JP4340659B2 - 巻取り温度制御装置および制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は,熱間圧延ラインの巻取り温度制御装置およびその制御方法に係り,簡易な計算で巻取り温度を目標温度に一致させるのに好適な巻取り温度制御装置およびその制御方法に関する。
巻取り温度制御を行う従来方法としては,例えば,特許文献1には,鋼板の速度変更時に,ヘッダー水量を,変動前の注水量に加速率又は減速率を乗じた簡易計算で算出して設定する制御方法が示されている。
特開平8−252625号公報
しかしながら特許文献1では,速度変化に対してはヘッダー水量を算出し直すことで対応できるが,冷却前の鋼板温度がプリセット計算で想定した値と異なっていたり,巻取り温度が目標温度に対して偏差を有しているときに,ヘッダー水量をどう変更するかについては示されていなかった。さらに冷却制御中は,これらに同時に対処する必要があるが,これを簡便に行う手法については示されていなかった。
したがって,本発明が解決しようとする課題は,冷却制御中における種々の制御環境の変化(鋼板速度とミル出側で測定した鋼板の冷却前温度のプリセット計算で想定した値からの偏差,巻取り温度の目標値からの偏差)があっても,膨大な組み合わせとなる冷却パターンの中から巻取り温度を精度良く制御するのに適切な冷却パターンを,効率的に選択する手法を提供し,さらに冷却パターンを算出するための計算時間を低減することにある。
前記した課題を解決するために,本発明は,目標巻取り温度と鋼板の速度パターンと冷却装置の優先順位を入力情報とし,板温推定モデルを用いて所望の巻取り温度を実現する冷却装置の指令値に対応した制御コードを算出するモデルベーストプリセット手段(111)に対して,ダイナミック制御手段(120)として,目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を制御コードの補正量として算出する巻取り温度偏差補正手段(1104)と,プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する冷却前温度偏差補正手段(1105)と,プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差を補償するためのヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する速度偏差補正手投(1106)を備えた。さらにこれらの計算に使用する係数を,制御コードの変化が巻取り温度に与える影響を格納した第1の影響係数テーブル(1101)と,前記鋼板の速度の変化が巻取り温度に与える影響を格納した第2の影響係数テーブル(1102)と,前記冷却前温度の速度の変化が巻取り温度に与える影響を格納した第3の影響係数テーブル(1103)に集約して備えた。そして鋼板長手方向の各部位毎に,モデルベーストプリセット手段(111)の出力した制御コードを,ダイナミック制御手段(120)の出力した制御コードで補正して最終的な制御コードを算出し,この制御コードを冷却装置の出力パターンに変換するヘッダーパターン変換手段(130)とを含んで構成される巻取り温度制御装置(100)を提供する。
本発明によると,熱間圧延における巻取り冷却工程において,冷却制御中に鋼板の速度変化,冷却前温度のバラツキ,巻取り温度の目標値との不一致が発生しても,これらの巻取り温度への影響を簡単な計算により最小化でき,鋼板の長手方向で温度を高精度に制御することができる。
熱間圧延後の,鋼板の巻取り制御において,鋼板長手方向のどの部位においても,高精度な巻取り温度が得られる。この結果,鋼板の組成品質を向上させることができ,同時に,平坦に近い鋼板形状を得ることができる。
図1に本発明の実施例を示す。巻取り温度制御装置100は制御対象150から種々の信号を受信し,制御信号を制御対象150に出力する。まず制御対象150の構成を説明する。本実施例で制御対象150は熱間圧延の巻取り温度制御ラインであり,圧延部152のミル157で圧延された900℃〜1000℃の温度の鋼板151を巻取り冷却部153で冷却し,ダウンコイラ154で巻取る。巻取り冷却部153には,鋼板151の上側から水冷する上部冷却装置158と鋼板151の下側から水冷する下部冷却装置159が備えられており,各冷却装置は,水を放出する冷却ヘッダー160が一定本数組み合わされたバンク159を複数個,それぞれ備えている。本実施例では,各冷却ヘッダー160の操作指令が開と閉の場合を例に説明する。ミル出側温度計155は,圧延部152で圧延された直後の鋼板の温度を計測し,巻取り温度計156はダウンコイラ154で巻取る直前の温度を計測する。以下,本実施例では冷却前の温度として,ミル出側温度を使用する。巻取り温度制御の目的は,巻取り温度計156で計測された温度を目標温度に一致させることである。目標温度は,コイル長手方向の各部位で一定でも良いし,各部位に応じて異なった値を設定することもできる。
次に,巻取り温度制御装置100の構成を示す。巻取り温度制御装置100は,鋼板155が巻取り冷却部153で冷却されるのに先立って各冷却ヘッダー160の開閉パターンに対応した制御コードを算出するプリセット制御手段110,鋼板151が巻取り冷却部153で冷却されているときに,巻取り温度計156の測定温度等の実績をリアルタイムに取り込んで,制御コードを変更するダイナミック制御手段120,制御コードを各冷却ヘッダー160の開閉パターンに変換するヘッダーパターン変換手段130を備えている。さらにモデルベーストプリセット手段111で使用した定数のうち,必要なものをダイナミック制御手段120に出力するプリセット情報伝達手段118から構成される。プリセット情報伝達手段118は,少なくとも鋼板の目標巻取り温度,鋼板の速度スケジュール,ミル出側板温を,ダイナミック制御手段120に出力する。
各冷却ヘッダー160の開閉パターンの集合を,以下,ヘッダーパターンと称する。プリセット制御手段110は,目標巻取り温度テーブル114,速度パターンテーブル115,冷却ヘッダー優先順位テーブル116から情報を取り込み,板温推定モデル117を用いた演算によりヘッダーパターンを算出するモデルベーストプリセット手段111,モデルベーストプリセット手段111の計算結果に対して,ヘッダーパターンの時間的な出力を滑らかにする冷却装置指令値スムージング手段112を備えている。またダイナミック制御手段120は,巻取り温度計156からの検出温度を用いて,これと目標温度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する,巻取り温度偏差補正手段121,ミル出側温度計155からの検出温度を用いて,これとプリセット制御演算時に想定したミル出側温度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する,冷却前温度偏差補正手段122,ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し,算出結果とプリセット制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正するのに必要なヘッダーの開閉数を算出する,速度偏差補正手段123を備えている。さらにこれらの計算に用いる,影響係数テーブル124と,巻取り温度偏差補正手段121,冷却前温度偏差補正手段122,速度偏差補正手段123の計算結果を鋼板長手方向の各部位に着目して合成し,ダイナミック制御手段120の出力を算出する,操作量合成手125を備えている。
図2に目標巻取り温度テーブル114の構成を示す。鋼板の種類(鋼種)に対応して目標温度が層別された例を示している。プリセット制御手段110は該当コイルの鋼種を判定して,目標巻取り温度テーブル114から対応する目標温度を抽出する。
図3に速度パターンテーブル115の構成を示す。鋼種,板厚,板幅に対して,ミル157から鋼板151の先端が払い出されて,ダウンコイラ154に巻き取られるまでの速度(初期速度),その後,急加速された後の定常速度,鋼板151の後端がミル157から払いだされる直前に急減速され,ダウンコイラ154で巻き取られるまでの速度(終期速度)が層別されている。プリセット制御手段110は該当コイルの鋼種,板厚,板幅を判定して,速度パターンテーブル115から対応する速度パターンを抽出する。たとえば鋼種がSUS304,板厚3.0〜4.0mm,板幅が1200mmのときには,初期速度150mpm,定常速度150mpm,終期速度150mpmが設定されることを示している。
図4に冷却ヘッダー優先順位テーブル115の構成を示す。以下では,ヘッダーの総数が100の場合を例に説明する。図4は100個のヘッダーの開放順位に,1〜100の優先順位を付与したもので,鋼種,板厚,ヘッダー区分(上ヘッダーまたは下ヘッダー)に対して,優先的に開放する冷却ヘッダーの順序が格納されている。優先順位は,冷却効率,表面と内部の許容温度差等に配慮して決定する。たとえば鋼板151が薄い場合は,表面と内部に温度差が生じにくいため,冷却効率に配慮して鋼板151の温度が高いミル157の出側に近いヘッダーを優先的に開し,鋼板151が厚い場合には,空冷による復熱を利用して表面と内部の温度差を許容値の範囲内に抑える目的で,可能な限り開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与する。水冷と空冷を混在させることで,冷却効率を多少犠牲にして鋼板151の表面と内部の温度差を抑制する。冷却ヘッダーは目標巻取り温度が実現できる本数だけ,開放するように制御される。バルク,冷却ヘッダーには,ミル157に近い順に番号がつけられており,たとえば(1,1)は,第1バルクの第1冷却ヘッダーを表している。図で,鋼種がSUS304,板厚が2.0〜3.0mm,冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には,(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(1,5),(2,1),・・・,(20,4),(20,5)の順で,優先的に開放することを示している。すなわち薄板のため冷却効率に配慮してミル157出側のヘッダーから順に優先的に開することを示している。また鋼種がSUS304,板厚が5.0〜6.0mm,冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合には,(1,1),(1,4),(2,1),(2,4),(3,1),(3,4),・・・,(20,3),(20,5)の順で,優先的に開放することを示している。すなわち鋼板151がやや厚いため,開ヘッダーが連続しないように優先順位を付与していることを示している。本実施例では,上ヘッダーと下ヘッダーの優先順位を同一としたが,異なる優先順位を付与することもできる。
ヘッダーパターンは対応する制御コードで表現する。図5にプリセット制御手段110が出力する制御コードと,冷却ヘッダー開閉パターンの対応を示す。制御コード0が全開,100が全閉。以下,優先順位1の冷却ヘッダーのみが開しているヘッダー開閉パターンを1,優先順位1と2の二つの冷却ヘッダーが開しているヘッダー開閉パターンを2のように制御コード化している。プリセット制御手段110は,このような冷却ヘッダー開閉パターンに対応した制御コードを,スムージング手段112に出力する。すなわち,すベての冷却ヘッダーが開した状態の制御コードを0,すべての冷却ヘッダーが閉した状態の制御コードを100(100は上または下の冷却ヘッダーの総数)とする。そしてたとえば,鋼種がSUS304,板厚が2.0〜3.0mm,冷却ヘッダー区分が上ヘッダーの場合であれば,ヘッダーの優先順位にしたがって,(1,1)のみ開の状態を制御コード99,(1,1)(1,2)が開の状態を制御コード98,(1,1)(1,2),(1,3)が開の状態を制御コード97とし,この要領で,以下,全ヘッダーが開している状態の制御コードである0まで,ヘッダーの開放パターンに制御コードを付与する。
図6にモデルベーストプリセット手段111が実行するアルゴリズムを示す。S6−1で速度パターンテーブル115から取り込んだ値をもとに,初期速度から定常速度に移行するための加速開始位置,定常速度から終期速度に移行するための減速開始位置を算出し,鋼板151のミル157での払い出し開始からダウンコイラ154での巻取り完了までの速度パターンを計算する。加速開始位置Saccp,加速完了位置Saccq,減速開始位置Sdccp,減速完了位置Sdccqは,以下に示す数1〜数4でそれぞれ算出できる。
Figure 0004340659
Figure 0004340659
Figure 0004340659
Figure 0004340659
算出した速度パターンにしたがって,S6−2以降で,目標巻取り温度を実現するヘッダーパターンの時間変化を板温推定モデル117を用いた演算で算出する。本実施例では線形逆補間法にしたがって,ヘッダーパターンを算出する例を示す。
S6−2では鋼板151の各部位について,解の制御コードを挟むような二つの制御コードn,nを定義する。ここでは冷却ヘッダーの全開と全開の間に解が存在することから,一律にn=0,n=100とする。ここで制御コードの増加に伴って,単純に開している冷却ヘッダーが減少するので,n<nのとき,これらのヘッダーパターンに対応した巻取り温度Tc1,Tc2について,Tc1<Tc2が成立する。次にS6−3で,nとnの平均をnとする。そしてS6−4で,制御コードnに対応した巻取り温度Tc0を算出する。S6−4は板温推定モデル117にしたがった温度推定演算を,鋼板151の長手方向の各部位について,ミル払い出しからダウンコイラ巻取りまで,連続計算し,巻取り温度を推定する。S6−5で目標巻取り温度Ttargetに対する推定巻取り温度Tc0の符号を判定し,Tc0>Ttargetの場合は,nとnの間に解があるので,nを新たにnとおく.逆にTc0<Ttargetの場合は,nとnの間に解があるので,nを新たにnとおく。S6−6でアルゴリズムの終了条件を判定し,満足していない時はS6−3〜S6−5の実行を繰り返す。
アルゴリズムの終了は,
・S5−3〜S5−5の一定回数以上の繰り返しを完了
・巻取り温度推定値Tと目標巻取り温度Ttargetの偏差が一定値以下
・nがn,nのいずれかと一致
等を条件に,判定すれば良い。
制御コード付与の方法としては,すべての冷却ヘッダーが閉した状態の制御コードを0,すべての冷却ヘッダーが開した状態の制御コードを100とし,これに対応して付与しても同じである。
図7にS6−4に対応した温度推定演算の詳細を示す。温度推定演算としては,鋼板151を長手方向および厚み方向に分割し,一定刻みΔで時間を進めて計算する,いわゆる前進差分法の例を示す。S7−1で計算時刻を更新し,さらに図6のS6−1で生成した速度パターンから,該当時刻の板速Vtを計算する。S7−2で,算出した板速を用いて,ミル払い出し長さを計算する。払い出し長さLとは,圧延を終えてミルから払い出された鋼板の長さで,下式で計算できる。ただしLn−1は,前時刻の払い出し長さである。
Figure 0004340659
S7−3で演算の完了を判定する。ミル払い出し長さLが,鋼板151の全長とミル157からダウンコイラ154までの距離の和より大きくなった時,コイル1本に対応した巻取り温度予測計算がすべて終了しているので,演算完了となる。演算が完了していない場合には,S7−4で鋼板の温度トラッキングを行う。すなわち,前時刻の鋼板の位置に対して,Δだけ時間が経過した後に鋼板がどれだけ進むかがLとLn−1の関係から分かるので,鋼板の温度分布を対応した距離だけ移動する処理を行う。S7−5でΔの間にミルから排出された鋼板151に冷却前の鋼板温度の推定値を設定する。S7−6で鋼板151の各部位に対応したヘッダーの開閉の情報から,各部位が水冷か空冷かを判定する。水冷の場合はS7−7で,例えば数6にしたがって熱伝達係数を計算する。
Figure 0004340659
数6は,いわゆるラミナー冷却の場合の熱伝達係数である。水冷方法としてはこの他にスプレー冷却等,種々あり,いくつかの熱伝達係数の計算式が知られている。
一方,空冷の場合は,例えば数7にしたがって熱伝達係数を計算する。
Figure 0004340659
数6と数7は,鋼板151の表と裏について,それぞれ計算する。そしてS7−9で鋼板151の各部位の温度を,Δ経過する前の温度をもとに,Δ間の熱量の移動を加減算することで,計算する。鋼板151の厚み方向の熱移動を無視する場合であれば,鋼板151の長手方向の各部位について数8のように計算できる。
Figure 0004340659
また鋼板151の厚み方向の熱伝導を考慮する必要がある場合には,良く知られる熱方程式を解くことで計算できる。熱方程式は数9で表され,これを計算機で差分計算する方法は,種々の文献で公開されている。
Figure 0004340659
そしてS7−10でミル157からダウンコイラ154までの,ライン内の鋼板151の全領域で計算が完了するまで,S6−6〜S7−9を繰り返す。またS7−1〜S7−9を,S7−3で演算の終了を判定されるまで,繰り返す。
図8にS6−3で鋼板151の各部位に付与されている制御コードの,図6の最適化処理による変化の一例を示す。処理1回目では,各部位で同一の初期値(n=0,n=100)に対する処理なので,図8の処理1回目に示すように,鋼板151の全域で50が付与される。処理2回目では制御コード50に対して鋼板151の各部位の巻取り温度Tc0の予測結果が,Ttargetより大きいか小さいかで,付与される制御コードが異なる。本実施例では,鋼板速度が低速である鋼板151の先端,後端に近い部分は,ヘッダーを閉する方向の制御コードに更新され,鋼板速度が高速である鋼板151の中央部は,ヘッダーを開する方向の制御コードに更新される例を示している。具体的には図8の処理2回目に示すように,先端部,後端部は,1回目の処理のS6−5でn=50,n=100に更新された結果,制御コードはその平均である75に更新されている。一方,中央部は1回目の処理のS6−5でn=0,n=50に更新された結果,制御コードは25に更新されている。このようにして,図6のS6−3〜6−6を繰り返すことで,制御コードが順次更新される。
図9にプリセット制御手段110が最終的に出力する,制御コードの例を示す。図の例では,鋼板151は先端からの距離に対応して1m単位でメッシュに分けられており,メッシュに対応して,制御コードが割り振られる。冷却装置は鋼板の表と裏に対応して上部冷却装置158と下部冷却装置159があるので,制御コードとしては,上ヘッダーと下ヘッダーに対応して,別個に出力する。図では,鋼板151の長手方向について,先端から1mの上ヘッダーの制御コードは95,下ヘッダーの制御コードも95,500mから501mの間では,上ヘッダーの制御コー.ドは14,下ヘッダーの制御コードも14であることを示している。図8では,鋼板151の同一部位に対応した上ヘッダーと下ヘッダーの制御コードを同一としたが,異なった制御コードを設定することも可能である。
図10にスムージング手段112の処理結果を示す。スムージング手段112はモデルベーストプリセット手段111の出力に対して,冷却ヘッダーの開閉を平滑化する処理を行う。図10で,モデルベーストプリセット手投111が出力した制御コードは,鋼板部位3m〜4mの区間で,前後の部位に比べて,ともに小さくなっている。この場合,一部の冷却ヘッダーが部位の通過に伴って,瞬間的に開閉するような制御指令が出力される。スムージング手段112によるスムージング処理の後は,制御コード12を14にスムージングすることにより,鋼板部位に対する制御コードの変化は単調となり,スムージング前の問題は解消されている。短周期で冷却ヘッダーが開閉する指令を生成しても,実際には冷却ヘッダーの応答遅れのために意味をなさない。そこでこのようなスムージング処理を行い,冷却ヘッダーの指令を時間方向に平滑化する。平滑化は,各制御コードを前後の制御コードと比較し,ともに大きいか小さい場合には,前または後ろの制御コードと一致させるような,簡単な処理で実現できる。
図11にダイナミック制御手投120の構成を示す。プリセット制御手段110が出力した制御コードは,鋼板151を冷却制御中に,ダイナミック制御手段120によりリアルタイムで補正される。ダイナミック制御手段120は,巻取り温度計156からの検出温度を用いて,これと目標巻取り温度との偏差を補正する,巻取り温度偏差補正手投121,ミル出側温度計155からの検出温度を用いて,これとプリセット制御演算時に想定した冷却前温度との偏差を補正する,冷却前温度偏差補正手段122,ミル157やダウンコイラ154の回転速度から鋼板151の速度を算出し,算出結果とプリセット制御演算時に想定した鋼板速度との偏差を補正する,速度偏差補正手投123を備えている。さらに補正量の計算時に使用する影響係数テーブル124を備えている。補正量の総和は,操作量合成手段125で鋼板151の長手方向の各部位毎に制御コードの変化量に換算され,ダイナミック制御手投120から出力される。
次に,各部位の動作を詳細に説明する。影響係数テーブル124は,制御コードの変化に対する巻取り温度の変化を格納した第1の影響係数テーブル1101,鋼板速度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第2の影響係数テーブル1102,冷却前温度の変化に対する巻取り温度の変化を格納した第3の影響係数テーブル1103を備えている。
図12に第1の影響係数テーブル1101の構成を示す。第1の影響係数テーブル1101には,冷却ヘッダー160を一つ開,または閉したときの巻取り温度Tの変化量に対応した数値である∂T/Δn(℃)が,板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では,板厚が3mm以下,鋼板151の速度が150mpm以下,制御コードnが9以下の場合には,(∂T/Δn)=3.0℃であり,冷却ヘッダー160を一つ開または閉すると,巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tが3℃,低下または上昇することを示している。層別項目は減らすこともできるし,冷却前温度等をさらに追加して増やすことも考えられる。
図13に第2の影響係数テーブル1102の構成を示す。第2の影響係数テーブル1102には,鋼板151の速度を1mpm増加,または減少させたときの巻取り温度Tの変化量に対応した数値である∂T/∂V(℃/mpm)が,板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では,板厚が3mm以下,鋼板151の速度が150mpm以下,制御コードnが9以下の場合には,(∂T/∂V)=2.2℃であり,鋼板151の速度を1mpm増加,または減少させると,巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tが2.2℃,低下または上昇することを示している。層別項目は同様に,減らすこともできるし,冷却前温度等をさらに追加して増やすことも考えられる。
図14に第3の影響係数テーブル1103の構成を示す。第3の影響係数テーブル1103には,ミル出側温度計155で計測した鋼板151の冷却前温度が1℃増加,または減少したときの巻取り温度Tの変化量に対応した数値である,∂T/∂Tが,板厚,板速,制御コードで層別されて格納されている。図の例では,板厚が3mm以下,鋼板151の速度が150mpm以下,制御コードnが9以下の場合には,(∂T/∂T)=0.9℃であり,冷却前温度の計測値が1℃高い,または低い場合には,巻取り温度計156で計測される巻取り温度Tが0.9℃,増加または減少することを示している。層別項目は同様に,減らすこともできるし,冷却前温度等をさらに追加することも考えられる。
次に巻取り温度偏差補正手投121の処理を説明する。巻取り温度偏差補正手段121は,一定周期で起動され,巻取り温度FB制御を行う。すなわち巻取り温度偏差補正手段121は,巻取り温度の目標温度に対する偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する,巻取り温度偏差補正量算出手段1104を備えている。巻取り温度偏差補正量算出手投1104は,セットアップで想定したTと巻取り温度計156で計測したTの差分を取り込み,さらに第1の影響係数テーブル1101から,現在の状態に該当した層別の影響係数(∂T/Δn)を取り込み,下記の演算により,制御コードの変更量を計算する。
Figure 0004340659
一方,冷却前温度偏差補正手段122も同様に一定周期で起動され,冷却前温度偏差フィードフォワード制御を行う。すなわち冷却前温度偏差補正手段122は,プリセット計算時に想定した冷却前温度と,ミル出側温度計155で検出されたミル出側実績温度の偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する冷却前温度偏差補正量算出手段1105と,計算結果を鋼板151の長手方向のどの部位に適用するかを決定する適用部位特定手投1108を備えている。冷却前温度偏差補正量算出手段1105は,セットアップで想定したTとミル出側温度計155で計測したTの差分ΔTを取り込み,さらに第1の影響係数テーブル1101と第3の影響係数テーブル1103から,現在の状態に該当した層別の影響係数(∂T/Δn),(∂T/∂T)を取り込み,下記の演算により,制御コードの変更量を計算する。
Figure 0004340659
計算されたΔnは,適用部位特定手段1108に出力される。
図15に,適用部位特定手段1108の処理を示す。ここで鋼板151には,図16に示すように,長手方向にセクション1601が定義されている。図の例では,鋼板先端から鋼板後端に渡り,n個のセクションが定義されており,それぞれにセクション番号が付与されている。すなわち鋼板先端のセクションに1,以下,網板後端のセクションにnが付与されている。S15−1で,ミル出側温度計155設置位置のセクション番号を取り込む。ここでは取り込んだセクション番号をiとする。鉄鋼システムの制御装置は,通常,鋼板151のトラッキング情報を計算し,種々の用途に使用する。すなわち,鋼板151の先頭位置(ミル157からの払い出し長さ),尾端位置等を周期的に計算しているので,この情報とミル出側温度計155の取り付け位置との関係から,ミル出側温度計155設置位置のセクション番号が特定できる。次にS15−2で,冷却前温度偏差補正量算出手段1105の出力Δnを取り込む。そしてS15−3で,S15−1で取り込んだミル出側温度計155設置位置のセクション番号iに,Δnを登録する。以下,この値を(Δnとする。
速度偏差補正量算出手段1106も同様に一定周期で起動され,速度偏差フイードフォワード制御を行う。すなわち速度偏差補正量算出手段1106は,プリセット計算時に想定した鋼板速度と,実際の鋼板速度の偏差の大きさに対して適切な制御コードの変更量を計算する速度偏差補正量算出手投1106と,計算結果を鋼板151の長手方向のどの部位に適用するかを決定する適用部位特定手段1109を備えている。速度偏差補正量算出手投1106は,セットアップで想定した鋼板速度と実績速度の偏差△Vを取り込み,さらに第1の影響係数テーブル1101と第2の影響係数テーブル1102から,現在の状態に該当した層別の影響係数(∂T/Δn),(∂T/∂V)を取り込み,下記の演算により,制御コードの変更量を計算する。
Figure 0004340659
計算されたΔnは,適用部位特定手段1109に出力される。
図17に,適用部位特定手段1109の処理を示す。S17−1で,鋼板151のトラッキング情報から,巻取り冷却部153の侵入位置と排出位置にある鋼板の,鋼板セクション番号を取り込む。次にS17−2で,取り込んだセクション番号から,制御コードの補正が必要なセクションを決定し,各セクションの補正比を算出する。鋼板セクション番号iの補正比Rは,下式で計算できる。
Figure 0004340659
そしてS17−3で,速度偏差補正量算出手殴1106の出力Δnを取り込む。S17−4で,ΔnとS17−2で算出した補正比とから,各セクションの制御コード補正量を計算し,該当セクション番号に登録する。鋼板セクション番号iの補正量(Δnは下式で算出できる。
Figure 0004340659
次に,操作量合成手殴125の処理を説明する。操作量合成手段125は巻取り温度偏差補正手段121で計算したΔn,(Δn,(Δnを加算して,各鋼板セクションの操作量を算出する。具体的には,鋼板セクションiに関するダイナミック制御手段120の出力Ndiを,
Figure 0004340659
で計算する。ダイナミック制御手段120は計算した補正量を出力し,この値にしたがって,プリセット制御手段110が出力した制御コードが修正される。
以上のダイナミック制御手段120による補正量算出演算は,すべての鋼板セクションについて行うのでなく,巻取り冷却装置153が冷却対象としている鋼板セクションに限定して,上記処理を行うことで,演算を簡略化しても良い。
図18にプリセット制御手段110が出力した制御コードを,ダイナミック制御手段120が補正したときの,補正結果の例を示す。図では鋼板部位5m〜6mの制御コードが,12から10に補正されている。本実施例では,各補正量算出手段1104〜1106は一定周期で起動されたが,起動方法としては鋼板151がミル157から一定長払い出されたタイミング毎に起動する等,種々,考えられる。
図19にヘッダーパターン変換手投130が実行するアルゴリズムを示す。S19−1で,冷却ヘッダー直下を通過している鋼板151の先端からの距離Lを算出する。通常,制御装置100は,このような距離情報を有しており,種々の目的で使用する。S19−2でLが0より小さいかどうか判定し,小さい場合には鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達していないので,処理を抜けてS19−6に進む。大きい場合には,鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達しているので,S19−3で距離Lに対応した制御コードを抽出する。すなわちLと図8の鋼板部位を照合し,Lに対応する部位の上ヘッダー制御コードと下ヘッダー制御コードを抽出する。S19−4で制御コードから冷却ヘッダー開閉パターンを抽出する。すなわち図7の制御コードと冷却ヘッダー開閉パターンの対応を用いて,優先順位がいくつの冷却ヘッダーまでを開するか決定する。S19−5では,冷却ヘッダー優先順位テーブル115に格納されている情報を用いて,具体的に開放する冷却ヘッダーを特定し,最終的に該当冷却ヘッダーの開閉を決定する。S19−6で,すべての冷却ヘッダーについての演算が終了したかどうかを判定し,終了していない場合には,終了するまで,S19−1〜S19−5の処理を繰り返す。
本実施例では冷却ヘッダー数が上下とも100の場合を例に説明したが,ヘッダー数としては設備に応じて,種々の数が可能である。本実施例ではスムージング手段112を備えたが,省略する構成も考えられる。
本実施例では,ダイナミック制御手投120の計算結果のうち,冷却前温度偏差補正手投122と速度偏差補正手段123の出力を操作量合成手投125で合成し,この値を用いてプリセット制御手段110の出力を補正した後,ヘッダーパターン変換手段130の処理中に,巻取り温度偏差補正手投121の出力をヘッダーの開閉に反映させる場合の実施例を示す。図20に処理構成を示す。操作量合成手段125は,冷却前温度偏差補正手段122と速度偏差補正手段123の出力を用いた下記演算により,補正コードを生成する。
Figure 0004340659
そして,ダイナミック制御手段120は計算した補正量を出力し,この値にしたがって,プリセット制御手段110の出力した制御コードが修正される。
図21にヘッダーパターン変換手段130が実行するアルゴリズムを示す。S21−1で,冷却ヘッダー直下を通過している鋼板151の先端からの距離Lを算出する。通常,制御装置100は,このような距離情報を有しており,種々の目的で使用する。S21−2でLが0より小さいかどうか判定し,小さい場合には鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達していないので,処理を抜けてS21−7に進む。大きい場合には,鋼板151が該当冷却ヘッダーまで到達しているので,S21−3で距離Lに対応した制御コードを抽出する。すなわちLと図8の鋼板部位を照合し,Lに対応する部位の上ヘッダー制御コードと下ヘッダー制御コードを抽出する。S21−4で制御コードから冷却ヘッダー開閉パターンを抽出する。すなわち図7の制御コードと冷却ヘッダー開閉パターンの対応を用いて,優先順位がいくつの冷却ヘッダーまでを開するか決定する。S21−5では,冷却ヘッダー優先順位テーブル115に格納されている情報を用いて,具体的に開放する冷却ヘッダーを特定する。そしてS21−6で,ダウンコイラ154に近い方のヘッダーから順に開閉をチェックし,Δnに対応する個数だけヘッダーを反転する処理を施し,最終的に該当冷却ヘッダーの開閉を決定する。S21−7で,すべての冷却ヘッダーについての演算が終了したかどうかを判定し,終了していない場合には,終了するまで,S21−1〜S21−6の処理を繰り返す。
本実施例によれば,巻取り温度偏差を,ダウンコイラ154に近いヘッダーの開閉により解消するので,フイードバック制御の応答を高めることができ,偏差を解消するまでの時間を短縮できる。
本実施例では,水冷モデルや空冷モデルのチューニングを,プラントメーカが遠隔からインターネットを用いたサービスとして行う場合を示す。図22にシステムの全体構成を示す。メーカは制御対象150から制御装置100が取り込んだ巻取り温度や,これに関連したヘッダーパターン,鋼板151の速度,冷却前温度等の実績データや板厚,板幅等のプライマリ情報を,ネットワーク2211,サーバ2210,回線網2203を介して,自社のサーバ2204に取り込む。そしてチューニング用データベース2205に格納する。メーカ2202はモデルチューニング手段2206を有しており,鉄鋼会社2201からの要求にしたがって,チューニング用データベース2205に蓄積されたデータを用いて実施例1で述べたh,h,λの補正計算を行い,計算結果を鉄鋼会社2201に送信する。補正計算は,たとえば「モデルチューニングを高精度に行うアジャスティングニューラルネットの構成と学習方式」(電気学会論文誌D,平成7年4月号)に一例を示すように,種々の方式が知られている。モデルチューニングの対価は,チューニング回数に対応付けても良いし,チューニングの結果向上した制御結果に対応付けた成果報酬でも良い。
熱間圧延ラインの冷却制御に,広く適用することができる。
本発明の制御システムの構成を示した説明図である。 目標巻取り温度テーブルの構成を示した説明図である。 速度パターンテーブルの構成を示した説明図である. 冷却ヘッダー優先順位テーブルの構成を示した説明図である。 ヘッダー開閉パターンと制御コードの対応例の説明図である。 モデルベーストプリセット手段の処理である。 巻取り温度予測計算の詳細処理である。 冷却ヘッダー開閉パターンと制御コードの対応テーブルの構成図である。 鋼板部位と制御コードの対応テーブルの構成図である。 スムージング処理の説明図である。 ダイナミック制御手段による制御コード補正処理の説明図である。 第1の影響係数テーブルの構成図である。 第2の影響係数テーブルの構成図である。 第3の影響係数テーブルの構成図である。 冷却前温度偏差補正手段の処理である。 鋼板の長手方向セクション分けの説明図である。 速度偏差補正手段の処理である。 ダイナミック制御手段による制御コード補正処理結果の説明図である。 ヘッダーパターン変換手段の処理である。 ダイナミック制御手段による制御コード補正処理の説明図である。 ヘッダーパターン変換手投の処理である。 制御モデルのチューニングを遠隔サービスする構成である。
符号の説明
100 制御装置
111 モデルベーストプリセット手段
112 スムージング手投
114 目標巻取り温度テーブル
115 速度パターンテーブル
116 冷却ヘッダー優先順位テーブル
117 板温推定モデル
120 ダイナミック制御手投
121 巻取り温度偏差補正手段
122 冷却前温度偏差補正手段
123 速度偏差補正手投
124 影響係数テーブル
130 ヘッダーパターン変換手投
150 制御対象
153 巻取冷却部
1101 第1の影響係数テーブル
1102 第2の影響係数テーブル
1103 第3の影響係数テーブル
1205 チューニング用データベース
1206 モデルチューニング手段

Claims (13)

  1. 熱間圧延機で圧延された鋼板を,熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し,ダウンコイラで巻取られる前の鋼板の温度を所定の目標温度に制御する巻取り温度制御装置において
    前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダーの開放順序の優先順位を格納している冷却ヘッダー優先順位テーブルと,
    前記鋼板の巻取り温度を推定するための板温推定モデルと,
    前記冷却ヘッダーの開閉の組み合わせであるヘッダーパターンを前記冷却ヘッダー優先順位テーブルの情報を用いて生成した制御コードと対応づけした上で,解を求めるために与えられた所与の制御コード,熱間圧延機出側の鋼板温度の推定値及び鋼板の速度に関する情報とから,前記板温推定モデルを用いて前記鋼板の巻取り温度を推定し、この推定した巻取り推定温度が目標巻取り温度に近づくように前記所与の制御コードを更新して目標巻取り温度を実現するための解となる制御コードを得て出力するプリセット制御手段と,
    冷却制御中の鋼板の状態を観測することにより得られる観測結果にしたがって,前記プリセット制御手段から出力される制御コードの変更量を算出して出力するダイナミック制御手段と,
    前記プリセット制御手段が出力した制御コードを前記ダイナミック制御手段が出力した制御コードの変更量で補正した結果をヘッダーパターンに変換して冷却装置に出力するヘッダーパターン変換手段とを含んで構成されること,
    を特徴とする巻取り温度制御装置。
  2. 前記制御コードは,すべての冷却ヘッダーが開した状態を最大値,すべての冷却ヘッダーが閉した状態を最小値とし,前記制御コードの増加に伴い,前記巻取り温度の推定値が単調に減少するように対応づけられていることを特徴とする請求項1に記載の巻取り温度制御装置。
  3. 前記制御コードは,すべての冷却ヘッダーが開した状態を最小値,すべての冷却ヘッダーが閉した状態を最大値とし,前記制御コードの増加に伴い,前記巻取り温度の推定値が単調に増加するように対応づけられていることを特徴とする請求項1に記載の巻取り温度制御装置。
  4. 前記ダイナミック制御手段は,目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差を補償するための前記冷却ヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する巻取り温度偏差補正手段と,
    プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差を補償するための前記冷却ヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する冷却前温度偏差補正手段と,
    プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差を補償するための前記冷却ヘッダーの開閉を前記制御コードの補正量として算出する速度偏差補正手投を備えたこと
    を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  5. 前記ダイナミック制御手段は,前記制御コードの変化が巻取り温度に与える影響を格納した第1の影響係数テーブル,前記鋼板の速度の変化が巻取り温度に与える影響を格納した第2の影響係数テーブル及び前記冷却前温度の変化が巻取り温度に与える影響を格納した第3の影響係数テーブルと,
    前記目標巻取り温度と冷却制御中に鋼板から検出した巻取り温度の偏差及び前記第1の影響係数テーブルから取り込んだ係数から前記制御コードの補正量を算出する巻取り温度偏差補正手段と,
    プリセット制御時に想定した鋼板の冷却前温度と冷却制御中に鋼板から検出した冷却前温度の偏差,前記第1の影響係数テーブルから取り込んだ係数及び前記第3の影響係数テーブルから取り込んだ係数から前記制御コードの補正量を算出する冷却前温度偏差補正手段と,
    プリセット制御時に想定した鋼板速度と冷却制御中の鋼板速度の偏差,前記第1の影響係数テーブルから取り込んだ係数及び前記第2の影響係数テーブルから取り込んだ係数から前記制御コードの補正量を算出する速度偏差補正手段と,
    を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  6. 前記ダイナミック制御手段は,前記巻取り温度偏差補正手と前記冷却前温度偏差補正手段と前記速度偏差補正手段の出力を,鋼板の長手方向の各部位毎に合成して制御コードの補正量を算出する操作量合成手段を備え,
    前記ヘッダーパターン変換手段は,前記各冷却ヘッダーの直下の鋼板の長手方向の部位を認識した上で,前記プリセット制御手段が前記鋼板の長手方向の各部位に対応づけて算出した制御コードに,前記ダイナミック制御手段が出力した対応する部位の該制御コードの補正量を加算した値を,ヘッダーパターンに変換して冷却装置に出力する
    ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  7. 前記ダイナミック制御手段は,前記冷却前温度偏差補正手段と前記速度偏差補正手段の出力を,鋼板の長手方向の各部位毎に合成して制御コードの補正量を算出する操作量合成手段を備え,
    前記ヘッダーパターン変換手段は,前記各冷却ヘッダーの直下の鋼板の長手方向の部位を認識した上で,前記プリセット制御手段が前記鋼板の長手方向の各部位に対応づけて算出した制御コードに,前記ダイナミック制御手段が出力した対応する部位の該制御コードの補正量を加算した値をヘッダーパターンに変換した後,該ヘッダーパターンをダウンコイラに近いヘッダーから順に走査し,前記巻取り温度偏差補正手段の出力に対応した数だけヘッダー指令を変更して冷却装置に出力すること
    を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  8. 前記鋼板の速度に関する情報は、鋼種,板厚,板幅毎の鋼板払い出しから鋼板巻き取りまでの速度パターンであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  9. 前記ヘッダーパターンは、対応する制御コードで表現され、制御コードは、前記冷却ヘッダー優先順位テーブルの情報に対応して制御コード化されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  10. 前記プリセット制御手段は、鋼板の長手方向の各部位につき,前記板温推定モデルを用いて,制御コードに対応した巻取り温度を算出し,求められた巻取り温度の予測結果に応じて制御コードを更新することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の巻取り温度制御装置。
  11. 熱間圧延機で圧延された鋼板を,熱間圧延機の出側に備えられた冷却装置で冷却し,ダウンコイラで巻取られる前の鋼板の温度を所定の目標温度に制御する巻取り温度制御方法において
    プリセット制御演算では、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダーの開閉の組み合わせであるヘッダーパターンを、前記冷却装置に備えられた多数の冷却ヘッダーの開放順序の優先順位を格納している冷却ヘッダー優先順位テーブルの情報を用いて生成した制御コードと対応づけした上で,解を求めるために与えられた所与の制御コード,熱間圧延機出側の鋼板温度の推定値及び鋼板の速度に関する情報とから,前記鋼板の巻取り温度を推定するための板温推定モデルを用いて前記鋼板の巻取り温度を推定し、この推定した巻取り推定温度が目標巻取り温度に近づくように前記所与の制御コードを更新して目標巻取り温度を実現するための解となる制御コードを得ると共に,
    冷却制御中は,鋼板の状態を観測することにより得られる観測結果にしたがって,前記算出されたヘッダーパターンに対応する制御コードの変更量を求め,前記求められたヘッダーパターンに対応する制御コードを前記求められた制御コードの変更量で補正した結果を,ヘッダーパターンに変換して前記冷却装置に与えること,
    を特徴とする巻取り温度制御方法。
  12. 前記鋼板の速度は、鋼種,板厚,板幅毎の鋼板払い出しから鋼板巻き取りまでの速度パターンであることを特徴とする請求項11に記載の巻取り温度制御方法。
  13. 前記プリセット制御時、鋼板の長手方向の各部位につき,前記板温推定モデルを用いて,制御コードに対応した巻取り温度を算出し,求められた巻取り温度の予測結果に応じて制御コードを更新することを特徴とする請求項11〜12の何れかに記載の巻取り温度制御方法。
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