、風力の値を総称してAV値と称する。一般のトンネルでは、通常は、この程度の検出器が取りつけられている場合が多い。
次に、図24の制御装置400の構成とその動作について説明する。制御装置400は、何通りかの次回の運転案(ジェットファン454、排風機455の起動の有無、風量等)を決定し、出力する運転案生成手段401と、排風機455の風量、ジェットファン454の起動台数、トラフィックカウンター46で検出した車の通行量等と、トンネル451内の風向と風速、煤煙濃度の関係が記述されている制御モデル403を具備している。
また、制御装置400は、制御モデル演算手段402と、運転案評価手段404を備えている。制御モデル演算手段402は、運転案生成手段401の出力した運転案を採用した場合に、どのような風向・風速、煤煙濃度、CO濃度になるかを予測し、更にエネルギー消費量、ジェットファン454と排風機455の直近の起動停止回数を、制御モデル403を用いて算出する。また、運転案評価手段404は、制御モデル演算手段402の演算結果にしたがって、運転案を評価する。そして、この運転案の評価結果にしたがって、次回の運転方式を運転方式決定手段405で決定する。
制御装置400は、更に、モデル調整起動手段406と、第1の制御量算出手段407と、第2制御量算出手段408と、制御モデル修正量算出手段409を備えている。モデル調整起動手段406は、予め定められた周期で制御モデルの修正タイミングを設定する。第1の制御量算出手段407は、モデル調整起動手段406により起動され、制御対象450から取り込んだ実績データと運転方式決定手段405から取り込んだ現在の運転状態に関するデータを用いて、制御モデル403を参照してトンネル451内のVI計設置位置の煤煙濃度を推定する。
また、第2制御量算出手段408は、第1の制御量算出手段407と同様に、モデル調整起動手段406により起動され、制御対象450から取り込んだ実績データと運転方式決定手段405から取り込んだ現在の運転状態に関するデータを用いて、制御モデル403の所定のパラメータをあらかじめ定められた値だけ変化させ、更にこれを参照してトンネル451内のVI計設置位置の煤煙濃度を推定する。
制御モデル修正量算出手段409は、第1の制御量算出手段407と第2の制御量算出手段408から必要なデータを取り込み、制御モデル演算手段402が制御モデル403を用いて予測した煤煙濃度とVI計458、459から、実際に検出された煤煙濃度が一致する方向に制御モデル403の調整パラメータを修正する。更に、制御装置400は、各種検出器からの信号でトンネル内の現在の状態を検出しつつ、制御モデル403を用いて将来の状態を予測し、適切なジェットファン454や排風機455の運転形態を決定する。
以下、この第3の実施形態例で取り扱う制御モデル403では、車の排気ガスに含まれる汚染物質量に相当する汚染物質排出量を調整パラメータβにより修正する場合を例にして説明する。
図25は、図24に示す運転案生成手段401が実行するアルゴリズムに関する処理を説明するためのフローチャートである。
まず、運転案生成手段401は、運転方式決定手段405から現在の運転方式を取りこむ(ステップS25-1)。そして、これをもとに可能となる次回の運転案を複数生成する(ステップS25-2)。例えば、「排風機1台運転、風量200m3/分、ジェットファン2台高速運転」のような案をいくつか生成する。通常は現在の運転方式近傍の運転方式を運転案として生成すれば良いが、煤煙濃度が大きく変化した場合には、広い範囲で多くの運転案を生成し、選択範囲を広げる必要性が生じる場合もある。
図26は、図24に示す制御モデル演算手段402が実行するアルゴリズムに関する処理を説明するためのフローチャートである。
制御モデル演算手段402は、制御対象450の各センサから現在の実績を取りこむとともに、運転案生成手段401から次回の運転案を取りこむ(ステップS26-1)。この運転案生成手段401から得られる運転案は、通常複数生成されているが、その場合は各運転案に対して、以下の処理が行われる。
まず、トンネル内各部の風速を算出する(ステップS26-2)。この計算方法は例えば「道路トンネル技術基準(換気編)・同解説」(社団法人 日本道路境界編,昭和60年12月)に詳しいが、トンネル内をいくつかのメッシュに分割した上でトンネル内の気体流れのダイナミクスを記述した数21式を用いることで数値解析的に解くことができる。
(数21)

(∂u/∂t)=f(u)/M

ただし u :車道内風速
M :トンネル内空気の全質量
f(u):外力の合計
t :時間
次に、トンネル内部の煤煙濃度(VI値)、CO濃度(CO値)を算出する(ステップS26-3)。これらの各濃度は、数22式の対流拡散方程式に従うことが知られている。
(数22)

(∂c/∂t)=−u(∂c/∂χ)+D(∂2c/∂χ2)+βq
ただし u:車道内風速
D:拡散係数
c:煤煙または一酸化炭素濃度
q:汚染物質の排出量
β:調整パラメータ
t:時間
χ:トンネル軸方向の位置
トンネル内各部の風速を算出するステップS26-2と同様に、ここでもトンネル内をいくつかのメッシュに分割した上で、ステップS26-2で得た風速を、車道内風速uに適用し,更に境界条件として52のVI、CO値を0とすることで、トンネル各部位のVI、CO濃度を得ることができる(ステップS26-3)。更に、ステップS26-1で、取りこんだ運転案に対して、ジェットファン454、排風機455を動作させるのに必要な電力消費量(エネルギー消費量)を算出する(ステップS26-4)。ここで、電力消費量Uは、数23式に示す簡単な数式で表すことができる。
(数23)

U=Ust*(W/Wst)/η

ただし Ust:定格電力消費量
W:現在の風量
Wst:定格風量
η:効率
また、ステップS26-1で取りこんだ運転案に対して、ジェットファン454、排風機455の運転台数が変化するかどうかを調べ、起動停止回数を算出する(ステップS26-4)。そして、ジェットファン454の運転台数を、現在の運転台数に対して1台起動もしくは停止させる必要がある場合には、起動回数を1とする等で、簡単に対応付けることができる(ステップS26-4)。
以上のように、運転案生成手段401が提示した運転案について、これを採用したときの制御結果の予測値及びエネルギー消費量等を算出する。運転案は通常複数提示されるが、その場合には各運転案毎に同様の処理を繰り返し、対応した制御結果の予測値及びエネルギー消費量等を算出する必要がある。図24ではVI検出計が2つ備えられた例を示しているが、この場合はおのおののVI計に対応して同様の演算を行う必要がある。
図27は、運転案評価手段404が行う処理(動作)を説明するためのフローチャートである。運転案評価手段404は、運転案生成手段401が生成した複数の運転案のそれぞれについて、実現される制御量(AV値,VI値,CO値)、エネルギー消費量等の適切性を評価し、運転案選択の基準を生成する。
この第3の実施形態例では、予見ファジィ推論を用いて運転案を評価し、運転方式を決定する場合を示している。予見ファジィ推論は、図28に示すルールとメンバシップ関数の組み合わせからなっている。例えば、ルールは「IF 運転案AによりVI値が満足→Then 運転案Aを採用」のような、予見ファジィ特有の形態となっている。
まず、各制御量(AV,VI,COの値)やエネルギー消費量の予測値を取りこむ(ステップS27-1)。次に、メンバシップ関数を用いて予測値の適合度を算出する(ステップS27-2)。この適合度が大きいほど望ましい制御結果が実現されたことを意味している。図28は、メンバシップ関数を用いてVIの予測値に対する適合度を算出する例を示している。つまり、予測VI値が37%、メンバシップ関数(満足度関数)の形状として図28を仮定すると、適合度は図のような操作で0.4となる。同様の操作で、VI値、AV値、エネルギー消費量等の適合度も得ることができる。
最後に、各運転案jの総合満足度Wjを算出する(ステップS27-3)。この総合満足度Wjは例えば数24式で算出することができる。すなわち、γ1,γ2,γ3,γ4,・・・・・・は各評価ファクターの適合度に乗じる重みで、各評価ファクターの重要度に対応する。例えばAV値とエネルギー消費量を重要視する場合には、γ1, γ2,γ6,γ7を相対的に大きくすれば良い。あるいは重要度の高いファクターのみを選択的に用いて総合満足度の評価の対象にしても良い。
(数24)

Wj=γ1AVI1+γ2AVI2+γ3ACO1+γ4ACO2
+γ5AAV1+γ6AEJ+γ7AEH+・・・・

ただし AVI1:VI1の適合度,AVI2:VI2の適合度
ACO1:CO1の適合度,ACO2:CO2の適合度
AAV1:AV1の適合度
AEJ:ジェットファンエネルギ消費量の適合度
AEH:排風機エネルギー消費量の適合度
γ1,γ2,γ3,γ4,・・・・:各評価ファクターに対応した定数
このようにして運転案に対応した総合満足度Wjを算出できる。同様にして他の運転案の総合満足度を算出する。
図29は、運転方式決定手段405が実行する処理(動作)を示すフローチャートである。まず、図27のステップS27-3で得られた各運転案についての総合満足度を計算した結果から最も望ましい運転案を選択する(ステップS29-1)。そして、この選択した運転方法に沿った操作量を各機器(ジェットファン454、排風機455)に出力する(ステップS29-2)。この第3の実施形態例では、ステップS29-1で最も望ましい運転案を選択することとしたが、望ましいいくつかの運転案に対して按分処理を行い、新たな運転案を生成し運転方式として出力しても良い。
また、本発明の第3の実施形態例においては、運転案生成手段401は、運転方式決定手段405の出力を用いて現在の運転方式を取りこんでいるが、制御対象450のジェットファン454、排風機455の出力を直接取りこんで、現在の運転方式として認識するようにしても良い。またトンネルの換気方式として縦流式の場合を例に説明したが、横流式や半横流式等の他の方式にも同様の手法が適用できる。
図30は、第1の制御量算出手段407が実行する処理(動作)を説明するためのフローチャートである。第1の制御量算出手段407は、モデル調整起動手段406からの信号により起動される。モデル調整起動手段406における起動信号の生成方法は、ユーザからの入力によるか、あるいは一定周期毎に起動信号を発生させるか等、種々の方法が考えられる。
まず、制御対象450からの実績データと、運転方式決定手段405が出力する排風機455やジェットファン454の現在の運転方式を受信する(ステップS30-1)。続いて、受信したデータを用いて制御モデル403を参照して、VI計設置部に対応した部位のVI値を推定する(ステップS30-2)。すなわち、受信したデータを数22式に代入してトンネル内の風速を求めた後、数23式を解くことで、該当VI計設置部位の煤煙濃度(VI値)を算出する。最後に、ステップS30-2で算出したVI値を制御モデル修正量算出手段409に出力する(ステップS30-3)。
図31は、第2の制御量算出手段408が実行する処理(処理)を説明するためのフローチャートである。まず、第2の制御量算出手段408は、制御対象450からの実績データと、運転方式決定手段405が出力した排風機455やジェットファン454の現在の運転方式を受信する(ステップS31-1)。次に、ステップS31-1では受信したデータを用いて、制御モデル403の所定の係数を変化させた状態で、これを参照してVI計設置部に対応した部位のVI値を推定する(ステップS31-2)。そして、最後に、ステップS31-2で算出したVI値を、制御モデル修正量算出手段409に出力する(ステップS31-3)。ここで、所定の係数を変化させる例として、数22式の汚染物質の排出量qに汚染物質の排出量補正項βを乗じる例を示しておく。すなわち数22式を数25式に変更して、以下の計算に使用する。
(数25)

(∂c/∂t)=−u(∂c/∂χ)+D(∂2c/∂χ2)+α*β*q
ただし u:車道内風速
D:拡散係数
c:煤煙または一酸化炭素濃度
q:汚染物質の排出量
α:係数
β:汚染物質の排出量補正項
t:時間
χ:トンネル軸方向の位置
図32は、制御モデル修正量算出手段409が実行する処理(動作)を説明するためのフローチャートである。
制御モデル修正量算出手段409は、第1の制御量算出手段407と第2の制御量算出手段408が算出した巻取り温度の差にしたがって、制御モデル403が実際のトンネル451の振舞いと一致する方向に制御モデル403の所定の係数を修正する。ここで、所定の係数の修正とは数25式に示した、汚染物質の排出量に乗じる補正項βの修正を示す。
まず、制御モデル修正量算出手段409は、制御対象450からのデータ及び運転方式決定手段405の出力データを取り込む(ステップS32-1)。次に、第1の制御量算出手段407及び第2の制御量算出手段408が推定した煤煙濃度を取り込む(ステップS32-2)。そして、数26式により影響係数(∂VI/∂β)を算出する(ステップS32-3)。
(数26)
(∂VI/∂β)=(VI1−VI2)/(α−1)
ただし VI1:第1の制御量算出手段407が算出したVI値
VI2:第2の制御量算出手段408が算出したVI値

更に、数27式を用いて、次回の計算時に使用する熱伝達係数補正項β(ここではβnew)を算出する(ステップS32-4)。
(数27)

βnew=(1−ΔVI/(∂VI/∂β))*β

ただし β:(数25)式中の熱伝達係数補正項
ΔVI:煤煙濃度の実測値と実測値に対応した予測値の偏差
本発明の第3の実施形態例では、煤煙濃度排出量qを補正する場合を例に説明したが、一酸化炭素排出量等の場合でも同様の手順で計算できる。同様にトンネル換気制御に用いるモデル以外、つまり他の用途における制御モデルの調整に対しても同様に適用できる。
本発明の制御装置及び制御方法は、熱間圧延の冷却制御を始めとして、制御対象のモデルを用いて制御を行うときのモデルの調整方法として、広く用いることができる。
100・・・制御装置
102・・・プリセット制御手段
103・・・制御モデル
104・・・ダイナミック制御手段
106・・・モデル調整起動手段
107・・・データ選定手段
108・・・第1の制御量算出手段
109・・・第2の制御量算出手段
110・・・制御モデル修正量算出手段
150・・・制御対象
153・・・巻取冷却装置
201・・・目標巻取り温度テーブル
202・・・速度パターンテーブル
203・・・冷却ヘッダー優先順位テーブル
204・・・プリセット演算部
300・・・制御モデル調整装置
330・・・制御装置
400・・・制御装置
401・・・運転案生成手段
402・・・制御モデル演算手段
403・・・制御モデル
404・・・運転案評価手段
405・・・運転方式決定手段
406・・・モデル調整起動手段
407・・・第1の制御量算出手段
408・・・第2の制御量算出手段
409・・・制御モデル修正量算出手段
450・・・制御対象

Claims (6)

  1. 制御対象の入力と出力の関係を記述した制御モデルを有し、前記制御対象から目標制御量を得るために前記制御対象に入力する操作量を、前記制御モデルを用いた演算により算出するプリセット制御手段と、
    前記制御モデルを用いた演算で、前記制御対象の出力である第1の制御量を算出する第1の制御量算出手段と、
    前記制御モデルの所定のパラメータを微小な値δだけ変更した後、変更後の制御モデルを用いた演算で第2の制御量を算出する第2の制御量算出手段と、
    前記プリセット制御手段が算出した操作量で実際に制御対象を制御して得られる実績制御量と、前記第1の制御量算出手段が算出した前記第1の制御量と、前記第2の制御量算出手段が算出した第2の制御量から、前記目標制御量と前記実績制御量との偏差を低減する方向に前記所定のパラメータを修正して前記制御モデルに出力する制御モデル修正量算出手段とを含んで構成される制御装置。
  2. 更に、制御中の前記実績制御量を観測し、この観測結果にしたがって前記プリセット制御手段が算出した操作量を修正するダイナミック制御手段と、を備え、
    前記ダイナミック制御手段は、前記第1の制御量算出手段及び前記第2の制御量算出手段に対して、前記第1の制御量及び前記第2の制御量を算出する上で必要なデータを供給することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 更に、前記ダイナミック制御手段の動作に連動したタイミングで、前記第1の制御量算出手段と前記第2の制御量算出手段を起動するモデル調整起動手段と、
    前記プリセット制御手段と前記ダイナミック制御手段が制御に使用した前記制御対象の入力値、前記目標制御量、前記実績制御量を含む情報を取り込み、前記取り込んだ情報の中から、前記制御モデルの修正に必要なデータを選定して前記制御モデル修正量算出手段に送信するデータ選定手段を、を備え、
    前記第1の制御量算出手段は、前記モデル調整起動手段により起動され、前記データ選定手段から受信したデータを入力して、前記制御モデルを用いた演算で前記第1の制御量を算出するとともに、
    前記第2の制御量算出手段は、前記モデル調整起動手段により起動され、前記制御モデルの所定のパラメータを微小に変更した後、前記データ選定手段から受信したデータを入力して、変更後の制御モデルを用いた演算で前記第2の制御量を算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
  4. 制御対象の入力と出力の関係を記述した制御モデルを有し、前記制御対象から目標制御量を得るために前記制御対象に入力する操作量を、前記制御モデルを用いた演算により算出するプリセット制御手段を備えた制御装置とネットワークで接続された制御モデル調整装置であって、
    前記制御モデルと等価な調整用制御モデルを備え、該調整用制御モデルを用いた演算で前記制御対象の出力である第1の制御量を算出する第1の制御量算出手段と、
    前記調整用制御モデルの所定のパラメータを微小な値δだけ変更した後、変更後の前記調整用制御モデルを用いた演算で第2の制御量を算出する第2の制御量算出手段と、
    前記プリセット制御手段が算出した操作量で実際に前記制御対象を制御して得られる実績制御量と、前記第1の制御量算出手段が算出した第1の制御量と、前記第2の制御量算出手段が算出した第2の制御量から、前記目標制御量と前記実績制御量との偏差を低減する方向に前記制御モデルの所定のパラメータの修正量を算出する制御モデル修正量算出手段と、
    前記制御モデル修正量算出手段の出力を蓄積する制御モデル修正量蓄積手段と、
    使用者の指示により、前記制御モデル修正量蓄積手段の内容を前記制御装置に転送する制御モデル修正量転送手段と、を備え、
    前記制御装置から取り込んだ情報を用いて、前記制御モデルと前記制御対象の特性が一致する方向に前記調整用制御モデルの所定のパラメータを更新する演算を行って、該更新された前記調整用制御モデルの所定のパラメータを前記制御装置に対して出力する、
    ことを特徴とする制御モデル調整装置。
  5. 更に、前記制御装置が制御に使用した前記制御対象への入力値、前記目標制御量及び前記実績制御量を含む情報を取り込み、これらを蓄積するデータ蓄積手段と、
    使用者の指示により、前記データ蓄積手段に蓄積された情報から前記第1の制御量及び前記第2の制御量の算出に必要なデータを選定して、前記第1の制御量算出手段と第2の制御量算出手段に送信するとともに、前記制御モデル修正に必要なデータを選定して制御モデル修正量算出手段に送信するデータ選定手段と、を備え、
    前記第1の制御量算出手段は、前記データ選定手段から受信したデータを入力して、前記調整用制御モデルを用いた演算で前記制御対象の出力である前記第1の制御量を算出するとともに、
    前記第2の制御量算出手段は、前記調整用制御モデルの所定のパラメータを微小に変更した後、前記データ選定手段から受信したデータを入力して、変更後の前記調整用制御モデルを用いた演算で前記第2の制御量を算出する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の制御モデル調整装置。
  6. 制御対象の入力と出力の関係を記述した制御モデルに対して、前記制御対象から目標制御量を得るために前記制御対象に入力する操作量を、前記制御モデルを用いた演算により算出するステップと、
    前記制御モデルを用いて計算された前記制御対象の出力である第1の制御量を算出するステップと、
    前記制御モデルの所定のパラメータを微小な値δだけ変更した後、変更後の制御モデルを用いた演算で第2の制御量を算出するステップと、
    算出した前記操作量で実際に制御対象を制御して得られる実績制御量と、前記第1の制御量と、前記第2の制御量を含む情報に基づいて、目標とする前記目標制御量と前記実績制御量との偏差を低減するために、前記所定のパラメータの修正量を求めるステップと、
    前記所定のパラメータ修正量に基づいて、前記制御モデルの前記所定のパラメータを修正するステップと、
    を含む制御モデル調整方法。
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