JP5191968B2 - 遺伝子発現抑制剤および遺伝子発現促進剤並びにそれらの検出方法 - Google Patents
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Description
本発明は、遺伝子発現抑制剤および遺伝子発現促進剤並びにそれらの検出方法に関する。
現在、ローヤルゼリー(RJ)は、健康食品、医薬品、化粧品など世界中で広く利用されており、血管拡張、血圧降下、抗菌作用等の薬理作用、および栄養生理的作用が報告されている。
(a)前記細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の存在下において培養する工程、そして
(b)前記工程(a)により得られる細胞において、遺伝子発現の抑制または促進を検出する工程
を含んでなり、
前記工程(b)において遺伝子発現の抑制が検出された場合には、その分画および/または化合物がその遺伝子発現を抑制するものとして検出され、前記工程(b)において遺伝子発現の促進が検出された場合には、その分画および/または化合物が遺伝子発現を促進するものとして検出される方法である。
(c)非若年期由来細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の存在下または非存在下において培養する工程並びに若年期由来細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の非存在下において培養する工程、そして
(d)前記工程(c)により得られる細胞において、遺伝子発現の抑制または促進を検出する工程
を含んでなり、
前記工程(d)において、該ローヤルゼリー中の分画および/または化合物の非存在下の若年期由来細胞の遺伝子発現が、該非存在下の非若年期由来細胞の遺伝子発現と比較して抑制または促進されていた場合に、該存在下においての非若年期由来細胞の遺伝子発現強度が、該非存在下における若年期由来細胞の遺伝子発現強度と比較して同程度となる該ローヤルゼリー中の分画および/または化合物を検出でする方法である。
本発明による遺伝子発現抑制剤または遺伝子発現促進剤に含まれるローヤルゼリーおよびローヤルゼリー中の画分は、特に限定されず、いずれの種類のミツバチ由来のものであってもよい。
本発明による検出方法は、細胞における遺伝子発現を抑制または促進する、ローヤルゼリー中の分画および/または化合物の検出方法であって、
(a)前記細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の存在下において培養する工程、そして
(b)前記工程(a)により得られる細胞において、遺伝子発現の抑制または促進を検出する工程
を含んでなり、
前記工程(b)において遺伝子発現の抑制が検出された場合には、その分画および/または化合物をその遺伝子発現を抑制するものとして検出し、前記工程(b)において遺伝子発現の促進が検出された場合には、その分画および/または化合物の遺伝子発現を促進するものとして検出する方法である。
(c)非若年期由来細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の存在下または非存在下において培養する工程、並びに若年期由来細胞をローヤルゼリー中の分画および/または化合物の非存在下において培養する工程、そして
(d)前記工程(c)により得られる細胞において、遺伝子発現の抑制または促進を検出する工程
を含んでなり、
前記工程(d)において、該ローヤルゼリー中の非存在下の若年期由来細胞の遺伝子発現が、該分画および/または化合物の非存在下の非若年期由来細胞の遺伝子発現と比較して抑制または促進されていた場合に、該分画および/または化合物の存在下においての非若年期由来細胞の遺伝子発現強度が、該分画および/または化合物の非存在下における若年期由来細胞の遺伝子発現強度と比較して同程度となる該ローヤルゼリー中の分画および/または化合物を検出することを特徴とする方法である。
DNAマイクロアレイ解析には、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団より購入した69歳ヒト女性線維芽細胞(69F)と、21歳ヒト女性線維芽細胞(21F)とを用いた。前記二種の細胞を培養するための培地として、MEM培地(DSファーマバイオメディカル株式会社製)に非必須アミノ酸を1%(w/v)と、非動化した子ウシ血清(FBS)(MOREGATE)を10%(v/v)となるように加えた培地(m−MEM培地)を用いた。
RJ 3gを100mlの蒸留水に溶解した後、遠心分離(5000rpm、10分間、4℃)し、その上清(上清1)を以下の各工程で反応させ、RJの成分分画のRJ 溶液分画、95℃10分間処置分画、Protease K処置分画、分子量3000以上分画、および分子量3000未満分画を調製した。
・RJ 溶液分画:MEM培地により上記上清1を1.0mg/mlの濃度となるように調製した。
・95℃10分間処置分画:上記上清1を95℃、10分間過熱し、その後遠心分離(15000rpm、10分、4℃)した。その上清を、その濃度が1.0mg/ml となるようにMEM培地に添加した。
・Protease K処置分画:上記上清1にProtease K (和光純薬工業株式会社製)を1ug/mlの濃度となるように添加し、37℃で1回反応させ、その後遠心分離(15000rpm、10分間、4℃)し、その上清を、その濃度が1.0mg/ml となるようにMEM培地に添加した。
・分子量3000以上分画:上記上清1を分子量3000の限外ろ過膜が結合したチューブ(Amicon Ultra:日本ミリポア株式会社製)で遠心分離(15000rpm、30分間、4℃)し、その濃縮液を、その濃度が1.0mg/mlとなるようにMEM培地に添加した。
・分子量3000未満分画:上清1を分子量3000の限外ろ過膜が結合したチューブ(Amicon Ultra:MILLIPORE)で遠心分離(15000rpm、30分間、4℃)し、その通過液を、その濃度が1.0mg/mlとなるようにMEM培地に添加した。
財団法人ヒューマンサイエンス振興財団より購入した69歳ヒト女性線維芽細胞(69F)と21歳ヒト女性線維芽細胞(21F)とを用いた。前記二種の細胞を培養するための培地として、MEM培地(DSファーマバイオメディカル株式会社製)に非必須アミノ酸を1%(w/v)と、非動化した子ウシ血清(FBS)(MOREGATE)を10%(v/v)となるように加えた培地(m−MEM培地)を用いた。
逆転写反応
上記RNAからのcDNAの合成は、PrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ株式会社製)を用いて行った。以下のような組成の溶液を調製した。一反応20μl当たり200ngのtotal RNAを添加し、逆転写反応(37℃、15分間、85℃、1分間)を行い、cDNAを合成した。
化合物名 添加量
5×PrimeScript Buffer 4.0μl
PrimeScript RT Enzyme MixI 1.0μl
Oligo dT Primer 1.0μl
Random 6 mers 1.0μl
total RNA (100ng/ul) 2.0μl
RNase Feed H 2 O 1μl
合計 20μl
RT-PCRに用いたプライマーは以下のとおりである。
Human Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH):
・GCACCGTCAAGGCTGAGAAC (Forward)(配列番号14)
・TGGTGAAGACGCCAGTGGA (Reverse) (配列番号15)
Human interleukin 1 receptor (IL1R)
・ AAGGAAGCCTCCTCCACGTT(Forward) (配列番号16)
・ CATCCATATTCCCCCCAAAA(Reverse) (配列番号17)
Human Actin alpha (Actin)
・ CACTGAGCGTGGCTACTCCTT (Forward) (配列番号18)
・ CGCCATCTCGTTCTCGAAGT(Reverse) (配列番号19)
Human aquaporin 9 (アクアポリン)
・ TCCTCCCTGGGACTGAACAG(Forward) (配列番号20)
・ AGGGCCCACTACAGGAATCC(Reverse) (配列番号21)
Human Na+/H+ exchanger (Na+/H+ exchanger)
・ AGCATGGATGCCCAAAGCTA(Forward) (配列番号22)
・ ATCCTTCGCATATGGTTCCAA(Reverse) (配列番号23)
Human tumor necrosis factor (TNF2)
・ TCTCGAACCCCGAGTGACA(Forward) (配列番号24)
・ GGCCCGGCGGTTCA(Reverse) (配列番号25)
Human interleukin 3 (IL-3)
・ GGGTTAACTGCTCTAACATGATCGA(Forward) (配列番号26)
・ GAAGTCCAGCAAAGGCAAAGG(Reverse) (配列番号27)
Human keratin 2 (keratin)
・ CGAGCTGAACCGCGTGAT(Forward) (配列番号28)
・ CTTGTTCCTGGCATCCTTGAG(Reverse) (配列番号29)
SYBR Premix Ex Taq 10μl 450μl
Primer Forward 50 μM 0.08μl 3.6μl
Primer Reverse 50 μM 0.08μl 3.6μl
DyeII 0.40μl 18μl
滅菌MilliQ水 7.44μl 334.8μl
合計量 18μl 810μl
95℃で10秒間反応後、95℃で5秒間(熱変性)反応させ、60℃で35秒間(40サイクル)(アニーリングおよび伸長反応)反応させた後、95℃で15秒間、そして60℃で60秒間反応後、95℃で15秒間反応させた。
Claims (10)
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清を分子量3000の限外ろ過膜に通過させて精製した画分を含んでなる、配列番号1、2、および4からなる群から選択される少なくとも一つの塩基配列を含む遺伝子の発現抑制剤。
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清を95℃で10分間加熱処理した画分を含んでなる、配列番号1および2からなる群から選択される少なくとも一つの塩基配列を含む遺伝子の発現抑制剤。
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清をプロテアーゼKで処置した画分を含んでなる、配列番号4の塩基配列を含む遺伝子の発現抑制剤。
- 抗炎症作用および/または角化異常蓄積抑制作用を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遺伝子の発現抑制剤。
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清を分子量3000の限外ろ過膜に通過させて精製した画分を含んでなる、配列番号6、9、および10からなる群から選択される少なくとも一つの塩基配列を含む遺伝子の発現促進剤。
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清を95℃で10分間加熱処理した画分を含んでなる、配列番号6、9、および10からなる群から選択される少なくとも一つの塩基配列を含む遺伝子の発現促進剤。
- ローヤルゼリーを水に溶解し、該溶液を遠心分離し、該遠心分離後の上清をプロテアーゼKで処置した画分を含んでなる、配列番号6、9、および10からなる群から選択される少なくとも一つの塩基配列を含む遺伝子の発現促進剤。
- 創傷治癒促進作用および/または保湿作用を有する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の遺伝子の発現促進剤。
- 投与方法が経皮投与である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子の発現抑制剤。
- 投与方法が経皮投与である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の遺伝子の発現促進剤。
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