JP2011116718A - セラミド分泌促進剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物に限外濾過等の精製操作を加え、セラミド分泌促進作用に優れる分子量5000以下の画分を得た後、当該成分を皮膚外用剤に含有させる。
【選択図】図2
Description
<1> ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物であって、画分分子量が5000以下の画分であることを特徴とする、低分子量ロイヤルゼリ−画分。
<2> ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物が、分画分子量が5000以下の限外濾過膜を用いて得られるものであることを特徴とする、請求項1に記載の低分子ロイヤルゼリ−画分。
<3> 前記低分子ロイヤルゼリ−画分からなるセラミド分泌促進剤。
<4> 前記セラミド分泌促進作用が、角化細胞から細胞間脂質へのセラミド分泌促進作用によるものであることを特徴とする、<3>に記載のセラミド分泌促進剤。
<5> 前記セラミド分泌促進作用が、タイトジャンクション機能促進作用によりものであることを特徴とする、<3>又は<4>に記載のセラミド分泌促進剤。
<6> タイトジャンクション機能促進作用が、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を向上せしめる作用であることを特徴とする、<5>に記載のセラミド分泌促進剤。
<7> <1>〜<6>の何れか一項に記載のセラミド分泌促進剤を含有する皮膚外用剤。
<8> <1>〜<6>の何れか一項に記載のセラミド分泌促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<7>に記載の皮膚外用剤。
<9> 肌荒れ改善、又は、抗老化用であることを特徴とする、<7>又は<8>に記載の皮膚外用剤。
<10> 前記セラミドロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を含有する皮膚外用剤の製造方法であって、ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を限外濾過し、分画分子量が5000以下の画分を得た後、当該画分を皮膚外用剤に含有させることを特徴とする、皮膚外用剤の製造方法。
本発明の皮膚外用剤は、ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を精製した分子量5000以下の分画を含有することを特徴とする。セラミドは、スフィンゴシンと脂肪酸がアミド結合したスフィンゴ脂質の一種であり、角層細胞間脂質の重要な構成成分である。本発明のセラミド分泌促進剤であるロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を精製することにより得られる分子量5000以下の分画は、角層細胞間脂質におけるセラミド含有量を増加させる作用を有する。本発明のセラミド分泌促進剤としては、角化細胞内のラメラボディに存在するセラミド関連物質(セラミド、並びに、グルコシルセラミド及びスフィンゴミエリン等のセラミド前駆体)の分泌促進作用を有する物質が好ましく、具体的には、後述する「正常ヒト表皮細胞を用いたセラミド分泌量の評価」において、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が増加した物質が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が統計的に有意に増加している物質が好適に例示出来る。また、前記の角化細胞のラメラボディに存在するセラミド関連物質の分泌促進作用は、TJ機能促進作用により誘導されるものであることが好ましい。TJの機能促進作用は、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を測定し、当該測定値を指標として推定することが出来る。
本発明の皮膚外用剤は、必須成分としてセラミド分泌促進剤であるロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を精製した分子量5,000以下の分画を含有することを特徴とする。本発明におけるセラミド分泌促進剤は、角層細胞間脂質におけるセラミド含有量を増加させる作用を有する物質を意味する。本発明のセラミド分泌促進剤としては、角化細胞内のラメラボディに存在するセラミド関連物質(セラミド、並びに、グルコシルセラミド及びスフィンゴミエリン等のセラミド前駆体)の分泌促進作用を有する物質が好ましく、具体的には、後述する「正常ヒト表皮細胞を用いたセラミド分泌量の評価」において、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が増加した物質が好適に例示出来、さらに好ましいものとしては、べヒクルに比較し、セラミド分泌量が統計的に有意に増加している物質が好適に例示出来る。また、前記の角化細胞のラメラボディに存在するセラミド関連物質の分泌促進作用は、TJ機能促進作用により誘導されるものであることが好ましい。言い換えれば、角化細胞におけるセラミド合成を阻害するものであってはならないし、角層細胞間脂質におけるセラミド量を増加させるものでなければならない。TJの機能促進作用は、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を測定し、当該測定値を指標として推定することが出来る。本発明のセラミド分泌促進剤は、単純な化学物質、動植物由来の抽出物とその分画精製物などの混合精製物のいずれでもよい。本発明の皮膚外用剤には、前記セラミド分泌促進剤を、唯1種含有させることも出来るし、2種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の皮膚外用剤は、セラミド分泌促進剤を配合することにより、肌荒れ改善、並びに、老化現象に対する予防又は改善効果を発揮する。
本発明における精製前のロヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物は、例えば、特開2002−20226号公報に記載の方法に従い製造することも出来るし、片倉チッカリン株式会等により市販されているロイヤルセリ−蛋白質及び/又はその加水分解物として入手することも出来る。また、本発明のロイヤルゼリ−及び/又はその加水分解物を精製した分子量5,000以下、又は、分子量5,000より大きい画分は、前記精製前のロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を、市販の限外濾過膜(例えば、ミリポア社製)により限外濾過等の精製方法により分子量5,000以下及び分子量5,000より大きい画分に分離することが出来る。本発明の実施例においては、片倉チッカリン株式会社より購入したロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物を用い、市販の限外濾過膜(Centricut、コスモバイオ社製)を使用し、分子量5,000以下及び分子量5,000より大きい画分に分画濾過したものを被験物質として用いた。
凍結正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)(倉敷紡績株式会社製)を解凍し、0.15mM−Ca2+含有培養液(Humadia−KG2:倉敷紡績株式会社製)にて、37℃、5%二酸化炭素雰囲気下にて培養した。この正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をMillicell Tissue Culture Plate(ミリポア社製)にコ−ニング社製トランズウェル(直径12mm、ポリエチレンテレフタレ−ト0.4μmポア)をセットし、上層0.5ml、下層1.5mlの前記培養液を入れ、1×105cells/cm2で播種し、さらに72時間培養した。サブコンフルエントになったことを確認し、1.45mM−Ca2+含有Humedia−KG2培地に交換し、その後96時間培養した。その後、前記ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物より得られる分子量5000以下(図1A中、「ロイヤルビオサイト(MW5,000以下)」と記載)、又は、分子量5,000以上(図1B中、「ロイヤルビオサイト(MW5,000以上)」と記載)の分画を含有する培養液に交換して、培養を継続し、一定時間後にTER(Transepitherial Electrical Resistance)値(Ω・cm2)を測定する。また、前記のロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物を含有しない培養液にて培養したサンプルをコントロ−ル(図1A及び図1B中、水と記載)とし、TER値を測定した。ロイヤルゼリ−由来の加水分解物より精製された分子量5,000以下、又は、分子量5,000より大きい分画の濃度は、(v/v%)で表示する。結果を図1A及び図1Bに示す。図1A及び図1Bにおいて、縦軸は、TER値(Ω・cm2))、横軸は、測定時間を表す。発明におけるTJ機能促進作用を有する物質とは、本評価系において、各TER値測定時間の何れかにおいて、被験物質を添加したサンプルのTER値が、コントロ−ルのTER値に比較し高い物質を意味する。図1A及び図1Bの結果より、ロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物より限外濾過操作を経て精製された本発明のロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物の分子量5000以下の分画(図1A、「「ロイヤルビオサイト」(MW 5,000以下の画分)」と記載)は、顕著なタイトジャンクション機能促進作用が認められた。一方、ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物の分子量5,000より大きい画分(図1B中、「ロイヤルビオサイト(MW5,000より大きい画分)」と記載)には、タイトジャンクション機能促進作用はほとんど認められなかった。
凍結正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)(倉敷紡績株式会社製)を解凍し、培養液(Humadia−KG2:倉敷紡績株式会社製)にて、サブコンフルエントになるまで培養した。トリプシン処理により、48well plate(0.75cm2/well)に1×105cells/cm2となるように播種した。その際、バックグランド補正のため、Cer-FL非導入用の細胞も用意した。播種3日目に培養培地を1.45mM Ca2+ Humedia-KG2培地に置換し、分化誘導を行った。Ca2+添加後3日目にCer-FL導入細胞のみ培地を7.5μM Cer-FLを含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 150μL/wellに置換し、4℃にて30分間静置し、Cer-FLを細胞膜に吸着させた。Cer-FL溶液を抜き取り、1.45mM Ca2+ Humedia KG2 200μL/wellで2回洗浄した後、37℃、5%−CO2で30分間培養し、エンドサイト−シスにより細胞内にCer-FLを取り込ませた。5% defatted BSAを含有した1.45mM Ca2+ Humedia KG2 200μL/wellに置換し、4℃にて10分間静置する操作を2回〜4回繰り返し、細胞膜に吸着した残存Cer-FLを除去した。1mM C10を含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 300μL/wellに置換し、37℃、5%−CO2で4時間培養した。それぞれの培地を回収し、96well plateに200μLずつ加え、蛍光プレ−トリ−ダ−にて蛍光強度(励起485nm/蛍光535nm)を測定した。1mM C10を含有する1.45mM Ca2+ Humedia KG2 300μL/wellにロイヤルゼリ−蛋白質由来の加水分解物を限外濾過により精製した分子量5,000以下の画分(図2中、「ロイヤルビオサイト(MW5,000以下の画分)」と記載)、又は、分子量5,000より大きい画分(図2中、「ロイヤルビオサイト(MW5,000以より大きい画分)」と記載)を含有させた溶液を調整し、培地を回収した後の細胞に300μL/wellを加え、培養を続けた。16時間後にそれぞれ培地を回収し、蛍光強度を測定した。結果を図2に示す。図2の縦軸は、限外濾過により精製した分子量5000以下及び分子量5000より大きい画分の「ロイヤルビオサイト」分画のセラミド分泌量(単位:counts)を評価し、コントロ−ル群の値を1000としてその各群の相対値として表示した。本発明におけるセラミド分泌量を促進する作用がある物質とは、ベヒクルに比較し、セラミド分泌量が増加した物質を意味する。
表1に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤であるロ−ション化粧料を作製した。即ち、処方成分を80℃で攪拌し、可溶化し、しかる後に、攪拌下冷却して、ロ−ション化粧料(化粧料1)を得た。また、同様の操作を行い、本発明のセラミド分泌促進剤である「ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物より得られる精製物(「ロイヤルビオサイトMW5,000以下の画分」)を「ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物より得られる精製物(ロイヤルビオサイトMW5,000より大きい画分)に置換した比較例1、及び、本発明のセラミド分泌促進剤である「ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物より得られる精製物(「ロイヤルビオサイトMW5,000以下の画分」)を「水」に置換した比較例2も作製した。
パネラ−を使用し、化粧料1、比較例1及び比較例2に付いて、テ−プストリッピングによって作成した肌荒れモデルでの、肌荒れ改善作用を評価した。即ち、左右の前腕に3cm×5cmの部位を6つずつ作成し、テ−プストリッピングを各部位15回行い、経皮的散逸水分量(TEWL)をインテグラル社製の「テヴァメ−タ−」で計測した。その後、一日一度検体を50μL塗布し、この作業を6日間続け、7日目に再度TEWLを計測した。最初の日のTEWL値から7日目のTEWL値を減じ、最初の日のTEWL値で除し、100を乗じてTEWL改善率(%)を算出した。n数は15とした。結果を表2に示す。これより、本発明の皮膚外用剤は肌荒れ改善作用に優れることがわかる。
Claims (10)
- ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物であって、画分分子量が5000以下の画分であることを特徴とする、低分子量ロイヤルゼリ−画分。
- ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物が、分画分子量が5000以下の限外濾過膜を用いて得られるものであることを特徴とする、請求項1に記載の低分子ロイヤルゼリ−画分。
- 前記低分子ロイヤルゼリ−画分からなるセラミド分泌促進剤。
- 前記セラミド分泌促進作用が、角化細胞から細胞間脂質へのセラミド分泌促進作用によるものであることを特徴とする、請求項3に記載のセラミド分泌促進剤。
- 前記セラミド分泌促進作用が、タイトジャンクション機能促進作用によりものであることを特徴とする、請求項3又は4に記載のセラミド分泌促進剤。
- タイトジャンクション機能促進作用が、経上皮細胞電気抵抗値(TER:transepithelial electrical resistance)を向上せしめる作用であることを特徴とする、請求項5に記載のセラミド分泌促進剤。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載のセラミド分泌促進剤を含有する皮膚外用剤。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載のセラミド分泌促進剤を皮膚外用剤全量に対し、0.00001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項7に記載の皮膚外用剤。
- 肌荒れ改善、又は、抗老化用であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の皮膚外用剤。
- 前記セラミドロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を含有する皮膚外用剤の製造方法であって、ロイヤルゼリ−蛋白質及び/又はその加水分解物を限外濾過し、分画分子量が5000以下の画分を得た後、当該画分を皮膚外用剤に含有させることを特徴とする、皮膚外用剤の製造方法。
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