JP5195274B2 - 耐摩耗スクリーン及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば高炉による製鉄に用いる焼結鉱等の製銑原料を選別するスクリーン及びその製造方法に関するものである。
製銑原料の一つである焼結鉱は、板厚3〜6mmの汎用熱延鋼板(SPHC)などをパンチング加工又はエキスパンド加工することによって、パンチング加工の場合はカプセル断面形状(半円2個を長方形で繋いだ形状)の小孔を、エキスパンド加工の場合は多数の菱形の小孔を、それぞれ所定ピッチで形成した篩い網(スクリーン網)を用いて、時間当たり数百トンオーダーの大量の製銑原料を分級するため、高速振動を付与しながら篩われる。これにより、一定粒度以下の粉粒状物を除去して高炉原料としている。従来は、200℃を超える高温環境では、網母材のNi割合を高めて、低熱膨張性の合金をスクリーン網に用いること、サーメット等の溶射皮膜を形成すること等が、熱による小孔の拡大防止対策として考えられていた。
しかし、酸化鉄や石灰岩からなる製銑原料の温度も100〜200℃以上になることがあり、厳しい腐食環境に常に曝されている。溶射皮膜の熱膨張率としては、5×10−6〜8×10−6/Kであるため、SPHCやSPCC(汎用冷延鋼板)のような鋼材の熱膨張率12×10−6/Kと差違が大きく、温度が高くなれば剥離が生じ易くなる。このため、前記振動用篩い網は、通材孔を流れる焼結鉱によって網目が摩耗し、網目を構成する小孔が拡大するので使用できなくなる。
そこで、特許文献1に記載のように、篩い網本体の表面に自溶性合金からなる溶射層、又は自溶性合金10重量%と残部炭化物とのサーメットからなる溶射層を形成した二層構造打ち抜き金網や、特許文献2に記載のように、WC、CrC、TiC及びSiCの群から選択される何れか一種以上と、Ni、Cr、Co及びこれらの合金の群から選択される何れか一種以上とからなって炭化物を10〜90重量%、Ni、Cr、Co又はこれらの合金等の金属マトリックスを90〜10重量%含む炭化物系サーメットの微粉末を溶射した溶射皮膜を有する製鉄所原料用篩部材などが提案されている。
また、特許文献3には、WCに対し、バインダー成分としてNi、Cr、Mo、Feを必須成分として含み、選択的添加成分としてW、Co、Cuの1種以上を混合したWCサーメット溶射皮膜を被覆形成した耐摩耗性に優れた金属製部材が開示されている。
また、皮膜ではないが、以下の発明が開示されている。
特許文献4には、平均粒径が0.6〜1μmとなるWC粉末(原料A)と、平均粒径が原料Aの2倍以上となるWC粉末(原料B)と、Co、Ni、Cr、Fe、Moの少なくとも1種の金属の粉末(原料C)を原料粉末として、任意の断面組織で粒径が1μm以下及び1μm超のWCの占める面積とアスペクト比が2以上のWCの占める面積が所定の関係を満たす焼結超硬合金が開示されている。
特許文献5には、細かい炭化タングステン相が約10〜約50%、粗い炭化タングステン層が約10〜約75%、チタン、タンタル、及びタングステンのカーバイドの固溶体が約10〜約50%、Co、Ni、Fe、Cr、Mo、Wの1種以上からなる接合剤相が約5〜約30%である焼結した多相セラミックス材料からなる工具が開示されている。
特許文献6には、球状化処理した平均粒径2〜20μmのWCを硬質層とし、Co又はNiを結合相として焼結された超硬合金が開示されている。
実開平4−102681号公報 特開平9−220528号公報 特開2006−328496号公報 特開平10−176234号公報 特表平10−512624号公報 特開平8−333647号公報
しかしながら、特許文献1記載の二層構造打ち抜き金網においては、被覆層を耐摩耗性の高いセラミックスを使用し、溶射後に溶融処理が必要なため製品の歪みが生じ易く、製鉄所原料用篩部材には不適であった。
また、特許文献2記載のWC、CrC、TiC及びSiCの群から選択される何れか一種以上と、Ni、Cr、Co及びこれらの合金群を溶射層に用いる場合は、製鉄所原料に特有の耐錆(耐腐食)に乏しく、溶射層の錆発生によって長寿命化が困難であった。
また、特許文献3記載の発明は、WCのバインダーとしてNi、Cr、Mo、Fe、選択的な添加成分としてW、Co、Cuを混合してなる溶射粉末を、溶射中のWCの酸化を防ぐため高速フレーム溶射法により成膜し、厚さを規定しているが、溶射層中のWCの形態や緻密さ(気孔)等の客観的指標である密度や硬度の言及は一切なく、耐摩耗性能が補償されず、品質のばらつきが生じ得るという本質的な問題があった。
また、特許文献4記載の発明は、平均粒径が0.6〜1μmとなるWC粉末(原料A)と、平均粒径が原料Aの2倍以上となるWC粉末(原料B)と、Co、Ni、Cr、Fe、Moの少なくとも1種の金属の粉末(原料C)を原料粉末として、粒径が1μm以下及び1μm超のWCの面積とアスペクト比が2以上のWCの面積が所定の関係を満たすとあるが、原料Aと原料Bの面積割合、アスペクト比を規定しながらバインダーであるCo、Ni、Cr、Fe、Moの規定量や添加目的を言及していない。このため、請求範囲が特定できず、材料の特定が困難であるという問題があった。この他にも耐食性の効果の有無、好ましい密度の範囲も不明確などの問題点を有する。
また、特許文献5記載の発明は、数平均等価円直径φ0.30〜0.85μm炭化タングステン相が約10〜約50%、数平均等価円直径が2〜4倍の先に比べれば粗い炭化タングステン層が約10〜約75%、チタン、タンタル、及びタングステンのカーバイドの固溶体が約10〜約50%、Co、Ni、Fe、Cr、Mo、Wの1種以上からなる接合剤相が約5〜約30%である焼結した多相セラミックス材料からなる工具が開示されているが、このように、φ3.4μm以下の一般的には非常に細かいWCに粉砕加工するコストが莫大のため、工業的には製造ベースに乗らないという問題があった。
また、特許文献6記載の発明では、球状化処理した平均粒径2〜20μmのWCを硬質層とし、Co又はNiを結合相として焼結された超硬合金が開示されているが、大量生産が困難で、開示されている通り、靭性のみ向上するが耐腐食や硬度などは従来技術と変わらないという問題があった。
本発明は、微細でセラミックス粒に比べ安価で、粒度、緻密度、組織を限定したWC(超硬)マトリックスを用いるとともに、錆発生を防止するためMoを必要最小量含むバインダーを第2相に使用し、耐摩耗と耐錆の両面に優れる製鉄用スクリーン網を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の要旨は、
(1)鉄製スクリーンの表面に、平均円相当径が0.001〜0.1mmかつ平均アスペクト比が1.5以下の球状、平均円相当径が0.0005〜0.05mmかつ平均アスペクト比が3〜10の柱状の何れか一方又は両方からなり、密度が15g/cm以上のWC:80〜92質量%と、Ni:1.5〜6質量%と、Cr:0.5〜3質量%と、Mo:0.3〜2質量%と、Fe:2質量%以下と、を含有し、かつ、残部はCo及び不可避の不純物からなる超硬材料をコーティングしたことを特徴とする、耐摩耗スクリーン、
(2)前記超硬材料からなる皮膜の厚さが0.05〜0.300mmで、ビッカース硬さHvが8GPa超であることを特徴とする、(1)記載の耐摩耗スクリーン、
(3)前記超硬材料を、2,400〜2,700℃、2,000〜2,700m/秒のガスジェットに吹き付けて、鉄製スクリーンに400〜1,000m/秒でフレーム溶射するか、または、2,400〜2,800℃のプラズマに吹き付けて、鉄製スクリーンに400〜1,000m/秒でプラズマ溶射することを特徴とする、(1)または(2)に記載の耐摩耗スクリーンの製造方法、
である。
尚、本発明において、平均円相当径、平均アスペクト比とは、それぞれ、JIS R 1670に従って測定した値と定義する。
本発明によれば、製鉄原料用スクリーン網の寿命を延長することが可能となり、成品焼結鉱の粒度、品質の悪化を抑制することができ、高炉の炉況変動を抑制することができる、等の多大な効果を奏する。
製鉄原料用スクリーンにおいて、熱延鋼板をパンチングまたはエキスパンド加工した金属製篩部材の表面に、球状または柱状WC粒をフレーム(高速火炎)溶射またはプラズマ溶射によって被覆しているので、形成される溶射皮膜が緻密で高硬度であるとともに、剥離し難い。
また、エキスパンド型の金属製篩では、切断加工に伴うバリ部に適当な凹凸が付与されているので、溶射皮膜の難剥れ性(密着性)が良く、結果として溶射皮膜の剥離の生じ難い製鉄原料用スクリーンとなる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
まず、本発明のWCについて説明する。
平均円相当径が0.1mmを越えると溶射皮膜が粗くなって実質的強度が落ちるので、平均アスペクト比が1.5以下の球状の場合、平均円相当径は0.1mm以下の範囲と規定する。
溶射皮膜の寿命との関係を調べた結果、溶射するWCの粒度は、平均円相当径が0.001〜0.1mm、平均アスペクト比が1.5以下の球状ならば、室温から200℃以上に渡る使用温度範囲全体での耐摩耗性と耐食性という効果が期待できるが、平均円相当径が0.001mm未満の場合に製造価格が高騰すると共に、溶射時に受ける運動量が小さくなって気流に流され易くなる。
平均アスペクト比が3〜10の柱状ならば、室温から200℃以上に渡る使用温度範囲全体での耐摩耗性と耐食性という効果が期待できる。平均アスペクト比が3〜10での平均円相当径は0.0005〜0.05mmと規定する。溶射するWCの粒度の平均円相当径が0.0005mm未満では、製造コストが高くなり、平均円相当径が0.05mm超で柱状粒の場合、WC粒の稠密度を上げることが難しく、耐食性が低くなるため好ましくない。
さらに、WCの理論密度は15.7g/cmであり、高硬度、高靭性という効果を得るためには、15g/cm以上の緻密質であることを必須とする。
本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るエキスパンド型の製鉄原料用スクリーンの平面図であり、図2はコーティングされたスクリーンの厚さ方向の断面で、上側が溶射皮膜で下側が母材である。図1において、ひし形の空間の短軸は5〜10mm程度、長軸は20〜40mm程度が一般的である。また、図2において、溶射皮膜(超硬材料からなる皮膜)の厚さは、後述するように、0.05〜0.300mmとすることが好ましい。
次に、本発明にて規定する高耐性溶射皮膜(超硬材料からなる皮膜)の成分組成限定理由について、以下に説明する。
WCは、室温から200℃以上に渡る使用温度範囲全体での高い硬度と耐摩耗性を維持するためには、質量%で(以下同様)80%以上が必要である。一方、92%を超えると靭性や耐熱衝撃性、さらに粉末の溶射付着効率(溶射時の歩留まり)が低下するため92%以下とする。
Niは、本発明の目的を達成するために、高耐性材として長期間の使用に耐える耐食性を確保することが不可欠であるので1.5%以上とし、より好ましくは2%以上とするのが良い。しかしながら、多量に含有させても寿命向上効果が飽和するので、上限を6%とした。
Crは、熱と振動に繰り返し晒される環境に耐えられる耐食性を確保するために0.5%以上とし、好ましくは1%以上含有させるのが良い。しかしながら、多量に含有させても寿命向上効果が飽和するとともにコスト高となるため、上限を3%とした。
Moは、Ni、CrやCo中の炭窒化物の析出を抑制し、時効硬化性の向上に効果のある元素であるので0.3%以上とし、高温に曝された場合でも優れた寿命を得るためには0.5%以上、好ましくは1%以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含有させると、δフェライト相が増加して靭性やクリープ破断強度が低下するため、上限を2%とした。
Feは、製造過程で風袋、混合装置等から混入し、不純物として不可避的に含有している元素である。しかしながら、2%より多く含有すると皮膜の耐食性を低下させる原因となるため、上限を2%とし、より優れた耐久性を確保したい場合には、上限を1%以下にすることが好適である。
Coについては、Crと同様に耐食性の維持に欠かすことのできない成分であるとともに、フレーム(高速火炎)溶射ならびにプラズマ溶射に適した成分で、WC粒のバインダーとして広く用いられている。
本発明の超硬材料は、不可避的不純物として、以下の成分を含有しても良い。
Oは、原料中または製膜中に混入し、不純物として不可避的に含有している元素である。しかしながら、その含有は熱間強度、耐錆性を阻害する原因となるため200ppm以下とすることが好ましく、より優れた耐久性を確保したい場合には、上限を100ppm以下に規制することが好ましい。
Siは、製造工程の脱酸剤として使用されることがあり、フェライト相を安定化させる。また、耐酸化性、加工硬化性、時効硬化性の向上に効果のある元素である。しかしながら、1%より多く含有すると靱性を損なうので上限を1%とすることが好ましい。より好ましくは0.8%以下にするのが良い。
Pは、熱間加工性を劣化せしめる元素であり、極力低減する必要があるため、上限を0.04%とすることが好ましい。より好ましくは0.03%以下である。
Sは、熱間加工性を著しく劣化せしめ、合わせて耐食性も損なう元素であるが、機械加工性を改善する元素でもある。従って、耐食性を重視する場合には、低減する必要があり、上限を0.03%とすることが好ましい。より耐食性を重視する場合には、Sを0.0015%以下とするのが良い。耐食性と機械加工性を、場合に応じて両立せしめるためには、この範囲とすることが好ましい。
Nは、0.5%を超えると固溶度を超えて気泡となり易いので、0.5%以下とすることが好ましい。一方、Nは0.01%以上含有すると強度と耐食性を向上させるので、0.01〜0.5%の含有量とすることが好ましい。より好ましくは、0.02〜0.2%である。
以上の不純物とは別に、本発明の超硬材料は、選択的に以下のTi、Caの1種又は2種を含有しても良い。
Tiは、0.05%以上含有することにより、Cを固定し耐食性を向上させ、またCaと共存してOを固定し耐食性を向上させる元素であり、0.2%以上選択添加することが好ましい。一方、0.5%を超えると熱間加工性を劣化させる。
Caは、強力な脱酸、脱硫剤として0.0005%以上選択添加すると、熱間強度、熱間加工性が向上するので好ましい。一方、0.008%を超えると耐食性を劣化させる。
上記(2)記載の本発明において、耐摩耗スクリーンの皮膜は、0.05mm以上であれば耐摩耗性は向上するが、0.30mmを超えると剥離強度が低下するので、厚さは0.05〜0.30mmの範囲が好ましい。また、より好ましくは、分級時の網目基準は初期値の+0.2mmまでを上限として、別の分級基準のスクリーン網に転用されることが多いので、皮膜の半分が摩耗しても残り半分で別の基準で再度使用可能な点でコスト低減やリサイクル性も兼ね備えることが可能となる0.20〜0.30mmとすることが好適である。また、皮膜の硬さが高い方が耐摩耗性が向上するので、JIS G0202で規定するビッカース硬さHvは、8GPa以上が好適である。硬さの上限は、剥離を防止するため、30GPaとすることが好ましい。
溶射皮膜の表面粗さをできるだけ小さくし、低摩擦化することが寿命向上、分級効率の両面で重要となる。もし表面粗さが大きいと、孔食現象が起き易く、長期の寿命が確保できなくなるばかりでなく、大量の分級が滞るからである。なお、好ましくは、表面粗さRa(JIS B0601、JIS B0633)を0.05μm〜8μmの範囲内とし、装着中もこの範囲内であるのが良い。表面粗さRaの下限は、0.05μmとするのが好ましいが、これより小さくても寿命向上、分級効率の面では好適である。
また、本発明は、表面粗度の別の指標であるRv値が0.5〜20μmという表面性状を満たすと好ましい。基準長さ0.8mmで測定される最大谷深さ、即ちRv値(JIS B0601、JIS B0633)が0.5〜20μmである耐摩耗材は孔食現象が起き難く、長期の寿命が確保できる。ここで、Rvを0.5〜20μmとしたのは、20μmを超えると表層部の欠陥として孔食が起こり易く、構造部材として強度低下を来たす一因となるからであり、0.5μm未満であると、接触摩擦が増大し、摺動寿命を短縮するおそれがあるからである。このRv値は、JIS−B0601に準拠して測定できる値であるものとする。
溶射皮膜の形成方法について説明する。
より好ましくは、SPHC製スクリーン網本体を酸洗処理し錆落としを行う。その後、高速火炎溶射機又はプラズマ溶射機を用いて、母材表面にWC(超硬)粒を含有する上記の超硬材料を溶射して皮膜を形成する。
また、表面に凹凸を付与し皮膜の密着性をアンカー効果により高めることも有効である。この場合のブラスト材(グリッド)の種類は、例えば、炭化ホウ素、炭化珪素、アルミナ、白銑グリッド、サンド等があるが投錨効果を大きくするためには、炭化ホウ素が最もよい。高速火炎溶射機又はプラズマ溶射機を用いて、アンカー加工がなされたスクリーン網の表面にWC(超硬)粒を含有する上記の超硬材料を溶射して皮膜を形成する。
前記高速火炎溶射は、灯油(ケロシン)を燃料とし、酸素を用いて化合させて2,400〜2,700℃の高温で、2,000〜2,700m/秒、好ましくは2,500〜2,700m/秒の高速ガスジェットを作り、これに溶射材料(上記の超硬材料)を乗せて溶融させ、400〜1,000m/秒で溶射材料を鉄製篩部材本体の上に吹き付けて凝固させて接合するものである。
火炎溶射の温度が2400℃より低いと溶融状態が不安定で、溶射皮膜の品質低下の一因となり、2700℃を超えると気化が生じ溶射効率が低下するので、上記の範囲に規定する。
また、ガスジェットの速度が2000m/秒より遅いと皮膜中の粒界が形成され易く、不均質となり、2700m/秒より速いと皮膜の凹凸が顕著となるので、上記の範囲に規定する。また、2500m/秒以上であると粒界が形成され難く、凹凸も少なくなるので、好ましい。
また、溶射材料を吹き付ける際の速度が400m/秒より遅いと衝突エネルギーが小さく、皮膜の凹凸が大きくなり、1000m/秒より速いと衝突エネルギーが過剰となるので、上記の範囲に規定する。
プラズマ溶射の場合も同様に、プラズマで2,400〜2,800℃の高温を発生させ、400〜1,000m/秒で溶射材料を吹き付け凝固させる。ともに、一台の高速火炎またはプラズマ溶射機だけで製膜してもよいが、2台以上の高速火炎またはプラズマ溶射機を用いて裏面も含めた広範囲に一様に溶射するのが好ましい。
プラズマ溶射の温度が2400℃より低いと溶融状態が不安定で、溶射皮膜の品質低下の一因となり、2800℃を超えると気化が生じ溶射効率が低下するので、上記の範囲に規定する。
また、溶射材料を吹き付ける際の速度が400m/秒より遅いと衝突エネルギーが小さく、皮膜の凹凸が大きくなり、1000m/秒より速いと衝突エネルギーが過剰となるので、上記の範囲に規定する。
ここで、鉄製篩部材(鉄製スクリーン)本体の表面のみに溶射する場合には、鉄製篩部材本体の面に略直角に前記高速ガスジェットを向けて行えばよいが、小孔の内側に溶射する場合には、溶射ガンを斜めに向けて、できるだけ底辺の内壁に溶射材料が付着するようにして行う。
高速火炎溶射機を用い、溶射条件を変えて焼結原料のSPHCスクリーン網母材の上に、溶射した場合、実施例1〜4の溶射皮膜の各組成、硬さを表1に示す。
実施例1においては、溶射材料として、平均円相当径が0.05mmかつ平均アスペクト比が1.2の球状、及び平均円相当径が0.01mmかつ平均アスペクト比が3の柱状で、何れも密度が15.2g/cmのWCを6:4で混合し、表1に記載した組成の金属からなる混合粉を使用し、温度2,600℃で、2,500m/秒の高速ガスジェットに吹き込み、スクリーン網に800m/秒で高速火炎溶射し、原料通過の片面のみに皮膜を形成した。
実施例2においては、溶射材料として、平均円相当径が0.1mmかつ平均アスペクト比が1.2の球状、及び平均円相当径が0.05mmかつ平均アスペクト比が10の柱状で、何れも密度が15.2g/cmのWCを8:2で混合し、表1に記載した組成の金属からなる混合粉を使用し、実施例3においては、溶射材料として、平均円相当径が10μmで平均アスペクト比が5の柱状で、密度が15.2g/cmのWCと、表1に示す金属の混合粉を使用し、実施例4においては、溶射材料として、平均円相当径が0.08mmかつ平均アスペクト比が1.2の球状で、密度が15.2g/cmのWCと、表1に示す金属の混合粉を使用し、実施例2と3は、温度2,400℃で、2,600m/秒の高速ガスジェットに吹き込み、スクリーン網に800m/秒で高速火炎溶射し、実施例4は、2,700℃のプラズマに吹き付けて、鉄製スクリーンに800m/秒でプラズマ溶射し、それぞれ両面に皮膜を形成した。
実施例5においては、皮膜厚さを0.03mmとしたことを除いて、実施例2と同じ条件で皮膜を形成した。また、実施例6においては、皮膜厚さを0.40mmとしたことを除いて、実施例4と同じ条件で皮膜を形成した。
比較例7〜9においては、WCは、それぞれ、平均円相当径が0.25mmかつ平均アスペクト比が1.2の球状で、密度が15.2g/cm、平均円相当径が0.07mmかつ平均アスペクト比が2の柱状で、密度が15.2g/cm、平均円相当径が0.1mmかつ平均アスペクト比が1.2の球状、及び平均円相当径が0.1mmかつ平均アスペクト比が5の柱状で、何れも密度が15.2g/cmのものを9:1で混合し、それぞれ表1記載の組成の混合粉を調製した後に、温度2,600℃で、2,500m/秒の高速ガスジェットに吹き込み、スクリーン網に800m/秒で高速火炎溶射し、実施例と同様に両面に皮膜を形成した。
溶射を行わない従来のSPHCスクリーンの操業条件である面積として1,840×2,880mmを用い、通材量は400トン/時間、振動数は2,000サイクル/分で、篩目は5.5mmで行った。従来のSPHCスクリーンの操業条件で、ある網目の初期値が、被膜厚さの残有り、被膜層無しに関わらず+0.4mmに拡がるまでの期間(2週間)と、上記のようにして実施例及び比較例の皮膜を溶射により形成したSPHCスクリーンにおいて、網目が+0.4mmに拡がるまでの期間の寿命比較を行った。すなわち、表1中の「溶射なし戸の寿命比較」の欄の数値は、(溶射皮膜ありの寿命)/(溶射皮膜なしの寿命)を表している。
表1からも明らかなように、実施例1〜6の製鉄原料のスクリーン網においては、十分な硬度の溶射皮膜を形成できることが判明した。従って、従来のSPHCスクリーン網に比較して実施例1〜6に示す溶射処理によって製作されたスクリーン網の耐用期間が著しく増加することになる。また、比較例7〜9の溶射材では、母材であるSPHCのみに比べて寿命は延びるものの、コーティングにかかるコストに比べ、延命効果は少なく、投資対効果ではマイナスとなった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施の形態及び実施例においては、焼結原料のスクリーン網について説明したが、他の製鉄原料用篩部材についても本発明を適用できる。
製鉄原料用スクリーン(エキスパンド篩)の平面図である。 溶射皮膜の部分断面図である。

Claims (3)

  1. 鉄製スクリーンの表面に、
    平均円相当径が0.001〜0.1mmかつ平均アスペクト比が1.5以下の球状、平均円相当径が0.0005〜0.05mmかつ平均アスペクト比が3〜10の柱状の何れか一方又は両方からなり、密度が15g/cm以上のWC:80〜92質量%と、Ni:1.5〜6質量%と、Cr:0.5〜3質量%と、Mo:0.3〜2質量%と、Fe:2質量%以下と、を含有し、かつ、残部はCo及び不可避の不純物からなる超硬材料
    をコーティングしたことを特徴とする、耐摩耗スクリーン。
  2. 前記超硬材料からなる皮膜の厚さが0.05〜0.300mmで、ビッカース硬さHvが8GPa超であることを特徴とする、請求項1記載の耐摩耗スクリーン。
  3. 前記超硬材料を、2,400〜2,700℃、2,000〜2,700m/秒のガスジェットに吹き付けて、鉄製スクリーンに400〜1,000m/秒でフレーム溶射するか、または、2,400〜2,800℃のプラズマに吹き付けて、鉄製スクリーンに400〜1,000m/秒でプラズマ溶射することを特徴とする、請求項1または2に記載の耐摩耗スクリーンの製造方法。

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