JP5194774B2 - グラフト型分散剤、及びそれを用いた顔料組成物 - Google Patents

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本発明は、グラフト型分散剤に関し、更に詳しくは、塗料及び着色樹脂組成物などの分野に適する、非集合性、流動性、保存安定性に優れた顔料分散体を製造することのできるグラフト型分散剤、及びそれを用いた顔料組成物に関する。
一般に、インキ等を製造する場合、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。例えば、微細な粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、高粘度化が顕著な場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。更に展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良等の状態不良を生じる。又、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
そこで一般的には、分散状態を良好に保つために分散剤が利用されている。分散剤は、顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。分散剤は、被分散物である顔料の表面状態に合わせ、種々のものが使用されているが、酸性に偏った表面を有する顔料には塩基性の分散剤が使用されるのが一般的である。この場合、塩基性の官能基が顔料の吸着部位となる。塩基性の官能基としてアミノ基を有する分散剤は、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7などに記載されている。
しかし、特許文献1、特許文献2、特許文献3では、分散能力は持ち合わせるが、側鎖が限定され、使用できる溶剤やバインダー樹脂が限定されていた。又、特許文献4、特許文献5、特許文献6では、ある程度の分散能力は持ち合わせるが、低粘度で安定な分散体をつくるには使用量を多くする必要があった。しかし、使用量を多くすることは、インキ、塗料等への展開を考える上で、塗膜の耐性が落ちる場合があるなど好ましいものではなかった。特許文献7では、分散能力は持ち合わせるが、高反応性の一級アミン濃度が高く、併用する分散剤や樹脂、もしくは添加剤に制限があった。
特開平9−169821号公報 特開平9−194585号公報 特開2004−089787号公報 特開平1−236930号公報 特開平3−103478号公報 特開平16−344795号公報 特開2007−284642号公報
本発明は、低使用量で分散性、流動性、保存安定性に優れ、バインダー樹脂や添加剤、溶剤に制限されない顔料分散体を得るための分散剤の提供を目的とする。更に本発明は、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ、インキジェットインキ、塗料、及び着色樹脂組成物などに適する、非集合性、流動性に優れた分散性や安定性を有する、顔料組成物及び顔料分散体の提供を目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、一級及び三級アミノ基含有重合体に側鎖としてビニル重合体を縮合反応した顔料用グラフト型分散剤が前記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第1の発明は、アリルアミンと、N,N−二置換アリルアミン(a)とを含むエチレン性不飽和単量体(b)をラジカル重合して得られる、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)中の一級アミノ基1モルに対して、
片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)中のカルボキシル基0.4〜1.0モルを縮合反応させてなる顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第2の発明は、N,N−二置換アリルアミン(a)が、N,N−ジメチルアリルアミンであることを特徴とする第1の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第3の発明は、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)が、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(f)をラジカル重合してなることを特徴とする第1の発明又は第2の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第4の発明は、エチレン性不飽和単量体(f)が、メチルメタクリレートを含むことを特徴とする第3の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第5の発明は、エチレン性不飽和単量体(f)が、更にブチルメタクリレートを含むことを特徴とする第4の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第6の発明は、エチレン性不飽和単量体(f)の合計100重量%中、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの合計が30〜100重量%であることを特徴とする第4の発明又は第5の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第7の発明は、エチレン性不飽和単量体(f)の合計100重量%中、下記一般式(1)で表される単量体を20〜100重量%含むことを特徴とする第3の発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
Figure 0005194774
[一般式(1)において、R1は、炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜15の脂環式のアルキル基である。]
又、第8の発明は、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)の重量平均分子量が、500〜30,000であることを特徴とする第1〜7いずれかの発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第9の発明は、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)のガラス転移温度が、50〜200℃であることを特徴とする第1〜8いずれかの発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第10の発明は、アミン価が2〜80mgKOH/gであることを特徴とする第1〜9いずれかの発明の顔料用グラフト型分散剤に関する。
又、第11の発明は、第1〜10いずれかの発明の顔料用グラフト型分散剤と、顔料とを含有する顔料組成物に関する。
又、第12の発明は、酸性基を有する顔料誘導体を含有することを特徴とする、第11の発明の顔料組成物に関する。
又、第13の発明は、酸性基を有する顔料誘導体が、下記一般式(2)、(3)、または(4)のいずれかで表されることを特徴とする、第12の発明の顔料組成物に関する。
一般式(2)
P−Z1
(式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Z1は、スルホン酸基又はカルボキシル基を表す。)
一般式(3)
(P−Z2)[N+(R2,R3,R4,R5)]
(式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、R2は、炭素数5〜20のアルキル基、R3,R4,及びR5は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
一般式(4)
(P−Z2)M+
(式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Mは、Na又はK原子を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
又、第1の発明は、第11〜1いずれかの発明の顔料組成物とワニスとを含んでなる顔料分散体に関する。
本発明のグラフト型分散剤を使用することにより従来得られなかった分散性、流動性、保存安定性を有する顔料組成物を提供できた。更に、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ、インキジェットインキ、塗料、及び着色樹脂組成物などに適する、非集合性、流動性に優れた分散性や安定性をもち、高い貯蔵安定性及び高い経時安定性を有する顔料分散体を提供できた。
一般に、顔料分散剤は、顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と、分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。本発明のグラフト型分散剤は、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)由来の主鎖又は主鎖近傍に存在する塩基性基が顔料に吸着し、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)由来の側鎖が溶剤へ親和する機能を有することを特徴としている。
本発明の顔料用グラフト型分散剤は、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の一級アミノ基1モルに対して、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)中のカルボキシル基0.4〜1.0モルを縮合反応して得られる分散剤である。
まずは、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)について説明する(以下、単に「ビニル重合体(c)」とも表記する)。ビニル重合体(c)は、アリルアミンとN,N−二置換アリルアミン(a)とを含むエチレン性不飽和単量体(b)をラジカル共重合して得られる。ビニル重合体(c)中における一級及び三級アミノ基の含有率としては、単量体単位で10〜100重量%が好ましく、20〜100重量%がより好ましく、100重量%すなわちアリルアミンとN,N−二置換アリルアミン(a)との共重合体が特に好ましい。含有率が10重量%以上であれば、顔料の凝集を防ぎ、粘度の上昇を抑えることに効果的である。
N,N−二置換アリルアミン(a)としては、例えば、脂肪族N,N−二置換アリルアミン、脂肪芳香族N,N−二置換アリルアミン、芳香族N,N−二置換アリルアミンなどが挙げられる。
脂肪族N,N−二置換アリルアミンとしては、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N−ジエチルアリルアミン、N,N−ビス(2−クロロエチル)アリルアミン、N,N−ジプロピルアリルアミン、N,N−ジイソプロピルアリルアミン、N,N−ジプロパルギルアリルアミン、N,N−ジブチルアリルアミン、N−メチル−N−(1−メチルプロピル)アリルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアルアミン、等が挙げられる。
脂肪芳香族N,N−二置換アリルアミンとしては、N−メチル−N−ベンジルアリルアミン、N,N−ジベンジルアリルアミン、N,N−ビス(2−アミノベンジル)アリルアミン、N−メチル−N−フェニルアリルアミン、N−(2−ヨードフェニル)−N−メチルアリルアミン、N−ベンジル−N−フェニルアリルアミン、N,N−ジメチル−1−フェニルアリルアミン、N,N−ジエチル−1−フェニルアリルアミン、N,N−ジベンジル−1−フェニルアリルアミン等が挙げられる。
芳香族N,N−二置換アリルアミンとしては、N,N−ジフェニルアリルアミン等が挙げられる。
これらのうち、顔料に吸着する能力が特に高いN,N−ジメチルアリルアミンを使用することが好ましい。
エチレン性不飽和単量体(b)として用いられ得る、アリルアミンやN,N−二置換アリルアミン(a)と共重合可能なその他の単量体としては、
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、及びt−オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N−メチレンアリルアミン、N−(2,2−ジメチルプロピリデン)アリルアミン、N−(2−フリルメチレン)アリルアミン、N−ベンジリデンアリルアミン、N−(4−メチルベンジリデン)アリルアミン、N−(4−クロロベンジリデン)アリルアミン等のN−アルキレンアリルアミン;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー等があげられる。
更に、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)としては、300〜75,000であることが好ましく、300〜20,000であることがより好ましく、500〜5,000であることが特に好ましい。該重量平均分子量が300〜75,000であれば、顔料の凝集を防ぐことにより、顔料分散体の粘度上昇を抑えることに効果的である。
一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の市販品としては、日東紡のPAA−1112などが挙げられる。
本発明のグラフト型分散剤を構成する、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の含有率としては、グラフト型分散剤の重量の合計100重量%中、0.5〜40重量%が好ましく、1.5〜20重量%がより好ましい。上記含有率が0.5〜40重量%であれば、上記グラフト型分散剤の顔料への十分な吸着力を保持することができる。又、顔料分散剤としての十分な立体反発効果を保持し、分散液の粘度の上昇を抑えることに効果的である。
次に、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)(以下、単に「ビニル重合体(d)」とも表記する)について説明する。ビニル重合体(d)は、例えば、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(f)をラジカル重合することで得ることができる。ビニル重合体(d)は、分散媒である溶剤に親和性の高い部位であり、下記一般式(5)で表される。
Figure 0005194774
[一般式(5)において、R6は化合物(e)からカルボキシル基とチオール基とを除く残基であり、R7は水素原子又はメチル基であり、R8はエチレン性不飽和単量体(f)からCH2=CH−もしくは、CH2=C(CH3)−を除く残基である。又、nは2以上の整数、好ましくは3〜200の整数である。ここでR6がビニル重合体(d)でいう、末端領域となる。]
分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)(以下、単に「化合物(e)」と表記することもある)とは、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物であれば特に限定されず、例えば、チオ酢酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、2−メルカプトニコチン酸、6−メルカプトニコチン酸等が挙げられる。
分子内に2つ以上のカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(g)を、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)の代替もしくは化合物(e)と併用して使用してもよい。化合物(g)としては、例えば、チオリンゴ酸等、が挙げられる。
目的とする片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)の分子量にあわせて、化合物(e)とエチレン性不飽和単量体(f)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体(d)を得ることができる。化合物(e)は、エチレン性不飽和単量体(f)100重量部に対して、0.5〜30重量部用いて、塊状重合又は溶液重合によりビニル重合体(d)を得ることが好ましく、より好ましくは1〜12重量部、更に好ましくは2〜12重量部、特に好ましくは3〜9重量部である。反応温度は、40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(f)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
エチレン性不飽和単量体(f)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類があげられる。
又、上記アクリル単量体と併用できる単量体として、スチレン、α−メチルスチレン、インデン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類があげられる。
本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体(f)の中でも、メチルメタクリレートが好ましく用いられ、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとを併用することがより好ましい。エチレン性不飽和単量体(f)として、メチルメタクリレートを使用し、ブチルメタクリレートを使用しない場合には、エチレン性不飽和単量体(e)の合計100重量%中、メチルメタクリレートの割合が30〜100重量%であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましく、70〜100重量%であることが更に好ましい。又、エチレン性不飽和単量体(f)として、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとを併用する場合には、両者の合計が、エチレン性不飽和単量体(e)の30〜100重量%を占めることが好ましく、50〜100重量%を占めることがより好ましく、70〜100重量%を占めることが更に好ましい。エチレン性不飽和単量体(e)として、メチルメタクリレートを使用した場合、更には、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとを併用した場合には、顔料分散性がより良好となる。
又、本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体(f)の中でも、下記一般式(1)で表わされる単量体を使用することも、好ましい態様の一つである。一般式(1)で表される単量体の使用量は、エチレン性不飽和単量体(f)の合計100重量%中、20〜100重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。一般式(1)で表わされる単量体を用いると、溶媒親和性が良くなり、顔料分散性が良好になる。
Figure 0005194774
[一般式(1)において、R1は、炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜15の脂環式のアルキル基である。]
片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)の、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)としては、500〜30,000であることが好ましく、1,000〜15,000であることがより好ましく、2,000〜8,000であることが特に好ましい。該重量平均分子量が500〜30,000であれば、顔料の凝集を防ぐことにより、顔料分散体の粘度上昇を抑えることに有利である。
片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)のガラス転移温度(Tg)は、塗膜の耐性が向上するという点から、50〜200℃が好ましく、50〜120℃がより好ましい。
本発明でいう片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)のTgは、下記のFoxの式で算出した値を用いた。なお、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)由来の骨格もビニル重合体(d)中に存在するが、ガラス転移温度を計算する以下の計算から除くものとする。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
W1からWnは、使用している各単量体の重量分率を示し、Tg1からTgnは、各単量体から得られるそれぞれのホモポリマーのガラス転移温度(単位は絶対温度「K」)を示す。
算出に使用する主なホモポリマーのTgを下記に例示する。
メチルアクリレート:105℃(378K)
ブチルメタクリレート:20℃(293K)
イソボルニルアクリレート:97℃(370K)
ブチルアクリレート:−45℃(228K)
シクロヘキシルメタクリレート:66℃(339K)
ベンジルメタクリレート:54℃(327K)
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート:26℃(299K)
スチレン:100℃(373K)
ジシクロペンタニルメタクリレート:175℃(448K)
次に、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)と、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)との反応について説明する。
本発明の顔料用グラフト型分散剤は、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)中の一級アミノ基1モルに対して、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)中のカルボキシル基0.4〜1.0モルを縮合反応させてなることを特徴とする。反応させるカルボキシル基の割合が0.4モル未満であると、ビニル重合体(c)の有する一級アミノ基のうち40モル%未満のアミノ基が、ビニル重合体(d)中のカルボキシル基と酸アミド結合形成もしくは塩形成をすることになる。この場合、溶媒親和部位である重合体(d)の数が少なくなるため顔料同士の凝集が起こり、粘度低下効果の不足や塗膜外観に不具合を生じさせることになり分散剤として使用できない。
一級アミノ基とカルボキシル基との反応終点は、電位差滴定によってアミン価を測定することで確認した。
一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)と、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)とを反応させる際、異なった種類のビニル重合体(d)や低分子量カルボン酸等を同時に反応させても構わない。又、反応には触媒を使ってもよい。
上述の低分子量カルボン酸とは、分子式の式量が1,000以下のカルボン酸であれば特に限定されることはなく、例えば、酢酸、プロピオン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、バーサチック酸等のアルキルモノカルボン酸類、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸等のアルケニルモノカルボン酸類、安息香酸等の芳香族モノカルボン酸類等が挙げられる。
一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)と片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)との反応は、前者の一級アミノ基と後者の末端遊離カルボキシル基を介しての塩形成、又は酸アミド結合形成反応である。又、反応条件によりエステル−アミド交換反応も同時に起こる。
酸アミド結合形成反応、及び塩形成反応は同時に進行するが、酸アミド結合形成反応は90〜210℃、好ましくは100〜180℃で行うと良い。210℃を超えると、反応生成物に着色をきたし、90℃未満であると反応時間が長くなってしまう。又、反応は窒素気流下で行うと着色の少ないものが得られる。これに対し、塩形成を行う反応温度としては20〜140℃が好ましい。
本発明のグラフト型分散剤のアミン価は、2〜80mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは10〜50mgKOH/gである。アミン価が2mgKOH/g未満であれば顔料と吸着する官能基が不足し、顔料分散に寄与することが困難になる場合があり、80mgKOH/gを超えると、顔料同士の凝集が起こり、粘度低下効果の不足や塗膜外観に不具合を生じさせる場合がある。
本発明は、上記で説明した様に、顔料に吸着する部位となる一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)中の一級アミノ基と、溶剤親和部となる片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)中のカルボキシル基と、を縮合反応させて生成される顔料用グラフト型分散剤である。本発明では、ビニル重合体(c)として、アリルアミンとN,N−ジメチルアリルアミンとの共重合体を用いるのが、顔料吸着能力が高く、分散性がよいことから好ましい。

本発明のグラフト型分散剤と顔料とを混合し、分散することにより、顔料組成物を得ることができる。本発明で使用する顔料は、特に制限されないが、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、60、ピグメントグリーン7、36、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、144、146、149、166、168、177、178、179、185、206、207、209、220、221、238、242、254、255、ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、94、95、109、110、117、120、125、128、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、ピグメントオレンジ13、36、37、38、43、51、55、59、61、64、71、74等があげられる。又、カーボンブラックについては中性、酸性、塩基性等のあらゆるカーボンブラックを使用することができる。
次に、本発明で使用する、酸性基を有する顔料誘導体について説明する。酸性基を有する顔料誘導体は、下記一般式(2)で表される電荷を有さない顔料誘導体もしくは、下記一般式(3)や(4)で表される電荷を有する顔料誘導体に分けられる。
一般式(2)
P−Z1
(式中、Pはアゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Z1はスルホン酸基又はカルボキシル基を表す。)
一般式(3)
(P−Z2)[N+(R2,R3,R4,R5)]
(式中、Pはアゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、R2は、炭素数5〜20のアルキル基、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
一般式(4)
(P−Z2)M+
(式中、Pはアゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Mは、Na又はK原子を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
一般式(2)〜(4)で示される顔料誘導体中のPは有機色素残基を示すが、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ、インキジェットインキ、塗料、及び着色樹脂組成物に使用する顔料の化学構造と、上記有機色素残基の化学構造は必ずしも一致しなければいけないものではないが、最終的に製造されるインキ等の色相を考慮すれば、黄色系顔料の分散に使用する際には黄色系の顔料誘導体、赤系顔料の分散に使用する際には赤系の顔料誘導体、青系顔料の分散に使用する際には青系の顔料誘導体のように、分散する顔料の色相に近いもの、もしくは無色のものを使用した方が色相的に優れた顔料分散体を製造することができる。
本発明では、顔料の分散性や、顔料組成物及び顔料分散体の保存安定性を向上させるために、本発明のグラフト型分散剤以外の分散剤を添加してもよい。そのような分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート等を用いることができる。
上記分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Anti−Terra−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk−101(長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110、111(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170、180、182(高分子共重合物)」、「Bykumen(高分子量不飽和酸エステル)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とポリシロキサンとの混合物)」、「Lactimon(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸との部分アミド化物とポリシロキサンとの混合物)」が挙げられる。
又、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」、共栄社化学社製「フローレン TG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」、楠本化成社製「ディスパロン KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
更に、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000」、日光ケミカル社製「ニッコール T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline 4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821、PB822(塩基性分散剤)」等が挙げられる。分散剤はインキ中に0.1〜10重量%含まれることが好ましい。
本発明に使用する有機溶剤は、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルター用レジストインキ、インキジェットインキ、塗料、及び着色樹脂組成物等に使用される有機溶剤が広く利用できる。補足するならば、本発明のグラフト型分散剤が溶解、もしくは均一に懸濁する有機溶剤であれば特に制限をうけるものではない。
具体的な有機溶剤の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチルイソアミルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−プロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル等のエステル類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等のラクトン類;
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール及びグリコールエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類;
n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ノナン、イソノナン、ドデカン、イソドデカン等の飽和炭化水素類;
1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等の不飽和炭化水素類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、デカリン等の環状飽和炭化水素類;
シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1,1,3,5,7−シクロオクタテトラエン、シクロドデセン等の環状不飽和炭化水素類;
N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の(N−アルキル)ピロリドン類;
N−メチル−2−オキサゾリジノン、N−エチル−2−オキサゾリジノン等のN−アルキルオキサゾリジノン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等があげられる。
これらの有機溶剤は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
本発明における顔料組成物は、グラフト型分散剤を有機溶剤中に溶解、あるいは懸濁させた後、この液中に顔料、及び必要に応じて一般式(2)〜(4)で示される顔料誘導体を投入し、ハイスピードミキサー等で均一になるまで撹拌混合した後、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型サンドミルといったビーズミルやロールミル、メディアレス分散機等の種々の分散機を用いて分散して製造することができる。又、顔料誘導体は、顔料の製造時に添加することにより予め顔料を表面処理するための、処理剤として使用してもよい。
本発明の顔料組成物は、種々の印刷インキやインクジェットインキとして使用し、展色する際の定着性を付与させるためにワニスを添加し、顔料分散体として使用することができる。ワニスとして使用できる樹脂としては、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、エチレン性不飽和単量体を重合して得られる樹脂(例えば、ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩酢ビ樹脂、エチレン酢ビ樹脂、アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂)、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂等があげられる。これらのバインダー樹脂は単独で使用しても、2種類以上を混合して使用しても良い。
本発明の顔料分散体はその使用する用途によって可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、消泡剤、粘度調整剤、ワックス、界面活性剤、レベリング剤等の種々の添加剤を使用することができる。
本発明の顔料分散体は、重合性モノマーもしくはオリゴマーを含有させ、紫外線や電子線で硬化させる放射線硬化型インキとしても使用することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を表す。又、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いたときのポリスチレン換算分子量である。
(製造例1)[一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の合成]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、濃度63.45%のN,N−ジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液431.24部と濃度58.11%のアリルアミン塩酸塩水溶液362.25部を仕込んだ。そのモノマー水溶液を60℃に加温し、ラジカル開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩146.45部を添加し、120時間の重合を行なった。重合終了後、氷冷下で濃度50%の水酸化ナトリウム水溶液332.78部を滴下し塩酸を中和した。中和終了後、減圧下(10.6kPa)、50℃で未反応モノマーを留去した。ここで得られた溶液を、電気透析に付し、脱塩し、N,N−ジメチルアリルアミンとアリルアミンとの共重合比が5:5である固形分14.35%のビニル重合体(c−1)水溶液1914.97部を得た。
(製造例2)[一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の合成]
製造例1において、濃度63.45%のN,N−ジメチルアリルアミン塩酸塩水溶液を258.75部、及び濃度58.11%のアリルアミン塩酸塩水溶液を507.15部用いた以外は、製造例1と同様に操作して、N,N−ジメチルアリルアミンとアリルアミンとの共重合が比3:7である固形分14.27%のビニル重合体(c−2)水溶液1978.93部を得た。
(製造例3)[一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)の合成]
製造例1において、濃度63.45%のN,N−ジエチルアリルアミン塩酸塩水溶液を603.74部、及び濃度58.11%のアリルアミン塩酸塩水溶液を217.35部用いた以外は、製造例1と同様に操作して、N,N−ジエチルアリルアミンとアリルアミンとの共重合比が7:3である固形分14.20%のビニル重合体(c−3)水溶液2045.55部を得た。
(製造例4)[ビニル重合体(d)の合成]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート1440部、チオグリコール酸60部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)1500部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認後、室温まで冷却して、重量平均分子量3000の、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d−1)の固形分50%溶液を得た。
(製造例5〜15)[ビニル重合体(d)の合成]
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は製造例4と同様にして合成を行い、片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d−2)〜(d−12)の固形分50%溶液を得た。
Figure 0005194774
MMA:メチルメタクリレート
BMA:n−ブチルメタクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
HPM:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
St:スチレン
N−PhM:N−フェニルマレイミド
FA513M:ジシクロペンタニルメタクリレート[日立化成工業(株)社製]
TGA:チオグリコール酸
3−MPA:3−メルカプトプロピオン酸
PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CBAc:カルビトールアセテート
アノン:シクロヘキサノン
Tg:ガラス転移温度
Mw:重量平均分子量
(製造例16)[ワニス用樹脂の合成]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、PGMAc250部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメチルメタクリレート80.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20.0部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下することにより重合反応を行った。滴下終了後、更に80℃で3時間反応させた後、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.0部をPGMAc50部に溶解させたものを添加し、更に80℃で1時間反応を続けた。その後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート23.8部を添加し、更に80℃で6時間反応を行い、ワニス用樹脂を得た。PGMAcを添加して固形分を20%に調整した。ワニス用樹脂の重量平均分子量は、約24000であった。
(実施例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、固形分14.35%のビニル重合体(c−1)水溶液200部と、固形分50%のビニル重合体(d−1)溶液491.5部と、PGMAc200部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を140℃に加熱して、系外に水を除去しながら8時間反応した。アミン価が32.7mgKOH/g(理論アミン価)になったことを電位差滴定で確認後、室温まで冷却して、グラフト型分散剤1の溶液を得た。
(実施例2〜13及び比較例1)
表2に記載した原料と仕込み量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、グラフト型分散剤2〜14(実施例2〜13及び比較例1)の溶液を得た。
Figure 0005194774
(比較例2)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、12−ヒドロキシステアリン酸(純正化学製)10.0部、及びε−カプロラクトン(純正化学製)190部を仕込み、窒素気流下で160℃まで4時間かけて昇温し、160℃で2時間加熱した後、ε−カプロラクトンの残量が1%以下になるまで加熱を行った。次いで室温まで冷却し、ポリエステル(数平均分子量2604、酸価21.5mgKOH/g)を得た。又、キシレン25.0部とポリアリルアミン10%水溶液[日東紡績(株)製「PAA−1LV」、数平均分子量約3,000]70部からなる混合物を160℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これに先に得たポリエステル13.9部を160℃まで昇温したものを加え、2時間160℃で反応を行い、分散剤15の溶液(数平均分子量10,500、アミン価38.5mg KOH/g)を得た。
(比較例3)
「Johncryl 682」(S.C.Johnson社製の低分子量のアルカリ可溶性スチレンアクリル共重合体;Mn980、Mw1620、酸価235mgKOH/g、軟化点110℃、ガラス転移点50℃)238.8部、「エマルゲン105」[花王(株)製ポリオキシエチレンラウリルエーテル;HLB=9.7]181.0部、オクタチタン酸n−ブチル0.2部、キシレン72.5部を窒素気流中で170〜174℃で8時間加熱還流して、ディーンスタークトラップ中に9.0部の水分を溜出分離した。反応混合物を70℃に冷却し、キシレン365.5部、「エポミンSP−006」(日本触媒化学工業(株)製ポリエチレンイミン;Mw600)21.6部を加え、136〜138℃で1時間加熱還流して、ディーンスタークトラップ中に1.8部の水分を溜出分離した。反応生成物を常温まで冷却して、淡黄褐色透明で粘稠な分散剤16の溶液を得た。この分散剤の固形分は49%、酸価38.6mgKOH/g、アミン価25.0mgKOH/gであった。
(比較例4)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、キシレン100部とチオグリコール酸10部を仕込み、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸メチル54部、アクリル酸ブチル36部、及び重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)2部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後固形分調整のためキシレンを加え、固形分50%の、片末端にカルボキシル基を有するビニル共重合体のキシレン溶液(d−13)を得た。該樹脂の重量平均分子量は5000、酸価は60.5mgKOH/gであった。
次に撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)37.5部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用して水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、これにビニル共重合体溶液(d−13) 168.8部を140℃まで昇温したものを加え、8時間140℃で反応を行った。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、固形分40%の、分散剤17の溶液を得た。該樹脂の重量平均分子量は7,500、アミン価は32.5mg KOH/gであった。
(実施例14)<顔料組成物の製造>
青色顔料として銅−フタロシアニンブルーを8.0部、青色誘導体としてモノスルホン化フタロシアニンブルーを2.0部、実施例1にて合成したグラフト型分散剤1を固形分換算で2.0部、及びPGMAc48部を配合し、2mmφジルコニアビーズ100部を加えスキャンデックスで3時間分散し、顔料組成物を作成した。
(実施例15〜26、及び比較例5、6)<顔料組成物の製造>
表3に示した配合比に変更した以外は、実施例17と同様に顔料組成物を作成した。
Figure 0005194774
青色顔料:銅−フタロシアニンブルー
青色誘導体:モノスルホン化フタロシアニンブルー
赤色顔料:アントラキノニルレッド
赤色誘導体:モノスルホン化キナクリドンレッド
緑色顔料:塩臭素化フタロシアニングリーン
緑色誘導体:モノスルホン化塩臭素化フタロシアニングリーン
黄色顔料:キノクサリンジオンアゾ顔料
黄色誘導体:モノスルホン化キノクサリンジオンアゾ顔料
(実施例27)<顔料分散体の製造>
青色顔料として銅−フタロシアニンブルーを8.0部、青色誘導体としてモノスルホン化フタロシアニンブルーを2.0部、実施例1にて合成したグラフト型分散剤1を固形分換算で2.0部、及びPGMAc48部を配合し、2mmφジルコニアビーズ100部を加えスキャンデックスで3時間分散し、顔料組成物を作成した。更に上記顔料組成物に、製造例16で得たワニスを固形分換算で5.0部を配合することにより顔料分散体を作成した。
(実施例28〜39、及び比較例7〜10)<顔料分散体の製造>
表4に示した配合比に変更した以外は、実施例27と同様に顔料分散体を作成した。
Figure 0005194774
<顔料組成物及び顔料分散体の評価>
本発明の顔料組成物の性能を評価するために、得られた組成物の粘度をB型粘度計(25℃、回転速度100rpm)で、ヘイズをヘイズメーター(光透過率20%)で測定し、初期粘度及びヘイズで顔料組成物の性能を評価した(粘度は低いほど良好。ヘイズは小さいほど良好)。初期粘度及びヘイズは、分散後1日室温で放置後に測定した。経時安定性は、作成した顔料組成物を1週間40℃に放置後に粘度測定を行い、初期粘度と比較し、±10%未満であれば○、±10〜20%であれば△、±20%を超えていたら×とした。顔料組成物の評価結果を表5に、顔料分散体の評価結果を表6に示す。
Figure 0005194774
Figure 0005194774
以上の評価結果から明らかなように、本発明のグラフト型分散剤を使用した実施例14〜26の顔料組成物及び実施例27〜39の顔料分散体は、低い初期粘度で、かつ経時粘度の増加がほとんどなく良好な安定性を示している。更にヘイズも低い。これに対して、比較例5〜6の顔料組成物及び比較例9〜12の顔料分散体では、分散性に問題があり、又、経時安定性に問題があることが分かった。

Claims (15)

  1. アリルアミンと、N,N−二置換アリルアミン(a)とを含むエチレン性不飽和単量体(b)をラジカル重合して得られる、一級及び三級アミノ基を有するビニル重合体(c)中の一級アミノ基1モルに対して、
    片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)中のカルボキシル基0.4〜1.0モルを縮合反応させてなる顔料用グラフト型分散剤。
  2. N,N−二置換アリルアミン(a)が、N,N−ジメチルアリルアミンであることを特徴とする請求項1記載の顔料用グラフト型分散剤。
  3. 片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)が、分子内に1つのカルボキシル基と1つのチオール基とを有する化合物(e)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(f)をラジカル重合してなることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料用グラフト型分散剤。
  4. エチレン性不飽和単量体(f)が、メチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項3記載の顔料用グラフト型分散剤。
  5. エチレン性不飽和単量体(f)が、更にブチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項4記載の顔料用グラフト型分散剤。
  6. エチレン性不飽和単量体(f)の合計100重量%中、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの合計が30〜100重量%であることを特徴とする請求項4又は5記載の顔料用グラフト型分散剤。
  7. エチレン性不飽和単量体(f)の合計100重量%中、下記一般式(1)で表される単量体を20〜100重量%含むことを特徴とする請求項3記載の顔料用グラフト型分散剤。
    Figure 0005194774
    [一般式(1)において、R1は、炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜15の脂環式のアルキル基である。]
  8. 片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)の重量平均分子量が、500〜30,000であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の顔料用グラフト型分散剤。
  9. 片末端領域に1つの遊離カルボキシル基を有するビニル重合体(d)のガラス転移温度が、50〜200℃であることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の顔料用グラフト型分散剤。
  10. アミン価が2〜80mgKOH/gであることを特徴とする請求項1〜9いずれか記載の顔料用グラフト型分散剤。

  11. 請求項1〜10いずれか記載の顔料用グラフト型分散剤と、顔料とを含有する顔料組成物。
  12. 下記一般式(2)で表される酸性基を有する顔料誘導体を含有することを特徴とする請求項11記載の顔料組成物。
    一般式(2)
    P−Z1
    (式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Z1は、スルホン酸基又はカルボキシル基を表す。)
  13. 下記一般式(3)で表される酸性基を有する顔料誘導体を含有することを特徴とする請求項11記載の顔料組成物。
    一般式(3)
    (P−Z2)[N+(R2,R3,R4,R5)]
    (式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、R2は、炭素数5〜20のアルキル基、R3,R4,及びR5は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
  14. 下記一般式(4)で表される酸性基を有する顔料誘導体を含有することを特徴とする請求項11記載の顔料組成物。
    一般式(4)
    (P−Z2)M+
    (式中、Pは、アゾ系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ペリレン系、ペリノン系、フラバンスロン系、ピランスロン系、及びアンスラピリミジン系から選ばれる一種の有機色素残基、Mは、Na又はK原子を表す。Z2は、SO3 -又はCOO-を表す。)
  15. 請求項11〜14いずれか記載の顔料組成物とワニスとを含んでなる顔料分散体。
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