JP2018028059A - 顔料組成物、該顔料組成物を含む塗料及び樹脂 - Google Patents

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紗也佳 齋藤
Sayaka Saito
紗也佳 齋藤
雅之 藤木
Masayuki Fujiki
雅之 藤木
勇輝 平林
Yuki Hirabayashi
勇輝 平林
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、分散性に優れ、色相、耐水性、ヘイズ値及びフリップフロップ性が良好な顔料組成物を提供することにある。また、意匠性が優れる塗料を提供することにある。【解決手段】上記課題は、酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物、顔料及び水を含有する顔料組成物であって、該酸性基含有分散剤(S)が、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有する顔料組成物によって解決される。(S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。(S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、特に水性組成物に適した水性の顔料組成物及び塗料組成物に関する。
火災の危険性や変異原性などの毒性が皆無か、より低減できるという優れた特徴から、塗料、インキの如き着色剤を使用する業界では水性化指向が強い。
着色剤として使用される色材は染料と顔料とに大別されるが、色材として顔料を使用した場合、色材として染料を使用する場合と比較して、印刷物の耐水性、耐光性などの堅牢性が優れるという特徴がある。一方、顔料は染料に対し透明性が低く、発色性も低いという問題を抱えている。また、染料を使用した分散体は色材である染料を媒体中に溶解して使用するのに対し、顔料分散体は色材である顔料を媒体中に分散し使用される。
水性着色剤に使用される顔料を水性媒体中に分散させるには、界面活性剤や水溶性樹脂を使用して粉末顔料を分散する方法が一般的であり、現在でも広く行われている。しかしながら、界面活性剤を用いて分散された顔料を含有する塗料は、得られる塗膜の耐水性が極めて悪く、限られた用途にしか使用できない、という問題点がある。また、水溶性樹脂を含有する水性媒体中に顔料を分散させるには、概して、有機溶剤媒体中に顔料を分散させる場合よりも困難であり、顔料を高度なレベルで微細に分散し、かつ、その状態を安定に保つことは難しい。
小粒径の有機着色顔料は、一般に顔料分散性に乏しく、塗料中に分散された後でもエネルギー的に安定な状態になろうとする傾向があるため、塗料中で凝集し、粒子の大きさが変化したり、あるいはその他の顔料への吸着が起こりやすい。そのため塗膜化した状態においても種々の性能低下の原因になることがある。
顔料分散性を改善するために、塩基性化合物を用いて中和されたカルボキシル基を有する樹脂でもって微分散された顔料の水性分散体を、酸性化合物を用いてpHを中性又は酸性として樹脂を疎水性化することによって樹脂を顔料に強く固着し(以下、この工程を「酸析」と称する。)、次いで、必要に応じて、濾過及び水洗後、再度塩基性化合物を用いてカルボキシル基を中和して水に再分散させることによって、光沢、発色性、着色力を高度に発揮するに充分な程度に微分散され、しかも、貯蔵安定性にも優れた水性顔料分散体を作製する方法が知られている(特許文献1、2)。
また、比較的高分子量のアクリル系樹脂という限定された樹脂を使用して酸析を行い、粉末又は固形顔料を得る方法も知られている(特許文献3)。
顔料を高度なレベルで微細に分散できる分散剤として特許文献4に記載されるような分散剤が知られている。しかしこの分散剤は分散媒が溶剤における分散性に優れていたが、分散媒が水の場合には適応できていなかった。
近年、意匠性に優れ、より鮮やかな高彩度の塗色が要求されることもあって、顔料濃度の高い塗色が設定されることがあり、分散性の乏しい有機着色顔料を使って塗色展開するには、塗膜性能において限界があった。更に、溶剤型塗料は、環境への影響が懸念されるため、水性ベース塗料への転換が求められていた。
特開平9−31360号公報 特開昭50−122528号公報 特開平11-199783号公報 WO2008/007776号公報
本発明が解決しようとする課題は、上述した従来技術では達しえない、分散性に優れ、色相、耐水性、ヘイズ値及びフリップフロップ性が良好な顔料組成物を提供することにある。また、意匠性が優れる塗料を提供することにある。
すなわち本発明は、酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物、顔料及び水を含有する顔料組成物であって、該酸性基含有分散剤(S)が、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することを特徴とする顔料組成物に関する。
(S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。
(S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。
また本発明は、(S1)における水酸基及び酸性基を有する重合体(A)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体(a1)であることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)の含有量が、エチレン性不飽和単量体(C)全量に対して3質量%〜30質量%であることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、 酸性基含有分散剤(S)が重量平均分子量が7,000〜25,000であり、かつ、酸価が20〜130である上記顔料組成物に関する。
また本発明は、酸性基含有分散剤(S)の含有量が、顔料全量に対して10質量%〜30質量%であることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、塩基性化合物が有機アミンであることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、有機アミンがアルカノールアミンであることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、顔料組成物のpHが8〜11であることを特徴とする上記顔料組成物に関する。
また本発明は、顔料が、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系及びペリレン系からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記顔料組成物に関する。
また本発明は、上記顔料組成物及びバインダー樹脂を含有する塗料に関する。
また本発明は、バインダー樹脂が、アクリル樹脂とメラミン樹脂とを含む上記塗料に関する。
また本発明は、上記塗料を塗布してなる塗工物に関する。
さらに本発明は、酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物である分散剤であって、酸性基含有分散剤(S)が、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することを特徴とする分散剤に関する。
(S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。
(S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。
本発明によれば、分散性に優れ、色相が良好な顔料組成物を提供することができる。また、意匠性が優れる塗料を提供することができる。
本発明の顔料組成物は、水を主成分とする液媒体中に顔料を分散して成る液体であり、酸性基含有分散剤(S)及び塩基性化合物の中和物と、顔料と、水とを含有する顔料組成物である。以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。また、本発明の酸性基含有分散剤(S)に含まれる樹脂(S1)及び(S2)は、エチレン性不飽和二重結合の重合反応及び水酸基と酸無水物基とのエステル化反応の主に2つの反応により得られる複雑な構造を有するものであり、一般式(構造)で表すことは不可能であるかおよそ現実的ではないため、製造方法により記載する。
<酸性基含有分散剤(S)>
本発明の酸性基含有分散剤(S)は、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することを特徴とする。
(S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。
(S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。
[樹脂(S1)]
樹脂(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008−029901号公報等の公知の方法で製造することができる。水酸基及び酸性基を有する重合体(A)は、末端に水酸基を有し、側鎖に酸性基を有する重合体であることが好ましく、例えば、水酸基を有する化合物(B)の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体(a1)として得ることができる。水酸基を有する化合物(B)としては、後述のとおり、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物であることが好ましい。末端の水酸基は複数であることが好ましいため、中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)が好適に用いられる。
すなわち、より好ましい一例である片末端に2つの水酸基を有する重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体(a1)として得ることができる。水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基は、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基と反応してエステル結合を形成する一方、無水環は開環し、カルボン酸を生じる。
[樹脂(S2)]
樹脂(S2)は、特開2010−185934号公報等の公知の方法で製造することができる、例えば、水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合することで得られる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体であることが好ましい。
(S1)と(S2)は、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体部位の導入を先に行うか後で行うかの違いである。諸条件により分子量等が若干異なることがあるが、原料と反応条件が同じであれば、理論上は同じものができるが、安定生産の面で(S1)がより好ましい。
[水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の製造]
樹脂(S1)における水酸基及び酸性基を有する重合体(A)は、前述のとおり、末端に水酸基を有し、側鎖に酸性基を有する重合体であることが好ましく、より好ましい一例として、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体(a1)として得ることができる。
2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)は、エチレン性不飽和単量体(C)100重量部に対して、1〜30重量部を用い、塊状重合又は溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは3〜12重量部、さらに好ましくは4〜12重量部、特に好ましくは5〜9重量部である。上記範囲にすることで、顔料担体及び溶剤に対する親和性部位としての良好なバランスを保つことができ、分散性及び顔料の凝集抑制を両立することができる。
重合体(A)の重量平均分子量は、1,000〜10,000が好ましく、より好ましくは2,000〜8,000、さらに好ましくは2,000〜6,000、特に好ましくは3,000〜5,000である。この部位が顔料担体及び溶剤への親和性部位となる。重合体(A)は、分子量を上記範囲に調整することが容易であり、かつ、上記範囲の重合体(A)は、溶剤への親和性も良好である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(C)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
反応温度は、好ましくは40〜150℃、より好ましくは50〜110℃である。
また、樹脂(S2)における重合反応も、上記と同様である。
[水酸基を有する化合物(B)]
本発明における水酸基を有する化合物(B)は、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物を含むことが好ましく、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物は、水酸基とチオール基を有していれば、限定されない。このような化合物としては、例えば、後述する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物のほか、メルカプトエタノール等の分子内に1つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物;1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール等の分子内に1つの水酸基と2つのチオール基とを有する化合物;ペンタエリトリトールトリス(3−メルカプトアセタート)、ジペンタエリトリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオナート)等の分子内に1つの水酸基と3つ以上のチオール基とを有する化合物;1,2−ジメルカプト−1,2−エタンジオール等の分子内に2つの水酸基と2つのチオール基とを有する化合物;ジメルカプトジペンタエリスリトール等の分子内に3つ以上の水酸基と2つのチオール基とを有する化合物;トリメルカプトジペンタエリスリトール等の分子内に2つ以上の水酸基と3つ以上のチオール基とを有する化合物;1−メルカプト−1,2,2’−エタントリオール等の分子内に3つ以上の水酸基と1つのチオール基とを有する化合物;等が挙げられる。中でも、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)が好ましい。
(分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1))
本発明に使用する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(以下、チオグリセリン又はチオグリセロールと略す)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、又は2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。中でも3−メルカプト−1,2−プロパンジオールが好ましい。
水酸基を有する化合物(B)は、分子内に水酸基とチオール基を有する化合物以外を含んでいてもよい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、もしくは、ヘキサントリオール等の多価アルコール類;ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、もしくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルグリコール類;上記多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、もしくは、アリルグリシジルエーテル等の(環状)エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;上記多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、もしくは、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸等のポリオール類;上記多価アルコール類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンもしくは3−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類;上記多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種ラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価及び/又は多価アルコール類のグリシジルエーテル、あるいは、一塩基酸及び/又は多塩基酸類のグリシジルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物又は水酸基含有シリコン樹脂などが挙げられる。
[エチレン性不飽和単量体(C)]
本発明のエチレン性不飽和単量体(C)は、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含む。
(酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1))
酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、及びクロトン酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体;並びに、 無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するエチレン性不飽和単量体等、また、スルホン酸、リン酸、フッ化酸等を有するエチレン性不飽和単量体などから1種又は2種以上を選択することができる。特に顔料の分散性の観点から、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体が好ましい。
また、上記酸性基含有エチレン性不飽和単量体と併用できる単量体として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、及び2−2−エチルアダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類; テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、及び3−メチルオキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類; フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びパラクミルフェノキシエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等の芳香族置換基を有する(メタ)アクリレート類; メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレン(メタ)アクリレート類; メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類; N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類; エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類; N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するエチレン性不飽和単量体;酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;並びに、これらの混合物が挙げられる。
上記併用できるその他の単量体として、中でも、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びt−ブチル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる単量体を少なくとも3つ用いることが好ましい。また、メチル(メタ)アクリレートの含有量が、エチレン性不飽和単量体(C)全量に対して15質量%〜80質量%であることが好ましく、30質量%〜50質量%であることがより好ましい。
顔料の分散性の観点から、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)の含有量が、エチレン性不飽和単量体(C)全量に対して3質量%〜30質量%であることが好ましい。
[トリカルボン酸無水物]
トリカルボン酸無水物としては、脂肪族トリカルボン酸無水物又は芳香族トリカルボン酸無水物が挙げられる。脂肪族トリカルボン酸無水物としては、例えば、3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、又は1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等が挙げられる。芳香族トリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
本発明においては、顔料に対する吸着性の観点から、芳香族トリカルボン酸無水物を用いることが好ましい。
[テトラカルボン酸二無水物]
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、又はビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、あるいは、
ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明においては、顔料に対する吸着性の観点から、芳香族テトラカルボン酸無水物を用いることが好ましい。
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
樹脂(S1)及び(S2)におけるトリカルボン酸無水物及びテトラカルボン酸二無水物は、顔料に対する吸着性の観点から、テトラカルボン酸二無水物が好ましく、芳香族テトラカルボン酸二無水物がより好ましい。中でもピロメリット酸二無水物が良い。芳香族カルボン酸は、脂肪族カルボン酸に比べて顔料吸着能が高い。
[酸性基含有分散剤(S)の合成]
(水酸基及び酸性基を有する重合体(A)と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応(ポリエステル合成))
(反応溶剤)
ポリエステル合成は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、特に限定はなく、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
(反応触媒)
ポリエステル合成に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
(反応温度)
ポリエステル合成の反応温度は50℃〜180℃、好ましくは80℃〜140℃の範囲で行う。反応温度が50℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基と水酸基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、ポリエステルの酸価が5〜200の範囲に入ったとき、又は、水酸基価が20〜200の範囲に入った時に反応を止めてもよい。
(分子量)
得られた酸性基含有分散剤(S)の重量平均分子量は、好ましくは、7,000〜25,000、より好ましくは10,000〜20,000である。重量平均分子量が7,000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、25,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、増粘が起きる場合がある。
(酸価)
得られた酸性基含有分散剤(S)の酸価は、20〜130が好ましい。より好ましくは30〜120である。
樹脂(S2)における、水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応も上記と同様である。
<顔料>
本発明に用いる顔料としては、従来公知の種々の有機顔料及び無機顔料から任意に選択することができ、色相ないし構造について特に限定されるものではない。例えばフタロシアニン系、ジオキサジンバイオレット系、インダンスレンブルー系、ペリレン系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、イソインドリン系、キノキサリン系及び金属錯体系が挙げられる。また、それらの有機顔料の上位概念として知られている一般式で表される有機顔料も適応できる。
[フタロシアニン系]
フタロシアニン系顔料としては、C.I.ピグメントブルー(以下PBと略す)1、PB2、PB14、PB15:1、PB15:2、PB15:3、PB15:4、PB15:5、PB15:6、PB16、アルミニウムフタロシアニン、C.I.ピグメントグリーン(以下PGと略す)1、PG2、PG3、PG4、PG7、PG36、PG45、PG58、PG62等が挙げられる。
[ジオキサジンバイオレット系]
ジオキサジンバイオレット系顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット(以下PVと略す)1、PV2、PV3、PV4、PV12、PV23、PV27、PV39、PV50等が挙げられる。
[インダンスレンブルー系]
インダンスレンブルー系顔料としては、PB60、PB64が挙げられる。
[ペリレン系]
ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド(以下PRと略す)123、PR149、PR178、PR179、PR190、PV29等が挙げられる。
[キナクリドン系]
キナクリドン系顔料としては、PR122、PR202、PR206、PR207、PR209、PV19、PV42等が挙げられる。
[ジケトピロロピロール系]
ジケトピロロピロール系顔料としては、PR254、PR255、PR264、C.I.ピグメントオレンジ(以下POと略す)71、PO73等が挙げられる。
[アゾ系]
アゾ系顔料としては、PR1、PR3、PR5、PR9、PR17、PR48:1、PR48:2、PR48:3、PR57:1、PR112、PR114、PR116、PR139、PR144、PR146、PR150、PR170、PR185、PR187、PR188、PR221、PR242、PO5、PO13、PO16、PO31、PO34、PO36、PO38、C.I.ピグメントイエロー(以下PYと略す)14、PY74、PY83、PY93、PY150等が挙げられる。
[アントラキノン系]
アントラキノン系顔料としては、PR168、PR177、PO40等が挙げられる。
[キノフタロン系]
キノフタロン系顔料としては、PY138等が挙げられる。
[イソインドリン系]
イソインドリン系顔料としては、PY139、PY185、PO66、PO69、PR260等が挙げられる。
[キノキサリン系]
キノキサリン系顔料としては、PY213等が挙げられる。
[金属錯体系]
金属錯体系顔料としては、PY117、PY129、PY150、PY153等が挙げられる。
発明の顔料としては、好ましくはフタロシアニン系、ジオキサジンバイオレット系、インダンスレンブルー系、ペリレン系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、アゾ系及びアントラキノン系からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくはジケトピロロピロール系、キナクリドン系及びペリレン系からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、特に好ましくはペリレン系である。
塗料に用いる際は、上記顔料から目的の色相に合うように顔料を選択して顔料組成物を作製するが、何れの顔料も各色塗料において単独でも、2つ以上の顔料を混合してもよい。勿論、本発明は、これらに限られるものではない。また、新たに製造された顔料も使用することが可能である。
<顔料組成物の作製>
顔料組成物は、顔料、酸性基含有分散剤(S)、塩基性化合物、水、必要に応じて、その他の樹脂及び添加剤等を混合して、三本ロールミル、二本ロールミル、ニーダー、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の従来より公知の種々分散機で分散することにより調整することができる。又、数種類の顔料を別々に分散した顔料組成物を混合して使用することもできる。
本発明の酸性基含有分散剤(S)は、顔料組成物を微細且つ安定に分散し、酸性基含有分散剤(S)以外の樹脂との相溶性に優れ、分散性、顔料組成物の色相に優れ、更には、意匠性も優れた塗料を調整することができる。
酸性基含有分散剤(S)の配合量は、顔料に対し5〜120質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜100質量%であり、さらに好ましくは10〜50質量%であり、特に好ましくは10〜30質量%である。上記範囲とすることにより、顔料分散効果と、塗膜やインキフィルム特性との両立が可能となる。
<塩基性化合物>
本発明で用いる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、トリエチルアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の無機アルカリ剤;有機酸、又は鉱酸等を使用することができる。中でも、有機アミン及び無機アルカリ剤が好ましく、有機アミンがより好ましい。有機アミンとしては、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、中でも、ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン等のアルカノールアミンが特に好ましい。また、塩基性化合物により酸性基含有分散剤(S)は中和され、水性液媒体中に分散又は溶解される。最終的に、顔料組成物のpHは6〜11に調整することが好ましく、より好ましくは、pHは8〜11である。
<水>
本発明で用いる水は、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
<その他添加剤>
水の他に、水と混和可能な水溶性溶剤やその他の添加剤を加えてもよい。例えば、消泡剤、防腐剤、色素誘導体、その他の色素等を加えることができる。これらは、顔料の分散性を妨げないものであればよく特に限定されないが、水に溶解するものであることが好ましい。分散助剤を用いることにより、顔料の分散性を高め、分散後の顔料の再凝集をより効果的に防止することができる。
消泡剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はアセチレンアルコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上が好ましい。
防腐剤は、記録液への黴や細菌の発生を防止する目的で添加し、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が用いられる。これらは、記録液中に0.05〜1.0質量%の範囲で含まれることが好ましい。
<色素誘導体>
本発明の顔料組成物には、顔料の分散性を向上させるために、更に、色素誘導体を含めてもよい。色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドン又はトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基又は置換基を有していてもよいフタルイミドメチル基を導入した化合物が挙げられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体を使用する場合、アゾ骨格、ナフトールアゾ骨格、ジケトピロロピロール骨格、アントラキノン骨格、キノフタロン骨格、及びペリレン骨格を有するものが明度、分散性の観点から好ましい。
色素誘導体を用いる場合には、色素誘導体を含む全ての成分を混合して分散してもよいし、初めに顔料と色素誘導体とのみ、あるいは、色素誘導体と酸性基含有分散剤(S)とのみ、あるいは、顔料と色素誘導体と酸性基含有分散剤(S)のみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。
色素誘導体の配合量は、添加顔料の分散性向上の観点から、添加顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、添加顔料の全量を基準(100質量%)として、好ましくは40質量%以下であり、5質量%以下がより好ましい。
有機顔料の誘導体を添加することにより、分散対象となる顔料に吸着して極性を与えることで、分散剤や樹脂との相互作用から分散効果を与えると考えられる。また、顔料の結晶安定化や、分散安定化に寄与する効果が期待できる。具体的には、市販品の例として、EFKA-6745、6750(EFKA Additive社製)、BYK-Synerg
ist2100(ビックケミー・ジャパン社製)、ソルスパース5000、12000、22000(以上、日本ルーブリゾール社製)などが挙げられる。
<塗料組成物の作製>
本発明の塗料組成物は、少なくとも本発明の顔料組成物とバインダー樹脂とを含む水性塗料である。顔料組成物とバインダー樹脂との比率は、求められる用途によって異なり、特に限定されるものではない。顔料濃度が非常に低い用途においても使用可能である。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、通常、塗料のバインダー樹脂として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂や、前記基体樹脂の官能基と反応しうる架橋剤としての役割を持つメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネ−ト化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等を用いることができる。架橋性官能基を含有する樹脂と架橋剤としての役割を持つ樹脂は併用することが望ましく、中でも、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂及び尿素樹脂から選ばれる1種を用いることが好ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂及びメラミン樹脂から選ばれる1種を用いることがより好ましく、アクリル樹脂とメラミン樹脂とを併用することがより好ましい。
メラミン樹脂は、熱硬化性を有し硬化剤として作用することから、特に好ましく用いられる。アクリル樹脂は、当業者によってよく知られた重合性不飽和二重結合を有するモノマーを常法によって重合することにより得られるものが好ましい。上記重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エタクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸等のカルボン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等の水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー等を挙げることができる。また、重合には、当業者によってよく知られたラジカル重合開始剤等を用いることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、水あるいは有機溶媒、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
本発明の水性塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製することができる。また、予め上記樹脂成分及び水と混合して顔料分散体を調製し、該顔料分散体を前述の成分と混合して水性塗料組成物に配合せしめることができる。
本発明の塗膜組成物は、特に限定されず様々な基材に塗工できる、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム等及びその表面処理物等の金属基材;セメント類、石灰類、石膏類等のセメント系基材;ポリ塩化ビニル類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、アクリル類等のプラスチック系基材等を挙げることができる。また、これらの各種基材からなる、建材、建築物、構造物等の建築・建材分野の各種被塗物等を挙げることができる。
塗料組成物の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装等を挙げることができる。塗装後、通常、常温乾燥又は加熱乾燥させることにより塗膜を得ることができる。なお、塗布量;下塗り、中塗り、上塗り等の塗装順;塗装膜厚;乾燥時間等は、塗料組成物の種類や適用する基材に応じて任意に設定することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、特に断わりの無い限り、「部」とは「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(重量平均分子量の測定方法)
重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)において、分離カラム「TSK−GEL SUPER HZM−N」を2本直列に連結して使用し、移動相にテトラヒドロフラン(THF)を用いて測定したポリスチレン換算値である。
(酸価の測定方法)
酸価はJIS規格の測定法(JIS K 5601−2−1:1999)に準拠し、測定した。
<酸性基含有分散剤(S)の製造>
[製造例1]
(酸性基含有分散剤(S1)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート40.0部、メタクリル酸10.0部、アクリル酸エチル、20.0部、アクリル酸−t−ブチル30.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6.0部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート45.3部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。このとき、重量平均分子量が4,000であった。次に、ピロメリット酸二無水物を8.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート69.2部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.2部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分が0質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを減圧留去し、重量平均分子量10,000、酸価65mgKOH/gの酸性基含有分散剤S1を得た。
[製造例2〜7]
(酸性基含有分散剤(S2〜S7)の製造)
表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、酸性基含有分散剤S2〜S7を得た。
[製造例8〜10]
(酸性基含有分散剤(S8〜S10)の製造)
表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、製造例1と同様にして合成を行い、その後減圧下80℃で溶剤分を除去し、酸性基含有分散剤S8〜S10を得た。
[製造例11]
(酸性基含有分散剤(S11)の製造)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール6.0部、ピロメリット酸二無水物9.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.6部、モノ−n−ブチル錫(IV)オキシドを0.1重量部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート80.0部、メタクリル酸5.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート10.0部、アクリル酸5.0部を仕込み、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート26.2部に溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。反応終了後、不揮発分を50重量%に調整し、酸価108mgKOH/g、重量平均分子量9,500の酸性基含有分散剤S11を得た。
[製造例12]
(酸性基含有分散剤(S12)の製造)
表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は、製造例11と同様にして合成を行い、酸性基含有分散剤S12を得た。
Figure 2018028059
表1中の略称について説明する。
MAA:メタクリル酸
AA:アクリル酸
2−MTA:メトキシエチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
BzMA:メタクリル酸ベンジル
t−BA:ターシャルブチルアクリレート
HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート
チオグリセロール:3−メルカプト−1,2−プロパンジオール
AIBN:2,2‘−アゾビスイソブチロニトリル
PGMAc:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PMA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物
リカシッドBT−100:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物(新日本理化株式会社製)
TMA:トリメリット酸無水物
DBU:1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン
BTO:モノ−n−ブチル錫(IV)オキシド
<顔料組成物の製造>
[実施例1]
(顔料組成物P−1の作製)
顔料としてPR179(BASF社製「Paliogen Red L3885」)15部、酸性基含有分散剤(S1)0.8部、ジメチルアミノエタノール1.1部、イオン交換水83.2部をヘラで予備分散をした後に、直径0.8mmのジルコニアビーズ112.5部を分散メディアとして仕込み、ペイントシェイカーにて、分散し、酸性基含有分散剤(S1)とジメチルアミノエタノールとの中和物を含む顔料組成物P−1を得た。
[実施例2〜75、比較例1〜6]
(顔料組成物P−2〜P−81の作製)
表2に示す酸性基含有分散剤(S)、顔料、色素誘導体、塩基性化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物を含む顔料組成物P−2〜P−81を得た。
[比較例7〜15]
(顔料組成物P−82〜P−90の作製)
表2に示す酸性基含有分散剤(S)、顔料、色素誘導体に変更した以外は、実施例1と同様にして、酸性基含有分散剤(S)を含む顔料組成物P−82〜P−90を得た。
<顔料組成物の評価>
得られた顔料組成物について、以下の評価を行った。その結果を表2に示した。
(pHの測定)
作製した顔料組成物のpHをpHメータ(HARIBO社製F−50シリーズ)で測定した。下記基準にて評価を行った。
S:pHが8以上11以下
A:pHが6以上8未満
B:pHが6未満又は11より大きい
(粒子径の測定)
作製した顔料組成物を、レーザー動的光散乱法(日機装社製、UPA150EX)のローディングインデックス値が0.8〜1.2の範囲に収まるよう水を加えて希釈し、同機を用いて25℃での体積累計のメディアン径(D50)を測定した。下記基準にて評価を行った。
◎:D50が50nm以下
○:D50が50nmより大きく100nm以下
△:D50が100nmより大きく200nm以下
×:D50が200nmより大きい
(色の目視評価)
作製した顔料組成物を、ガラス瓶に入れ目視で判定した。下記基準で評価を行った。
◎:深みのある色で鮮明
○:深みのある色だが鮮明性が劣る
×:濃度が低く鮮明でない
Figure 2018028059
以下に、表2中の略称を示す。
比較樹脂1:フローレンG700AMP(共栄社化学株式会社製:αオレフィン無水マレイン酸共重合体の部分エステル体・2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩)
比較樹脂2:DisperBYK−190(ビックケミー社製:アクリルブロック共重合体)
比較樹脂3:ARUFON UC−3000(東亜合成株式会社製:オールアクリルポリマー)
PR122:DIC社製「FASTOGEN Super Magenta RGT」
PR177:Cinic社製「Cinilex Red SR4C」
PR179:BASF社製「Paliogen Red L3885」
PR254:Cinic社製「Cinilex DPP Red SR2P」
PR264:Cinic社製「Cinilex DPP Rubine SR5H」
PB15:3:トーヨーカラー社製「LIONOL BLUE 7919」
PB15:1:山陽色素社製「シアニンブルーG−314」
PG7:トーヨーカラー社製「LIONOL GREEN YS−07」
PG36:トーヨーカラー社製「LIONOL GREEN 6Y−501」
PY14:DIC社製「SYMULER FAST YELLOW 4400」
PY74:山陽色素社製「FAST YELLOW 7413」
PV23:クラリアント社製「ホスタパームバイオレット RL COF」
PV29:BASF社製「Paliogen Red Violet K 5011」
以下に、実施例又は比較例に用いた色素誘導体を示す。
Figure 2018028059
<塗料の製造>
[実施例76]
(塗料組成物C−1の作製)
実施例1で得られた顔料組成物P−1及びバインダー樹脂を固形分量で、下記組成になるように配合し塗料組成物C−1を得た。
顔料組成物P−1 : 3.2部
ウォーターゾールS−751 :60.0部
(DIC社製 焼き付け塗料用アクリル樹脂)
サイメル303 :45.0部
(三井サイテック社製 メラミン樹脂)
[実施例77〜150、比較例16〜30]
(塗料組成物C−2〜90の作製)
表4及び表5に示す顔料組成物、添加樹脂に変更した以外は、実施例76と同様にして、塗料組成物C−2〜90を得た。
<塗料の評価>
得られた塗料組成物について、コロナ放電処理PETフィルムまたはBT−144処理鋼板上に膜厚が37±2μmになるようにアプリケータで塗工し、30分セッティング後、60℃にて20分乾燥させた後、140℃にて20分間焼き付けを行って、各塗料組成物の試験片を作製した。試験片について以下の評価を行った。その結果を表4及び表5に示した。
(深み感)
PETフィルムに塗工した試験片を、白色光の元で塗膜を低角度で目視にて観察することにより判定した。下記基準にて評価を行った。
○:色の深み感に優れている
×:色の深み感がない
(光沢)
「BT−144処理鋼板」に塗工したものを、60°鏡面光沢で測定した。下記基準にて評価を行った。
○:[光沢値]>50(良好)
×:[光沢値]≦50(不良)
(発色性)
PETフィルムに塗工した試験片を目視で判定した。下記基準にて評価を行った。
○:色の濃度、隠蔽性が高い
△:色の濃度、隠蔽性がやや劣る
×:色の濃度、隠蔽性がかなり劣り、鮮鋭性も低い
(耐水性)
「BT−144処理鋼板」に塗工したものを、温度50℃の水に浸漬し、48時間後にブリスターの発生具合を目視にて判定した。下記基準にて評価を行った。
◎:全く異常なし
○:わずかにブリスターの発生が認められた
△:かなりのブリスターの発生が認められた
×:試験片の前面にブリスターが発生した
(ヘイズ値)
PETフィルムに塗工した試験片の塗工面のヘイズをヘイズメーター(日本電色工業社製)で測定した。下記基準にて評価を行った。
○:[ヘイズ値]<60(良好)
△:60≦[ヘイズ値]<80(実施可能)
×:[ヘイズ値]≧80(不良)
(フリップフロップ性)
PETフィルムに塗工した試験片を目視で判定した。下記基準にて評価を行った。
○:塗面を見る角度によって、色調・光輝性の変化がある
×:塗面を見る角度を変えても、色調・光輝性の変化が小さい
Figure 2018028059
Figure 2018028059
以下に、表4及び表5中の略称を示す。
バインダー樹脂A:DIC社製焼き付け塗料用アクリル樹脂「ウォーターゾールS−751」、不揮発分=50%
バインダー樹脂B:DIC社製アルキッド樹脂「ウォーターゾールS−212」、不揮発分=65%
バインダー樹脂C:三井サイテック社製メラミン樹脂「サイメル303」、有効成分含有率=98%)
バインダー樹脂D:三井サイテック社製メラミン樹脂「サイメル204」、不揮発分=80%
表4及び表5に示した結果から、本発明の顔料組成物を用いた塗料組成物は、色の深み感、光沢、発色性、耐水性、ヘイズ値及びフリップフロップ性に優れていることが示された。

Claims (13)

  1. 酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物、顔料及び水を含有する顔料組成物であって、該酸性基含有分散剤(S)が、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することを特徴とする顔料組成物。
    (S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。
    (S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。
  2. (S1)における水酸基及び酸性基を有する重合体(A)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(b1)の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体(a1)であることを特徴とする請求項1に記載の顔料組成物。
  3. 酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)の含有量が、エチレン性不飽和単量体(C)全量に対して3質量%〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の顔料組成物。
  4. 酸性基含有分散剤(S)が重量平均分子量が7,000〜25,000であり、かつ、酸価が20〜130である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  5. 酸性基含有分散剤(S)の含有量が、顔料全量に対して10質量%〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  6. 塩基性化合物が有機アミンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  7. 有機アミンがアルカノールアミンであることを特徴とする請求項6に記載の顔料組成物。
  8. 顔料組成物のpHが8〜11であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  9. 顔料が、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系及びペリレン系からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の顔料組成物及びバインダー樹脂を含有する塗料。
  11. バインダー樹脂が、アクリル樹脂とメラミン樹脂とを含む請求項10に記載の塗料。
  12. 請求項10又は11に記載の塗料を塗布してなる塗工物。
  13. 酸性基含有分散剤(S)と塩基性化合物との中和物である分散剤であって、酸性基含有分散剤(S)が、下記(S1)又は(S2)の樹脂を含有することを特徴とする分散剤。
    (S1)水酸基及び酸性基を有する重合体(A)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂。
    (S2)水酸基を有する化合物(B)の水酸基と、トリカルボン酸無水物及び/又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、酸性基含有エチレン性不飽和単量体(c1)を含むエチレン性不飽和単量体(C)を重合した重合体である樹脂。
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